JP7448385B2 - 非接触式眼圧計 - Google Patents

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Description

本発明は、被検眼の角膜に対して流体を吹き付ける非接触式眼圧計に関する。
従来、被検眼の角膜に向けてノズルから空気(流体)を吹き付けることで角膜を変形させてその変形状態を検出することにより、角膜に接触することなく被検眼の眼圧値を測定する非接触式眼圧計が知られている。この非接触式眼圧計は、ノズルによる角膜への空気の吹き付けに合せて角膜に指標光を照射すると共に角膜にて反射された指標光の反射光の光量を検出し、角膜の変形状態が扁平状態(圧平状態)になった場合の反射光の光量と空気の圧力とに基づき被検眼の眼圧値を演算する。
このような非接触式眼圧計では、角膜が扁平状態になるまでノズルから角膜に対して空気を吹き付ける必要があるので、角膜に大きな圧力がかかり、被検者に恐怖心を与えてしまう。
そこで特許文献1には、被検眼の角膜に対して非接触式眼圧計のノズルのアライメントを実行する場合に、無駄なアライメント動作の実行を防止することでアライメント時間の短縮化を図り、被検者の恐怖心を低減するようにした非接触式眼圧計が開示されている。
特開2000-157492号公報
上記特許文献1に記載の非接触式眼圧計では、被検者に与える恐怖心を低減させるためにアライメント時間を短縮させている。しかしながら、アライメント時間の長短に関係なく、非接触式眼圧計により被検眼の角膜に空気を吹き付けるタイミングが被検者の意図しないタイミングで行われることで、被検者は恐怖心を増加させてしまう。その結果、被検者の瞬き回数が増加したり或いは被検者が瞼を閉じたりすることで、測定エラーが増加してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被検者の恐怖心を低減させることができる非接触式眼圧計を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための非接触式眼圧計は、被検眼の角膜に対して角膜を変形させる圧力の第1流体を吹き付ける第1流体吹付部と、角膜に対して角膜を変形させない圧力の第2流体を吹き付ける第2流体吹付部と、を備え、第2流体吹付部が、少なくとも第1流体吹付部により角膜への第1流体の吹き付けが開始される前から第1流体の吹き付けが開始されるまでの間、角膜に対して第2流体を間欠的又は連続的に吹き付ける。
この非接触式眼圧計によれば、角膜に対して第1流体を吹き付ける前にこの角膜に対して第2流体を吹き付けているので、被検者を被検眼への流体の吹き付けに慣らせることができる。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第2流体吹付部が、第1流体吹付部による角膜への第1流体の吹き付けが完了するまでの間、角膜に対する第2流体の吹き付けを継続する。これにより、角膜への第1流体の吹き付けが開始される時点で確実に角膜に対する第2流体の吹き付けを実行することができる。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第1流体吹付部が、第1流体として圧縮流体を角膜に吹き付け、第2流体吹付部が、第2流体として非圧縮流体を角膜に吹き付ける。これにより、第1流体により角膜を変形させて被検眼の眼圧測定を行い、且つ角膜による第2流体の吹き付けにより角膜を変形させることを防止、すなわち眼圧値の測定結果に影響を及ぼすことが防止される。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第1吹付口と、第1吹付口とは異なる位置に設けられた第2吹付口と、を備え、第1流体吹付部が第1吹付口から角膜に対して第1流体を吹き付け、且つ第2流体吹付部が第2吹付口から角膜に対して第2流体を吹き付ける。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第2吹付口が、第1吹付口の上方向側及び下方向側の少なくとも一方向側に設けられている。これにより、第2吹付口から被検眼に対して確実に第2流体を吹き付けることができる。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第2吹付口が、第1吹付口を囲む環状に形成されている。これにより、第2吹付口から被検眼に対して確実に第2流体を吹き付けることができる。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第1流体吹付部、第2流体吹付部、第1吹付口、及び第2吹付口を備える眼圧計本体と、被検眼に対して眼圧計本体を相対移動させる相対移動機構と、相対移動機構を駆動して、被検眼に対する第1吹付口のアライメントを実行するアライメント制御部と、を備え、第2流体吹付部が、アライメントの途中で角膜に対する第2流体の吹き付けを開始し、第1流体吹付部が、アライメントが完了した場合に角膜に対する第1流体の吹き付けを開始する。これにより、角膜に対して第1流体が吹き付けられる前から角膜に対する第2流体の吹き付けを行うことができる。
本発明の他の態様に係る非接触式眼圧計において、第1流体吹付部が、ピストンによりシリンダ内の流体を圧縮することで第1流体を発生し、第2流体吹付部が、ファンを回転させることにより第2流体を発生させる。
本発明は、被検者の恐怖心を低減させることができる。
第1実施形態の非接触式眼圧計の側面図である。 測定ヘッド内の複数種類の光学系を上方(Y軸方向)側から見た上面概略図である。 測定ヘッド内の複数種類の光学系を側方(X軸方向)側から見た側面概略図である。 被検眼(角膜)に対してダミー空気を吹き付けるダミー空気送風機構の概略図である。 ダミー空気送風口の正面図である。 制御装置の機能ブロック図である。 第1実施形態の非接触式眼圧計による被検眼の眼圧値の測定処理の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態の非接触式眼圧計による被検眼の眼圧値の測定処理の流れを示すフローチャートである。 第3実施形態の非接触式眼圧計のダミー空気送風機構の概略図である。 第3実施形態のダミー空気送風口の正面図である。
[第1実施形態の非接触式眼圧計の構成]
