JP7463822B2 - 圧電素子基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置および接合基板 - Google Patents

圧電素子基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置および接合基板 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子基板、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置および接合基板に関する。
電気機械変換素子としてのアクチュエータ基板を用いた液体吐出ヘッドの構成において、例えば振動板上に下部電極、圧電体、上部電極の順に積層し、上下電極に電圧を印加することで電気機械変換膜としての圧電体を変形させ、振動板を介してインクを吐出させる、という技術が既に知られている。
アクチュエータ基板の構成では、下部電極、圧電体、上部電極からなる圧電素子と、金属層が形成される構成が知られている。
今までの金属層は、圧電素子の個別電極と接続するための配線パターンと、配線パターンとは別に、ベタ膜からなる比較的面積が大きい接合パターンが設けられていた。金属層で形成された接合パターンには、サブフレームのような別の基板を、直接又は絶縁膜を介して接合されている。この接合に先立ち、接合パターンを含む接合領域を清浄化するため、例えばアミン系溶剤を用いた有機剥離洗浄を施している。
しかし、清浄化において、比較的面積が大きい接合パターンでは、表面が部分的に侵食されることからクレーター状の欠陥が発生し、他の基板との接合に不具合が生じるという問題があった。
例えば、特許文献1、2には、圧電素子基板とサブフレームとの接合に関する技術が開示されているが、上述の比較的面積が大きい接合パターンに伴う問題点に着目するものではない。
本発明は、圧電素子基板と他の基板との接合を良好にすることを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、第1の電極、圧電体および第2の電極を積層した圧電素子を複数設けた圧電素子基板であって、
前記圧電素子基板の複数の前記圧電素子を形成した側の面には、複数の前記圧電素子それぞれに接続する複数の配線パターンと、該配線パターンと層を同じくし、該配線パターンとは異なる領域に他の基板と直接または絶縁膜を介して接合される接合パターンとが設けられており、
前記接合パターンは、金属層に複数の開口が形成されたパターンであることを特徴とする。
本発明によれば、圧電素子基板と他の基板との接合を良好にすることができる。
本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの一例の斜視説明図である。 同じくノズル配列方向と直交する方向に沿う要部断面説明図である。 図2の要部拡大断面説明図である。 同じくノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。 一実施形態のアクチュエータ基板に設けられるメタル配線層の配線パターンとは異なる領域に設けられた接合パターンの一例を説明する図である。 メタル配線層とサブフレームとの、接合領域の一例を説明する、液体吐出ヘッドのノズル配列方向に沿う部分断面図である。 接合領域の配置例を説明する模式図である。 一実施形態の接合領域に設けた接合パターンを説明する模式図である。 一実施形態の接合領域の接合パターンを説明する部分断面図である。 第3の実施形態のメタル配線層とサブフレームとの接合面を説明する模式図である。 図10に示すメタル配線層とサブフレームとを接合した、B-B線に沿った断面を説明する部分断面図である。 一実施形態における、サブフレームとメタル配線層の接合領域との断面の一例を説明する図である。 従来技術における、サブフレームとメタル配線層の接合領域との断面の一例を説明する図である。 メタル配線層の接合領域の詳細な層構成を説明する断面図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例を示す外観斜視説明図である。 同じく分解斜視説明図である。 同じく断面斜視説明図である。 同じくフレーム部材を除く分解斜視説明図である。 同じく流路部分の断面斜視説明図である。 同じく流路部分の拡大断面斜視説明図である。 同じく流路部分の平面説明図である。 同じく流路部分の平面説明図である。 第6の実施形態の液体吐出ヘッドの振動板部材について、サブフレームと接合する側の面を模式的に表した図である。 第7の実施形態の接合パターンと、空隙パターンとの一例を説明する図である。 第7の実施形態の変形例を説明する図である。 本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。 同装置の要部側面説明図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの一例の要部平面説明図である。 本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
上述したように、清浄化において、ベタ膜とした金属層の大面積領域では、クレーター状の欠陥(凹み)が発生する。凹みの発生による不具合として、例えば、次のような問題が生じる。
金属層の大面積領域であるベタ膜上に異物が存在する場合、接合時にサブフレームの接着剤から空隙パターン内に異物が巻き込まれ、これを閉じ込めて接合されることになるため、アクチュエータ基板としての歩留が低下する。
サブフレームの接合前の、アクチュエータ基板側の接合面の検査工程において、凹みが異物として誤認される可能性がある。その結果、不良品として誤認され、アクチュエータ基板としての歩留まりが低下する。
凹みの発生により、金属層の膜応力が大きくなる。また、表面の凹凸から粗さが増加することにより、金属層上に接合されるサブフレームとの接合強度が低下する。これらにより、アクチュエータ基板の駆動において膜の剥離が発生する。
