JP7516609B2 - 冷菓及び冷菓の製造方法 - Google Patents

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本技術は、冷菓及び冷菓の製造方法に関する。より詳しくは、冷菓基材と、特定の物性を有する油脂組成物と、を含む冷菓及びその製造方法に関する。
冷菓は、長きにわたる人気商品の一つである。中には、冷菓基材の内部に他の食品等を含む冷菓などもあり、市場性の高い商品として非常に注目を集めている。
特許文献1には、内部に薄いチョコレート層が形成されている冷菓の製法が開示されている。特許文献2には、チョコレート等の油性食品を含浸させた組織状大豆蛋白質を内部に含む冷菓が開示されている。
特開平1-124354号公報 特開2015-112034号公報
しかしながら、冷菓基材と油脂組成物とを含む冷菓において、冷菓基材に油脂組成物を充填した際に、その充填部分から油脂組成物が流出する問題があった。このような問題は、製造上での歩留まりの悪化や、最終製品である冷菓の外観不良にも影響を与える。
本技術では、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる冷菓を提供することを主目的とする。
本願発明者は、鋭意検討を行った結果、油脂組成物の物性に着目することで、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる冷菓を提供できることを見出し、本技術を完成させるに至った。
本技術では、冷菓基材と、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物と、を含む冷菓を提供する。
本技術に係る冷菓において、前記冷菓基材は、略円柱形状であってもよい。この場合、前記略円柱形状の上面及び/又は底面の表面にのみ、少なくとも一ヶ所前記油脂組成物が表出していてもよい。また、この場合、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が、0.1mL以上であってもよい。更に、この場合、可食性板状体により上面及び底面の少なくとも一部が覆われていてもよい。
また、本技術では、冷菓基材と油脂組成物とを含む冷菓の製造方法であって、半固体の冷菓基材に対して、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物を充填する工程Aと、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を凍結させる工程Bと、を含む、冷菓の製造方法を提供する。
本技術に係る製造方法において、前記冷菓基材は、略円柱形状であり、工程Aの前に、半固体の冷菓基材の底面に可食性板状体を配置する工程Cと、工程Aの後に、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材の上面に可食性板状体を配置する工程Dと、を更に含んでいてもよい。
すなわち、以下のとおりである。
[1] 冷菓基材と、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物と、を含む冷菓。
[2] 前記冷菓基材は、略円柱形状である、[1]の冷菓。
[3] 前記略円柱形状の上面及び/又は底面の表面にのみ、少なくとも一ヶ所前記油脂組成物が表出している、[2]の冷菓。
[4] 表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が、0.1mL以上である、[3]の冷菓。
[5] 可食性板状体により上面及び底面の少なくとも一部が覆われた、[2]から[4]のいずれかに記載の冷菓。
[6] 冷菓基材と油脂組成物とを含む冷菓の製造方法であって、半固体の冷菓基材に対して、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物を充填する工程Aと、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を凍結させる工程Bと、を含む、冷菓の製造方法。
[7] 前記冷菓基材は、略円柱形状であり、工程Aの前に、半固体の冷菓基材の底面に可食性板状体を配置する工程Cと、工程Aの後に、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材の上面に可食性板状体を配置する工程Dと、を更に含む、[6]の冷菓の製造方法。
本技術によれば、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる冷菓を提供することができる。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術に係る冷菓の形態の一例を示す模式図である。 本技術に係る冷菓の形態の図1とは異なる例を示す模式図である。 本技術に係る冷菓の形態の図1及び2とは異なる例を示す模式図である。 各油脂組成物のせん断粘度と温度の関係を示すグラフである。 各油脂組成物の硬度の測定方法について説明する図である。 試験例における試験方法について説明する図である。
