JP7460275B2 - ウェーハの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属を含む層が設けられたウェーハを加工するためのウェーハの加工方法に関する。
デバイスチップの製造工程では、格子状に配列されたストリート(分割予定ライン)によって区画された複数の領域の表面側にそれぞれIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成されたウェーハが用いられる。このウェーハをストリートに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。
ウェーハの分割には主に、ウェーハを円環状の切削ブレードで切削する切削装置が用いられる。一方、近年では、レーザー加工によってウェーハを加工するプロセスも広く実用化されている。例えば、レーザービームの照射によるアブレーション加工によって、ウェーハをストリートに沿って分断する手法が用いられることがある。
また、ウェーハの裏面側には、金属を含む層が設けられていることがある。例えば、ウェーハの分割によって得られたデバイスチップを所定の実装基板にダイボンディングによって実装するため、ウェーハの裏面側には導電性のダイアタッチフィルムが貼付されることがある(特許文献1参照)。
ウェーハの裏面側に貼付されたダイアタッチフィルムは、例えばレーザービームの照射によって、ウェーハとともに分断される。これにより、ダイアタッチフィルムの個片(ダイアタッチ層)が付着したデバイスチップが得られる(特許文献2参照)。このデバイスチップは、例えば実装基板に形成された接続電極に、ダイアタッチ層を介して接続される。
特表2016-533422号公報 特開2018-14370号公報
導電性のダイアタッチフィルムのような金属を含む層が裏面側に形成されたウェーハをレーザー加工よって分割する場合、レーザービームが金属を含む層にも照射され、該金属を含むデブリ(金属デブリ)が発生する。この金属デブリは、ウェーハに形成された分断溝(デバイスチップ間の隙間)を介して、デバイスが形成されているウェーハの表面側まで飛散する。その結果、金属デブリがデバイスを構成する導電膜等に付着し、デバイスの動作不良が生じる恐れがある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、デバイスの動作不良の発生を抑制することが可能なウェーハの加工方法の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、互いに交差する複数のストリートによって区画された複数の領域それぞれに形成されたデバイスを含むデバイス層が表面側に設けられ、金属を含む層が裏面側に設けられたウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、該ウェーハの表面側に水溶性の保護膜材を供給して、該デバイス層の表面を保護する表面保護膜を形成する表面保護膜形成ステップと、該表面保護膜形成ステップを実施した後、該ウェーハに対して吸収性を有するレーザービームを該ストリートに沿って照射して、該デバイス層を該ストリートに沿って分断するとともに該ウェーハの表面側に該層に至らない深さのデブリ捕獲溝を該ストリートに沿って形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップを実施した後、該ウェーハの表面側に該保護膜材を供給して、該デブリ捕獲溝の側面及び分断された該デバイス層の側面を保護する側面保護膜を形成する側面保護膜形成ステップと、該側面保護膜形成ステップを実施した後、該ウェーハに対して吸収性を有するレーザービームを該ストリートに沿って照射して、該デブリ捕獲溝の内側に分断溝を形成することにより、該ウェーハを該層ごと該ストリートに沿って分断する分断ステップと、該分断ステップを実施した後、該ウェーハに洗浄流体を供給して、該表面保護膜と該側面保護膜とを除去する除去ステップと、を備え、該分断ステップでは、該層にレーザービームが照射されて発生した該金属を含むデブリが、該デブリ捕獲溝に形成された該側面保護膜に付着し、該除去ステップでは、該表面保護膜及び該側面保護膜とともに、該側面保護膜に付着した該デブリが除去されるウェーハの加工方法が提供される。
なお、好ましくは、該溝形成ステップでは、該ウェーハの表面側に該層に至らない深さの2条の溝を該ストリートに沿って形成し、該側面保護膜形成ステップでは、2条の該溝の側面を覆う該側面保護膜を形成し、該分断ステップでは、2条の該溝と連結される該分断溝を形成する。
また、好ましくは、上記のウェーハの加工方法は、該溝形成ステップを実施した後、該側面保護膜形成ステップを実施する前に、該ウェーハに該洗浄流体を供給し、該表面保護膜とともに該表面保護膜に付着したデブリを除去するデブリ除去ステップを更に備え、該側面保護膜形成ステップでは、該ウェーハの表面側に該保護膜材を供給して、該側面保護膜を形成するとともに該デバイス層の表面を保護する表面保護膜を再度形成する。さらに、好ましくは、該層は、導電性のダイアタッチフィルムである。
本発明の一態様に係るウェーハの加工方法では、まず、ウェーハの表面側にデブリ捕獲溝が形成されるとともに、デブリ捕獲溝の側面を保護する側面保護膜が形成される。そして、レーザービームの照射によってデブリ捕獲溝の内側に分断溝が形成され、ウェーハが金属を含む層ごと分断される。
上記のウェーハの加工方法では、レーザービームが金属を含む層に照射された際に発生した金属デブリが、デブリ捕獲溝に形成された側面保護膜で捕獲される。これにより、金属デブリのデバイスへの混入や、金属デブリとデバイスとの意図しない電気的な接続が回避され、デバイスの動作不良の発生が抑制される。
