JP2005342503A - バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に生体組織を剥離することができ、かつ、必要に応じて従来のバルーンカテーテルの機能を発現させることができる、生体組織剥離用として有用なバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】流体の流入により膨張するバルーン100と、前記流体を前記バルーン内に流入させるためのルーメンを有するカテーテル120とからなるバルーンカテーテル100であって、前記バルーン内に流体を流入させた際の前記バルーンの膨張速度が、カテーテルの先端側の方が後端側より大きいバルーンカテーテル。
【選択図】図1

Description

生体組織を容易に剥離することができ、生体組織剥離用として好適に使用することができるバルーンカテーテルに関する。
カテーテルは、低侵襲治療を担う医療器具としてその使用範囲を拡大している。カテーテルとしては、血管、気管、消化管等の生体腔に、薬剤や輸液を供給したりするための単純なチューブ状のカテーテル以外にも、カテーテルにバルーンを取りつけ、バルーンを膨張させることにより狭窄部を拡張したり、カテーテルを所定位置に保持したりすることを可能とした様々なバルーンカテーテルが開発されている。
一方、カテーテルは、生体腔外から生体腔内に挿入され、目的部位に到達させられるが、カテーテルを目的部位に到達させるために生体組織を剥離しなければならない場合がある。
このような生体組織を剥離する機能を有するバルーンカテーテルの一例として、例えば、特許文献1には、可変湾曲運動による生体組織剥離機能を持った単純な構造で細径化が可能な筒状バルーンを用いたバルーンカテーテルが開示されている。上記筒状バルーンでは、筒状バルーンの一部に架橋処理を施すとともに、放射線照射により架橋処理を行なう際に放射線量を部分的に変えて架橋量を変化させることにより筒状バルーンの伸展性を部分的に変化させており、これにより筒状バルーンに流体圧力が加わった際に筒状バルーンがS字状になり、生体組織剥離に有利であるとしている。
しかしながら、上記筒状バルーンを得るには、放射線照射等の架橋工程が必要であったり、放射線量で架橋度が変わり伸展性が変化する材料を用いることが必要である等の制約があるとともに、上記筒状バルーンを用いたバルーンカテーテルは、筒状バルーンが流体の流入により湾曲するため、目的部位に到達した後は、狭窄部を拡張したり、カテーテルを所定位置に保持したりするといった、本来のバルーンカテーテルの機能を発現させ難いといった問題もあった。
特開平11−405号公報
本発明は、上記現状に鑑み、容易に生体組織を剥離することができ、かつ、必要に応じて従来のバルーンカテーテルの機能を発現させることができる、生体組織剥離用として有用なバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
本発明は、流体の流入により膨張するバルーンと、前記流体を前記バルーン内に流入させるためのルーメンを有するカテーテルとからなるバルーンカテーテルであって、前記バルーン内に流体を流入させた際の前記バルーンの膨張速度が、カテーテルの先端側の方が後端側より大きいことを特徴とする。
上記バルーンカテーテルにおいては、バルーンの膜厚が、バルーンの収縮時において、カテーテルの先端側の方が後端側より薄いことが好ましい。
本発明のバルーンカテーテルを、図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態の一つであるバルーンカテーテルを示した模式図であり、Aはバルーンの収縮時を示し、Bはバルーンの膨張時を示している。該バルーンカテーテル100は、バルーン110とカテーテル120とを有しており、バルーン110を有する先端側から生体腔内に挿入されるものである。
上記バルーン110は袋状の構成をとり、収縮時はAに示すようにカテーテル120の端部121を被覆する状態で存在している。カテーテル120内にはその軸方向に伸びる少なくとも1つ以上のルーメンが形成され、カテーテル120の端部121において、カテーテル120の周面又は場合によっては先端に、カテーテル120に形成されたルーメンとバルーン110内を連通する為の孔が形成されており、上記カテーテル120に流体を供給すると、カテーテル120に形成されたルーメンから孔を通って流体がバルーン110内に流入し、先にバルーン110の先端側111が膨張し始め、最終的にBに示すように洋梨形状に膨張する。
上記バルーン110を構成する材料としては、流体の圧力により膨張及び収縮し得る材料であれば特には限定されず、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリアミド系エラストマーやポリオレフィン系エラストマーなどのエラストマー類等が挙げられる。特に、生体腔内での膨張及び収縮がし易く、流体の圧力により破裂等が生じ難いものとして、天然ゴム、シリコーンゴム等のゴム材のような膨張性及び収縮性に優れた弾性材料が好ましい。
上記バルーン110の膜厚は、薄くなるとバルーンの強度が低下し、厚くなると狭窄部への挿入性が悪くなったり、また、膨張させるために流体を高圧力で流入したりする必要が生じるので、50〜300μmが好ましい。
