JP7448786B2 - 複層めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複層めっき鋼板およびその製造方法に関する。
Zn系めっき鋼板は、Znの犠牲防食作用を活かして、建材、自動車、および家電などの分野を中心に無塗装あるいは塗装仕様で広く使用されている。一方、めっき面の耐食性に関しては、一般にZn系めっき鋼板よりもAl系めっき鋼板の方が優れており、Al-Si系めっき鋼板およびZn-55%Alめっき鋼板などが実用化されている。
しかし、Al系めっきは大気環境下において暴露初期には鋼素地に対して犠牲防食作用を持たない。このため、Al系めっき鋼板には、切断端面および曲げ加工部などの鋼素地露出部で赤錆が発生しやすいという欠点がある。
そこで、Al系めっき鋼板に特有の、めっき面での優れた耐食性を活かしながら、犠牲防食作用を付与する手法として、従来、Al系めっき、およびZn系めっきを重ねて施す2層めっきの技術が知られている。
特許文献1には、めっき表面の耐食性と、切断端面または曲げ加工部などの鋼素地露出部の犠牲防食作用とに優れている鋼板が開示されている。具体的には、特許文献1には、鋼板を基材として、その表面に質量%でSi:0~12%、Zn:0~1%、残部Alおよび不可避的不純物からなる第1の溶融めっき処理を施し、その上に質量%でAl:3~22%、Mg:0.5~8%であり、残部Znおよび不可避的不純物からなる第2の溶融めっき処理を施しためっき鋼板が開示されている。当該めっき鋼板におけるめっき層は、第1の溶融めっき処理に由来する下層と第2の溶融めっき処理に由来する上層とを有する。下層と上層とは直接的に、または第2の溶融めっき処理により形成された中間層を介して隙間なく接している。また、基材のめっき付着面全体が下層に接している。
特開2010-144193号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、下層の表面のスパングル模様が上層の表面に浮かび上がるため、複層めっき鋼板の表面外観を十分に良好にすることが困難であった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面外観が美麗な複層めっき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る複層めっき鋼板は、基材鋼板と、前記基材鋼板の表面に施された、質量%でB:0.005~0.5%を含む第1の溶融めっき層と、前記第1の溶融めっき層に対して施された第2の溶融めっき層と、を有し、前記第2の溶融めっき層の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さが10μm未満であることを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る複層めっき鋼板において、前記第1の溶融めっき層は、質量%でSi:0.1~12%を含むことを特徴としている。
さらに、本発明の一態様に係る複層めっき鋼板において、前記第2の溶融めっき層は、質量%でAl:3~22%およびMg:0.1~10%を含むことが好ましい。
本発明の一態様に係る複層めっき鋼板の製造方法は、質量%でB:0.005~0.5%を含む溶融Al系めっき浴に基材鋼板を浸漬して、該基材鋼板の表面に溶融Al系めっき層を形成する第1のステップと、前記第1のステップにより前記基材鋼板の表面に前記溶融Al系めっき層が施された溶融Al系めっき基材鋼板を、400~450℃の範囲に加熱した状態で、溶融Zn系めっき浴に浸漬して、該溶融Al系めっき基材鋼板の表面に溶融Zn系めっき層を形成する第2のステップと、を含むことを特徴としている。
また、本発明の一態様に係る複層めっき鋼板の製造方法において、前記溶融Al系めっき浴は、質量%でSi:0.1~12%を含むことを特徴としている。
さらに、本発明の一態様に係る複層めっき鋼板の製造方法において、前記溶融Zn系めっき浴は、質量%でAl:3~22%およびMg:0.1~10%を含むことが好ましい。
