JP7463160B2 - 冷菓の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は冷菓の製造装置及び製造方法に関する。
冷菓の製造方法として、モールド(成形型)を使用する方法(例えば、特許文献1)と、モールドを使用せず、押出成形により冷菓を製造する方法(例えば、特許文献2)が知られている。
押出成形法では、概略、冷菓材料の未硬化物を、所望の形状の開口部を有するノズルから下方に向けて押出し、押出方向に対して略垂直に切断する方法で、所望の形状および大きさに成形する。切断された成形物はベルトコンベアやトレイ等の上に自然落下し、これを冷却し硬化させて冷菓を製造する。
特開2014-198019号公報 特開2013-162758号公報
押出成形法にあっては、ノズルから未硬化物を押出し、切断してベルトコンベア等の上に落下させる工程を経るため、設計通りの形状が得られない場合がある。
本発明は、押出成形法で冷菓を製造する際の形状安定性に優れる製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1] 冷菓材料の未硬化物を排出する押出ノズルと、前記押出ノズルから排出された前記未硬化物を押出方向に対して交差する方向に切断する切断部と、前記押出ノズルの外面温度を局所的に上昇させる温度調整部とを有する、冷菓の製造装置。
[2] 前記温度調整部が、前記押出ノズルの外面に気体を吹き付けるエアノズルを備える、[1]の製造装置。
[3] [1]又は[2]の製造装置を用いて冷菓を製造する方法であって、前記押出ノズルに前記未硬化物を供給し、前記押出ノズルの外面温度が0~T℃(0<T≦18)の範囲内で連続的に変化している領域が存在する状態で、前記押出ノズルから前記未硬化物を排出し、前記押出ノズルから排出された前記未硬化物を前記切断部で切断して成形物を得て、前記成形物を硬化して冷菓を得る、冷菓の製造方法。
本発明の製造装置は、押出成形法で冷菓を製造する際の形状安定性に優れる。
本発明の製造方法は、押出成形法で冷菓を製造する際の形状安定性に優れる。
本発明の製造装置を用いて製造される冷菓の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の製造装置の一実施形態を示す側面図である。 連続式フリーザーの例を示す概略構成図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のB-B線に沿う横断面図である。 形状安定性の評価方法を説明するための平面図である。 形状安定性の評価方法を説明するための断面図である。 形状安定性の評価方法を説明するための断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「~」で表される数値範囲は、特に断りのない限り、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
本発明における冷菓は、一般的な「冷菓」に分類されるもの、及びフローズンヨーグルトを含む。「冷菓」は、具体的には、アイスクリーム類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)、氷菓を挙げることができる。
アイスクリーム類とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって乳固形分3.0%以上を含むもの(はっ酵乳を除く)をいう。アイスクリーム類は、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分類される。
一方、乳固形分3.0%未満のものは、前記アイスクリーム類ではなく、食品衛生法に基づく厚生省告示「食品、添加物等の規格基準」により、氷菓として規定されている。
また、フローズンヨーグルトは、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令により、種類別「発酵乳」に分類される。発酵乳は「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」と定められ、成分規格は、「無脂乳固形分8.0%以上、乳酸菌数又は酵母数1000万/ml以上」と規定されている。フローズンヨーグルトは、凍結した発酵乳に該当する。
本発明における冷菓は、氷菓、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、フローズンヨーグルトのいずれであってもよい。
凍結点は、液状にした冷菓材料を雰囲気温度-25℃で冷却しながら、品温を経時的に測定し、液体が固体になる際の発熱反応により温度が下降しないポイント(凝固点)における温度である。
Brixは、屈折計(例えばATAGO社製品名RX-5000)を用い、測定温度20℃で測定した値である。3回測定した平均値をBrixの測定値とする。
密度は、試料を5℃に温度調節し、100cmの容器に入れて、重量(単位:g)を測定し、重量g/100cmで算出される値(単位:g/cm)である。
成分等の含有量の測定方法は以下の方法を用いる。
(1)水分
常圧加熱乾燥法(乾燥助剤添加法)により測定する。
(2)固形分
固形分(質量%)=100-水分(質量%)で算出する。
(3)脂肪分・乳脂肪
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の、アイスクリーム類の乳脂肪分の定量法に準拠する方法で測定する。
具体的には、試料4gを小型ビーカーに採り、水3mLを加えてよく混ぜ合わせ、レーリッヒ管に移す。前記ビーカーは、水3mLでよく洗い、その洗液を前記レーリッヒ管に加え、振り混ぜる。次に、アンモニア水(アンモニアの25~30%水溶液、無色透明なもの)2mLを加え、静かに混合する。次に、前記レーリッヒ管を60℃の水浴中につけ、時々振り混ぜながら20分間加温する。さらに2mLエタノール(95~96%水溶液)10mLを加えてよく混ぜ合わせる。