図1(A)はウェーハを示す斜視図であり、図1(B)はウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 フレームによって支持されたウェーハを示す斜視図である。 レーザー加工装置を示す斜視図である。 図4(A)は表面保護膜形成ステップにおける流体供給ユニットを示す一部断面正面図であり、図4(B)は表面保護膜が形成されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 図5(A)は溝形成ステップにおけるレーザー加工装置を示す一部断面正面図であり、図5(B)はデブリ捕獲溝が形成されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 図6(A)はデブリ除去ステップにおける流体供給ユニットを示す一部断面正面図であり、図6(B)は表面保護膜が除去されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 図7(A)は側面保護膜形成ステップにおける流体供給ユニットを示す一部断面正面図であり、図7(B)は側面保護膜が形成されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 図8(A)は分断ステップにおけるレーザー加工装置を示す一部断面正面図であり、図8(B)は分断溝が形成されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 図9(A)は除去ステップにおける流体供給ユニットを示す一部断面正面図であり、図9(B)は側面保護膜及び表面保護膜が除去されたウェーハの一部を拡大して示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るウェーハの加工方法を適用することが可能なウェーハの構成例について説明する。図1(A)は、ウェーハ11を示す斜視図である。
ウェーハ11は、例えばシリコン等でなる円盤状の半導体ウェーハであり、互いに概ね平行な表面11a及び裏面11bを備える。ウェーハ11の表面11a側には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)等のデバイス15を含むデバイス層13が設けられている。
ウェーハ11の表面11a側は、互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)17によって、複数の矩形状の領域に区画されている。そして、複数のデバイス15はそれぞれ、ストリート17によって区画された領域に形成されている。
図1(B)は、ウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。ウェーハ11の表面11a側に設けられたデバイス層13は、デバイス15を構成する各種の膜(導電膜、絶縁膜等)を含む層に相当する。すなわち、デバイス層13に含まれる各種の膜の積層体によって、デバイス15が構成されている。
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えばウェーハ11は、シリコン以外の半導体(GaAs、InP、GaN、SiC等)、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる任意の形状のウェーハであってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
ウェーハ11の裏面11b側には、金属を含む層(金属含有層)19が形成されている。例えば層19は、ウェーハ11と概ね同径の円形に形成され、ウェーハ11の裏面11b側に貼付された導電性のダイアタッチフィルム(DAF)である。導電性のDAFとしては、金属(銀等)の粒子を含有する樹脂(エポキシ樹脂等)でなる異方性導電膜等が用いられる。
なお、以下では一例として、金属を含む層19が導電性のDAFである場合について説明するが、層19は金属を含む層であれば制限はない。例えば、層19はウェーハ11の裏面11b側に形成された金属膜等であってもよい。
ウェーハ11を加工する際は、ウェーハ11の取り扱い(搬送、保持等)の便宜のため、ウェーハ11が環状のフレームによって支持される。図2は、環状のフレーム23によって支持されたウェーハ11を示す斜視図である。
ウェーハ11の裏面11b側(層19側)には、ウェーハ11より径の大きい円形のテープ(ダイシングテープ)21が貼付される。テープ21としては、円形に形成されたフィルム状の基材と、基材上に設けられた粘着層(糊層)とを有するシート等を用いることができる。例えば、基材はポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなり、粘着層はエポキシ系、アクリル系、又はゴム系の接着剤等でなる。また、粘着層には、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型の樹脂を用いてもよい。
テープ21の外周部は、金属等でなる環状のフレーム23に貼付される。フレーム23は、中央部にウェーハ11よりも直径が大きい円形の開口23aを備え、ウェーハ11は開口23aの内側に配置される。テープ21がウェーハ11及びフレーム23に貼付されると、ウェーハ11がテープ21を介してフレーム23によって支持される。
ウェーハ11は、層19(導電性のDAF)ごとストリート17に沿って分断される。これにより、デバイス15を備え、裏面側に層19の個片(ダイアタッチ層)が付着した複数のデバイスチップが得られる。このデバイスチップは、ダイアタッチ層を介して、所定の実装基板にダイボンディングによって実装される。
ウェーハ11の分断には、例えばレーザー加工装置が用いられる。図3は、レーザー加工装置2を示す斜視図である。レーザー加工装置2は、レーザービームの照射によってウェーハ11を加工する加工装置である。
レーザー加工装置2は、レーザー加工装置2を構成する各構成要素を支持又は収容する基台4を備える。基台4の上面は、X軸方向(加工送り方向、左右方向、第1水平方向)及びY軸方向(割り出し送り方向、前後方向、第2水平方向)と概ね平行に形成されている。基台4の上面上には、移動機構(移動ユニット)6が設けられている。移動機構6は、Y軸移動機構(Y軸移動ユニット)8と、X軸移動機構(X軸移動ユニット)18とを備える。