本発明の一態様によれば、表面外観が美麗な複層めっき鋼板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る複層めっき鋼板の構成を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をよりよく理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものでは無い。また、本出願において、「A~B」とは、A以上B以下であることを示している。化学組成に関する「%」の記載は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
以下の説明においては、本発明の実施の形態における複層めっき鋼板およびその製造方法の説明に先立って、本発明の知見の概略的な説明をする。
<発明の知見の概略的な説明>
前述したように、特許文献1に記載された発明においては、下層の表面のスパングル模様が上層の表面に浮かび上がるため、複層めっき鋼板の表面外観を十分に良好にすることが困難であった。このようなスパングル模様は、Alの凝固組織であるデンドライドに起因する。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。すなわち、複層めっき鋼板において、第1の溶融めっき層に、質量%でB:0.005~0.5%を含有させることで、第1の溶融めっき層のスパングルが微細化され、その結果として第1の溶融めっき層の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さが小さくなる。換言すれば、第1の溶融めっき層の表面形状が平滑となる。このような第1溶融めっき層に対して第2の溶融めっき層を施し、第2の溶融めっき層の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さを10μm未満とすることで、複層めっき鋼板の表面外観の、鮮鋭性を向上させることができる。これにより、第1の溶融めっき層の表面に形成されたスパングルが第2の溶融めっき層の表面に表れることを低減でき、当該スパングルが目立ちにくい表面外観が美麗な複層めっき鋼板を提供することができる。
<用語の定義>
以下の説明において、基材鋼板を溶融Al系めっき浴に浸漬して、基材鋼板の表面に溶融Al系めっき層を形成することを第1の溶融めっき処理と称することがある。そして、前記第1の溶融めっき処理後の鋼板を溶融Zn系めっき浴に浸漬して、表面に溶融Zn系めっき層を形成することを第2の溶融めっき処理と称することがある。
<複層めっき鋼板>
図1は、本発明の実施形態に係る複層めっき鋼板10の構成を示す模式図である。図1に示すように、複層めっき鋼板10は、基材鋼板1と、下層2(第1の溶融めっき層)と、上層3(第2の溶融めっき層)と、を備えている。
基材鋼板1は、用途に応じて従来一般的に使用されているものの中から選択することができる。耐食性を重視する用途ではステンレス鋼板を適用すればよい。基材鋼板1の板厚は例えば0.4~3.2mmとすることができる。
<下層2>
本明細書において「下層」とは、第1の溶融めっき処理および第2の溶融めっき処理を施した後の複層めっき層中に存在する、第1の溶融めっき処理により形成された溶融Al系めっき層に由来する層をいう。
この下層2は、溶融Al系めっき層に特有の優れた耐食性を発揮して鋼板表面の長期耐食性を担う。下層2の成分組成(上記第1の溶融めっき処理における溶融Al系めっき浴組成)は、質量%でB:0.005~0.5%を含む。残部はAlであってよい。また、残部は各種の添加元素を含んでいてもよい。例えば、残部はSi:0.1~12%を含んでいてもよい。また、残部は不可避的不純物を含んでいてもよい。
下層2におけるBは、Al系めっき浴を用いて製造した溶融Al系めっき鋼板のスパングルを微細化する作用を有する。溶融Al系めっき浴のB濃度が0.005質量%未満の場合には、該めっき浴を用いて製造した溶融Al系めっき鋼板は、十分なスパングル微細化効果を得ることができない。そのため、下層2の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さを十分に小さくすることができない。