次いで、前記レーリッヒ管にエーテル25mLを加え静かに回転し、均一の色調となったときエーテルガスを抜き、管を水平にして30秒間激しく振り混ぜる。次に石油エーテル(沸点60℃以下)25mLを加え、同様に30秒間振り混ぜて栓を緩め、上澄液が透明になるまで直立して2時間以上静置する。上澄液を、予め恒量を求めたビーカーに入れる。
前記レーリッヒ管に、上記と同様の手順で、エーテル25mL及び石油エーテル25mLを加えて混ぜ、上澄液を前記ビーカーに入れる。側管の先端を、エーテルと石油エーテルの等量混合液で洗浄して前記ビーカーに加える。
前記ビーカーを、約75℃に加熱して溶剤を揮発させ、雰囲気温度100~105℃の乾燥器中で1時間乾燥した後、秤量する。ビーカーの恒量からの増加分を脂肪分とする。
試料が乳脂肪以外の他の脂肪分を含まない場合は、上記で求めた脂肪分を乳脂肪の含有量とする。
試料が乳脂肪以外の他の脂肪分を含む場合は、上記で求めた脂肪分から他の脂肪分を差し引いた値を乳脂肪の含有量とする。
(4)無脂乳固形分
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に記載の、発酵乳及び乳酸菌飲料の無脂乳固形分の定量法に準拠する方法で測定する。
具体的には、試料(凍結状のものにあっては、40℃以下の温度でなるべく短時間に全部融解させたもの)約50gを精密に量り、フェノールフタレイン溶液数滴を加える。これをかき混ぜながら10%水酸化ナトリウム溶液を徐々に加えて微アルカリ性とし、メスフラスコに採る。水を加えて100mLとし、その5mLを正確に150mLのケルダール分解フラスコに採る。これに硫酸カリウム9gと硫酸銅1gの混合粉末0.2gを加え、更にフラスコの内壁を伝わらせて硫酸10mLを加える。次に、このフラスコを徐々に加熱し、亜硫酸ガスの白煙が生じたとき少し加熱を強める。泡末の大部分が消失した後、強熱し、中の液が透明な淡青色を呈し、かつ、フラスコの内壁に炭化物を認めなくなったとき加熱を止める。放冷後、注意しながら水30mLを加え、再び冷却した後フラスコを蒸留装置に連結する。この場合、200mLの吸収フラスコ中には0.05mol/L硫酸30mL及びメチルレッド溶液数滴を入れ、冷却器の下端が液中につかるようにする。
次に、ケルダール蒸留装置の漏斗から30%水酸化ナトリウム溶液40mLを入れ、水10mLで洗い込み、ピンチコックを閉じ、直ちに蒸留をはじめる。留出液が80mL~100mLの量に達したとき冷却器の下端を液面から離し、更に留出液の数mLを採る。蒸留終了後、冷却器の液に浸った部分を少量の水で洗い、その洗液を吸収フラスコ中の液に合し、これを0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。
無脂乳固形分(単位:質量%)は、次式によって計算する。
無脂乳固形分={0.0014×(A-B)}/試料の採取量(単位:g)×6.38×2.82×100
A:0.05mol/Lの硫酸30mLを中和するのに要する0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量(単位:mL)
B:滴定に要した0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液の量(単位:mL)
標示薬:メチルレッド溶液(メチルレッド1gをエタノール50mLに溶かし、これに水を加えて100mLとし、必要があればろ過する。
(5)乳固形分
前記(3)の方法で求めた乳脂肪分と、前記(4)の方法で求めた無脂乳固形分との合計を乳固形分とする。
<冷菓>
図1は本発明の製造装置を用いて製造される冷菓の一実施形態である。
本実施形態の冷菓1は、平板状の冷菓本体2にスティック3が挿入されたアイスバー状の製品である。冷菓本体2は、冷菓材料からなる。
以下、冷菓本体2の厚さ方向をZ方向、Z方向に垂直かつスティック3の挿入方向に平行な方向をX方向、X方向及びZ方向に垂直な方向をY方向とする。冷菓本体2は押出成形法で成形されたものであり、Z方向は押出方向に平行である。
本実施形態において、後述のトレイ上に押出成形した際に、トレイに接していた端面を他方の端面2bとする。以下、一方の端面2aを表側端面(トレイに接していた端面とは反対側の端面)、他方の端面2bを裏側端面ということもある。
冷菓本体2の、Z方向の厚さは10~30mmが好ましい。厚さが小さい方が、トレイ等の上に落下する際に、成形物の形状にゆがみが生じたり、スティック3がX-Y平面に対して斜めになる等の形状不良が生じやすく、本発明を適用することによる効果が大きい。良好な形状安定性が得られやすい点では、厚さが大きい方が好ましい。これらの観点から、Z方向の厚さは10~25mmがより好ましく、15~25mmがさらに好ましい。
冷菓本体2の体積は特に限定されない。例えば30~120mLが好ましい。
冷菓本体2を構成する冷菓材料は特に限定されず、アイスクリーム類及び氷菓において公知の材料を使用できる。
例えば、冷菓材料は、水及び甘味料を含み凍結点が-8.0~-1.5℃である組成物(以下、アイス原料ミックスともいう。)の凍結物が好ましい。
アイス原料ミックスの凍結点が上記範囲の下限値以上であると、多数個の冷菓1を連続製造する際の形状安定性に優れる。上限値以下であると、後述の連続式フリーザーでフリージングする際にシリンダーが凍りつき難く、製造安定性に優れる。
冷菓本体2が、2種以上のアイス原料ミックスの凍結物を含む場合、各アイス原料ミックスの凍結点は同じでも、異なってもよい。形状安定性を高めやすい点で、凍結点の差は小さい方が好ましい。例えば、冷菓本体2を構成する複数種のアイス原料ミックスの凍結点の差の絶対値は、0~0.8℃が好ましく、0~0.6℃がより好ましく、0~0.4℃がさらに好ましい。
