以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボード及びポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated
Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のデータでもよいし(例えば、構造化データでもよいし非構造化データでもよいし)、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置を用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有する装置又はシステム)とされてもよい。プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、以下の説明において、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
また、要素を識別するための情報として、任意の情報(例えば、「ID」、「名前」、及び「番号」のうちの少なくとも一つ)が採用されてよい。
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合には、参照符号を使用することがある。
また、以下の説明では、「日時」の単位は、年月日時分よりも粗い単位でも細かい単位でもよい。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る搬送システムの概略構成を示す図である。
搬送システムは、倉庫2内を走行する複数(又は一つ)の搬送装置3と、各搬送装置3の移動をリモート制御する制御装置4とを備える。なお、本実施の形態において、搬送装置3の「移動」とは、棚5の有無に関わらず搬送装置3の移動全般を表す。搬送装置3の「移動」は、搬送装置3の「走行」と言い換えられてもよい。搬送装置3が棚5を有している状態での「移動」を特に「搬送」と言う。棚5は、搬送装置3により搬送され得る物の一例である。棚5に代えて又は加えて、トレー、パレット又はコンテナといった物が、搬送物の一例であってもよい。
倉庫2は、例えば、ネット通販会社等の企業が、物品を保管するために利用する保管庫である。倉庫2に保管されている物品は、商品であってもよいし、部品であってもよい。本実施の形態においては、倉庫2に保管されている物品の一例として、商品の例を説明する。倉庫2には、多段エリア122及び垂直搬送機202が設けられている。
多段エリア122は、異なる高さにそれぞれ位置する複数のエリアの一例である。多段エリア122は、1段目エリア200Aと、2段目エリア200Bとを有する。多段エリア122を構成する複数のエリア200A及び200Bに、複数の棚5が、移動可能な状態に設置されている。なお、全てのエリア200に同じ種類の搬送物が配置されなくてもよい。例えば、1段目エリア200Aに棚5が配置されて2段目エリア200Bにパレットが配置されてもよい。各棚5には、1または複数の物品(例えばそれぞれ販売対象の商品)がそれぞれ所定位置に収納される。棚5を移動棚と呼ぶことがある。
1段目エリア200Aは、第1のエリアの一例であり、搬送装置3が走行するメインのエリアの一例である。搬送装置3が1段目エリア200Aを走行することで棚5をピッキングステーション6へ搬送できる。1段目エリア200Aは、倉庫2の床面全域又は一部としてのエリアである。
2段目エリア200Bは、第1のエリア以外のエリアの一例であり、棚が配置されるサブのエリアの一例である。2段目エリア200Bには、2段目エリア200Bに配置されている棚5を垂直搬送機202へと搬送する搬送機の一例としてのコンベア203がある。
垂直搬送機202は、エリア間搬送機の一例である。垂直搬送機202は、垂直方向に昇降する搬送機である。具体的には、垂直搬送機202は、下降することで2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに棚5を搬送する(又は、1段目エリア200Aから2段目エリア200Aに搬送する棚を1段目エリア200Aにおいて待つ)。また、垂直搬送機202は、上昇することで1段目エリア200Aから2段目エリア200Bに棚5を搬送する(又は、2段目エリア200Bから1段目エリア200Bに搬送する棚を2段目エリア200Bにおいて待つ)。垂直搬送機202は、例えば、昇降機又は昇降機におけるかごでよい。また、垂直搬送機202は、垂直方向に棚5を搬送可能なフォークリフト等の、他のエリア間搬送機によって代替可能である。
各搬送装置3は、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスクが関連付けられている移動指示を受けた場合、当該移動指示に従い、1段目エリア200Aに存在する棚5を搬送する。図1が示す例によれば、下記の通りである。
・棚5Aをピッキングステーション6まで搬送し終えた搬送装置3Aは、棚5Aにおける商品のピッキングの終了待ちである。
・棚5Bをピッキングステーション6まで搬送する搬送装置3Bは、搬送装置3Aが移動待ちである。搬送装置3が移動した場合、搬送装置3Bが棚5Bをピッキングステーション6に搬送することが可能となる。
・垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送された棚5Cを搬送するために搬送装置3Cが移動中である。
・配置位置が1段目エリア200Aである棚5Dを搬送するために搬送装置3Dが移動中である。
図2Aは、1段目エリア200Aの構成の説明図である。図2Bは、2段目エリア200Bの構成の説明図である。図1、図2A及び図2Bが示す例によれば、1段目エリア200A及び2段目エリア200Bは、平面視において重複しているが、必ずしも重複していなくてもよい。また、図2A及び図2Bは、エリア200A及び200Bを模式的に例示しており、図2A及び図2Bに例示されるエリア200A及び200Bは、図1に例示のエリア200A及び200Bと完全には一致していない。
1段目エリア200Aは、所定大きさの方形状の複数の区画(エリア)201に区分されて管理される。各区画201内に、当該区画201の位置を表すマーカ(図示せず)が表記されていてよい。マーカは、その区画の位置を特定するための情報を含んでいればよく、例えばその区画の位置情報でもよいし、その区画の位置情報と対応づけられている情報(例えば区画2Aの識別情報など)であってもよい。マーカは、搬送装置3のセンサ14により読み取り可能な情報であり、例えば一次元コード、QRコード(登録商標)等の二次元コード、RFID(radio frequency identifier)タグ等の情報であってもよい。本実施の形態においては、マーカの一例として、QRコード(登録商標)の例を説明する。例えば、搬送装置3は、各区画を通過時に、その区画にあるマーカを読み取る。各搬送装置3は、搬送装置3の識別情報とともに、読み取ったマーカの情報を、制御装置4に送信する。制御装置4は、各搬送装置3から受信した、搬送装置3の識別情報とマーカの情報を基に、各搬送装置3の位置を特定する。各区画201の位置は、例えば、列番号と行番号の組合せとしての座標から特定されてよい。例えば、2個の区画201Aの座標は、(6,13)及び(13,13)であり、1個の区画201Dの位置の座標は、(1,1)である。
1段目エリア200Aは、平面視において垂直搬送機202が存在する区画201A、垂直搬送機202により搬送された棚5が一時的に配置される区画201B、棚5が配置される区画201C、バッテリステーションが存在する区画201D、及び、ピッキングステーション6が存在する区画201Eを有する。図2Aが示す例によれば、区画201A~201Eの各々について、区画201毎に同じ模様が付されている。すなわち、図2Aが示す例によれば、2個の区画201A、2個の区画201B、90個の区画201C、1個の区画201D、及び、2個の区画201Eが存在する。以下、棚5が一時的に配置される区画201Bを、「バッファ区画201B」と言うことがある。本実施の形態では、垂直搬送機202毎に、バッファ区画201Bは1個であるが、少なくとも一つの垂直搬送機202について、バッファ区画201Bが2個以上存在してもよい。言い換えれば、各垂直搬送機202について、バッファ区画201Bの数(1段目エリア200Aにバッファリング(一時配置)可能な棚5の数)は、所定数M(Mは自然数)でよい。棚5は、例えば1つの区画201とほぼ同じ大きさであってもよいし、1つの区画2Aより小さいサイズであってもよい。なお、区画の設定の仕方は様々な変形例があってもよい。
2段目エリア200Bは、所定大きさの方形状の複数の区画251に区分されて管理される。各区画251の位置は、例えば、列番号と行番号の組合せとしての座標から特定されてよい。
2段目エリア200Bは、平面視において垂直搬送機202が存在する区画251A、コンベア経路(コンベア203による棚5の搬送経路)が占める範囲の要素としての区画251B、及び、棚5が配置される区画251Cを有する。図2Bが示す例によれば、区画251A~251Cの各々について、区画251毎に同じ模様が付されている。すなわち、図2Bが示す例によれば、2個の区画251A、24個の区画251B、及び、124個の区画251Cが存在する。図2Bが示す例によれば、コンベア経路(列方向に沿って直列に連続した12個の区画251B)の左右それぞれ3列の区画251Cにおける棚5が、コンベア経路へと搬送され、コンベア経路に沿って区画251Aへと搬送され、垂直搬送機202により2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへと搬送される。区画251Cから区画251B(コンベア経路における区画)への搬送は、所定の装置(例えば、コンベア、或いは、アーム付きのロボット)により行われてもよい。例えば、図2Bが示すように、区画251Cのブロック292が複数存在するが、各ブロック292において、一部の区画が空きとなっている。これにより、各ブロック292について、適宜に空きの区画に棚5を一回以上移動させることで、ブロック292におけるいずれの区画251Cにある棚5もコンベア経路へと搬送することができる。また、2段目エリア200Bにおける棚5の搬送について、コンベア203の替わりに、棚を積載して搬送する搬送装置を用いてもよい。この場合、棚5の下に搬送装置が潜り込めるように、区画251Cにおいて棚5は架台上に配置される。