図1は、第1実施形態の非接触式眼圧計10の側面図である。図1に示すように、非接触式眼圧計10は、被検眼Eの角膜Ec(図2参照)に向けて圧縮空気A1(本発明の第1流体及び圧縮流体に相当)を吹き付けて角膜Ecを変形(圧平)させながら、角膜Ecにて反射された指標光の反射光を受光することで、被検眼Eの眼圧値を測定する。なお、非接触式眼圧計10には、被検眼Eの眼圧値の他に、眼屈折力等の被検眼Eの他の眼特性の測定も可能な複合機が含まれる。
図中のX軸は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向である。また、X軸方向及びY軸方向の双方に直交するZ軸方向は、非接触式眼圧計10の主光軸に平行な方向、すなわち、被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向)である。
非接触式眼圧計10は、ベース11と、顔支持部12と、駆動機構13と、測定ヘッド14と、表示部15と、制御装置16と、を備えている。
ベース11上には、被検者側から検者側に向かって顔支持部12と駆動機構13とが設けられている。
顔支持部12は、被検者の顎を受ける顎受け部12aと、被検者の額が当接する額当て部12bとを備え、非接触式眼圧計10による眼圧測定時に被検者の顔を支持する。
駆動機構13は、本発明の相対移動機構に相当するものであり、ベース11に対して測定ヘッド14をXYZ軸方向(左右、上下、前後の各方向)にそれぞれ移動自在に保持する。この駆動機構13は、図示は省略するが、測定ヘッド14をXYZ軸方向にそれぞれ移動させる公知のアクチュエータにより構成されており、測定ヘッド14をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向にそれぞれ移動させる。これにより、被検眼Eに対して測定ヘッド14をXYZ軸方向に相対移動させることができる。その結果、後述の制御装置16の制御の下、駆動機構13を駆動することにより、被検眼Eに対する測定ヘッド14のXYZ軸方向のアライメント調整が可能になる。
測定ヘッド14は、本発明の眼圧計本体に相当する。この測定ヘッド14には、被検眼Eの眼圧測定に係る複数種類の光学系(後述の図2及び図3参照)と、制御装置16と、が設けられている。なお、制御装置16は、測定ヘッド14の外部(例えばベース11の内部)に設けられていてもよい。
また、測定ヘッド14の被検者(被検眼E)に対向する側の前面には、後述の前眼部窓ガラス21c(図3及び図5等参照)を保持する凸状のガラス保持部14aが形成されている。
表示部15は、測定ヘッド14の検者に対向する背面側に取り付けられている。この表示部15は、例えばタッチパネル式モニタが用いられる。表示部15は、後述の制御装置16の制御の下、被検眼Eの前眼部の観察像を表示する。また、表示部15は、被検眼Eの眼圧測定の結果を表示する。さらに、表示部15は、被検眼Eの眼圧測定に係る各種操作を行うための操作メニュー画面と、測定ヘッド14のXYZ軸方向の位置調整を行うための位置調整画面と、を表示する。なお、表示部15をタッチパネル式にする代わりに、各種操作を入力するための操作部材を測定ヘッド14等に設けてもよい。
制御装置16は、非接触式眼圧計10の動作を統括制御する。この制御装置16は、被検眼Eの観察像の取得及び表示と、被検眼Eに対する測定ヘッド14のXYZ軸方向のオートアライメントと、被検眼Eの角膜Ec(図2参照)への圧縮空気A1及び後述のダミー空気A2(図4参照)の吹き付けと、角膜Ecへの指標光の出射及び角膜Ecからの反射光の受光と、被検眼Eの眼圧値の演算と、を制御する。
[装置本体の光学的構成]
図2は、測定ヘッド14内の複数種類の光学系を上方(Y軸方向)側から見た上面概略図であり、図3は、測定ヘッド14内の複数種類の光学系を側方(X軸方向)側から見た側面概略図である。
図2及び図3に示すように、測定ヘッド14は、前眼部観察光学系21と、XYアライメント指標投影光学系22と、固視標投影光学系23と、圧平検出光学系24と、Zアライメント指標投影光学系25と、Zアライメント検出光学系26と、圧縮空気吹付機構34と、を備える。
前眼部観察光学系21は、被検眼Eの前眼部の観察、及び被検眼Eに対する測定ヘッド14のXY軸方向のXYアライメントに用いられる。この前眼部観察光学系21には、前眼部照明光源21a(図2参照)が設けられている。また、前眼部観察光学系21の光軸O1(非接触式眼圧計10の主光軸)上には、空気吹き付け用のノズル21bと、前眼部窓ガラス21c(図3参照)と、チャンバー窓ガラス21dと、ハーフミラー21eと、ハーフミラー21gと、対物レンズ21fと、撮像素子21iと、が設けられている。
前眼部照明光源21aは、前眼部窓ガラス21cの周囲位置に複数個設けられており、被検眼Eの前眼部を直接照明する。
ノズル21bは、後述する圧縮空気吹付機構34のチャンバー34a(図3参照)に接続しており、被検眼Eの角膜Ec(前眼部)に圧縮空気A1を吹き付ける。この場合にノズル21b内の中空部は、本発明の第1吹付口として機能する。
被検眼Eの前眼部の像(前眼部からの像光)は、ノズル21bの外側を通り、前眼部窓ガラス21c、後述のガラス板34b、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21g、及びハーフミラー21eを通過し、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。
撮像素子21iは、例えばCCD(Charge Coupled Device)型又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)型のイメージセンサが用いられる。撮像素子21iは、その受光面に入射した前眼部の像を撮像して撮像信号を生成し、この撮像信号を制御装置16へ出力する。これにより、制御装置16の制御の下、撮像素子21iから出力された撮像信号に基づき被検眼Eの前眼部の観察像が表示部15に表示される。
また、前眼部観察光学系21は、後述のXYアライメント指標投影光学系22により被検眼Eに投影されたXYアライメント指標光の角膜Ecによる反射光を、撮像素子21iの受光面へと導く。この反射光は、ノズル21b、チャンバー窓ガラス21d、ハーフミラー21g、及びハーフミラー21eを通過して、対物レンズ21fにより撮像素子21iの受光面上に結像される。これにより、撮像素子21iの受光面上には、測定ヘッド14と角膜EcとのXY軸方向の位置関係に応じた位置に輝点像が形成される。