冷菓材料(アイス原料ミックスの凍結物)のオーバーラン値(容量基準)は特に限定されない。オーバーラン値が低いと、凍結前の成形物22の保形性が不充分になりやすく、本発明を適用することによる効果が大きい。成形物22の保形性が不充分であると、トレイ等の上に落下する際に、成形物22の形状にゆがみが生じたり、スティック3がX-Y平面に対して斜めになる等の形状不良が生じやすい。この観点から、アイス原料ミックスのオーバーラン値は120%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。オーバーラン値の下限はゼロでもよい。
冷菓材料のオーバーラン値は、空気を含有させる前のアイス原料ミックスの容量に対する、冷菓材料の含有空気容量の百分率で表される。例えばオーバーラン値が100%の場合、冷菓材料は、アイス原料ミックスと同容量の空気を含むことを意味する。
アイス原料ミックスに含まれる甘味料としては、砂糖(上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒砂糖)、水あめ、粉飴、砂糖混合異性化糖、異性化糖、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、転化糖、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D-キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチロール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料;等が挙げられる。甘味料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに乳成分を含んでもよい。乳成分の例としては生乳、牛乳、クリーム、バター、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、練乳、チーズ、ホエイ、ホエイ蛋白濃縮物等の乳製品が挙げられる。乳成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、卵成分、植物油脂、食物繊維、安定剤、乳化剤、果汁、食塩、酸味料、香料、着色料、酒類、種実類、抹茶、コーヒー、紅茶、チョコ類、その他の食品添加剤を含んでもよい。
アイス原料ミックスとして、例えば、アイス原料ミックスの総質量に対して、甘味料の含有量が1~40質量%、乳脂肪の含有量が0~17質量%、無脂乳固形分が0~13質量%、乳固形分が0~30質量%、固形分が5~55質量%である組成物が挙げられる。
冷菓本体2は、アイス原料ミックスの凍結物以外の他の冷菓材料を含んでもよい。
冷菓本体2の総質量に対して、アイス原料ミックスの凍結物の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
<製造装置>
図2は、本発明の冷菓の製造装置の一実施形態であり、一部を断面視した側面図である。本実施形態の装置は、押出成形法で図1に示す冷菓を製造する押出し成形装置である。
本実施形態の装置は、概略、押出ノズル11と、切断部20と、トレイ30を備える。また、押出ノズル11の外面温度を局所的に上昇させる温度調整部として、押出ノズル11の外側に第1のエアノズル13及び第2のエアノズル14が設けられている。
押出ノズル11は、上側から順に、供給部11aと、円筒状の主筒部11bと、縮径部11cと、排出部11dを有する。主筒部11bの中心軸を、押出ノズル11の中心軸Pとする。中心軸PはZ方向に平行である。
押出ノズル11は下端が開口しており、冷菓材料の未硬化物をZ方向の下方に向けて排出する。押出ノズル11の下端の開口を排出口という。
切断部20は、押出ノズル11の排出口から排出された未硬化物21を押出方向(Z方向)に対して垂直に切断して、平板状の成形物22とする。例えばワイヤ等で未硬化物21を切断する。
トレイ30は、押出ノズル11の排出口から自然落下する成形物22を、Z方向に垂直な面(X-Y平面)で受け止め、Y方向に搬送する。
本実施形態では、切断する直前の未硬化物にスティック3を刺すスティック挿入装置(図示略)が設けられており、アイスバー状の成形物22がトレイ30上に自然落下する。
押出ノズル11の供給部11aは、押出ノズル11内に冷菓材料の未硬化物を供給する。
排出部11dは筒状であり、その内面形状は得ようとする成形物22の平面形状に、落下による変形を加味した形状に設計される。
主筒部11bは、排出部11dより大径の円筒状である。主筒部11bと排出部11dとは縮径部11cを介して連通している。
縮径部11cは必須ではなく、主筒部11bと排出部11dの内面形状が同じであってもよい。縮径部11cを設けると、押出ノズル11に未硬化物を供給する速度より、排出部11dから未硬化物が排出される速度の方が高くなる。
本実施形態において、第1のエアノズル13は、排出部11dの下端(排出口)の近傍に設けられ、第2のエアノズル14は主筒部11bの外側に設けられている。
第2のエアノズル14は、管状のエアノズル本体14aを備える。エアノズル本体14aは押出ノズル11の周方向に沿って、押出ノズル11から離間して設けられている。エアノズル本体14aの中心軸はX-Y平面上に存在する。エアノズル本体14aの、押出ノズル11と向かい合う面に、孔状の吹出口14bが複数設けられている。
エアノズル本体14aに気体を供給すると、吹出口14bから主筒部11bの外面へ気体が吹き付けられる。押出ノズル11の外面温度より高温の気体を吹き付けると、気体が吹き付けられた領域及びその周辺の外面温度が局所的に上昇する。
