JP2023030795A - バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

Figure 2023030795000001
【課題】挿入時及び除去時に患者の負担を軽減することができるバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】本発明は、流路を有するシャフト30と、シャフト30の先端部34に設けられたバルーン部40とを有するバルーンカテーテル10であって、バルーン部40が、シリコーンゴムチューブ41からなり、シリコーンゴムチューブ41が、先端部34における先端側接着部36及び後端側接着部37でシャフト30に接着されており、シリコーンゴムチューブ41の厚さが、0.8mm以上1.2mm以下であり、シャフト30の先端部34は、先端部以外の領域35より表面が低くなるように段差を有するバルーンカテーテルである。
【選択図】図2

Description

本発明は、バルーンカテーテルに関する。
医療分野において、体内へ水分、栄養剤等を導入、又は体内の物質を対外に排出するために、カテーテルの先端(患者側)に膨張収縮するバルーンが配置されたバルーンカテーテルが用いられている。例えば、胃瘻用バルーンカテーテルは、皮膚及び胃壁に小孔を形成し、小孔からバルーンを収縮させた状態で挿入し、その後、バルーンを膨張させることによって、体内でカテーテルを安定した位置に維持し、カテーテルが外れるのを防止するものである。
このようなバルーンカテーテルが、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のバルーンカテーテルは、シャフトの先端に、チップを有し、チップから一体的に成形された膨張収縮可能なバルーンを有するものである。チップは、先細り形状でスリーブ部より高い剛性を有しており、挿入時に座屈しないような構成となっている。
特許第4599170号公報
胃瘻用バルーンカテーテルのように、体内に留置させて使用するバルーンカテーテルの場合、胃が収縮している時は、カテーテルの先端が胃壁と接触し、患者に不快感を与える場合がある。また、カテーテルの剛性が高すぎると挿入及び除去時に痛みを感じる場合がある。
胃瘻用バルーンカテーテルを用いる患者の中には、スポーツ等をして活動的に過ごす患者や小児もいるため、バルーンカテーテルは、物質の流路を確保してカテーテルの機能を損なうことなく、上記のような挿入時及び除去時の患者の負担を軽減する構造が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、挿入時及び除去時に患者の負担を軽減することができるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
本発明は、流路を有するシャフトと、シャフトの先端部に設けられたバルーン部とを有するバルーンカテーテルであって、バルーン部が、シリコーンゴムチューブからなり、シリコーンゴムチューブが、先端部における先端側接着部及び後端側接着部でシャフトに接着されており、シリコーンゴムチューブの厚さが、0.8mm以上1.2mm以下であり、シャフトの先端部は、先端部以外の領域より表面が低くなるように段差d1を有するバルーンカテーテルである。
段差d1は、0.4mm以上0.6mm以下であることが好ましい。
後端側接着部近傍において、先端部以外の領域のシャフトの表面とシリコーンゴムチューブの表面との段差d2は、0.7mm以内であることが好ましい。
シリコーンゴムチューブのJIS A硬度は、15以上40以下であることが好ましい。
シャフトの外壁は、2つの樹脂層からなり、先端部において、外側の樹脂層を有しないことにより、段差d1が構成されていることが好ましい。
バルーンカテーテルは、胃瘻用バルーンカテーテルであることが好ましい。
本発明のバルーンカテーテルによれば、挿入時及び除去時に患者の負担を軽減することができる。
本発明のバルーンカテーテルの一実施形態を示す側面図である。 本発明のバルーンカテーテルの一実施形態を示す断面図である。 シャフトの先端部の段差を示す断面図である。 後端側接着部近傍におけるシャフトとシリコーンゴムチューブの段差を示す断面図である。 後端側接着部近傍におけるシャフトとシリコーンゴムチューブの他の接合状態を示す断面図である シャフトの外壁が2つの樹脂層からなる場合を示す側面図である。 図2におけるB-B断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の一実施形態である胃瘻用バルーンカテーテル10について説明する。
図1及び図2に示すように、胃瘻用バルーンカテーテル10は、流路(第1流路31、第2流路32)を有するシャフト30と、シャフト30の先端部34に設けられたバルーン部40とを有するバルーンカテーテルである。
具体的には、胃瘻用バルーンカテーテル10は、第1の開口21及び第2の開口22を有するファネル20と、ファネル20と連続して設けられ、内部に第1の開口21に連通する第1流路31及び第2の開口22に連通する第2流路32を有するシャフト30と、シリコーンゴムチューブ41からなるバルーン部40と、を有する。
ファネル20は、体表面に係止される部分である。ファネル20とシャフト30とは一体成形により作製される。ファネル20の第1の開口21には、逆流防止弁組立体23が装着されている。逆流防止弁組立体23の開口に供給チューブアダプタ(不図示)が挿入されて、栄養剤、薬剤等がシャフト30の第1流路31を通じて患者へ投入される。
ファネル20には、延在するベルト50と、ベルト50上にキャップ51とが設けられており、逆流防止弁組立体23から栄養剤などを供給しない場合は、第1の開口21はキャップ51により閉じられている。
また、ファネル20には、注排出装置24が設けられている。注排出装置24から、空気、生理食塩水、蒸留水等を、シャフト30の第2流路32及び開孔33を通じてバルーン部40に注入することにより、バルーン部40を膨張させる。また、注排出装置24により、バルーン部40内の、空気、生理食塩水、殺菌精製水等を排出し、バルーン部40を収縮させる。
-シャフト-
本実施形態における胃瘻用バルーンカテーテル10のシャフト30は、図2に示すように、内部に第1流路31及び第2流路32を有する。
第1流路31は、生理食塩水、殺菌精製水、空気、栄養剤等の流体、ガイドワイヤー等の固体物を送出する内部導通孔である。上記流体等は、第1流路31を通り、シャフト30の先端30aに設けられた排出口38から患者へ投入される。第1流路31は比較的大きな孔径を有している。
一方、第2流路32は、バルーン部40のシリコーンゴムチューブ41を拡張させる流体、例えば、空気、生理食塩水、殺菌精製水等を送出する内部導通孔であり、第1流路31に連通することなく形成され、比較的小さな孔径を有している。
図3に、後端側接着部37近傍(図2中、破線で示す領域A)の断面拡大図を示す。
シャフト30の先端部34は、図3に示すように、先端部以外の領域35より表面34aが低くなるように段差d1を有する。すなわち、段差d1は、先端部以外の領域35の表面35aと先端部34の表面34aとの差を示す。段差d1は、0.4mm以上0.6mm以下であることが好ましい。段差d1が0.4mm以上であることにより、シリコーンゴムチューブ41が厚くなることによって生じる段差を軽減することができる。また、段差d1が0.6mm以下であることにより、シャフトの耐久性を維持することができる。
