〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る取引装置、取引方法及び取引システムの実施の形態である診療費精算システムについて、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
図1を参照しながら、診療費精算システム1の概要を説明する。診療費精算システム1は、病院等の医療機関で用いられるシステムであって、診療費の精算処理(取引の一例)を実行するシステムである。診療費精算システム1は、受付端末10、診療端末20、管理装置30、精算装置40(取引装置の一例)を備えている。
受診のために医療機関を訪れた患者は、受付窓口にて診察券Aを提示して、受付の手続を行う。受付窓口のスタッフは、診察券Aを受付端末10に読み取らせる。受付端末10が、診察券Aから患者情報Bを読み取り、管理装置30へ送信する。管理装置30は、受付端末10から送信された患者情報Bを記憶し、過去の受診履歴の読み出しや、患者情報Bへの受診日時、受診科目等の追加を行う。
受付手続を済ませた患者は、医師の診察や検査、投薬等の処置を受ける。それらの内容は、診察室等に設置された診療端末20へスタッフにより入力される。診療端末20は、入力された診療内容を管理装置30へ送信する。管理装置30は、診療端末20から送信された情報に基づいて、患者の診療内容を示す診療情報Cを生成する。そして管理装置30は、患者の診察・処置等が終了すると、診療情報Cに基づいて診療費を算出し、算出した診療費を示す会計情報Dを生成し、患者情報Bと会計情報Dとを関係づけた状態で記憶する。
診察・処置等を終えた患者(利用者の一例)は、精算装置40にて精算処理を行う。まず患者は、精算装置40の診察券読取機構42へ診察券Aを挿入する。精算装置40は、挿入された診察券Aから患者情報Bを読み取り、管理装置30へ送信する。このとき、精算装置40の撮影機構41が、診察券Aを挿入する患者の顔を撮影する。精算装置40が、撮影された顔画像に基づいて、第1生体情報Eを生成する。第1生体情報Eは、撮影された患者の顔の特徴を数値化した特徴量である。後述する第2生体情報Hも同様である。
管理装置30は、精算装置40から受信した患者情報Bに対応する会計情報Dを、精算装置40へ送信する。精算装置40は、管理装置30から受信した会計情報Dに基づいて、患者が支払うべき診療費を表示機構46へ表示させ、診療費の支払を待機する。
本実施形態では、精算装置40は、クレジットカード、現金、及び電子マネーによる診療費の支払を受付可能である。以下、患者がクレジットカードにより診療費を支払う場合について説明する。
患者が、精算装置40のクレジットカード読取機構43へクレジットカードFを挿入する。精算装置40は、挿入されたクレジットカードFからカード情報G(カード番号等)を読み取ると共に、暗証番号の入力を待機する。患者が暗証番号を入力すると、精算装置40の撮影機構41が、暗証番号を入力した患者の顔を撮影する。精算装置40が、撮影された顔画像に基づいて、第2生体情報Hを生成する。
そして精算装置40は、第1生体情報Eと第2生体情報Hとを照合し、診察券Aを挿入した患者と、クレジットカードFを挿入し暗証番号を入力した患者とが同一人物であるか否かを判定する。同一人物であると判定されると、精算装置40は、クレジットカードFによる診療費の支払の手続を完了させ、患者の診療費の精算処理(取引)を成立させる。
同一人物でないと判定されると、精算装置40は、表示機構46に「少々お待ちください」等の文字列を表示させて患者に待機を促し、医療機関のスタッフへの報知(例えば、受付端末10の表示画面での注意喚起)を行う。精算装置40は、クレジットカードFによる診療費の支払の手続を完了させず中断する。すなわち、精算装置40は、患者の診療費の精算処理(取引)を成立させない。
〔診療費精算システムの構成〕
図2を参照しながら、診療費精算システム1の構成の詳細について説明する。
受付端末10は、通信ネットワークを介して管理装置30と通信可能な端末装置であって、医療機関の受付窓口に配置される装置である。受付端末10は、例えばパーソナルコンピュータである。診療費精算システム1が、複数の受付端末10を備えてもよい。受付端末10は、受信に訪れた患者の診察券Aから患者情報Bを読み取り可能に構成されている。受付端末10は、診察券Aから読み取った患者情報Bを管理装置30へ送信する。受付端末10が、受付窓口のスタッフから診察券Aに記載された患者番号(患者情報B)の入力を受け付けて、入力された患者情報Bを管理装置30へ送信してもよい。
診療端末20は、通信ネットワークを介して管理装置30と通信可能な端末装置であって、医療機関の診察室や処置室、検査室等に配置される装置である。診療端末20は、例えばパーソナルコンピュータである。診療費精算システム1が、複数の診療端末20を備えてもよい。診療端末20は、医療機関の医師、看護師、スタッフ等から、診察、処置、投薬、検査等の情報の入力を受け付けて、入力された情報を管理装置30へ送信する。
管理装置30は、受付端末10、診療端末20、及び精算装置40と通信可能な情報処理装置であって、医療機関の事務室等に配置される装置である。管理装置30は、例えばサーバ装置である。管理装置30が、医療機関の外部やクラウド上に設けられてもよい。
管理装置30は、制御部31、及び記憶部32を備えている。
制御部31は、管理装置30の動作を制御する制御部であり、患者情報管理部31a、診療情報管理部31b、及び会計情報管理部31cを有して構成される。実際には、各機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、それらプログラムをCPUにロードして実行することにより、各機能部に対応するプロセスが実行される。
患者情報管理部31aは、受付端末10から送信された患者情報Bを管理する。例えば、患者情報管理部31aは、受信した患者情報Bの記憶部32への記憶、患者情報Bが示す患者の過去の受信履歴の読み出し、患者情報Bへの受信日時、受信科目等の追加などを行う。
診療情報管理部31bは、診療端末20から送信された情報に基づいて、患者の診療内容を示す診療情報Cを生成し管理する。診療情報管理部31bは、生成した診療情報Cを、患者情報Bと関連付けた状態で記憶部32へ記憶させる。
会計情報管理部31cは、診療情報Cに基づいて診療費を算出する。会計情報管理部31cは、算出した診療費を示す会計情報Dを生成し、生成した会計情報Dを患者情報Bと関係づけた状態で、記憶部32に記憶させる。また、会計情報管理部31cは、精算装置40から患者情報Bが送信されたことに応じて、当該患者情報Bに対応する患者の会計情報Dを精算装置40へ送信する。
記憶部32は、データを記憶するデバイスであり、HDDや不揮発性RAMといった記憶デバイスで構成される。記憶部32は、制御部31で実行されるプログラムの記憶や、制御部31の動作に際してデータの一時記憶等に用いられる。
精算装置40は、患者により操作されて、診療費の精算処理(手続)を行う装置である。精算装置40は、撮影機構41、診察券読取機構42、クレジットカード読取機構43、現金入出金機構44、電子マネー受付機構45、表示機構46、入力機構47、制御部48(取引制御部の一例)、及び記憶部49(メモリの一例)を備えている。
撮影機構41は、静止画又は動画を生成するカメラであって、精算装置40で手続を行う患者を撮影して撮影画像を生成する。撮影機構41は、生成した撮影画像を制御部48へ送信する。
診察券読取機構42は、患者から診察券Aの挿入を受け付けて、診察券Aの備える磁気ストライプやICチップ等から患者情報Bを読み取る機構である。診察券読取機構42は、診察券Aから読み取った患者情報Bを制御部48へ送信する。
クレジットカード読取機構43は、患者からクレジットカードFの挿入を受け付けて、クレジットカードFの備える磁気ストライプやICチップ等からカード情報Gを読み取る機構である。クレジットカード読取機構43は、クレジットカードFから読み取ったカード情報Gを制御部48へ送信する。
現金入出金機構44は、患者からの現金の受付・収納、患者への現金の返却、及び釣り銭の払い出しを行う機構である。現金入出金機構44は、患者から受け付けた現金の金種及び数量を示す信号を制御部48へ送信する。
電子マネー受付機構45は、患者から電子マネーによる診療費の支払を受け付ける機構である。電子マネー受付機構45は、電子マネーの情報媒体(ICカード、携帯情報端末など)と通信可能な機構であり、例えば、ICカードリーダや、NFCアンテナである。
電子マネー受付機構45は、読み取った電子マネーに係る情報を制御部48へ送信する。
表示機構46は、種々の画面を表示して患者に情報を提示する機構である。本実施形態では、表示機構46は液晶ディスプレイ装置である。