第1のエアノズル13も、図示していないが、第2のエアノズル14と同様に管状のエアノズル本体と吹出口を有し、エアノズル本体に気体を供給すると、吹出口から排出部11dの外面へ気体が吹き付けられるようになっている。
本実施形態において、第1のエアノズル13は、排出部11dの全周のうち、未硬化物21にスティック3を刺すための部位を除く領域に設けられている。第2のエアノズル14は、主筒部11bの全周に気体が接触するように、設けられている。
<製造方法>
本実施形態の装置を用いて冷菓1を製造するには、供給部11aから押出ノズル11に冷菓材料の未硬化物を連続的に供給し、排出部11dから未硬化物を押出す。トレイ30をY方向に所定の速度で移動させる。また、第1のエアノズル13及び第2のエアノズル14の一方又は両方から、押出ノズル11の外面へ気体を吹き付ける。
押出ノズル11の排出部11dからZ方向下方へ、所定量の未硬化物21が流下した時点で、切断部20で未硬化物21をZ方向に対して垂直に切断すると、平板状の成形物22がトレイ30上に自然落下する。切断直前の未硬化物21に対してX方向にスティック3を刺す。これらの操作を繰り返して、多数個の成形物22を連続製造する。
成形物22のZ方向の厚さは、排出部11dから排出される未硬化物21の流下速度と、切断部20のカットスピードによって調整できる。
例えば、冷菓本体2の厚さが10~30mmである冷菓1を連続製造する場合、良好な製造安定性が得られやすい点で、1分間に得られる成形物22の数で表される成形速度は、100~300個/分が好ましく、120~200個/分がより好ましい。成形速度が前記範囲の下限値以上であると、トレイ30上に落下した成形物22の形状が安定しやすい。一方、成形速度が前記範囲の上限値以下であると、未硬化物21を切断する速さが速すぎず、切断された成形物22が直下に落ちやすいため、トレイ30上に落下した成形物22の形状が安定しやすい。
得られた成形物22を冷却し硬化させて冷菓1を得る。硬化は常法で行うことができる。例えば、成形物22を、-45~-30℃で20分間~1時間保持する方法で硬化させる。さらに冷菓本体2の外面上に、公知の方法でコーティング層を設けてもよい。
供給部11aから、冷菓材料の未硬化物を押出ノズル11に供給する際の未硬化物の温度(供給温度)は、冷菓材料の凍結点より低い温度とする。冷菓材料の凍結点と未硬化物の供給温度との温度差の絶対値は1℃以上が好ましく、2℃以上がより好ましく、3℃以上がさらに好ましい。この温度差の絶対値が前記下限値以上であると、排出部11dから排出される未硬化物21の保形性を高めやすい。一方、この温度差の絶対値は、10℃以下が好ましく、8℃以下がより好ましく、6℃以下がさらに好ましい。前記上限値以下であると、未硬化物中に脂肪球が形成され難く、成形物22の形状安定性に優れる。未硬化物中に脂肪球が形成されると、排出部11dから排出された未硬化物21を切断する際に、切断治具(ワイヤ等)が脂肪球に当たり、成形物22の形状が不安定になりやすい。
冷菓材料がアイス原料ミックスの凍結物である場合、未硬化物として、アイス原料ミックスの部分凍結品を押出ノズル11に供給することが好ましい。
アイス原料ミックスの部分凍結品は、例えば図3に示す連続式フリーザーを用いて調製できる。図3は連続式フリーザーの概略構成図であり(a)は縦断面図、(b)は(a)中のB-B線に沿う横断面図である。
シリンダー51は、内部を流れるアイス原料ミックス中の水分を凍結させる。ダッシャー52は、シリンダー51の内壁上の付着物を掻き取りながらシリンダー51内を撹拌する。ダッシャー52の内部には同軸のビーター53が設けられている。ダッシャー52の外面上に設けられたブレード52aは、シリンダー51の内壁上の付着物を掻き取る。シリンダー51の外側の冷媒ジャケット54は、シリンダー51の内容物を冷却する。
シリンダー51の一端部から、シリンダー51内に、アイス原料ミックスと空気の混合物を供給すると、該混合物が他端部に向かって流れる。ダッシャー52は略円筒形で貫通穴が設けられており、ダッシャー52の内側と外側とは連通している。
シリンダー51の外側は冷媒が循環しており、該冷媒がシリンダー51内のアイス原料ミックスと熱交換することにより、アイス原料ミックスに凍結が生じ、シリンダー51の内壁上に凍結物(付着物)の層が形成される。該凍結物(付着物)はブレード52aによって掻き取られて細片となり、ダッシャー52およびビーター53によって、未凍結のアイス原料ミックスおよび空気とともに均一に撹拌され、これらの均一な混合物である部分凍結品となる。
成形物22の形状不良を改善又は防止するために、押出ノズル11の外面へ気体を吹き付けて外面温度を局所的に上昇させる。気体は、押出ノズル11内の未硬化物の温度tより高い温度の気体を用いる。例えば空気を使用できる。押出ノズル11内に2種以上の未硬化物が存在する場合は、押出ノズル11の内面と接触している未硬化物の温度を、前記未硬化物の温度tとする。前記未硬化物の温度tとして、トレイ30上に落下した直後の成形物22における未硬化物の温度を使用できる。
気体の吹き付けによって押出ノズル11の外面温度が上昇した領域では、押出ノズル11の内面と接触している未硬化物に融解が生じて流下速度が高まる。こうして未硬化物の流下速度を調整することにより、成形物22の形状安定性を向上できる。例えば、押出ノズル11の排出口から排出される未硬化物21の、X-Y平面内における流下速度の均一性を高めて、形状安定性を向上できる。
第1のエアノズル13及び第2のエアノズル14から吹き出す気体の温度と、前記未硬化物の温度tとの温度差の絶対値は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上がさらに好ましい。この温度差の絶対値が前記下限値以上であると、成形物22の形状不良を改善又は防止する効果に優れる。
