以下、実施の形態に係る自動倉庫システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、情報処理の内容及び順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。
また、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、以下の記載において、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が平行である、とは、当該2つの方向が完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
(実施の形態)
[1.自動倉庫システムの構成概要]
まず、図1を用いて、実施の形態に係る自動倉庫システム10の構成概要を説明する。図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム10の構成概要を示す平面図である。
本実施の形態に係る自動倉庫システム10は、スタッカクレーン100と、ラック50とを備えている。ラック50は、スタッカクレーン100の通路30の延在方向に交差する奥行方向に延在している。本実施の形態では、通路30はX軸方向に平行に延在しており、スタッカクレーン100は、通路30に敷設された軌道31に沿ってX軸方向に走行する。スタッカクレーン100は、ラック50に対して荷物20の受け渡しを行うことができ、かつ、ラック50に対してシャトル70の受け渡しを行うことができる。スタッカクレーン100は、これら受け渡しを行うための昇降台120と移載装置130とを有している。シャトル70は、ラック50内で荷物20の搬送及び移載を行うことができる。荷物20は、例えば、複数の段ボール箱が積載されたパレットである。
ラック50は、奥行方向(本実施の形態ではY軸方向)に複数の荷物20が載置可能な載置棚51を有している。シャトル70は、載置棚51を、その奥行方向に移動可能である。載置棚51は、例えば図1において、番号(1)~(7)が付されているように、7つの荷物20が載置可能な位置(載置ポイント)を有している。複数の載置ポイントのそれぞれは、実体としては、奥行方向において互いに区分された、載置棚51内の空間領域である。シャトル70は、例えば、レール部材54の長手方向に分散して配置されたマークを、光学的にまたは磁気的に検出することで、現在、どの載置ポイントにいるのかを検出でき、その検出結果をコントローラ300に通知することができる。
これら複数の載置ポイントのうち、通路30寄りの2つのポイントは、ホームポイント52及び待機ポイント53である。ホームポイント52は、スタッカクレーン100がラック50との間でシャトル70及び荷物20の受け渡しを行う場合の、シャトル70及び荷物20の載置位置である。待機ポイント53は、ホームポイント52に荷物20を載置するスタッカクレーン100とシャトル70との干渉を避けるためにシャトル70が待機する位置である。例えば、スタッカクレーン100がシャトル70を引き取る場合、シャトル70は、待機ポイント53からホームポイント52に移動して停止する。スタッカクレーン100は、ホームポイント52で停止しているシャトル70を、移載装置130によって引き取ることができる。
本実施の形態では、載置棚51は、ラック50において、上下方向(Z軸方向)に並んで複数配置されている。図1に示す平面図では、例えば最下段の載置棚51のレイアウトが示されおり、ラック50では、このようにレイアウトされた載置棚51のそれぞれの上方(紙面の手前側)に、1以上の載置棚51が並んで配置されている。この上下方向で並ぶ複数の載置棚51の集合を、1連の載置棚51とした場合、図1から分かるように、複数連の載置棚51が、スタッカクレーン100の通路30の延在方向であるX軸方向に並べられている。さらに、通路30を挟む両側に、X軸方向に並べられた複数連の載置棚51が配置されている。本実施の形態では、これら複数連の載置棚51に記号A~Tが付されており、この記号によって各連の載置棚51が識別される。以下では、例えば、記号Aが付された1連の載置棚51を、A連の載置棚51Aと表現する。
本実施の形態では、このような複数連の載置棚51の集合を「ラック50」と称するが、例えば、1連の載置棚51が「ラック」と呼ばれる場合もある。この場合、本実施の形態に係る自動倉庫システム10は、複数のラックを備えている、と表現できる。
スタッカクレーン100及び複数のシャトル70のそれぞれは、指揮系統でこれらの上位に位置するコントローラ300によって制御される。コントローラ300、スタッカクレーン100、及びシャトル70の相互間は、例えば、無線規格であるIEEE 802.11に規定された無線LAN(Local Area Network)によって接続されている。具体的には、図1に示すように、ラック50を囲むように複数のアクセスポイント83が配置されており、複数のシャトル70のそれぞれは、複数のアクセスポイント83のうちのいずれかと無線通信を行うことで、コントローラ300と情報のやり取り(通信)を行うことができる。
