JP7460340B2 - バルーンカテーテル - Google Patents

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本発明は、バルーンカテーテルに関する。
医療分野において、体内へ水分、栄養剤等を導入、又は体内の物質を対外に排出するために、カテーテルの先端(患者側)に膨張収縮するバルーンが配置されたバルーンカテーテルが用いられている。例えば、胃瘻用バルーンカテーテルは、皮膚及び胃壁に小孔を形成し、小孔からバルーンを収縮させた状態で挿入し、その後、バルーンを膨張させることによって、体内でカテーテルを安定した位置に維持し、カテーテルが外れるのを防止するものである。
このようなバルーンカテーテルが、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のバルーンカテーテルは、シャフトの先端に、チップを有し、チップから一体的に成形された膨張収縮可能なバルーンを有するものである。チップは、先細り形状でスリーブ部より高い剛性を有しており、挿入時に座屈しないような構成となっている。
特許第4599170号公報
胃瘻用バルーンカテーテルのように、体内に留置させて使用するバルーンカテーテルの場合、胃が収縮している時は、カテーテルの先端が胃壁と接触し、患者に不快感を与える場合がある。また、カテーテルの剛性が高すぎると挿入及び除去時に痛みを感じる場合がある。
胃瘻用バルーンカテーテルを用いる患者の中には、スポーツ等をして活動的に過ごす患者や小児もいるため、バルーンカテーテルは、物質の流路を確保してカテーテルの機能を損なうことなく、上記のような挿入及び除去時並びに装着時の患者の不快感を緩和する構造が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、挿入及び除去時並びに装着時の患者の不快感が少ないバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
本発明は、第1の開口及び第2の開口を有するファネルと、ファネルと連続して設けられ、内部に第1の開口に連通する第1流路及び第2の開口に連通する第2流路を有するシャフトと、シャフトの先端側に設けられ、膨張収縮可能な可撓性のチューブから構成されるバルーン部と、を有するバルーンカテーテルであって、バルーン部を構成するチューブが、バルーン部から連続して、少なくともシャフトのファネル側端部までシャフト外周を覆っているバルーンカテーテルである。
チューブのJIS A硬度は、20度以上40度以下であることが好ましい。
チューブの厚さは、0.4mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
本発明によれば、挿入及び除去時並びに装着時の患者の不快感が少ないバルーンカテーテルを得ることができる。
本発明のバルーンカテーテルの一実施形態を示す側面図である。 本発明のバルーンカテーテルの一実施形態を示す断面図である。 本発明のバルーンカテーテルのバルーン部が膨張した状態を示す断面図である。 本発明のバルーンカテーテルの他の実施形態を示す側面図である。 従来技術のバルーンカテーテルを示す側面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態のバルーンカテーテル10は、例えば、胃瘻用のバルーンカテーテルとして用いることができる。
図1から図3に示すように、本発明のバルーンカテーテル10は、第1の開口21及び第2の開口22を有するファネル20と、ファネル20と連続して設けられ、内部に第1の開口21に連通する第1流路31及び第2の開口22に連通する第2流路32を有するシャフト30と、シャフト30の先端30a側に設けられ、膨張収縮可能な可撓性のチューブ41から構成されるバルーン部40と、を有する。
そして、本発明のバルーンカテーテル10のバルーン部40を構成するチューブ41は、バルーン部40から連続して、少なくともシャフト30のファネル側端部30bまでシャフト30の外周を覆っている。
ファネル20は、体表面に係止される部分である。ファネル20とシャフト30とは一体成形により作製される。ファネル20の第1の開口21には、逆流防止弁組立体23が装着されている。逆流防止弁組立体23の開口に供給チューブアダプタ(不図示)が挿入されて、栄養剤、薬剤等がシャフト30の第1流路31を通じて患者へ投入される。
ファネル20には、延在するベルト50と、ベルト50上にキャップ51とが設けられており、逆流防止弁組立体23から栄養剤などを供給しない場合は、第1の開口21はキャップ51により閉じられている。
また、ファネル20には、注排出装置24が設けられている。注排出装置24から、空気、生理食塩水、蒸留水等を、シャフト30の第2流路32及び開孔33を通じてバルーン部40に注入することにより、バルーン部40を膨張させる。また、注排出装置24により、バルーン部40内の、空気、生理食塩水、殺菌精製水等を排出し、バルーン部40を収縮させる。
シャフト30は、図2に示すように、内部に第1流路31及び第2流路32を有する。
第1流路31は、生理食塩水、殺菌精製水、空気、栄養剤等の流体、ガイドワイヤー等の固体物を送出する内部導通孔である。上記流体等は、第1流路31を通り、排出口35から患者へ投入される。第1流路31は比較的大きな孔径を有している。
一方、第2流路32は、バルーン部40のチューブ41を拡張させる流体、例えば、空気、生理食塩水、殺菌精製水等を送出する内部導通孔であり、第1流路31に連通することなく形成され、比較的小さな孔径を有している。
シャフト30の材料は、可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。シャフト30の材料は、ポリオレフィン、シリコーンゴムがより好ましい。
シャフト30の硬度は、剛性及び患者の体内への挿入及び除去時の負担を考慮すると、JIS A硬度で、45度以上60度以下であることが好ましく、50度以上60度以下であることがより好ましい。
シャフト30の外径D30(図2参照)は、内部に第1流路31と第2流路32を設けるために内壁を要することを考慮すると、2.0mm以上10mm以下であることが好ましく、4.0mm以上8.0mm以下であることがより好ましい。