Y軸移動機構8は、基台4の上面上にY軸方向に沿って配置された一対のY軸ガイドレール10を備える。一対のY軸ガイドレール10には、板状のY軸移動テーブル12がY軸ガイドレール10に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
Y軸移動テーブル12の裏面(下面)側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部は、一対のY軸ガイドレール10の間にY軸方向に沿って配置されたY軸ボールねじ14に螺合されている。また、Y軸ボールねじ14の端部には、Y軸ボールねじ14を回転させるY軸パルスモータ16が連結されている。Y軸パルスモータ16でY軸ボールねじ14を回転させると、Y軸移動テーブル12がY軸ガイドレール10に沿ってY軸方向に移動する。
X軸移動機構18は、Y軸移動テーブル12の表面(上面)側にX軸方向に沿って配置された一対のX軸ガイドレール20を備える。一対のX軸ガイドレール20には、板状のX軸移動テーブル22がX軸ガイドレール20に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
X軸移動テーブル22の裏面(下面)側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部は、一対のX軸ガイドレール20の間にX軸方向に沿って配置されたX軸ボールねじ24に螺合されている。また、X軸ボールねじ24の端部には、X軸ボールねじ24を回転させるX軸パルスモータ26が連結されている。X軸パルスモータ26でX軸ボールねじ24を回転させると、X軸移動テーブル22がX軸ガイドレール20に沿ってX軸方向に移動する。
X軸移動テーブル22の表面(上面)上には、レーザー加工装置2による加工の対象となるウェーハ11を保持するチャックテーブル(保持テーブル)28が設けられている。チャックテーブル28の上面は、ウェーハ11を保持する保持面28aを構成する。また、チャックテーブル28の周囲には、ウェーハ11を支持するフレーム23(図2参照)を把持して固定する複数(図1では4個)のクランプ30が設けられている。
保持面28aは、ウェーハ11の形状に対応して平面視で円形に形成された平坦面であり、X軸方向及びY軸方向に概ね平行に形成されている。保持面28aは、チャックテーブル28の内部に形成された流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。保持面28a上にウェーハ11を配置した状態で、保持面28aに吸引源の負圧を作用させると、ウェーハ11がチャックテーブル28によって吸引保持される。
Y軸移動テーブル12をY軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル28が割り出し送り方向に移動する。また、X軸移動テーブル22をX軸方向に沿って移動させると、チャックテーブル28が加工送り方向に移動する。すなわち、Y軸移動機構8は割り出し送り機構として機能し、X軸移動機構18は加工送り機構として機能する。また、チャックテーブル28にはモータ等の回転駆動源(不図示)が連結されており、この回転駆動源はチャックテーブル28をZ軸方向(鉛直方向、上下方向)に概ね平行な回転軸の周りで回転させる。
基台4の後端側(移動機構6及びチャックテーブル28の後方)には、基台4の上面から上方に向かって突出する支持構造32がZ軸方向に沿って設けられている。また、支持構造32には、支持構造32の表面(前面)から前方側に突出する柱状の支持アーム34が設けられている。そして、支持アーム34の先端部には、ウェーハ11を加工するためのレーザービームを照射するレーザー照射ユニット36が設けられている。
レーザー照射ユニット36は、レーザービームをパルス発振するYAGレーザー、YVOレーザー等のレーザー発振器(不図示)と、レーザー発振器から発振されたレーザービームを集光する集光器(不図示)とを備える。チャックテーブル28によってウェーハ11を保持し、レーザー照射ユニット36からウェーハ11に向かってレーザービームを照射することにより、ウェーハ11にレーザー加工が施される。
レーザー照射ユニット36から照射されるレーザービームの波長は、レーザー加工の目的に応じて適宜設定される。例えば、ウェーハ11にアブレーション加工を施す際には、レーザービームの少なくとも一部がウェーハ11に吸収されるように、レーザービームの波長が設定される。この場合、ウェーハ11に対して吸収性を有するレーザービームがレーザー照射ユニット36から照射される。また、レーザービームの他の照射条件(出力、パルス幅、スポット径、繰り返し周波数等)も、ウェーハ11に所望のアブレーション加工が施されるように適宜設定される。
X軸方向においてレーザー照射ユニット36に隣接する位置には、チャックテーブル28によって保持されたウェーハ11等を撮像する撮像ユニット38が設けられている。撮像ユニット38は、可視光を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える可視光カメラや、赤外線を受光して電気信号に変換する撮像素子を備える赤外線カメラ等によって構成される。例えば、撮像ユニット38でウェーハ11を撮像することによって得られた画像に基づいて、ウェーハ11とレーザー照射ユニット36との位置合わせが行われる。
また、支持構造32の表面側(前面側)には、チャックテーブル28と後述の流体供給ユニット54との間でウェーハ11を搬送する搬送機構(搬送ユニット)40が設けられている。搬送機構40は、支持構造32の表面側にX軸方向に沿って設けられた一対のガイドレール42を備える。一対のガイドレール42には、板状の移動ブロック44がガイドレール42に沿ってスライド可能な状態で装着されている。