なお、下層2にさらにKを添加することで、スパングルをさらに微細化し、スパングル密度を向上させることができる。ただし、複層めっきを施す場合には、下層2にBのみを添加した場合でも十分に高いスパングル密度が得られるため、必ずしも下層2にKを添加する必要はない。
ここで、ろ波うねり曲線の平均高さについて説明する。下層2の表面の断面曲線から小さい凹凸の粗さ成分を除去した成分を示す曲線がろ波うねり曲線である。小さい凹凸の粗さ成分と、それより大きなうねり曲線とを分ける境界の波長がカットオフ値(またはカットオフ波長)である。フィルタ(2RC(Resistor Capacitor)、ガウシアンなど)を用いて断面曲線からカットオフ値よりも短い波長成分を除去したものが、ろ波うねり曲線となる。カットオフ値は、例えば、0.8mmである。
「ろ波うねり曲線の平均高さ」とは、ろ波うねり曲線における輪郭曲線要素の高さの平均値である。「輪郭曲線要素」とは、曲線において隣接する山および谷の組である。
また、溶融Al系めっき浴のB濃度が0.50質量%を超えると、該めっき浴を用いて製造した溶融Al系めっき鋼板のスパングル微細化効果が飽和する。そのため、それ以上平均B濃度を増加させても優位性は認められず、経済的に不利益が生じる。したがって下層2にはBを0.005質量%~0.50質量%以下の範囲で含有させる。これにより、下層2の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さを11μm未満に低減できるので、上層3の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さを10μm未満に低減できる。このため、複層めっき鋼板10の表面外観を美麗にすることができる。
下層2におけるSiは、Al系めっき浴の液相線温度を低減する作用、および、基材鋼板1と下層2との間に形成される、合金層の厚さを低減する作用を有する。下層2におけるSi含有量が0.1%~12%の範囲であれば、合金層が薄く形成されるため、複層めっき鋼板が良好な加工性を示す。
溶融Al系めっき浴のSi含有量が12%を超えると共晶組成を過ぎて逆に液相線温度が上昇する領域に入りやすい。また、そのように多量のSiを含有すると下層2と後述の上層3との界面に多量のSi晶出相が形成して、下層2と上層3との密着性が低下しやすくなる。この場合、曲げ加工によって下層2と上層3の間に亀裂が生じることがあり、上層3のZnによる犠牲防食作用が十分に発揮されない原因となる。また、下層2のSi含有量が0.1%未満では、合金層が厚く形成されるため、複層めっき鋼板10の加工性が低下する。したがって下層2にはSiを0.1%~12%の範囲で含有させることが好ましい。
<上層3>
本明細書において「上層」とは、第1の溶融めっき処理および第2の溶融めっき処理を施した後の複層めっき層中に存在する、第2の溶融めっき処理により形成されたZn系めっき層に由来する層をいう。上層3は、第1の溶融めっき処理に対して施されている。この上層3は、AlおよびMgを随意的に含有するZn系めっき層である。上層3は、主として犠牲防食作用、並びにAl、Mgを含有したZn系腐食生成物の形成によるめっき面の保護作用およびMgを含有したZn系腐食生成物による保護作用を担う。
上層3の成分組成(上記第2の溶融めっき処理における溶融Zn系めっき浴組成)は、質量%でAl:3~22%、Mg:0.1~10%を含む。残部はZnであってよい。また、残部は各種の添加元素を含んでいてもよい。残部は不可避的不純物を含んでいてもよい。
上層3におけるAlは、複層めっき鋼板10の耐食性を向上させる作用を有する。ただし、Zn系めっき浴のAl濃度が、3質量%未満の場合には、該めっき浴を用いて製造した溶融Zn系めっき鋼板の耐食性向上効果は小さい。また、Zn系めっき浴のAl濃度が、22質量%よりも大きい場合には、溶融Zn系めっき浴の融点が高くなる。このため、第2の溶融めっき処理を施したときに第1の溶融めっき処理で形成された第1の溶融めっき層との反応が過度に進行して局部的に単層の溶融めっき層となる部分が生じ易くなるため、複層めっき鋼板10の耐食性が低下する。
