JP7455408B2 - 高温で保存される清酒の製造方法及び保存方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温で保存するのに適した清酒の製造方法、及び、高温での該清酒の保存方法に関する。
本願における清酒とは、米、米麹、及び水を主な原料として酵母により発酵したものであり、日本の酒税法で定める清酒である。一般的には以下のような方法で製造される。まず、精白米に吸水させた後、蒸して蒸し米とした後、蒸し米に種麹を加えて麹を作製する。次に、蒸し米(掛米)に、麹と汲水を加えて、仕込工程により醪を作製し、これを発酵させてアルコールを生成させる。そして、上槽により液分と不溶性の固形分を分離して清酒を得る。
清酒は高温条件下で保存すると着色してくることが知られている。清酒の着色の主要原因は、清酒中に含まれる還元性糖類(主にグルコース)とアミノ酸が複雑に化学反応することにより最終的にメラノイジンを生成するメイラード反応によるものである。メラノイジンは高温になるほど急激に増加してくることが知られている。
一般的に清酒は無色透明のものが好まれる。そこで、清酒の着色を抑制する手法が検討されている。例えば、非特許文献1では、精米歩合が70%の掛米に対し、酵素剤を使用して仕込をすることで清酒の色調が薄くなることが記載されている。
竹田正久ら、「清酒醸造での酵素剤の応用(第1報)粗白米使用試験」、J. Soc. Brew. Japan, 1974, Vol. 69, No.10, pp. 703-705
清酒は一般には常温または冷蔵下で保存され販売されているが、いわゆる熱燗として約60℃前後の温度で飲むためには、販売後に加熱する必要があった。販売後に加熱する手間をとらずに、直ちに60℃前後の温度で飲むことが可能となるよう、本願の出願人は、店頭で、同温度付近で保存しつつ販売する手法を検討した。ところが、従来の清酒は当初は着色していなくても、60℃付近で加温保存すると、前記のメイラード反応により急激に着色が進行してしまい、さらに、清酒の味わいが低下する問題があって、品質の低下が避けられず、加温保存での販売に適していないことが判明した。
本発明は、上記問題に鑑み、高温での保存後においても、着色の進行が抑制され、かつ清酒らしい味わいを維持した清酒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、醪を仕込む仕込工程と、醪を発酵させる発酵工程と、できあがった原酒を精製する精製工程と、を包含する清酒の製造方法であって、前記仕込工程において掛米及び麹米の合計重量に対する麹米の重量割合が10%以下となるようにしたうえで酵素剤を添加し、前記発酵工程においてアルコールを含む調味液、又は、アルコール及び水あめを含む調味液を添加し、前記精製工程において活性炭を2g/L以上使用することを特徴とする、40~70℃で保存される清酒の製造方法に関する。
前記活性炭の使用量が4g/L以上であることが好ましい。また、前記活性炭は、平均細孔直径が2.5~4.5nmのものであることが好ましい。また、前記酵素剤は、α-アミラーゼ及びグルコアミラーゼを含有するものであることが好ましい。
また本発明は、前記製造方法により製造される清酒を40~70℃で保存することを特徴とする、清酒の保存方法にも関する。
本発明によれば、高温での保存後においても、着色の進行が抑制され、かつ清酒らしい味わいを維持した清酒の製造方法を提供することができる。
また、該製造方法により製造された清酒は、高温での保存後にも品質が保持されているので、店頭で、高温(例えば40~70℃程度)で保存しながらの販売を実現することができる。
実施例1、5と比較例1~4の官能評価結果を示すグラフ 実施例2、3、5、7と比較例6の官能評価結果を示すグラフ 実施例4~6と比較例5、6の官能評価結果を示すグラフ
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の清酒の製造方法においては、まず、醪を仕込む仕込工程を行なう。通常、仕込工程は、掛米および麹に対して汲水を添加することで行なう。掛米、麹、および汲水を添加する回数は1回でもよいし、2回以上にわけて行なってもよい。後者は段仕込という。本実施形態では,初添、仲添、留添からなる三段仕込が好ましいが、これに限定されるわけではない。
掛米は、原料米を蒸した蒸米であってもよいし、原料米を液化した融米であってもよい。