移動ブロック44の端部にはナット部が設けられており、このナット部は、一対のガイドレール42の間にX軸方向に沿って配置されたボールねじ46に螺合されている。また、ボールねじ46の端部には、ボールねじ46を回転させるパルスモータ48が連結されている。パルスモータ48でボールねじ46を回転させると、移動ブロック44がガイドレール42に沿ってX軸方向に移動する。
移動ブロック44の下端部には、昇降機構50を介して保持機構(保持ユニット)52が接続されている。例えば、昇降機構50はエアシリンダを備えており、エアシリンダはZ軸方向に沿って昇降するロッドを内蔵している。そして、エアシリンダのロッドの下端部に、保持機構52が固定されている。
保持機構52は、搬送機構40による搬送の対象となるウェーハ11を保持する。例えば保持機構52は、ウェーハ11を支持するフレーム23(図2参照)の上面側を吸引する複数の吸引パッドを備える。吸引パッドでフレーム23を吸引することにより、ウェーハ11が保持機構52によって保持される。
X軸方向において移動機構6と隣接する領域には、流体供給ユニット(洗浄ユニット、保護膜形成ユニット)54が設けられている。流体供給ユニット54は、ウェーハ11を洗浄するとともに、ウェーハ11に保護膜を形成する。
流体供給ユニット54は、基台4の上面側に形成された円筒状の開口4aの内部に設けられたスピンナテーブル(保持テーブル)56を備える。また、流体供給ユニット54は、スピンナテーブル56の周囲に設けられた洗浄流体供給ユニット58及び保護膜材供給ユニット60を備える。洗浄流体供給ユニット58と保護膜材供給ユニット60とは、スピンナテーブル56の両側にスピンナテーブル56を挟むように設けられている。
洗浄流体供給ユニット58は、スピンナテーブル56によって保持されたウェーハ11に向かって、ウェーハ11を洗浄するための洗浄流体を供給する。洗浄流体としては、純水等の液体(洗浄液)や、液体と気体とが混合された気液混合流体等が用いられる。また、保護膜材供給ユニット60は、スピンナテーブル56によって保持されたウェーハ11に向かって、ウェーハ11に保護膜を形成するための保護膜材を供給する。保護膜材としては、例えば水溶性の液状樹脂が用いられる。
レーザー加工装置2を構成する各構成要素(移動機構6、チャックテーブル28、クランプ30、レーザー照射ユニット36、撮像ユニット38、搬送機構40、流体供給ユニット54等)はそれぞれ、制御部(制御ユニット)62に接続されている。制御部62は、レーザー加工装置2の各構成要素の動作を制御することにより、レーザー加工装置2を稼働させる。
例えば制御部62は、コンピュータによって構成され、レーザー加工装置2の稼働に必要な各種の処理(演算等)を行う処理部と、処理部による処理に用いられる各種の情報(データ、プログラム等)が記憶される記憶部とを含む。処理部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んで構成される。また、記憶部は、主記憶装置、補助記憶装置等を構成する各種のメモリを含んで構成される。
例えば、記憶部にはレーザー加工装置2の一連の動作を記述するプログラムが記憶されている。そして、オペレーターがレーザー加工装置2にウェーハ11の加工を指示すると、処理部は記憶部から該プログラムを読み出して実行し、レーザー加工装置2の各構成要素の動作を制御するための制御信号を順次生成する。
上記のレーザー加工装置2によって、ウェーハ11にレーザー加工が施される。以下、レーザー加工装置2を用いてウェーハ11をストリート17(図2参照)に沿って分断するウェーハの加工方法について説明する。
まず、ウェーハ11の表面11a側に保護膜材を供給して、デバイス層13の表面を保護する表面保護膜を形成する(表面保護膜形成ステップ)。図4(A)は、表面保護膜形成ステップにおける流体供給ユニット54を示す一部断面正面図である。なお、図4(A)では、デバイス層13及び金属を含む層19の図示を省略している。
スピンナテーブル56の上面は、ウェーハ11を保持する保持面56aを構成する。また、スピンナテーブル56の周囲には、ウェーハ11を支持するフレーム23を把持して固定する複数のクランプ70が設けられている。
保持面56aは、ウェーハ11の形状に対応して平面視で円形に形成された平坦面であり、X軸方向及びY軸方向に概ね平行に形成されている。保持面56aは、スピンナテーブル56の内部に形成された流路(不図示)、バルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。保持面56a上にウェーハ11を配置した状態で、保持面56aに吸引源の負圧を作用させると、ウェーハ11がスピンナテーブル56によって吸引保持される。
スピンナテーブル56の下側には、スピンナテーブル56をZ軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転させるモータ等の回転駆動源72が設けられている。回転駆動源72は、Z軸方向に沿って配置された円筒状の出力軸72aを備え、出力軸72aをZ軸方向と概ね平行な回転軸の周りで回転させる。なお、回転駆動源72には、回転駆動源72をZ軸方向に沿って昇降させる昇降機構(不図示)が接続されていてもよい。
また、スピンナテーブル56は、中空の円筒状に形成された液受け部材74に覆われている。液受け部材74は、スピンナテーブル56及びクランプ70を囲むように配置された環状の外壁74aと、外壁74aの下端部から液受け部材74の半径方向内側に向かって突出する環状の底面74bと、底面74bの半径方向内側の端部から上方に向かって突出する環状の内壁74cとを備える。
液受け部材74の内壁74cの内側の領域は、回転駆動源72の出力軸72aが挿入される挿入口74dに相当する。そして、挿入口74dに挿入された出力軸72aの上端側に、スピンナテーブル56の下面側が固定されている。
また、液受け部材74の内側には、内壁74cの上端部を覆う環状のカバー76が設けられている。カバー76は、回転駆動源72の出力軸72aを囲み、挿入口74dの出力軸72aが設けられていない領域を塞ぐように配置されている。このカバー76によって、液体が挿入口74dを介して液受け部材74の外部に流出することを防止できる。