上層3におけるMgは、めっき層表面に生成する腐食生成物を保護性腐食生成物として安定に維持し、めっき層の耐食性を著しく高める作用を有する。また、切断端面等の鋼素地露出部には、犠牲防食作用により生成したMg含有Zn系腐食生成物が堆積して保護皮膜を形成し、鋼素地露出部を保護する作用を発揮する。
溶融Zn系めっき浴中に存在するMgは、第1の溶融めっき処理により形成された下層2の表面を活性化する作用を有する。このため、溶融Zn系めっき浴中に存在するMgは、溶融Al系めっき浴との濡れ性を向上させて、上層3における点状めっき欠陥の発生防止、ならびに、上層3および下層2の密着性向上に寄与する。ただし、Zn系めっき浴のMg濃度が0.1質量%未満の場合には、下層2の表面を活性化する作用を十分に発揮できない。また、Zn系めっき浴のMg濃度が10質量%よりも大きい場合には、溶融Zn系めっき浴中にMg酸化物系ドロスが発生しやすくなる。したがって上層3にはMgを0.1%~10%以下の範囲で含有させることが好ましい。
<複層めっき鋼板10の製造方法>
本発明の一態様における複層めっき鋼板10は、溶融Al系めっき浴、および溶融Zn系めっき浴の組成を調整した上で、基材鋼板1を溶融Al系めっき浴に浸漬して基材鋼板1の表面に、下層2を形成し(第1のステップ)、下層2が施された溶融Al系めっき鋼板を400~450℃の範囲に加熱した状態で、溶融Zn系めっき浴に浸漬して、該溶融Al系めっき基材鋼板1の表面に上層3を形成する(第2のステップ)ことによって製造することができる。具体例としては、まず、溶融Al系めっき浴の組成を調整した上で、連続溶融めっきラインで下層2を形成することによって溶融Al系めっき鋼板を作成する。次に、作成した溶融Al系めっき鋼板を炉で400~450℃の範囲に加熱した状態で、溶融Zn系めっき浴の組成を調整した上で、溶融Zn系めっき浴に浸漬して、該溶融Al系めっき基材鋼板1の表面に上層3を形成する。これにより、溶融Zn系めっき層3に不めっきまたはめっきハジキが発生することを低減できる。
第2の溶融めっき処理に供する際の溶融Al系めっき鋼板の加熱温度が400℃未満の場合、溶融Al系めっき浴の濡れ性が悪くなるため、上層3に不めっきまたはめっきハジキが発生し易くなる。また、加熱温度が450℃を超える場合、下層2の表層に存在するBの影響で、下層2の表面が酸化されやすくなるため、上層3に不めっきまたはめっきハジキが発生し易くなる。したがって、加熱温度を400~450℃の範囲とすることで、複層めっき鋼板10の外観をさらに向上させることができる。
板厚0.8mmの普通鋼冷延鋼板を基材鋼板(C含有量:約0.04質量%)とし、連続溶融めっきラインを用いて、下層2としての溶融Al系めっき層(めっき付着量:片面45~80g/m)を形成し、室温まで冷却して、溶融Al系めっき鋼板を得た。次にバッチ式の溶融めっき試験機を用いて、溶融Al系めっき鋼板を大気中において350~400℃まで加熱し、一定時間加熱保持した。その後、溶融Al系めっき鋼板を溶融Zn系めっき浴に1~3秒浸漬して、上層3としての溶融Zn系めっき層(めっき付着量:片面35~55g/m)を形成し、複層めっき鋼板10を得た。
第1の溶融めっき処理における溶融Al系めっき浴の温度は、いずれの発明例および比較例においても650℃とした。第2の溶融めっき処理における溶融Zn系めっき浴の温度は、発明例7、13および14については500℃、その他の発明例および比較例19~23では400℃、比較例24では520℃とした。めっき付着量は、ガスワイピングにより制御した。めっき組成、中間製品における基材鋼板1の予熱温度(インレット温度)、およびめっき付着量は表1および表2に記載してある。
得られた複層めっき鋼板10を供試材として、以下の調査を行った。
(1)ろ波うねり曲線の平均高さ
下層2のみ形成した供試材のめっき表面、および上層3を形成した後の上層3の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さを測定した。具体的には、(株)小坂研究所製SURFCORDER ET4000Aを用いて、以下の測定条件で、JIS B0610-1987によって規定されるろ波うねり曲線の平均高さを測定した。
測定針先端の曲率半径:0.1μm
評価長さ:25mm
カットオフ値:0.8mm
送り速さ:0.5mm/s