再び図1を参照する。搬送装置3は、制御装置4からの移動指示に従い移動する装置であり、典型的には、AGV(Automatic Guided Vehicle)でよい。搬送対象とは、例えば棚5やパレットである。搬送対象が1または複数の物品を搭載可能なもの(例えば棚5やパレット)である場合、搬送対象を収納部(収納装置)や荷役台と呼んでもよい。本実施の形態においては、搬送装置3の搬送対象の一例として、棚5の場合を説明する。搬送対象を搬送物と呼ぶことがある。例えば、搬送装置3は、制御装置4からの移動指示に従い、当該移動指示において指定されている棚5を持ち上げ、当該移動指示において指定されている(又は搬送装置3の現在位置に最も近い)ピッキングステーション6までその棚5を搬送する。ピッキングステーション6に搬送された棚5は、当該ピッキングステーション6において作業者により必要な商品が取り出された後に(つまりピッキングの後に)、搬送装置3により元の区画(又は別の区画)に戻される。ピッキングステーション6への搬送経路と、ピッキングステーション6から棚5の元の配置区画(又は別の配置区画)への移動経路は、一つの移動指示において指定されてもよいし、別々の移動指示において指定されてもよい。この別の場所の例として、ピッキング頻度が高い商品を収納しており、ピッキングステーション6へ搬送される頻度が高い棚は、ピッキングステーション6に近い位置にある棚配置区画、又は、ピッキングステーション6の配置されるエリアである1段目エリア200Aに設置してもよい。ピッキングステーション6へ搬送される頻度が低い棚は、ピッキングステーション6から遠い位置にある棚配置区画、又は、ピッキングステーション6の配置されるエリア以外のエリア(例えば、2段目エリア200B)に設置してもよい。このように、ピッキングステーション6へ搬送される頻度に応じて、棚の設置場所を変えることにより、搬送効率を向上できる。
搬送装置3は、図3Aに示すように、全体として直方体状に形成されている。そして搬送装置3の下面(底面)には、図3Bに示すように、それぞれ搬送装置3が旋回及び前進するための駆動輪20が配設されると共に、搬送装置3の下面の四隅には補助輪21が配設されている。また搬送装置3の上面中央部には昇降及び回転自在に円柱状の昇降体22が設けられている。
そして、搬送装置3は、図4に示すように、駆動輪20を回転駆動させて搬送対象の棚5の下側にまで移動した後に昇降体22を上昇させることでその棚5を持ち上げ、その状態で倉庫2内を走行することでその棚5を搬送する。この際、搬送装置3は、昇降体22を回転させることで持ち上げた棚5の向きを変えることもできる。搬送装置3は、昇降・回転体22に対し、昇降・回転体22以外の本体が回転(旋回)することで、持上げた棚5を回転させずに搬送装置を回転(旋回)することも可能である。なお、1段目エリア200に配置される棚5は、棚5本体の下側に搬送装置3が進入可能にするための脚を有していてもよい。また、バッファ区画201Bには棚5の下側に搬送装置3が進入可能なスペースが設けられているため、2段目エリア200Bに配置される棚5は、脚が無くてもよい。つまり、棚5の構成が、棚5が1段目エリア200Aに配置されるか2段目エリア200Bに配置されるかによって異なっていてもよい。具体的には、例えば、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの棚5の搬送は、図5に示す通りである。すなわち、垂直搬送機202(区画251A)の直前区画で待つ棚5が垂直搬送機202内に入り、棚5が入っている垂直搬送機202が2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへと下降し、1段目エリア200Aに到着した垂直搬送機202(区画201A)から棚5がバッファ区画201Bへ移動する。バッファ区画201Bに一時配置されている棚5が搬送装置3により搬送される。
搬送装置3には、自動充電機能が搭載されており、搭載された図示しないバッテリの残量が所定値を下回った場合、搬送装置3は、バッテリステーションに移動して自動的に充電を行うようになっている。
制御装置4は、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信回線を介して倉庫2内の各搬送装置3と無線通信接続される。制御装置4は、顧客からのオーダに応じて、オーダされた商品が収納されている棚5を特定し、搬送装置3に対して、当該棚5をピッキングステーション6まで搬送する移動指示(以下、このような搬送に関する指示を移動指示と呼ぶ)を送信する。特定された棚5が2段目エリア200Bに配置されている棚5の場合、制御装置4は、コンベア203に当該棚5を垂直搬送機202へと搬送させたり、垂直搬送機202に当該棚5を2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへと搬送させて当該棚5をバッファ区画201Bへと配置させたり、当該棚5をピッキングステーション6まで搬送する移動指示を搬送装置3に送信したりする。
なお、搬送装置3に送信される「移動指示」には、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスクを表す情報が関連付けられる。搬送タスクは、いずれの棚5をいずれの区画へと搬送するかに従うタスクであり、搬送タスクを表す情報は、例えば、搬送すべき棚5の棚IDと、搬送装置3が移動する経路である移動経路とを含んでよい。移動経路は、搬送装置3の現在区画(現在位置が属する区画)から棚区画(搬送対象の棚5が存在する区画)までの経路と、棚区画からピッキングステーション6までの経路とを含んでよい。また、ピッキングステーション6において作業者により棚5から商品がピッキングされた後には、棚を指定位置に戻すために、制御装置4は、搬送装置3に指定位置への「移動指示」を与える。この移動経路は、更に、ピッキングステーション6から指定位置までの経路を含んでよい。ピッキングステーション6に隣接する区画及びバッテリステーション7のうちの少なくともピッキングステーション6に隣接する区画が、目的区画(目的位置が属する区画)の一例でよい。
図6及び図7は、本実施の形態における搬送システムの要素の具体的な構成例を示す図である。
搬送装置3、制御装置4、垂直搬送機202、コンベア203及びピッキング端末710の各々が、ネットワーク551を介して通信可能である。垂直搬送機202、コンベア203及びピッキング端末710の各々は、複数存在してよい。
搬送装置3は、駆動装置11、記憶装置12、インターフェース装置13、複数種類のセンサ14、及び、それらに接続されたコントローラ10を備える。
コントローラ10は、制御装置4からの移動指示や内蔵するバッテリの充電状態などに応じて搬送装置3の動作の制御を司るコントローラである。駆動装置11は、駆動輪20、補助輪21及び昇降体22のほか、駆動輪20を回転駆動するためのモータ等のアクチュエータ(図示せず)と、昇降体22を昇降及び回転させるためのモータ等のアクチュエータ(図示せず)とを備える。
インターフェース装置13は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えばWi-Fi(登録商標)の無線LAN(Local Area Network)カードなどから構成されてよい。
センサ14は、搬送装置3が走行する床面の情報や搬送装置3に関する各種情報を収集等するためのデバイスである。例えば、複数種類のセンサ14は、例えば、床面の区画201上のマーカの情報を読み込むことが可能である。搬送装置3は、センサ14として、区画201の状態を撮像したりするためのカメラ、移動中の搬送装置3が受ける振動を検出するための振動センサ、搬送装置3の速度を計測する速度センサ、搬送装置3の加速度を計測する加速度センサ、積載物の重量を計測する重量センサ、及び、搬送装置3の向きを計測するジャイロセンサなどのセンサを備えていてもよい。
記憶装置12には、例えば、経路テーブル23、装置テーブル24、地図テーブル25、計測テーブル27及び実績テーブル28が格納される。コントローラ10には、通信プログラム29、移動制御プログラム30、計測プログラム31及び位置推定プログラム32が格納されている。通信プログラム29、移動制御プログラム30、計測プログラム31及び位置推定プログラム32がコントローラ10により実行されることで、通信部、走行制御部、計測部及び位置推定部が実現される。
経路テーブル23は、制御装置4から受信した上述の移動指示で指定された移動経路を表す情報が格納されるテーブルである(移動経路を表す情報は、区画の保管位置の並びと、移動経路が属する各区画について当該区画に位置する日時とを含んでよい)。装置テーブル24は、搬送装置3のID、現在区画の保管位置、及び、状態(例えば、「待機」、「移動中」又は「搬送中」)が格納されたテーブルである。地図テーブル25は、区画毎の保管位置及び属性(例えば、いずれの領域に属するか)を表す情報が格納されたテーブルである。計測テーブル27は、複数種類のセンサ14により計測された値(例えば、速度、加速度、旋回、重量、保管位置(二次元バーコードから読み取られた値)、区画の撮影画像等)が格納されるテーブルである。実績テーブル28は、搬送装置3が移動した経路及び日時を含む移動実績を表す情報が格納されるテーブルである。
通信プログラム29は、インターフェース装置13を介して制御装置4との間でコマンドや情報をやり取りする機能を有するプログラムである。例えば、通信プログラム29は、制御装置4からの要求に応じて(又は要求無しに)、テーブル23~25、27及び28のうちの少なくとも一部の情報を制御装置4に送信する。なお、各搬送装置3の通信プログラムは、これらの情報の其々について、定期的または不定期のタイミングで制御装置4に送信してもよい。