保護膜材供給ユニット60は、アーム60aと、アーム60aの先端部に固定され保護膜材31を滴下する保護膜材供給ノズル60bとを備える。アーム60aには、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。回転駆動源によってアーム60aを回転させることにより、保護膜材供給ノズル60bを、スピンナテーブル56に重なる位置(供給位置)と、スピンナテーブル56に重ならない位置(退避位置)とに位置付けることができる。
表面保護膜形成ステップでは、まず、ウェーハ11をスピンナテーブル56によって保持する。具体的には、ウェーハ11を、表面11a側(デバイス層13側)が上方に露出し、裏面11b側(層19側、テープ21側)が保持面56aに対向するように、スピンナテーブル56上に配置する。また、フレーム23を、複数のクランプ70によって保持して固定する。この状態で、吸引源の負圧を保持面56aに作用させると、ウェーハ11が層19及びテープ21を介してスピンナテーブル56によって吸引保持される。
次に、保護膜材供給ノズル60bをスピンナテーブル56の直上に位置付ける。そして、スピンナテーブル56を回転駆動源72によって回転させながら、保護膜材供給ノズル60bから水溶性の保護膜材31を滴下して、ウェーハ11の表面11a側に供給する。保護膜材31としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、PEO(酸化ポリエチレン)、PVP(ポリビニルピロリドン)等の水溶性の樹脂が用いられる。
回転するウェーハ11の表面11a側に保護膜材31が供給されると、ウェーハ11の表面11a側にデバイス層13の表面を保護する表面保護膜33が形成される。図4(B)は、表面保護膜33が形成されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
表面保護膜33は、ウェーハ11の表面11a側(デバイス層13の表面)の全体を覆うように形成される。これにより、デバイス層13が表面保護膜33によって保護される。
なお、表面保護膜33の形成時には、液受け部材74の外壁74aによって保護膜材31の飛散が防止されるとともに、液受け部材74の底部に表面保護膜33として使用されなかった保護膜材31が貯留される。そして、貯留された保護膜材31は、液受け部材74の底面74bに接続された廃液路(不図示)を介して、液受け部材74の外部に排出される。
表面保護膜33の形成後、ウェーハ11は搬送機構40(図3参照)によってチャックテーブル28に搬送される。具体的には、まず、ウェーハ11を支持するフレーム23の上面側が、搬送機構40の保持機構52によって保持される。そして、保持機構52が昇降機構50によって上昇した後、移動ブロック44が一対のガイドレール42に沿って移動し、ウェーハ11がチャックテーブル28の上方に配置される。
その後、保持機構52が昇降機構50によって下降し、ウェーハ11がチャックテーブル28の保持面28a上に位置付けられる。この状態で、保持機構52によるフレーム23の保持が解除され、ウェーハ11がチャックテーブル28の保持面28a上に配置される。
次に、ウェーハ11に対して吸収性を有するレーザービームをストリート17に沿って照射して、デバイス層13をストリート17に沿って分断するとともにウェーハ11の表面11a側に層19に至らない深さのデブリ捕獲溝を形成する(溝形成ステップ)。図5(A)は、溝形成ステップにおけるレーザー加工装置2を示す一部断面正面図である。なお、図5(A)では、デバイス層13、金属を含む層19、表面保護膜33の図示を省略している。
溝形成ステップでは、まず、ウェーハ11がチャックテーブル28によって保持される。具体的には、ウェーハ11は、表面11a側(デバイス層13側、表面保護膜33側)が上方に露出し、裏面11b側(層19側、テープ21側)が保持面28aと対向するように、チャックテーブル28上に配置される。また、フレーム23が、複数のクランプ30によって把持され、固定される。この状態で、保持面28aに吸引源の負圧を作用させると、ウェーハ11が層19及びテープ21を介して、チャックテーブル28によって吸引保持される。
次に、チャックテーブル28を回転させ、一のストリート17の長さ方向をX軸方向に合わせる。また、レーザー照射ユニット36から照射されるレーザービーム80の集光点が一のストリート17の延長線上に配置されるように、チャックテーブル28のY軸方向における位置を調整する。そして、レーザー照射ユニット36からウェーハ11に対して吸収性を有するレーザービーム80を照射しながら、チャックテーブル28をX軸方向に沿って移動させる(加工送り)。
これにより、チャックテーブル28とレーザー照射ユニット36とがX軸方向に沿って相対的に移動し、レーザービーム80がストリート17に沿って走査される。その結果、デバイス層13がストリート17に沿って分断されるとともに、ウェーハ11の表面11a側に層19に至らない深さのデブリ捕獲溝35がストリート17に沿って形成される。
図5(B)は、デブリ捕獲溝35が形成されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。ウェーハ11にレーザービーム80が照射されると、デバイス層13及びウェーハ11の表面11a側にアブレーション加工が施され、デバイス層13が分断されるとともにウェーハ11にデブリ捕獲溝35が形成される。
なお、レーザービーム80の照射によってウェーハ11を加工すると、ウェーハ11の溶融物等のデブリ(加工屑)が発生する。しかしながら、溝形成ステップにおいてはデバイス層13の表面に表面保護膜33が形成されており、デブリのデバイス15への付着が表面保護膜33によって防止される。これにより、デバイス15の汚染が防止される。
ここで、溝形成ステップでは、図5(B)に示すように、デブリ捕獲溝35として2条の溝35a,35bを各ストリート17に沿って形成することが好ましい。2条の溝35a,35bはそれぞれ、ウェーハ11の裏面11b側に設けられている層19に至らない深さで形成される。また、2条の溝35a,35bの間には、アブレーション加工が施されていない領域(凸部)が残存している。