入力機構47は、操作入力を患者から受け付け、受け付けた操作入力に応じた信号を制御部48へ送信する機構である。本実施形態では、入力機構47は表示機構46に重ねて配置されたタッチパネル式入力装置である。入力機構47が、キースイッチや音声入力装置等であってもよい。
制御部48は、精算装置40の動作を制御する制御部であり、撮影制御部48a、診察券処理部48b、支払処理部48c、照合判定部48d、報知制御部48e、記憶削除部48f、及び記憶保持部48gを有して構成される。実際には、各機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、それらプログラムをCPUにロードして実行することにより、各機能部に対応するプロセスが実行される。
撮影制御部48aは、撮影機構41を制御して、精算装置40で手続を行う患者を撮影させ撮影画像を生成させる。撮影制御部48aは、撮影機構41が生成した撮影画像に基づいて、第1生体情報E及び第2生体情報Hを生成し、記憶部49へ記憶させる。すなわち、本実施形態では、撮影機構41と撮影制御部48aとによって、特許請求の範囲に記載された「生体情報取得部」が構成されている。なお本実施形態では、「生体情報」とは、撮影画像に写っている人物の顔の特徴を示す特徴量であって、撮影画像から抽出した顔画像に基づいて算出される情報である。
第1生体情報Eは、精算装置40で第1手続を行う患者の生体情報である。本実施形態では、第1手続は、患者が支払う予定の金銭(診療費)の金額を特定するための手続であって、患者の診療費を特定する特定情報の受付手続である。具体的には、第1手続は、診察券読取機構42への診察券Aの挿入を受け付けて、診察券Aから患者情報Bを読み出す手続である。すなわち、第1生体情報Eは、精算装置40の診察券読取機構42へ診察券Aを挿入する患者の顔の特徴を示す特徴量である。
第2生体情報Hは、精算装置40で第2手続を行う患者の生体情報である。本実施形態では、第2手続は、第1手続の後に行われる手続であり、第1手続により特定された金額の支払を患者から受け付けるための手続であって、特定情報に基づく患者の診療費の支払手続である。具体的には、第2手続は、クレジットカード読取機構43、現金入出金機構44、又は電子マネー受付機構45にて患者から診療費の支払を受け付ける手続である。
すなわち、第2生体情報Hは、精算装置40のクレジットカード読取機構43、現金入出金機構44、又は電子マネー受付機構45にて診療費を支払う患者の顔の特徴を示す特徴量である。
診察券処理部48bは、診察券読取機構42を制御して、診察券読取機構42に挿入された診察券Aから患者情報Bを読み取らせ、患者情報Bを記憶部49へ記憶させる。すなわち、本実施形態では、診察券読取機構42と診察券処理部48bとによって、特許請求の範囲に記載された「特定情報受付部」が構成されている。
支払処理部48cは、患者が支払うべき診療費を特定する。詳しくは、支払処理部48cは、支払処理部48cは、診察券Aから取得した患者情報Bを管理装置30へ送信する。そして支払処理部48cは、管理装置30から受信した診療情報Cに基づいて、診察券読取機構42へ挿入された診察券Aに対応する患者の診療費を特定する。支払処理部48cは、特定した診療費を表示機構46へ表示させる。
そして支払処理部48cは、クレジットカード読取機構43、現金入出金機構44、又は電子マネー受付機構45を制御して、患者からの診療費の支払を受け付ける。クレジットカード読取機構43にクレジットカードFが挿入された場合、支払処理部48cは、入力機構47を介してクレジットカードFの暗証番号(支払手続に係る認証情報の一例)の入力を受け付ける。すなわち、本実施形態では、クレジットカード読取機構43、現金入出金機構44、電子マネー受付機構45、及び支払処理部48cによって、特許請求の範囲に記載された「支払受付部」が構成されている。入力機構47及び支払処理部48cによって、特許請求の範囲に記載された「認証情報入力部」が構成されている。
支払処理部48cは、照合判定部48dの判定結果(後述)に応じて、診療費の支払の処理を完了(又は中断)させる。
照合判定部48dは、記憶部49に記憶された第1生体情報Eと第2生体情報Hとを照合して第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物であるか否かを判定する。換言すれば、照合判定部48dは、第1手続を行った患者と第2手続を行った患者とが同一人物であるか否かを判定する。具体的には、照合判定部48dは、第1生体情報Eと第2生体情報Hとの類似度を算出し、算出した類似度が所定の閾値よりも高いことに応じて、第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物であると判定する。
報知制御部48eは、第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物でないと照合判定部48dが判定したことに応じて、報知を行う。例えば、報知制御部48eは、患者に待機を促す画面を精算装置40の表示機構46に表示させ、精算装置40で異常が生じている旨を受付端末10の表示画面に表示させる。
記憶削除部48fは、第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物であると照合判定部48dが判定したことに応じて、第1生体情報E及び第2生体情報Hを記憶部49から削除する。
記憶保持部48gは、第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物でないと照合判定部48dが判定したことに応じて、第1生体情報E及び第2生体情報Hのうちの少なくとも一方を、取引に関連付けた状態で記憶部49に保持させる。例えば、記憶保持部48gは、第1生体情報E及び第2生体情報Hを、患者情報B及びカード情報Gに関連付けた状態で、記憶部49から削除することなく記憶部49に保持させる。
記憶保持部48gが、第1生体情報Eに対応する撮影画像及び第2生体情報Hに対応する撮影画像を記憶部49に保持させてもよい。
記憶部49は、データを記憶するデバイスであり、HDDや不揮発性RAMといった記憶デバイスで構成される。記憶部49は、制御部48で実行されるプログラムの記憶や、制御部48の動作に際してデータの一時記憶等に用いられる。
〔診療費精算システムの動作フロー〕
以下、図3のフローチャートを参照しながら、診療費精算システム1の動作を説明し、診療費精算システム1(精算装置40)で実行される診療費精算方法(取引方法の一例)について説明する。
受付端末10が、患者が提示した診察券Aから患者情報Bを読み取って、管理装置30へ送信する。管理装置30の患者情報管理部31aが、受信した患者情報Bを、記憶部32へ記憶させる(#101)。
診療端末20が、患者の診察等に関する情報が入力される都度、当該情報を管理装置30へ送信する。管理装置30の診療情報管理部31bが、受信した情報に基づいて診療情報Cを生成・更新し、記憶部32へ記憶させる(#102)。
患者の診察等が終了すると、管理装置30の会計情報管理部31cが、会計情報Dを生成して記憶部32へ記憶させる(#103)。
精算装置40は、患者からの診察券Aの挿入を待機する(#104)。具体的には、診察券処理部48bが診察券読取機構42を制御して、診察券Aを挿入可能な状態に診察券読取機構42を維持する。診察券Aの挿入の待機は、医療機関の営業時間(受付時間)の全体に渡って行われてもよいし、精算装置40の前に患者が立ったことをセンサ等により検知した時に行われてもよい。診察券読取機構42に診察券Aが挿入されない場合(#105:No)、#104の処理を継続する。
診察券読取機構42が診察券Aの挿入を受け付けたことに応じて(#105:Yes)、診察券読取機構42が、挿入された診察券Aから患者情報Bを読み取って制御部48へ送信する。診察券処理部48bは、診察券読取機構42から送信された患者情報Bを記憶部49へ記憶させる(#106)。
#106にて診察券読取機構42が患者情報Bを読み取った後、撮影制御部48aは、撮影機構41を作動させて患者の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部48へ送信させる。撮影制御部48aは、撮影機構41から送信された撮影画像から第1生体情報Eを生成し、記憶部49へ記憶させる(#107)。
#107にて撮影制御部48aが第1生体情報Eを生成した後、診察券処理部48bが診察券読取機構42を制御して、診察券Aを診察券読取機構42から排出させる(#108)。
