JP7460955B2 - チタン酸バリウム繊維、およびそれを含む樹脂組成物並びに高分子複合圧電体、およびチタン酸バリウム繊維の製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム繊維、およびそれを含む樹脂組成物並びに高分子複合圧電体、およびチタン酸バリウム繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チタン酸バリウム繊維、およびそれを含む樹脂組成物、ワニス、高分子複合圧電体および圧電素子に関する。本発明はまた、これらの製造方法にも関する。
チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミックスは、優れた圧電特性や誘電特性を有することから、センサー、発電素子、アクチュエータ、音響機器、コンデンサ等に応用されている。圧電セラミックスは、優れた圧電・誘電特性や高い耐熱性を有するものの、硬くて脆いため、柔軟性が乏しく、大面積化や加工性が困難であるという問題があった。このような問題を解決するために、高分子に圧電セラミックス粉末をフィラーとして充填した高分子複合圧電体が用いられている。このような高分子複合圧電体は、高分子の優れた柔軟性や加工性と、圧電セラミックスの優れた圧電・誘電特性を兼ね備えた材料として注目されており、高分子の種類、圧電セラミックスの組成、形状、配合比などを変えることによって、目的に応じた材料設計が可能である。
特許文献1には、フッ化ビニリデン系ポリマー、チタン酸バリウム系酸化物粒子および/またはチタン酸ジルコン酸鉛系酸化物粒子、親和性向上剤を含んでなる高誘電性フィルムが記載されている。しかしながら、圧電性については何も検討されていない。
一方、これまでチタン酸バリウムの特性を向上させる方法としてBa/Tiモル比に着目した検討がなされている。特許文献2には、Ba/Tiモル比が1.01~1.18であり、950~1100℃の温度で焼結されるチタン酸バリウム焼結体用原料粉末が記載されている。しかしながら、この文献に開示されているのは、焼結体用粉末であり、高分子中へ充填することを想定しておらず、圧電性についても検討されていない。また、特許文献3には、エラストマーマトリクス中に、一般式MO・TiO2で表されるチタン酸金属塩繊維状物及び/又は該チタン酸金属塩を非晶質酸化チタンが包みこんだ態様で複合一体化した複合繊維であって金属MとTiとのモル比が1:1.005~1.5の範囲にある複合繊維を、合計重量を基準として5~80重量%配合してなる高誘電性エラストマー組成物が記載されている。しかしながら、今なお、高分子に起因する優れた柔軟性や加工性に加えて、チタン酸金属塩に起因する優れた圧電・誘電特性を発揮できる複合圧電体を開発することが望まれている。
国際公開第2007/088924号 特開2004-26641号公報 特開平9-31244号公報
本発明の目的は、特に高分子複合圧電体用のフィラーとして有用なチタン酸バリウム繊維を提供すること、および高い圧電特性を有する高分子複合圧電体並びにそれを利用した圧電素子を提供することである。
本発明者は、上記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲であるチタン酸バリウム繊維をフィラーとして用いることで、高い圧電定数を有する高分子複合圧電体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
[1]バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲である、チタン酸バリウム繊維。
[2]平均繊維長が0.5~1000μmの短繊維である、[1]に記載のチタン酸バリウム繊維。
[3]前記チタン酸バリウム繊維の平均繊維径が0.1~20μmの範囲であり、アスペクト比が2以上である、[1]または[2]に記載のチタン酸バリウム繊維。
[4][1]~[3]のいずれか1項に記載のチタン酸バリウム繊維と、高分子とを含む、樹脂組成物。
[5]前記チタン酸バリウム繊維と前記高分子の合計量に対する、前記チタン酸バリウム繊維の割合が、10~90体積%である、[4]に記載の樹脂組成物。
[6]さらに、前記チタン酸バリウム繊維に対して0.1~10重量%の分散剤および/または0.1~10重量%のレベリング剤を含む、[4]または[5]に記載の樹脂組成物。
[7]さらに溶媒を含む、[4]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]高分子複合圧電体を製造するために用いられる、[4]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[9][4]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる、高分子複合圧電体。
[10]電圧出力定数g33が150mVm/N以上である、[9]に記載の高分子複合圧電体。
[11][9]または[10]に記載の高分子複合圧電体の片面、もしくは両面に導電層を備える、圧電素子。
[12]紡糸溶液を調製する工程と、前記紡糸溶液を静電紡糸してチタン酸バリウム繊維前駆体を作製する工程と、前記前駆体を焼成する工程と、を含むチタン酸バリウム繊維の製造方法であって、前記紡糸溶液を調製する工程において、バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲になるように調製することを特徴とする、チタン酸バリウム繊維の製造方法。
[13]さらに、チタン酸バリウム繊維を粉砕する工程を含む、[12]に記載のチタン酸バリウム繊維の製造方法。
[14][12]または[13]の製造方法によりチタン酸バリウム繊維を得る工程と、前記チタン酸バリウム繊維、高分子、および溶媒を含む樹脂組成物を調製する工程と、前記樹脂組成物をスクリーン印刷法により支持体に塗布する工程と、を含む高分子複合圧電体の製造方法。
本発明のチタン酸バリウム繊維を高分子複合圧電体用のフィラーとして用いることで、高い圧電定数を有する高分子複合圧電体を得ることが可能となる。
<チタン酸バリウム繊維>
本発明のチタン酸バリウム繊維は、バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲であることを特徴とする。言い換えれば、本発明のチタン酸バリウム繊維は、Ti原子に対してBa原子をやや過剰に含む(Ti:Ba=1.00モル:1.01~1.04モル)。このようなチタン酸バリウム繊維を高分子複合圧電体用のフィラーとして用いることで、高い圧電定数を有する高分子複合圧電体を得ることが可能となる。チタン酸バリウム繊維のBa/Ti比が1.01以上であれば、繊維を構成する一次粒子の粗大化を防ぐことができ、高分子複合圧電体の圧電定数を向上させることができると考えられる。一方、Ba/Ti比が1.04以下であれば、チタン酸バリウム以外の成分を低減することができる。このような観点から、Ba/Ti比は、1.01~1.03の範囲であることがより好ましく、1.01~1.02の範囲であることがさらに好ましい。チタン酸バリウム繊維のBa/Ti比は、誘導結合プラズマ発光分光(ICP-AES)法、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法、蛍光X線分析法などの測定結果から算出することが可能である。値の正確性を考慮すると、誘導結合プラズマ発光分光(ICP-AES)法から算出することが好ましい。
本発明のチタン酸バリウム繊維のアスペクト比は、特に限定されないが、2以上であることが好ましい。アスペクト比が2以上であれば、高分子複合圧電体用のフィラーとして使用した場合に、優れた圧電特性を有する高分子複合圧電体が得られるため好ましい。アスペクト比の上限は特に限定されないが、チタン酸バリウム繊維を高分子へ均一に分散させるには、1000以下であることが好ましい。このような観点から、チタン酸バリウム繊維のアスペクト比は3~100の範囲であることがより好ましく、4~50の範囲であることがさらに好ましく、5~20の範囲であることが特に好ましい。チタン酸バリウム繊維のアスペクト比は、例えば、走査型電子顕微鏡写真から測定された繊維長及び繊維径から、(繊維長)/(繊維径)として算出することができる。
本発明のチタン酸バリウム繊維の平均繊維径としては、特に限定されないが、0.1~20μmの範囲であることが好ましく、0.2~10μmの範囲であることがより好ましく、0.3~5μmの範囲であることがさらに好ましい。平均繊維径が0.1μm以上であれば、高分子複合圧電体用のフィラーとして使用した場合に、高い圧電特性が得られるため好ましく、20μm以下であれば、高分子複合圧電体の厚みを薄くすることができ、柔軟性を高めることが可能となる。繊維径の制御方法としては、特に制限されないが、後述する静電紡糸工程における紡糸溶液の組成(溶媒の種類、バリウム塩やチタンアルコキシドの濃度、繊維形成材料の分子量や濃度など)、紡糸溶液の粘度、静電紡糸条件などを挙げることができ、これらを適宜変更することで繊維径を制御することが可能である。
