JP7447878B2 - Cr溶湯の脱炭方法およびCr含有鋼の製造方法 - Google Patents

Cr溶湯の脱炭方法およびCr含有鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気炉を用いたCr溶湯の脱炭方法に関する。さらに、そのCr溶湯を用いたCr含有鋼の製造方法に関する。
Cr含有鋼はステンレス製品として幅広く普及している。Cr含有鋼は、目的とするCr含有量のスクラップを溶解し、2次精錬で成分の調整をして製造する方法や、転炉に溶銑とともに高炭素フェロクロム原料を投入し、脱炭吹錬した後、2次精錬で成分調整をして製造する方法、他に、電気炉にて高炭素フェロクロム原料を溶解して、転炉溶鋼と合わせて製造する方法がある。これらの方法の場合、電気炉にて脱炭処理を必要とする。Crを含有する溶鋼または溶銑(以下、溶鋼または溶銑を総称して溶湯と呼ぶ)を脱炭する場合は熱力学的に決定されるある温度以上でないと、Cが優先酸化されずCrが酸化することになる。Crが酸化すると通常は金属シリコンもしくはアルミ等の脱酸材を用いて、送酸による酸化反応で生じたCrの酸化物であるスラグ中のCrを還元し溶湯中へ戻す必要がある。その場合、脱酸材コストが増大するのみではなく、還元しきらなかったCrを含む難使用スラグの増加を招く。その様なスラグの再利用もしくは産業廃棄にかかる負担は製鉄プロセスをひっ迫させる。よって、Cr含有鋼製造の際は、脱炭処理時にこのCrの酸化を抑制する技術が必要である。たとえば、Crの酸化ロスを抑制する先行技術として以下が挙げられる。
特許文献1には、転炉やAOD炉等の精錬炉でC:1質量%以上、Cr:5質量%以上を含有する含Cr溶湯を脱炭精錬するに際し、出鋼前の溶鋼温度を1700~1760℃に制御する製造技術が開示されている。
また、特許文献2には、高炉溶銑とフェロクロム合金鉄を用いたステンレス粗溶鋼の溶製において、精錬炉にて脱炭精錬するに際し、精錬炉に装入された溶銑に金属アルミニウム(Al)あるいは金属Al分を含んだアルミドロスを昇温材として添加して昇温することにより、フェロクロム合金添加直前の溶湯温度を1450~1600℃とし、かつ、スラグ中Al濃度を10~30%、溶湯中[C]濃度を2.5~4.0%とした後、フェロクロム合金を連続的に添加しつつ、吹酸脱炭精錬を行う技術が開示されている。
特開2002-285222号公報 特開平09-59708号公報
D.C.Hilty、et al、"Obsavations おf Stainless Steel Melting Practice"、J. Iron Steel Inst.、 London、 vol.180、pp.116-128(1955)
しかしながら、上記従来の技術には、以下のような問題点がある。
特許文献1に開示の技術については、出鋼前温度を1700~1760℃に制御するのみであり、脱炭中の温度条件を規定したものではない。出鋼温度の確保によって脱炭中の優先脱炭温度が保証されたものではない。また、比較的高C低Cr条件下で脱炭する場合は不必要に温度を確保することになり、昇熱コストはもとより、高温処理をすることでいたずらに耐火物へ悪影響を与えることが問題となる。
また、特許文献2に開示の技術は、高炉溶銑および転炉を用いたCr含有鋼の脱炭酸素吹錬についてのみ開示されており、高炉溶銑を用いない電気炉でCr含有鋼を製造する技術に適用できるものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電気炉を用いてCr含有溶湯を脱炭するにあたり、Crの酸化ロスを低減したCr溶湯の脱炭方法を提案することにある。さらに、得られたCr溶湯を用いてCr含有鋼を製造する方法を提案する。
上記課題を有利に解決する本発明にかかる第一のCr溶湯の脱炭方法は、電気炉を用いてCr含有溶湯を脱炭するにあたり、質量基準でCr:55~70%およびC:4~9%の高炭素フェロクロムを前記電気炉に装入し溶解した後、または、投入した後の脱炭開始温度Tsを1535℃以上とすることを特徴とする。