以下、本技術の好ましい実施形態について詳細に説明する。
ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書において、百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
1.冷菓
本技術では、油脂組成物の物性のうち、特定の温度における油脂組成物のせん断粘度に着目することで、製造工程において、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる冷菓を提供できる。
本技術に係る冷菓の形態は、油脂組成物が冷菓基材に充填された形態であることが好ましく、油脂組成物の一部が冷菓基材に包埋されていることがより好ましい。また、冷菓基材は、略円柱形状であることがより好ましく、図1に示すように、前記略円柱形状の上面及び/又は底面の表面にのみ、少なくとも一ヶ所油脂組成物が表出している形態であることが更に好ましい。本技術に係る冷菓は、特に図1に示す形態である場合において、上面又は底面の表面から、油脂組成物が冷菓基材から流出することを防ぐことができる。
なお、本技術において、冷菓基材が略円柱形状である場合、当該冷菓基材は前記油脂組成物を充填するための穴を有していてもよい。
また、本技術においては、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が、0.1mL以上であってもよい。この場合、前記油脂組成物は、冷菓基材の内部に前記冷菓基材の上面及び/又は底面から穴を空けて充填された、或いは差し込み充填されたものであることが好ましい。本技術では、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積を0.1mL以上とした場合においても、油脂組成物が冷菓基材から流出することを防ぐことができる。
なお、本技術の冷菓は、前記油脂組成物が、図1に示すように一ヶ所にのみ充填されていてもよいし、図2に示すように二か所以上充填されていてもよい。本技術では、図2で示した形態であっても、12a~12fのそれぞれの箇所の油脂組成物の総体積を、0.1mL以上とすることができる。ここでいう「一ヶ所」とは、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物部分であり、冷菓基材部分の内部で表出した前記油脂組成物部分が連結する場合は、表出している箇所が複数であっても一ヶ所である。すなわち、冷菓基材表面に表出した箇所を含めた、一つのまとまった油脂組成物部分を一ヶ所とする。
本技術において、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積の下限値は、好ましくは0.1mL以上であり、より好ましくは0.5mL以上であり、更に好ましくは1.0mL以上であり、特に好ましくは1.5mL以上である。
また、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積の上限値は、好ましくは10.0mL以下であり、より好ましくは5.0mL以下である。
本技術において、油脂組成物の体積と冷菓基材の体積の比率は特に限定されないが、油脂組成物の一ヶ所当たりの体積:冷菓基材の体積=1~15:100とすることが好ましい。
図3は、本技術に係る冷菓の形態の図1及び2とは異なる例を示す模式図である。本技術に係る冷菓は、可食性板状体により上面及び底面の少なくとも一部が覆われたものとすることができる。なお、本技術では、上面及び底面の少なくとも一部の他、上面及び底面の全部や、側面の少なくとも一部、側面の全部が可食性板状体により覆われていてもよい。可食性板状体により覆うことで、新たな風味や食感の付与を図ることができる。
(1)冷菓基材
<冷菓基材の種類>
本技術において、冷菓基材には、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和二十六年十二月二十七日厚生省令第五十二号。以下、「乳等省令」と称する。)で規定されているアイスクリーム類、シャーベット、「食品の添加物等の規格基準」で規定されているアイスキャンデー、かき氷、みぞれなどの氷菓、フローズンヨーグルト等を用いることができる。
アイスクリーム類とは、乳等省令により、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)をいう。アイスクリーム類は、含まれる乳固形分と乳脂肪分の量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分類される。