ろ波うねり曲線を抽出するためのフィルタ:ガウシアン(位相補償)
「評価長さ」とは、実際に評価する区間の長さを意味する。「送り速さ」とは、測定時における測定針と供試材との相対速度である。
(2)合金層厚さ
供試材の板厚方向に平行な断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察する方法により、基材鋼板1と下層2との間に形成される合金層の平均厚さを求めた。
(3)下層2の基材鋼板1への密着性
供試材に対して2t180°曲げ加工を行い、加工部に対する粘着テープ剥離試験を行い、試験後の下層2の残存状態を評価した。「2t180°曲げ加工」とは、供試材を、加工部の両側が供試材の厚さtの2倍だけ離隔して対向するように、180°曲げる加工である。表1および表2においては、下層2に剥離がないものを○、下層2に剥離があるものを×として示している。
(4)溶融Zn系めっき浴の安定性
溶融Zn系めっき浴の状態を観察した。表1および表2においては、溶融Zn系めっき浴の表面に異常がないものを○、溶融Zn系めっき浴の表面に酸化ドロスの生成が大きいものを×として示している。
(5)上層3形成後の外観
上層3を形成したあとの表面外観を目視により評価した。表1および表2においては、表面外観にムラなどが無く良好なものを○、表面外観に下層のスパングル模様が浮かび上がるものを×として示している。
(6)平坦部耐食性
供試材の平坦部に対して複合腐食試験(CCT JASO-M609-91)を600サイクル行い、試験後の赤錆発生面積率により平坦部耐食性を評価した。表1および表2においては、赤錆発生面積率がなしのものを◎、赤錆発生面積率が10%未満のものを〇、赤錆発生面積率が10%以上20%未満のものを△、赤錆発生面積率が20%以上のものを×として示している。
(7)加工部耐食性
供試材の2t180°曲げ加工を行った部分に対して複合腐食試験(CCT JASO-M609-91)を100サイクル行い、試験後の赤錆発生面積率により加工部耐食性を評価した。表1および表2においては、赤錆発生面積率がなしのものを◎、赤錆発生面積率が10%未満のものを〇、赤錆発生面積率が10%以上20%未満のものを△、および赤錆発生面積率が20%以上のものを×として示している。
(8)スパングル密度
下層2(溶融Al系めっき層)のみ形成した供試材の表面をバフ研磨して、そのアルミめっき鋼板の表面(下層2の表面)から深さ5μmまでの極表層を平滑化することにより、下層2に形成されたデンドライト組織を観察可能にした。そして、光学顕微鏡により、下層2の表面における1cmあたりに存在するスパングル結晶核の個数を算出した。
上述した調査について、発明例についての結果を表1に示す。また、比較例についての結果を表2に示す。
Figure 0007448786000001
Figure 0007448786000002
発明例No.1~18においては、下層2がBを0.005~0.5質量%含有することから、下層2表面のろ波うねり曲線の平均高さが11μm未満となり、上層3表面のろ波うねり曲線の平均高さが10μm未満となった。このため、上層3形成後に良好な表面外観が得られた。特に、発明例No.1~18においては、表面外観が◎という良好な結果が得られた。
発明例No.1~14、および16~18においては、下層2がSiを0.1%以上含有するため、合金層厚さを10μm以下にできた。このため、下層2の基材鋼板1への密着性が〇という良好な結果が得られた。
発明例No.1~16においては、上層3がAlを3~22質量%含有し、かつMgを0.1~10質量%含有する。さらに、このうち発明例No.1~14においては、下層2がSiを0.1~12%質量%含有するため、平坦部耐食性および加工部耐食性が◎または〇という良好な結果が得られた。
発明例No.15においては、下層2へのSi添加がないため、下層2と基材鋼板1との界面に形成される合金層が厚くなる。このため、下層2の基材鋼板1への密着性が低くなり、加工部の耐食性については×という結果が得られた。
発明例No.16においては、下層2へのSi添加量が15質量%であり、適正範囲の上限である12%を超えるため、下層2に対する上層3の密着性が他の発明例よりも小さくなる。このため、発明例No.16においては、平坦部耐食性については△、加工部耐食性については×という効果が得られた。