2条の溝35a,35bを形成する場合は、例えば、レーザービーム80の集光点を一のストリート17の幅方向における異なる位置に位置付け、該一のストリート17に沿ってレーザービーム80を2回ずつ走査する。これにより、該一のストリート17の幅方向における一端側と他端側に、互いに概ね平行な2条の溝35a,35bが該一のストリート17に沿って形成される。
ただし、2条の溝35a,35bの形成方法に制限はない。例えば、レーザー照射ユニット36は、レーザービーム80を2つに分岐させる光学素子を備えていてもよい。このような光学素子としては、例えば、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)やLCOS-SLM(Liquid Crystal On Silicon - Spatial Light Modulator)が用いられる。そして、2つに分岐したレーザービーム80は、集光器によって2箇所で集光される。
この場合、レーザービーム80の2箇所の集光点をそれぞれ、一のストリート17の幅方向における一端側と他端側に位置付けた状態で、レーザービーム80を該一のストリート17に沿って走査する。これにより、該一のストリート17に沿って2条の溝35a,35bが同時進行で形成される。
デブリ捕獲溝35として2条の溝35a,35bを形成する場合、2条の溝35a,35bの幅の合計分の幅を有する1条の溝を形成する場合と比較して、レーザービーム80の出力を低く設定することができる。これにより、レーザービーム80の照射によるアブレーション加工の際に発生するデブリの飛散が抑制される。
そして、同様の手順を繰り返し、全てのストリート17に沿ってデブリ捕獲溝35を形成する。これにより、デブリ捕獲溝35がストリート17に沿って格子状に形成されたウェーハ11が得られる。そして、デブリ捕獲溝35が形成されたウェーハ11は、搬送機構40(図3参照)によって流体供給ユニット54に搬送され、スピンナテーブル56によって保持される。
次に、ウェーハ11に洗浄液を供給し、表面保護膜33とともに表面保護膜33に付着したデブリを除去する(デブリ除去ステップ)。図6(A)は、デブリ除去ステップにおける流体供給ユニット54を示す一部断面正面図である。なお、図6(A)では、デバイス層13、金属を含む層19、表面保護膜33の図示を省略している。
図6(A)に示すように、洗浄流体供給ユニット58は、アーム58aと、アーム58aの先端部に固定され洗浄流体37を滴下する洗浄流体供給ノズル58bとを備える。アーム58aには、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。回転駆動源によってアーム58aを回転させることにより、洗浄流体供給ノズル58bを、スピンナテーブル56に重なる位置(供給位置)と、スピンナテーブル56に重ならない位置(退避位置)とに位置付けることができる。
デブリ除去ステップでは、まず、表面保護膜形成ステップと同様に、ウェーハ11がスピンナテーブル56によって保持される。このときウェーハ11は、表面11a側(デバイス層13側、表面保護膜33側)が上方に露出するように配置される。また、洗浄流体供給ノズル58bが、スピンナテーブル56の直上に位置付けられる。
そして、スピンナテーブル56を回転駆動源72によって回転させながら、洗浄流体供給ノズル58bから洗浄流体37を滴下して、ウェーハ11の表面11a側に供給する。洗浄流体37としては、純水や、純水とエアーとが混合された気液混合流体等が用いられる。
回転するウェーハ11の表面11a側に洗浄流体37が供給されると、水溶性の表面保護膜33が除去される。また、前述の溝形成ステップにおけるアブレーション加工によって発生し表面保護膜33に付着したデブリが、表面保護膜33とともに除去される。図6(B)は、表面保護膜33が除去されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
なお、表面保護膜33に付着したデブリの量が少ない場合等には、デブリ除去ステップを省略することもできる。例えば、ウェーハ11に2条の溝35a,35bを形成する場合には、前述の通りレーザービーム80の出力を低く設定できるため、デブリが飛散しにくく表面保護膜33に付着しにくい。このように、表面保護膜33にデブリが付着しにくい条件で溝形成ステップが実施される場合には、必ずしもデブリ除去ステップを実施する必要はない。
次に、ウェーハ11の表面11a側に保護膜材を供給して、デブリ捕獲溝35の側面を保護する側面保護膜を形成する(側面保護膜形成ステップ)。図7(A)は、側面保護膜形成ステップにおける流体供給ユニット54を示す一部断面正面図である。なお、図7(A)では、デバイス層13及び金属を含む層19の図示を省略している。
側面保護膜形成ステップでは、まず、洗浄流体供給ノズル58bをスピンナテーブル56の直上から退避させるとともに、保護膜材供給ノズル60bをスピンナテーブル56の直上に位置付ける。そして、スピンナテーブル56を回転駆動源72によって回転させながら、保護膜材供給ノズル60bから水溶性の保護膜材31を滴下して、ウェーハ11の表面11a側に供給する。
回転するウェーハ11の表面11a側に保護膜材31が供給されると、ウェーハ11の表面11a側に、デブリ捕獲溝35の側面を保護する側面保護膜39が形成される。図7(B)は、側面保護膜39が形成されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
側面保護膜39は、少なくともストリート17の幅方向における一端側及び他端側に位置するデブリ捕獲溝35の一対の側壁(内壁)を覆うように形成される。例えば、デブリ捕獲溝35として2条の溝35a,35bが形成されている場合には、側面保護膜39は少なくとも、溝35aの溝35bとは反対側に位置する側壁(内壁)と、溝35bの溝35aとは反対側に位置する側壁(内壁)とを覆うように形成される。これにより、デブリ捕獲溝35の側面が側面保護膜39によって保護される。