一方で、乳固形分3.0%未満のものは、前記アイスクリーム類ではなく、食品衛生法に基づく厚生省告示「食品、添加物等の規格基準」により、氷菓として規定されている。
フローズンヨーグルトは、乳等省令により、種類別「発酵乳」に分類され、「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」と定められている。成分規格は、「無脂乳固形分8.0%以上、乳酸菌数又は酵母数1000万/ml以上」と規定されている。
本技術に用いられる冷菓基材としては、アイスクリーム、アイスミルク、又はラクトアイスが好ましい。本技術に係る冷菓では、これらを冷菓基材とした場合に、特に油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる。
<オーバーラン>
本技術に用いられる冷菓基材のオーバーラン値(容量基準)は特に限定されないが、10%~110%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「オーバーラン」とは、原料混合液の容量に対する含気空気量の百分率を意味する。例えば、オーバーラン100%の冷菓基材には、原料混合液と同容量の空気が含まれていることを意味する。
<冷菓基材の粘度>
本技術に用いられる冷菓基材の粘度は特に限定されないが、原料混合液の5℃における粘度が50mPa・s~500mPa・sであることが好ましい。
粘度の測定方法は特に限定されず、例えば、B型粘度計を用いて、回転数60rpm、ローターNo.2として、5℃の状態で測定する。
<冷菓基材の原料>
本技術に用いられる冷菓基材の原料としては、例えば、通常冷菓基材を製造する際に用いられる油脂、乳原料、糖類、甘味料、安定剤、乳化剤、植物汁、増粘剤、pH調整剤、卵、色素等の着色料、香料、酸味料、風味原料、でんぷん、食塩、水、他の材料を適宜選択して用いることができる。
[油脂]
本明細書において、「油脂」とは、動物性油脂、植物性油脂、これらの加工油脂などを意味し、これらの中から1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
動物性油脂としては、例えば、牛乳脂などの乳脂、牛脂、豚脂、魚油が挙げられる。
植物性油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、シア脂、サル脂、カカオ脂が挙げられる。
植物性油脂及び/又は動物性油脂を水素添加等の加工を行った加工油脂としては、例えば、マーガリン、ショートニングが挙げられる。
[乳原料]
乳原料としては、例えば、生乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、バターオイル、クリームチーズを含むチーズ、濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、発酵乳、発酵乳パウダー、ブロックミルクが挙げられる。本技術においては、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
[甘味料]
本明細書において、「甘味料」とは、冷菓基材に甘味を付与する原料を意味し、糖類及び糖類以外の甘味を付与する原料をも含む概念である。
甘味料としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、三温糖、黒砂糖などの砂糖;、水あめ、粉飴、砂糖混合異性化糖、異性化糖、乳糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、転化糖、還元麦芽水あめ、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D-キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチロール、エリスリトール等の糖アルコール類;サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料が挙げられる。本技術においては、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
[安定剤]
安定剤としては、例えば、ゼラチン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、カラギーナン、微結晶セルロース、アラビアガム、カラヤガム、キサンタンガム、タラガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、マクロホモプシルガム、寒天、アルギン酸、アルギン酸塩などのアルギン酸類;、大豆多糖類が挙げられる。本技術においては、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
[乳化剤]