そこで、本発明の一実施形態の圧電素子基板は、金属層において、層下に存在する圧電素子に応じた個別配線のパターンとは別に、大面積領域にパターンを新設することを特徴とする。
詳細には、本発明の一実施形態に係る圧電素子基板は、下部電極としての第1の電極、電気機械変換膜としての圧電体、および上部電極としての第2の電極を積層した圧電素子を複数設けた基板とし、複数の圧電素子上に層間絶縁膜を介して形成される金属層を備える。
金属層(以降、「メタル配線層」とも称する)は、複数の圧電素子それぞれに接続する配線パターン(複数の個別配線)と、配線パターンとは異なる領域に他の基板と直接または絶縁膜を介して接合される接合パターンとが設けられている。接合パターンは、金属層に複数の開口(以降「隙間」とも称する)が形成されたパターンである。接合パターンは、金属層と他の基板とが接合する接合領域に設けられる。
隙間は、金属を設けない部分であり、層間絶縁膜が露出している。
圧電素子基板は、上述した複数の圧電素子およびメタル配線層に加え、振動板などを備えるアクチュエータ基板として構成することができる。
まず、一実施形態の圧電素子基板の一例としてのアクチュエータ基板を用いる液体吐出ヘッドの構成例について説明する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。一実施形態の圧電素子基板の一例としてのアクチュエータ基板を備える、液体吐出ヘッドの一例について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同液体吐出ヘッドの分解斜視図、図2は同じくノズル配列方向と直交する方向に沿う断面図、図3は図2の要部拡大断面図、図4は同じくノズル配列方向に沿う要部断面図である。
液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、振動板3と、圧力発生素子である圧電素子18と、保持基板としてのサブフレーム150と、配線部材160と、共通液室部材を兼ねるフレーム部材70とを備えている。
ここで、流路板2、振動板3、圧電素子18で構成される部分を、本発明におけるアクチュエータ基板120とする。ただしアクチュエータ基板120として独立の部材が形成された後に、ノズル板1やサブフレーム150と接合されることまで意味するものではない。
ノズル板1には、液体を吐出する複数のノズル4が形成されている。ここではノズル4を配列したノズル列を4列配置した構成としている。
流路板2は、ノズル板1および振動板3と共に、ノズル4が通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7が通じる液導入部(通路)8を形成している。
この液導入部8は、振動板3の通路(供給口)9とサブフレーム150の流路となる開口部151を介して、フレーム部材70で形成される共通液室17に通じている。
振動板3は、個別液室6の壁面の一部を成す変形可能な振動領域130を形成している。そしてこの振動板3の振動領域130の個別液室6と反対側の面には、振動領域130と一体的に圧電素子18が設けられ、振動領域130と圧電素子18によって圧電アクチュエータを構成している。
圧電素子18は、振動領域130側から、第1の電極13、圧電体12、および、第2の電極14を順次積層、形成して構成している。この圧電素子18上には、絶縁膜26が形成されている。
複数の圧電素子18の共通電極となる第1の電極13は、共通配線15を介して共通電極電源配線パターン121に接続されている。なお第1の電極13は図4に示すように、ノズル配列方向で全ての圧電素子18に跨って形成される一つの電極層である。
また圧電素子18の個別電極となる第2の電極14は、個別配線16を介して駆動回路部である駆動IC(以下、ドライバICと表記)500に接続されている。
個別配線16は、複数の圧電素子それぞれに接続する複数の個別配線であり、メタル配線層で形成される。メタル配線層上には、絶縁膜27が形成されている。メタル配線層については、各実施形態で詳述する。
ドライバIC500は、圧電素子列の列間の領域を覆うように、アクチュエータ基板120にフリップチップボンディングなどの工法により実装されている。
アクチュエータ基板120に搭載されたドライバIC500は、駆動波形(駆動信号)が供給される個別電極電源配線パターン101と接続されている。
配線部材160に設けられた配線が、ドライバIC500と電気的に接続されており、配線部材160の他端側は装置本体側の制御部に接続される。
そしてアクチュエータ基板120上には、前述したように共通液室17と、個別液室6側を通じる流路となる開口部151、圧電素子18を収容する凹部152、ドライバIC500を収容する開口部153が形成されたサブフレーム150を設けている。
このサブフレーム150は接着剤によって、アクチュエータ基板120の振動板3側に接合されている。
フレーム部材70は、各個別液室6に液体を供給する共通液室17を形成する。なお共通液室17は、4つのノズル列に対応してそれぞれ設けられる。また外部からの液体供給口71を介して、共通液室17に所要の色の液体が供給される。
フレーム部材70には、ダンパ部材90が接合されている。ダンパ部材90は、共通液室17の一部の壁面を形成する変改可能なダンパ91と、ダンパ91を補強するダンパプレート92とを有する。
フレーム部材70は、ノズル板1の外周部と接合され、アクチュエータ基板120およびサブフレーム150を収容して、このヘッドのフレームを構成している。
そしてノズル板1の周縁部、およびフレーム部材70の外周面の一部を覆うノズルカバー部材45を設けている。
この液体吐出ヘッドにおいては、ドライバIC500から圧電素子18の第2の電極14と第1の電極13の間に電圧を与えることで、圧電体12が電極積層方向、即ち電解方向に伸長し、振動領域130と平行な方向に収縮する。
このとき、第1の電極13側は振動領域130で拘束されているため、振動領域130の第1の電極13側に引っ張り応力が発生し、振動領域130が個別液室6側に撓み、内部の液体を加圧することで、ノズル4から液体が吐出される。
次に、一実施形態の圧電素子基板が備えるメタル配線層の各実施形態について説明する。
第1の実施形態.