前記気体の温度が高すぎると、未硬化物の氷結晶が融解して再結晶することによって、氷結晶が大きくなり食感のなめらかさが低下したり、未硬化物が過度に融解して成形物22の保形性が低下したりするため、これらの不都合が生じない範囲が好ましい。例えば、前記気体の温度は70℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
第1のエアノズル13から吹き出す気体の温度と、第2のエアノズル14から吹き出す気体の温度は同じであってもよく、異なってもよい。
押出ノズル11の外面温度を局所的に上昇させると、外面温度が連続的に変化する領域ができる。本実施形態では、押出ノズル11の外面において、気体を吹き付けた部位の外面温度が最高温度Tとなり、そこから気体を吹き付けていない領域に向かって、外面温度が連続的に低下する。
押出ノズル11の外面温度の最も低い温度(最低温度)は0℃以下とする。したがって、押出ノズル11の外面には、押出ノズルの外面温度が少なくとも0~T℃の範囲内で連続的に変化している領域が存在し、この状態で、押出ノズル11から未硬化物を排出する。
前記最高温度Tは18℃以下が好ましく、14℃以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。18℃以下であると未硬化物21の氷結晶が融解して再結晶することによって、氷結晶が大きくなり食感のなめらかさが低下したり、未硬化物が過度に融解して成形物22の保形性が低下する現象が生じ難い。
前記最高温度Tは0℃超であり、1℃以上が好ましく、3℃以上がより好ましく、6℃以上がさらに好ましい。
前記外面温度の最低温度は、前記未硬化物の温度t以上であることが好ましい。前記最低温度とtとの差の絶対値は0~25℃が好ましく、0~20℃がより好ましく、0~15℃がさらに好ましい。
前記外面温度の最低温度と前記最高温度Tとの差の絶対値は1~30℃が好ましく、5~25℃がより好ましく、8~20℃がさらに好ましい。
押出ノズル11の外面の2箇所以上の部位において、外面温度を局所的に上昇させた場合、各部位の最高温度が互いに異なっていてもよい。最も高い最高温度が上記Tの条件を満たせばよい。各部位の最高温度がそれぞれ上記Tの条件を満たすことが好ましい。
押出ノズル11の外面において、気体を吹き付ける領域の位置及び大きさは特に限定されず、所望の形状安定性が得られるように設定できる。
本実施形態では、押出ノズル11の外面温度が、Z方向において連続的に変化している領域が存在する。押出ノズル11の外面温度が0~18℃である領域のZ方向の長さをhとする。
例えば、Z方向における主筒部11bの長さの1/2の位置から、排出部11dの下端までの領域を温度制御領域とする。押出ノズル11の外面温度が0~18℃である領域が前記温度制御領域内であることが好ましい。排出部11dの下端から温度制御領域の上端までの高さをh1とする。前記h1に対する前記hの割合(単位:%)をH(H=h/h1×100)とするとき、Hは10~90%が好ましく、30~90%がより好ましく、50~90%がさらに好ましい。
温度制御領域(高さh1)内に、外面温度が0~18℃である領域が2箇所以上存在する場合、前記hは各領域のZ方向の長さの合計とする。
なお、押出ノズル11の周方向において、外面温度は均一でなくてもよい。前記hは、押出ノズル11の中心軸Pを含みX方向に垂直な面と押出ノズル11の外面とが交わる2つの交線上における、外面温度が0~18℃である領域のZ方向の長さの平均値とする。
押出ノズル11の外面への気体の吹き付けは、連続的でもよく、断続的でもよい。押出ノズル11の周方向の一部に気体を吹き付けてもよく、前記周方向の全部に気体を吹き付けてもよい。気体を吹き付ける位置を経時的に変化させてもよい。
例えば、冷菓1を連続製造する際、経時的に成形物22のゆがみが大きくなる場合には、連続製造の途中で、気体を吹き付ける位置を変えることによって形状不良を改善してもよい。
本実施形態によれば、押出ノズル11の外面へ気体を吹き付けて外面温度を調整することにより、形状不良を改善又は防止できる。
後述の実施例に示されるように、成形物22に形状不良が生じやすい製造条件であっても、押出ノズル11の外面温度を調整することによって形状不良を改善できる。
<変形例>
本実施形態では、エアノズルを排出部11dの下端近傍と、主筒部11bの外側の2箇所に設けたが、これに限定されない。3箇所以上に設けてもよい。
エアノズルは押出ノズル11の外面に気体を吹き付けるものであればよく、形状は限定されない。例えば、吹出口は孔状に限らずスリット状でもよい。
本実施形態では、押出ノズル11の外面温度を局所的に上昇させる温度調整部としてエアノズルを設けたが、気体を吹き付ける以外の方法で外面温度を局所的に上昇させてもよい。例えば、押出ノズル11の一部を2重配管にして、押出ノズル11の外面に水やエチレングリコールなどの不凍液を熱媒体として接触させることにより、外面温度を局所的に上昇させてもよい。また、押出ノズル11の外面に光を照射して外面温度を局所的に上昇させてもよい。
本実施形態では、切断部20において、複合未硬化物21をZ方向(押出方向)に対して垂直に切断したが、押出方向に対して交差する方向に切断して成形物22を落下させることができればよく、必ずしも垂直でなくてよい。例えば、Y方向に垂直な面(X-Z平面)と切断面とがなす角度が90±30°、好ましくは90±20°、より好ましくは90±10°、さらに好ましくは90±5°の範囲内であってもよい。
本実施形態では、スティック3を有するアイスバー状の冷菓を製造したが、平板状の冷菓本体を有する冷菓であれば同様に製造できる。例えば、平板状の冷菓本体をモナカ等の可食容器に収容した形態の冷菓、平板状の冷菓本体をビスケット等の板状の食品で挟んだ形態の冷菓等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、含有量の単位である「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<測定方法・評価方法>