上記課題を有利に解決する本発明にかかる第二のCr溶湯の脱炭方法は、電気炉を用いてCr含有溶湯を脱炭するにあたり、質量基準で、溶湯中Cr濃度[%Cr]=5~70および溶湯中C濃度[%C]=1~10の範囲における優先脱炭温度Tc(℃)を下記(1)式で計算し、前記Cr含有溶湯の脱炭開始温度Ts(℃)を前記優先脱炭温度Tc以上に制御して脱炭処理を開始することを特徴とする。
Tc=2.5×[%Cr]+1365 (1)
なお、本発明にかかる転炉の操業方法は、上記第一または第二のCr溶湯の脱炭方法において、
(a)前記Cr含有溶湯の脱炭開始温度Tsの制御は、[I]金属元素の酸化発熱反応を用いた昇温、[II]Cr含有溶湯への通電による昇温、または、[III]所定の温度を有する溶銑または溶鋼を利用することから選ばれる1または2以上を組み合わせて行うこと、
(b)溶湯温度Tr(℃)を下記(2)式で求められる脱炭平衡温度Th(℃)以上となるように冷却材を投入しながら、前記Cr含有溶湯の脱炭処理を行うこと、(2)式中、[%Cr]:質量基準の溶湯中Cr濃度(質量%)、[%C]:質量基準の溶湯中C濃度(質量%)、Th:Hiltyの実験式に基づくCr含有溶湯の脱炭平衡温度(℃)を表す、
(c)前記Cr含有溶湯の脱炭処理にあたり、酸素源として、Cr系ステンレス鋼の1次精錬または2次精錬で発生し回収されるCr含有スラグまたはCr含有ダストを用いること、
(d)前記Cr含有溶湯の脱炭中にCr含有原料およびCr含有スクラップから選ばれる一または二を冷却材として投入すること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
log{[%Cr]/[%C]}=8.76-13800/(Th+273)(2)
上記課題を有利に解決する本発明にかかるCr含有鋼の製造方法は、上記いずれかのCr溶湯の脱炭方法を用いて脱炭された相対的にCr濃度の高いCr含有溶湯を、別途脱炭して用意した相対的にCr含有量の少ない、または、実質的にCrを含有しない溶鉄で希釈し、または、希釈せずに、仕上げ脱炭し、同時に成分調整したのち、鋳造することを特徴とする。
本発明によれば、Cr溶湯の脱炭処理にあたり、Cが優先的に酸化するように脱炭開始時の溶湯温度を高めることでCrの酸化ロスを低減することできるようになる。それにより、Crの歩留り向上、Crの還元材低減および難使用スラグの発生量低減が図れるので、Cr含有鋼の製造コストを低廉化することができる。本発明は、特にCr含有量が5~70%である高Cr溶湯に好ましく適用できる。
本発明にかかるCr含有鋼の製造方法を模式的に表すフロー図である。 Cr:70質量%のフェロクロムのC濃度-温度にかかる計算状態図上にHiltyの実験式に基づくCr酸化-C酸化の境界を曲線で描いたグラフである。 Cr含有溶湯のCr濃度と脱炭開始温度との関係を示すグラフである。 図2の状態図に脱炭中のC濃度と溶湯温度との推移を示すグラフである。 実施例のCr酸化指標を比較するグラフである。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1はCr含有鋼の製造プロセスの一例を示すフロー図である。Cr含有鋼、たとえば、Crを9質量%以上含有するCr系ステンレス鋼を製造する場合、一次精錬工程10では、目的とするCr含有量のスクラップを原料1として、電気炉2で溶解しCr含有溶鋼とする方法もある。しかしながら、製造コストの観点から、一次精錬工程10において、高炭素フェロクロム等を原料1として電気炉2で溶解し、Cr含有溶湯を得て、一方、溶銑等を原料1として転炉3で一次精錬(S10)し、溶鋼を得て、得られたCr含有溶湯と溶鋼を合わせて、所定のCr含有量のCr含有溶鋼を得る方法がある。その後、これらのCr含有溶鋼を2次精錬工程20においてVOD等の減圧容器で脱ガスおよび成分調整し(S20)、鋳造工程5で、たとえば連続鋳造し半製品を製造する。これらの方法では、1次精錬工程10としての電気炉2による溶解や転炉精錬、および2次精錬工程20のいずれも脱炭処理(S10、S20)を必要とする。なお、CrおよびCを含有するCr含有溶湯の残部はSiなどの不可避不純物およびFeである。
