JP5439886B2 - 医療用拡張器 - Google Patents
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PEGは、腹壁及び胃壁に瘻孔を開け、該瘻孔に、体内留置部材、チューブ部材及び体外固定部材からなるカテーテルを挿入し、該カテーテルを腹部に留置することにより、胃瘻を造設する手術方法である。その工程は、胃内に内視鏡を挿入し、(1)腹壁と胃壁とを固定するする工程、(2)腹壁及び胃壁に穿刺針を刺し、貫通孔を形成する工程、(3)貫通孔にガイドワイヤを挿入する工程、(4)ガイドワイヤに沿って、瘻孔造設術用拡張器を貫通孔に挿入し、貫通孔の径を拡張して瘻孔を形成する工程、(5)ガイドワイヤに沿って、カテーテルを瘻孔に挿入する工程、(6)ガイドワイヤを抜去する工程からなる。なお、本発明において、貫通孔とは、医療用拡張器で、拡張される前又は拡張中の孔を指し、一方、瘻孔とは、医療用拡張器で拡張された後の孔を指す。
従来より、組織を拡張するための医療用拡張器については、種々のものが開示されている。例えば、特許文献1において、ガイドワイヤ下に細径拡張部材を挿入し、続いて中径拡張器を挿入し、続いて太径拡張部材を順次挿入する医療用拡張器が開示されている。また、特許文献2において、小口径より順次大口径に至る薄肉弾性チューブを複数本組合わせてなる医療用拡張器が開示されている。
また、外径の異なる複数本の拡張器の組み合わせからなる医療用拡張器においては、それぞれの挿入抵抗の変化を生じることがあるため、スムーズに挿入することが困難な場合があった。
従って、本発明の課題は、操作が簡便で手術時間を短縮でき、且つ組織拡張時の挿入抵抗値の変化が小さい医療用拡張器を提供することである。
(1)胃瘻造設術に用いられる医療用拡張器であって、
前記医療用拡張器は、ガイドワイヤが挿通可能な内腔を有し、先端に向かって先細りの第1テーパー部を有する細径拡張部材と、
前記細径拡張部材を挿脱自在に組み込む内腔を有し、先端に向かって先細りの第2テーパー部を有する太径拡張部材と、
から構成される医療用拡張器であって、
前記細径拡張部材の第1テーパー部角度(A)と、前記太径拡張部材の第2テーパー部角度(B)の比(A):(B)が、1:1.3以上、1:1.7以下であり、
前記細径拡張部材は、前記太径拡張部材よりも軟質な材質で構成されており、
前記太径拡張部材は、第2胴体部を備え、
前記第2胴体部は、目盛を付されていることを特徴とする医療用拡張器。
(2)前記第1テーパー部角度(A)は、3度以上、4度以下であり、
前記第2テーパー部角度(B)は、5度以上、6度以下である(1)に記載の医療用拡張器。
該細径拡張部材2の先細りの該第1テーパー部22を該太径拡張部材3の後端に付設された第2ハブ36から第2胴体部31の内腔へ挿入していくことにより2本の拡張部材が一体化され、本発明の医療用拡張器となる。
細径拡張部材2は、長手方向に渡り中空構造の第1内腔25を有しており、内部にガイドワイヤ(図示せず)が挿通可能になっている。
太径拡張部材3においても、長手方向に渡り中空構造の第2内腔35を有しており、内部に細径拡張部材2を挿脱自在に組み込むことが可能になっている。
医療用拡張器1の後端は、太径拡張部材3の第2ハブ36の内腔へ、細径拡張部材2の第1ハブ26が嵌合するように構成され、この嵌合により、一体化された拡張器となる。
実際には、第1胴体部21が挿入される抵抗は、第1テーパー部22が挿入される抵抗とほぼ同等か、それ以下の抵抗であり、また、第2胴体部31が挿入される抵抗は、第2テーパー部32が挿入される抵抗とほぼ同等か、それ以下の抵抗であるために、挿入性の良い拡張器とするには、第1テーパー部22が挿入される抵抗と、第2テーパー部32が挿入される抵抗の2つの抵抗を最適化することが必要となる。
太径拡張部材3の第2テーパー部32の内径は、細径拡張部材2の第1胴体部21の外径とほぼ同寸法になるように構成されているため、細径拡張部材突出部12は、最短の場合は細径拡張部材2の第1テーパー部22の後端までとなる。
更に、細径拡張部材突出部12の長さを長くすることで、ガイドワイヤへの追随性を良くすることができる。しかし、長くしすぎると、太径拡張部材3の第2胴体部31が挿入されるまでに組織、臓器への挿入長さが長くなることで臓器の対抗壁を傷付ける危険性があるため、部位に応じて適切な長さとすることが必要である。
第1胴体部21は、中空の内腔25を有し、内部にガイドワイヤを挿通することができる構造である。