第1の実施形態について図5から図9を参照して説明する。図5は一実施形態のアクチュエータ基板に設けられるメタル配線層の配線パターンとは異なる領域に設けられた接合パターンの一例を説明する図である。
配線パターンは、圧電素子18の個別電極としての、第2の電極14に応じた個別配線16であり、アクチュエータ基板が有する複数の圧電素子18それぞれについて形成される。
接合パターンは、配線パターンの周囲であり、かつ、他の基板としてのサブフレーム150と接合する接合領域220内に、隙間を複数設けて形成されるパターンである。
接合領域220は、比較的面積が大きい、メタル配線層200とサブフレーム150とが接合する領域(「接合部」とも称する)であり、接合パターンが設けられる。
ここで、接合領域220は、例えば、メタル配線層200とサブフレーム150との接合領域であって、ベタ膜で形成すると、上述した不具合が生じる大きさの領域とする。接合領域220は、例えば、メタル配線層200で形成される、圧電素子間に存在する壁部(凸部)より大きい領域とする。
接合領域220は、例えば、圧電素子基板の外周に沿った領域に設けられるとよい。
なお、一実施形態の液体吐出ヘッドの構成例において、サブフレーム150は、複数の圧電素子それぞれが配置される領域の上部に、各圧電素子を収容する凹部152を設けている。従って、接合領域220は、サブフレーム150との接合領域とするため、凹部152と対向する領域に設けられることはない。
このようなメタル配線層200を形成すると、サブフレーム150は、メタル配線層200との接合部において、メタル配線層200と直接接合する領域と、メタル配線層下に形成されている絶縁膜26と接合する領域との、二つの領域を有することになる。
図6は、メタル配線層とサブフレームとの、大面積の接合領域の一例を説明する、液体吐出ヘッドのノズル配列方向に沿う部分断面図である。図6では、従来のメタル配線層200pの接合パターンを用いて表している。また、図6の左側は、アクチュエータ基板120のノズル配列方向の一方の端部となる。
メタル配線層200pとサブフレーム150とは、接着剤29を用いて接合される。隣り合う圧電素子18の間には、メタル配線層200pにより形成された凸状の壁部が設けられ、圧電素子18間でサブフレーム150と接着剤29で接合される。
上述した接合領域220は、例えば、符号Aで示す点線で囲む部分に設けられる。
アクチュエータ基板120の外周部は、サブフレーム150と接合されており、圧電素子間に存在する壁部と比較して、メタル配線層が大面積化されている。従って、基板の外周部から生じるアクチュエータ基板の反りを抑制するため、サブフレーム150との接合領域を強固にするとよい。
図7は、接合領域220(220-1、220-2)の配置例を説明する模式図である。図7では、アクチュエータ基板120に、ノズル列に応じた複数の圧電素子18を4列配置した状態の上面図を示す。接合領域220は、例えば、アクチュエータ基板120の外周に沿った領域に設けられるとよい。接合領域220は、例えば、ノズル配列方向と直交する方向に沿う接合領域220-1と、ノズル配列方向に沿う接合領域220-2との両方または一方とすることができる。また、接合領域220は、図7に示す配線領域以外を用いてもよく、例えば、複数の圧電素子列の間に設けてもよい。
図6に示す符号Aで示す部分は、接合領域220-1に相当する。
図8は、図7に示す接合領域220-1に接合パターンを設けた例を説明する模式図である。図8では、配線パターンを省略している。図8に示す接合パターンは模式的に示したものであり、例えば、図5に示す接合パターンを接合領域に設けてもよい。
図9は、本実施形態の接合領域の接合パターンを説明する部分断面図である。図9は、図6に示した部分断面図と同様の部分であり、接着剤29でサブフレーム150と接合する前のアクチュエータ基板を示している。なお、図9は、接合パターンとして、隙間を複数設けた配線を模式的に表したものであり、隙間の大きさ、数、または位置などは図5または図8に示す接合パターンと一致するものではない。
図5では、接合領域220に形成する、隙間を複数設けた配線の一例として、同じ形状の隙間が規則的に配置されたものを示しているが、これに限られるわけではない。接合領域220は、少なくともベタ膜ではなく、任意の形状の隙間が複数配置されているとよい。複数の形状は、それぞれが異なる大きさや形状であってもよいし、列または行で異なった形状や大きさとしてもよい。さらに、接合領域220は、接合パターンにおいて、隙間を複数設けた配線と隙間(絶縁膜26が露出する部分)との割合が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
なお、複数の隙間の好ましい形状、配置等については第2の実施形態で後述する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
液体吐出ヘッドを構成するに当たっては先述の通り、アクチュエータ基板120の振動板側でメタル配線層200とサブフレーム150とを、接着剤29を介することによって接合させている。この接合に先立って、アクチュエータ基板120のメタル配線層200は層上面を清浄化するため、例えばアミン系溶剤を用いた有機剥離洗浄を工程上施している。
このとき、配線パターンとは別の、接合領域が特にパターン形成されていないベタ膜であるときには、メタル配線層の清浄化において表面が部分的に侵食される。そのため、従来の接合領域の表面にはクレーター状の欠陥(凹み)が発生するため、上述したような不具合が生じる。
これに対し本実施形態では、アクチュエータ基板上のメタル配線層200において、配線パターンとは別の、接合領域220に、隙間を空けて配列された接合パターンにより隙間を複数設けた配線が形成される。このときに、接合領域220内の接合面積が小面積化される。そのため、メタル配線層200上面の有機剥離洗浄において、従来のようなクレーター状の欠陥が発生せず、かつサブフレーム150との接合面高さを確保することができることから、メタル配線層200の層上面の接合領域の膜応力を緩和することができる。また接合領域220表面の凹凸による粗さが増加しないことから、メタル配線層200上に接合されるサブフレーム150との接合強度を増加させることができる。
このように、本実施形態によれば、接合領域のメタル配線層200を小面積化することで凹みの発生を削減することができるため、上述した不具合の発生を削減することができる。その結果、アクチュエータ基板の駆動時における、膜の剥離を防止することが可能になる。また、サブフレーム接合時におけるアクチュエータ基板としての歩留を確保することが可能になる。
第2の実施形態.