本発明のチタン酸バリウム繊維の平均繊維長としては、特に限定されないが、0.5~1000μmの範囲であることが好ましく、1~100μmの範囲であることが好ましく、1.5~50μmの範囲であることがさらに好ましく、2~10μmの範囲であることが特に好ましい。平均繊維長が0.5μm以上であれば、高分子複合圧電体の圧電特性や誘電特性を向上させることができるため好ましく、1000μm以下であれば、高分子等へ均一に分散させることができるため好ましい。繊維長の制御方法としては、特に制限されないが、後述する粉砕工程における粉砕方法や粉砕時間などによって制御することが可能となる。
本発明のチタン酸バリウム繊維の結晶構造は、結晶格子におけるc軸とa軸との比(c/a比)が1.005以上であることが好ましく、1.008以上であればより好ましく、1.010以上であることがさらに好ましい。c/a比が1.005以上であれば、高分子複合圧電体用のフィラーとして使用した場合に、優れた圧電特性を付与することが可能となる。また、チタン酸バリウム繊維の結晶子サイズとしては、特に限定されないが、20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましい。チタン酸バリウム繊維の結晶子サイズが20nm以上であれば、高分子複合圧電体用のフィラーとして使用した場合に、より優れた圧電特性を付与することが可能となる。チタン酸バリウム繊維のc/a比や結晶子サイズの制御方法としては、特に制限されないが、後述する焼成工程における焼成温度、焼成時間、昇温速度を変更することなどが挙げられ、その大きさはX線回析法による測定結果から算出することができる。
本発明のチタン酸バリウム繊維は、単結晶であっても多結晶体(セラミックス)であってもよいが、ポーリングしやすさ、圧電・誘電特性値の均一性・等方性の観点から、多結晶体であることが好ましい。チタン酸バリウム繊維が多結晶体である場合の一次粒子径としては、特に限定されないが、50~3000nmの範囲であることが好ましく、100~1500nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が50nm以上であれば、高分子複合圧電体の圧電特性や誘電特性を向上させることができるため好ましい。一次粒子径が3000nm以下であれば、粉砕工程や高分子との複合化過程によってチタン酸バリウム繊維のアスペクト比が低下しにくくなるため好ましい。チタン酸バリウム繊維の一次粒子径と繊維径の関係としては、特に限定されないが、繊維径が一次粒子径の1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。チタン酸バリウム繊維の繊維径が、一次粒子径の1.5倍以上であれば、高いアスペクト比を有するチタン酸バリウム繊維が得られるため好ましい。本発明のチタン酸バリウム繊維は、特に限定されないが、本発明の効果を損なわない範囲で、バリウムおよびチタン以外の金属成分を含んでいてもよい。このような金属成分としては、特に限定されず、ケイ素、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、ホウ素、インジウム、スズ、鉛、またはビスマスを例示できる。また、金属成分の含有量としては、特に限定されないが、チタン酸バリウム繊維中におけるチタン原子に対して、0.1~10モル%であることが好ましく、0.5~5モル%の範囲であることがより好ましい。0.1モル%以上であれば仕様に見合う効果が得られるため好ましく、10モル%以下であれば、本発明の効果を損なうことがなく、高分子複合圧電体用のフィラーとして使用した場合に、優れた圧電特性を有する高分子複合圧電体が得られるため好ましい。
<チタン酸バリウム繊維の製造方法>
本発明に用いるチタン酸バリウム繊維の製造方法は、特に限定されないが、バリウム原子とチタン原子を1.01~1.04のモル比(Ba/Ti比)範囲で含む溶液、融液、スラリーなどを繊維状に成形した後にチタン酸バリウムを合成する方法や、繊維化と合成を同時に行う方法が例示できる。なかでも、原料を繊維状に成形した後にチタン酸バリウムを合成する方法は、チタン酸バリウムの形状とBa/Ti比の両方を制御しやすいため好ましい。成形方法は、特に限定されないが、金型成形法、鋳込み法、ドクターブレード法、押出成形法、遠心力紡糸法、エアーブロー紡糸法、静電紡糸法などが例示できる。なかでも、静電紡糸法は、チタン酸バリウム繊維の直径を小さくでき、厚みの薄いフィルム状などの高分子複合圧電体中でも均一に分散できる点から好ましい。また、合成方法は、特に限定されないが、焼成法、光加熱法、放電プラズマ焼結法、水熱合成法などが例示できる。
以下、静電紡糸法を用いたチタン酸バリウム繊維の製造方法について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の静電紡糸法によるチタン酸バリウム繊維の製造方法は、紡糸溶液を調製する工程(紡糸溶液調製工程)と、前記紡糸溶液を静電紡糸してチタン酸バリウム繊維前駆体を作製する工程(静電紡糸工程)と、前記前駆体を焼成する工程(合成工程)と、を含む。
<紡糸溶液調製工程>
静電紡糸によるチタン酸バリウム繊維の製造方法における紡糸溶液調製工程としては、曳糸性を有する紡糸溶液が得られれば特に限定されないが、長時間にわたって安定に紡糸するために、次の(1)~(3)の工程を含むことが好ましい。
<(1)第一の溶液調製工程>
紡糸溶液調製工程では、まず(1)バリウム塩と第一の溶媒とを混合し、第一の溶液を得る工程を実施する。バリウム塩としては、特に限定されないが、炭酸バリウム、酢酸バリウム、水酸化バリウム、シュウ酸バリウム、硝酸バリウム、塩化バリウム、及びこれらの混合物などを例示できるが、溶媒への溶解性の観点から、炭酸バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウムであることが好ましい。また、第一の溶媒としては、バリウム塩を溶解することができれば、特に限定されないが、最終的に得られる紡糸溶液の均一性の観点から、有機酸を主成分とすることが好ましく、酢酸を主成分とすることがさらに好ましい。なお、本出願において、「主成分とする」とは、溶媒を構成する成分のうち最大の割合を占める成分のことを意味しており、溶媒全体に対して50重量%以上であること、好ましくは85重量%以上を占めていることを意味している。すなわち第一の溶媒における有機酸の割合は、50重量%以上であることが好ましい。有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸が挙げられ、カルボン酸であることが好ましい。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、中でも酢酸が好ましい。また、第一の溶媒は有機酸以外を含んでいてもよく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、トルエン、キシレン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールなどを含んでいてもよいが、バリウム塩の溶解性の観点から、水(例えば、イオン交換水)を含むことが好ましい。第一の溶媒中の水の割合は、第一の溶媒全量に対して、15重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることがさらに好ましい。第一の溶液中に水を含有すると第一の溶液の溶解性及び安定性が向上することがあり、特に第一の溶液中の水の含量が15重量%以下であれば、紡糸溶液の安定性が高まるため、長時間にわたって安定に紡糸することができる。また、第一の溶液におけるバリウム塩の濃度は、バリウム塩が第一の溶液中に安定に溶解される限りにおいて制限されないが、0.1~10mol/Lの範囲であることが好ましく、0.2~5mol/Lの範囲であることがより好ましく、0.5~3mol/Lの範囲であることがさらに好ましい。バリウム塩、第一の溶媒の特に好ましい組み合わせとしては、炭酸バリウム、酢酸、水であり、炭酸バリウムの濃度は、1~2mol/Lである。(1)工程における混合条件は、析出物等を生じない限り特に制限されず、例えば、10~90℃において、1~24時間行うことができる。混合の方法は、金属塩を溶解できる限り特に制限されるものではないが、マグネティックスターラー、振とう器、遊星式攪拌機、超音波装置等の公知の設備を用いて行うことができる。
<(2)第二の溶液調製工程>