移動制御プログラム30は、制御装置4から通信プログラム29を通じて受信した移動指示に応じて搬送装置3の移動を制御するプログラムである。例えば、移動制御プログラム30は、制御装置4からの移動指示に従い、指定された棚5を持ち上げて指定された移動経路を通ってピッキングステーション6まで移動するよう駆動装置11を制御したり、指定された移動経路を通ってその棚5を元の位置(又は別の位置)に戻すよう駆動装置11を制御したりする。
計測プログラム31は、各センサ14の出力(計測結果)を計測テーブル27に登録する。位置推定プログラム32は、搬送装置3のセンサ14を通じて検出されたマーカ(1段目エリア200Aの区画201毎に貼られているマーカ)を基に搬送装置3の位置を推定する。
制御装置4は、プロセッサ40、メモリ41、記憶装置42、入力装置43、出力装置44及びインターフェース装置45といったハードウェアを有する一つ以上の物理計算機でもよいし、一つ以上の物理計算機(例えば、クラウド基盤)に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。また、制御装置4が有する各装置については、1つの物理計算機に配置されてもよいし、分散するように複数の物理計算機に配置されてもよい。記憶装置42が有する各プログラムや各情報については、1つの記憶装置に格納されてもよいし、分散するように複数の記憶装置に分けて記憶されてもよい。入力装置43及び出力装置44に代えて、インターフェース装置45を通じて通信可能なクライアントシステムを介して情報の入出力が可能でよい。
プロセッサ40は、制御装置4全体の動作制御を司るデバイスである。メモリ41は、プロセッサ40のワークメモリとして利用される。記憶装置42には、プログラムやテーブルが格納される。入力装置43は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、オペレータが必要な情報や指示を制御装置4に入力するために利用される。出力装置44は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置でよい。インターフェース装置45は、所定の無線通信方式により搬送装置3、垂直搬送機202、コンベア203及びピッキング端末710と通信を行うための装置であり、例えばWi-Fiカードなどから構成されてよい。
記憶装置42には、例えば、装置搬送テーブル53、在庫テーブル54、棚テーブル57、地図テーブル56、垂直搬送テーブル61、オーダテーブル55、ピッキングテーブル58、棚搬送テーブル59及びOTHERS60が格納される。テーブル53~55、57~59及び61については後述する。地図テーブル56は、1段目エリア200A及び2段目エリア200Bの各々の地図を表す情報(例えば、エリア200A及び200Bの各々について、区画毎の保管位置(座標)及び属性(例えば、棚5、ピッキングステーション6、バッテリステーション、垂直搬送機202、バッファのいずれに該当するか)を表す情報)が格納されたテーブルである(このテーブル56が各搬送装置3に配信され各搬送装置3において地図テーブル25として保存されてよい)。OTHERS60は、例えば、各搬送装置3からの計測値が格納される計測テーブル、及び、各搬送装置3からの移動実績を表す情報が格納される実績テーブルのうちの少なくとも一つを含んでよい。装置搬送テーブル53、棚搬送テーブル59及び垂直搬送テーブル61が、搬送管理情報の一例でよい。具体的には、例えば、装置搬送テーブル53と、棚搬送テーブル59の一部(1段目エリアにおける棚に関する情報)とが、一つ又は複数の搬送装置による搬送に関する情報の一例でよい。棚搬送テーブル59の一部(2段目エリアにおける棚に関する情報)と、垂直搬送テーブル61とが、エリア間搬送機による搬送に関する情報の一例でよい。
記憶装置42には、格納プログラム50及び処理プログラム51が格納されている。格納プログラム50及び処理プログラム51がプロセッサ40により実行されることで、格納部及び処理部が実現される。格納プログラム50が、これらのテーブル53~61を、記憶装置42に格納する。
垂直搬送機202が、インターフェース装置711、記憶装置713、駆動装置714、センサ715及びそれらに接続されたプロセッサ712を有する。
インターフェース装置711は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えばWi-Fi(登録商標)の無線LAN(Local Area Network)カードなどから構成されてよい。駆動装置714は、垂直搬送機202の昇降や待機のために駆動する装置である。センサ715は、垂直搬送機202の位置等を検出するセンサでよい。
記憶装置713には、垂直搬送テーブル760が格納される。垂直搬送テーブル760は、制御装置4が有する垂直搬送テーブル61の少なくとも一部と同じ情報を含んだテーブルでよい。プロセッサ712は、記憶装置713内のプログラムを実行することで、例えば垂直搬送テーブル760を基に、垂直搬送機202全体の動作制御を司る。
コンベア203が、インターフェース装置721、記憶装置723、駆動装置724、センサ725及びそれらに接続されたプロセッサ722を有する。
インターフェース装置721は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えばWi-Fi(登録商標)の無線LAN(Local Area Network)カードなどから構成されてよい。駆動装置724は、棚5が載置される部材(例えば、ベルト又はローラ)を駆動することで搬送物を搬送するための装置である。センサ725は、例えば重量センサであり、棚5がコンベア203上のある位置に載置されていることを検出する。プロセッサ722は、記憶装置723内のプログラムを実行することで、コンベア203全体の動作制御を司る。
ピッキング端末710は、ピッキングステーション6におけるピッキング作業を管理するための情報処理端末である。ピッキング端末710が、インターフェース装置731、記憶装置732及びそれらに接続されたプロセッサ733を有する。
インターフェース装置731は、所定の無線通信方式により制御装置4と通信を行うための装置であり、例えばWi-Fi(登録商標)の無線LAN(Local Area Network)カードなどから構成されてよい。記憶装置732には、ピッキングテーブル770が格納される。ピッキングテーブル770は、制御装置4が有するピッキングテーブル58の少なくとも一部と同じ情報を含んだテーブル(例えば、処理対象のオーダを特定するための情報や、作業予定時間や、実際の進捗状況を表すテーブル)でよい。プロセッサ733は、記憶装置732内のプログラムを実行することで、例えばピッキングテーブル770を基に、ピッキング端末710全体の動作制御を司る。
ピッキング端末710は、入力装置及び出力装置を備えていてもよい。入力装置は、ピッキング作業の完了等、作業者によるピッキング作業に関する情報の入力を受け付けてよい。出力装置は、作業者へのピッキング作業に関する指示等を出力してよい。
図8は、オーダテーブル55の構成例を示す図である。
オーダテーブル55は、顧客からのオーダに関する各種情報が格納されるテーブルである。オーダテーブル55は、オーダ毎にレコードを有する。各レコードが、処理ID601、伝票番号602、店名603、店コード604、商品名605、商品ID606、個数607、納期608、受信日時609及び作業日時610といった情報を保持する。一つのオーダを例に取る(図8の説明において「注目オーダ」)。図8が示す例によれば、伝票番号602が同じでも、商品の種類(例えば、商品名605及び商品ID606)が違う場合は、別のオーダとして扱われる。一つのオーダが二つ以上のオーダに分けて管理されてもよいし、二つ以上のオーダが一つのオーダとして管理されてもよい。
処理ID601は、注目オーダのIDを表す。伝票番号602は、いわゆる伝票の番号を表す。
店名603は、注目オーダで指定された商品の出荷先の店の名前を表し、店コード604は、当該店のコードを表す。
商品名605は、注目オーダで指定されている商品の名前を表し、商品ID606は、当該商品のIDを表し、個数607は、当該商品の数を表す。
納期608は、注目オーダで指定されている商品が注文先(典型的には顧客)へ届けられる期限を表す。なお、処理プログラム51が、納期608から逆算して実際にピッキングステーションでピッキングがされる期限を算出してよい。処理プログラム51は、当該算出された期限を基に、搬送装置3に移動指示を送信するタイミングを決定してもよいし、ピッキングステーションに搬送装置3が到達すべき日時を移動指示に指定してもよい。
受信日時609は、注目オーダを受信した日時を表す。作業日時610は、注目オーダで指定されている商品が置かれている棚5をピッキングステーション6へ搬送する作業が行われる日時を表す。
図9は、在庫テーブル54の構成例を示す図である。
在庫テーブル54は、商品に関する情報が格納されるテーブルである。在庫テーブル54は、商品毎にレコードを有する。各レコードが、商品名701、商品ID702、在庫数703、棚ID704及び商品位置705といった情報を保持する。一つの商品を例に取る(図9の説明において「注目商品」)。なお、同一の商品が異なる棚に格納されている場合、同一の商品について複数のレコードが存在する。同様に、同一の商品が同一の棚における異なる商品位置に格納されている場合も、同一の商品について複数のレコードが存在する。
商品名701は、注目商品の名前を表す。商品ID702は、注目商品のIDを表す。在庫数703は、注目商品の在庫数を表す。棚ID704は、注目商品が配置されている棚5のIDを表す。商品位置705は、当該棚5における注目商品の位置を表す。例えば“U3R2”は、「上(U)から3番名、右(R)から2番目」を意味する。
図10は、棚テーブル57の構成例を示す図である。