麹とは、一般に、蒸した米に麹菌(アスペルギルス・オリゼ)を繁殖させたものである。麹菌は、特に制限されず、清酒製造における通常の麹菌が使用できる。
掛米および麹米の原料米の種類は、特に制限されず、例えば、清酒製造における通常の米が使用でき、好ましくは、一般米または酒造好適米があげられる。
掛米および麹米に対する汲水の添加割合は、特に制限されず、公知の添加割合が挙げられる。一般的に、前記掛米と麹米との合計重量に対する汲水の合計重量は、1.2~1.4倍程度である。前記汲水は、前記仕込工程の最終時において、前記添加割合を満たし、この条件を満たした上で、次工程である発酵工程に進むことが好ましい。
本実施形態では、総米(掛米と麹米)に対する麹米の割合を減らすことで、高温条件での清酒の着色の原因の1つと考えられるアミノ酸の生成を抑制することができる。この観点から、仕込工程において掛米及び麹米の合計重量に対する麹米の重量割合を10%以下とすることが好ましい。より好ましくは6%以下である。
しかし、このように麹米の割合を減らすと、発酵に必要な液化力および糖化力が不足す
るため、本実施形態では、これらを、酵素剤を添加することで補う。このような酵素剤としては、醸造に使用される酵素剤を使用できるが、α-アミラーゼを含む酵素剤、グルコアミラーゼを含む酵素剤が好ましい。本発明で用いるα-アミラーゼはいかなる起源のα-アミラーゼでもよく、グルコアミラーゼはいかなる起源のグルコアミラーゼでもよい。これらの酵素剤は市販品を使用してよく、例えば、スピターゼL/R(ナガセケムテックス株式会社製)やグルターゼAN(エイチビィアイ株式会社製)が容易に入手できる。
酵素剤の添加量は、麹米の割合を勘案して適宜決定することができるが、掛米と麹米との合計重量(総米)に対して0.001~0.1%が好ましく、0.03~0.1%がより好ましい。
酵素剤を添加する時期は特に限定されないが、三段仕込を実施する場合には、仲添および留添において酵素剤を添加することが好ましい。
仕込工程における処理条件は特に制限されず、通常の条件であってよいが、例えば、温度は5~25℃の範囲で、処理時間は約1~7日である。
仕込工程の後、醪を、酵母により発酵させる発酵工程を行なう。
使用する酵母としては特に制限されず、清酒製造における通常の酵母を使用できる。前記酵母は、例えば、酵母を大量に増殖させた酒母が好ましい。前記酵母は、例えば、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeである。
発酵の条件は特に制限されず、通常の条件であってもよい。発酵温度は、例えば、約10~35℃であり、好ましくは約10~25℃であり、発酵期間は、例えば、約10~50日間、好ましくは、約12~40日間である。
本実施形態では、発酵工程において、アルコールを含む調味液、又は、アルコール及び水あめを含む調味液を添加する。少なくともアルコールを含む調味液を添加することで、高温条件での清酒の着色の原因と考えられる還元性糖類およびアミノ酸を、希釈効果により低減することができるが、味わいが弱くなる。清酒としての味わいを補強するため、アルコールに加えて水あめを含む調味液を添加することがより好ましい。
水あめとは、酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の第3条第5項に定義された水あめのことをいい、すなわち、加水分解の程度が低いでん粉質物分解物のうち精製程度が高く、不純物の含有量が少ないものを指す。一般に水あめは、デンプンを酸や糖化酵素で糖化して造られた粘液状の甘味料であり、グルコースやマルトース、デキストリンなどの混合物である。本実施形態では、清酒製造用として販売されている水あめを使用することができ、具体的には、酸糖化水あめや、酵素糖化水あめを使用できる。水あめのなかでも、一般的に清酒に含まれる主要な糖であるグルコースと比べて、着色を引き起こすメイラード反応を起こしにくいマルトースを主体として含む水あめ(例えば、コーソシラップS75(日本コーンスターチ株式会社製))が、高温保存下における着色の進行を抑制することができ、好ましい。
調味液には、アルコールや水あめの他、酸味料、アミノ酸、水等を配合できる。
調味液の添加量は、得られる清酒の味わいや着色の程度を考慮して適宜決定することができるが、掛米と麹米との合計重量(総米)に対して0.5~3倍が好ましく、1~1.5倍が好ましい。