本発明のチタン酸バリウム繊維の製造方法における紡糸溶液調製工程では、(1)とは別個に、繊維形成材料と第二の溶媒とチタンアルコキシドとを混合して、第二の溶液を得る工程を実施する。繊維形成材料としては、紡糸溶液に曳糸性を付与できるものであれば、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン、コラーゲン、およびこれらの共重合体や混合物などを例示ができる。これら繊維形成材料は、第二の溶媒への溶解性、及び焼成工程での分解性の観点から、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸であることが好ましく、ポリビニルピロリドンであることがさらに好ましい。繊維形成材料の重量平均分子量としては、特に限定されないが、10,000~10,000,000の範囲でありことが好ましく、50,000~5,000,000の範囲であることがより好ましく、100,000~1,000,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10,000以上であれば、チタン酸バリウム繊維の繊維形成性に優れるため好ましく、10,000,000以下であれば、溶解性に優れ、調製工程が簡便になるため好ましい。第二の溶媒は、紡糸溶液の安定性の観点から、アルコール系溶媒を主成分とすることが好ましく、例えば、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルを主成分とする溶媒であることがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルを主成分とすることがさらに好ましい。また、第二の溶媒はアルコール系溶媒以外を含んでいてもよく、例えば、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、トルエン、キシレン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などを含んでいてもよい。チタンアルコキシドとしては、特に限定されないが、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシドなどを例示できるが、紡糸溶液の安定性及び入手し易さから、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシドが好ましい。また、第二の溶液における、繊維形成材料及びチタンアルコキシドの濃度は、チタンアルコキシドが繊維形成材料とともに溶液中で安定に存在する限りにおいて制限されないが、例えば、繊維形成材料の第二の溶媒に対する濃度は、1~20重量%とすることができ、3~15重量%とすることがより好ましい。繊維形成材料の濃度が1重量%以上であれば、第二の溶液の安定性を高くし、チタン酸バリウム繊維が繊維状を形成しやすくなるため好ましく、20重量%以下であれば、紡糸溶液の粘度が高くなりすぎず安定的な紡糸が行えるとともに細い繊維が得られ易くなるため好ましい。チタンアルコキシドの第二の溶媒に対する濃度は、0.1~10mol/Lの範囲であることが好ましく、0.2~5mol/Lの範囲であることがより好ましく、0.5~3mol/Lの範囲であることがさらに好ましい。繊維形成材料、第二の溶媒、チタンアルコキシドの特に好ましい組み合わせとしては、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、チタンテトライソプロポキシドであり、第二の溶媒に対する繊維形成材料の濃度は、5~10重量%の範囲であり、第二の溶媒に対するチタンアルコキシドの濃度は、1~2mol/Lの範囲である。(2)工程における混合条件は、析出物等を生じない限り特に制限されず、例えば、10~90℃において、1~24時間行うことができる。混合の方法は、金属塩を溶解できる限り特に制限されるものではないが、マグネティックスターラー、振とう器、遊星式攪拌機、超音波装置等の公知の設備を用いて行うことができる。
<(3)紡糸溶液を得る工程>
本発明のチタン酸バリウム繊維の製造方法における紡糸溶液調製工程では、前記の第一の溶液と第二の溶液とを混合し、紡糸溶液を得る工程を実施する。本発明における第一の溶液と第二の溶液を混合する方法は限定されない。特に、撹拌しながら少量ずつ混合するといった煩雑な操作を行う必要はない。混合方法として、撹拌や超音波処理などの方法を挙げることができる。混合順序は、特に限定されず、第一の溶液を第二の溶液に添加しても、第二の溶液を第一の溶液に添加しても、別の容器に第一の溶液と第二の溶液を同時に添加してもよい。第一の溶液と第二の溶液とを混合する割合は、バリウム塩中のバリウム原子とチタンアルコキシド中のチタン原子のモル比を、1.01:1.00~1.04:1.00の範囲に調整できれば特に限定されない。なお、前記モル比は、前記バリウム塩および前記チタンアルコキシドの重量(g)を、それぞれのモル質量(g/mol)で割って、Ba原子およびTi原子の物質量(mol)を求めた後(割り切れない場合は、有効数字4桁目を四捨五入して有効数字3桁の数値とする)、Ba原子の物質量をTi原子の物質量で割ることによって求めることができる(割り切れない場合は、小数点第3位を四捨五入する)。第一の溶液と第二の溶液の混合比(重量比)を、好ましくは1:3~3:1、より好ましくは1:2~2:1の範囲とすれば、バリウム塩やチタンアルコキシドの濃度が偏りすぎず安定に混合操作を行うことができる。
<紡糸溶液>
本発明のチタン酸バリウム繊維の製造方法における紡糸時の紡糸溶液の粘度は、5~10,000cPの範囲に調整することが好ましく、10~8,000cPの範囲であることがより好ましい。粘度が5cP以上であると、繊維を形成するための曳糸性が得られ、10,000cP以下であると、紡糸溶液を吐出させるのが容易となる。粘度が10~8,000cPの範囲であれば、広い紡糸条件範囲で良好な曳糸性が得られるのでより好ましい。分散液の粘度は、バリウム塩やチタンアルコキシドの濃度または繊維形成材料の分子量、濃度あるいは増粘剤を適宜変更することで、調整することができる。また、紡糸溶液は、繊維形成性を向上させる目的で、導電助剤を含有してもよい。導電助剤は、紡糸溶液の均一性や紡糸安定性を阻害しない範囲で用いることができ、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、臭化テトラブチルアンモニウム、酢酸アンモニウムなどが例示できる。導電助剤には、金属イオンを含まないなど焼成工程で完全に消失する性状であることが、高純度のチタン酸バリウム繊維を得ることができる点で好ましい。導電助剤の濃度は、使用する溶媒や繊維形成材料の種類などによって適宜設定され、特に限定されないが、紡糸溶液重量に対して、0.001~1重量%の範囲であることが好ましく、0.01~0.1重量%の範囲であることがより好ましい。導電助剤の濃度が0.001重量%以上であれば、使用に見合う効果の向上が得られるため好ましく、1重量%以下であれば、高純度のチタン酸バリウム繊維を得ることができる。また、紡糸溶液は、バリウムイオンおよびチタンイオンを安定化させる目的で、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、アセチルアセトン、クエン酸、リンゴ酸等の多座配位子を有する安定剤を含んでいてもよい。本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、上記以外の成分も紡糸溶液の成分として含んでもよい。例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤等を含有していてもよい。これら添加剤は、第一の溶液に添加しても、第二の溶液に添加しても、第一の溶液と第二の溶液の混合後に添加してもよい。
<静電紡糸工程>
本発明のチタン酸バリウム繊維の製造方法では、調製した紡糸溶液を静電紡糸することでチタン酸バリウム繊維前駆体を得る。静電紡糸法とは、紡糸溶液を吐出させるとともに、電界を作用させて、吐出された紡糸溶液を繊維化し、コレクター上に繊維を得る方法である。静電紡糸法としては、例えば、紡糸溶液をノズルから押し出すとともに電界を作用させて紡糸する方法、紡糸溶液を泡立たせるとともに電界を作用させて紡糸する方法、円筒状電極の表面に紡糸溶液を導くとともに電界を作用させて紡糸する方法などを挙げることができる。この方法によれば、直径10nm~10μmの均一な繊維を得ることができる。