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、アクチュエータ基板120上のメタル配線層200の接合領域220において、隙間を空けて配列された同一形状のメタル配線パターンが規則的に形成されていることが特徴である。
詳細には、接合領域に形成する、隙間を複数設けた配線は、例えば、複数の隙間それぞれを同じ形状とし、規則的に配置することが好ましい。また、隙間を複数設けた配線は、例えば、格子状に形成することが好ましい。
さらに、メタル配線パターンと隙間との面積の割合を均等にすることが好ましく、同じであることが特に好ましい。
このように構成した場合、前述第1の実施形態における作用を得ることができる。加えて、接合パターンにより、隙間を複数設けた配線が形成された領域と、複数の隙間の領域を均等に配置させることができることから、サブフレーム150との接合時にメタル配線層上の膜応力を接合領域上で均等化することができる。そのためメタル配線層上に接合されるサブフレーム150との接合強度をより大きくすることができる。
第3の実施形態.
本発明の第3の実施形態について説明する。上述した各実施形態において、アクチュエータ基板120上のメタル配線層200は、配線パターンとは別の、接合領域220に設けられる接合パターンが、サブフレーム150の空隙パターンと同一形状であるとよい。
加えて、アクチュエータ基板120上のメタル配線層200は、配線パターンとは別の、接合領域220に設けられる接合パターンが、サブフレーム150の空隙パターンと同一形状であり、かつ、接合時に前述の接合パターンとサブフレーム150の空隙パターンとの位置が一致することが、より好ましい。
図10は、メタル配線層とサブフレームとの接合面を説明する模式図である。図10では、図7の接合領域220-1を一例として用いて説明する。図10において、(A)は、アクチュエータ基板120に設けられた接合領域220-1に形成されたメタル配線層200を説明する図であり、(B)は、サブフレーム150の接合面を説明する図である。
サブフレーム150は、接合面に複数の空隙154が形成されている。メタル配線層200は、接合パターンにより、隙間222が複数設けられた配線が形成されている。図10では、2つの隙間222を5列(図10(A))、2つの空隙154を5列(図10(B))設けた例を示している。
上述した通り、複数の隙間222は、サブフレーム150に設けられた複数の空隙154と、大きさが一致することが好ましい。加えて、複数の空隙154と複数の隙間222との位置が一致することが好ましい。
図10の例では、アクチュエータ基板120のメタル配線層200とサブフレーム150とを接合すると、B-B線に沿った部分が対向する。
図11は、図10に示すメタル配線層とサブフレームとを接合した、B-B線に沿った断面を説明する部分断面図である。図11は、図6の符号Aで示す点線で囲んだ部分に相当する。
空隙154と隙間222との大きさ、位置を同じにすることにより、空隙154と隙間222とが連結された一つの空間を形成することができる。
次に、メタル配線層200とサブフレーム150との接合面に存在する異物について説明する。図12は、一実施形態における、サブフレームとメタル配線層の接合領域との断面の一例を説明する図である。図13は、従来技術における、サブフレームとメタル配線層の接合領域との断面の一例を説明する図である。
従来のメタル配線層200pの接合領域に形成されるベタ膜に異物39が存在する場合、図13に示すようにサブフレーム150との接合時に接着剤29からサブフレーム150にある空隙154内に異物が巻き込まれ、これを閉じ込めて接合されることになる。そのため製造工程上、アクチュエータ基板としての歩留まりが低下する。
これに対し、本実施形態のようにメタル配線層200に隙間を複数設けた配線を形成した場合、アクチュエータ基板は、前述第1のおよび第2の実施形態における作用を得ることができる。さらに、アクチュエータ基板120は、サブフレーム150との接合時、メタル配線層200の接合領域に形成した隙間222とサブフレーム150の空隙154とが一致する。そのため、メタル配線層299とサブフレーム150との接合時には、サブフレーム150の開口部(空隙154)が接着剤で埋まっていない空間が形成される。即ちサブフレーム150との接合部に異物39が存在しても、接着剤29の毛管現象により、異物39は、サブフレーム150の空隙パターン上、即ち開放系の領域に移動する。その結果、図13に示すようにメタル配線層200とサブフレーム150と間で異物を挟み込んで接合されることはない。そのため製造工程上、アクチュエータ基板120としての歩留を確保することができる。
本発明の第1乃至第4の実施形態におけるメタル配線層の、サブフレーム150との接合領域において形成、配列されるパターンの形状は特に限定されるものではないが、上述した接合領域における接合強度の確保、および異物挟み込みの発生防止を鑑み、隅部が曲面形状である同一の矩形パターンを規則的に配列させることが望ましい。
以上説明した通り、メタル配線層の隙間と、サブフレームの空隙とを同じ形状にし、隙間と空隙との位置が一致するように接合することにより、サブフレームの空隙が接着剤で埋まっていない空間を形成することができる。これにより、接合時に、メタル配線層とサブフレーム間での異物の取り込みがなくなり、アクチュエータ基板の歩留まりを向上させることができる。
図14は、メタル配線層の接合領域の詳細な層構成を説明する断面図である。図14において、(A)は、(B)に示すメタル配線層200の接合領域の、C-C線に沿った断面について、サブフレーム150を接合した状態を示す部分断面図である。上記各実施形態で参照した図6から図13では、絶縁膜を省略して表していた。図3、4に示す、層間絶縁膜としての絶縁膜26、パッシベーション膜としての絶縁膜27は、接合領域220のメタル配線層200では、例えば、図14に示す積層状態となる。
第4の実施形態.