棚テーブル57は、棚5に関する情報が格納されるテーブルである。棚テーブル57は、棚5毎にレコードを有する。各レコードが、棚ID801、保管位置802、棚重量803(単位は例えば[Kg])及び商品重量804(単位は例えば[Kg])を保持する。一つの棚5を例に取る(図10の説明において「注目棚5」)。
棚ID801は、注目棚5のIDを表す。保管位置802は、注目棚5が配置されている区画及びエリア高さを表す。具体的には、保管位置802は、“(列番号,行番号,段番号)”で表現される。例えば、(3,3,1)は、1段目エリア200Aにおける区画(3,3)を意味する。注目棚5が、バッファ区画201B(図2A参照)に存在する場合、保管位置802は、当該バッファ区画201Bの位置を表す。注目棚5が搬送されている最中であれば、保管位置802は、注目棚5の状態“搬送中”を表してよい。注目棚5がピッキングされている最中であれば、保管位置802は、注目棚5の状態“ピッキング中”を表してよい。
棚重量803は、注目棚5の重量を表す。商品重量804は、注目棚5に配置されている全商品の総重量を表す。商品重量804は、例えば、注目棚5の棚ID704に対応した商品の在庫数703と商品単体の重量とを基に処理プログラム51により算出されてよい。
図11は、装置搬送テーブル53の構成例を示す図である。
装置搬送テーブル53は、各搬送装置3から取得した情報が格納されたテーブルである。装置搬送テーブル53は、搬送装置3毎にレコードを有する。各レコードが、装置ID1101、棚フラグ1102、位置1103、バッテリ残量1104、装置状態1105、棚ID1106、ピッキングステーションID1107及び到着予定日時1108といった情報を保持する。一つの搬送装置3を例に取る(図11の説明において「注目搬送装置3」)。
装置ID1101は、注目搬送装置3のIDを表す。棚フラグ1102は、注目搬送装置3が棚を積載しているか否かを表す。位置1103は、注目搬送装置3が位置する区画(つまり現在区画)の座標(列番号,行番号)を表す。バッテリ残量1104は、注目搬送装置3のバッテリの残量を表す。
装置状態1105は、注目搬送装置3の状態を表す。“移動中”は、注目搬送装置3が移動していることを意味する。“空き”は、注目搬送装置3に棚ID(具体的には、棚IDを含んだ搬送タスク)が割り当てられていないことを意味する。棚ID1106は、注目搬送装置3に割り当てられている搬送タスクに含まれる棚ID(つまり、搬送タスクで指定された搬送対象の棚のID)を表す。ピッキングステーションID1107は、注目搬送装置3が搬送する棚の搬送先のピッキングステーションのID(ピッキングステーションに対応した位置(座標)でもよい)を表す。
到着予定日時1108は、注目搬送装置3がピッキングステーションに到着する予定日時である。到着予定日時1108は、例えば、注目搬送装置3のピッキングステーションへの移動経路を基に処理プログラム51により算出された日時でよい。
図11が例示するテーブル53によれば、例えば、下記のことがわかる。
・棚フラグ1102“有り”及び装置状態1105“移動中”の搬送装置3は、棚ID1106が表す棚をピッキングステーションに搬送中である。
・棚フラグ1102“無し”及び装置状態1105“移動中”の搬送装置3は、棚ID1106が表す棚を取得する(例えば積載する)ために移動中である。当該棚を取った後、棚フラグ1102が“有り”に更新され、当該搬送装置3は、ピッキングステーションに当該棚を搬送する。
図12は、棚搬送テーブル59の構成例を示す図である。
棚搬送テーブル59は、棚5の搬送に関する情報が格納されたテーブルである。棚搬送テーブル59は、棚5毎にレコードを有する。各レコードが、棚ID1101、保管位置1202、段1203、棚状態1204、装置ID1205、装置状態1206及び搬送開始予定日時1207といった情報を保持する。一つの棚5を例に取る(図12の説明において「注目棚5」)。
棚ID1201は、注目棚5のIDを表す。保管位置1202は、注目棚5が搬送される前の保管位置(列番号、行番号、段番号)を表す。注目棚5が保管位置から移動すると、保管位置1202はブランク“-”となる。段1203は、注目棚5が何段目に存在するかを表す。
棚状態1204は、2段目エリア200Bに配置されていた棚の状態を表す。“待機”は、1段目エリア200Aに搬送されバッファ区画201Bにて注目棚5が待機していることを意味する。“移動中”は、1段目エリア200Aに到達した垂直搬送機202から注目棚5がバッファ区画201Bへ移動中であることを意味する。“移動前”は、垂直搬送機202により1段目エリア200Aへ注目棚5が搬送される前であり2段目エリア200Aにおいて注目棚5が垂直搬送機202による搬送を待っていることを意味する。
装置ID1205は、注目棚5が割り当てられた搬送装置3のIDを表し、装置状態1206は、当該搬送装置3の状態を表す。“積載中”は、注目棚5が当該搬送装置3に既に積載されて移動している(つまり注目棚5が搬送されている)ことを意味する。“移動中”は、注目棚5を積載するために当該搬送装置3が注目棚5の保管位置へ移動していることを意味する。
搬送開始予定日時1207は、注目棚5が搬送装置3により搬送開始される予定の日時を表す。搬送開始予定日時1207は、例えば、注目棚5の保管位置802と、注目棚5が割り当てられる搬送装置3の位置1103とから、処理プログラム51により移動経路が決定された際に、その移動経路を表す情報と、当該搬送装置3の標準移動速度とを基に、処理プログラム51によって算出されてよい。搬送開始予定日時1207の算出については、この方法に代えて又は加えて、過去の搬送履歴から推定される平均搬送速度が考慮されてよい。
図13は、垂直搬送テーブル61の構成例を示す図である。
垂直搬送テーブル61は、垂直搬送機202による搬送に関する情報が格納されたテーブルである。垂直搬送テーブル61は、垂直搬送毎にレコードを有する。各レコードが、垂直ID1301、搬送モード1302、棚ID1303、棚状態1304、搬送開始日時1305及びバッファリング開始日時1306といった情報を保持する。一回の垂直搬送を例に取る(図13の説明において「注目垂直搬送」)。なお、「垂直搬送」とは、エリア間搬送の一例であり、本実施の形態では、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの搬送と、1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへの搬送とのうちのいずれかである。複数のエリアが三つ以上のエリアの場合、搬送元のエリアから搬送先のエリアへの搬送が「垂直搬送」(エリア間搬送の一例)でよい。搬送元のエリアと搬送先のエリアの間には0以上のエリアが存在する。
垂直ID1301は、注目垂直搬送を行う垂直搬送機202のIDを表す。なお、垂直ID1301が無くてもよく、垂直搬送テーブル61は、垂直搬送機202毎に存在してもよい。
搬送モード1302は、棚5を載せた垂直搬送機202の搬送方向を表す。“上”は、1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへ垂直搬送機202が棚5を搬送することを意味する。“下”は、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ垂直搬送機202が棚5を搬送することを意味する。棚5を有しない状態で垂直搬送機202が1段目エリア200A又は2段目エリア200Bに移動すること(例えば、搬送対象の棚5を1段目エリア200A又は2段目エリア200Bにて受け取るために移動すること)に対応したレコードは、本テーブル61に存在しないでよい。
棚ID1303は、注目垂直搬送により搬送される棚5のIDを表す。棚状態1304は、垂直搬送対象の当該棚5の状態を表す。“昇降中”は、垂直搬送機202によって棚5が搬送されていることを意味する。“待機中”は、垂直搬送機202の前の待機位置にて棚5が垂直搬送されることを待っていることを意味する。“移動中”は、垂直搬送機202へと棚5が移動している最中であることを意味する。
搬送開始日時1305は、注目垂直搬送を開始した又は開始予定の日時を表す。例えば、搬送開始日時1305は、垂直搬送機202の搬送状況の情報と棚5が垂直搬送機202へ到着する日時の情報とを基に処理プログラム51により算出されてよい。棚5が垂直搬送機202へ到着する日時は、棚5の保管位置と、コンベア203(又は搬送装置3)の標準搬送時間(又は標準搬送速度)と、先に搬送される他の棚5の搬送に関する情報とを基に、処理プログラム51により算出されてよい。また、搬送開始日時1305と、垂直搬送機202の標準搬送時間(又は標準搬送速度)とを基に、搬送完了日時(垂直搬送が完了する予定の日時)が、処理プログラム51により算出されてもよい。
バッファリング開始日時1306は、注目垂直搬送の対象とされた棚5がバッファ区画201Bへ移動開始する日時を表す。具体的には、例えば、垂直搬送機202により1段目エリア200Aに到達した棚5は、図示しない架台コンベアに載置され、当該架台コンベアによりバッファ区画201Bへ搬送されるが、バッファリング開始日時1306は、当該架台コンベアにより棚5がバッファ区画201Bへ搬送される日時である。例えば、搬送開始日時1305と、垂直搬送機202の標準搬送時間(又は標準搬送速度)と、垂直搬送機202から架台コンベアへの受け渡しに要する時間と、架台コンベアが搬送開始までに要する時間とを基に、処理プログラム51によりバッファリング開始日時1306が算出されてよい。
図14は、ピッキングテーブル58の構成例を示す図である。
ピッキングテーブル58は、ピッキング作業に関するテーブルである。ピッキングテーブル58は、ピッキング作業毎にレコードを有する。各レコードが、ピッキングステーションID1401、処理ID1402、装置ID1403、棚ID1404、商品ID1405、数量1406、開始予定日時1407、終了予定日時1408及びピッキング状態1409といった情報を保持する。一回のピッキング作業を例に取る(図14の説明において「注目ピッキング作業」)。