第1胴体部21の外径は、特に制限されないが、細径拡張部材2の内部にガイドワイヤが挿通され得る大きさであれば、特に制限されないが、好ましくは1.3〜6mm、特に好ましくは1.4〜1.8である。
該第2胴体部31の外径は、造設される瘻孔の内径とほぼ同じ大きさなので、留置するカテーテルのチューブ部材の外径により、適宜選択される。つまり、該第2胴体部31の外径は、該チューブ部材の外径と略同一か、又は該チューブ部材の外径より0.5〜3.0mm大きく、好ましくは1.0〜2.0mm大きい。そして、該患者への負担を軽減するために、該第2胴体部31の外径は、カテーテルのチューブ部材の外径より若干大きいことが好ましく、該カテーテルのチューブ部材の外径は、6〜12mmが好ましく、更に好ましくは8〜10mmである。
該第2テーパー部32は、先端に向かって外径が小さくなっている円錐形状である。該第2テーパー部32の先端の内径は、該第1胴体部21の外径と略同一であり、該第1胴体部21の大きさにより、適宜選択される。また、該第2テーパー部32の先端の外径は、該第2テーパー部32の先端の内径に近い程、該医療用拡張器で貫通孔を拡張させる際に、該先端での抵抗が少なくなる点で好ましく、該第2テーパー部32の先端の内径と同じであることが最も好ましい。
目盛37は、該第2胴体部31に付されていることが望ましい。つまり、該目盛37の付される部分は、該第2テーパー部を除く部分が好ましい。目盛37を付設することで、留置するカテーテルの必要な長さを組織拡張と同時に確認することができる。
また、該太径拡張部材3及び該細径拡張部材2は、あらかじめ接着されているものであってもよい。
該太径拡張部材3に該細径拡張部材2を挿通させ、該第2ハブ36及び該第1ハブ26で、該太径拡張部材3に該細径拡張部材2を固定した状態では、該細径拡張部材2の一部が、該第2テーパー部32の先端から突出している。この細径拡張部材突出部12の長さは、特に制限されないが、好ましくは10〜100mm、特に好ましくは10〜50mmである。該長さが、上記範囲未満だと、ガイドワイヤに誘導されて湾曲するだけの柔軟性が乏しくなり易く、胃壁を突き刺してしまう可能性があり、また、上記範囲を超えると、作業性が悪くなり易い。上記範囲未満であっても、該小径部材並びに該小径部材先端部が柔軟な樹脂から構成されていれば、胃壁を損傷する可能性はほとんど無い。
第1テーパー部角度(A)を4度とした細径拡張部材と、第2テーパー部角度(B)を6度とした太径拡張部材を用いた。(A):(B)=1:1.5
第1テーパー部角度(A)を4度とした細径拡張部材と、第2テーパー部角度(B)を8度とした太径拡張部材を用いた。(A):(B)=1:2
一方、(A):(B)を1:2とした比較例では、挿入抵抗が一定とはならず、挿入抵抗値も挿入長さが短い段階で急に高くなる部分があり、スムーズな挿入とはならなかった。本結果から、本願発明の医療用拡張器は挿入抵抗値の変化が小さく、手術現場での操作が簡便で手術時間短縮が期待できる。
12 細径拡張部材突出部
2 細径拡張部材
21 第1胴体部
22 第1テーパー部
23 第1テーパー角度(A)
24 第1テーパー部長さ
25 第1内腔
26 第1ハブ
3 太径拡張部材
31 第2胴体部
32 第2テーパー部
33 第2テーパー角度(B)
34 第2テーパー部長さ
35 第2内腔
36 第2ハブ
37 目盛
Claims (2)
- 胃瘻造設術に用いられる医療用拡張器であって、
前記医療用拡張器は、ガイドワイヤが挿通可能な内腔を有し、先端に向かって先細りの第1テーパー部を有する細径拡張部材と、
前記細径拡張部材を挿脱自在に組み込む内腔を有し、先端に向かって先細りの第2テーパー部を有する太径拡張部材と、
から構成される医療用拡張器であって、
前記細径拡張部材の第1テーパー部角度(A)と、前記太径拡張部材の第2テーパー部角度(B)の比(A):(B)が、1:1.3以上、1:1.7以下であり、
前記細径拡張部材は、前記太径拡張部材よりも軟質な材質で構成されており、
前記太径拡張部材は、第2胴体部を備え、
前記第2胴体部は、目盛を付されていることを特徴とする医療用拡張器。 - 前記第1テーパー部角度(A)は、3度以上、4度以下であり、
前記第2テーパー部角度(B)は、5度以上、6度以下である請求項1に記載の医療用拡張器。
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