#108にて診察券Aが返却された後、支払処理部48cが、患者の会計情報Dを取得する(#109)。詳しくは、支払処理部48cが、#106にて診察券Aから読み取られた患者情報Bを管理装置30へ送信する。管理装置30は、精算装置40から送信された患者情報Bに対応する会計情報Dを、精算装置40へ送信する。支払処理部48cは、管理装置30から送信された会計情報Dに基づいて、患者の診療費を特定する(#109)。
支払処理部48cは、#109にて特定した診療費を表示機構46に表示させる(#110)。
#110にて診療費が表示機構46に表示された後、支払処理部48cは、患者からの診療費の支払を待機する(#111)。具体的には、支払処理部48cは、クレジットカード読取機構43を制御して、クレジットカードFを挿入可能な状態にする。支払処理部48cは、現金入出金機構44を制御して、現金の投入口を開放させる。支払処理部48cは、電子マネー受付機構45を制御して、電子マネーの情報媒体と通信可能な状態にする。
クレジットカード読取機構43にクレジットカードFが挿入されたことに応じて(#112:Yes)、支払処理部48cは、クレジットカード読取機構43を制御して、クレジットカードFからカード番号等のカード情報Gを取得する(#113)。
#113にてカード情報Gの取得が終了すると、支払処理部48cは、入力機構47を制御して、患者からの暗証番号の入力を待機する(#114)。患者から暗証番号が入力されない場合(#114:No)、支払処理部48cは、暗証番号の入力の待機を継続する(#114)。
クレジットカード読取機構43にクレジットカードFが挿入されず(#112:No)、且つ、現金入出金機構44に現金が投入されたことに応じて(#115:Yes)、支払処理部48cは、現金入出金機構44を制御して、現金の投入口を閉鎖し、投入された現金を計数する(#116)。投入口の閉鎖は、現金の投入を検知してから所定時間の経過後に行われてもよいし、現金の投入を完了した旨の操作入力を入力機構47が受け付けたことに応じて行われてもよい。
現金入出金機構44に現金が投入されず(#115:No)、且つ、電子マネー受付機構45で電子マネー情報媒体との通信が行われない場合(#117:No)、支払処理部48cは診療費の支払の待機を継続する(#111)。
患者から暗証番号が入力されたことに応じて(#114:Yes)、撮影制御部48aは、撮影機構41を作動させて患者の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部48へ送信させる。撮影制御部48aは、撮影機構41から送信された撮影画像から第2生体情報Hを生成し、記憶部49へ記憶させる(#118)。#116にて現金の投入口が閉鎖された後、及び、電子マネー受付機構45で電子マネー情報媒体との通信が行われて電子マネー情報が取得された場合(#117:Yes)も、同様に、#118の処理が実行される。
#118で第2生体情報Hが生成されると、照合判定部48dは、記憶部49に記憶された第1生体情報Eと第2生体情報Hとを照合して(#119)、第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物であるか否か判定する(#120)。
同一人物であると照合判定部48dが判定したことに応じて(#120:Yes)、支払処理部48cは、診療費の支払処理を終了、すなわち、決済を完了させる(#121)。詳しくは、クレジットカード読取機構43にクレジットカードFが挿入されている場合には、支払処理部48cは、カード情報Gをカード会社のホストコンピュータへ送信し、決済を行わせる。現金入出金機構44に現金が投入されている場合には、支払処理部48cは、現金入出金機構44を制御して、釣り銭を払い出し、投入された現金を収納する。
電子マネー情報が取得されている場合には、支払処理部48cは、取得した電子マネー情報を電子マネー会社のホストコンピュータへ送信し、決済を行わせる。
#121で決済が完了した後に、記憶削除部48fは、第1生体情報E及び第2生体情報Hを記憶部49から削除する(#122)。そして診療費精算システム1は、処理を終了する。
同一人物でないと照合判定部48dが判定したことに応じて(#120:No)、報知制御部48eが報知を行い(#123)、支払処理部48cが診療費の支払処理を中止、すなわち、決済を中止する(#124)。詳しくは、クレジットカード読取機構43にクレジットカードFが挿入されている場合には、支払処理部48cは、クレジットカードFをクレジットカード読取機構43から排出させ、カード情報Gを削除する。現金入出金機構44に現金が投入されている場合には、支払処理部48cは、現金入出金機構44を制御して、投入された現金を返却する。電子マネー情報が取得されている場合には、支払処理部48cは、電子マネー情報を削除する。
#123の報知、及び#124の決済中止の終了後、記憶保持部48gは、第1生体情報E及び第2生体情報Hを記憶部49に保持させる(#125)。そして診療費精算システム1は、処理を終了する。
以上説明した各ステップは、本発明の趣旨に矛盾しない範囲で省略、順序の入れ替え、同時実行、追加等が可能である。
以上の通り、診療費精算システム1(精算装置40)で実行される診療費精算方法は、第1手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部49に第1生体情報Eとして記憶させるステップ(#107)と、第1手続の後に行われる第2手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部49に第2生体情報Hとして記憶させるステップ(#118)と、記憶部49に記憶された第1生体情報Eと第2生体情報Hとを照合して第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物であるか否かを判定させるステップ(#119,#120)と、を備える。
〔取引制御部〕
本実施形態では、精算装置40の制御部48は、照合判定部48dが第1生体情報Eが示す人物と第2生体情報Hが示す人物とが同一人物でないと判定したことに応じて、精算の取引を成立させない。制御部48は、特許請求の範囲に記載された「取引制御部」の一例である。
〔第1実施形態の変形例〕
(1)第1手続を行う患者の撮影及び第1生体情報Eの生成のタイミングに関して、上記の実施形態では、診察券読取機構42が患者情報Bを読み取った後(#106)、撮影制御部48aが撮影機構41を作動させて患者を撮影し、撮影画像から第1生体情報Eを生成した。第1手続を行う患者の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、診察券Aが診察券読取機構42に挿入されたことに応じて(#105:Yes)行われてもよい。撮影が、診察券Aが診察券読取機構42から抜き取られたことに応じて(#108)行われてもよい。撮影が、診察券Aが診察券読取機構42に挿入されてから診察券Aが診察券読取機構42から抜き取られるまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第1生体情報Eが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、診察券読取機構42への診察券Aの挿入、診察券読取機構42による患者情報Bの読み取り、診察券読取機構42からの診察券Aの抜き取りが行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第1生体情報Eを生成する画像が決定されてもよい。例えば、患者の顔の向きや画像の明るさ等が第1生体情報Eの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(2)第2手続を行う患者の撮影及び第2生体情報Hの生成のタイミングに関して、上記の実施形態では、クレジットカードFの暗証番号が入力された後(#114:Yes)に、現金投入口を閉鎖した後(#116)、又は電子マネー受付機構45が電子マネー情報を取得した後(#117)、撮影制御部48aが撮影機構41を作動させて患者を撮影し、撮影画像から第2生体情報Hを生成した。第2手続を行う患者の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、診療費の支払の待機を開始したことに応じて(#111)行われてもよい。撮影が、クレジットカードFがクレジットカード読取機構43に挿入されたことに応じて(#112:Yes)行われてもよい。撮影が、現金が現金入出金機構44に投入されたことに応じて(#115:Yes)行われてもよい。撮影が、診療費の支払の待機を開始してから、クレジットカードFの暗証番号が入力されるまで、現金投入口が閉鎖されるまで、又は電子マネー受付機構45が電子マネー情報を取得するまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第2生体情報Hが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、診療費の支払の開始、クレジットカードFのクレジットカード読取機構43への挿入、クレジットカード読取機構43によるカード情報Gの取得、暗証番号の入力、現金の現金入出金機構44への投入、現金入出金機構44の現金投入口の閉鎖、又は電子マネー受付機構45による電子マネー情報の取得が行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第2生体情報Hを生成する画像が決定されてもよい。例えば、患者の顔の向きや画像の明るさ等が第2生体情報Hの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(3)精算装置40が、患者に付き添う家族や介護スタッフ等により操作されてもよい。