具体的には、シャトル70は、アクセスポイント83との間で無線通信を行う第一通信機81を有しており、第一通信機81により、コントローラ300から各種の指示を受信し、かつ、コントローラ300に各種の情報を送信する。つまり、シャトル70とコントローラ300との間の主な通信経路として、アクセスポイント83を経由する通信経路(第一通信経路)が使用される。本実施の形態に係る自動倉庫システム10では、第一通信経路が確立できない場合、つまりシャトル70が通信不能となった場合等に備え、補助的な通信経路(第二通信経路)を提供する手段を有している。具体的には、スタッカクレーン100に、シャトル70の第一通信機81と無線通信が可能な第二通信機82が配置されている。第二通信機82は、本実施の形態では、コントローラ300に接続された中継器またはアクセスポイントとして機能する通信機である。つまり、第二通信機82は、コントローラ300とシャトル70の第一通信機81との間の通信を中継する中継機能を有している。例えば、荷物20による電波の遮断等に起因してシャトル70が通信不能となった場合、コントローラ300は、第二通信機82を介してシャトル70と通信することができる。コントローラ300とシャトル70との間の通信経路については、図6~図9を用いて後述する。
コントローラ300が実行する各種の情報処理は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等の記憶装置、および情報の入出力のためのインタフェース等を備えたコンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。
本実施の形態では、スタッカクレーン100及びシャトル70が稼働する領域に人が立ち入らないように、図1に示すように、ラック50を囲むように安全柵170が配置されている。安全柵170には、作業員がメンテナンス等のために安全柵170の内側に入れるように、進入口171aが設けられている。進入口171aは、通常、扉171で閉じられており、作業員は、ラック50またはシャトル70等のメンテナンスを行う場合、所定の操作によって扉171を開錠し、進入口171aから安全柵170の内側に入ることができる。なお、自動倉庫システム10はさらに、荷物20及びシャトル70等の入出庫のための入出庫口及び入出庫コンベア等を備えているが、これらの図示及び説明は省略する。
シャトル70は、昇降テーブル71を備えており、荷物20の下方の空間に移動して昇降テーブル71を上昇させることで、荷物20を持ち上げることができる。シャトル70は、荷物20を持ち上げた状態で走行し、コントローラ300に指示された位置で昇降テーブル71を降下させる。これにより、荷物20は載置棚51に載置される。シャトル70は、このような動作により、ラック50内において荷物20の搬送及び移載を行う。
シャトル70は、荷物20の搬送及び移載のための電力を供給するバッテリーを内蔵している。バッテリーの蓄電量が所定の値以下になった場合、シャトル70は、コントローラ300に充電を要求し、その後、コントローラ300による制御の下で、ラック50の進入口171a側に設けられた充電ポイント200まで移動する。充電ポイント200に移動したシャトル70には、図示しない充電装置が接続され、これにより、バッテリーの充電がなされる。
次に、実施の形態に係るラック50、シャトル70、及びスタッカクレーン100のそれぞれの構成について、図2~図4を参照しながら説明する。
[2.ラック及びシャトルの構成]
図2は、実施の形態のラック50の一部を示す正面図である。図2では、ラック50の内のA連の載置棚51A及びB連の載置棚51Bを、通路30側から見た場合が図示されており、かつ、下から3段目及び4段目の載置棚51の図示は省略されている。図3は、実施の形態に係る載置棚51とシャトル70との構造上の関係を示す斜視図である。図3では、1つの載置棚51のみ図示されており、かつ、載置棚51を支持するラック柱55及び他の載置棚51等の図示は省略されている。
図2及び図3に示すように、ラック50において、載置棚51は、左右一対のレール部材54を有している。本実施の形態では、一対のレール部材54によって、荷物20及びシャトル70のそれぞれの左右(走行方向(Y軸方向)から見た場合の左右、以下同じ)の端部を下方から支持する構造が採用されている。一対のレール部材54のそれぞれは、固定部材56によって、当該レール部材54に対応するラック柱55に固定されている。
レール部材54は、荷物20が載置される載置面を形成する載置面部54bと、シャトル70の走行面を形成する走行面部54aとを有している。載置面部54b及び走行面部54aは、レール部材54の長手方向に沿って延在し、載置面部54bは、走行面部54aよりも上方かつ外側(レール部材54が固定されたラック柱55側)に位置している。