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル(シュガーエステル)類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、レシチン、クエン酸又は乳酸等の有機酸モノグリセリド類、有機酸ジグリセリド類が挙げられる。本技術においては、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
[他の材料]
本技術に用いられる冷菓基材は、本技術の効果を損なわない限り、他の材料を含有していてもよい。例えば、小豆、小豆あん、黒豆、及びひよこ豆等のかのこ豆を含む豆類;ピーナッツ、アーモンド、ピスタチオ、及びヘーゼルナッツ等のナッツ類;クッキー、ビスケット、クランチ、ウェハース、カステラ、マカロン等の小麦粉を主原料とした焼成菓子、及びコーンフレーク等のとうもろこしを主原料とした焼成菓子を含む焼成菓子類;餅等の米を主原料とした米菓類;キャンディ、マシュマロ等の砂糖菓子を含む砂糖菓子類;ラムレーズン等のドライフルーツやカットフルーツを含む果物類;さつまいも等の根菜を含む野菜類が挙げられる。本技術においては、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(2)油脂組成物
<硬化温度及びせん断粘度>
本技術に用いられる油脂組成物は、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である。
本技術では、油脂組成物の20℃及び30℃におけるせん断粘度を上記特定の範囲に制御することで、製造工程において、冷菓基材から油脂組成物が流出することを防ぐことができる。
せん断粘度の測定は、従来公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、粘度測定装置を用いて測定することができる。
具体的には、粘度測定装置を使用し、油脂組成物を60℃に調温する。次いで、治具 CP50(φ50mmコーンプレート)に油脂組成物を適量セットする。測定GAP(mm):0.095mm、せん断速度(1/s):10の条件でせん断をかけ、油脂組成物の温度を60℃から0℃に750秒かけて降下させ、3秒毎(0.2~0.3℃毎)にせん断粘度(Pa・s)を測定する。
本技術において、油脂組成物のせん断粘度の制御は、従来公知の方法に基づいて行うことができる。例えば、油脂組成物中の脂肪酸組成、カカオ成分量、水分含有量、乳糖含有量、又はその他の不溶性物質含有量を適宜変更する。
本技術に用いられる油脂組成物の硬化温度は、20~30℃の範囲内であることが好ましく、20~25℃の範囲内であることがより好ましい。
本技術において、油脂組成物の硬化温度は、例えば、前述した上記せん断粘度の測定方法を行った際に、60℃から0℃に温度を降下させる過程において、0.2~0.3℃刻みでせん断粘度を測定し、最初に2連続で測定点の変化割合が、-3.5(Pa・s/℃)以下となった時点を降下温度であると規定することができる。
本技術において、油脂組成物の硬化温度の制御は、従来公知の方法に基づいて行うことができる。例えば、脂肪酸組成を適宜変更する。
<硬度>
本技術に用いられる油脂組成物の硬度の最大値は、44~56gであることが好ましい。これにより、冷菓基材から油脂組成物が流出しにくいにもかかわらず、硬過ぎず、適度な食感を付与することができる。
硬度の測定は、従来公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、レオメータを用いて測定することができる。
<油脂組成物の原料>
本発明に用いられる油脂組成物は、油脂を主要な原料として含むものである。具体的には、油脂組成物全体に対して、油脂を20質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上含むものである。
原料油脂については、通常冷菓基材を製造する際に用いられる油脂が挙げられる。当該油脂については、前述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
本技術に用いられる油脂組成物としては、例えば、チョコレート類、バター加工品、植物油脂加工品等が挙げられる。チョコレート類には、チョコレート、準チョコレート、チョコレート菓子、チョコレート利用食品が含まれる。また、チョコレート利用食品には、チョコレートスプレッドA、チョコレートスプレッドB、チョコレートシロップ、チョコレートフラワーペースト、チョコレートコーチングがある。
本技術に用いられる油脂組成物としては、これらの中でも特に、チョコレート類が好ましく、チョコレート類の中でも特に、チョコレート利用食品がより好ましい。更に、チョコレート利用食品の中でも特に、チョコレートコーチングが好ましい。