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第3の実施形態に係るアクチュエータ基板を液体吐出ヘッドとして使用する場合において、前述のメタル配線層200とサブフレーム150との間の接合領域に存在する空隙パターン箇所を、液体供給口とすることが特徴である。すなわち、メタル配線層200の複数の隙間の少なくとも一つと、サブフレーム150の複数の空隙の少なくとも一つとは、液体供給口として機能する。このようにすると、メタル配線層200とサブフレーム150との接合領域に新たな機能を付加することができる。
第5の実施形態.
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態では、第1乃至第4の実施形態に係るアクチュエータ基板を搭載した液体吐出ヘッドであることが特徴である。
従来のメタル配線層200pを用いたアクチュエータ基板120を搭載する液体吐出ヘッドの駆動では、メタル配線層200とサブフレーム150との間の接合面で膜の剥離が発生し、接合界面での信頼性が低下する。
これに対し、本実施形態の液体吐出ヘッドの駆動においては、アクチュエータ基板120を形成している、メタル配線層200とサブフレーム150との間の接合面で膜の剥離は発生せず、接合界面での信頼性低下も抑制することができる。
第6の実施形態.
本実施形態では、本発明に係る液体吐出ヘッドの他の実施形態について図15から図22を参照して説明する。上記各実施形態では、図1から4を参照して説明した液体吐出ヘッドに本発明の一実施形態を適用する場合について説明したが、図15から図22を参照して説明する液体吐出ヘッドに適用することもできる。上記実施形態と同様の事項については適宜説明を省略する。
図15は本実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、図16は同じく分解斜視説明図、図17は同じく断面斜視説明図である。図18は同じくフレーム部材を除く分解斜視説明図、図19は同じく流路部分の断面斜視説明図、図20は同じく流路部分の拡大断面斜視説明図である。図21及び図22は同じく流路部分の平面説明図である。
この液体吐出ヘッド100は、ノズル板10と、流路板(以下「個別流路部材」と称する)20と、振動板部材30と、共通流路部材50と、ダンパ部材60と、フレーム部材80と、駆動回路102を実装した基板(フレキシブル配線基板)101などを備えている。
ノズル板10には、液体を吐出する複数のノズル11を有している。複数のノズル11は、二次元状にマトリクス配置され、図21、図22に示すように、第1方向F、第2方向S及び第3方向Tの三方向に並んで配置されている。
個別流路部材20は、複数のノズル11に各々連通する複数の圧力室(個別液室)21と、複数の圧力室21に各々通じる複数の個別供給流路22と、複数の圧力室21に各々通じる複数の個別回収流路23とを形成している。1つの圧力室21及びこれに通じる個別供給流路22と個別回収流路23を併せて個別流路25と称する。
振動板部材30は、圧力室21の変形な可能な壁面である振動板31を形成し、振動板31には圧電素子40が一体に設けられている。また、振動板部材30には、個別供給流路22に通じる供給側開口32と、個別回収流路23に通じる回収側開口33とが形成されている。圧電素子40は、振動板31を変形させて圧力室21内の液体を加圧する圧力発生手段である。
なお、個別流路部材20と振動板部材30とは、部材として別部材であることに限定さるものではない。例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を使用して個別流路部材20及び振動板部材30を同一部材で一体に形成することができる。つまり、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を個別流路部材20とし、シリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜とで振動板31を形成することができる。この構成では、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜の層構成が振動板部材30となる。このように、振動板部材30は個別流路部材20の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
共通流路部材50は、2以上の個別供給流路22に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の個別回収流路23に通じる複数の共通回収流路支流53とを、ノズル11の第2方向Sに交互に隣接して形成している。
共通流路部材50には、個別供給流路22の供給側開口32と共通供給流路支流52を通じる供給口54となる貫通孔と、個別回収流路23の回収側開口33と共通回収流路支流53を通じる回収口55となる貫通孔が形成されている。
本実施形態では、供給側開口32及び回収側開口33が共通電極に形成された共通電極を貫通する孔となる。
また、共通流路部材50は、複数の共通供給流路支流52に通じる1又は複数の共通供給流路本流56と、複数の共通回収流路支流53に通じる1又は複数の共通回収流路本流57を形成している。
ダンパ部材60は、共通供給流路支流52の供給口54と対面する(対向する)供給側ダンパ62と、共通回収流路支流53の回収口55と対面する(対向する)回収側ダンパ63を有している。