紡糸溶液を吐出させる方法としては、例えば、ポンプを用いてシリンジに充填した紡糸溶液をノズルから吐出させる方法などが挙げられる。紡糸時の紡糸溶液の温度は、常温でも、加熱により高温としても、または冷却により低温としてもよい。ノズルの内径としては、特に限定されないが、0.1~1.5mmの範囲であることが好ましい。また吐出量としては、特に限定されないが、0.1~10mL/hrであることが好ましい。吐出量が0.1mL/hr以上であればチタン酸バリウム繊維の充分な生産性を得ることができるため好ましく、10mL/hr以下であれば均一かつ細い繊維を得られ易くなるため好ましい。印加させる電圧の極性は、正であっても負であってもよい。また、電圧の大きさは、繊維が形成されれば特に限定されず、例えば正の電圧の場合、5~100kVの範囲が例示できる。電界を作用させる方法としては、ノズルとコレクターに電界を形成させることができれば特に限定されるものではなく、例えば、ノズルに高電圧を印加させコレクターを接地してもよく、コレクターに高電圧を印加させノズルを接地してもよく、ノズルに正の高電圧を印加させコレクターに負の高電圧を印加させてもよい。また、ノズルとコレクターとの距離は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5~50cmの範囲が例示できる。コレクターは、紡糸された繊維を捕集できるものであればよく、その素材や形状などは特に限定されない。コレクターの素材としては、金属等の導電性材料が好適に用いられる。コレクターの形状としては、特に限定されないが、例えば、平板状、シャフト状、コンベア状などを挙げることができる。コレクターが平板状であると、シート状に繊維集合体を捕集することができ、シャフト状であると、チューブ状に繊維集合体を捕集することができる。コンベア状であれば、シート状に捕集された繊維集合体を連続的に製造することができる。
ノズルとコレクター間に設置された捕集体に繊維集合体を捕集してもよい。捕集体としては、体積固有抵抗値が1010Ω・cm以下であるものが好ましく、108Ω・cm以下であるものがより好ましい。また、体積固有抵抗値が1010Ω・cmを超える素材のものも、イオナイザー等の電荷を消失させる装置と併用することで、好適に用いることができる。また、任意の形状の捕集体を用いれば、その捕集体の形状に合わせて繊維集合体を捕集することができる。さらに、捕集体として液体を用いることも可能である。
<合成工程>
静電紡糸されたチタン酸バリウム繊維前駆体は、焼成などの合成工程を経ることによって、チタン酸バリウム繊維前駆体中に含まれる繊維形成材料などが加熱分解され、高品質かつ高結晶性のチタン酸バリウム繊維を得ることができる。焼成には、一般的な電気炉を用いることができる。焼成雰囲気は、特に限定されないが、空気雰囲気中や不活性ガス雰囲気中で行うことができる。空気雰囲気中で焼成すると、繊維形成材料などの残存物を少なくし、高純度のチタン酸バリウム繊維が得られるため好ましい。焼成方法としては、一段階焼成であっても、多段階焼成であってもよい。焼成温度は、特に限定されないが、1000~1500℃の範囲が好ましく、1050~1300℃の範囲がより好ましく、1100~1200℃の範囲が特に好ましい。焼成温度は1000℃以上であると焼成が十分となり、チタン酸バリウム繊維のc/a比が大きくなり、高分子複合圧電体の圧電・誘電特性を向上させることができる。また、1500℃以下であれば、チタン酸バリウム繊維の一次粒子が粗大化せず、アスペクト比を大きくすることができ、また消費エネルギーを低く抑えることができるため好ましい。焼成温度が1050~1300℃、特に1100~1200℃の範囲であると、純度、結晶性が十分高く、粗大繊維が少なく、かつ製造コストを十分低くすることができる。焼成時間としては、特に限定されないが、例えば1~24時間焼成してもよい。昇温速度としては、特に限定されないが、5~200℃/minの範囲で適宜変更して焼成することができる。また、静電紡糸されたチタン酸バリウム繊維前駆体を任意の形状に成形して焼成を行うことで、様々な形状のチタン酸バリウム繊維集合体を得ることができる。例えば、2次元のシート状に成形し焼成することで、シート状のチタン酸バリウム繊維集合体を得ることができ、シャフトに巻きつけて捕集することで、チューブ状のチタン酸バリウム繊維集合体を得ることができる。また、液体中に捕集して凍結乾燥し、綿状に成形して焼成することで、綿状のチタン酸バリウム繊維集合体を得ることも可能である。
<粉砕工程>
本発明のチタン酸バリウム繊維は、焼成して得られたチタン酸バリウム繊維をさらに粉砕処理等により微細化することが望ましい。粉砕処理することで、高分子マトリクス中にフィラーとして充填し易くなる。粉砕処理の方法は、一般的には、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル、高圧ホモジナイザー、遊星ミル、ロータリークラッシャー、ハンマークラッシャー、カッターミル、石臼、乳鉢、およびスクリーンメッシュ粉砕などが例示でき、乾式であっても湿式であってもよいが、チタン酸バリウム繊維のアスペクト比を大きくできる点で、スクリーンメッシュ粉砕が好ましく用いられる。スクリーンメッシュ粉砕は、所定の目開きを有するメッシュ上にチタン酸バリウム繊維を乗せ、ブラシやヘラなどで濾す方法や、アルミナ、ジルコニア、ガラス、PTFE、ナイロン、およびポリエチレンなどのビーズとチタン酸バリウム繊維とをメッシュ上に乗せて、縦及び/又は横方向の振動を加える方法などが例示できる。使用するメッシュの目開きとしては、特に限定されず、20~1000μmの範囲であることが好ましく、50~500μmの範囲であることがより好ましい。目開きが20μm以上であれば、チタン酸バリウム繊維のアスペクト比を大きくでき、また粉砕処理時間を短縮できるため好ましく、1000μm以下であれば、チタン酸バリウム繊維の粗大物や凝集物を除去できるため好ましい。求められる特性に対して、粉砕方法や条件などは適宜変更すればよい。本発明では、粉砕処理により微細化された断片(チタン酸バリウム短繊維)もチタン酸バリウム繊維に含める。
本発明のチタン酸バリウム繊維の最も好ましい製造方法としては、チタンアルコキシドとバリウム塩とを、Ba/Ti比が1.01~1.04となるように混合された紡糸溶液を静電紡糸して前駆体を作製し、前記前駆体を1000℃以上で焼成し、焼成された繊維をスクリーンメッシュ粉砕する方法が挙げられる。
本発明に用いるチタン酸バリウム繊維は、特に限定されないが、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、およびジルコアルミネートカップリング剤等で表面処理されていてもよい。カップリング剤の末端の官能基としては、特に限定されず、アミノ、フルオロ、アクリロイル、エポキシ、ウレイド、および酸無水物などの基が例示でき、これらは複合化する高分子の性状によって適宜選択できる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、前記チタン酸バリウム繊維と、高分子とを含む。本発明に用いる高分子としては、高分子複合圧電体のマトリクスとして、チタン酸バリウム繊維の分散性に優れており、高分子複合圧電体に柔軟性を付与できるものであれば、特に限定されず、熱可塑性高分子であっても、熱硬化性高分子であっても、光硬化性高分子であってもよい。熱可塑性高分子として、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等のフッ化ビニリデン系高分子、シアノエチル化ポリビニルアルコール、シアノエチル化プルラン、シアノエチル化セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン、コラーゲン、およびこれらの共重合体や混合物などが例示できる。熱硬化性高分子としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂、およびこれらの共重合体や混合物などが例示できる。光硬化性高分子としては、アクリレート系光硬化性樹脂(例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートなど)、エポキシ系光硬化性樹脂などが例示でき、公知の光開始剤を使用することができる。これらの中でも、高分子複合圧電体に優れた柔軟性や耐電圧、誘電特性を付与するという観点から、フッ化ビニリデン系高分子が特に好ましい。前記高分子は、それ自体が圧電特性を有していても、有していなくてもよいが、圧電特性を有さない高分子を用いることが、チタン酸バリウム繊維との圧電特性の打ち消しあいが生じることがなく、高い圧電定数が得られるため好ましい。一方、それ自体に焦電特性を有している高分子を用いることで、チタン酸バリウム繊維の焦電効果との相乗効果により、高い焦電定数を得ることも可能である。また、高分子としてエラストマーを用いることで、チタン酸バリウム繊維の高い比誘電率を活かした誘電エラストマーとしても使用可能である。このようなエラストマーとしては、特に限定されないが、誘電率が高く、かつ弾性率が低いエラストマーであることが好ましく、シリコン系エラストマー、アクリル系エラストマー、フッ素系エラストマー、アミド系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどが例示できる。
本発明に用いる高分子の重量平均分子量としては、特に限定されないが、10,000~10,000,000の範囲であることが好ましく、50,000~5,000,000の範囲であることがより好ましく、100,000~1,000,000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が10,000以上であれば、高分子複合圧電体の機械的特性やハンドリング性が向上するため好ましく、10,000,000以下であれば、溶解性や熱可塑性に優れ、加工が容易になるため好ましい。