すなわち、精算装置40の利用者は、患者に限られない。
(4)受付端末10は、患者が自ら操作して受付手続を行う自動受付端末であってもよい。
(5)精算装置40の各機構が、精算装置40から独立した装置として精算装置40の外部に設けられ、精算装置40と接続されてもよい。例えば、撮影機構41が、独立したカメラとして精算装置40の外部(例えば、精算装置40の近傍)に配置されてもよい。クレジットカード読取機構43が、独立したカードリーダとして精算装置40の外部(例えば、精算装置40の横)に配置されてもよい。現金入出金機構44が、独立した現金出納機として精算装置40の外部(例えば、精算装置40の横)に配置されてもよい。
(6)精算装置40の制御部48の各機能部が、精算装置40の外部に設けられてもよい。例えば、照合判定部48d、報知制御部48e、記憶削除部48f、記憶保持部48gうちの何れか、又は全部が、管理装置30の制御部31に儲けられてもよい。例えば、精算装置40で生成された第1生体情報E及び第2生体情報Hが、管理装置30へ送信され、管理装置30の制御部31が同一人物の判定を行い、判定結果が管理装置30から精算装置40へ送信されてもよい。
(7)診察券読取機構42とクレジットカード読取機構43とが、一つのカードリーダで兼ねられてもよい。
(8)上記の実施形態では、受付窓口(受付端末10)及び精算装置40において診察券Aにより患者を特定するが、診察券Aを用いない形態も可能である。例えば、受付端末10、診療端末20、精算装置40において患者の顔を撮影し、撮影画像から特徴情報を生成し、顔認証技術により患者を特定する。精算装置40において、患者の特定のために取得した特徴情報を、第1生体情報Eとして用いてもよい。
(9)本実施形態の精算装置及びシステムを、飲食店等の精算システムに応用することが可能である。すなわち、診療費の精算だけでなく、飲食費用やサービス費用の精算に、本実施形態の精算装置及びシステムを用いてもよい。その場合、利用者の特定のため、診察券Aに換えて飲食伝票、席札、会員証等が用いられる。利用者の特定を顔認証技術により行う形態も可能である。
〔第1の参考例〕
以下、払込金精算装置について、図面に基づいて説明する。
図4を参照しながら、払込金精算装置60の概要を説明する。払込金精算装置60は、銀行等の金融機関で用いられる装置であって、利用者が支払うべき払込金の精算処理を実行する装置である。払込金とは、例えば、税金、電気料金、水道料金、通信サービスの利用料などである。
払込金の精算のために金融機関を訪れた顧客は、払込金精算装置60の帳票読取機構62に帳票Jを挿入する。払込金精算装置60は、挿入された帳票Jから、帳票Jの記載事項を示す帳票情報Kを読み取り、払込金の金額を示す払込金情報Lを生成する。このとき、払込金精算装置60の撮影機構61が、帳票Jを挿入する顧客の顔を撮影する。払込金精算装置60が、撮影された顔画像に基づいて、第1生体情報Mを生成する。第1生体情報Mは、撮影された顧客の顔の特徴を数値化した特徴量である。後述する第2生体情報Qも同様である。
払込金精算装置60は、顧客が支払うべき払込金を表示機構66へ表示させ、払込金の支払を待機する。本参考例では、払込金精算装置60は、クレジットカード、現金、及び電子マネーによる払込金の支払を受付可能である。以下、顧客がクレジットカードにより払込金を支払う場合について説明する。
顧客が、払込金精算装置60のクレジットカード読取機構63へクレジットカードNを挿入する。払込金精算装置60は、挿入されたクレジットカードNからカード情報P(カード番号等)を読み取ると共に、暗証番号の入力を待機する。顧客が暗証番号を入力すると、払込金精算装置60の撮影機構61が、暗証番号を入力した顧客の顔を撮影する。払込金精算装置60が、撮影された顔画像に基づいて、第2生体情報Qを生成する。
そして払込金精算装置60は、第1生体情報Mと第2生体情報Qとを照合し、帳票Jを挿入した顧客と、クレジットカードNを挿入し暗証番号を入力した顧客とが同一人物であるか否かを判定する。同一人物であると判定されると、払込金精算装置60は、クレジットカードNによる払込金の精算の手続を完了させ、顧客の払込金の精算処理(取引)を成立させる。
同一人物でないと判定されると、払込金精算装置60は、表示機構66に「少々お待ちください」等の文字列を表示させて顧客に待機を促し、金融機関のスタッフへの報知(例えば、スタッフの所持する携帯情報端末での注意喚起)を行う。払込金精算装置60は、クレジットカードNによる払込金の支払の手続を完了させず中断する。すなわち、払込金精算装置60は、顧客の払込金の精算処理(取引)を成立させない。
〔払込金精算装置の構成〕
図5を参照しながら、払込金精算装置60の構成の詳細について説明する。
払込金精算装置60は、顧客により操作されて、払込金の精算処理(手続)を行う装置である。払込金精算装置60は、撮影機構61、帳票読取機構62、クレジットカード読取機構63、現金入出金機構64、電子マネー受付機構65、表示機構66、入力機構67、制御部68、及び記憶部69を備えている。
撮影機構61は、静止画又は動画を生成するカメラであって、払込金精算装置60で手続を行う顧客を撮影して撮影画像を生成する。撮影機構61は、生成した撮影画像を制御部68へ送信する。
帳票読取機構62は、顧客から帳票Jの挿入を受け付けて、帳票Jから帳票情報Kを読み取る機構である。帳票読取機構62は、帳票Jから読み取った帳票情報Kを制御部68へ送信する。帳票読取機構62は、帳票Jの記載を読み取る光学スキャナ、帳票Jに領収印を捺印する機構、帳票Jにおける領収書の部位を切断して顧客に返却する機構などを備えている。
クレジットカード読取機構63は、顧客からクレジットカードNの挿入を受け付けて、クレジットカードNの備える磁気ストライプやICチップ等からカード情報Pを読み取る機構である。クレジットカード読取機構63は、クレジットカードNから読み取ったカード情報Pを制御部68へ送信する。
現金入出金機構64は、顧客からの現金の受付・収納、顧客への現金の返却、及び釣り銭の払い出しを行う機構である。現金入出金機構64は、顧客から受け付けた現金の金種及び数量を示す信号を制御部68へ送信する。
電子マネー受付機構65は、顧客から電子マネーによる払込金の支払を受け付ける機構である。電子マネー受付機構65は、電子マネーの情報媒体(ICカード、携帯情報端末など)と通信可能な機構であり、例えば、ICカードリーダや、NFCアンテナである。
電子マネー受付機構65は、読み取った電子マネーに係る情報を制御部68へ送信する。
表示機構66は、種々の画面を表示して顧客に情報を提示する機構である。本参考例では、表示機構66は液晶ディスプレイ装置である。
入力機構67は、操作入力を顧客から受け付け、受け付けた操作入力に応じた信号を制御部68へ送信する機構である。本参考例では、入力機構67はテンキー(キースイッチ)である。入力機構67が、表示機構66に重ねて配置されたタッチパネル式入力装置や音声入力装置等であってもよい。
制御部68は、払込金精算装置60の動作を制御する制御部であり、撮影制御部68a、帳票処理部68b、支払処理部68c、照合判定部68d、報知制御部68e、記憶削除部68f、及び記憶保持部68gを有して構成される。実際には、各機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、それらプログラムをCPUにロードして実行することにより、各機能部に対応するプロセスが実行される。
撮影制御部68aは、撮影機構61を制御して、払込金精算装置60で手続を行う顧客を撮影させ撮影画像を生成させる。撮影制御部68aは、撮影機構61が生成した撮影画像に基づいて、第1生体情報M及び第2生体情報Qを生成し、記憶部69へ記憶させる。なお本参考例では、「生体情報」とは、撮影画像に写っている人物の顔の特徴を示す特徴量であって、撮影画像から抽出した顔画像に基づいて算出される情報である。