ここで、共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53は、同じ部材である共通流路部材50に交互に並べて配列された溝部を、ダンパ部材60の供給側ダンパ62又は回収側ダンパ63で封止することで構成している。なお、ダンパ部材60のダンパ材料としては、有機溶剤に強い金属薄膜又は無機薄膜を用いることが好ましい。ダンパ部材60の供給側ダンパ62、回収側ダンパ63の部分の厚みは10μm以下が好ましい。
まず、図21、図22を参照して、複数のノズル11は、二次元状にマトリクス配置され、第1方向F、第2方向S及び第3方向Tの三方向に並んで配置されている。この二次元状にマトリクス配置されたノズル11のまとまりを、図21に示すように、ノズル群NG(NG1、NG2)とする。
1つのノズル群NGにおいて、第1方向Fは、第2方向Sにおける複数のノズル11の配列をノズル列とするとき、ノズル11の配列方向に対して所定の傾き角度θ1でノズル列が並ぶ方向となる。共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53は第1方向に延びている。従ってまた、共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53の長手方向は第1方向Fに沿っている。
1つのノズル群NGにおいて、第2方向Sは、最も隣接したノズル11が並ぶ方向(ノズル配列方向)であり、第1方向Fを基準とすると、第1方向に角度θ1で交差する方向である。共通供給流路支流52と共通回収流路支流53とは、第2方向Sに交互に配置されている。
1つのノズル群NGにおいて、第3方向Tは、第1方向F及び第2方向Sと交差する方向であり、本実施形態では、個別供給流路22、圧力室21及び個別回収流路23で構成される個別流路25は第3方向に沿って配置されている。
ここで、個別供給流路22、圧力室21、個別回収流路23で構成される個別流路25は、ノズル11の軸(液体吐出方向の中心軸)に対して2回軸対称の形状としている。
個別流路25を2回軸対称とすることで、図22に示す例では、例えばノズル11Aに通じる個別流路25とノズル11Eに通じる個別流路25の関係のように、個別流路25における液体の流れに平行な方向(第3方向T)で隣接するノズル11A、11Eに対して個別流路25を反転して配置することができる。
つまり、同一の共通供給流路支流52に配置されるノズル11Aの圧力室21に通じる供給口54Aとノズル11Eの圧力室21に通じる供給口54Eに対して、個別液室の方向を反転して配置することができる。
これにより、共通供給流路支流52の配置に制約されずに、圧力室21(ノズル11)の実装密度を高密度化することができ、ヘッドを小型化できる。
また、同じ共通供給流路支流52内で互いに最近接で隣接する(最も隣接する)2つの供給口54、54に各々通じる2つのノズル11、例えば、図22の例では供給口54Aに接続されるノズル11Aと、供給口54Eに接続されるノズル11Eは、回収口55A,55Eを通じて異なる共通回収流路支流53に通じている。
なお、個別流路25は、共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53における液体の流れの方向(第1方向F)に対しては併進対称配置(反転しない配置)としている。
図15から図22を参照して説明した液体吐出ヘッド100へ上記各実施形態で説明したメタル配線層を適用する一態様について説明する。液体吐出ヘッド100において、個別流路部材20、振動板部材30、および振動板部材30に形成された圧電素子40は、アクチュエータ基板を構成する。
図23は、本実施形態の液体吐出ヘッドの振動板部材30について、サブフレームと接合する側の面を模式的に表した図である。
振動板部材30は、圧電素子形成領域46に複数の圧電素子40が形成され、圧電素子形成領域46の周囲に複数の圧電素子40から引き出した、複数の個別配線43が形成される。
本実施形態では、配線パターンは、各圧電素子40に応じた複数の個別配線43に相当する。図23では、配線パターンは、例えば、符号210で示す点線で囲んだ領域内に設けられる。
接合領域220は、配線パターン(符号210の領域)の周囲であって、共通流路部材50と接合する領域とする。
接合領域220は、メタル配線層200として、例えば、図5に示す接合パターンにより、隙間を複数設けた配線が形成されるとよい。
第7の実施形態.
上記第3の実施形態では、接合領域220に設けられる接合パターンと、サブフレーム150に設けられる空隙パターンとの一例を説明した。
本実施形態では、接合パターンの隙間と、空隙パターンの空隙との好ましい割合について説明する。
図24は、第7の実施形態の、メタル配線層200に設ける接合パターンと、サブフレーム150に設ける空隙パターンとの割合を説明する図であり、(A)は、接合パターンの一例、(B)は空隙パターンの一例である。図24では、アクチュエータ基板120が有するメタル配線層200と、サブフレーム150との接合部の一部分を示す。
前述したように、メタル配線層200の大面積領域であるベタ膜上に異物が存在する場合、接合時にサブフレーム150の接着剤から空隙パターン内に異物が巻き込まれ、これを閉じ込めて接合されることになるため、電気機械変換素子としての歩留が低下するという問題があった。
そこで、本実施形態は、複数の同一隙間形状を規則的に設けたメタル配線層200を有するアクチュエータ基板(圧電素子基板)と、隙間形状と同じ空隙形状を設けたサブフレーム150(他の基板)との接合部を、以下の(1)、(2)のようにする。
(1)接合界面におけるアクチュエータ側の隙間222の総面積が、サブフレーム側の空隙154の総面積以上であること