シャトル70は、図2及び図3に示すように、平板状のシャトル本体部70aと、シャトル本体部70aの中央部に設けられた昇降テーブル71と、走行面部54a上で転動する複数のローラ72とを備えている。本実施の形態では、シャトル本体部70aの左右に計4つのローラ72が設けられており、これら4つのローラ72は、図示しない走行用モータによって回転駆動される。これによりシャトル70は、一対のレール部材54に沿って走行する。
シャトル本体部70aが一対のレール部材54に支持された状態では、シャトル本体部70aの上面の高さ方向(Z軸方向)の位置は、当該一対のレール部材54の載置面部54bよりも下に位置する。従って、シャトル70は、載置面部54bに置かれた荷物20の下にもぐり込むことができ、かつ、荷物20の真下で昇降テーブル71を上昇させることで荷物20を載置面部54bから持ち上げることができる。また、昇降テーブル71によって持ち上げられた荷物20は、昇降テーブル71を降下させることで、載置面部54bに載置することができる。つまり、シャトル70は、載置棚51(一対のレール部材54)において、昇降テーブル71を昇降させることで、載置棚51から荷物20を受け取ること、及び、載置棚51に荷物20を渡すこと、つまり、載置棚51との間で荷物20を移載することができる。
シャトル本体部70aの内部には、CPU等で構成されたシャトル制御部75、バッテリー76、及び第一通信機81等の各種の機器が収容されている。走行用モータ、昇降テーブル71の昇降を駆動する昇降用モータ(図示せず)、シャトル制御部75、及び第一通信機81等の各種の電気機器は、バッテリー76から供給される電力によって動作する。シャトル本体部70aの、移動方向(Y軸方向)の側面には、バッテリー76からの電力供給のオン及びオフを行うための主電源スイッチ73が設けられている。なお、図3では図示されていないが、シャトル70のY軸プラス方向の側面にも主電源スイッチ73が配置されている。
第一通信機81は、複数のアクセスポイント83(図1参照)のいずれかと無線通信を行う機器である。第一通信機81はさらに、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82と無線通信を行うことができる。第一通信機81は、アクセスポイント83及び第二通信機82のそれぞれを介して、コントローラ300及びスタッカクレーン100と通信することができる。例えば、シャトル70の第一通信機81は、コントローラ300から、ホームポイント52に置かれた荷物20を、載置ポイント(4)(図1参照)に載置する指示(搬送指示)を、アクセスポイント83を介して受信する。シャトル制御部75は、当該搬送指示に従って4つのローラ72の回転制御、及び、昇降テーブル71の昇降制御を行う。これにより、シャトル70は、ホームポイント52に置かれた荷物20を載置ポイント(4)まで搬送し、載置ポイント(4)に移載することができる。シャトル70は、当該搬送指示に従った一連の作業が完了し場合、当該搬送指示の完了を、アクセスポイント83を介してコントローラ300に通知する。
本実施の形態において、一対のレール部材54によって構成される載置棚51は、図2に示すように、上下方向(Z軸方向)に複数段(本実施の形態では5段)並べられており、それぞれを識別するために、連を識別する記号及び段数を含む符号が付与されている。例えば、A連の載置棚51Aにおける最下段(1段目)の載置棚51は、載置棚51A1であり、A連の載置棚51Aにおける2段目の載置棚51は、載置棚51A2である。同様に、A連の載置棚51Aにおける最上段(5段目)の載置棚51は、載置棚51A5である。B連の載置棚51Bについても、図2に示すように、最下段から、載置棚51B1、載置棚51B2、・・・、載置棚51B5のように、各載置棚51に符号が付与されている。
[3.スタッカクレーンの構成]
図4は、実施の形態に係るスタッカクレーン100の構成概要を示す斜視図である。なお、図4では、スタッカクレーン100の基本的な構成が簡易的に図示されており、昇降台120の昇降のためのワイヤ及びモータ、並びに、昇降台120の動作を制御する制御装置等の図示は省略されている。
本実施の形態に係るスタッカクレーン100は、上部台車101と、上部台車101から下方に延設された一対のマスト110と、一対のマスト110の下端と接続された下部台車107と、一対のマスト110に沿って昇降する昇降台120とを備えている。