本発明にかかるCr溶湯の脱炭方法は、1次精錬工程10としての電気炉2におけるCr含有溶湯の脱炭工程(S10)にかかる。この電気炉での脱炭工程で使用する酸素源としては、上吹きランスまたは底吹き羽口から供給される酸化性ガスであってもよいし、Cr含有スラグやダストなどの固体状酸素源であってもよい。酸化性ガスとしては、酸素ガスや酸素ガスに不活性ガスを混合したガスが挙げられる。
Cr含有鋼の製造プロセスで回収されるCr含有スラグや排ガスの集塵処理により採取されるダスト中のCr濃度はおよそ10~60質量%程度である。これを上記脱炭処理のための酸素源として用いる場合、30質量%以上のCr濃度のスラグやダストが好ましい。ただし、Cr含有スラグやダスト中のCrを還元するのに、金属SiやAlなどの脱酸剤を用いるのでは精錬スラグが増加してしまう。一方、酸化性ガスの供給による送酸脱炭中は、スラグが高酸素状態になっており、新たに酸化物を投入すると異常反応を起こし、突沸などが懸念される。したがって、Cr含有スラグやダストを投入する時期は、脱炭開始前から脱炭初期までにすることが好ましい。
本発明の第一の実施形態では、電気炉で主として高炭素フェロクロムを溶解する。電気炉で溶解する高炭素フェロクロムは、JIS G 2303:1998に規定される汎用高炭素フェロクロムとすることができ、Cr濃度が、55~70質量%、C濃度が、4~9質量%である。高炭素フェロクロムの一例として、Cr濃度70質量%の場合のC濃度-温度状態図を、熱力学ソフトウェアを用いて計算した。また、その状態図上に、下記(2)式で示されるHiltyの実験式(非特許文献1)を破線で示した。これを図2に示す。この破線は優先脱炭曲線として広く知られており、この曲線より高温側で酸素を供給すると脱炭が進行し、低温側で酸素を供給するとCrが酸化する、脱炭平衡温度Thを表す。
log{[%Cr]/[%C]}=8.76-13800/(Th+273)(2)
ここで、[%Cr]:質量基準の溶湯中Cr濃度(質量%)、
[%C]:質量基準の溶湯中C濃度(質量%)、
Th:Hiltyの実験式に基づくCr含有溶湯の脱炭平衡温度(℃)
を表す。
図2に示す状態図から、Cr濃度が70質量%程度の高炭素フェロクロムは、C濃度[%C]~3質量%、1420℃程度の液相として溶解開始することがわかる。すなわち、高炭素フェロクロムが溶け始める温度域で酸素源を供給して脱炭処理を開始すると、Crの酸化反応熱によって上記(2)式の脱炭平衡温度Th以上に昇温するまで、脱炭反応効率が低下し、Crの酸化ロスが生じてしまう。酸素源がCr含有スラグやダストの場合には、優先脱炭温度Th未満では脱炭反応に寄与しない。
したがって、高炭素フェロクロムを原料1として電気炉2に装入し、溶解した後に酸素源を供給して脱炭処理を開始する場合には、図2に一点鎖線で示す液相線と破線で示す(2)式の曲線の交点である1535℃以上とする。状態図上のより高炭素側の液相線温度を選んでもよいが、昇熱コストおよび炉の耐火物保護の観点から、脱炭開始温度Tsは、少なくとも1535℃を下限とし、1700℃を上限とすることが好ましい。また、電気炉2中に保持したCr含有溶湯に高炭素フェロクロムを投入した後、酸素源を供給して脱炭処理を開始する場合にも、同じく脱炭開始温度Tsは、少なくとも1535℃を下限とし、1700℃を上限とすることが好ましい。
本発明の第二の実施形態では、電気炉で高炭素フェロクロムとスクラップとを合わせて溶解し、Crを希釈してCr含有溶湯とする。この実施形態では、Cr含有溶湯を脱炭する際、溶湯中のCr濃度およびC濃度ともに原料1のフェロクロムより希釈されている。上記(2)式からわかるように、同じC濃度であっても、Cr濃度が低いほど、上記(2)式の脱炭平衡温度Thは低くなる。したがって、上記第一の実施形態より低い溶湯温度から脱炭処理を開始することができる。ここで、スクラップは、鉄スクラップを用いるが、ステンレス鋼スクラップ、とくに、Cr系ステンレス鋼のスクラップが好ましい。