(2)アクチュエータ側の接合領域220に形成される複数の隙間は、サブフレーム側の複数の空隙と重なるように(双方の形状が一致するように)接合されること
このようにすると、メタル配線層200とサブフレーム150との接合部に生じる不具合を削減することができる。
さらに、前述の(1)において、メタル配線層200の接合パターンと、サブフレーム150の空隙パターンとは、空隙154の総面積がアクチュエータ側の隙間222の総面積の2分の1(1/2)であること(図24に一例を示す)が特に好ましい。
サブフレーム側の接合部は、前述の(1)により、メタル配線層側の接着面(隙間形状外)を、サブフレーム側との接着面(空隙形状外)で確実に覆うことができるため、接合強度を確保できる。
加えて、サブフレーム側の接合部は、前述の(2)により、メタル配線層側の接着面に対する、サブフレーム側の接着面の被覆精度が向上し、接合強度をさらに上げることができる。さらに加えて、メタル配線層側で発生する異物の、サブフレーム面での異物の挟み込みが無くなり、歩留を向上させることができる
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態の変形例は、アクチュエータ基板120上の接合領域220に設けられる接合パターンと、サブフレーム150に設けられる空隙パターンとの関係を、前述の(1)、(2)に加え、以下の(3)のようにする。
(3)サブフレーム側の接着面(空隙形状外)の面積が、圧電素子が形成されている領域(例えば、図23の圧電素子形成領域46)が存在する内郭方向へ向かうに従い、分割した領域ごとに段階的に増加すること
図25は、本実施形態の変形例における、アクチュエータ基板120上のメタル配線層200に設ける接合パターンと、サブフレーム150に設ける空隙パターンとの関係を説明する図であり、図23で示されている接合領域220の一部を示している。図25は、図24と同様に、(A)に接合パターンの一例、(B)に空隙パターンの一例を示す。
また、図25(B)は、図示した接合領域の一部を、領域F1からF4の4つに分割して表している。
図25(B)に示すように、サブフレーム150の接着面に形成される空隙パターンの空隙154の数を、圧電素子形成領域46がある内郭方向へ向かうに従い、分割した領域毎に規則的に間引くことで、空隙パターン外の接着面の面積を段階的に増加させているのが前述の(3)の特徴である。
図25では、(B)に示す接合領域220の最外郭、即ち圧電素子形成領域46から一番遠い領域F1において、ノズル配列方向と直交する方向に配列された、サブフレーム150側の空隙パターンの空隙154の数を、(A)に示す接合領域220に設けられる接合パターンの隙間222と同数にしている。さらに接合領域220が、圧電素子形成領域46が存在する内郭側へ向かうに従い、空隙パターンの空隙154の数と、接着面とするため空隙154を間引いた数との比率を、領域F2では2:1、領域F3では1:1、領域F4では1:2となるように、3領域に渡って段階的に変化させている。
領域の分割数は3乃至4が望ましいが、前述の比率と、それぞれの比率が適用される領域数、および領域の広さは、これに限定されるものではなく、サブフレーム150側の接着面(空隙形状外)の面積が、圧電素子形成領域46が存在する内郭方向へ向かうに従い、分割した領域ごとに段階的に増加する構成になっていればよい。
ここで、サブフレーム側の接合領域の分割は、必ずしも4等分することではなく、任意の大きさに区切るものとする。例えば、空隙パターンの空隙154の存在比率(間引き比率)ごとに領域を区切り、その領域毎に空隙面積を求めて、増加しているかどうかを確認する。
図25(B)では、ノズル配列方向と直交する方向に配列された空隙154を一行とすると、領域F1は一行、領域F2、F4は二行、領域F3は三行のように、接合領域を異なる大きさで分割した例を示している。また、一つの領域に複数行が存在するときに、空隙154を間引く位置は、隣り合う行で異なるようにし、空隙154を分散させるとよい。
以上説明した通り、本実施形態の変形例では、サブフレーム150(他の基板)は、メタル配線層200(圧電素子基板)の接合パターンとの接合面に有する接着面の面積が、圧電素子が形成されている領域方向へ向かうに従って段階的に増加していること(サブフレーム150の外縁方向に向かって空隙154の面積が増加すること)を特徴とする。また、サブフレーム150の最外縁は、接合する際に対向するメタル配線層200の接合パターンの隙間222と同じ位置に、同数の空隙154を有することが好ましい。
本実施形態の変形例による効果としては、前述の(1)により接合強度を確保すること、前述の(2)により接合強度に加え、接合の歩留を向上させることができる。これに加えて前述の(3)により、接合領域220中の圧電素子形成領域46が存在する領域に近い領域において、アクチュエータとサブフレームの封止性をより向上させることができる。このことにより、本圧電素子を含む圧電素子基板を搭載した液体吐出ヘッドにおいて、実配線パターンを含む圧電素子形成領域46への液体の侵入を防止し保護性が高まることから、圧電素子の信頼性をより高めることができる。
なお、本実施形態の変形例が適用される接合領域は、例えば、図7では、ノズル配列方向と直交する方向に沿う接合領域220-1、およびノズル配列方向に沿う接合領域220-2のどちらも圧電素子形成領域46が存在する方向を内郭方向とする。
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動時の膜剥がれを防止することが可能になり、圧電素子基板の信頼性を向上させることができる。
その他の実施形態.