下部台車107は、スタッカクレーン100の移動を駆動する台車である。具体的には、下部台車107は、床面上に敷設された軌道31に当接する1以上のローラ(図示せず)を有し、当該1以上のローラが回転駆動されることで軌道31に沿って移動(走行)する。上部台車101は、一対のマスト110を介して下部台車107と連結されており、下部台車107の移動に伴って移動する。具体的には、上部台車101は、軌道31の上方に配置された上部レール35に案内されながら移動する。昇降台120は、例えば図示しない複数のワイヤによって上部台車101から吊り下げられた状態で配置されており、これらワイヤの巻き上げ及び送り出しによって、昇降台120が、一対のマスト110に沿って昇降する。
昇降台120は、荷物20及びシャトル70の移載を行う移載装置130を有する。本実施の形態では、移載装置130は、スタッカクレーン100の移動方向を前方とした場合における左右両方向に出退するスライドフォーク131を有している。移載装置130は、コントローラ300からの指示により、例えば、載置棚51に対向する位置でスライドフォーク131を伸ばし、その状態で昇降台120が上昇することで、ホームポイント52に置かれた荷物20をすくい上げることができる。移載装置130はさらに、スライドフォーク131が縮めることで、すくい上げた荷物20を昇降台120に引き込むことができる。また、移載装置130は、例えば、載置棚51に対向する位置でスライドフォーク131を伸ばし、その状態で昇降台120が降下することで、スライドフォーク131上に保持されていた荷物20を、載置棚51のホームポイント52に載置することができる。
本実施の形態では、上述のように、スタッカクレーン100に第二通信機82が配置されている。具体的には、昇降台120にネジ止め等の所定の手段で第二通信機82が固定されている。なお、図4に図示する第二通信機82の配置位置は一例であり、移載装置130による荷物20の移載等のスタッカクレーン100の動作を阻害しない位置であれば、昇降台120のどの位置に固定されていてもよい。第二通信機82の配置位置の別例については、図10を用いて後述する。
第二通信機82には、例えば図示しない通信ケーブルが接続されており、通信ケーブルを介してコントローラ300と接続されている。より詳細には、例えば、コントローラ300とスタッカクレーン100の地上コントロールボックス(スタッカクレーン100の原点に設置されているスタッカクレーン100用の制御盤(図示せず))との間は有線LANで接続されている。また、地上コントロールボックスとスタッカクレーン100の本体(例えば下部台車107)との間は光伝送装置(例えば、Ethernet(登録商標))で接続されている。さらに、下部台車107と昇降台120の第二通信機器82との間は、光伝送装置(例えば、Ethernet(登録商標))で接続されている。第二通信機82は、所定の範囲内に存在する第一通信機81とコントローラ300との通信を中継する中継器またはアクセスポイントとして機能する。そのため、例えば、スタッカクレーン100に対向する位置にある載置棚51に配置されたシャトル70は、アクセスポイント83を介した第一通信経路ではなく、第二通信機82を介した第二通信経路を介してコントローラ300と通信を行うことができる。
[4.自動倉庫システムの動作例]
次に、図5を参照しながら、本実施の形態に係る自動倉庫システム10の動作の一例を説明する。図5は、実施の形態に係る自動倉庫システム10の動作の一例を示す図である。図5では、スタッカクレーン100がラック50まで搬送してきた荷物20を、載置棚51B1の載置ポイント(4)に載置する場合の、自動倉庫システム10の動作が表されている。具体的には、図5の(a)に示すように、スタッカクレーン100はスライドフォーク131に荷物20を載せた状態で、載置棚51B1の前方まで移動する。このとき、シャトル70は、載置棚51B1の待機ポイント53で停止している。スタッカクレーン100は、載置棚51B1の前方で停止し、スライドフォーク131上の荷物20を載置棚51B1のホームポイント52に移載する。その後、図5の(b)に示すように、シャトル70は、ホームポイント52に置かれた荷物20の下方に移動し、昇降テーブル71を上昇させて荷物20をホームポイント52から持ち上げる。次に、シャトル70は、図5の(c)に示すように、荷物20を持ち上げた状態で、載置ポイント(4)に向かって走行し、載置ポイント(4)で停止する。さらに、シャトル70は、昇降テーブル71を降下させることで、昇降テーブル71上の荷物20を、載置ポイント(4)に移載する。このようにして、荷物20の載置ポイント(4)への移載が完了すると、シャトル70は、図5の(d)に示すように、待機ポイント53まで戻って停止する。