また、側面保護膜39は、分断されたデバイス層13の側面を覆うように形成される。そのため、側面保護膜39によってデバイス層13の側面も保護される。
さらに、側面保護膜形成ステップを実施すると、分断されたデバイス層13の表面の全体を覆う表面保護膜41が、側面保護膜39と一体として形成される。これにより、デバイス層13の表面が保護される。すなわち、表面保護膜は、前述のデブリ除去ステップにおいて一旦除去された後、側面保護膜形成ステップにおいて再度形成される。なお、前述のデブリ除去ステップが省略される場合には、表面保護膜33(図5(B)参照)上に、さらに表面保護膜41が形成される。
そして、側面保護膜39の形成後、ウェーハ11は搬送機構40(図3参照)によってチャックテーブル28に搬送される。
次に、ウェーハ11に対して吸収性を有するレーザービームをデブリ捕獲溝35に沿って照射して、デブリ捕獲溝35の内側に分断溝を形成することにより、ウェーハ11を層19ごとストリート17に沿って分断する(分断ステップ)。図8(A)は、分断ステップにおけるレーザー加工装置2を示す一部断面正面図である。なお、図8(A)では、デバイス層13、金属を含む層19、側面保護膜39、表面保護膜41の図示を省略している。
分断ステップでは、まず、溝形成ステップと同様に、ウェーハ11がチャックテーブル28によって保持される。このときウェーハ11は、表面11a側(デバイス層13側、表面保護膜41側)が上方に露出するように配置される。
そして、溝形成ステップと同様の手順により、ウェーハ11に対して吸収性を有するレーザービーム82をレーザー照射ユニット36から照射し、ストリート17に沿って走査させる。このとき、レーザービーム82の照射条件(出力、パルス幅、スポット径、繰り返し周波数、集光点の位置等)は、テープ21に至る分断溝43、すなわちウェーハ11及び金属を含む層19を分断する分断溝43が形成されるように設定される。
図8(B)は、分断溝43が形成されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。ウェーハ11にレーザービーム82がストリート17に沿って照射されると、ウェーハ11及び層19にアブレーション加工が施され、ウェーハ11の表面11aからテープ21に至る分断溝43がストリート17に沿って形成される。
ここで、レーザービーム82の照射位置は、分断溝43がデブリ捕獲溝35の内側に形成されるように調整される。具体的には、分断溝43は、デブリ捕獲溝35の一対の側壁(内壁)の間の空間と重なる領域に形成される。
例えば、デブリ捕獲溝35として2条の溝35a,35bが形成されている場合、分断溝43は、溝35aの溝35bとは反対側に位置する側壁(内壁)と、溝35bの溝35aとは反対側に位置する側壁(内壁)との間の領域と重なる位置に、2条の溝35a,35bと連結するように形成される。図8(B)では、2条の溝35a,35bの間に残存する凸部(図7(B)等参照)が除去されるように分断溝43が形成される例を示している。
分断溝43が形成されると、ウェーハ11及び層19がストリート17に沿って分断される。そして、ウェーハ11には、デブリ捕獲溝35の側面と、デブリ捕獲溝35の側面を覆う側面保護膜39とが残存する。
なお、レーザービーム82が金属を含む層19に照射されると、金属を含むデブリ(金属デブリ)が発生し、金属デブリは分断溝43を介してウェーハ11の表面11a側に飛散する。しかしながら、このときデバイス層13は、デブリ捕獲溝35に形成された側面保護膜39と表面保護膜41とによって覆われている。
そのため、金属デブリは、側面保護膜39及び表面保護膜41に付着することはあっても、デバイス層13に付着することはない。これにより、金属デブリのデバイス15への混入や、金属デブリとデバイス15との意図しない電気的な接続が回避される。その結果、デバイス15の動作不良の発生が抑制される。
全てのストリート17に沿って分断溝43が形成されると、ウェーハ11はデバイス15をそれぞれ備える複数のデバイスチップ45に分割される。そして、デバイスチップ45の裏面側には、層19の一片(ダイアタッチ層19a)が残存する。すなわち、ウェーハ11を層19ごと分断することにより、ダイアタッチ層19a付きのデバイスチップ45が得られる。
なお、分断ステップにおいて、ウェーハ11の厚さや材質によっては、レーザービーム82の1回の走査によってウェーハ11及び層19を分断する分断溝43を形成することが困難なことがある。この場合には、各ストリート17に沿ってレーザービーム82を複数回ずつ走査してもよい。
次に、ウェーハ11に洗浄流体を供給して、側面保護膜39と表面保護膜41とを除去する(除去ステップ)。図9(A)は、除去ステップにおける流体供給ユニット54を示す一部断面正面図である。なお、図9(A)では、デバイス層13、金属を含む層19、側面保護膜39、表面保護膜41の図示を省略している。
除去ステップでは、まず、デブリ除去ステップと同様に、ウェーハ11がスピンナテーブル56によって保持される。このときウェーハ11は、表面11a側(デバイス層13側、表面保護膜41側)が上方に露出するように配置される。また、洗浄流体供給ノズル58bが、スピンナテーブル56の直上に位置付けられる。そして、スピンナテーブル56を回転駆動源72によって回転させながら、洗浄流体供給ノズル58bから洗浄流体37を滴下して、ウェーハ11の表面11a側に供給する。
回転するウェーハ11の表面11a側に洗浄流体37が供給されると、水溶性の側面保護膜39及び表面保護膜41が除去される。図9(B)は、側面保護膜39及び表面保護膜41が除去されたウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