第1生体情報Mは、払込金精算装置60で第1手続を行う顧客の生体情報である。本参考例では、第1手続は、顧客が支払う予定の金銭(払込金)の金額を特定するための手続であって、顧客からの帳票Jの受付手続である。具体的には、第1手続は、帳票読取機構62への帳票Jの挿入を受け付けて、帳票Jから帳票情報Kを読み出す手続である。すなわち、第1生体情報Mは、払込金精算装置60の帳票読取機構62へ帳票Jを挿入する顧客の顔の特徴を示す特徴量である。
第2生体情報Qは、払込金精算装置60で第2手続を行う顧客の生体情報である。本参考例では、第2手続は、第1手続の後に行われる手続であり、第1手続により特定された金額の支払を顧客から受け付けるための手続であって、帳票読取機構62が受け付けた帳票Jにより特定される払込金の支払手続である。具体的には、第2手続は、クレジットカード読取機構63、現金入出金機構64、又は電子マネー受付機構65にて顧客から払込金の支払を受け付ける手続である。すなわち、第2生体情報Qは、払込金精算装置60のクレジットカード読取機構63、現金入出金機構64、又は電子マネー受付機構65にて払込金を支払う顧客の顔の特徴を示す特徴量である。
帳票処理部68bは、帳票読取機構62を制御して、帳票読取機構62に挿入された帳票Jから帳票情報Kを読み取らせ、帳票情報Kを記憶部69へ記憶させる。
支払処理部68cは、顧客が支払うべき払込金を特定する。詳しくは、支払処理部68cは、帳票情報Kに基づいて、帳票Jに記載された払込金の金額を特定し、払込金の金額を示す払込金情報Lを生成して記憶部69へ記憶させる。支払処理部68cは、特定した払込金を表示機構66へ表示させる。
そして支払処理部68cは、クレジットカード読取機構63、現金入出金機構64、又は電子マネー受付機構65を制御して、顧客からの払込金の支払を受け付ける。クレジットカード読取機構63にクレジットカードNが挿入された場合、支払処理部68cは、入力機構67を介してクレジットカードNの暗証番号の入力を受け付ける。
支払処理部68cは、照合判定部68dの判定結果(後述)に応じて、払込金の支払の処理を完了(又は中断)させる。
照合判定部68dは、記憶部69に記憶された第1生体情報Mと第2生体情報Qとを照合して第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物であるか否かを判定する。換言すれば、照合判定部68dは、第1手続を行った顧客と第2手続を行った顧客とが同一人物であるか否かを判定する。具体的には、照合判定部68dは、第1生体情報Mと第2生体情報Qとの類似度を算出し、算出した類似度が所定の閾値よりも高いことに応じて、第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物であると判定する。
報知制御部68eは、第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物でないと照合判定部68dが判定したことに応じて、報知を行う。例えば、報知制御部68eは、顧客に待機を促す画面を払込金精算装置60の表示機構66に表示させ、払込金精算装置60で異常が生じている旨をスタッフの携帯情報端末に表示させる。
記憶削除部68fは、第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物であると照合判定部68dが判定したことに応じて、第1生体情報M及び第2生体情報Qを記憶部69から削除する。
記憶保持部68gは、第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物でないと照合判定部68dが判定したことに応じて、第1生体情報M及び第2生体情報Qのうちの少なくとも一方を、取引に関連付けた状態で記憶部69に保持させる。例えば、記憶保持部68gは、第1生体情報M及び第2生体情報Qを、帳票情報K及びカード情報Pに関連付けた状態で、記憶部69から削除することなく記憶部69に保持させる。
記憶保持部68gが、第1生体情報Mに対応する撮影画像及び第2生体情報Qに対応する撮影画像を記憶部69に保持させてもよい。
記憶部69は、データを記憶するデバイスであり、HDDや不揮発性RAMといった記憶デバイスで構成される。記憶部69は、制御部68で実行されるプログラムの記憶や、制御部68の動作に際してデータの一時記憶等に用いられる。
〔払込金精算装置の動作フロー〕
以下、図6のフローチャートを参照しながら、払込金精算装置60の動作を説明し、払込金精算装置60で実行される払込金精算方法について説明する。
払込金精算装置60は、顧客からの帳票Jの挿入を待機する(#201)。具体的には、帳票処理部68bが帳票読取機構62を制御して、帳票Jを挿入可能な状態に帳票読取機構62を維持する。帳票Jの挿入の待機は、金融機関の営業時間(受付時間)の全体に渡って行われてもよいし、払込金精算装置60の前に顧客が立ったことをセンサ等により検知した時に行われてもよい。帳票読取機構62に帳票Jが挿入されない場合(#202:No)、#201の処理を継続する。
帳票読取機構62が帳票Jの挿入を受け付けたことに応じて(#202:Yes)、帳票読取機構62が、挿入された帳票Jから帳票情報Kを読み取って制御部68へ送信する。帳票処理部68bは、帳票読取機構62から送信された帳票情報Kを記憶部69へ記憶させる(#203)。
#203にて帳票読取機構62が帳票情報Kを読み取った後、撮影制御部68aは、撮影機構61を作動させて顧客の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部68へ送信させる。撮影制御部68aは、撮影機構61から送信された撮影画像から第1生体情報Mを生成し、記憶部69へ記憶させる(#204)。
#204にて第1生体情報Mが生成された後、支払処理部68cが、顧客が支払うべき払込金の金額を表示機構66へ表示させる.(#205)。詳しくは、支払処理部68cが、帳票情報Kに基づいて、帳票Jに記載された払込金の金額を特定し、払込金の金額を示す払込金情報Lを生成して記憶部69へ記憶させる。支払処理部68cは、特定した払込金を表示機構66へ表示させる。
#205にて払込金が表示機構66に表示された後、支払処理部68cは、顧客からの払込金の支払を待機する(#206)。具体的には、支払処理部68cは、クレジットカード読取機構63を制御して、クレジットカードNを挿入可能な状態にする。支払処理部68cは、現金入出金機構64を制御して、現金の投入口を開放させる。支払処理部68cは、電子マネー受付機構65を制御して、電子マネーの情報媒体と通信可能な状態にする。
クレジットカード読取機構63にクレジットカードNが挿入されたことに応じて(#207:Yes)、支払処理部68cは、クレジットカード読取機構63を制御して、クレジットカードNからカード番号等のカード情報Pを取得する(#208)。
#208にてカード情報Pの取得が終了すると、支払処理部68cは、入力機構67を制御して、顧客からの暗証番号の入力を待機する(#209)。顧客から暗証番号が入力されない場合(#209:No)、支払処理部68cは、暗証番号の入力の待機を継続する(#209)。
クレジットカード読取機構63にクレジットカードNが挿入されず(#207:No)、且つ、現金入出金機構64に現金が投入されたことに応じて(#210:Yes)、支払処理部68cは、現金入出金機構64を制御して、現金の投入口を閉鎖し、投入された現金を計数する(#211)。投入口の閉鎖は、現金の投入を検知してから所定時間の経過後に行われてもよいし、現金の投入を完了した旨の操作入力を入力機構67が受け付けたことに応じて行われてもよい。
現金入出金機構64に現金が投入されず(#210:No)、且つ、電子マネー受付機構65で電子マネー情報媒体との通信が行われない場合(#212:No)、支払処理部68cは払込金の支払の待機を継続する(#206)。
顧客から暗証番号が入力されたことに応じて(#209:Yes)、撮影制御部68aは、撮影機構61を作動させて顧客の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部68へ送信させる。撮影制御部68aは、撮影機構61から送信された撮影画像から第2生体情報Qを生成し、記憶部69へ記憶させる(#213)。#211にて現金の投入口が閉鎖された後、及び、電子マネー受付機構65で電子マネー情報媒体との通信が行われて電子マネー情報が取得された場合(#212:Yes)も、同様に、#213の処理が実行される。