本発明の樹脂組成物において、高分子とチタン酸バリウム繊維の合計量に対するチタン酸バリウム繊維の割合は、特に限定されないが、10~90体積%の範囲であることが好ましく、30~85体積%の範囲であることがより好ましく、50~80体積%(または~75体積%、あるいは~70体積%)の範囲であることがさらに好ましい。チタン酸バリウム繊維の割合が10体積%以上であれば、優れた圧電・誘電特性の高分子複合圧電体が得られるため好ましく、90体積%以下であれば、柔軟性に優れた高分子複合圧電体が得られるため好ましい。
本発明の樹脂組成物は、特に限定されないが、高分子、チタン酸バリウム繊維以外の成分として、分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、高分子マトリクス中にチタン酸バリウム繊維を均一に分散させることができるものであれば特に限定されず、低分子分散剤であっても、高分子分散剤であってもよい。低分子分散剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどの非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。高分子分散剤としては、例えば、ノニオン系、カチオン系、アニオン系のいずれも選択可能である。これら高分子分散剤の中でも、アミン価および酸価を持ったものが好ましく、具体的には、固形分換算のアミン価が5~200であり酸価が1~100であるものが好ましい。例としては、“ソルスパース”(ルーブリゾール社製)24000 、“EFKA”( チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)4046、”アジスパー”(味の素ファインテクノ社製)PB821、“BYK”(ビックケミー社製)160等を好ましく用いることができる。分散剤の含有量としては、チタン酸バリウム繊維に対して、0.1~10重量%の範囲であることが好ましく、0.2~5重量%の範囲であることがより好ましく、0.5~3重量%の範囲であることがさらに好ましい。分散剤の含有量が、チタン酸バリウム繊維に対して0.1重量%以上であれば、チタン酸バリウム繊維を高分子中に分散させることが可能となり、高い圧電・誘電特性が得られるため好ましく、10重量%以下であれば、高分子やチタン酸バリウム繊維の特性を維持できるため好ましい。また、目的とする特性によっては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記分散剤以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、高分子化合物、エポキシ化合物、アクリル樹脂、無機粒子、金属粒子、界面活性剤、帯電防止剤、レベリング剤、粘度調整剤、チクソ性調整剤、密着性向上剤、エポキシ硬化剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、顔料、チタンブラック、カーボンブラック、および染料などが挙げられる。これらの添加剤は、目的とする特性によって、適宜、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、レベリング剤としては、樹脂組成物を支持体に塗布する際に、塗布膜のムラ、弾き等の表面欠陥を改善することができるものであれば特に限定されず、低分子レベリング剤であっても、高分子レベリング剤であってもよい。低分子レベリング剤としては、例えば、“BYK”(ビックケミー社製)361N、“サーフロン(AGCセイミケミカル社製)S-232等を挙げることができる。高分子レベリング剤としては、例えば、“BYK”(ビックケミー社製)354、“メガファック”(DIC社製)F-563等を挙げることができる。レベリング剤の含有量としては、チタン酸バリウム繊維に対して、0.1~10重量%の範囲であることが好ましく、0.2~5重量%の範囲であることがより好ましく、0.5~3重量%の範囲であることがさらに好ましい。レベリング剤の含有量が、チタン酸バリウム繊維に対して0.1重量%以上であれば、塗布膜の表面欠陥を改善することが可能となり、高い圧電・誘電特性が得られるため好ましく、10重量%以下であれば、高分子やチタン酸バリウム繊維の特性を維持できるため好ましい。レベリング剤は、分散剤と併用してもよいし、分散剤を用いずにレベリング剤のみを用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、特に限定されないが、さらに溶媒を含んでもよい。樹脂組成物に用いられる溶媒としては、チタン酸バリウム繊維や高分子、その他添加剤を均一に分散、溶解できるものであれば、特に限定されず、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、トルエン、キシレン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、トリエチルホスフェート、ギ酸、および酢酸などを用いることができる。これらの溶媒は一種または二種以上を混合して用いてもよい。高分子として、フッ化ビニリデン系高分子を用いる場合、溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トリエチルホスフェートまたはこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の溶媒の濃度は、高分子複合圧電体を製造するために均一に塗布することができれば特に限定されないが、5~95重量%の範囲であることが好ましく、20~90重量%の範囲であることがより好ましく、30~80重量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物の粘度としては、特に限定されず、通常、1~10000cPの範囲となるように調整することが、塗布工程の作業性を向上させることができるため好ましく、5~5000cPの範囲であることがより好ましく、10~2000cPの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物をスクリーン印刷法で塗布する場合、樹脂組成物の粘度は、100~50000cP範囲であることが好ましく、200~30000cPの範囲であることがより好ましく、500~20000cPの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、粉末の形態(例えば、高分子とチタン酸バリウム繊維、任意で分散剤および/またはレベリング剤を混合してなる粉体混合物)であっても、ペレット等の形態(例えば、高分子とチタン酸バリウム繊維、任意で分散剤および/またはレベリング剤とを混練してなるペレット)であってもよく、溶液・分散液等の液状の形態(例えば、高分子とチタン酸バリウム繊維と溶媒を含み、任意で分散剤および/またはレベリング剤を含む、コーティング組成物、インク、ワニス等の液状組成物)であってもよい。本発明の樹脂組成物は、高分子複合圧電体を製造するために使用することができる。
<高分子複合圧電体の製造方法>
本発明の高分子複合圧電体は、上述した樹脂組成物を任意の形状に成形した後、ポーリング処理を施すことによって製造することができる。樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されず、本発明の粉末状やペレット状の樹脂組成物を用いた溶融法であっても、液状の樹脂組成物を用いた溶液法であってもよい。溶融法の場合には、溶媒を必要とせず、熱溶融させることで高分子複合圧電体が得られる点が好ましい。溶液法の場合には、得られる高分子複合圧電体の均一性に優れる点が好ましい。高分子複合圧電体の形状としては、フィルム、繊維、不織布、およびブロックなどの形状が例示できるが、好ましくはフィルムの形状である。以下では、フィルム状の高分子複合圧電体の製造方法について記載するが、これに限定されるものではない。