本技術に用いられる油脂組成物の他の原料としては、例えば、通常冷菓基材又は油脂組成物を製造する際に用いられる油脂、乳原料、糖類、甘味料、安定剤、乳化剤、植物汁、増粘剤、pH調整剤、卵、色素等の着色料、香料、酸味料、風味原料、でんぷん、食塩、水、他の材料を適宜選択して用いることができる。これらについては、前述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
(3)可食性板状体
本技術に用いられる可食性板状体の形態は、板状体であれば特に限定されず、例えば、三角形、四角形等の多角形、星形、円形、楕円形とすることができ、その一部が窪んだ形や孔を有する形などの形態であってもよい。
本技術に用いられる可食性板状体は特に限定されず、例えば、ウェハース、カステラ、クッキー、サブレの概念も含むビスケット、ワッフル、パイ、タルト、タコス皮、クレープ皮、シュー皮が挙げられる。また、これらはチョコレート、準チョコレート、きな粉やシュガーパウダーなどの各種パウダー等によりコーティングされていてもよい。
本技術に用いられる可食性板状体としては、これらの中でも特に、ビスケットが好ましい。
2.冷菓の製造方法
本技術に係る製造方法は、冷菓基材と油脂組成物とを含む冷菓の製造方法であって、半固体の冷菓基材に対して30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物を充填する工程Aと、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を凍結させる工程Bと、を含む。また、必要に応じて、工程C~F、油脂組成物製造工程等のその他の工程を行ってもよい。
本技術において、冷菓基材及び前記油脂組成物を使用することで、通常の冷菓の製造方法を採用した場合であっても、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できるという利点を有する。
以下、各工程について詳細に説明する。
[工程A]
本工程では、半固体の冷菓基材に対して、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物を充填する。冷菓基材及び油脂組成物については、前述したものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
具体的には、一定温度に調温した半固体の冷菓基材の上面から、油脂組成物の融点以上に調温した所望の量の油脂組成物を充填する。前記冷菓基材に対する充填箇所は少なくとも一ヶ所以上であればよい。なお、ここでいう所望の量とは、例えば、表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が、0.1mL以上となる量である。また、本技術では、油脂組成物は、冷菓基材の上面中央に一ヶ所のみ充填してもよく、或いは、円周に沿って数か所充填してもよい。油脂組成物の充填は、充填機のノズル等を利用して行うことができる。前記ノズルは、食品分野において液体原料を容器に充填する際などに通常用いられるものを用いることができる。
[工程B]
本工程では、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を凍結させる。
具体的には、工程Aの後、3分以内(好ましくは、1分以内)に、-20℃以下の温度範囲で20分以上冷却させる。
[工程C]
本技術に係る製造方法において、前記冷菓基材が略円柱形状である場合、必要に応じて、工程Aの前に、半固体の冷菓基材の底面に可食性板状体を配置する工程Cを更に行ってもよい。
具体的には、一定温度に調温した半固体の冷菓基材の底面に、ビスケット等の可食性板状体を食品分野において通常用いられる装置により配置する。
[工程D]
本技術に係る製造方法において、前記冷菓基材が略円柱形状である場合、工程Aの後に、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材の上面に可食性板状体を配置する工程Dを更に行ってもよい。
具体的には、前記油脂組成物が充填された半固体の冷菓基材の上面に、ビスケット等の可食性板状体を食品分野において通常用いられる装置により配置する。
工程C及び工程Dを行うことにより、可食性板状体により両側をはさんだサンドイッチタイプの冷菓(所謂、フローズンデザート)を製造することができる。
[工程E]
本技術に係る製造方法では、工程Aの前に、必要に応じて、冷菓基材を製造する工程Eを更に行ってもよい。
冷菓基材の製造は、従来公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、各原料を混合、溶解して原料混合液を調製する。次いで、必要に応じて、濾過、均質化、殺菌を行った後に、冷却してエージングする。エージングを終えた原料混合液を連続式フリーザーに投入してフリージングする。