[押出ノズルの外面温度及びHの測定方法]
押出ノズル11の外面温度を、放射温度計 HORIBA社製 機種名IT-545Sを用いて測定した。
排出部11dの下端から、Z方向における主筒部11bの長さの1/2の位置までの領域(温度制御領域)の高さをh1(h1=h3+(主筒部の長さ/2))とした。
温度制御領域において、押出ノズル11の中心軸Pを含みX方向に垂直な面と押出ノズル11の外面とが交わる2つの交線(交線a、交線bとする)上の外面温度をそれぞれ測定した。
交線a上の外面温度が、0~18℃である領域のZ方向の長さの合計をhaとし、交線b上の外面温度が、0~18℃である領域のZ方向の長さの合計をhbとし、下式により、外面温度が0~18℃である領域の割合H(単位:%)を求めた。
H={(ha+hb)/2}/h1×100
[エアノズルから押出ノズルへ吹き付ける気体の温度及び流速の測定方法]
エアノズルの吹出口から、押出ノズル11の外面に向かって吹き付ける気体の温度を、デジタル温度計(佐藤計量器製作所社製品名SK-250WPII-N)で測定し、流速を環境計測器(テストー社製品名Testo 435-2)で測定した。
エアノズルに複数個の吹出口が存在する場合、交線aと交線bのそれぞれに最も近い吹出口について、前記気体の温度及び流速を測定した。
[未硬化物の温度tの測定方法]
トレイ上に落下した直後の成形物について、接触式温度計で冷菓本体の任意の2箇所の温度を測定し、その平均値を未硬化物の温度tとした。
[形状安定性の評価方法]
図4に例示するように、冷菓本体2を、X方向(スティック3の挿入方向)の長さが1/2となるようにX方向に対して垂直な断面で切断し、スティック3を含む部位と、含まない部位に分けた。図5、6に示すように、スティック3を含まない部位を、表側端面2aが上側となるように、X-Y平面に平行な基準面S上に置いた。図5に示すように、切断面におけるZ方向の長さ(下記Z1、Z2、Z3)を測定した。また図6に示すように、切断面におけるY方向の長さ(下記Y1、Y2、Y3)を測定した。長さの単位はいずれもmmである。
Z1:表側端面2aの左端から基準面Sに下した垂線Z1の長さ。
Z2:垂線Z1から垂線Z3までの距離の1/2の位置における、表側端面2aから基準面Sまでの距離。
Z3:表側端面2aの右端から基準面Sに下した垂線Z3の長さ。
Y1:垂線Z1またはZ3のいずれか短い方の上端(表側端面2aの左端又は右端の一方)から冷菓本体2の他方の側面までの距離(上底Y1の長さ)。
Y2:上底Y1から下底Y3までの距離の1/2の位置における、冷菓本体2の一方の側面から他方の側面までの距離。
Y3:冷菓本体2の基準面Sに接する面(裏側端面2b)の両端間の距離(下底Y3の長さ)。
Z1、Z2、Z3のうちの最大値(Zmax)に対する最小値(Zmin)の割合(Zmin/Zmax、単位%)を求めた。連続して製造した3個の製品について(Zmin/Zmax、単位%)を求め、それらの平均値を測定結果とした。
Y1、Y2、Y3のうちの最大値(Ymax)に対する最小値(Ymin)の割合(Ymin/Ymax、単位%)を求めた。連続して製造した3個の製品について(Ymin/Ymax、単位%)を求め、それらの平均値を測定結果とした。
Zmin/Zmax及びYmin/Ymaxの測定結果の値が100%に近いほど製品のゆがみが小さいことを意味する。
冷菓を、一定の製造条件で12時間以上連続製造した。製造開始から2時間後と12時間後に、Zmin/Zmax及びYmin/Ymaxを測定した。
製造開始から12時間後のZmin/Zmax及びYmin/Ymaxの測定結果に基づき、下記の基準で形状安定性を評価した。
なお、Zmin/Zmax及びYmin/Ymaxの値は経時的に低下し、2時間後の測定結果の値より、12時間後の測定結果の値の方が小さかった。
<Zmin/Zmaxについて>
A:80%以上
B:75%以上80%未満
C:70%以上75%未満
D:65%以上70%未満
E:65%未満
A又はBであると、製品の70%以上においてほぼ設計通りの形状が得られるレベルである。
EであるとスティックがX-Y平面に対して斜めになり、連続製造に支障が生じる。具体的には、硬化工程の後、トレイ上の冷菓を、スティックを把持して持ち上げる装置によってトレイから引き剥がした際、スティックが斜めになっていると、スティックを把持することができず、冷菓を持ち上げることができない。
<Ymin/Ymaxについて>
A:90%以上
B:85%以上90%未満
C:80%以上85%未満
D:75%以上80%未満
E:75%未満
A又はBであると、製品の70%以上においてほぼ設計通りの形状が得られるレベルである。EであるとスティックがX-Y平面に対して斜めになり、連続製造に支障が生じる。
<装置>
以下の例では、図2に示す製造装置を用いた。排出部11dの下端よりやや上に第1のエアノズル13を設け、主筒部11bの半分の位置より下側に第2のエアノズル14を設けた。
排出部11dの下端から、供給部11aの上端までの高さh0は336mmであった。
排出部11dの下端から、主筒部11bの半分の位置までの高さ、すなわち温度制御領域の上端までの高さh1は223mmであった。
温度制御領域の上端までの高さh1(=233mm)を100%とするとき、
排出部11dの下端から、第2のエアノズル14までの距離h2は77.3%、
排出部11dの下端から、縮径部11cと主筒部11bとの境界までの高さh3は65.7%、
排出部11dの下端から、排出部11dと縮径部11cとの境界までの高さh4は45.1%、