また、アルコールの添加量も、得られる清酒の味わいや着色の程度を考慮して適宜決定することができるが、掛米と麹米との合計重量(総米)に対して120~580L/tが好ましく、180~360L/tがより好ましい。
調味液の添加時期は、発酵工程の終了直前に添加することが好ましい。
発酵工程後、醪をこして清澄液分を回収(上槽)することにより原酒を得ることができる。この後、精製工程として加熱(火入れ)、活性炭処理、オリ下げ処理、ろ過処理、貯蔵、調合・割水等を行う。これらの処理は常法に従うことができる。
本実施形態では、処理する原酒1Lあたり2g以上となる量の活性炭を使用して、原酒の活性炭処理を行なう。通常の清酒製造では原酒に付いた色を抜くために吸着剤として活性炭による脱色処理を行なうが、その際の活性炭の使用量は多くても1g/L程度である。本実施形態では、通常の活性炭の使用量よりも多く活性炭を使用して脱色処理をすることで、高温保存をしても着色が抑制された清酒を製造することができる。
吸着剤として用いる活性炭は、食品の製造において吸着剤として用いられるものであればよく、特に限定されない。好ましい活性炭は、清涼飲料用などの水処理に用いられる活性炭、あるいは食品添加物として認められる活性炭であり、より好ましくは清酒に使用可能な活性炭である。しかし、活性炭の平均細孔直径は、高温保存による着色の程度に影響し得る。高温保存による清酒の着色を抑制する観点から、活性炭の平均細孔直径は1.0~10.0nmが好ましく、2.0~5.0nmがより好ましく、2.5~4.5nmがさらに好ましく、3.0~4.3nmが最も好ましい。
本願での平均細孔直径は、窒素ガス吸脱着等温線から解析算出した値である。
本実施形態で使用する活性炭の形状は、特に限定されず、繊維状、ハニカム状、粒状、粉末状、破砕形状、円柱状、塊状などの形状が挙げられる。活性炭は、塩化亜鉛、リン酸等などの薬品や、水蒸気、二酸化炭素、空気、燃焼ガスなどのガスで賦活化されたものであってもよい。活性炭は、市販品を利用してもよい。
原酒と活性炭との接触方法は、特に制限されない。例えば、原酒中に活性炭を投入し、0.1~168時間、好ましくは0.5~24時間静置又は撹拌する方法が挙げられる。その後、活性炭が沈殿するので上清を回収することができ、あるいは、フィルター等のろ材を用いて活性炭を除去することもできる。また、活性炭による脱色処理は1回でもよいし、複数回行なってもよい。
本実施形態の精製工程における活性炭の使用量は、上述のように、処理する原酒1Lあたりの量として2g/L以上であるが、多く使用するほど高温保存による清酒の着色を抑制する効果が高い。そのため、3g/L以上が好ましく、4g/L以上がより好ましい。使用量の上限は特に限定されないものの、あまり多く使用しても効果が向上しなくなるので、20g/L以下が好ましく、10g/L以下がより好ましい。
原酒を活性炭と接触させた後は、清酒の製造において通常行う操作を行うことができる。例えば、オリ下げ、ろ過、調合・割水、加熱などの各処理を行うことができる。
以上のように製造された清酒は、着色が少なく、清酒らしい味わいを持つものであるが、高温、例えば40~70℃で相当期間保存した後においても、着色の進行が抑制され、かつ清酒らしい味わいを維持したものであるため、40~70℃という高温条件での貯蔵が可能となる。そのため、店頭において、40~70℃程度で加温保存することができ、
これを購入したものは、購入後直ちに熱燗で飲むことができる利点がある。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(小仕込試験)
表1に示した仕込配合で、酵母は協会701号酵母を使用し、総米1.5kgの三段仕込を行った。表1中、(1)では酵素剤を添加していない仕込1の仕込配合を示し、(2)では仕込1の仕込配合に対し調味液を添加した仕込2、3の仕込配合を示し、(3)では、仲仕込および留仕込で麹米を使用せず、代わりに酵素剤を添加した仕込4の仕込配合を示し、(4)では仕込4の仕込配合に対し調味液を添加した仕込5、6の仕込配合を示した。酵素剤としては、α-アミラーゼ製剤(スピターゼL/R、ナガセケムテックス株式会社製)と、グルコアミラーゼ製剤(グルターゼAN、エイチビィアイ株式会社製)を併用した。
Figure 0007455408000001
各仕込では、水麹の際に酵母を汲水に対してOD660=1となるよう添加した。水麹