バルーン部40は、膨張収縮可能な可撓性のチューブ41から構成される。チューブ41の材料としては、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。また、膨張収縮することから、二軸延伸されたものが好ましい。なかでも、チューブ41の材料は、シリコーンゴムがより好ましい。チューブ41の材料には、抗菌剤、抗ウイルス剤等を添加してもよい。
チューブ41のJIS A硬度は、20度以上40度以下であることが好ましく、24度以上35度以下であることがより好ましい。硬度が20度以上であることにより、膨張時の圧力に耐えることができる。また、硬度が40度以下であることにより、空気等をバルーン部40内に充填しやすく、バルーン部40が膨張しやすい。
本発明におけるチューブ41は、シャフト30のファネル側端部30bまでシャフト30を覆う構造であり、従来のチューブより長い。このような長いチューブ41をシャフト30に取り付ける際の作業性の良さ及びバルーンとしての強度を考慮すると、チューブ41の長さは、20mm以上80mm以下が好ましく、15mm以上70mm以下であることがより好ましい。また、同様の観点から、チューブの厚さは、0.4mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
本発明のバルーンカテーテル10では、チューブ41は、バルーン部40から連続して、シャフト30の先端30aからファネル側端部30bまでシャフト30外周を覆っている。
バルーン部40は、以下のような公知の方法によって作製することができる。まず、ファネル20、シャフト30及びベルト50からなる一体成形品を作製し、別途、チューブ41を押出成形により作製する。次に、チューブ41の一方の先端41aを、シャフト30の先端30aから先端30a近傍の外周に亘って接着剤で接着する。続いて、チューブ41を反転させて、バルーン部40を構成する部分は接着せず、シャフト30のバルーン端30cからファネル側端部30bまでを接着剤で接着する。シャフト30のバルーン端30cからファネル側端部30bまでの領域をチューブ41と接着する際、バルーン部40の領域を画定するため、チューブ41のバルーン端30cにおいて、チューブ41が動かないように、治具で固定することが望ましい。
シャフト30とチューブ41の接着において、シャフト30の先端30a近傍での接着及びバルーン端30c付近は接着剤で行い、それ以外は、熱融着により接着してもよい。
本実施形態では、チューブ41の一方の先端41aを、シャフト30の先端30aから先端30a近傍の外周に亘って接着剤で接着しているが、シャフト30の先端30aのみに接着してもよい。このような構成にすることにより、チューブ表面の段差をなくすことができるので、挿入及び除去時の不快感を軽減することができる。
シャフト30とチューブ41を接着する接着剤としては、シリコーン系接着剤が好ましく、RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムやLIM(Liquid Injection Molding)シリコーンゴムを用いることができる。
上記実施形態では、チューブ41が、シャフト30のファネル側端部30bまで設けられた場合について説明したが、図4に示すバルーンカテーテル60のように、チューブ41は、ファネル20の表面22aの極近傍まで形成されていてもよい。ファネル20の表面22aの極近傍まで形成されていることにより、患者の体表面で接触する部分を確実に柔らかくすることができるので、さらに患者の痛み又は不快感を軽減することができる。
図5に、従来技術におけるバルーンカテーテル100を示す。従来技術によるバルーンカテーテル100では、チューブ141は、バルーン部140を構成する部分のみに形成されている。このような構成においては、硬いシャフト30が患者の体表面に接触するため、患者に痛み又は不快感を伴う。また、シャフト30とチューブ41の端に段差142が存在するため、患者はシャフト30の除去時に不快感を覚える。
しかしながら、本発明のバルーンカテーテル10によれば、シャフト30全体がバルーン部と同じ膨張収縮可能なゴムで覆われているため柔らかく、表面の段差も無いため、挿入及び除去時並びに装着時の痛み又は不快感を軽減することができる。
上記実施形態では、バルーンが収縮している時は、バルーン部40のチューブ41がシャフト30の外壁に密着した形態、いわゆるフィットタイプについて記載したが、シャフト30とチューブ41の間に空気層を有する形態、いわゆるルーズタイプとしてもよい。ルーズタイプでは、バルーン部が、丸みを帯びた形状であって排出口へ向かって先細り形状となるため、皮膚又は胃壁などに設けた小孔への挿入がしやすくなる。
10、60 バルーンカテーテル
20 ファネル
21 第1の開口
22 第2の開口
22a (ファネルの)表面
23 逆流防止弁組立体
24 注排出装置
30 シャフト
30a (シャフトの)先端
30b (シャフトの)ファネル側端部
30c (シャフトの)バルーン端
31 第1流路
32 第2流路
33 開孔
35 排出口
40 バルーン部
41 チューブ
41a (チューブの)先端
50 ベルト
51 キャップ

Claims (3)

  1. 第1の開口及び第2の開口を有するファネルと、
    前記ファネルと連続して設けられ、内部に前記第1の開口に連通する第1流路及び前記第2の開口に連通する第2流路を有するシャフトと、
    前記シャフトの先端に接着された、膨張収縮可能な可撓性のチューブから構成されるバルーン部と、を有するバルーンカテーテルであって、
    前記バルーン部を構成する前記チューブの一方の先端が、前記シャフトの先端近傍の外周に接着され、さらに前記チューブは、前記シャフトの先端において前記第2流路を塞ぎ、かつ排出口を開口させるように前記シャフトの先端の端面に直接接着されており、前記バルーン部から連続して、少なくとも前記シャフトの前記ファネル側端部まで前記シャフトの外周を覆っているバルーンカテーテル。
  2. 前記チューブのJIS A硬度が、20度以上40度以下である請求項1記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記チューブの厚さが、0.4mm以上0.6mm以下である請求項1又は2記載のバルーンカテーテル。
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