ピッキングステーションID1401は、注目ピッキング作業が行われるピッキングステーションのIDを表す。ピッキングステーションID1401は無くてもよく、ピッキングステーション6毎にピッキングテーブル58が設けられてもよい。
処理ID1402は、注目ピッキング作業に対応したオーダの処理IDである。
装置ID1403は、注目ピッキング作業においてピッキングされる商品を有する棚のIDを表し、商品ID1405は、当該商品のIDを表し、数量1406は、ピッキングされる商品の数を表す。なお、開始予定日時1407の昇順でレコードが並んでいるテーブル58によれば、同じ棚ID1404が連続している場合、1個の棚5から異なる処理IDに対応した異なる商品がピッキング可能である。
開始予定日時1407は、注目ピッキング作業の開始予定日時を表す。終了予定日時1408は、注目ピッキング作業の終了予定日時を表す。開始予定日時1407は、移動経路に沿って搬送装置3がピッキングステーション6に到着する予定日時を基に処理プログラム51により算出されてよい。終了予定日時1408は、開始予定日時1407と、ピッキング作業に要する予測時間長とを基に処理プログラム51により算出されてよい。ピッキング作業に要する予測時間長は、ピッキング作業対象の商品の数量、ピッキング作業の平均的な所用時間、及び、ピッキング作業の作業者の過去のピッキング作業履歴、のうちの少なくとも一つを基に、処理プログラム51により算出されてよい。なお、ピッキング作業は、作業者に代えて又は加えてロボットにより行われてもよい。
ピッキング状態1409は、注目ピッキング作業の状態を表す。“作業前”は、棚5をもった搬送装置3がピッキングステーション6に到着しピッキング作業が開始される前であることを意味する。“作業中”は、ピッキング作業が開始されたがピッキング作業が完了していないことを意味する。“完了”は、ピッキング作業が完了したことを意味する。なお、ピッキング状態1409の変更は、ピッキング作業の作業者からの入力を基に行われてもよいし、ピッキング作業に関して自動検出された値を基に自動で行われてもよい。例えば、注目ピッキング作業の完了後の棚5を、待機していた搬送装置3が搬送した場合、注目ピッキング作業の次のピッキング作業に対応したピッキング状態1409が、“作業前”から“作業中”に変更されてもよい。
以下、本実施の形態で行われる処理の例を説明する。なお、本実施の形態では、テーブル53~61は、格納プログラム50により記憶装置42に格納される。各搬送装置3、各垂直搬送機202、各ピッキング端末710及び各コンベア203から制御装置4が定期的又は不定期的に受信する情報(例えば、センサの計測値を含んだ情報)を基に、格納プログラム50により、テーブル53~61のうちの該当部分が適宜に更新される。
図15は、搬送制御処理の流れを示すフローチャートである。搬送制御処理は、繰り返し(例えば定期的に)行われる。
S1501で、処理プログラム51が、オーダ(オーダテーブル55のレコード)を、作業日時610の昇順に並べる。作業日時610の昇順以外の順序にオーダがソートされてもよい。ソートされた各オーダについて、S1502~S1504が行われる。また、処理プログラム51が、複数のオーダを一つのオーダにまとめ、そのようなまとめられたオーダに対してS1502~S1504が行われてもよい。一つのオーダにまとめられる複数のオーダは、同じ棚に含まれる商品のオーダであるといった所定種類の要素が共通するオーダでよい。ここでは、一つのオーダを例に取る(図15の説明において注目オーダ)。
S1502で、処理プログラム51が、注目オーダを基に、ピッキング対象となる商品を搭載する棚5と、当該棚5の位置とを特定する。具体的には、例えば、次の処理が行われる。処理プログラム51が、オーダテーブル55、在庫テーブル54及び棚テーブル57を基に、注目オーダで指定されている商品名605及び商品ID606に一致する商品名701及び商品ID702に対応した棚ID704を在庫テーブル54から特定する。処理プログラム51が、特定した棚ID704に一致する棚ID801に対応した保管位置802を棚テーブル57から特定する。
S1503で、処理プログラム51が、注目オーダについて、地図テーブル56、装置搬送テーブル53及び棚テーブル57を基に、S1502で特定された棚位置(棚5の保管位置802)にある棚を搬送する搬送装置3を選択し、且つ、当該搬送装置3による搬送の移動経路を作成する。つまり、S1503では、注目オーダに従う搬送タスクの割当先の搬送装置3が決定される。搬送タスクは、搬送対象の棚5を、作成された移動経路に従い搬送するタスクでよい。S1503では、具体的には、例えば、処理プログラム51は、下記のうちの少なくとも一つを行ってよい。
・処理プログラム51は、所定の条件に該当する一つ以上の搬送装置3から一つの搬送装置3を選択する。ここで言う「所定の条件」は、少なくとも棚フラグ1102が“無し”であることでよい。搬送装置3の選択は、各搬送装置3の装置状態1105、棚フラグ1102、位置1103、及び、搬送対象の棚5の保管位置802(保管位置802と目的区画の位置との距離)に基づき行われてよい。
・処理プログラム51は、選択された搬送装置3の位置1103、搬送対象の棚5の保管位置802、及び、目的区画の位置(典型的にはピッキングステーション6の位置)を基に、移動経路を作成する。搬送対象の棚5の保管位置802が2段目エリア200Bにおける位置の場合、棚5がいずれの垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送されるかに従うバッファ区画201Bの位置を基に、移動経路が作成される。
・処理プログラム51は、搬送対象の棚5の保管位置802が2段目エリア200Bの場合、図16が示す渋滞判定処理を行う。
・処理プログラム51は、ピッキングテーブル58を参照してよい。例えば、処理プログラム51は、相対的に空いているピッキングステーション(例えば、ピッキングテーブル58において対応するレコードの数が相対的に少ないピッキングステーション)を特定し、目的区画として、当該空いているピッキングステーションを決定してよい。
S1504で、処理プログラム51は、S1503で選択された搬送装置3に、当該搬送装置3に割り当てられた搬送タスク(注目オーダに従う搬送タスク)が関連付けられた移動指示を送信する。
この搬送制御処理では、各オーダについて、決定され割り当てられる搬送タスクは、当該オーダの納期608を守るタスクである。後述するように、垂直搬送に関し棚5の渋滞の発生が予測された場合に実行される優先制御において、バッファ区画201Bに存在する棚5の搬送タスクの実行が優先されることが処理プログラム51により決定されるが、このような搬送タスク処理順序の変更は、納期608を守れる範囲で行われてよい。
図16は、渋滞判定処理の流れを示すフローチャートである。
渋滞判定処理の開始のトリガは、例えば、下記のうちのいずれかでよい。
・S1502で特定された棚位置が、2段目エリア200Bである。
・S1504で送信された移動指示に関連付けられている搬送タスクが、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに搬送される必要がある棚の搬送タスクである。
S1601で、処理プログラム51は、装置搬送テーブル53、棚搬送テーブル59及び垂直搬送テーブル61を参照する。S1602で、処理プログラム51は、装置搬送テーブル53、棚搬送テーブル59及び垂直搬送テーブル61を基に、2段目エリア200Bにおける搬送対象の棚5の垂直搬送をシミュレートする。
S1603で、処理プログラム51は、S1602のシミュレーションの結果を基に、渋滞が予測されるか否かを判定する。ここで、本実施の形態で言う「渋滞」とは、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない待機状態の棚5の数が垂直搬送機202について所定数Mに達しているために2段目エリア200Bから1段目エリア200AへのN以上の棚5(Nは自然数)が垂直搬送機202の外及び中のいずれか又は両方において待機状態となることである。
S1603の判定に関し、例えば、下記のうちのいずれが採用されてもよい。
・搬送対象の棚5の保管位置により垂直搬送機202が予め決まっている場合、所定数Mは、垂直搬送機202毎に用意された値(例えば、当該垂直搬送機202に対応した全バッファ区画201Bに存在可能な棚5の最大数、或いは、当該最大数に代えて又は加えて、1段目エリア200Aにおいて垂直搬送機202内で存在可能な棚5の最大数)でよい。
・搬送対象の棚5の保管位置に関わらず、各垂直搬送機202の搬送状況に応じて垂直搬送機202が決まる場合、所定数Mは、システム全体に共通の値(例えば、1段目エリア200Aにおける全バッファ区画201Bに存在可能な棚5の最大数、或いは、当該最大数に代えて又は加えて、1段目エリア200Aにおいて垂直搬送機202内で存在可能な棚5の最大数)でよい。
・「2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない待機状態の棚5の数」は、Xでもよいし、Yでもよいし、X+Yでもよい。「X」は、1段目エリア200Aにおいて垂直搬送機202の外に存在する棚5の数、具体的には、例えば、バッファリングされている棚5(バッファ区画201Bに存在する棚5)の数でよい。「Y」は、垂直搬送機202の中に存在する棚5の数、具体的には、例えば、バッファ区画201Bに空きが無いために垂直搬送機202からバッファ区画201Bへ移せず垂直搬送機202内に存在したままである棚5の数でよい。本実施の形態では、Y=1(一つの垂直搬送機202に搭載される棚5の数は常に1)であるが、Yは2以上の整数(一つの垂直搬送機202に搭載される棚5の数は2以上)でもよい。
S1603の判定結果が偽の場合(S1603:No)、渋滞判定処理が終了する。S1603の判定結果が真の場合(S1604:Yes)、S1604で、処理プログラム51は、優先制御処理を行う。