撮像素子21iは、その受光面上に形成された輝点像を撮像し、この輝点像の撮像信号を制御装置16へと出力する。これにより、制御装置16の制御の下、前眼部の観察像と、XYアライメント指標光の輝点像と、が表示部15に重畳表示される。なお、表示部15には、アライメント補助マークも表示される。
XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント指標光を被検眼Eの角膜Ecに正面から投影する。このXYアライメント指標光は、被検眼Eの前眼部に対する測定ヘッド14のXYアライメントに用いられる。また、XYアライメント指標光は、被検眼Eの眼圧値の測定にも用いられる。以下、角膜EcによるXYアライメント指標光の反射光を単に「XY指標反射光」と略す。
XYアライメント指標投影光学系22は、XYアライメント用光源22aと、集光レンズ22bと、開口絞り22cと、ピンホール板22dと、ダイクロイックミラー22eと、コリメータレンズ22fと、を有する(図3参照)。なお、XYアライメント指標投影光学系22は、ハーフミラー21eを前眼部観察光学系21と共用している。
XYアライメント用光源22aは赤外光を出射する。コリメータレンズ22fは、その焦点がピンホール板22dに一致するように、XYアライメント指標投影光学系22の光路上に配置されている。このXYアライメント指標投影光学系22では、XYアライメント用光源22aから出射された赤外光が、集光レンズ22bにより集束されつつ開口絞り22cを通過して、ピンホール板22dの穴部へと導かれる。
ピンホール板22dの穴部を通過した赤外光は、ダイクロイックミラー22eにより反射されてコリメータレンズ22fへと導かれ、さらにコリメータレンズ22fで平行光とされた後、コリメータレンズ22fからハーフミラー21eへ出射される。この赤外光の平行光は、ハーフミラー21eで反射された後、前眼部観察光学系21の光軸O1に沿って進行する。これにより、赤外光の平行光は、ハーフミラー21g及びチャンバー窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過することでXYアライメント指標光として被検眼Eに入射する。
被検眼Eに入射したXYアライメント指標光は、図示は省略するが、角膜Ec表面で反射し輝点像を形成する。なお、開口絞り22cは、コリメータレンズ22fに関して角膜Ecの角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。
固視標投影光学系23は、被検眼Eに固視標を投影する。この固視標投影光学系23は、固視標用光源23aとピンホール板23bとを有する(図3参照)。また、固視標投影光学系23は、ダイクロイックミラー22e及びコリメータレンズ22fをXYアライメント指標投影光学系22と共用すると共に、ハーフミラー21eを前眼部観察光学系21と共用している。
固視標用光源23aは、可視光を固視標光として出射する。この固視標光は、ピンホール板23bの穴部へと導かれ、ピンホール板23bの穴部及びダイクロイックミラー22eを透過した後、コリメータレンズ22fへ出射される。そして、固視標光は、コリメータレンズ22fにより略平行光とされてハーフミラー21eに向けて出射され、ハーフミラー21eで反射されることで前眼部観察光学系21の光軸O1に沿って進行する。これにより、固視標光は、ハーフミラー21g及びチャンバー窓ガラス21dを透過した後、ノズル21bの内部を通過して被検眼Eに至る。この固視標を被検者に固視目標として注視させることにより、被検者の視線を固定することができる。
圧平検出光学系24(図3参照)は、XY指標反射光を受光して、このXY指標反射光の光量を示す受光信号を出力する。圧平検出光学系24は、レンズ24aとピンホール板24bと受光センサ24cとを有すると共に、ハーフミラー21gを前眼部観察光学系21と共用している。
レンズ24aは、角膜Ecの表面が平面とされた場合に、XY指標反射光を、ピンホール板24bの開口に集光させる。ピンホール板24bの開口は、レンズ24aの焦点位置に設けられている。
受光センサ24cは、例えば受光したXY指標反射光の光量に応じた受光信号を出力するフォトダイオードである。この受光センサ24cは受光信号を制御装置16へ出力する。
XY指標反射光は、ノズル21bの内部を通り、チャンバー窓ガラス21dを透過してハーフミラー21gに至る。そして、XY指標反射光の一部は、ハーフミラー21gで反射された後、レンズ24aを経てピンホール板24bに入射する。
圧平検出光学系24は、ノズル21bからの圧縮空気A1の吹き付けにより角膜Ecの表面が平らな扁平状態(圧平状態)になった場合に、圧平検出光学系24に進行してきたXY指標反射光の全体を、ピンホール板24bを通して受光センサ24cに到達させる。また、圧平検出光学系24は、角膜Ecが扁平状態以外の状態ではXY指標反射光をピンホール板24bで部分的に遮りつつ受光センサ24cに到達させる。従って、圧平検出光学系24から出力されるXY指標反射光の受光信号の信号強度は、角膜Ecの表面が凸状態から扁平状態に変化するのに従って次第に増加し、さらに扁平状態から凹状態に変化するのに従って次第に減少する。
Zアライメント指標投影光学系25(図2参照)は、角膜Ecに対して、斜め方向からZ軸方向のZアライメント用のZアライメント指標光を投影する。このZアライメント指標投影光学系25は、光軸O2上に沿って、Zアライメント用光源25aと、集光レンズ25bと、開口絞り25cと、ピンホール板25dと、コリメータレンズ25eと、を備える。
Zアライメント用光源25aは、赤外光(例えば波長860nm)を出射する。開口絞り25cは、コリメータレンズ25eに関して角膜頂点Epと共役な位置に設けられている。コリメータレンズ25eは、ピンホール板25dの穴部に焦点を一致させるように配置されている。
Zアライメント用光源25aから出射された赤外光は、集光レンズ25bにより集光されつつ開口絞り25cを通過してピンホール板25dへと進行する。そして、ピンホール板25dの穴部を通過した赤外光は、コリメータレンズ25eで平行光とされた後に、Zアライメント指標光として被検眼Eに入射して、角膜Ecで反射されることにより被検眼Eに輝点像を形成する。