発明例No.17においては、上層3がAlを含有しないため、耐食性については×という結果が得られた。また、発明例No.18においては、上層3がMgを含有しないため、耐食性については×という結果が得られた。
発明例No.1~5、7~10、および13~14においては、表面外観、および耐食性が◎、ならびに下層2の基材鋼板1への密着性が〇という、際立って良好な結果が得られた。
比較例No.19および20においては、下層2へのB添加が0.005質量%未満であるため、下層2のスパングル微細化効果が十分には得られず、実施例および他の比較例と比較して、下層2のスパングル密度が顕著に減少した。このため、上層3形成後のろ波うねり曲線の平均高さが10μmを超え、表面外観が×という結果が得られた。
比較例No.21~22においては、Bの添加量は発明例と同様であるため、下層2のスパングル密度についても発明例と同様である。ただし、インレット温度が400~450℃の範囲内にないため、前述の通り上層3に不めっきまたはめっきハジキが発生し易くなる。このため、比較例No.21~22においては、表面外観が×という結果が得られた。
比較例No.23においても、Bの添加量は発明例と同様であるため、下層2のスパングル密度についても発明例と同様である。ただし、溶融Zn系めっき浴組成のMg含有量が12質量%であり、適正範囲を超えるため、Mg酸化物系のドロスが発生し易くなる。このため、溶融Zn系めっき浴の安定性が劣るため、上層3を作製することができなかった。
比較例No.24においても、Bの添加量は発明例と同様であるため、下層2のスパングル密度についても発明例と同様である。ただし、上層3のAl含有量が25質量%であり、適正範囲を超えるため、溶融Zn系めっき浴の融点が高くなる。このため、上層3を形成したときに下層2との反応が過度に進行して局部的に単層のめっき層となる部分が生じ易くなり、表面外観、平坦部および加工部の耐食性が×という結果が得られた。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1 基材鋼板
2 下層(第1の溶融めっき層)
3 上層(第2の溶融めっき層)
10 複層めっき鋼板

Claims (2)

  1. 基材鋼板と、
    前記基材鋼板の表面に施された、質量%でB:0.005~0.5%を含む第1の溶融めっき層と、
    前記第1の溶融めっき層に対して施された第2の溶融めっき層と、を有し、
    前記第1の溶融めっき層は、質量%でB:0.005~0.5%、Si:0.1~12%、および各種の添加元素を含み、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    前記第2の溶融めっき層は、質量%でAl:3~22%、Mg:0.1~10%、および各種の添加元素を含み、残部がZn及び不可避不純物からなり、
    前記第2の溶融めっき層の表面におけるろ波うねり曲線の平均高さが10μm未満であることを特徴とする複層めっき鋼板。
  2. 融Al系めっき浴に基材鋼板を浸漬して、該基材鋼板の表面に第1の溶融めっき層を形成する第1のステップと、
    前記第1のステップにより前記基材鋼板の表面に前記第1の溶融めっき層が施された溶融Al系めっき基材鋼板を、400~450℃の範囲に加熱した状態で、溶融Zn系めっき浴に浸漬して、該溶融Al系めっき基材鋼板の表面に第2の溶融めっき層を形成する第2のステップと、を含むことを特徴とし、
    前記第1の溶融めっき層は、質量%でB:0.005~0.5%、Si:0.1~12%、および各種の添加元素を含み、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    前記第2の溶融めっき層は、質量%でAl:3~22%、Mg:0.1~10%、および各種の添加元素を含み、残部がZn及び不可避不純物からなる、複層めっき鋼板の製造方法。
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