シャトル70の上記一連の動作は、コントローラ300からの搬送指示によって実行される。具体的には、コントローラ300は、例えば、複数のシャトル70と定期的に通信すること、及び、何等かの指示または応答のために通信することで、複数のシャトル70のそれぞれの状態及び現在位置を検知することができる。コントローラ300は、上記のように、載置棚51B1の載置ポイント(4)に荷物20を移載する場合、載置棚51B1に配置されているシャトル70を特定する。または、載置棚51B1に配置されているシャトル70がない場合、コントローラ300は、その時点で作業が割り当てられていないシャトル70を特定し、スタッカクレーン100を制御することで、特定したシャトル70を、載置棚51B1に配置する。コントローラ300は、載置棚51B1に配置されているシャトル70に対し、ホームポイント52に置かれた荷物20を、載置ポイント(4)に載置する指示(搬送指示)を送信する。この搬送指示には、載置ポイント(4)への荷物20の載置後に、待機ポイント53に戻る指示が含まれている。載置棚51B1の待機ポイント53で停止しているシャトル70は、当該搬送指示をアクセスポイント83を介して受信して実行する。これにより、図5に示すように、シャトル70は、載置棚51B1のホームポイント52に置かれた荷物20を載置ポイント(4)まで搬送し、載置ポイント(4)に載置する。なお、コントローラ300がシャトル70に送信する搬送指示に、待機ポイント53まで戻る指示は含まれなくてもよい。例えば、シャトル70は、搬送指示に従って荷物20の搬送及び移載を完了させた場合、必ず、待機ポイント53まで戻るように、予め設定されていてもよい。
なお、スタッカクレーン100がシャトル70を載置棚51B1に載置する場合も、図5に示される動作と同様の動作が実行される。すなわち、スタッカクレーン100はスライドフォーク131にシャトル70を載せた状態で、載置棚51B1の前方まで移動する。スタッカクレーン100は、載置棚51B1の前方で停止し、スライドフォーク131上のシャトル70を載置棚51B1のホームポイント52に移載する。具体的には、シャトル70を載せたスライドフォーク131を、載置棚51B1のホームポイント52の上方の空間に進出させて、昇降台120を降下させる。これにより、スライドフォーク131は、載置棚51B1を構成する一対のレール部材41の間を通過し、シャトル70は、当該一対のレール部材41の載置面部54bに載置される。つまり、シャトル70は、載置棚51B1のホームポイント52に載置される。その後、シャトル70は、例えばコントローラ300からの指示に従い、載置棚51B1の待機ポイント53に移動して停止する。
また、スタッカクレーン100が載置棚51B1からシャトル70を受け取る場合、スタッカクレーン100は、荷物20を受け取る場合と同様の動作を実行する。すなわち、スタッカクレーン100は、コントローラ300の制御により、載置棚51B1に対向する位置まで移動して停止する。このとき、シャトル70は、ホームポイント52で停止している。載置棚51B1のスタッカクレーン100はさらに、スライドフォーク131を載置棚51B1のホームポイント52に載置されたシャトル70の下方の空間に進出させて、昇降台120を上昇させる。これにより、スライドフォーク131は、載置棚51B1を構成する一対のレール部材41の間を通過し、当該一対のレール部材41の載置面部54bに載置されたシャトル70をすくい上げる。つまり、シャトル70は、スライドフォーク131に載せられる。その後、スライドフォーク131は昇降台120上まで退避する。このようにして、載置棚51B1に配置されていたシャトル70は、スタッカクレーン100に移載される。
なお、シャトル70は自走機能を有するため、シャトル70に走行させることで、スタッカクレーン100とラック50との間を移動させる方式も考えられる。しかしながらこの場合、例えば、複数の載置棚51それぞれの間口(通路30側の端部)にシャトル70の転落を防止し、かつ、必要に応じてシャトル70の移動を許容する可動式の機構が必要となる。これにより、例えばラック50の構造が煩雑となり、製造コスト及びメンテナンスコストが増加する。
また、スタッカクレーン100が、シャトル70を載置棚51に配置した後に、シャトル70が搬送作業を完了して再びスタッカクレーン100に乗り込むまで、スタッカクレーン100を、載置棚51に対向する位置で待たせておくことも考えられる。これにより、シャトル70の載置棚51からの転落は防止される。しかながら、この場合は、スタッカクレーン100とシャトル70とを1対1で対応づけて運用することになり、荷物20の保管及び搬送についての作業効率が著しく低下する。
これらの観点に関し、本実施の形態に係る自動倉庫システム10では、スタッカクレーン100とラック50との間のシャトル70の受け渡しに、スタッカクレーン100の移載装置130(スライドフォーク131)を利用している。これにより、例えば、シャトル70は、載置棚51のホームポイント52で停止しているだけで、スタッカクレーン100に引き取られるため、シャトル70が載置棚51から転落する可能性は低い。また、各載置棚51の間口には、シャトル70の転落防止のための単純なストッパがあればよく、複雑な可動式の機構は不要である。さらに、スタッカクレーン100は、ある載置棚51にシャトル70を配置した直後に、例えば、他の載置棚51に移動して荷物20の受け取り等の作業を実行することができる。つまり、スタッカクレーン100は、シャトル70の載置棚51への配置後にシャトル70の乗り込みまで停止しておく必要はないため、複数のシャトル70のそれぞれが関与する荷物20の搬送作業を並行して実行することができる。