Zアライメント検出光学系26は、Zアライメント指標光の角膜Ecによる反射光(以下、Z指標反射光と略す)を受光して、測定ヘッド14と角膜EcとのZ軸方向の位置関係を検出する。このZアライメント検出光学系26は、光軸O3上に沿って、結像レンズ26aと、シリンドリカルレンズ26bと、受光センサ26cと、を有している。
シリンドリカルレンズ26bは、Y軸方向にパワーを有するものが用いられる。受光センサ26cは、その受光面におけるZ指標反射光の受光位置を検出可能なセンサであり、例えばラインセンサ又はPSD(Position Sensitive Detector)が用いられる。
Z指標反射光は、結像レンズ26aで集束した後にシリンドリカルレンズ26bへと進行し、このシリンドリカルレンズ26bによりY軸方向に集光されることで受光センサ26c上に輝点像を形成する。
受光センサ26cは、XZ平面内においては結像レンズ26aに関して、Zアライメント指標投影光学系25により被検眼Eに形成された前述の輝点像と共役な位置関係にある。また、受光センサ26cは、YZ平面内においては結像レンズ26a及びシリンドリカルレンズ26bに関して、角膜頂点Epと共役な位置関係にある。すなわち、受光センサ26cは開口絞り25cと共役関係にあるので、Y軸方向に角膜Ecがずれたとしても角膜Ecの表面におけるZ指標反射光は効率良く受光センサ26cに入射する。そして、受光センサ26cは、シリンドリカルレンズ26bにより集光された輝点像の受光信号を制御装置16へと出力する。
圧縮空気吹付機構34(図3参照)は、本発明の第1流体吹付部に相当する。圧縮空気吹付機構34は、被検眼Eの眼圧測定時に角膜Ecに対してその表面を凸状態から扁平状態に変形可能な圧力の圧縮空気A1を吹き付ける。この圧縮空気吹付機構34は、チャンバー34aと、シリンダ34dと、連通管34eと、ピストン34fと、ソレノイド34gと、を有する。
チャンバー34aには、透明なガラス板34bを介してノズル21bが取り付けられている。また、チャンバー34a内には、ノズル21bと対向する位置にチャンバー窓ガラス21dが設けられている。さらに、チャンバー34a内には、圧力センサ34cが設けられている。この圧力センサ34cは、チャンバー34aの内部の圧力を示す圧力検出信号を制御装置16へ出力する。
シリンダ34dは、連通管34eを介してチャンバー34aに接続している。これにより、シリンダ34dの内部とチャンバー34aの内部とが連通管34eを介して連通する。また、シリンダ34dの内部にはピストン34fが移動自在に設けられている。これらシリンダ34d及びピストン34fにより空気の圧縮室が構成される。
ソレノイド34gは、シリンダ34d内でピストン34fを移動させる公知のソレノイドアクチュエータである。このソレノイド34gは、制御装置16の制御下、ピストン34fを移動させてシリンダ34d内の空気を圧縮する。これにより、連通管34e及びチャンバー34aを介して、ノズル21bから角膜Ecに向けて圧縮空気A1を吹き付けられる。なお、ソレノイド34g以外の公知の各種アクチュエータを用いてよい。
なお、圧縮空気吹付機構34では、圧力センサ34cによりチャンバー34a内の圧力を検出することにより、ノズル21bから角膜Ecに圧縮空気A1を吹き付けた際の空気の圧力を取得することができる。圧縮空気A1の圧力設定については公知技術であるのでここでは説明は省略する。
このようにノズル21bから角膜Ecに対してその表面を変形可能な圧力の圧縮空気A1を吹き付ける場合に、その吹き付けのタイミングが被検者の意図しないタイミングであると被検者が恐怖心を増加させてしまう。そこで本実施形態の非接触式眼圧計10では、角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付け前から、角膜Ecに対して非圧縮の弱い(低圧力)の空気であるダミー空気A2(本発明の第2流体及び非圧縮流体に相当、図4参照)を吹き付けることで、被検眼Eに対する空気の吹き付けに被検者を慣れさせる。
[ダミー空気送風機構]
図4は、被検眼E(角膜Ec)に対してダミー空気A2を吹き付けるダミー空気送風機構36の概略図である。図4に示すように、ダミー空気送風機構36は、本発明の第2流体吹付部に相当するものであり、測定ヘッド14の内部に設けられている。このダミー空気送風機構36は、収納室36aと送風源36bと送風路36cとを備える。
収納室36aは、送風源36bを収納する。また、収納室36aには、送風路36cの一端側が接続されている。
送風源36bは、制御装置16の制御下、複数のファン36b1(羽根)を回転させることにより非圧縮のダミー空気A2を発生させる。各ファン36b1の回転速度は、角膜Ecを変形させない圧力(すなわち眼圧測定に影響を及ぼさない圧力)のダミー空気A2を発生させるように調整されている。このダミー空気A2の圧力の範囲は、被検眼Eの乾き等も考慮して実験或いはシミュレーションにより予め定められている。
このようにファン型の送風源36bを用いることで、ピストン34f及びシリンダ34dを備える圧縮空気吹付機構34とは異なり、ダミー空気A2を間欠的又は連続的に発生させることができる。また、ファン36b1の回転速度を変更することで、ダミー空気A2の圧力を任意に調整することができる。
なお、図4では、送風源36bの各ファン36b1の回転軸がX軸方向に平行であるが、ダミー空気A2を後述の送風路36cに送り込むことが可能であれば、各ファン36b1の回転軸の方向は特に限定はされない。また、各ファン36b1の枚数及び形状も適宜変更してもよい。
送風路36cは、一端が収納室36aに接続し、他端が2分岐してガラス保持部14aの2箇所に設けられたダミー空気送風口38にそれぞれ接続している。これにより、送風源36bを介して、送風源36bから各ダミー空気送風口38までダミー空気A2を導き、各ダミー空気送風口38から被検眼Eに対してダミー空気A2を吹き付けることができる。
このように送風源36bとダミー空気送風口38との間に送風路36cを設けることで送風源36bの配置の自由度が増し、例えば測定ヘッド14内の任意の空きスペースに送風源36bを配置することができる。その結果、測定ヘッド14の被検眼Eに対向する位置に送風源36bを設ける必要がなくなるので、測定ヘッド14のカバーの大型化が防止される。