また、図4に示すように、後端側接着部37近傍(領域A)において、先端部以外の領域35のシャフトの表面35aとシリコーンゴムチューブ41の表面41aとの段差d2が、0.7mm以下であることが好まく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.3mm以下であることが更に好ましい。段差d2が0.7mm以下であることにより、シャフト30の挿入時及び抜去時の患者の痛みを軽減することができる。
図5に示すように、シリコーンゴムチューブ41の厚さをテーパー状にしてもよい。このようにすることにより、段差d2を0mmにすることが可能であり、挿入時及び抜去時の患者の負担をより小さくすることができる。
シャフト30は、切削によって、段差d1を設けてよいが、図6に示すように、内側樹脂層60と外側樹脂層61の2つの樹脂層から構成し、先端部34において、外側樹脂層61を有しないことにより、段差d1が構成されているようにしてもよい。例えば、内側樹脂層60を押出成形又は金型成形によって作製し、外側樹脂層61をシリコーンゴムチューブで作製して、この外側樹脂層61を内側樹脂層60に被せることによって2層の樹脂層を形成することができる。
シャフト30の材料は、可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。シャフト30の材料は、ポリオレフィン、シリコーンゴムがより好ましい。
シャフト30の硬度は、剛性及び患者の体内への挿入及び除去時の負担を考慮すると、JIS A硬度で、50以上80以下であることが好ましく、60以上70以下であることがより好ましい。
シャフト30の外壁の厚さT30(図7参照)は、1.7mm以上3.3mm以下であることが好ましい。ここで、シャフト30の外壁の厚さT30とは、図7に示すように、第1流路31の内壁から外壁表面までの厚さを示す。厚さT30が、1.7mm以上であることにより、段差d1を0.4mm以上としても十分な耐久性を有する。また、厚さT30が、3.3mm以下であることにより、患者の挿入時及び抜去時の痛みを与えることなく、シャフトの外径D30(図2参照)を、以下に示す範囲にして、第1流路31と第2流路32の流量を確保することができる。
シャフト30の外径D30は、内部に第1流路31と第2流路32を設けるために内壁を要すること、及び流量を確保する観点から、2.0mm以上10mm以下であることが好ましく、4.0mm以上8.0mm以下であることがより好ましい。
-バルーン部-
シリコーンゴムチューブ41は、図2に示すように、先端部34における先端側接着部36と後端側接着部37でシャフト30に接着されている。
シリコーンゴムチューブ41の厚さは、0.8mm以上1.2mm以下である。シリコーンゴムチューブ41の厚さが上記範囲であることにより、バルーン部40の耐久性が上がり、バルーン部40の破裂を良好に防止することができる。また、高いガスバリア性を有するため、装着中に、バルーン部40が収縮して、カテーテルが意図せず抜去されるのを防止することができる。
例えば、シリコーンゴムチューブ41の厚さが0.8mm以上1.2mm以下である本実施形態では、30日の残水率で、75%~90%程度を維持することができる。
シリコーンゴムチューブ41のJIS A硬度は、15以上40以下であることが好ましく、20以上30以下であることがより好ましい。硬度が15以上であることにより、膨張時の圧力に耐えることができる。また、硬度が40以下であることにより、空気等をバルーン部40内に充填しやすく、バルーン部40が膨張しやすい。
バルーン部40は、以下のような公知の方法によって作製することができる。まず、ファネル20、シャフト30、及びベルト50からなる一体成形品を作製し、別途、シリコーンゴムチューブ41を押出成形により作製する。次に、シリコーンゴムチューブ41の一方の先端を、シャフト30の先端側接着部36に接着剤で接着する。
続いて、シリコーンゴムチューブ41を反転させて、バルーン部40の膨張収縮する部分は接着せず、シャフト30の後端側接着部37に接着剤で接着する。このとき、バルーン部40の膨張収縮する領域を画定するため、シリコーンゴムチューブ41が動かないように、治具で固定することが望ましい。
シャフト30とシリコーンゴムチューブ41の接着において、先端側接着部36は接着剤で行い、それ以外は、熱融着により接着してもよい。
シャフト30とシリコーンゴムチューブ41を接着する接着剤としては、シリコーン系接着剤が好ましく、RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴムやLIM(Liquid Injection Molding)シリコーンゴムを用いることができる。
本発明によれば、シリコーンゴムチューブ41の厚さを厚くすることができ、かつ、シャフト30の表面の段差を小さくすることができるので、ガスバリア性を向上させながら、挿入時及び抜去時の患者の負担も軽減することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ミラブル型シリコーンゴム組成物を用いて、押出成形によりA硬度70、外径D30が8mmのシャフトを形成した。シャフトの先端部には表1に示す段差d1(図3参照)が施されている。このシャフトに、表1に示す硬度及び厚さを有するシリコーンゴムチューブを接着して、バルーンカテーテルを作製した。
バルーンカテーテルの、先端部以外の領域のシャフトの表面とシリコーンゴムチューブの表面との段差d2(図4参照)は、0.5mmであった。
[実施例2]
シリコーンゴムチューブの後端側接着部の厚さをテーパー状にして、先端部以外の領域のシャフトの表面とシリコーンゴムチューブの表面との段差d2を0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にバルーンカテーテルを作製した。
[実施例3]
シリコーンゴムチューブの厚さを0.8mmにし、段差d2を0.3mmにしたこと以外は、実施例1と同様にバルーンカテーテルを作製した。
[実施例4]
シリコーンゴムチューブの後端側接着部の厚さをテーパー状にして、段差d2を0mmとしたこと以外は、実施例3と同様にバルーンカテーテルを作製した。
[実施例5]
シリコーンゴムチューブの厚さを1.2mmにし、段差d2を0.7mmにしたこと以外は、実施例1と同様にバルーンカテーテルを作製した。
[実施例6]
シリコーンゴムチューブの後端側接着部の厚さをテーパー状にして、段差d2を0mmにしたこと以外は、実施例5と同様にバルーンカテーテルを作製した。
Figure 2023030795000002
本発明のバルーンカテーテルは、シリコーンゴムチューブの厚さが、0.8mm以上1.2mm以下であり、シャフトの先端部に、先端部以外の領域より表面が低くなるように段差d1を有することにより、挿入時及び除去時に患者の負担を軽減することができる。また、本発明のバルーンカテーテルは、表1に示すように、残水率も75%以上を確保することが可能である。
10 バルーンカテーテル
20 ファネル
21 第1の開口
22 第2の開口
23 逆流防止弁組立体
24 注排出装置
30 シャフト
30a (シャフトの)先端
31 第1流路
32 第2流路
33 開孔
34 先端部
35 先端部以外の領域
36 先端側接着部
37 後端側接着部
38 排出口
39 後端側接着部近傍
40 バルーン部
41 シリコーンゴムチューブ
50 ベルト
51 キャップ
60 内側樹脂層
61 外側樹脂層