排出部11dの下端から、第1のエアノズル13までの高さh5は17.2%であった。
押出ノズル11の周方向において、外面温度がほぼ均一になるように、エアノズル本体の、押出ノズル11と向かい合う面に、孔状の吹出口を設けた。第1のエアノズル13には10個の吹出口(図示略)を、押出ノズル11の周方向においてほぼ等間隔に設けた。第2のエアノズル14には11個の吹出口14bを、押出ノズル11の周方向においてほぼ等間隔に設けた。
<原料>
表1の配合で使用した原料は以下の通りである。
[アイス原料ミックス]
・クリーム:森永乳業株式会社製。乳脂肪分48.0質量%、無脂乳固形分4.5質量%、固形分52.5質量%。
無塩バター:森永乳業株式会社製。乳脂肪分83.0質量%、無脂乳固形分1.4質量%、固形分84.4質量%。
・脱脂濃縮乳:森永乳業株式会社製。乳脂肪分0.4質量%、無脂乳固形分34.6質量%、固形分35.0質量%。
・蔗糖型液糖:固形分68.0質量%、フジ日本精糖社製。
・水あめ:固形分65質量%、日本コーンスターチ社製。
・加糖凍結卵黄:脂肪分22.30質量%、固形分55.9質量%、三州食品社製。
・乳化安定剤:増粘多糖類50.0質量%、グリセリン脂肪酸エステル50.0質量%、太陽化学社製。
・安定剤:増粘多糖類100.0質量%、太陽化学社製。
・乳化剤:グリセリン脂肪酸エステル100.0質量%、太陽化学社製。
以下の試験例において、冷菓材料は、表1に示すアイス原料ミックス(配合A)の凍結物とした。表2に示す製造条件を用いた。冷菓本体2の平面形状は略楕円形とした。
Figure 0007463160000001
Figure 0007463160000002
(試験例1)
配合Aの原料を、混合溶解し、加熱殺菌し、均質化し、2~6℃に温度調節して連続式フリーザーに連続的に供給した。連続式フリーザーから排出される部分凍結品を、押出ノズル11に連続的に供給した。部分凍結品の排出温度(ノズルへの供給温度)は、設定値-5.5℃、実測値-5.3~-5.7℃であった。連続式フリーザーから排出される部分凍結品のオーバーラン(設定値)は0%とした。
押出ノズル11の排出部11dから排出される未硬化物を、排出方向に垂直に切断した。切断する直前の未硬化物にスティック3を刺した。これによりトレイ30上に成形物22を得た。成形速度(1分間に得られる成形物の数)は160個/分とした。
得られた成形物22を、硬化工程で-42~-35℃に26~27分間保持して硬化させた。この後、スティック3を把持して持ち上げる装置によってトレイ30から引き剥がし、アイスバー状の冷菓1を得た。
冷菓の製造中、第1のエアノズル13及び第2のエアノズル14から押出ノズル11の外面に、15~16℃の空気を吹き付けた。これにより、第1のエアノズル13の近傍には、押出ノズル11の外面温度が0~(T1)℃の範囲内で連続している領域が形成され、第2のエアノズル14の近傍には、押出ノズル11の外面温度が0~(T2)℃の範囲内で連続している領域が形成された。
表3に示すように、押出ノズル11の外面に吹き付ける空気の流速、又は押出ノズルの外面とエアノズル本体との距離を調整することによって、押出ノズル11の外面温度条件(外面温度が0~18℃である領域の割合H)を変化させて冷菓を製造した。表3に、第1、第2のエアノズル近傍の領域におけるぞれぞれの最高温度(前記T1、T2)を示す。いずれの条件においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-5.0℃であった。
各外面温度条件(H)で得られた冷菓について、上記の方法でZmin/Zmax及びYmin/Ymaxを測定し、形状安定性を評価した。結果を表4、5に示す。
上記の方法で、各外面温度条件における未硬化物(アイス原料ミックスの部分凍結品)の温度tを測定したところ-5.7~-5.1℃の範囲内であった。
表中の「エアーなし」では、第1のエアノズル13及び第2のエアノズル14からの気体の吹き付けをしないで冷菓を製造した。この場合の押出ノズル11の外面温度の最低温度は-5.7℃、最高温度Tは-5.0℃であった。
(試験例2~9)
表4、5に示すように、連続式フリーザーから排出される部分凍結品のオーバーラン(設定値)を10~100%の範囲で変更したほかは、試験例1と同様にして冷菓を製造し、評価した。
Figure 0007463160000003
Figure 0007463160000004
Figure 0007463160000005
表4、5の結果に示されるように、オーバーランの値が低いほど、形状のゆがみが大きくなりやすい傾向があった。押出ノズル11の外面温度を調整することにより、形状のゆがみを改善できることが認められた。
(試験例11~17)
試験例4(オーバーランが30%)において、押出ノズル11の排出部11dから排出される未硬化物の流下速度と未硬化物を切断する際のカットスピードを調整して、冷菓本体の厚さを表6、7に示すとおりに変更した。各試験例における冷菓本体の体積(設計値)を表2に示す。それ以外は試験例4と同様にして、アイスバー状の冷菓1を得た。試験例4と試験例14の製造条件は同じである。
表6、7に示すように、押出ノズル11の外面温度条件(H)を変化させて冷菓を製造した。得られた冷菓について同様に評価した。結果を表6、7に示す。
Figure 0007463160000006
Figure 0007463160000007
表6、7の結果に示されるように、冷菓本体の厚さが小さいほど、形状のゆがみが大きくなりやすい傾向があった。押出ノズル11の外面温度を調整することにより、形状のゆがみを改善できることが認められた。
(試験例21)
試験例4(オーバーランが30%)において、連続式フリーザーから排出される部分凍結品の温度を調整して、押出ノズル11への供給温度を設定値-4.5℃、実測値-4.3~-4.7℃に変更した。