「渋滞」の定義の詳細例が、「垂直搬送機202からバッファ区画201Bへ搬送対象の棚5が移るときまでにバッファ区画201Bに別の棚5が存在してしまっていること」であるとする。すなわち、「渋滞」の定義「2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない待機状態の棚5の数が垂直搬送機202について所定数Mに達しているために2段目エリア200Bから1段目エリア200AへのN以上の棚5(Nは自然数)が垂直搬送機202の外及び中のいずれか又は両方において待機状態となること」において、Mの値もNの値も1であるとする。この場合、S1602及びS1603は、例えば下記の通りである。
S1602において、処理プログラム51が、下記を算出する。
(P)既に垂直搬送機202によって2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され、バッファ区画201Bで待機している棚5-1の搬送開始予定日時1207。なお、当該棚5-1の特定方法として、保管位置1202により表された区画が、搬送対象の棚5の垂直搬送を行う垂直搬送機202に対応したバッファ区画である棚であって、棚状態1204が“待機”である棚を特定する。
(Q)これから垂直搬送機202によって2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送される棚5-2のバッファリング開始日時1306。
S1603において、処理プログラム51が、(P)が(Q)よりも遅いか否かを判定する。(P)が(Q)よりも早い(又は、(P)と(Q)が同日時)であれば、渋滞の発生は予測されない。一方、(P)が(Q)よりも遅いであれば、渋滞の発生は予測される。つまり、搬送対象の棚5-2が垂直搬送機202からバッファ区画201Bへ移すことができず垂直搬送機202内で待機してしまうことが予測される。
図17は、優先制御処理の流れを示すフローチャートである。
S1701で、処理プログラム51が、装置搬送テーブル53を参照する。S1702で、処理プログラム51が、下記(a1)及び(a2)が満たされているか否かを判定する。なお、「渋滞」が、上記(P)が上記(Q)よりも遅いことである場合、「渋滞発生」の予測日時は、上記(P)よりも早い上記(Q)である。また、S1701の判定は、少なくとも(a1)が満たされているか否かの判定でもよい。
(a1)装置状態1105が“空き”の搬送装置Aが存在する。
(a2)渋滞発生前に(例えば、搬送対象の棚5-2のバッファリング開始日時1306よりも前に)、搬送装置Aが、対象バッファ区画201B(搬送対象の棚5-2の垂直搬送を行う垂直搬送機202に対応したバッファ区画201B)から棚5-1を搬送可能である。
なお、(a2)が満たされるとは、搬送装置Aが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送開始可能な予測日時が、渋滞発生の予測日時より早いことでよい。搬送装置Aが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送開始可能な予測日時は、搬送装置Aが対象バッファ区画201Bに到着可能な日時(又は当該日時に所定の時間長が加算された日時)でよい。搬送装置Aが対象バッファ区画201Bに到着可能な日時は、搬送装置Aの移動経路(搬送装置Aの位置1103から対象バッファ区画201Bの位置までの経路を含んだ移動経路)と、搬送装置3の標準移動速度とに基づき処理プログラム51により算出された日時でよい。
S1702の判定結果が真の場合(S1702:Yes)、S1703で、処理プログラム51が、対象バッファ区画201Bの棚5-1の搬送タスクを、搬送装置Aに割り当てる。これにより、当該搬送タスクが関連付けられた移動指示が、例えば図15のS1504において処理プログラム51により搬送装置Aに送信される。そして、当該移動指示に応答して、搬送装置Aが、当該移動指示に関連付けられている搬送タスクを実行する。結果として、渋滞発生前に搬送装置Aが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送することを開始すること、つまり、渋滞発生の回避が期待される。
S1702の判定結果が偽の場合(S1702:No)、S1704で、処理プログラム51が、ピッキングテーブル58を参照する。S1705で、処理プログラム51が、下記(b1)及び(b2)が満たされているか否かを判定する。S1705の判定は、少なくとも(b1)が満たされているか否かの判定でもよい。
(b1)渋滞発生前に(例えば、搬送対象の棚5-2のバッファリング開始日時1306よりも前に)、割り当てられた搬送タスクに従いピッキングステーションへ棚5-3を搬送して当該ピッキングステーションから当該棚5-3を該当区画(例えば、1段目エリア200Aにおける元の配置区画若しくは指定された別の配置位置、又は、当該棚5-3を2段目エリア200Bに戻すために使用される垂直搬送機202の位置の直前の区画)へ搬送することが完了する搬送装置Bが存在する。
(b2)渋滞発生前に、搬送装置Bが、対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送可能である。
なお、(b1)によれば、本実施の形態では、搬送タスクが割り当てられた搬送装置3が別の搬送タスクを実行可能となるタイミングは、割り当てられた搬送タスクに従いピッキングステーションへ棚5-3を搬送しピッキング作業が終了した当該棚5-3を元の配置位置(又は指定された別の配置位置)まで搬送した時である。(b1)が満たされるとは、ピッキング作業の終了予定日時1408が渋滞発生の予測日時より前であり、且つ、ピッキングステーションから該当区画への棚5-3の到着可能日時が渋滞発生の予測日時より前であることが期待されることである。ピッキングステーションから該当区画への棚5-3の到着可能日時は、ピッキングステーションから該当区画への移動経路と搬送装置3の標準移動速度とに基づき処理プログラム51により算出されてよい。
(b2)が満たされるとは、搬送装置Bが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送開始可能な予測日時が、渋滞発生の予測日時より早いことでよい。搬送装置Bが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送開始可能な予測日時は、搬送装置Bが対象バッファ区画201Bに到着可能な日時(又は当該日時に所定の時間長が加算された日時)でよい。搬送装置Bが対象バッファ区画201Bに到着可能な日時は、搬送装置Bの移動経路(該当区画の位置から対象バッファ区画201Bの位置までの経路を含んだ移動経路)と、搬送装置3の標準移動速度とに基づき処理プログラム51により算出された日時でよい。
S1705の判定結果が真の場合(S1705:Yes)、S1706で、処理プログラム51が、対象バッファ区画201Bの棚5-1の搬送タスクを、搬送装置Bに割り当てる。これにより、当該搬送タスクが関連付けられた移動指示が、例えば図15のS1504において処理プログラム51により搬送装置Bに送信される。そして、当該移動指示に応答して、搬送装置Bが、当該移動指示に関連付けられている搬送タスクを、搬送装置Bに既に割り当てられていた搬送タスクに従う棚5-3をピッキングステーションから該当区画へ搬送した後、実行する。結果として、渋滞発生前に搬送装置Bが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送することを開始すること、つまり、渋滞発生の回避が期待される。
S1705の判定結果が偽の場合(S1705:No)、S1707で、処理プログラム51が、割り当てられた搬送タスクに従う棚5-4を未だ積載していない搬送装置Cに、当該搬送タスクに代えて、対象バッファ区画201Bに存在する棚5-1の搬送タスクを割り当てる。これにより、当該搬送タスクが関連付けられた移動指示が、例えば図15のS1504において処理プログラム51により搬送装置Cに送信される。そして、当該移動指示に応答して、搬送装置Cが、当該移動指示に関連付けられている搬送タスクを、当該移動指示を受信する前に受信していた移動指示に従う搬送タスクに代えて、実行する。結果として、渋滞発生前に搬送装置Cが対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送することを開始すること、つまり、渋滞発生の回避が期待される。なお、「搬送装置C」は、例えば、下記の(c1)及び(c2)のうちの(c1)又は両方を満たす搬送装置でよい。
(c1)装置状態1206“移動中”に対応した棚5が割り当てられている(或いは、例えば、棚フラグ1102“無し”且つ装置状態1105“移動中”に対応している)。
(c2)位置1103が表す区画から対象バッファ区画201Bに到着して対象バッファ区画201Bから棚5-1を搬送することを渋滞発生前に行うことが期待される。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態を説明する。その際、第1の実施の形態との相違点を主に説明し、第1の実施の形態との共通点については説明を省略又は簡略する。
図18は、第2の実施の形態の概要を示す図である。
第2の実施の形態では、処理プログラム1851が、装置搬送テーブル53、棚搬送テーブル59及び垂直搬送テーブル61の少なくとも一つを基に、棚5の搬送効率の更なる向上を目的とした垂直搬送制御を行う。
垂直搬送制御の第1の例として、処理プログラム1851が、垂直搬送機202に事前待機をさせる。垂直搬送機202の「事前待機」とは、棚5が2段目エリア200における搬送開始区画に搬送対象の棚5が到達する前に垂直搬送機202が2段目エリア200に待機することである。「搬送開始区画」は、垂直搬送機202への棚5が開始される区画であり、典型的には、垂直搬送機202の直前の区画でよい。