以上、図1から図25を参照して、一実施形態の圧電素子基板としてのアクチュエータ基板を備える液体吐出ヘッドについて説明した。
一実施形態の圧電素子基板は、上述した複数の圧電素子およびメタル配線層に加え、他の基板を備える構成としてもよい。一例として、圧電素子基板は、他の基板としてのサブフレーム(保持基板)をさらに備え、サブフレームと、少なくとも接合領域で接合した構成としてもよい。
一方、一実施形態の圧電素子基板には他の基板を含めず、第1の電極、圧電体および第2の電極を積層した圧電素子を複数設けた圧電素子基板としてもよい。そして、当該圧電素子基板と、他の基板とを接合した基板を接合基板として構成してもよい。
また、一実施形態の圧電素子基板は、例えば、複数の圧電素子をセンサとして使用してもよい。
なお、上述した圧電素子基板の様々な構成例において、複数の圧電素子は、個別化した電気機械変換素子として機能する。
以下、本発明に係る液体吐出ユニット、液体を吐出する装置について説明する。
本発明の液体吐出ユニットは、本発明の液体吐出ヘッドを備える。
また、液体吐出ユニットとしては、液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと液体吐出ヘッドとを一体化したものが挙げられる。
また、本発明の液体を吐出する装置は、本発明の液体吐出ヘッド又は本発明の液体吐出ユニットを備える。
本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図26及び図27を参照して説明する。図26は同装置の要部平面説明図、図27は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル11からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル11が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図28を参照して説明する。図28は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図29を参照して説明する。図29は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図27で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図28で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図29で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
2 流路板
3 振動板
16、43 個別配線
18、40 圧電素子
13 第1の電極(下部電極)
12 圧電体(電気機械変換膜)
14 第2の電極(上部電極)
20 個別流路部材
26、27絶縁膜
30 振動板部材
46 圧電素子形成領域
50 共通流路部材
120 アクチュエータ基板
150 サブフレーム
152 凹部
154 空隙
200 メタル配線層
220、220-1、220-2 接合領域
222 隙間
特開2014‐151537 特開2016‐016522

Claims (24)

  1. 第1の電極、圧電体および第2の電極を積層した圧電素子を複数設けた圧電素子基板であって、
    前記圧電素子基板の複数の前記圧電素子を形成した側の面には、複数の前記圧電素子それぞれに接続する複数の配線パターンと、該配線パターンと層を同じくし、該配線パターンとは異なる領域に他の基板と直接または絶縁膜を介して接合される接合パターンとが設けられており、
    前記接合パターンは、金属層に複数の開口が形成されたパターンである
    ことを特徴とする圧電素子基板。
  2. 前記接合パターンは、複数の前記開口を同じ形状とし、規則的に配置した
    ことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子基板。
  3. 前記接合パターンは、複数の前記開口を格子状に形成した
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電素子基板。
  4. 前記他の基板は、前記接合パターンとの接合面に空隙を複数有し、
    複数の前記開口と、複数の前記空隙とは、同じ形状とし、
    複数の前記開口は、複数の前記空隙と重なるように接合される
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の圧電素子基板。
  5. 複数の前記開口の総面積は、複数の前記空隙の総面積以上であることを特徴とする請求項4に記載の圧電素子基板。
  6. 複数の前記空隙の少なくとも一つを液体供給口とすることを特徴とする請求項4または5に記載の圧電素子基板。
  7. 前記他の基板は、前記圧電素子が形成されている領域から前記他の基板の外縁方向に向かって、前記空隙の面積が増加することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の圧電素子基板。
  8. 前記他の基板の最外縁は、接合する際に対向する前記圧電素子基板に形成されている前記開口と同じ位置に、同数の前記空隙を有することを特徴とする請求項7に記載の圧電素子基板。
  9. 振動板をさらに備え、
    複数の前記圧電素子は、前記振動板上に形成された
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の圧電素子基板。
  10. 前記他の基板として、少なくとも前記接合パターンで接合する保持基板をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の圧電素子基板。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の圧電素子基板が搭載された液体吐出ヘッド。
  12. 請求項11に記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする液体吐出ユニット。
  13. 前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化したことを特徴とする請求項12に記載の液体吐出ユニット。
  14. 請求項11に記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項12若しくは13に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
  15. 第1の電極、圧電体および第2の電極を積層した圧電素子を複数設けた圧電素子基板と、他の基板とを接合した接合基板であって、
    前記圧電素子基板の複数の前記圧電素子を形成した側の面には、複数の前記圧電素子それぞれに接続する複数の配線パターンと、該配線パターンと層を同じくし、該配線パターンとは異なる領域に前記他の基板と直接または絶縁膜を介して接合される接合パターンとが設けられており、
    前記接合パターンは、金属層に複数の開口が形成されたパターンである
    ことを特徴とする接合基板。
  16. 前記接合パターンは、複数の前記開口を同じ形状とし、規則的に配置した
    ことを特徴とする請求項15に記載の接合基板。
  17. 前記接合パターンは、複数の前記開口を格子状に形成した
    ことを特徴とする請求項15または16に記載の接合基板。
  18. 前記他の基板は、前記接合パターンとの接合面に空隙を複数有し、
    複数の前記開口と、複数の前記空隙とは、同じ形状とし、
    複数の前記開口は、複数の前記空隙と重なるように接合される
    ことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の接合基板。
  19. 複数の前記開口の総面積は、複数の前記空隙の総面積以上であることを特徴とする請求項18に記載の接合基板。
  20. 複数の前記空隙の少なくとも一つを液体供給口とすることを特徴とする請求項18または19に記載の接合基板。
  21. 前記他の基板は、前記圧電素子が形成されている領域から前記他の基板の外縁方向に向かって、前記空隙の面積が増加することを特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の接合基板。
  22. 前記他の基板の最外縁は、接合する際に対向する前記圧電素子基板に形成されている前記開口と同じ位置に、同数の前記空隙を有することを特徴とする請求項21に記載の接合基板。
  23. 振動板をさらに備え、
    複数の前記圧電素子は、前記振動板上に形成された
    ことを特徴とする請求項15から22のいずれか一項に記載の接合基板。
  24. 前記他の基板として、少なくとも前記接合パターンで接合する保持基板をさらに備えることを特徴とする請求項15から23のいずれか一項に記載の接合基板。
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