#213で第2生体情報Qが生成されると、照合判定部68dは、記憶部69に記憶された第1生体情報Mと第2生体情報Qとを照合して(#214)、第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物であるか否か判定する(#215)。
同一人物であると照合判定部68dが判定したことに応じて(#215:Yes)、支払処理部68cは、払込金の支払処理を終了、すなわち、決済を完了させる(#216)。詳しくは、クレジットカード読取機構63にクレジットカードNが挿入されている場合には、支払処理部68cは、カード情報Pをカード会社のホストコンピュータへ送信し、決済を行わせる。現金入出金機構64に現金が投入されている場合には、支払処理部68cは、現金入出金機構64を制御して、釣り銭を払い出し、投入された現金を収納する。
電子マネー情報が取得されている場合には、支払処理部68cは、取得した電子マネー情報を電子マネー会社のホストコンピュータへ送信し、決済を行わせる。
#216で決済が完了した後に、記憶削除部68fは、第1生体情報M及び第2生体情報Qを記憶部69から削除する(#217)。そして払込金精算装置60は、処理を終了する。
同一人物でないと照合判定部68dが判定したことに応じて(#215:No)、報知制御部68eが報知を行い(#218)、支払処理部68cが払込金の支払処理を中止、すなわち、決済を中止する(#219)。詳しくは、クレジットカード読取機構63にクレジットカードNが挿入されている場合には、支払処理部68cは、クレジットカードNをクレジットカード読取機構63から排出させ、カード情報Pを削除する。現金入出金機構64に現金が投入されている場合には、支払処理部68cは、現金入出金機構64を制御して、投入された現金を返却する。電子マネー情報が取得されている場合には、支払処理部68cは、電子マネー情報を削除する。
#218の報知、及び#219の決済中止の終了後、記憶保持部68gは、第1生体情報M及び第2生体情報Qを記憶部69に保持させる(#220)。そして払込金精算装置60は、処理を終了する。
以上説明した各ステップは、本発明の趣旨に矛盾しない範囲で省略、順序の入れ替え、同時実行、追加等が可能である。
以上の通り、払込金精算装置60で実行される払込金精算方法は、第1手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部69に第1生体情報Mとして記憶させるステップ(#204)と、第1手続の後に行われる第2手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部69に第2生体情報Qとして記憶させるステップ(#213)と、記憶部69に記憶された第1生体情報Mと第2生体情報Qとを照合して第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物であるか否かを判定させるステップ(#214,#215)と、を備える。
〔取引制御部〕
本参考例では、払込金精算装置60の制御部68は、照合判定部68dが第1生体情報Mが示す人物と第2生体情報Qが示す人物とが同一人物でないと判定したことに応じて、精算の取引を成立させない。
〔第1の参考例の変形例〕
(1)第1手続を行う顧客の撮影及び第1生体情報Mの生成のタイミングに関して、上記の参考例では、帳票読取機構62が帳票情報Kを読み取った後(#203)に、撮影制御部68aが撮影機構61を作動させて顧客を撮影し、撮影画像から第1生体情報Mを生成した。第1手続を行う顧客の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、帳票Jが帳票読取機構62に挿入されたことに応じて(#202:Yes)行われてもよい。
撮影が、帳票Jが帳票読取機構62に挿入されてから払込金が表示機構66に表示されるまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第1生体情報Mが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、帳票読取機構62への帳票Jの挿入、又は帳票読取機構62による帳票情報Kの読み取りが行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第1生体情報Mを生成する画像が決定されてもよい。例えば、顧客の顔の向きや画像の明るさ等が第1生体情報Mの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(2)第2手続を行う顧客の撮影及び第2生体情報Qの生成のタイミングに関して、上記の参考例では、クレジットカードNの暗証番号が入力された後(#209:Yes)、現金投入口を閉鎖した後(#211)、又は電子マネー受付機構65が電子マネー情報を取得した後(#212)に、撮影制御部68aが撮影機構61を作動させて顧客を撮影し、撮影画像から第2生体情報Qを生成した。第2手続を行う顧客の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、払込金の支払の待機を開始したことに応じて(#206)行われてもよい。撮影が、クレジットカードNがクレジットカード読取機構63に挿入されたことに応じて(#207:Yes)行われてもよい。撮影が、現金が現金入出金機構64に投入されたことに応じて(#210:Yes)行われてもよい。撮影が、払込金の支払の待機を開始してから、クレジットカードNの暗証番号が入力されるまで、現金投入口が閉鎖されるまで、又は電子マネー受付機構65が電子マネー情報を取得するまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第2生体情報Qが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、払込金の支払の開始、クレジットカードNのクレジットカード読取機構63への挿入、クレジットカード読取機構63によるカード情報Pの取得、暗証番号の入力、現金の現金入出金機構64への投入、現金入出金機構64の現金投入口の閉鎖、又は電子マネー受付機構65による電子マネー情報の取得が行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第2生体情報Qを生成する画像が決定されてもよい。例えば、顧客の顔の向きや画像の明るさ等が第2生体情報Qの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(3)払込金精算装置60の各機構が、払込金精算装置60から独立した装置として払込金精算装置60の外部に設けられ、払込金精算装置60と接続されてもよい。例えば、撮影機構61が、独立したカメラとして払込金精算装置60の外部(例えば、払込金精算装置60の近傍)に配置されてもよい。クレジットカード読取機構63が、独立したカードリーダとして払込金精算装置60の外部(例えば、払込金精算装置60の横)に配置されてもよい。現金入出金機構64が、独立した現金出納機として払込金精算装置60の外部(例えば、払込金精算装置60の横)に配置されてもよい。
(4)払込金精算装置60の制御部68の各機能部が、払込金精算装置60の外部に設けられてもよい。例えば、照合判定部68d、報知制御部68e、記憶削除部68f、記憶保持部68gうちの何れか、又は全部が、払込金精算装置60と通信可能な管理装置に儲けられてもよい。例えば、払込金精算装置60で生成された第1生体情報M及び第2生体情報Qが、管理装置へ送信され、管理装置の制御部が同一人物の判定を行い、判定結果が管理装置から払込金精算装置60へ送信されてもよい。
(5)払込金精算装置60と同様の機能を有する払込金精算システムが、前項、前々項にて述べたように、払込金精算装置60を含めた複数の装置により実現されてもよい。
(6)払込金精算装置を、飲食店等の精算に応用することが可能である。すなわち、払込金の精算だけでなく、飲食費用やサービス費用の精算に、本参考例の精算装置及びシステムを用いてもよい。その場合、支払う金額の特定のため、帳票Jに換えて飲食伝票、席札、会員証等が用いられる。支払う金額の特定を、顔認証技術により顧客を特定することで実行する形態も可能である。
〔第2の参考例〕
以下、両替装置について、図面に基づいて説明する。
図7を参照しながら、両替装置80の概要を説明する。両替装置80は、銀行等の金融機関で用いられる装置であって、現金の両替処理を実行する装置である。