「エージング」とは、原料混合液中の脂肪球を結晶化し、乳化被膜を安定化させることであり、エージングを行うと原料混合液の乳化状態の物性が安定化する傾向にある。また、「連続式フリーザー」とは、連続的に冷却と攪拌を行うフリーザーのことをいう。更に、「フリージング」とは、原料混合液を冷却すると同時に適量の空気を混入して、気泡や氷の粒を乳化液中に分散させることをいう。原料混合液をフリージングすることで、適度な空気と微細な氷結晶を有する半凍結液を得ることができる。
本工程では、必要に応じて、冷菓基材をモールドに充填し、成形してもよい。
モールドは、金属製、プラスチック製、紙製等の各種材質のものを用いることができる。本技術では特に、冷菓基材を略円柱形状に成形することが好ましい。なお、当該略円柱形状は、工程Aにて前記油脂組成物を充填するための穴を有していてもよい。
[油脂組成物製造工程]
本技術に係る製造方法では、工程Aの前に、必要に応じて、油脂組成物を製造する工程を行うことができる。
油脂組成物の製造は従来公知の方法に基づいて行うことができ、例えば、各原料を混合、溶解させて原料混合液を調製し、必要に応じて濾過、均質化、殺菌等の処理を行う。
[工程F]
本技術に係る製造方法では、工程Dの後に、必要に応じて、得られた冷菓を包装する工程Fを更に行ってもよい。
具体的には、プラスチックフィルムや紙等を用いたピロー包装の他、紙箱での包装等、食品分野において通常用いられる方法により任意の形態に包装できる。
以下、製造例、実施例等に基づいて本技術を更に詳細に説明する。
なお、以下に説明する製造例、実施例等は、本技術の代表的な製造例、実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
<製造例1>
以下の工程により、冷菓を作製した。
[工程E]
下記表1に示す冷菓基材の処方にしたがって、各原料を溶解水に投入後、85℃まで加温し、原料を溶解し、10分間保持した。得られた溶解液を、撹拌機 ROBOMIX(Primix社製)にて8000rpmで2分間撹拌し、予備乳化した。次いで、ホモジェナイザー(三丸機械工業株式会社製)を用い、2段目:5MPa、全圧:15MPaにて75℃で得られた溶解液を均質化し、10℃以下に冷却し、原料混合液を得た。得られた原料混合液をダンヤンソフトクリームフリーザー SF-2(三菱重工業株式会社製)にてフリージングし、オーバーラン値を105%とし、その後、-5℃に温度調製し、略円柱形状に成形し、-25℃で冷却した。
[工程C]
略円柱形状かつ半固体の冷菓基材の底面にビスケットを配置した。
[工程A]
底面にビスケットが配置された、略円柱形状かつ半固体の冷菓基材の上面中央にコルクボーラーで円柱形の穴を空け、-10℃で10時間以上保管して調温した。調温後、室温下(25℃)に出し、-8℃に調温した。次いで、前記円柱形の穴に、40℃に調温した後述する製造例2の表2に示す油脂組成物No.1(チョコレートコーチング)を、前記半固体の冷菓基材の上面の一ヶ所から表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が2.5±0.5mLとなるよう流し込んだ。
[工程D]
本技術に用いられる油脂組成物が充填された、前記半固体の冷菓基材の上面に可食性板状体を配置した。
[工程B]
各油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を、-35℃の硬化トンネルにて、30~60分間かけて急速冷凍した。
[工程F]
急速冷凍後、直ちにプラスチックフィルムでピロー包装し、冷菓基材と、上記油脂組成物からなる冷菓を得た。
<製造例2>
以下の工程により、冷菓を作製した。
[工程E]
上述した製造例1と同様の方法にて、原料混合液を得た。得られた原料混合液をダンヤンソフトクリームフリーザー SF-2(三菱重工業株式会社製)にてフリージングし、オーバーラン値を105%とした。その後、-5℃に調温して略円柱形状に成形し、-25℃に冷却した。
[工程A]
半固体の冷菓基材の上面中央にコルクボーラーで円柱形の穴(内径:φ11mm、深さ:31mm)を空け、-10℃で10時間以上保管して調温した。調温後、室温下(25℃)に出し、-8℃に調温した。次いで、前記円柱形の穴に、40℃(硬化油については60℃)に調温した下記表2に示す各油脂組成物(チョコレートコーチング)を、前記半固体の冷菓基材の上面の一ヶ所から表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が2.5±0.5mLとなるよう流し込んだ。
なお、上記表2に示した各油脂組成物の硬化温度及び硬度については、下記の手順に従い測定した。
〔硬化温度〕
粘度測定装置 MCR301(Anton Paar GmbH製)を使用し、せん断粘度を測定した。
各油脂組成物を60℃に調温した。次いで、治具 CP50(φ50mmコーンプレート)に各油脂組成物を適量セットした。測定GAP(mm):0.095mm、せん断速度(1/s):10の条件でせん断をかけ、各油脂組成物の温度を60℃から0℃に750秒かけて降下させ、3秒毎(0.2~0.3℃毎)にせん断粘度(Pa・s)を測定した。