また、上記バルーン110の大きさは、膨張時のバルーンの外径が10〜50mmであるのが好ましいが、膨張時に生体組織剥離用として機能し得る大きさであればよく、使用部位、使用方法等により適宜調整してよい。尚、上記バルーン110の膨張の程度は、流体の圧力や流入量によっても調整することができる。
上記カテーテル120は、バルーン110内に流体を流入させ、バルーン110を膨張させるため部材であるとともに、バルーンカテーテル100を生体腔内へ挿入するための部材である。
上記カテーテル120を構成する材料としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンやポリブロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴム等の可撓性を有する高分子材料が挙げられる。
上記カテーテル120は、バルーンカテーテル100を生体腔内に挿入させるために、折れにくく、かつ、操作側での操作力をバルーンを有する端部へ効率よく伝達させるために剛性を必要とする。このため、上記カテーテル120としては、ポリアミド、ポリウレタン等の剛性に優れた樹脂からなるものが好適に用いられるが、それ以外にも、カテーテル120に補強部材等が設けられ、剛性が付与されたものであってもよい。
上記カテーテル120の外径は、使用部位、使用方法等により適宜調整されるが、0.05〜5mmであるのが好ましい。
また、カテーテル120の肉厚は、薄くなると強度が低下し、得られるバルーンカテーテルの操作性が悪くなるので、0.05mm以上であるのが好ましい。
上記カテーテル120の端部121には、袋状の上記バルーン110が接続されており、また、カテーテル120内にはその軸方向に伸びる少なくとも1つ以上のルーメンが形成され、バルーン110内に位置するカテーテル120にはルーメンとバルーン110内とを連通する孔が形成され、カテーテル120からルーメン及び孔を通してバルーン110の内部へ流体を流入できるようになされている。バルーン110は、カテーテル120の端部121を包み込むように配置されてもよいし、カテーテル120の端部121に巻き付けるように配置されてもよい。即ち、カテーテル120の端部121の先端がバルーン内部に位置していてもよいし、バルーン外部に位置していてもよい。
また、上記ルーメンとバルーン110内とを連通する孔は、カテーテル120に供給された流体をバルーン110の内部へ流入させ得る位置に形成されていればよく、カテーテル120の側面或いは先端に形成される。
上記カテーテル120とバルーン110との接続方法は特には限定されず、例えば、熱融着により接続する方法、接着剤により接続する方法等が挙げられる。
本発明のバルーンカテーテル100は、バルーン110内に流体を流入させた際のバルーン110の膨張速度が、先端側111の方が後端側112より大きいものである。従って、上記バルーンカテーテル100の先端を剥離させたい生体組織の下方に位置させた後、操作側から流体をバルーン110内に流入させると、バルーン110は先端側111から膨張して、挿入した組織部によってバルーン先端側の膨張部がロックされ、以後の膨張においては、バルーンの膨張とともにバルーンカテーテルがロック部に押されて進行方向に進むこととなり、即ち、バルーンカテーテル100はバルーンの膨張とともに生体組織を剥離しながら効率よく進行方向に進むことができるので、組織剥離用として好適に使用することができる。また、必要に応じて、バルーン110を膨張させた後収縮させ、再度膨張させることを繰り返し行ってもよい。
このようなバルーンカテーテル100は、例えば、バルーン110の先端側111の膜厚を後端側112の膜厚より薄くすることにより得ることができる。バルーン110の膜厚をこのように不均一にすることによって、バルーン110内に流体を流入した際、バルーン110は膜厚が薄い部分から膨らみ始めるので先端部111が先に膨張する。また、このようなバルーン110を形成し得る膜厚が不均一なバルーン部材は、ディッピング法等の従来公知の任意の方法により容易に作製することができる。
バルーン110に流入させる流体としては、例えば、空気等の気体や、水、生理食塩水、ゲル状の薬剤等の液体が挙げられる。これらの流体のなかでも空気が好ましい。実際の生体組織剥離操作においては、バルーン110を繰り返し膨張収縮させて生体組織を剥離する場合があるので、流体として空気を用いると効率が良く生体組織剥離操作を行うことができる。
上記バルーンカテーテル100の操作側には、上記バルーン110内部に流体を供給してバルーン110を膨張させ、或いは上記バルーン110内部から流体を排出させてバルーン110を収縮させるために、流体調整用具が接続される。流体調整用具としては特に限定されず、従来のバルーンカテーテルと同様のものが使用されてよいが、中でも構造が簡単で、かつ、流体量の調整も行い易いので注射筒が好適に用いられる。
本発明のバルーンカテーテルは、バルーンが先端側から膨張するので、効率的に生体組織を剥離することができ、組織剥離用として好適に使用することができる。さらに、狭窄部を拡張したり、カテーテルを所定位置に保持させたりといった、従来のバルーンカテーテルの機能を損なうことがない。また、複雑な構成をとらないので、バルーンカテーテルが必要以上に大きくなったり、高価になったりすることもない。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