現金の両替のために金融機関を訪れた顧客は、両替装置80の現金入出金機構84に両替前現金Rを投入する。両替装置80は、現金入出金機構84の入金口を閉鎖して、投入された現金を計数する。このとき、両替装置80の撮影機構81が、両替前現金Rを投入する顧客の顔を撮影する。両替装置80が、撮影された顔画像に基づいて、第1生体情報Sを生成する。第1生体情報Sは、撮影された顧客の顔の特徴を数値化した特徴量である。後述する第2生体情報Uも同様である。
両替装置80が、投入された両替前現金Rの計数結果を表示機構86に表示させて、両替する金種及び数量の入力を待機する。顧客が両替金種・数量(金種情報T)を入力機構87から入力すると、両替装置80は両替後現金Vを準備する。
両替後現金Vの準備が完了すると、両替装置80の撮影機構81が、両替後現金Vを受け取ろうとする顧客の顔を撮影する。両替装置80が、撮影された顔画像に基づいて第2生体情報Uを生成する。
そして両替装置80は、第1生体情報Sと第2生体情報Uとを照合し、両替前現金Rを投入した顧客と両替後現金Vを受け取ろうとする顧客とが同一人物であるか否かを判定する。同一人物であると判定されると、両替装置80は、現金入出金機構84の出金口を開いて両替後現金Vを顧客に受け取らせて、顧客の両替処理(取引)を成立させる。
同一人物でないと判定されると、両替装置80は、表示機構86に「少々お待ちください」等の文字列を表示させて顧客に待機を促し、金融機関のスタッフへの報知(例えば、スタッフの所持する携帯情報端末での注意喚起)を行う。両替装置80は、現金入出金機構84の出金口を開くことなく両替後現金Vを収納し、両替後現金Vの出金の手続を完了させず中断する。すなわち、両替装置80は、顧客の両替処理(取引)を成立させない。
図8を参照しながら、両替装置80の構成の詳細について説明する。
両替装置80は、顧客により操作されて、現金の両替処理(手続)を行う装置である。
両替装置80は、撮影機構81、現金入出金機構84、表示機構86、入力機構87、制御部88、及び記憶部89を備えている。
撮影機構81は、静止画又は動画を生成するカメラであって、両替装置80で手続を行う顧客を撮影して撮影画像を生成する。撮影機構81は、生成した撮影画像を制御部88へ送信する。
現金入出金機構84は、顧客からの両替前現金Rの入金・収納、及び顧客への両替後現金Vの出金を行う機構である。現金入出金機構84は、顧客から受け付けた両替前現金Rの金種及び数量を示す信号を制御部88へ送信する。
表示機構86は、種々の画面を表示して顧客に情報を提示する機構である。本参考例では、表示機構86は液晶ディスプレイ装置である。
入力機構87は、操作入力を顧客から受け付け、受け付けた操作入力に応じた信号を制御部88へ送信する機構である。本参考例では、入力機構87は表示機構86に重ねて配置されたタッチパネル式入力装置である。入力機構87が、キースイッチや音声入力装置等であってもよい。
制御部88は、両替装置80の動作を制御する制御部であり、撮影制御部88a、入金処理部88b、出金処理部88c、照合判定部88d、報知制御部88e、記憶削除部88f、及び記憶保持部88gを有して構成される。実際には、各機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、それらプログラムをCPUにロードして実行することにより、各機能部に対応するプロセスが実行される。
撮影制御部88aは、撮影機構81を制御して、両替装置80で手続を行う顧客を撮影させ撮影画像を生成させる。撮影制御部88aは、撮影機構81が生成した撮影画像に基づいて、第1生体情報S及び第2生体情報Uを生成し、記憶部89へ記憶させる。なお本参考例では、「生体情報」とは、撮影画像に写っている人物の顔の特徴を示す特徴量であって、撮影画像から抽出した顔画像に基づいて算出される情報である。
第1生体情報Sは、両替装置80で第1手続を行う顧客の生体情報である。本参考例では、第1手続は、両替前現金Rの入金手続である。具体的には、第1手続は、顧客からの両替前現金Rの投入を現金入出金機構84にて受け付ける手続である。すなわち、第1生体情報Sは、両替装置80の現金入出金機構84へ両替前現金Rを投入する顧客の顔の特徴を示す特徴量である。
第2生体情報Uは、両替装置80で第2手続を行う顧客の生体情報である。本参考例では、第2手続は、第1手続の後に行われる手続であり、両替前現金Rの出金手続である。具体的には、第2手続は、両替前現金Rを現金入出金機構84から出金する手続である。すなわち、第2生体情報Uは、両替装置80の現金入出金機構84から両替前現金Rを受け取る顧客の顔の特徴を示す特徴量である。
入金処理部88bは、現金入出金機構84を制御して、顧客からの両替前現金Rの入金を受け付ける処理を行う。具体的には、入金処理部88bは、現金入出金機構84の入金口に両替前現金Rが投入されると、入金口を閉鎖させる。入金処理部88bは、現金入出金機構84から送信された信号に基づいて、投入された両替前現金Rの計数結果を表示機構86に表示させる。
出金処理部88cは、顧客への両替後現金Vの出金の処理を行う。具体的には、出金処理部88cは、入力機構87で受け付けた操作入力に基づいて、両替する金種及び数量を示す金種情報Tを生成し、記憶部89へ記憶させる。出金処理部88cは、金種情報Tに基づいて、両替後現金Vを現金入出金機構84に準備させる。そして出金処理部88cは、照合判定部88dの判定結果(後述)に応じて、現金入出金機構84の出金口を開放させ、顧客に両替後現金Vを受け取らせる。
照合判定部88dは、記憶部89に記憶された第1生体情報Sと第2生体情報Uとを照合して第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物であるか否かを判定する。換言すれば、照合判定部88dは、第1手続を行った顧客と第2手続を行った顧客とが同一人物であるか否かを判定する。具体的には、照合判定部88dは、第1生体情報Sと第2生体情報Uとの類似度を算出し、算出した類似度が所定の閾値よりも高いことに応じて、第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物であると判定する。
報知制御部88eは、第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物でないと照合判定部88dが判定したことに応じて、報知を行う。例えば、報知制御部88eは、顧客に待機を促す画面を両替装置80の表示機構86に表示させ、両替装置80で異常が生じている旨をスタッフの携帯情報端末に表示させる。
記憶削除部88fは、第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物であると照合判定部88dが判定したことに応じて、第1生体情報S及び第2生体情報Uを記憶部89から削除する。
記憶保持部88gは、第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物でないと照合判定部88dが判定したことに応じて、第1生体情報S及び第2生体情報Uのうちの少なくとも一方を、取引に関連付けた状態で記憶部89に保持させる。例えば、記憶保持部88gは、第1生体情報S及び第2生体情報Uを、金種情報Tに関連付けた状態で、記憶部89から削除することなく記憶部89に保持させる。記憶保持部88gが、第1生体情報Sに対応する撮影画像及び第2生体情報Uに対応する撮影画像を記憶部89に保持させてもよい。
記憶部89は、データを記憶するデバイスであり、HDDや不揮発性RAMといった記憶デバイスで構成される。記憶部89は、制御部88で実行されるプログラムの記憶や、制御部88の動作に際してデータの一時記憶等に用いられる。
〔両替装置の動作フロー〕
以下、図9のフローチャートを参照しながら、両替装置80の動作を説明し、両替装置80で実行させる両替方法について説明する。
両替装置80は、顧客からの両替前現金Rの投入を待機する(#301)。具体的には、入金処理部88bが入力機構87への操作入力を待機する。両替処理を開始する旨の入力機構87への操作入力を顧客から受け付けたことに応じて、入金処理部88bが、現金入出金機構84の入金口を開放させる。両替前現金Rの投入の待機は、金融機関の営業時間(受付時間)の全体に渡って行われてもよいし、払込金精算装置60の前に顧客が立ったことをセンサ等により検知した時に行われてもよい。現金入出金機構84に両替前現金Rが投入されない場合(#302:No)、#301の処理を継続する。
現金入出金機構84が両替前現金Rの投入を受け付けた(検知した)ことに応じて(#302:Yes)、入金処理部88bが現金入出金機構84の入金口を閉鎖させる(#303)。入金口の閉鎖は、両替前現金Rの投入を検知してから所定時間の経過後に行われてもよいし、両替前現金Rの投入を完了した旨の操作入力を入力機構87が受け付けたことに応じて行われてもよい。