[5.コントローラ-シャトル間の通信経路]
次に、上記のように構成された自動倉庫システム10における、コントローラ300とシャトル70との間の通信経路、及び通信経路の切替制御について、図6~図9を用いて説明する。
図6は、実施の形態に係るコントローラ300とシャトル70との間の第一通信経路を示す模式図である。図7は、実施の形態に係るコントローラ300とシャトル70との間の第二通信経路を示す模式図である。図6及び図7では、複数のアクセスポイント83を識別するために、複数のアクセスポイント83のそれぞれに異なる符号(83a、83b、及び83c)を付している。図8は、実施の形態に係るシャトル70が通信不能となった場合のスタッカクレーン100の動作例を示す第1の斜視図である。図9は、実施の形態に係るシャトル70が通信不能となった場合のスタッカクレーン100の動作例を示す第2の斜視図である。なお、図8及び図9では、スタッカクレーン100の動きを分かりやすく表すために、ラック50のA連の載置棚51A及びE連の載置棚51Eのみが図示されており、他の載置棚51の図示は省略されている。さらに、A連の載置棚51A、E連の載置棚51E、及びスタッカクレーン100それぞれの上端部の図示も省略されている。
本実施の形態では、シャトル70は、ラック50内のどの位置にあっても、原則として、複数のアクセスポイント83のいずれかと通信可能となるように、複数のアクセスポイント83の数及び配置レイアウトが決定されている。より具体的には、例えば、複数のアクセスポイント83の電波到達範囲でラック50内の空間のほぼ全てをカバーできる最小台数のアクセスポイント83が、ラック50の周囲に配置される。この場合、例えば、図6に示すように、ある1つの載置棚51に配置されたシャトル70の第一通信機81は、アクセスポイント83cと無線通信を行うことができる。これにより、シャトル70は、アクセスポイント83cを介してコントローラ300との間で通信を行うことができる。
しかしながら、設計上は、シャトル70が、アクセスポイント83cの通信可能範囲内に位置していても、例えば図7に示すように、アクセスポイント83cとシャトル70との間の複数の荷物20が存在する場合、これら荷物20が無線電波の障害物となり、その結果、シャトル70が通信不能となる場合がある。つまり、アクセスポイント83を経由する第一通信経路が断たれる場合がある。この場合、本実施の形態では、シャトル70は、図7に示すように、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82を経由する第二通信経路を介してコントローラ300と通信を行うことができる。
例えば、図8に示すように、E連の載置棚51Eの4段目(載置棚51E4)に配置されたシャトル70が、アクセスポイント83との通信ができないために通信不能となっている場合を想定する。この場合、コントローラ300は、そのシャトル70が通信不能であると判断することができる。シャトル70が通信不能であること判断する方法としては、コントローラ300とシャトル70との間の定期的な通信の途絶(シャトル70からの応答がないこと)を検知することが例示される。また、コントローラ300は、シャトル70が搬送指示を受領した後の所定の期間内に、シャトル70から搬送指示に示される作業の完了報告がない場合、そのシャトル70が通信不能であると判断することもできる。
コントローラ300は、シャトル70が通信不能であると判断する場合、例えば図8及び図9に示すように、スタッカクレーン100を制御することで、スタッカクレーン100を、E連の載置棚51Eに対向する位置に向かって移動させる。また、本実施の形態では、スタッカクレーン100の昇降台120に第二通信機82が配置されているため、コントローラ300は、スタッカクレーン100を制御することで、昇降台120を、載置棚51E4に対向する位置に向かって移動させる。その結果、図9に示すように、スタッカクレーン100の昇降台120は、載置棚51E4に対向する位置で停止する。これにより、シャトル70が有する第一通信機81と、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82との間の距離が短くなり、かつ、障害物がほぼ存在しない状態となる。つまり、第一通信機81と第二通信機82との間で良好な無線通信を行うことができる状態となる。これにより、コントローラ300とシャトル70との間の通信が復活し、シャトル70は、例えば、コントローラ300から受信した搬送指示に示される作業の完了をコントローラ300に報告することができる。