図5は、ダミー空気送風口38の正面図である。図5に示すように、2つのダミー空気送風口38は、本発明の第2吹付口に相当するものであり、例えばX軸方向に延びた長穴形状を有している。2つのダミー空気送風口38は、測定ヘッド14のガラス保持部14aであって且つノズル21bに対してY軸方向の上方向側の位置と下方向側の位置とにそれぞれ設けられている。
ここで、仮にダミー空気送風口38をノズル21bの左方向側或いは右方向側の位置に設けると、被検眼Eに対してノズル21bをアライメントさせた場合に被検眼Eとダミー空気送風口38とのX軸方向のずれが大きくなってしまう。また、仮に被検者から見てダミー空気送風口38をノズル21bの左方向側(右方向側)に設けると、被検眼Eが右眼(左眼)である場合に、上述のX軸方向のずれが大きくなってしまう。
このような場合には、ダミー空気送風口38から角膜Ecに対してダミー空気A2が吹き付けられないおそれがある。従って、本実施形態のように、ダミー空気送風口38をノズル21bの上方向側及び下方向側の位置に設けることで、ダミー空気送風口38から被検眼Eに対して確実にダミー空気A2を吹き付けることができる。
なお、本実施形態では、ノズル21bの上方向側及び下方向側の位置にそれぞれダミー空気送風口38を設けているが、ノズル21bの上方向側又は下方向側のいずれか一方向側の位置のみにダミー空気送風口38を設けてもよい。すなわち、ダミー空気送風口38は、ノズル21bの上方向側及び下方向側の少なくともいずれか一方向側の位置に設けられていればよい。
また、本実施形態では、ダミー空気送風口38が長穴形状に形成されているが、その形状は特に限定はされない。さらに、ダミー空気送風口38が複数の穴(例えばX軸方向に沿って形成された複数の穴)により構成されていてもよい。
[制御装置]
図6は、制御装置16の機能ブロック図である。図6に示すように、制御装置16は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置16の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
制御装置16には、既述の表示部15、駆動機構13、各光学系21~26、圧縮空気吹付機構34、及びダミー空気送風機構36の他に、操作部40と記憶部42とが接続されている。
操作部40は、非接触式眼圧計10の電源のオンオフ操作、及び被検眼Eの眼圧値の測定開始操作を含む非接触式眼圧計10の各種の操作の入力を受け付ける。この操作部40には、既述のタッチパネル式の表示部15の表示面(表示パネル)、及び測定ヘッド14に設けられた不図示のハードウェアキー(ボタン及びスイッチ等)が含まれる。
記憶部42には、非接触式眼圧計10の制御プログラム及び被検眼Eの眼圧値の測定結果等が記憶されている。
制御装置16は、記憶部42内の制御プログラムを読み出して実行することにより、観察制御部50、アライメント制御部52、固視制御部54、吹付制御部56、測定制御部58、眼圧値演算部60、及び送風制御部62として機能する。なお、制御装置16の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
観察制御部50は、例えば操作部40にて非接触式眼圧計10の電源のオン操作が入力された場合に作動する。この観察制御部50は、前眼部観察光学系21を制御して、前眼部照明光源21aの点灯と、撮像素子21iによる被検眼Eの前眼部の観察像(動画像)の撮像及び撮像信号の出力と、を実行させる。また、観察制御部50は、撮像素子21iから出力される撮像信号に基づき、表示部15に観察像を表示させる。
アライメント制御部52は、例えば操作部40にて被検眼Eの眼圧値の測定開始操作が入力された場合に作動する。このアライメント制御部52は、前眼部観察光学系21及びXYアライメント指標投影光学系22を制御して、XYアライメント用光源22aの点灯と、撮像素子21iによる被検眼Eの前眼部像及び輝点像の撮像と、撮像素子21iによる撮像信号の出力と、を実行させる。そして、アライメント制御部52は、撮像素子21iから出力される撮像信号に基づき、被検眼Eと測定ヘッド14のノズル21bとのXY軸方向の位置関係を演算する。次いで、アライメント制御部52は、このXY軸方向の位置関係の演算結果に基づき、既述の駆動機構13を駆動して、被検眼Eに対する測定ヘッド14のノズル21bのXYアライメントを行う。
また、アライメント制御部52は、Zアライメント指標投影光学系25及びZアライメント検出光学系26を制御して、Zアライメント用光源25aの点灯と、受光センサ26cによる輝点像の受光及び受光信号の出力と、を実行させる。そして、アライメント制御部52は、受光センサ26cから出力される受光信号に基づき、被検眼Eと測定ヘッド14のノズル21bとのZ軸方向の位置関係を演算する。次いで、アライメント制御部52は、このZ軸方向の位置関係の演算結果に基づき、既述の駆動機構13を駆動して、被検眼Eに対する測定ヘッド14のノズル21bのZアライメントを行う。
なお、被検眼Eに対する測定ヘッド14のノズル21bのXYZアライメントとして、検者が操作部40に入力した位置調整操作に基づきアライメント制御部52が駆動機構13を駆動して行う手動のXYZアライメントを実行してもよい。
固視制御部54は、例えば操作部40にて被検眼Eの眼圧値の測定開始操作が入力された場合に作動する。この固視制御部54は、固視標投影光学系23を制御して固視標用光源23aを点灯させることで、被検眼Eに対して固視標の光束を投影して被検者の視線を固定する。
吹付制御部56は、例えば被検眼Eに対する測定ヘッド14のオートアライメントが完了した場合(圧縮空気A1の発射操作でも可)に作動する。この吹付制御部56は、圧縮空気吹付機構34のソレノイド34gを駆動して、シリンダ34d内でピストン34fを移動させる。これにより、ピストン34fによってチャンバー34a内の空気が圧縮されて、ノズル21bから角膜Ecに対して圧縮空気A1が吹き付けられる。