図3に溶湯中Cr濃度[%Cr](質量%)と脱炭が開始する溶湯温度(優先脱炭温度)Tc(℃)との関係を示す。図3中のプロットは、各Cr濃度におけるCr含有鉄のC濃度-温度状態図上に(2)式の曲線を描いて液相線との交点を求めたものである。一次式で近似して下記(1)式を得た。この(1)式の適用範囲は、Cr濃度[%Cr]=5~70質量%、C濃度[%C]=1~10質量%の範囲である。この範囲のCr含有溶湯を計算した優先脱炭温度Tc以上の温度で脱炭処理開始することで脱炭処理中のCr酸化が低減できる。
Tc=2.5×[%Cr]+1365 (1)
また、Cr含有溶湯の脱炭処理をより効率的に行うため、スラグの塩基度(CaO)/(SiO)は3以上とすることが好ましい。脱炭処理中にCrが酸化してスラグ中にCrとして移行する。このCr含有スラグの塩基度が3未満では液相率が低下するおそれがある。一方、塩基度を高めるためにはCaOを添加する必要があり、スラグ量抑制の観点からは、Cr含有溶湯の脱炭処理中は、スラグ塩基度の上限を3.8程度とすることが好ましい。スラグ塩基度の設計にあたっては、原料1の高炭素フェロクロムその他Cr含有原料やスクラップに含まれるSi含有量、および、原料1としてのCr含有スラグやダストに含まれるCaO含有量やSiO含有量を考慮する。
Cr含有溶湯の溶湯温度の測定は、接触式温度計または非接触式温度計を用いて行う。溶湯温度が、上記第一の実施形態の場合の1535℃または上記第二の実施形態の場合の優先脱炭温度Tcを下回っていれば、以下の(I)~(III)から選ばれるいずれかまたは組み合わせた昇熱方法を用いて昇熱することが好ましい。(I)C源として、黒鉛や無煙炭など、Al源として、アルミペレットやアルミブリケットなど、Si源として、フェロシリコンなどに酸化性ガスを吹き付けて、酸化発熱反応を用いる。(II)Cr含有溶湯への通電を用いる。(III)脱珪・脱りん処理して昇温した溶銑や溶鋼を用いる。
なお、合金コスト低減の観点、スラグ量の抑制の観点、成分組成の自由度の観点からは、通電による昇温(II)が好ましい。そして、溶湯温度が上記第一の実施形態または第二の実施形態で定める脱炭開始温度Tsに昇温されたら、酸素源を投入して脱炭処理を開始する。
Cr含有溶湯の脱炭処理中は、溶湯温度が全期間で、上記(2)式で求められる脱炭平衡温度Th(℃)以上となるように操業することが好ましい。そうすることで、Crの酸化ロスを低減できる。一方、炉体保護の観点からは、あまりに高温での処理は好ましくないので、溶湯温度を1700℃以下にすることが好ましい。
脱炭処理中にも、都度、接触式温度計や非接触式温度計を用いて、溶湯温度を測定し、冷却材を添加したり、上記昇温手段のいずれかまたは組み合わせて昇熱したりたりすることが好ましい。ここで、脱炭処理中に添加する冷却材としては、高炭素フェロクロムなどのCr含有原料やCr含有スクラップが好ましく、Cr含有スクラップとしては、Cr系ステンレス鋼スクラップが挙げられる。
また、酸素源として、Cr含有スラグまたはCr含有ダストを用いる場合には、Cr含有溶湯の脱炭反応発熱量よりも、酸化物の還元吸熱量のほうが大きい。そこで、溶湯の温度降下を防止するため、通電や送酸を都度併用することが好ましい。加えて、脱炭酸素効率を向上させるために、Cr含有溶湯を攪拌することが好ましい。攪拌エネルギー密度として、15~300W/t程度が好ましく、脱炭および温度上昇による湯面の状態によって調整することが好ましい。
上記のように一次精錬工程10として、電気炉2で脱炭(S10)して、相対的にCr含有量の多いCr含有溶湯を溶製する。同時に、一次精錬工程として、溶銑などを原料1として、脱炭(S10)し、相対的にCr含有量の少ない、または、Crを含有しない溶鉄を溶製する。ここで、溶鉄とは、脱炭した溶銑、溶解した冷鉄源および溶鋼を含む主としてFeからなる溶融金属をいうものとする。得られたCr含有溶湯を直接、または、溶鉄と合わせて必要なCr含有量に調整したうえで、二次精錬工程20のVODやAOD、LF、RH-OBなどを用いて、仕上げ脱炭および成分調整する(S20)。そののち、連続鋳造などの鋳造工程5でCr含有鋼の半製品とする。