また、シャトル70及びスタッカクレーン100は、第一通信機81と第二通信機82とが通信することで、ホームポイント52での互いの干渉防止のための制御(インターロック制御)を実行することができる。例えば、スタッカクレーン100の移載装置130が、荷物20のやり取りのためにスライドフォーク131をホームポイント52に進出させる場合、シャトル70は、待機ポイント53またはそれより奥に位置している必要がある。そのために、シャトル70とスタッカクレーン100とは、互いに通信することで、協調して上記のインターロック制御を行う。
例えば、スタッカクレーン100の昇降台120に載せられた荷物20を載置棚51E4のホームポイント52(図1参照)に移載する場合を想定する。この場合、スタッカクレーン100は、第二通信機82と第一通信機81との無線通信により、載置棚51E4のホームポイント52にシャトル70がいないこと確認した後に、当該ホームポイント52に荷物20を移載する。具体的には、シャトル70は、例えば、ホームポイント52に載置された後に走行を開始し、待機ポイント53を通過したタイミングで、スライドフォーク131の進出制限を解除する情報(解除信号)を、スタッカクレーン100に送信する。これにより、スタッカクレーン100はホームポイント52にシャトル70がいないことを確認でき、その後に、荷物20のホームポイント52への載置を行うことができる。
さらに、その後にシャトル70がホームポイント52に進入する前に、シャトル70は、スライドフォーク131の進出を制限する情報(制限信号)を、スタッカクレーン100に送信する。これにより、スタッカクレーン100はその後に解除信号を受信するまで、スライドフォーク131の進出を禁止する。これにより、例えば、ホームポイント52に載置された荷物20を搬送するために、シャトル70が荷物20の下方まで移動した状態で、スライドフォーク131が、誤って荷物20の下方に進出することが防止される。
また、シャトル70がスタッカクレーン100に、ホームポイント52への進入要求を送信した時点で、スライドフォーク131がホームポイント52に進出していた場合を想定する。この場合、スタッカクレーン100は、シャトル70に、進入不可を示す応答を行う。シャトル70は、進入不可を示す応答を受信した場合、一定期間、待機ポイント53で待機した後、再びスタッカクレーン100に進入要求を送信する。その後、スタッカクレーン100から進入許可を示す応答を受信するまで、進入要求の送信を繰り返す。
上記の各種のインターロック制御は、複数のアクセスポイント83のいずれかを経由する第一通信経路が確立している状態では、スタッカクレーン100とシャトル70とが第一通信経路を介して通信することで実行することが可能である。しかし、スタッカクレーン100に、第一通信機81と直接的な無線通信が可能な第二通信機82が配置されていことで、インターロック制御がより確実に実行される。より詳細には、インターロック制御は、スタッカクレーン100とシャトル70とが比較的に近くに位置しているときに実行される制御であり、従って、第一通信機81と第二通信機82とが良好な無線通信を継続している状態で、インターロック制御が行われる。そのため、インターロック制御の途中に、例えば、他の載置棚51に載置された荷物20の影響で通信が途切れるような不測の事態が生じ難く、インターロック制御が完全に遂行される蓋然性が高いと言える。このことは、自動倉庫システム10の運用の効率化に寄与する。
以上説明したように、本実施の形態に係る自動倉庫システム10は、スタッカクレーン100と、スタッカクレーン100の通路30の延在方向(X軸方向)に交差する奥行方向(Y軸方向)に延在するラック50とを備える。自動倉庫システム10はさらに、スタッカクレーン100によってラック50に配置され、かつ、ラック50内において荷物20の搬送及び移載を行うシャトル70と、スタッカクレーン100及びシャトル70を制御するコントローラ300とを備える。ラック50は、上下方向に並べられた複数段の載置棚51であって、それぞれが、奥行方向に複数の荷物20を並べて載置可能であり、かつ、シャトル70が奥行方向に移動可能な複数段の載置棚51を有する。シャトル70は、無線通信を行う第一通信機81を有し、スタッカクレーン100は、第一通信機81との間で無線通信を行うことで、コントローラ300と第一通信機81との間の通信を中継する第二通信機82を有する。