表8に示すように、押出ノズル11の外面温度条件(H)を変化させた。いずれの条件においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-4.0℃であった。
それ以外は試験例4と同様にして、アイスバー状の冷菓1を製造した。得られた冷菓について、試験例4と同様にして評価した。結果を表9、10に示す。
本例において、各外面温度条件(H)における未硬化物の温度tは-4.1~-4.7℃の範囲内であった。
いずれの外面温度条件(H)においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-4.0℃であった。
「エアーなし」の場合の、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-4.7℃、最高温度Tは-4.0℃であった。
(試験例22)
試験例21において、押出ノズル11への供給温度を設定値-5.0℃、実測値-4.8~-5.2℃に変更した。
表8に示すように、押出ノズル11の外面温度条件(H)を変化させた。いずれの条件においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-4.5℃であった。
それ以外は試験例21と同様にして、アイスバー状の冷菓1を製造し、評価した。結果を表9、10に示す。
本例において、各外面温度条件(H)における未硬化物の温度tは-4.6~-5.2℃の範囲内であった。
いずれの外面温度条件(H)においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-4.5℃であった。
「エアーなし」の場合の、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-5.2℃、最高温度Tは-4.5℃であった。
(試験例23)
試験例23の製造条件は試験例4及び試験例14と同じである。
(試験例24)
試験例21において、押出ノズル11への供給温度を設定値-6.0℃、実測値-5.8~-6.2℃に変更した。
表8に示すように、押出ノズル11の外面温度条件(H)を変化させた。いずれの条件においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-5.5℃であった。
それ以外は試験例21と同様にして、アイスバー状の冷菓1を製造し、評価した。結果を表9、10に示す。
本例において、各外面温度条件(H)における未硬化物の温度tは-5.6~-6.2℃の範囲内であった。
いずれの外面温度条件(H)においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-5.5℃であった。
「エアーなし」の場合の、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-6.2℃、最高温度Tは-5.5℃であった。
(試験例25)
試験例21において、押出ノズル11への供給温度を設定値-6.5℃、実測値-6.3~-6.7℃に変更した。
表8に示すように、押出ノズル11の外面温度条件(H)を変化させた。いずれの条件においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-6.0℃であった。
それ以外は試験例21と同様にして、アイスバー状の冷菓1を製造し、評価した。結果を表9、10に示す。
本例において、各外面温度条件(H)における未硬化物の温度tは-6.1~-6.7℃の範囲内であった。
いずれの外面温度条件(H)においても、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-6.0℃であった。
「エアーなし」の場合の、押出ノズル11の外面温度の最低温度は-6.7℃、最高温度Tは-6.0℃であった。
Figure 0007463160000008
Figure 0007463160000009
Figure 0007463160000010
表9、10の結果に示されるように、ノズルへの供給温度が高すぎても低すぎても、形状のゆがみが大きくなりやすい傾向があった。押出ノズル11の外面温度を調整することにより、形状のゆがみを改善できることが認められた。
1 冷菓
2 冷菓本体
2a 表側端面
2b 裏側端面
3 スティック
11 押出ノズル
11a 供給部
11b 主筒部
11c 縮径部
11d 排出部
13 第1のエアノズル
14 第2のエアノズル
14a エアノズル本体
14b 吹出口
20 切断部
21 未硬化物
22 成形物
30 トレイ
51 シリンダー
52 ブレード付きダッシャー
52a ブレード
53 ビーター
54 冷媒ジャケット

Claims (3)

  1. 冷菓材料の未硬化物を排出する押出ノズルと、前記押出ノズルから排出された前記未硬化物を押出方向に対して交差する方向に切断する切断部と、前記押出ノズルの外面温度を局所的に上昇させる温度調整部とを有する、冷菓の製造装置。
  2. 前記温度調整部が、前記押出ノズルの外面に気体を吹き付けるエアノズルを備える、請求項1に記載の製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の製造装置を用いて冷菓を製造する方法であって、
    前記押出ノズルに前記未硬化物を供給し、前記押出ノズルの外面温度が0~T℃(0<T≦18)の範囲内で連続的に変化している領域が存在する状態で、前記押出ノズルから前記未硬化物を排出し、前記押出ノズルから排出された前記未硬化物を前記切断部で切断して成形物を得て、前記成形物を硬化して冷菓を得る、冷菓の製造方法。
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