実施例の操業条件および結果を表1に示す。
(実施例1)
発明例である処理No.1~5は、50t規模の電気炉を用い、高炭素フェロクロム(Cr濃度:68~70質量%、C濃度:7.8~8.5質量%)を原料として装入し、アーク溶解した。Crリサイクルの観点からステンレス鋼製造時に発生したCr含有ダストをCr含有原料として脱炭処理前に投入した。さらに、媒溶剤を投入して、脱炭処理時のスラグ塩基度が質量基準で(CaO)/(SiO):3.5程度となるように調整した。溶解してCr含有溶湯を得た後は、酸素を吹き付けてC濃度が1.8質量%以下になるまで脱炭処理した。その際、非接触式温度計で溶湯温度を測定し、送酸開始時の溶湯温度が1535℃以上となるように調整した(処理No.1~5)。また、送酸脱炭処理時は、過昇熱となるため、13%Crステンレス鋼ビレットおよび高炭素フェロクロムを冷却材として投入した。目標のC濃度に到達後、スラグ中のCrを還元材で還元回収した。なお、電力原単位は、溶解期および送酸脱炭期に装入・投入する高炭素フェロクロムおよびステンレスビレットの合計重量に対して従来技術である処理No.12と同一条件とした。
(実施例2)
発明例である処理No.6~11は、50t規模の電気炉を用い、高炭素フェロクロム(Cr濃度:68~70質量%、C濃度:7.8~8.2質量%)および13%Crステンレス鋼ビレットを原料として装入し、アーク溶解した。Crリサイクルの観点からステンレス鋼製造時に発生したCr含有ダストをCr含有原料として脱炭処理前に投入した。さらに、媒溶剤を投入して、脱炭処理時のスラグ塩基度が質量基準で(CaO)/(SiO):3.5程度となるように調整した。溶解してCr含有溶湯を得た後は、酸素を吹き付けてC濃度が0.5~1.3質量%になるまで脱炭処理した。その際、非接触式温度計で溶湯温度を測定し、送酸開始時の溶湯温度が(1)式の優先脱炭温度Tc以上となるように調整した(処理No.6~11)。また、処理No.6~8については、送酸脱炭処理時に、過昇熱となるため、13%Crステンレス鋼ビレットおよび高炭素フェロクロムを冷却材として投入した。その際、高炭素フェロクロムの投入時には、溶湯温度が1535℃以上であることを確認した。目標のC濃度に到達後、スラグ中のCrを還元材で還元回収した。
(従来例)
従来技術である処理No.12は、高炭素フェロクロム(Cr濃度:68質量%、C濃度:8.2質量%)を原料として装入し、アーク溶解した。Crリサイクルの観点からステンレス鋼製造時に発生したCr含有ダストをCr含有原料として脱炭処理前に投入した。さらに、媒溶剤を投入して、脱炭処理時のスラグ塩基度が質量基準で(CaO)/(SiO):3.5程度となるように調整した。溶解してCr含有溶湯を得た後は、酸素を吹き付けてC濃度が1.8質量%以下になるまで脱炭処理した。その際、目視でフェロクロムの溶解を確認してから送酸を開始した。非接触式温度計による測温では1470℃であった。また、処理No.12では、全フェロクロムを溶解期に装入・投入し、送酸脱炭期に投入する冷却材は13%Crステンレス鋼ビレットのみとした。目標のC濃度に到達後、スラグ中のCrを還元材で還元回収した。
Figure 0007447878000001
表1には、操業結果として、脱炭後C濃度[C](質量%)、推定Cr酸化量およびCr酸化指数を示す。推定Cr酸化量は、還元剤使用量とスラグ中成分組成およびスラグ量とからCrの合計値として算出し、処理No.12を1として基準化した。Cr酸化指数は脱炭量(kg/t)に対するCr酸化量(kg/t)を算出し、処理No.12を1として基準化した。