垂直搬送制御の第2の例として、処理プログラム1851が、垂直搬送機202を、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへの移動の場合も、1段目エリア200Aから2段目エリア200Bへの移動の場合も、棚5を積載した状態で移動させる。つまり、搬送モード1302の“上”と“下”が交互になる。つまり、垂直搬送機202は、棚5を必ず積載した状態でエリア200間を移動する。これにより、棚5の搬送効率の更なる向上が期待できる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態を説明する。その際、第1及び第2の実施の形態との相違点を主に説明し、第1及び第2の実施の形態との共通点については説明を省略又は簡略する。
図19は、第3の実施の形態における優先制御処理の流れの一部を示す図である。
S1704の後、S1900で、処理プログラム1951が、搬送装置C(割り当てられた搬送タスクに従う棚5を未だ積載していない搬送装置)が存在するか否かを、装置搬送テーブル53及び棚搬送テーブル59の少なくとも一つを基に判定する。S1900の判定結果が真の場合(S1900:Yes)、S1707が行われる。
S1900の判定結果が偽の場合(S1900:No)、S1901で、処理プログラム1951が、搬送延期処理を行う。搬送延期処理とは、2段目エリア200Bに配置されている搬送対象の棚5の垂直搬送機202への搬送の処理順番を繰り下げる処理である。これにより、バッファ区画201Bから棚5を搬送する搬送タスクの割当て先として適切な搬送装置が見つからない場合、垂直搬送機202へ搬送対象の棚5が搬送されることが延期されるため、渋滞発生の予測日時が延期される。延期前から延期後までの時間に、バッファ区画201Bから棚5を搬送する搬送タスクの割当て先として適切な搬送装置が生じる可能性がある。このため、渋滞発生の可能性を低減することが期待できる。
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態を説明する。その際、第1~第3の実施の形態との相違点を主に説明し、第1~第3の実施の形態との共通点については説明を省略又は簡略する。
図20は、第4の実施の形態の概要を示す図である。
棚テーブル2057における各レコードが、搬送頻度805を保持する。搬送頻度805は、棚5の搬送タスクの実行頻度(単位時間当たりに棚5がピッキングステーションに搬送された頻度)を表す情報である。棚5の搬送タスクが実行される都度に、例えば格納プログラム2050により、当該棚5に対応した搬送頻度805が更新される。
処理プログラム2051が、棚テーブル2057における搬送頻度805(例えば、全棚5の搬送頻度80の統計)を基に、各棚5について、当該棚5の配置位置が存在するエリアを1段目エリア200A及び2段目エリア200Bのいずれのエリアにするかを決定する。これにより、棚5が配置されるエリア200を、搬送頻度805に応じて最適なエリア200に維持することが期待される。例えば、処理プログラム2051が、相対的に搬送頻度805が低い棚5の配置位置が存在するエリア200を、2段目エリア200Bに決定する。これにより、高い搬送効率の維持が期待される。
以上、幾つかの実施の形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
また、例えば、区画の形状は、方形に限られず、他の形状でもよい。また、異なる大きさ又は形状の区画が混在してもよい。また、区画の位置は、当該区画上の二次元バーコードから特定されることに代えて、他種の方法により特定されてもよい。
また、例えば、格納プログラム50及び処理プログラム51は、制御装置4に代えて又は加えて搬送装置3で実行されてもよい。また、搬送装置3が制御装置4を兼ねてもよい。
また、例えば、第1から第4の実施の形態では、エリア間搬送機として垂直搬送機202を使用する例を示したが、垂直搬送機202は、垂直方向に棚5を搬送可能なフォークリフト等の他のエリア間搬送機によって代替可能である。また、この場合、制御装置4によって、フォークリフトが棚5の垂直搬送を行う位置を決定してもよい。
フォークリフトによって1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aに搬送された搬送物は、搬送装置3へと直接移載されてもよい。また、第1から第4の実施の形態におけるバッファ区画201Bの代替構成として、フォークリフトによって1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aに搬送された棚5を一時的に配置する仮置き場所を設け、搬送装置3はフォークリフトによって仮置き場所に配置された棚5を積載して搬送できるようにしてもよい。この場合、搬送装置3は1段目エリア200A以外のエリアから搬送された後にピッキング作業が完了した棚5を仮置き場所まで搬送し、当該棚5はフォークリフトによって仮置き場所から保管位置802の存在するエリアへと搬送されてもよい。
また、例えば、第1から第4の実施の形態では、2段目エリア200Bにおいてコンベア203が棚5を搬送する例を示したが、2段目エリア200Bにおける棚5の搬送方法はこれに限られない。例えば、コンベア203の替わりに、棚を積載して搬送する搬送装置を用いてもよい。また、この場合、棚5の下に搬送装置が潜り込めるように、区画251Cにおいて棚5は架台上に配置されてもよい。
また上述の第1から第4の実施の形態においては、本発明を、ネット通販会社等の企業が商品を保管するために利用する保管庫におけるピッキング作業のための搬送システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる保管庫以外の工場や作業場などにおいて物品を搬送するための搬送システムにも本発明を適用することができる。
具体的には、搬送装置3の搬送対象の物(以下、これを搬送対象物と呼ぶ)が、トレーやボックス、パレット又は物品などの棚5以外の物であってもよい。この場合、トレー、ボックス及びパレットについては、物品を収納していてもよいし、物品を収納していなくてもよい(例えば、トレー、ボックス及びパレット自体が搬送対象物の場合)。なお、この場合には、上述の第1から第4の実施の形態において、「棚」を「搬送対象物」と置き換えればよいだけであるため、詳細な説明は省略する。
また、かかる搬送対象物に対する作業がピッキング作業以外の加工、組み立て、梱包又は検品などの作業であってもよい。この場合には、上述の第1から第4の実施の形態において、「ピッキング」や「ピッキング作業」を「作業」と置き換えればよいだけであるため、詳細な説明は省略する。
なお、以上の説明を、例えば下記のように総括することができる。下記の総括は、上述の説明の補足説明や上述の実施の形態の変形例の説明を含んでもよい。
搬送システム1が、搬送装置3と、垂直搬送機202(エリア間搬送機の一例)と、制御装置4とを備える。搬送装置3は、第1のエリアに配置されている搬送物を搬送する。垂直搬送機202は、1段目エリア200A(第1のエリアの一例)と異なる高さに位置する2段目エリア200B(第2のエリアの一例)から1段目エリア200Aに第1の棚5(第1の搬送物の一例)を搬送する。制御装置4は、1段目エリア200Aに配置されている第2の棚5を搬送する第1の搬送タスクより、垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送された第1の棚5を搬送する第2の搬送タスクを、優先的に搬送装置3に割り当てる。
これにより、渋滞発生の可能性が低減され、結果として、高い搬送効率を維持することが期待される。なお、実施形態では、図16のS1603:YESの場合にS1604が実施されるが、S1601の後にS1602及びS1603無しにS1604が行われてもよいし、S1601~S1603無しに(或いは、S1601では、図16のS1601に記載のテーブルのうちの一部を参照し、その後、S1602及びS1603無しに)S1604が行われてもよい。
制御装置4は、一つ又は複数の搬送装置3による搬送に関する情報と垂直搬送機202による搬送に関する情報とを含んだ情報である搬送管理情報に基づいて、1段目エリア200Aに配置されている第2の棚5搬送する第1の搬送タスクより、垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送された第1の棚5を搬送する第2の搬送タスクを、優先的に搬送装置3に割り当ててよい。
一つ又は複数の搬送装置3の各々は、多段エリア122(異なる高さにそれぞれ位置する複数のエリアの一例)のうちの1段目エリア200Aを走行する装置であり、割り当てられた搬送タスクに従い1段目エリア200Aにおいて棚5を搬送する装置である。棚5は、搬送装置3により搬送され得る物の一例である。複数の棚5が複数のエリア200A及び200Bに配置されている。2段目エリア200B(第2のエリアの一例)に配置されている棚5は、垂直搬送機202により2段目エリア200Bから1段目エリア200に搬送されるようになっている。制御装置4が、搬送管理情報に基づいて、渋滞の発生が予測されるか否かを判定する。当該判定の結果が真の場合、制御装置4が、一つ又は複数の搬送装置3の制御として優先制御を行う。
「搬送管理情報」は、一つ又は複数の搬送装置3による搬送に関する情報と垂直搬送機202による搬送に関する情報とを含んだ情報であり、例えば、装置搬送テーブル53、棚搬送テーブル59及び垂直搬送テーブル61である。「渋滞」とは、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない待機状態の棚5の数が垂直搬送機202について所定数Mに達しているために2段目エリア200Bから1段目エリア200AへのN以上の棚5(Nは自然数)が垂直搬送機202の外及び中のいずれか又は両方において待機状態となることである。「優先制御」とは、1段目エリア200Aに配置されている棚5の搬送よりも、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の少なくとも一つの棚5の搬送を、優先する制御である。
これにより、渋滞発生の可能性が低減され、結果として、高い搬送効率を維持することが期待される。