の翌日に添仕込として掛米を仕込み、添仕込と仲仕込の間に踊りを1日取った。仕込4、5、6では酵素剤の糖化が進みすぎることで起こる糖圧迫を抑えるため、4日目に追水を行った。各仕込の温度は水麹から上槽まで13℃で一定とした。
仕込2、5では、表2に示す調味液Aを、仕込3、6では、表2に示す調味液Bを上槽直前に添加し、同時にアルコール度数が21%になるよう加水した。表2中の酸糖化水あめとしてはサンシラップH75(日本コーンスターチ株式会社製)、酵素糖化水あめとしてはコーソシラップS75(日本コーンスターチ株式会社製)を使用した。
Figure 0007455408000002
いずれの仕込も良好に発酵したが、麹の一部を酵素剤で代替した仕込4、5、6では、酵素剤を使用していない仕込1、2、3と比較してやや速く発酵が進行した。また、すべての仕込において同じ発酵経過を辿っており、仕込操作による誤差は特段見られなかった。上槽時期に関しては、仕込1、2、3は14日目に、仕込4、5、6は13日目に上槽した。
8,000rpm×10分間(4℃)の遠心分離により上槽した酒は、ガラスフィルターGF/B(株式会社ウッドソン社製)でろ過後、70℃で加熱(火入れ)を行い、40℃で33日間の加速熟成を行った。
表3に、各仕込で得られた製成酒の分析結果を示した。アルコール度数の分析結果は、純米である仕込1、4以外は、調味液添加と加水により21%となっている。日本酒度は、酵素剤仕込である仕込4が辛くなっているが、酵素剤仕込で、かつ調味液を添加した仕込5、6では、対照の仕込1に近い値となっている。
Figure 0007455408000003
(小仕込酒の精製)
以上の小仕込試験で得られ40℃・33日間の加速熟成後の原酒(仕込1~6)それぞれに対し、表4に記載した活性炭を使用して活性炭処理(脱色処理)を行った。仕込6の原酒については、活性炭の平均細孔直径による影響を調査するため、4種類の活性炭(いずれもフタムラ化学株式会社製)を使用して処理を実施し、また、活性炭の添加量による影響を調査するため、最も効果が高い活性炭Cを使用して4種類の濃度で処理を実施した。さらに、活性炭処理を行なっていない仕込6の原酒も準備した。なお、活性炭処理は、各活性炭を添加し1時間撹拌することにより行った。
その後、柿渋としてニューみます玉渋(株式会社三桝嘉七商店製)を0.4mL/L、滓下助剤としてサケライト-03(株式会社新進製)を0.6g/Lとなるよう添加し、24時間静置することにより、滓下げ処理を行った。上澄みをガラスフィルターGF/Bでろ過し、清浄な液体を得た。
Figure 0007455408000004
表4に示した各原酒をアルコール度数14.5%に割水して、次の高温条件下保存試験に使用した。
表5に、保存試験前の割水酒(清酒)の分析値を示した。仕込6を用いた実施例2~7
及び比較例5、6では、活性炭の種類や使用量によらず、透過率以外の分析値はほぼ同程度であった。
Figure 0007455408000005
(高温条件下保存試験)
<試験方法>
表5に示した13サンプルそれぞれについて高温条件下での保存試験を実施した。高温条件としては60℃を採用し、保存期間は4週間とした。保存前または保存後の各サンプルについて、着色の指標として透過率を測定し、官能評価により味わいを調査した。
透過率は保存開始から0、1、2、3、及び4週間後に測定した。透過率の測定方法は、清酒の着色度を測定する方法として通常使用されている430nmの吸光度を測定し、着色度合いを判断しやすいよう透過率に換算した。
官能評価は、保存開始から0、2、及び4週間後のサンプルについて、合計12名の普段より清酒のきき酒を行っている社内パネルにより実施した。採点基準は1、2、3、4、5、6、7の7段階評価で、清酒らしい味わいの観点から官能的に良い方が1、普通が4、悪いものを7とした。官能評価の解析方法としては、それぞれの保存期間で繰り返しの無い二元配置により全体を検定し、有意差が見られた場合にはTukeyの多重比較によりサンプル間の検定を実施した。
<透過率についての試験結果>
表6、表7、及び表8に透過率の測定結果を示した。
Figure 0007455408000006
表6は、活性炭処理の条件が同じで、仕込が異なるサンプルの透過率の測定結果をまとめたものである。酵素剤を用いた仕込4~6による比較例4及び実施例1、5は、酵素剤を用いていない仕込1~3による比較例1~3と比較して、経時的な透過率の低下が明らかに少なく、高温で保存しても着色しにくい結果が得られた。