60℃から0℃に温度を降下させる過程において、0.2~0.3℃刻みでせん断粘度を測定し、最初に2連続で測定点の変化割合が、-3.5(Pa・s/℃)以下となった時点を硬化温度とした。
なお、各油脂組成物のせん断粘度と温度の関係については、図4に示した。
〔硬度〕
各油脂組成物を40℃(硬化油は60℃)に調温した。直径:φ56mm、厚さ:4mmの型枠に流し込み、-20℃で固化させた。型枠から各油脂組成物を取り出し、ディスク状のサンプルとした(図5のA参照)。レオメータ RheoPlus Compac100-II(サン電子株式会社製)を使用し、各油脂組成物の硬度を測定した。高さ:15mmの支持台を二台、30mmの距離に設置し、その中央上部に各油脂組成物を乗せた。直径:φ3mm、ステンレス製の円柱形冶具を使用し、各油脂組成物の中央部に80mm/分の速度で押し込んだ(図5のB参照)。当該冶具が各油脂組成物に接触する地点を基準点(0mm)とし、5mmまで冶具を押し込んだ。前記レオメータが測定する硬度(g)と突き刺し深度(mm)でグラフを作成し、硬度(g)の最大値を記録した(例えば、図5のC(油脂組成物No.2の場合)参照)。
[工程B]
各油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を、-35℃の硬化トンネルにて、30~60分間かけて急速冷凍した。
<試験例>
製造例2にて製造した各冷菓について、以下の試験を行った。
[試験方法]
工程Aにおいて空けた穴(図6のA参照)に40℃(硬化油については60℃)に調温した各油脂組成物を2.5g±0.5g程度流し込んだ後(図6のB参照)、5秒間保持し、その後、上下逆さまにして、液状の各油脂組成物(チョコレート)を除去した(図6のC参照)。次いで、上下を元に戻し、油脂組成物の一部を除去した後の重量を測定した(図6のD参照)。
液状の各油脂組成物を排除した後の残重量Bを、前記穴に流し込んだ油脂組成物のロード量Aで除した割合を残率Cとして計算した。
[評価基準]
評価基準は、以下の通りとした。
〇:残率Cが85%以上である。
×:残率Cが85%未満である。
[試験結果]
試験結果を、下記表3に示す。
いずれの実施例においても残率が85%以上であり、製造工程上で冷菓基材から油脂組成物が零れにくいことが分かった。一方で、比較例1~8は、いずれも残率が85%未満であり、冷菓基材から油脂組成物が流出し易いことが分かった。
したがって、上記試験結果から、冷菓基材と、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物と、を含む冷菓において、油脂組成物が冷菓基材から流出することを抑制できる。
1:冷菓
11:冷菓基材
12、12a~12f:油脂組成物
13:可食性板状体

Claims (7)

  1. 冷菓基材(但し、容器に収容したもの又はモールド成形したものを除く。)と、
    30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上であり、かつ、前記冷菓基材に充填された油脂組成物と、
    を含み、
    前記冷菓基材の上面及び/又は底面の表面にのみ、少なくとも一ヶ所前記油脂組成物が表出している、冷菓。
  2. 表出した前記油脂組成物部分から連続した油脂組成物の総体積が、0.1mL以上である、請求項に記載の冷菓。
  3. 可食性板状体により上面及び底面の少なくとも一部が覆われた、請求項1又は2に記載の冷菓。
  4. 前記油脂組成物は、硬度の最大値が44~56gである、請求項1から3のいずれか一項に記載の冷菓。
  5. 前記油脂組成物は、硬化温度が20~25℃の範囲内である、請求項1から4のいずれか一項に記載の冷菓。
  6. 冷菓基材(但し、容器に収容したもの又はモールド成形したものを除く。)前記冷菓基材に充填された油脂組成物とを含み、前記冷菓基材の上面及び/又は底面の表面にのみ、少なくとも一ヶ所前記油脂組成物が表出している冷菓の製造方法であって、
    半固体の冷菓基材に対して、30℃におけるせん断粘度が1.4Pa・s以下であり、かつ、20℃におけるせん断粘度が4Pa・s以上である油脂組成物を充填する工程Aと、
    前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材を凍結させる工程Bと、
    を含む、冷菓の製造方法。
  7. 程Aの前に、半固体の冷菓基材の底面に可食性板状体を配置する工程Cと、
    工程Aの後に、前記油脂組成物が充填された前記半固体の冷菓基材の上面に可食性板状体を配置する工程Dと、
    を更に含む、請求項6に記載の冷菓の製造方法。
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