垂直搬送機202は、異なる高さにそれぞれ位置する複数のエリアのうちの1段目エリア200A以外のエリアに配置された棚5を、当該エリアから1段目エリア200Aに搬送可能である。制御装置4は、一つ又は複数の搬送装置3による搬送に関する情報と垂直搬送機202による搬送に関する情報とを含んだ情報である搬送管理情報に基づいて、渋滞の発生が予測されるか否かを判定してよい。制御装置4は、当該判定の結果が真の場合、一つ又は複数の搬送装置の制御として優先制御を行ってよい。「渋滞」とは、1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない状態である第1の待機状態の搬送物3の数が所定の数に達しているために、垂直搬送機202によって1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aへ搬送される一つ以上の他の棚3が、垂直搬送機202の外において垂直搬送機202による搬送が開始するまで、又は、垂直搬送機202の中において垂直搬送機202による搬送が完了するまで、待機状態となることでよい。「優先制御」とは、第1の待機状態である少なくとも一つの棚5の搬送を、1段目エリア200Aに配置されている他の棚5の搬送よりも優先する制御でよい。
制御装置4は、一つ又は複数の搬送装置3による搬送に関する情報と垂直搬送機202による搬送に関する情報とを含んだ情報である搬送管理情報に基づいて、1段目エリア200A以外のエリアから1段目エリア200Aに垂直搬送機202により搬送されたが搬送装置3により搬送されていない待機状態の搬送物の数が垂直搬送機202について第一の数に達しているか判定し、当該判定の結果が真の場合、1段目エリア200Aに配置されている第2の棚を搬送する第1の搬送タスクより、垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送された第1の棚5を搬送する第2の搬送タスクを、優先的に搬送装置3に割り当ててよい。
搬送管理情報は、例えば、どの棚5をどの搬送装置3が搬送するか、いつ棚5を垂直搬送機202により1段目エリア200Aに搬送し始めるか、及び、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに搬送されたが搬送待ちとなっている棚5の数、といったことを表す情報を含んでよい。例えば、搬送管理情報は、下記を表す情報を含んでよい。これにより、渋滞発生の予測精度の向上と、渋滞が発生する可能性の低減が期待される。
・搬送タスクと搬送装置3との割当て関係。
・垂直搬送機202によって1段目エリア200Aに搬送されたが搬送装置3により搬送されていないために1段目エリア200Aにて待機状態の棚5又はその数。
・少なくとも一つの搬送タスクについて、搬送タスクに従う棚5と当該搬送タスクに従い搬送が開始される予定の日時。
・垂直搬送機202により2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに棚5が搬送される予定の日時。
優先制御は、下記を含んでよい。2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクが下記のような対象搬送装置に割り当てられるため、渋滞が発生する可能性の低減が期待される。
・搬送管理情報を基に、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクを優先的に実行可能な搬送装置3としての条件を満たす搬送装置3である対象搬送装置3を、最適搬送装置として決定すること。
・当該決定された最適搬送装置に、1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクを割り当てること。
優先制御において、搬送管理情報を基に、第1の条件を満たす搬送装置3である搬送装置A(第1の対象搬送装置の一例)が特定された場合、搬送装置Aを、最適搬送装置と決定してよい。搬送装置Aが、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクが制御装置4により割り当てられたことに応答して、当該搬送タスクを実行してよい。これにより、いわゆる空きの搬送装置Aにより迅速にバッファ区画201Bから棚5を搬送することが期待でき、以って、渋滞発生の可能性の低減が期待される。第1の条件は、下記を含む条件である。
・搬送タスクが割り当てられていない。
・渋滞が発生する前に、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5を搬送することが可能である。
なお、搬送タスクが割り当てられていないいずれの搬送装置も搬送装置Aとされてよく、この場合でも、渋滞発生の可能性の低減が期待される。
優先制御において、搬送装置Aが特定されないが、搬送管理情報を基に、第2の条件を満たす搬送装置3である搬送装置B(第2の対象搬送装置の一例)が特定された場合、搬送装置Bを、最適搬送装置と決定してよい。搬送装置Bが、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクが制御装置4により割り当てられたことに応答して、下記該当位置へ棚5を搬送した後に、当該搬送タスクを実行してよい。これにより、搬送タスクが完了した後の搬送装置Bにより迅速にバッファ区画201Bから棚5を搬送することが期待でき、以って、渋滞発生の可能性の低減が期待される。第2の条件は、下記を含む条件である。
・渋滞が発生する前に、割り当てられた搬送タスクに従いピッキングステーション(目的位置の一例)へ棚5を搬送して当該ピッキングステーションから当該棚5を1段目エリア200Aにおける当該棚5についての該当位置へ搬送することが完了する。
・渋滞が発生する前に、当該該当位置へ棚5を搬送した後で、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5を搬送することが可能である。
なお、割り当てられた搬送タスクに従いピッキングステーションへ棚5を搬送することが完了するいずれの搬送装置が搬送装置Bでよく、この場合でも、渋滞発生の可能性の低減が期待される。
優先制御において、搬送装置Bが特定されないが、搬送管理情報を基に、第3の条件を満たす搬送装置3である搬送装置C(第3の対象搬送装置の一例)が特定された場合、搬送装置Cを、最適搬送装置と決定してよい。搬送装置Cが、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5の搬送タスクが制御装置4により割り当てられたことに応答して、1段目エリア200Aに配置されている棚5の搬送タスクに代えて、当該割り当てられた搬送タスクを実行してよい。これにより、搬送タスクに従う棚5の搬送を開始していない搬送装置Cにより迅速にバッファ区画201Bから棚5を搬送することが期待でき、以って、渋滞発生の可能性の低減が期待される。第3の条件は、下記を含む条件である。
・1段目エリア200Aに配置されている棚5の搬送タスクが割り当てられているが当該棚5の搬送を開始していない。
・渋滞が発生する前に、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aへ搬送され1段目エリア200Aにて待機状態の棚5を搬送することが可能である。
なお、1段目エリア200Aに配置されている棚5の搬送タスクが割り当てられているが当該棚5の搬送を開始していないいずれの搬送装置が搬送装置Cでよく、この場合でも、渋滞発生の可能性の低減が期待される。
2段目エリア200Bに配置されている棚5は、当該棚5の配置位置から垂直搬送機202へ搬送され当該垂直搬送機202により当該エリアから1段目エリア200Aに搬送されるようになっていてよい。優先制御において、対象搬送装置3が特定されない場合、制御装置4が、2段目エリア200Bに配置されている棚5の垂直搬送機202への搬送の処理順番を繰り下げてよい。これにより、バッファ区画201Bから棚5を搬送する適切な搬送装置3が見つからなくても、渋滞発生の可能性を低減することができる。
制御装置4が、複数の棚5にそれぞれ対応した複数の搬送頻度を基に、複数の棚5の各々について、当該棚5の配置位置が存在するエリアを複数のエリアのいずれのエリアにするかを決定してよい。複数の棚5の各々について、搬送頻度は、1段目エリア200Aにおけるピッキングステーションへ単位時間当たりに棚5を搬送する頻度でよい。これにより、搬送頻度の高い棚5について頻繁にエリア間搬送が生じることが回避され、以って、搬送効率の向上が期待される。具体的には、例えば、制御装置4が、相対的に搬送頻度が低い棚5の配置位置が存在するエリアを、2段目エリア200Bに決定してよい。これにより、搬送頻度(オーダ頻度)の低い棚5が2段目エリア200Bに配置されることになり、結果として、垂直搬送機による搬送回数が減り渋滞の発生確率が減ることが期待される。
2段目エリア200Bに配置されている棚5は、当該棚5の配置位置から垂直搬送機202による積載開始位置へ搬送され、当該垂直搬送機202は、積載開始位置に搬送された前記搬送物を積載し、当該搬送物を当該エリアから1段目エリア200Aに搬送するようになっていてよい。制御装置4が、搬送管理情報に基づいて、2段目エリア200Bにおける棚5が当該エリアにおける積載開始位置へ到達する前に、垂直搬送機202を当該エリアに待機させてよい。これにより、棚5が垂直搬送機202待ちとなる時間が減り、以って、搬送効率向上が期待される。
制御装置4が、垂直搬送機202を、下記の(x)及び(y)を交互に行うよう制御してよい。これにより、2段目エリア200Bから1段目エリア200Aに降ろした棚5を、ピッキング作業後に2段目エリア200Bに戻す際に、1段目エリア200Aの垂直搬送機前に滞留することを抑制できるとともに、垂直搬送機202が搬送物を積載せずに上下移動をすることを抑制して垂直搬送機202の稼働率を向上させることができる。
(x)2段目エリア200Bにおける棚5を1段目エリア200Aに搬送する。
(y)1段目エリア200Aにおける棚5を2段目エリア200Bに搬送する。