測定制御部58は、吹付制御部56の作動前或いはその作動に合せて作動する。この測定制御部58は、少なくともノズル21bから角膜Ecに空気が吹き付けられている間、XYアライメント指標投影光学系22及び圧平検出光学系24を制御して、XYアライメント用光源22aの点灯と、受光センサ24cによるXY指標反射光の受光と、を実行させる。これにより、ノズル21bから角膜Ecに空気が吹き付けられている間、XYアライメント指標投影光学系22から角膜Ecに対してXYアライメント指標光が連続的に投影される。また同時に、受光センサ24cがXY指標反射光を連続的に受光して、このXY指標反射光の受光信号を連続的に眼圧値演算部60へ出力する。
眼圧値演算部60は、受光センサ24cからのXY指標反射光の受光信号の入力に応じて作動し、圧縮空気吹付機構34の駆動停止後に被検眼Eの眼圧値を演算する。例えば眼圧値演算部68は、XY指標反射光の受光信号に基づき圧平波形(XY指標反射光の光量の時間変化を示す信号波形)のピークの重心位置或いは最大値を演算する。そして、眼圧値演算部68は、ピークの重心位置或いは最大値に対応する受光信号の信号強度(光量)及び圧力センサ34cの検出結果(空気の圧力)に基づき、公知の方法で被検眼Eの眼圧値を演算する。なお、被検眼Eの眼圧値の演算方法は、上述の方法に限定されるものではなく、公知の各種方法を採用可能である。
送風制御部62は、吹付制御部56(圧縮空気吹付機構34)の作動前、本実施形態ではアライメント制御部52によるオートアライメントの開始に合わせて作動する。この送風制御部62は、オートアライメントの途中、例えば被検眼Eと測定ヘッド14のノズル21bとの位置関係(距離)が所定の閾値以下となった場合に、ダミー空気送風機構36の送風源36bを駆動して、ダミー空気送風口38からのダミー空気A2の吹き出しを開始させる。
ここでダミー空気送風口38は長孔形状であり、その開口面積はノズル21bの開口面積よりも広いので、オートアライメントの途中の状態であってもダミー空気送風口38から角膜Ecに対するダミー空気A2の吹き付けは可能である。従って、上述の閾値は、ダミー空気送風口38から角膜Ecに対してダミー空気A2の吹き付け可能な値に設定されており、例えばシミュレーション或いは実験等で定められる。これにより、被検眼Eとノズル21bとの位置関係が所定の閾値以下となったタイミングで、ダミー空気送風口38から角膜Ecに対してダミー空気A2を吹き付けることができる。
また、送風制御部62は、オートアライメントの完了後において圧縮空気吹付機構34による角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付けが行われている間もダミー空気送風機構36の駆動、すなわち角膜Ecに対するダミー空気A2の吹き付けを継続する。そして、送風制御部62は、圧縮空気吹付機構34の駆動停止に合わせてダミー空気送風機構36の駆動を停止する。なお、既述の通りダミー空気A2の圧力は、角膜Ecを変形させないような低圧力であるので、角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹付中にダミー空気A2の吹き付けが行われていても、被検眼Eの眼圧値の測定に影響は及ぼさない。
[非接触式眼圧計の作用]
図7は、上記構成の第1実施形態の非接触式眼圧計10による被検眼Eの眼圧値の測定処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、顔支持部12による被検者の顔の支持が完了すると、操作部40に対する測定開始操作の入力に応じて、固視制御部54が固視標用光源23aを点灯させると共に、アライメント制御部52が作動する。
最初にアライメント制御部52は、前眼部観察光学系21及びXYアライメント指標投影光学系22と、Zアライメント指標投影光学系25及びZアライメント検出光学系26とを制御して、被検眼Eと測定ヘッド14のノズル21bとのXYZ軸方向の位置関係を演算する。次いで、アライメント制御部52は、このXYZ軸方向の位置関係の演算結果に基づき、駆動機構13を駆動して、被検眼Eに対する測定ヘッド14のノズル21bのXYZ軸方向のオートアライメントを開始する(ステップS1)。
オートアライメントが開始されると送風制御部62が作動する。送風制御部62は、被検眼Eと測定ヘッド14のノズル21bとの位置関係が所定の閾値以下になるか否かを監視する(ステップS2でNO)。そして、送風制御部62は、被検眼Eとノズル21bとの位置関係が所定の閾値以下になった場合に、ダミー空気送風機構36の送風源36bを駆動して、ダミー空気送風口38から角膜Ecに対するダミー空気A2の間欠的或いは連続的な吹き付けを開始させる(ステップS2でYES、ステップS3)。
オートアライメントが完了すると(ステップS4でYES)、吹付制御部56が、圧縮空気吹付機構34の駆動を開始して、シリンダ34d内でピストン34fを移動させる(ステップS5)。これにより、ノズル21bから角膜Ecに対して圧縮空気A1の吹き付けが開始される。
この際に、被検眼Eに対して予めダミー空気A2が吹き付けられているので、被検者は被検眼Eへの空気の吹き付けに慣れた状態になっている。このため、圧縮空気A1の吹き付けのタイミングに関わらず、被検者の恐怖心を低減させることができる。また、被検者の恐怖心を低減させることで、被検者の瞬き回数の増加及び被検者が瞼を閉じることが防止されるので、角膜Ecの露出を安定させた状態で角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付けを実行することができる。その結果、測定エラーの発生が防止される。
角膜Ecに圧縮空気A1が吹き付けられている間、測定制御部58が、XYアライメント指標投影光学系22及び圧平検出光学系24を制御して、XYアライメント指標投影光学系22から角膜Ecに対するXYアライメント指標光の投影と、受光センサ24cによるXY指標反射光の受光及び受光信号の出力と、を連続的に実行させる。
そして、送風制御部62は、圧縮空気吹付機構34の駆動が停止すると(ステップS6)、ダミー空気送風機構36の送風源36bの駆動を停止させる(ステップS7)。なお、圧縮空気吹付機構34の駆動の途中で眼圧値演算部60による被検眼Eの眼圧値の演算が完了する場合には、その時点で送風源36bの駆動を停止させてもよい。