溶液法による高分子複合圧電体の製造方法としては、例えば、液状の樹脂組成物を流延し、乾燥させる方法が挙げられる。溶液法で使用する本発明の樹脂組成物は、上述した高分子、チタン酸バリウム繊維(及び任意で分散剤および/またはレベリング剤)に加え、溶媒をさらに含む。溶媒としては、樹脂組成物に用いられる溶媒を、上記の濃度にて使用することができる。液状の樹脂組成物を調製する方法としては、特に限定されないが、マグネティックスターラー、振とう器、ボールミル、ジェットミル、遊星式攪拌機、および超音波装置等の公知の設備を用いて行うことができる。調製条件としては、特に限定されないが、例えば、10~120℃において、1~24時間行うことができる。シートや薄膜を形成するために液状の樹脂組成物を塗布する方法としては、特に限定されず、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、スリットコーティング法、およびグラビアコーティング法、キャストコーティング法などの公知の方法を用いて行うことができる。また圧電素子などを作製するために、パターン化が必要な場合には、インクジェット法、スクリーン印刷法、およびフレキソ印刷法などの公知の方法を用いて行うことができる。液状の樹脂組成物を塗布する支持体としては、特に限定されず、ガラス基板、アルミニウム基板、銅基板、および高分子フィルムを用いることができる。高分子複合圧電体を支持体上に被膜として残してもよいが、自立膜を形成させるために、表面が離型処理された支持体を用いてもよい。支持体として、ガラス基板、アルミニウム基板、銅基板、および高分子フィルム等の基板上に、アルミニウム、銅、酸化インジウムスズ、PEDOT/PSS、導電ペーストなどの導電層が形成された支持体を用いて、その上に液状の樹脂組成物を塗布し、乾燥して高分子複合圧電体を形成することにより、後述する圧電素子を製造することも可能である。溶媒を乾燥させる方法としては、特に限定されるものではなく、誘導加熱、熱風循環加熱、真空乾燥、赤外線、およびマイクロ波加熱などが例示できる。乾燥条件としては、例えば、40~150℃で1~180分間乾燥してもよい。乾燥後の高分子複合圧電体には、均一性や結晶化を促進させる目的で、さらに、熱プレスや熱処理を行うことができる。熱プレス条件としては、特に限定されず、プレス温度としては60~250℃、プレス圧力としては1~30MPa、プレス時間としては1~60分間の範囲が例示できる。熱処理条件としては、例えば、オーブンなどで60~200℃で1~24時間行ってもよい。
溶融法による高分子複合圧電体の製造方法としては、例えば、粉末状やペレット状の樹脂組成物(上述した高分子、チタン酸バリウム繊維、任意で分散剤および/またはレベリング剤を含む樹脂組成物)を溶融混錬し、熱プレスする方法が挙げられる。熱プレス条件としては、特に限定されず、プレス温度としては、高分子の溶融温度または軟化温度より高ければよく、例えば、溶融温度または軟化温度より20℃以上高いことが好ましい。また、プレス圧力としては1~30MPaが例示できる。圧力は基本的には高い方が好ましいが、流動性や、目的とする物性(どちら向きの圧電特性を重視するかなど)によって適宜変更し、適切な圧力を加えることが好ましい。プレス時間としては、高分子複合圧電体の特性を損なわない範囲で行うことが好ましく、1~20分間の範囲が例示できる。プレス時間が1分間以上あれば、高分子と繊維状フィラーが十分混ざり合うことができ、20分以下であれば、高分子の分子量低下を抑制でき、高分子複合圧電体の物性を損なうことがない。
このように成形された樹脂組成物は、さらに、ポーリング処理を行うことで、高分子複合圧電体とすることができる。ポーリング処理の方法としては、コロナポーリングやコンタクトポーリングなどが例示できる。コロナポーリングは、ロール状の高分子複合圧電体を連続で処理できるため、大面積の高分子複合圧電体の製造に好ましく用いることができる。コロナポーリングとしては、例えば、加熱手段を備えた平板電極上に成形された樹脂組成物を設置し、そこから1~50mm程度離れた針状電極に高電圧を印加することで行うことができる。加熱手段の温度は、高分子複合圧電体を構成する高分子やチタン酸金属塩の種類によって適宜選択でき、例えば、40~120℃の範囲が例示できる。印加電圧、及び印加時間としては、分極できれば特に限定されず、1~20kV、及び10~600秒の範囲が例示できる。コロナポーリングは、複数回に分けて行うことができ、例えば、10秒間を10回行ってもよい。一方、コンタクトポーリングは、高分子複合圧電体が積層されている場合や、デバイスなどを作製するためにパターン化された場合に好ましく用いることができる。コンタクトポーリングとしては、例えば、成形された樹脂組成物を上下の平板電極で挟み、直接電圧を印加することで行うことができる。平板電極は加熱されていてもよく、その温度は高分子やチタン酸金属塩の種類によって適宜選択でき、例えば、40~120℃の範囲が例示できる。印加する電界強度、および印加時間としては、分極できれば特に限定されず、1~20kV/mm、及び1~60分の範囲が例示できる。
<高分子複合圧電体>
本発明の高分子複合圧電体は、上述したチタン酸バリウム繊維が高分子マトリクス中に充填されているため、高い圧電・誘電特性と優れた柔軟性を兼ね備える。
本発明の高分子複合圧電体の圧電定数d33は、特に限定されないが、75pC/N以上であることが好ましく、80pC/N以上であることがより好ましく、90pC/N以上であることがさらに好ましい。また、高分子複合圧電体の電圧出力定数g33としては、特に限定されないが、150mVm/N以上であることが好ましく、200mVm/N以上であることがより好ましく、250mVm/N以上であることがさらに好ましい。g33が150mVm/N以上であれば、センサーとしての感度を向上させることができるため好ましい。また、高分子複合圧電体の発電性能指数としては、特に限定されないが、15.0×10-15VCm/N2であることが好ましく、20.0×10-15VCm/N2であることがより好ましく、25.0×10-15VCm/N2であることがさらに好ましい。発電性能指数が、15.0×10-15VCm/N2であれば、発電デバイスとしての発電性能を向上させることができるため好ましい。
本発明の高分子複合圧電体の弾性率としては、特に限定されないが、100~10000MPaの範囲であることが好ましく、200~5000MPaの範囲であることがより好ましく、500~3000MPa以下であることがさらに好ましい。高分子複合圧電体の弾性率が10000MPa以下であれば、高分子複合圧電体の柔軟性や加工性が向上するため好ましく、100MPa以上であれば、高分子複合圧電体の発生力が向上するため好ましい。一方、さらに伸縮性や柔軟性が求められる用途では、弾性率が100MPa未満の高分子複合圧電体を用いることもできる。
本発明の高分子複合圧電体の破断伸度としては、特に限定されないが、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましい。破断伸度が10%以上であれば、任意の形状に容易に加工が可能であり、大変形を伴う用途にも適用できるため好ましい。
本発明の高分子複合圧電体の比誘電率としては、特に限定されないが、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、50以上であることがさらに好ましい。高分子複合圧電体の比誘電率が10以上であれば、電圧を印加したときに大きな変形が得ることが可能となる。このような比誘電率が大きい高分子複合圧電体は、アクチュエータや電気音響変換機器等の電気エネルギーを機械エネルギーに変換する用途に好適に用いることができる。一方、比誘電率が低い場合でも、センサーや発電デバイス等の機械エネルギーを電気エネルギーに変換する用途に好適に用いることができる。このような高分子複合圧電体の比誘電率としては、特に限定されないが、70以下であることが好ましく、60以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。
本発明の高分子複合圧電体の融解温度または軟化温度としては、特に限定されないが、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。融解温度または軟化温度が60℃以上であれば、高分子複合圧電体の耐熱性を向上させることができ、高温環境下での使用も可能となる。
本発明の高分子複合圧電体の厚みとしては、特に限定されないが、5~500μmの範囲であることが好ましく、10~200μmの範囲であることがより好ましく、20~100μmの範囲であることがさらに好ましい。高分子複合圧電体の厚みが5μm以上であれば、機械的強度を維持できるため好ましく、500μm以下であれば、柔軟性に優れるため好ましい。
本発明の高分子複合圧電体は、高い圧電定数と優れた柔軟性を有しており、スピーカーやブザー等の電気音響変換機器、アクチュエータ、触覚ディスプレイ、センサー、および発電デバイス等として、好適に使用することができる。
<圧電素子>
本発明の圧電素子は、高分子複合圧電体の片面、もしくは両面に導電層を備える。導電層としては、特に限定されず、パラジウム、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、白金、金、銀、クロム、モリブテン、酸化インジウムスズ、PEDOT/PSS、炭素、または導電ペーストなどを用いることができる。中でも、アルミニウム、銅、白金、金、銀、酸化インジウムスズ、PEDOT/PSS、または導電ペーストを用いることが好ましい。導電層の厚みとしては、特に限定されないが、0.1~20μmの範囲であることが好ましい。また、導電層は、電極の引き出しを行うための凸状に突出する部位を設けることができる。このような導電層の形成方法は、特に限定されず、真空蒸着やスパッタリングなどの気相堆積法や、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、キャストコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、またはフレキソ印刷法などの公知の方法を用いて行うことができる。