表1の結果から配合時のCr濃度およびC濃度が同等の処理1~5とNo.12を比較して、発明例である処理No.1~5は、従来例である処理No.12と比較して、Cr酸化量が低減できていることがわかる。Cr酸化量が最も低減できた処理No.2と従来例の処理No.12について、脱炭処理中の溶湯中C濃度および溶湯温度の推移を図4にプロットした。処理No.12については、特許文献1に示す出鋼時1700~1760℃を目標に操業し、フェロクロムの溶解開始時点であるC濃度:4質量%、溶湯温度Ts:1470℃付近で送酸開始し、C濃度:3.3質量%付近では、1700℃以上に上昇し、最高1870℃程度まで上昇した。一方、発明例である処理No.2は、送酸開始時の溶湯温度Ts:1640℃から、脱炭処理期間中1600~1680℃の比較的なだらかなC濃度量-温度推移を示し、すべての両域で(2)式の脱炭平衡温度Th以上を維持した。したがって、処理No.2の操業は、脱炭酸素効率が向上し、炉体への負荷も軽減した操業を実現できている。
表1に併記した、脱炭量で補正したCr酸化指数を比較して、実施例2のようにフェロクロムをステンレス鋼で希釈しCr含有量を低減した場合であっても、脱炭開始温度を制御することでCr酸化ロスを低減した操業を行うことができた(図5)。
本発明のCr溶湯の脱炭方法やCr含有項の製造方法は、電気炉に限らず、Cr含有溶湯の送酸脱炭処理に適用して好適である。
1 原料
2 電気炉
3 転炉
5 連続鋳造(鋳造工程)
10 一次精錬工程
20 二次精錬工程

Claims (6)

  1. 電気炉を用いてCr含有溶湯を脱炭するにあたり、質量基準で、溶湯中Cr濃度[%Cr]=5~70および溶湯中C濃度[%C]=1~10の範囲における優先脱炭温度Tc(℃)を下記(1)式で計算し、前記Cr含有溶湯の脱炭開始温度Ts(℃)を前記優先脱炭温度Tc以上に制御して脱炭処理を開始することを特徴とするCr溶湯の脱炭方法。
    Tc=2.5×[%Cr]+1365 (1)
  2. 前記Cr含有溶湯の脱炭開始温度Tsの制御は、[I]Cまたは金属元素の酸化発熱反応を用いた昇温、[II]Cr含有溶湯への通電による昇温、または、[III]所定の温度を有する溶銑または溶鋼を利用することから選ばれる1または2以上を組み合わせて行うことを特徴とする請求項1に記載のCr溶湯の脱炭方法。
  3. 溶湯温度Tr(℃)を下記(2)式で求められる脱炭平衡温度Th(℃)以上となるように冷却材を投入しながら、前記Cr含有溶湯の脱炭処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のCr溶湯の脱炭方法。
    log{[%Cr]/[%C]}=8.76-13800/(Th+273)(2)
    ここで、[%Cr]:質量基準の溶湯中Cr濃度(質量%)、
    [%C]:質量基準の溶湯中C濃度(質量%)、
    Th:Hiltyの実験式に基づくCr含有溶湯の脱炭平衡温度(℃)
    を表す。
  4. 前記Cr含有溶湯の脱炭処理にあたり、酸素源として、ステンレス鋼の1次精錬または2次精錬で発生し回収されるCr含有スラグまたはCr含有ダストを用いることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のCr溶湯の脱炭方法。
  5. 前記Cr含有溶湯の脱炭中にCr含有原料およびCr含有スクラップから選ばれる一または二を冷却材として投入することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のCr溶湯の脱炭方法。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のCr溶湯の脱炭方法を用いて脱炭された相対的にCr含有量の多いCr含有溶湯を、別途脱炭して用意した相対的にCr含有量の少ない、または、Crを含有しない溶鉄で希釈し、または、希釈せずに、仕上げ脱炭し、同時に成分調整したのち、鋳造することを特徴とするCr含有鋼の製造方法。
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JP2016183385A (ja) 2015-03-26 2016-10-20 Jfeスチール株式会社 低窒素鋼の溶製方法
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