圧縮空気吹付機構34の駆動停止後、眼圧値演算部60は、受光センサ24cから出力されるXY指標反射光の受光信号に基づき圧平波形のピークの重心位置を演算し、この重心位置に対応する受光信号の信号強度及び圧力センサ34cの検出結果に基づき被検眼Eの眼圧値を演算する(ステップS8)。上述のように角膜Ecの露出を安定させた状態で角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付けを実行しているので、被検眼Eの眼圧値を正確に測定することができる。
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態では、角膜Ecに対して圧縮空気A1の吹き付けを開始する前からこの角膜Ecに対してダミー空気A2を吹き付けているので、被検者を被検眼Eへの空気の吹き付けに慣らせることができ、圧縮空気A1の吹き付けに対する被検者の恐怖心を低減させることができる。その結果、角膜Ecの露出を安定させた状態で角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付けを実行することができるので、被検眼Eの眼圧値を正確に測定することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の非接触式眼圧計10による被検眼Eの眼圧値の測定処理の流れを示すフローチャートである。なお、第2実施形態の非接触式眼圧計10は、第1実施形態の非接触式眼圧計10と同じ構成であるため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
上記第1実施形態の非接触式眼圧計10では、圧縮空気吹付機構34の駆動を停止させるまでダミー空気送風機構36による被検眼Eへのダミー空気A2の吹き付けを継続しているが、圧縮空気吹付機構34の駆動開始時以降のダミー空気A2の吹き付け停止のタイミングは適宜変更してもよい。
例えば図8に示すように、送風制御部62は、ステップS5の吹付制御部56による圧縮空気吹付機構34の駆動開始のタイミング(例えば駆動開始のトリガ信号)に応じて、ダミー空気送風機構36の駆動を停止させる(ステップS5A)。以下、第1実施形態と同様に、圧縮空気吹付機構34の駆動停止(ステップS6)と眼圧値演算部60による被検眼Eの眼圧値の演算(ステップS7)とが実行される。
以上のように第2実施形態においても、少なくとも角膜Ecに対して圧縮空気A1の吹き付けが開始されるまでの間は角膜Ecに対してダミー空気A2が吹き付けられているので、被検者を被検眼Eへの空気の吹き付けに慣らせることができる。その結果、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態の非接触式眼圧計10のダミー空気送風機構36Aの概略図である。図10は、第3実施形態のダミー空気送風口38Aの正面図である。上記各実施形態の非接触式眼圧計10は、ノズル21bの上方向側及び下方向側の少なくともいずれか一方向側の位置に長穴形状のダミー空気送風口38を有しているが、ダミー空気送風口38の数、位置、及び形状は適宜変更可能である。
図9及び図10に示すように、第3実施形態の非接触式眼圧計10は、ダミー空気送風機構36及び2つのダミー空気送風口38の代わりにダミー空気送風機構36A及び1つのダミー空気送風口38Aを備える点を除けば上記各実施形態の非接触式眼圧計10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
ダミー空気送風口38Aは、ガラス保持部14aに設けられている。このダミー空気送風口38Aは、ノズル21bを囲む環状に形成されている。
ダミー空気送風機構36Aは、上記各実施形態の送風路36cの代わりに送風路36dを備える点を除けば、上記各実施形態のダミー空気送風機構36と基本的に同じである。
送風路36dは、収納室36aに接続する接続路39aと、この接続路39aに接続した環状路39bとを備える。接続路39aは、送風源36bから供給されるダミー空気A2を環状路39bに案内する。
環状路39bは、ダミー空気送風口38Aに対向する環状の通路を有している。この環状路39bは、接続路39aから供給されたダミー空気A2の流れを、ダミー空気送風口38Aに対応した環状の流れに変換する。これにより、送風路36dからダミー空気送風口38Aに向けてダミー空気A2が環状に吹き出される。その結果、ダミー空気送風口38Aの全周から被検眼Eに対してダミー空気A2が吹き付けられる。
以上のように第3実施形態においても、少なくとも角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付けが開始するまでの間は角膜Ecに対してダミー空気A2を吹き付けることができるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態では、ダミー空気送風口38Aから環状にダミー空気A2を吹き出させることで、アライメントの途中において被検眼Eに対するノズル21bのXY軸方向における位置ずれ方向に関係なく、角膜Ecに対して確実にダミー空気A2を吹き付けることができる。
なお、第3実施形態では、ダミー空気送風口38Aが一つの連続した穴であるが、ダミー空気送風口38Aが複数の穴(例えば環状に並べて形成された複数の穴)により構成されていてもよい。
[その他]
上記各実施形態では、被検者の瞬き回数及び年齢等に関係なくダミー空気A2の圧力を一定(略一定)にしているが、被検者の瞬き回数及び年齢等に応じてダミー空気A2の圧力を調整してもよい。この場合、送風制御部62は、操作部40に入力された圧力の設定値、瞬き回数、又は年齢に応じて、ダミー空気送風機構36を駆動してダミー空気A2の圧力を調整してもよい。また、この場合には、送風制御部62は、前眼部観察光学系21により繰り返し取得された被検眼Eの前眼部の観察像に基づき、被検眼Eの瞬き回数を検出し、この検出結果に基づきダミー空気A2の圧力を調整してもよい。
上記各実施形態では、オートアライメントの途中から角膜Ecに対するダミー空気A2の吹き付けを開始しているが、例えば非接触式眼圧計10の電源ON時或いは操作部40に対する眼圧測定開始操作の入力時などの角膜Ecに対する圧縮空気A1の吹き付け前の予め定められたタイミングで角膜Ecへのダミー空気A2の吹き付けを開始してもよい。
上記各実施形態の非接触式眼圧計10はガラス保持部14a及び前眼部窓ガラス21cを備えているが、ガラス保持部14a及び前眼部窓ガラス21cが省略されていてもよい。