本発明の圧電素子は、高分子複合圧電体や導電層の保護、機械的強度やハンドリング性を向上させる目的で、導電層の外側にさらに絶縁層を備えていてもよい。絶縁層としては、絶縁性や機械的特性を付与することができるものであれば、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、ガラス、ポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。中でも、150~200℃での熱収縮率が3.0%未満である、ポリエチレンナフタレートが好適に用いられる。耐熱性を有する絶縁層を備えることによって、高分子複合圧電体の表面を平滑化するための熱プレス工程が可能になり、また、高温下での放置試験や駆動試験などに耐えることができる。絶縁層の厚みとしては、特に限定されないが、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。絶縁層の厚みが、100μm以下であれば、機械的エネルギーと電気的エネルギーの変換を効率的に行うことが可能となる。
本発明の圧電素子の積層構造としては、特に限定されないが、高分子複合圧電体/導電層の2層構造、第一の導電層/高分子複合圧電体/第二の導電層の3層構造、第一の絶縁層/第一の導電層/高分子複合圧電体/第二の導電層/第二の絶縁層の5層構造、第一の絶縁層/第一の導電層/第一の高分子複合圧電体/第二の導電層/第二の高分子複合圧電体/第三の導電層/第二の絶縁層の7層構造を例示でき、求められる特性によって積層構造の層数や各層の組成や素材を適宜変更すればよい。圧電素子が複数の導電層、絶縁層、および高分子複合圧電体を備える場合は、各層は同一成分であっても、異成分であってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、高分子複合圧電体、導電層および絶縁層以外の層を備えていてもよい。
このような積層構造を有する圧電素子を製造する方法としては、特に限定されないが、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。スクリーン印刷法を用いた第一の絶縁層/第一の導電層/高分子複合圧電体/第二の導電層/第二の絶縁層の5層構造の圧電素子の製造方法としては、特に限定されないが、フィルム状の第一の絶縁層上に導電ペーストをスクリーン印刷することで、第一の導電層を形成する工程、第一の導電層の上に、液状の樹脂組成物をスクリーン印刷し、ポーリング処理を行うことで、高分子複合圧電体を形成する工程、高分子複合圧電体上に導電ペーストをスクリーン印刷することで、第二の導電層を形成する工程、第二の導電層上に熱硬化性樹脂をスクリーン印刷し、熱硬化させることで第二の絶縁層を形成する工程、を例示できる。スクリーン印刷法に用いるスクリーンの素材としては、ステンレス、ナイロン、ポリエステルを用いることができ、スクリーンの構造としては、メッシュ数60~650、開口率30~70%、目開き20~300μmの範囲を例示できる。スクリーン印刷条件としては、特に限定されず、0.01~0.5MPaの範囲のスキージ印圧、45~90°の範囲のスキージ角度、30~90°の範囲のスキージアタック角度、60~90°の範囲のスキージ硬度、10~150mm/sの範囲のスキージ速度、1.0~20mmの範囲のクリアランスを例示できる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示を目的としたものに過ぎない。本発明の範囲は、本実施例に限定されない。
実施例で用いた物性値の測定方法または定義を以下に示す。
<チタン酸バリウム繊維の平均繊維長、平均繊維径及びアスペクト比>
日立株式会社製の走査型電子顕微鏡(SU-8000)を使用して、得られたチタンバリウム繊維を5000~30000倍で観察し、画像解析ソフトを用いて100本以上のチタン酸バリウム繊維の繊維長及び繊維径を測定し、それぞれの平均値を平均繊維長及び平均繊維径とし、(繊維長)/(繊維径)の平均値をアスペクト比とした。
<チタン酸バリウム繊維のBa/Ti比>
得られたチタン酸バリウム繊維0.05gを石英ビーカーに採取し、超純水38mL、過酸化水素2mL、硝酸10mLを加え、100℃で溶解させた。次いで、これを100倍に希釈した溶液を用いて、サーモフィッシャーサイエンティフィック製の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)装置(iCAP6300)により、バリウムおよびチタン原子の濃度を測定した。得られた濃度から、バリウムおよびチタン原子の物質量(mol)を計算し、Ba/Ti比を算出した。
<チタン酸バリウム繊維のc/a比>
BRUKER製のX線回折装置(D8 DISCOVER)を使用して、得られたチタン酸バリウム繊維にCuKα線を照射し、試料から反射したCuKα線を検出することで、回折像を得た。得られた回折像から、(002)と(200)面のピークの回折角2θ(002)と2θ(200)から、sinθ(200)/sinθ(002)により求めた。
<高分子複合圧電体の圧電定数d33
リードテクノ社製のd33メーターを使用して、端子に高分子複合圧電体を1Nで挟み、プレロードフォース1N、ロードフォース4Nの条件で、圧電定数d33を測定した。測定して得られたd33値の平均値を高分子複合圧電体のd33とした。
<高分子複合圧電体の比誘電率>
高分子複合圧電体の両面に、藤倉化成(株)製のドータイト(D-362)で導電面を形成し、日置電機(株)製のインピーダンスアナライザー(IM 3570)および超絶縁計 遮蔽箱(SME-8350)を使用して、周波数1 kHzでの静電容量を測定し、静電容量および高分子複合圧電体の厚さから比誘電率を算出した。
<高分子複合圧電体の電圧出力定数g33
高分子複合圧電体の電圧出力定数g33は、高分子複合圧電体の圧電定数d33と比誘電率から、以下の関係式によって算出した。ここで、真空の誘電率は、8.854×10-12C/Vmの値を用いた。
33=d33÷(比誘電率)÷(真空の誘電率)
<高分子複合圧電体の発電性能指数>
高分子複合圧電体の発電性能指数は、高分子複合圧電体の圧電定数d33と電圧出力定数g33から、以下の関係式によって算出した。
発電性能指数=d33×g33÷1000
[実施例1]
<紡糸溶液の調製>
炭酸バリウム15.79重量部と酢酸60重量部とイオン交換水0.06重量部を混合し、第一の溶液を得た。次いで、ポリビニルピロリドン3.6重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル56.4重量部とチタンテトライソプロポキシド22.51重量部とを混合し、第二の溶液を得た。得られた第一の溶液に第二の溶液を混合することで、Ba/Ti比が1.01の紡糸溶液1を調製した。
<繊維の作製>
上記方法により作製した紡糸溶液1を、シリンジポンプにより内径0.22mmのノズルに2.0mL/hrで供給すると共に、ノズルに25kVの電圧を印加し、接地されたコレクターにチタン酸バリウム繊維前駆体を捕集した。ノズルとコレクターの距離は15cm、紡糸空間の温度を25℃とした。静電紡糸法により得られたチタン酸バリウム繊維前駆体を空気中、10℃/minの昇温速度で1150℃まで昇温し、1150℃の焼成温度で、2時間保持した後、室温まで冷却することで、平均繊維径0.3μmのチタン酸バリウム繊維を作製した。さらに、得られたチタン酸バリウム繊維を、目開きが300μmのスクリーンメッシュ上に乗せ、ブラシで濾して粉砕することで、チタン酸バリウム短繊維を得た。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.01であり、c/a比は1.010であり、アスペクト比は5(平均繊維長:1.5μm、平均繊維径:0.3μm)であった。
<高分子複合圧電体の作製>