さらに、酵素剤を使用し、かつ調味液を添加した仕込5、6による実施例1、2は、酵素剤を使用したが、調味液を添加しなかった仕込4による比較例4と比較しても、透過率の低下が少なく、高温で保存しても着色しにくい結果が得られた。
Figure 0007455408000007
表7は、仕込が同じ条件で、使用した活性炭の平均細孔直径のみが異なるサンプルと、活性炭処理を行なわなかったサンプルの透過率の測定結果をまとめたものである。活性炭処理を行なわなかった比較例6は、保存前から透過率が低く、高温保存後は透過率の低下が著しかった。活性炭処理を行なった実施例2、3、5、及び7はいずれも、保存前の透過率が高く、また、高温保存後の透過率の低下は少ないものであったが、活性炭の平均細孔直径の違いによる効果の違いがみられ、効果が高い順に平均細孔直径を並べると、3.2nm(実施例5)>3.7nm(実施例3)>4.3nm(実施例2)>2.2nm(実施例7)となった。
Figure 0007455408000008
表8は、仕込と活性炭の平均細孔直径は同じ条件で、活性炭の使用量のみが異なるサンプルと、活性炭処理を行なわなかったサンプルの透過率の測定結果をまとめたものである。この表より、活性炭の使用量が増えるに従い、透過率の低下の度合いが少なくなることが分かる。通常の活性炭処理で使用される使用量1g/L(比較例5)程度では、保存前の透過率は比較的高いものの、高温保存による透過率の低下が著しく、やや多めの使用量2g/L(実施例4)から、高温保存による透過率の低下を抑制する効果が発揮されている。そして、通常の活性炭処理ではまず採用されない使用量4g/L以上(実施例5及び6)において、当該効果が極めて高く発揮されている。
<官能評価についての試験結果>
図1、2、及び3に官能評価結果を示した。各図で、エラーバーは標準偏差を示す。また、異なるアルファベット間で有意差(p≦0.01)があることを示す。
図1は、活性炭処理の条件が同じで、仕込が異なるサンプルの結果をまとめたグラフである。仕込4による比較例4は、保存前の官能評価が悪い結果となった。これは、酵素剤を用いた仕込で、調味液を添加しなかったため、味わいが少なかったためと考えられる。また、酵素剤を用いていない仕込1~3による比較例1~3は、高温での保存期間が長くなるにつれて官能評価が顕著に悪化した。一方、酵素剤を用い、かつ調味液を添加した仕込5、6による実施例1、5は、高温での保存期間が2週間、4週間となっても、官能評価に大きな変化はなく、良好な結果が得られた。
図2は、仕込が同じ条件で、使用した活性炭の平均細孔直径のみが異なるサンプルと、活性炭処理を行なわなかったサンプルの結果をまとめたグラフである。異なる平均細孔直径を持つ活性炭を使用した実施例2、3、5、及び7では、活性炭の平均細孔直径の大小による官能評価の違いは保存前、保存期間2週間、4週間のいずれでも見られず、いずれも良好な結果が得られた。活性炭処理を行なわなかった比較例6のみ、高温での保存期間が長くなるにつれて官能評価が悪化した。
図3は、仕込と活性炭の平均細孔直径は同じ条件で、活性炭の使用量のみが異なるサンプルと、活性炭処理を行なわなかったサンプルの結果をまとめたグラフである。活性炭処理を行なわなかった比較例6は、上述のように高温での保存期間が長くなるにつれて官能評価が悪化したが、様々な使用量で活性炭を使用した実施例4、5、6及び比較例5では、活性炭の使用量による官能評価の違いは保存前、保存期間2週間、4週間のいずれでも見られず、いずれも良好な結果が得られた。

Claims (3)

  1. 60℃で2週間保存した際の430nmにおける吸光度測定において透過率93.8%を有し、且つ60℃で4週間保存した際の430nmにおける吸光度測定において透過率89.1%以上を有し、アルコールを含む調味液を発酵工程において添加された、又は、アルコール及び水あめを含む調味液を発酵工程において添加された、清酒(但し、エチル-α-D-グルコシドを添加したものを除く)であって、アミノ酸度が0.6mL以下の清酒
  2. 日本酒度が+8.7~+9.3の範囲であり、及び/又は総酸度が0.9である、請求項1に記載の清酒。
  3. エチル-α-D-グルコシドを0.3%を超えて含む清酒を含まない、請求項1に記載の清酒。
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