[バルーン部材の作製]
ディッピング法により、天然ゴムラテックスから以下の大きさの底付き円筒状のバルーン部材を作製した。図2は得られたバルーン部材130の断面図である。
バルーン部材の内径:2.0mm
バルーン部材の全長:65mm
バルーン部材の各位置の膜厚は表1に示した通りであった。
尚、図2中のI〜III点は、底付き円筒状のバルーン部材の底部を始点とした場合、始点から長さ方向に各々10mm、30mm、60mm離れた位置を示す点である。
Figure 2005342503
[カテーテルの作製]
ナイロン11樹脂を押出成形することにより外径2.0mm、長さ2mの中空チューブ状のカテーテルを作製した。
[バルーンカテーテルの作製]
得られたカテーテルの一方の先端を閉塞し、閉塞した先端付近の側面に、後述するバルーンの内部とカテーテル内部のルーメンとを連通するための孔を設けた。次に、バルーン部材をI点及びIII点の位置で切断し、III点側がカテーテルの閉塞した先端側になるようにして円筒状のバルーン部材の中にカテーテルを通し、カテーテルの側面に設けた孔がバルーン内部に位置するようにバルーン部材の両端(I点及びIII点)をカテーテルに接着剤により接着し、バルーンカテーテルを作製した。
(比較例)
バルーン部材をカテーテルに取り付ける際に、バルーン部材のI点側がカテーテルの閉塞した先端側になるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてバルーンカテーテルを作製した。
<評価>
実施例1及び比較例で得られたバルーンカテーテルについて、空気を流入した際のバルーンの膨らみ方と、生体組織の剥離のし易さを評価した。評価結果を表2に示した。
尚、空気の流入は、カテーテルの閉塞していない先端に注射筒を接続し、手動で注射筒を操作することにより行った。
また、生体組織の剥離のし易さは、生体から分離された生体組織サンプルの一部に切れ込みを形成し、その切れ込みにバルーンカテーテルのバルーン部分を挿入した後、バルーン内部に空気を流入させることによりバルーンを膨張させて評価した。
Figure 2005342503
実施例1のバルーンカテーテルを生体組織に挿入した後、バルーンに空気を流入すると、バルーン先端側より生体組織が剥離し、これにより生体組織を剥離しながら効率よくバルーンカテーテルを進行方向に進めることができた。また、バルーンの膨張と収縮を繰り返すことにより、生体組織を徐々に剥離しながらバルーンカテーテルを挿入することができるので安全性も高かった。一方、比較例のバルーンカテーテルでは生体組織の剥離が困難であった。
(実施例2)
図3に示すような以下の円筒状のバルーン部材140を使用した以外は実施例1と同様にして、バルーンカテーテルを作製した。
円筒状のバルーン部材の外径:2.46mm
円筒状のバルーン部材のカテーテルの閉塞した先端側の肉厚:0.18mm
円筒状のバルーン部材のカテーテルの操作側の肉厚:0.23mm
円筒状のバルーン部材全長:50mm
実施例2のバルーンカテーテルを生体組織に挿入した後、バルーンに空気を流入すると、実施例1と同様、バルーン先端側より生体組織が剥離し、これにより生体組織を剥離しながら効率よくバルーンカテーテルを進行方向に進めることができた。また、バルーンの膨張と収縮を繰り返すことにより、生体組織を徐々に剥離しながらバルーンカテーテルを挿入することができるので安全性も高かった。
本発明のバルーンカテーテルは、上述の構成よりなるので、効率的に生体組織を剥離しつつカテーテルを生体組織内に挿入することができ、生体組織剥離操作が必要となる場合において好適に使用することができる。このため、本発明のバルーンカテーテルによれば、施術をより容易かつ安全とすることができ、患者の負担を軽減することができる。
本発明のバルーンカテーテルの一実施態様を示す図である。 実施例1において作製した底付き円筒状のバルーン部材を示す断面図である。 実施例2において作製した円筒状のバルーン部材を示す断面図である。
符号の説明
100 バルーンカテーテル
110 バルーン
111 先端側
112 後端側
120 カテーテル
121 端部
130 底付き円筒状のバルーン部材
140 円筒状のバルーン部材

Claims (2)

  1. 流体の流入により膨張するバルーンと、前記流体を前記バルーン内に流入させるためのルーメンを有するカテーテルとからなるバルーンカテーテルであって、
    前記バルーン内に流体を流入させた際の前記バルーンの膨張速度が、カテーテルの先端側の方が後端側より大きいことを特徴とするバルーンカテーテル。
  2. 前記バルーンの膜厚が、バルーンの収縮時において、カテーテルの先端側の方が後端側より薄いことを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011500249A (ja) * 2007-10-22 2011-01-06 エンドクロス リミテッド 血管閉塞を治療するためのバルーンおよびバルーン・カテーテル・システム
JP2013099432A (ja) * 2011-11-08 2013-05-23 Shin Etsu Polymer Co Ltd バルーンチューブ、バルーンカテーテル及びこれらの製造方法

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