上記各実施形態では、被検眼Eに対する測定ヘッド14(ノズル21b)のアライメントの途中でダミー空気送風機構36,36Aを作動させているが、ダミー空気送風機構36,36Aの作動のタイミングは圧縮空気吹付機構34の作動前であれば特に限定はされない。例えばアライメントの開始又は被検眼Eの眼圧値の測定開始操作等に応じて、ダミー空気送風機構36を作動させてもよい。
上記各実施形態では、シリンダ34d及びピストン34fを有する圧縮空気吹付機構34を用いてノズル21bから角膜Ecに対し圧縮空気A1の吹き付けを行っているが、他の空気圧縮機構を有する圧縮空気吹付機構34を用いる場合にも本発明を適用可能である。また、上記各実施形態では、被検眼Eの眼圧測定のために角膜Ecに対して圧縮空気A1を吹き付けているが、角膜Ecの変形が可能であれば非圧縮の空気を角膜Ecに吹き付けてもよい。さらに本実施形態ではノズル21bから角膜Ecに対して圧縮空気A1を吹き付けているが、ノズル21b以外の各種吹付口から角膜Ecに対して圧縮空気A1を吹き付けてもよい。
上記各実施形態では、ダミー空気送風機構36,36Aの例を図4及び図9を例に挙げて説明したが、被検眼Eの角膜Ecに対してダミー空気A2を間欠的又は連続的に吹付可能であればその各部の構成、配置、及び形状は特に限定はされない。従って、ダミー空気送風機構36,36Aにファン型以外の送風源を設けてもよい。
上記各実施形態では、ノズル21b(第1吹付口)とダミー空気送風口38,38A(第2吹付口)とが別体に設けられているが、両者が同一の吹付口であってもよく、ノズル21bからダミー空気A2の吹き出しを可能にしてもよい。この場合には、ダミー空気送風機構36,36Aとノズル21bとの間に電磁弁或いは逆止弁等を設けてダミー空気送風機構36,36Aへの圧縮空気A1の逆流或いは漏れ等を防止する。
上記各実施形態では、角膜Ecに対して空気(圧縮空気A1、ダミー空気A2)を吹き付けているが、空気以外の各種流体を吹き付けてもよい。
10 非接触式眼圧計
11 ベース
12 顔支持部
12a 顎受け部
12b 額当て部
13 駆動機構
14 測定ヘッド
14a ガラス保持部
15 表示部
16 制御装置
21 前眼部観察光学系
21a 前眼部照明光源
21b ノズル
21c 前眼部窓ガラス
21d チャンバー窓ガラス
21e ハーフミラー
21f 対物レンズ
21g ハーフミラー
21i 撮像素子
22 XYアライメント指標投影光学系
22a XYアライメント用光源
22b 集光レンズ
22c 開口絞り
22d ピンホール板
22e ダイクロイックミラー
22f コリメータレンズ
23 固視標投影光学系
23a 固視標用光源
23b ピンホール板
24 圧平検出光学系
24a レンズ
24b ピンホール板
24c 受光センサ
25 Zアライメント指標投影光学系
25a Zアライメント用光源
25b 集光レンズ
25c 開口絞り
25d ピンホール板
25e コリメータレンズ
26 Zアライメント検出光学系
26a 結像レンズ
26b シリンドリカルレンズ
26c 受光センサ
34 圧縮空気吹付機構
34a チャンバー
34b ガラス板
34c 圧力センサ
34d シリンダ
34e 連通管
34f ピストン
34g ソレノイド
36,36A ダミー空気送風機構
36a 収納室
36b 送風源
36b1 ファン
36c 送風路
36d 送風路
38,38A ダミー空気送風口
39a 接続路
39b 環状路
40 操作部
42 記憶部
50 観察制御部
52 アライメント制御部
54 固視制御部
56 吹付制御部
58 測定制御部
60 眼圧値演算部
62 送風制御部
68 眼圧値演算部
A1 圧縮空気
A2 ダミー空気
E 被検眼
Ec 角膜
Ep 角膜頂点
O1~O3 光軸

Claims (7)

  1. 被検眼の角膜に対して前記角膜を変形させる圧力の第1流体を吹き付ける第1流体吹付部と、
    前記角膜に対して前記角膜を変形させない圧力の第2流体を吹き付ける第2流体吹付部と、
    を備え、
    前記第2流体吹付部が、記第1流体吹付部により前記角膜への前記第1流体の吹き付けが開始される前から前記第1流体の吹き付けが開始されるまでの間、前記角膜に対して前記第2流体を間欠的又は連続的に吹き付けて、前記角膜への前記第1流体の吹き付けが開始される場合に前記角膜に対する前記第2流体の吹き付けを停止する非接触式眼圧計。
  2. 前記第1流体吹付部が、前記第1流体として圧縮流体を前記角膜に吹き付け、
    前記第2流体吹付部が、前記第2流体として非圧縮流体を前記角膜に吹き付ける請求項1記載の非接触式眼圧計。
  3. 第1吹付口と、
    前記第1吹付口とは異なる位置に設けられた第2吹付口と、
    を備え、
    前記第1流体吹付部が前記第1吹付口から前記角膜に対して前記第1流体を吹き付け、且つ前記第2流体吹付部が前記第2吹付口から前記角膜に対して前記第2流体を吹き付ける請求項1又は2に記載の非接触式眼圧計。
  4. 前記第2吹付口が、前記第1吹付口の上方向側及び下方向側の少なくとも一方向側に設けられている請求項に記載の非接触式眼圧計。
  5. 前記第2吹付口が、前記第1吹付口を囲む環状に形成されている請求項に記載の非接触式眼圧計。
  6. 前記第1流体吹付部、前記第2流体吹付部、前記第1吹付口、及び前記第2吹付口を備える眼圧計本体と、
    前記被検眼に対して前記眼圧計本体を相対移動させる相対移動機構と、
    前記相対移動機構を駆動して、前記被検眼に対する前記第1吹付口のアライメントを実行するアライメント制御部と、
    を備え、
    前記第2流体吹付部が、前記アライメントの途中で前記角膜に対する前記第2流体の吹き付けを開始し、
    前記第1流体吹付部が、前記アライメントが完了した場合に前記角膜に対する前記第1流体の吹き付けを開始する請求項からのいずれか1項に記載の非接触式眼圧計。
  7. 前記第1流体吹付部が、ピストンによりシリンダ内の流体を圧縮することで前記第1流体を発生し、
    前記第2流体吹付部が、ファンを回転させることにより前記第2流体を発生させる請求項1からのいずれか1項に記載の非接触式眼圧計。
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