上記方法により作製したチタン酸バリウム短繊維39重量部、N,N-ジメチルホルムアミド45重量部、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(アルケマ社製のKynar UltraFlexB)5重量部、高分子分散剤(味の素ファインテクノ製のPB821)0.4重量部とを混合し、液状の樹脂組成物を調製した。次いで、アプリケーターを用いて、厚さ40μmのアルミニウム基板上に、塗布膜の厚みが600μmとなるように樹脂組成物を流延し、90℃のホットプレート上で加熱して、N,N-ジメチルホルムアミドを蒸発させることで、樹脂組成物をフィルム状に成形した。フィルム状樹脂組成物を温度200℃、圧力10MPa、時間3分間の条件で熱プレスした後、コロナポーリング処理を行った。コロナポーリング処理は、フィルム状樹脂組成物を60℃に加熱しながら、7kVの電圧を100秒間印加することで、行った。得られた高分子複合圧電体の圧電定数d33は、106pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は67であり、電圧出力定数g33は179mVm/N、発電性能指数は19.0×10-15VCm/N2であった。
[実施例2]
チタンテトライソプロポキシドを22.07重量部とした以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム短繊維および高分子複合圧電体を作製した。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.03、c/a比は1.010、アスペクト比は5(平均繊維長:1.5μm、平均繊維径:0.3μm)であり、高分子複合圧電体の圧電定数d33は、91pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は59であり、電圧出力定数g33は174mVm/N、発電性能指数は15.8×10-15VCm/N2であった。
[実施例3]
炭酸バリウムを20.52重量部、ポリビニルピロリドン5.4重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル54.6重量部とチタンテトライソプロポキシド29.27重量部とした以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム短繊維および高分子複合圧電体を作製した。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.01、c/a比は1.010、アスペクト比は10(平均繊維長:10μm、平均繊維径:1.0μm)であり、高分子複合圧電体の圧電定数d33は、102pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は56であり、電圧出力定数g33は206mVm/N、発電性能指数は21.0×10-15VCm/N2であった。
[実施例4]
炭酸バリウムを23.68重量部、ポリビニルピロリドン6重量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル54重量部とチタンテトライソプロポキシド33.77重量部とした以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム短繊維および高分子複合圧電体を作製した。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.01、c/a比は1.010、アスペクト比は10(平均繊維長:15μm、平均繊維径:1.5μm)であり、高分子複合圧電体の圧電定数d33は、101pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は66であり、電圧出力定数g33は173mVm/N、発電性能指数は17.5×10-15VCm/N2であった。
[実施例5]
チタン酸バリウム短繊維67重量部、高分子分散剤(味の素ファインテクノ製のPB821)0.7重量部とした以外は、実施例3と同様にして、高分子複合圧電体を作製した。得られた高分子複合圧電体の圧電定数d33は105pC/N、比誘電率は46であり、電圧出力定数g33は258mVm/N、発電性能指数は27.1×10-15VCm/N2であった。
[比較例1]
チタンテトライソプロポキシドを22.74重量部とした以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム短繊維および高分子複合圧電体を作製した。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.00、c/a比は1.010、アスペクト比は5(平均繊維長:1.5μm、平均繊維径:0.3μm)であり、高分子複合圧電体の圧電定数d33は、74pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は79であり、電圧出力定数g33は106mVm/N、発電性能指数は7.8×10-15VCm/N2であった。
[比較例2]
チタンテトライソプロポキシドを21.65重量部とした以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム短繊維および高分子複合圧電体を作製した。得られたチタン酸バリウム短繊維のBa/Ti比は1.05、c/a比は1.010、アスペクト比は5(平均繊維長:1.5μm、平均繊維径:0.3μm)であり、高分子複合圧電体の圧電定数d33は、65pC/Nであった。また、高分子複合圧電体の比誘電率は43であり、電圧出力定数g33は171mVm/N、発電性能指数は11.1×10-15VCm/N2であった。
実施例1~5及び比較例1~2のチタン酸バリウム短繊維の平均繊維径、Ba/Ti比、アスペクト比、高分子複合圧電体の圧電定数d33、比誘電率、電圧出力定数g33、発電性能指数を表1にまとめる。
Figure 0007460955000001
表1から明らかなように、Ba/Ti比が1.01~1.04の範囲であるチタン酸バリウム繊維を高分子複合圧電体のフィラーとして用いることで、優れた圧電特性を有する高分子複合圧電体を得ることができた。
本発明のチタン酸バリウム繊維を高分子複合圧電体のフィラーとして用いることで、高い圧電・誘電特性かつ優れた柔軟性を有する材料を提供することが可能となり、スピーカーやブザー等の電気音響変換機器、アクチュエータ、触覚ディスプレイ、センサー、および発電デバイス等として、好適に使用することができる。

Claims (14)

  1. バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲である、チタン酸バリウム繊維。
  2. 平均繊維長が0.5~1000μmの短繊維である、請求項1に記載のチタン酸バリウム繊維。
  3. 前記チタン酸バリウム繊維の平均繊維径が0.1~20μmの範囲であり、アスペクト比が2以上である、請求項1または2に記載のチタン酸バリウム繊維。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のチタン酸バリウム繊維と、高分子とを含む、樹脂組成物。
  5. 前記チタン酸バリウム繊維と前記高分子の合計量に対する、前記チタン酸バリウム繊維の割合が、10~90体積%である、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. さらに、前記チタン酸バリウム繊維に対して0.1~10重量%の分散剤および/または0.1~10重量%のレベリング剤を含む、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
  7. さらに溶媒を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 高分子複合圧電体を製造するために用いられる、請求項4~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項4~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる、高分子複合圧電体。
  10. 電圧出力定数g33が150mVm/N以上である、請求項9に記載の高分子複合圧電体。
  11. 請求項9または10に記載の高分子複合圧電体の片面、もしくは両面に導電層を備える、圧電素子。
  12. 紡糸溶液を調製する工程と、前記紡糸溶液を静電紡糸してチタン酸バリウム繊維前駆体を作製する工程と、前記前駆体を焼成する工程と、を含むチタン酸バリウム繊維の製造方法であって、前記紡糸溶液を調製する工程において、バリウム原子とチタン原子のモル比(Ba/Ti比)が1.01~1.04の範囲になるように調製することを特徴とする、チタン酸バリウム繊維の製造方法。
  13. さらに、チタン酸バリウム繊維を粉砕する工程を含む、請求項12に記載のチタン酸バリウム繊維の製造方法。
  14. 請求項12または13の製造方法によりチタン酸バリウム繊維を得る工程と、前記チタン酸バリウム繊維、高分子、および溶媒を含む樹脂組成物を調製する工程と、前記樹脂組成物をスクリーン印刷法により支持体に塗布する工程と、を含む高分子複合圧電体の製造方法。
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