側面保護膜39及び表面保護膜41が除去されると、前述の分断ステップにおけるアブレーション加工によって発生し側面保護膜39や表面保護膜41に付着した金属デブリが、側面保護膜39及び表面保護膜41とともに除去される。これにより、デバイス15の付近に存在する金属デブリが確実に除去され、金属デブリに起因するデバイス15の動作不良が防止される。
その後、ダイアタッチ層19aが付着したデバイスチップ45は、例えばテープ21上からピックアップされ、所定の実装基板に形成された接続電極にダイアタッチ層19aを介して接続される。これにより、デバイスチップ45が実装基板にダイボンディングによって実装される。
以上の通り、本実施形態に係るウェーハの加工方法では、まず、ウェーハ11の表面11a側にデブリ捕獲溝35が形成されるとともに、デブリ捕獲溝35の側面を保護する側面保護膜39が形成される。そして、レーザービーム82の照射によってデブリ捕獲溝35の内側に分断溝43が形成され、ウェーハ11が金属を含む層19ごと分断される。
上記のウェーハの加工方法では、レーザービーム82が金属を含む層19に照射された際に発生した金属デブリが、デブリ捕獲溝35に形成された側面保護膜39で捕獲される。これにより、金属デブリのデバイス15への混入や、金属デブリとデバイス15との意図しない電気的な接続が回避され、デバイス15の動作不良の発生が抑制される。
なお、本実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 ウェーハ
11a 表面
11b 裏面
13 デバイス層
15 デバイス
17 ストリート(分割予定ライン)
19 層(金属含有層)
19a ダイアタッチ層
21 テープ(ダイシングテープ)
23 フレーム
23a 開口
31 保護膜材
33 表面保護膜
35 デブリ捕獲溝
35a,35b 溝
37 洗浄流体
39 側面保護膜
41 表面保護膜
43 分断溝
45 デバイスチップ
2 レーザー加工装置
4 基台
4a 開口
6 移動機構(移動ユニット)
8 Y軸移動機構(Y軸移動ユニット)
10 Y軸ガイドレール
12 Y軸移動テーブル
14 Y軸ボールねじ
16 Y軸パルスモータ
18 X軸移動機構(X軸移動ユニット)
20 X軸ガイドレール
22 X軸移動テーブル
24 X軸ボールねじ
26 X軸パルスモータ
28 チャックテーブル(保持テーブル)
28a 保持面
30 クランプ
32 支持構造
34 支持アーム
36 レーザー照射ユニット
38 撮像ユニット
40 搬送機構(搬送ユニット)
42 ガイドレール
44 移動ブロック
46 ボールねじ
48 パルスモータ
50 昇降機構
52 保持機構(保持ユニット)
54 流体供給ユニット(洗浄ユニット、保護膜形成ユニット)
56 スピンナテーブル(保持テーブル)
56a 保持面
58 洗浄流体供給ユニット
58a アーム
58b 洗浄流体供給ノズル
60 保護膜材供給ユニット
60a アーム
60b 保護膜材供給ノズル
62 制御部(制御ユニット)
70 クランプ
72 回転駆動源
72a 出力軸
74 液受け部材
74a 外壁
74b 底面
74c 内壁
74d 挿入口
76 カバー
80 レーザービーム
82 レーザービーム

Claims (4)

  1. 互いに交差する複数のストリートによって区画された複数の領域それぞれに形成されたデバイスを含むデバイス層が表面側に設けられ、金属を含む層が裏面側に設けられたウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、
    該ウェーハの表面側に水溶性の保護膜材を供給して、該デバイス層の表面を保護する表面保護膜を形成する表面保護膜形成ステップと、
    該表面保護膜形成ステップを実施した後、該ウェーハに対して吸収性を有するレーザービームを該ストリートに沿って照射して、該デバイス層を該ストリートに沿って分断するとともに該ウェーハの表面側に該層に至らない深さのデブリ捕獲溝を該ストリートに沿って形成する溝形成ステップと、
    該溝形成ステップを実施した後、該ウェーハの表面側に該保護膜材を供給して、該デブリ捕獲溝の側面及び分断された該デバイス層の側面を保護する側面保護膜を形成する側面保護膜形成ステップと、
    該側面保護膜形成ステップを実施した後、該ウェーハに対して吸収性を有するレーザービームを該ストリートに沿って照射して、該デブリ捕獲溝の内側に分断溝を形成することにより、該ウェーハを該層ごと該ストリートに沿って分断する分断ステップと、
    該分断ステップを実施した後、該ウェーハに洗浄流体を供給して、該表面保護膜と該側面保護膜とを除去する除去ステップと、を備え、
    該分断ステップでは、該層にレーザービームが照射されて発生した該金属を含むデブリが、該デブリ捕獲溝に形成された該側面保護膜に付着し、
    該除去ステップでは、該表面保護膜及び該側面保護膜とともに、該側面保護膜に付着した該デブリが除去されることを特徴とするウェーハの加工方法。
  2. 該溝形成ステップでは、該ウェーハの表面側に該層に至らない深さの2条の溝を該ストリートに沿って形成し、
    該側面保護膜形成ステップでは、2条の該溝の側面を覆う該側面保護膜を形成し、
    該分断ステップでは、2条の該溝と連結される該分断溝を形成することを特徴とする請求項1に記載のウェーハの加工方法。
  3. 該溝形成ステップを実施した後、該側面保護膜形成ステップを実施する前に、該ウェーハに該洗浄流体を供給し、該表面保護膜とともに該表面保護膜に付着したデブリを除去するデブリ除去ステップを更に備え、
    該側面保護膜形成ステップでは、該ウェーハの表面側に該保護膜材を供給して、該側面保護膜を形成するとともに該デバイス層の表面を保護する表面保護膜を再度形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェーハの加工方法。
  4. 該層は、導電性のダイアタッチフィルムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のウェーハの加工方法。
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