Claims (6)

  1. 流路を有するシャフトと、前記シャフトの先端部に設けられたバルーン部とを有するバルーンカテーテルであって、
    前記バルーン部が、シリコーンゴムチューブからなり、
    前記シリコーンゴムチューブが、前記先端部における先端側接着部及び後端側接着部で前記シャフトに接着されており、
    前記シリコーンゴムチューブの厚さが、0.8mm以上1.2mm以下であり、
    前記シャフトの前記先端部は、前記先端部以外の領域より表面が低くなるように段差d1を有するバルーンカテーテル。
  2. 前記段差d1が、0.4mm以上0.6mm以下である請求項1記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記後端側接着部近傍において、前記先端部以外の領域のシャフトの表面とシリコーンゴムチューブの表面との段差d2が、0.7mm以下である請求項1又は2記載のバルーンカテーテル。
  4. 前記シリコーンゴムチューブのJIS A硬度が、15以上40以下である請求項1から3いずれか1項記載のバルーンカテーテル。
  5. 前記シャフトの外壁が、2つの樹脂層からなり、前記先端部において、外側の樹脂層を有しないことにより、前記段差d1が構成されている請求項1から4いずれか1項記載のバルーンカテーテル。
  6. 前記バルーンカテーテルが、胃瘻用バルーンカテーテルである請求項1から5いずれか1項記載のバルーンカテーテル。
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