#303にて現金入出金機構84の入金口が閉鎖された後、現金入出金機構84は、投入された両替前現金Rを計数する(#304)。現金入出金機構84は、両替前現金Rの計数結果を制御部88へ送信する。
#304にて両替前現金Rの計数が行われた後、撮影制御部88aは、撮影機構81を作動させて顧客の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部88へ送信させる。撮影制御部88aは、撮影機構81から送信された撮影画像から第1生体情報Sを生成し、記憶部89へ記憶させる(#305)。
#305にて第1生体情報Sが生成された後、入金処理部88bは、両替前現金Rの金額、すなわち投入された両替前現金Rの計数結果を表示機構86に表示させる(#306)。
#306にて両替前現金Rの金額が表示機構86に表示された後、出金処理部88cは、両替する金種及び数量の入力を待機する(#307)。具体的には、出金処理部88cは、両替する金種及び数量の入力画面を表示機構86に表示させ、入力機構87への顧客からの操作入力を待機する。顧客から両替する金種及び数量が入力されない場合(#308:No)、出金処理部88cは、両替する金種及び数量の入力の待機を継続する(#307)。
顧客から両替する金種及び数量が入力されたことに応じて(#308:Yes)、出金処理部88cは、現金入出金機構84を制御して両替後現金Vを準備させる(#309)。具体的には、出金処理部88cは、入力機構87で受け付けた操作入力に基づいて、両替する金種及び数量を示す金種情報Tを生成し、記憶部89へ記憶させる。入金処理部88bは、金種情報Tに基づいて、両替後現金Vを現金入出金機構84に準備させる。
#309にて両替後現金Vが準備された後、撮影制御部88aは、撮影機構81を作動させて顧客の撮影及び画像生成を行わせ、撮影画像を制御部88へ送信させる。撮影制御部88aは、撮影機構81から送信された撮影画像から第2生体情報Uを生成し、記憶部89へ記憶させる(#310)。
#310にて第2生体情報Uが生成されると、照合判定部88dは、記憶部89に記憶された第1生体情報Sと第2生体情報Uとを照合して(#311)、第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物であるか否か判定する(#312)。
同一人物であると照合判定部88dが判定したことに応じて(#312:Yes)、出金処理部88cは、現金入出金機構84の出金口を開放させる(#313)。顧客が出金口から両替後現金Vを受け取ると、出金処理部88cは、現金入出金機構84の出金口を閉鎖させ、両替後現金Vの出金処理を完了、すなわち、両替手続を完了させる。
#313で出金口が開放された後に、記憶削除部88fは、第1生体情報S及び第2生体情報Uを記憶部89から削除する(#314)。そして両替装置80は、処理を終了する。
同一人物でないと照合判定部88dが判定したことに応じて(#312:No)、報知制御部88eが報知を行い(#315)、出金処理部88cが現金入出金機構84の出金口を閉鎖させ、両替後現金Vの出金処理を中止する(#316)。
#315の報知、及び#316の出金口の閉鎖の終了後、記憶保持部88gは、第1生体情報S及び第2生体情報Uを記憶部89に保持させる(#317)。そして両替装置80は、処理を終了する。
以上説明した各ステップは、本発明の趣旨に矛盾しない範囲で省略、順序の入れ替え、同時実行、追加等が可能である。
以上の通り、両替装置80で実行される両替方法は、第1手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部89に第1生体情報Sとして記憶させるステップ(#305)と、第1手続の後に行われる第2手続を行う利用者の生体情報を取得して記憶部89に第2生体情報Uとして記憶させるステップ(#310)と、記憶部89に記憶された第1生体情報Sと第2生体情報Uとを照合して第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物であるか否かを判定させるステップ(#311,#312)と、を備える。
〔取引制御部〕
本参考例では、両替装置80の制御部88は、照合判定部88dが第1生体情報Sが示す人物と第2生体情報Uが示す人物とが同一人物でないと判定したことに応じて、両替の取引を成立させない。
〔第2の参考例の変形例〕
(1)第1手続を行う顧客の撮影及び第1生体情報Sの生成のタイミングに関して、上記の参考例では、現金入出金機構84が両替前現金Rを計数した後(#304)、撮影制御部88aが撮影機構81を作動させて顧客を撮影し、撮影画像から第1生体情報Sを生成した。第1手続を行う顧客の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、両替前現金Rが現金入出金機構84に投入されたことに応じて(#302:Yes)行われてもよい。撮影が、現金入出金機構84の入金口が閉鎖されたことに応じて(#303)行われてもよい。撮影が、両替前現金Rが現金入出金機構84に投入されてから両替前現金Rの金額が表示機構86に表示されるまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第1生体情報Sが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、両替前現金Rの現金入出金機構84への投入、現金入出金機構84の入金口の閉鎖、又は現金入出金機構84による両替前現金Rの計数が行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第1生体情報Sを生成する画像が決定されてもよい。例えば、顧客の顔の向きや画像の明るさ等が第1生体情報Sの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(2)第2手続を行う顧客の撮影及び第2生体情報Uの生成のタイミングに関して、上記の参考例では、両替後現金Vが準備された後(#309)、撮影制御部88aが撮影機構81を作動させて顧客を撮影し、撮影画像から第2生体情報Uを生成した。第2手続を行う顧客の撮影タイミングは、上述の例に限られない。撮影が、両替する金種及び数量の入力の待機を開始したことに応じて(#307)行われてもよい。撮影が、両替する金種及び数量が入力されたことに応じて(#308:Yes)行われてもよい。撮影が、両替する金種及び数量の入力の待機を開始してから、両替する金種及び数量の入力を受け付けるまで、又は両替後現金Vがの準備が完了するまでの間に行われてもよい。撮影が連続的に行われ(動画撮影、又は間欠的・連続的な静止画撮影)、以上述べたタイミングで撮影された画像が抽出され、当該画像に基づいて第2生体情報Uが生成されてもよい。撮影が連続的に行われ、両替する金種及び数量の入力の待機の開始、両替する金種及び数量の入力受付、又は両替後現金Vの準備の完了が行われたことに応じて、撮影済みの画像のうちから第2生体情報Uを生成する画像が決定されてもよい。例えば、顧客の顔の向きや画像の明るさ等が第2生体情報Uの生成に適している画像が、撮影済みの画像のうちから選択されてもよい。
(3)両替装置80の各機構が、両替装置80から独立した装置として両替装置80の外部に設けられ、両替装置80と接続されてもよい。例えば、撮影機構81が、独立したカメラとして両替装置80の外部(例えば、両替装置80の近傍)に配置されてもよい。現金入出金機構84が、独立した現金出納機として両替装置80の外部(例えば、両替装置80の横)に配置されてもよい。
(4)両替装置80の制御部88の各機能部が、両替装置80の外部に設けられてもよい。例えば、照合判定部88d、報知制御部88e、記憶削除部88f、記憶保持部88gうちの何れか、又は全部が、両替装置80と通信可能な管理装置に儲けられてもよい。例えば、両替装置80で生成された第1生体情報S及び第2生体情報Uが、管理装置へ送信され、管理装置の制御部が同一人物の判定を行い、判定結果が管理装置から両替装置80へ送信されてもよい。
(5)両替装置80と同様の機能を有する両替システム(取引システムの一例)が、前項、前々項にて述べたように、両替装置80を含めた複数の装置により実現されてもよい。
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、生体情報が人物の顔の特徴を示す特徴量である。生体情報が、指紋、声紋、掌紋、瞳の虹彩パターン等であってもよい。
(2)撮影機構41、撮影機構61、撮影機構81は、可視光を検知して画像を生成する通常のカメラであってもよいし、赤外線を検知して温度分布を示すサーモ画像を生成するサーモカメラであってもよいし、超音波等で対象の外形状をスキャンして三次元外形状画像を生成する3Dカメラであってもよい。