この構成によれば、ラック50の複数段の載置棚51のそれぞれにおいて、奥行方向を使用して複数の荷物20を載置可能であるため、ラック50を用いた多数の荷物20の入出庫処理が可能である。また、スタッカクレーン100とシャトル70とが直接的に無線通信を行うことができる。そのため、例えば、ラック50に収容された複数の荷物20が障害となって、コントローラ300とシャトル70との間の無線通信が困難になった場合、シャトル70に近い位置に移動可能なスタッカクレーン100に配置された第二通信機82を介してコントローラ300とシャトル70とが無線通信を行うことができる。すなわち、スタッカクレーン100に1台の通信機(第二通信機82器)を配置する、という簡易な構成で、シャトル70が通信不能となる可能性を抑制すること、または、シャトル70が通信不能である期間を短縮することができる。また、シャトル70とスタッカクレーン100との不要な干渉を避けるためのインターロック制御を、シャトル70とスタッカクレーン100との直接的な通信の下で実行させることができる。そのため、インターロック制御がより確実に実行される。このように、本態様に係る自動倉庫システム10によれば、簡易な構成で効率よく運用することができる。
また、本実施の形態に係る自動倉庫システム10において、スタッカクレーン100は、シャトル70または荷物20を載置した状態で上下方向に移動する昇降台120を備え、第二通信機82は、昇降台120に配置されている。
この構成によれば、第二通信機82を昇降台120とともに昇降させることができるため、例えば、第二通信機82の高さ位置がシャトル70の高さ位置に適合するように、第二通信機82の高さ位置を調整することができる(図9参照)。これにより、第二通信機82とシャトル70の第一通信機81との間の無線通信の品質が向上するため、通信エラーに起因する作業の遅延の発生が抑制される。このことは、自動倉庫システム10の運用の効率化に寄与する。
また、本実施の形態に係る自動倉庫システム10において、シャトル70は、コントローラ300からの搬送指示に従って、載置棚51の当該搬送指示に示される位置で荷物20の移載を行った後に、載置棚51の奥行方向における通路30寄りの所定の位置で停止する。例えば、コントローラ300から送信される搬送指示に、待機ポイント53に戻る指示が含まれており、シャトル70は、当該指示に従って荷物20の移載後に待機ポイント53に戻って停止する。または、シャトル70は、予め記憶している設定情報またはプログラムに従い、コントローラ300から指示されることなく、荷物20の移載後に待機ポイント53に戻って停止する。
この構成によれば、シャトル70は、搬送指示に従って荷物20の載置棚51への載置または載置棚51からの受け取りを行った後に、通路30に近い位置(本実施の形態では待機ポイント53)まで移動して停止する。そのため、搬送指示に示される作業の完了後には、少なくとも、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82との間での無線通信は可能である。従って、シャトル70が通信不能となる可能性が低減され、これにより、自動倉庫システム10は効率よく運用される。
なお、「通路30寄りの所定の位置」は、例えば、載置棚51の、奥行方向における中央よりも通路30に近い位置であり、より好ましくは、通路30から載置棚51の奥行方向の全長における1/4の距離までの位置である。また、「通路30寄りの所定の位置」は、載置棚51の通路30側の端部からの絶対的な距離(例えば1m以内、または、シャトル70の奥行方向の幅の2倍以内など)で規定されてもよい。
また、本実施の形態に係る自動倉庫システム10において、コントローラ300は、ラック50に対する位置が固定された第三通信機であるアクセスポイント83を介してシャトル70と無線通信できないと判断した場合、スタッカクレーン100を制御することで、スタッカクレーン100を、シャトル70が載置された載置棚51に対応する位置に移動させる。
具体的には、コントローラ300は、シャトル70との間の定期的な通信の途絶を検知すること、または、シャトル70が搬送指示を受領した後の所定期間内に、そのシャトル70からの完了報告がないこと、等により、シャトル70が通信不能であると判断する。この場合、コントローラ300は、スタッカクレーン100を制御することで、シャトル70に近い位置までスタッカクレーン100を移動させる。本実施の形態では、図8及び図9に示すように、シャトル70が配置された載置棚51に対向する位置までスタッカクレーン100が移動される。これにより、コントローラ300は、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82を介して、シャトル70と通信することができる。つまり、シャトル70が通信不能である期間が短縮され、これにより、自動倉庫システム10は効率よく運用される。
このように、本実施の形態では、シャトル70の制御のための主な通信経路として、アクセスポイント83を経由する第一通信経路が用意されており、第一通信経路が断たれた場合に、第二通信機82を経由する第二通信経路が提供されるよう構成されている。しかし、第二通信機82は、複数のアクセスポイント83と同じく、シャトル70との通信が常時可能であってもよい。つまり、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82は、任意のタイミングで接続可能でかつ移動するアクセスポイントとしてふるまうことができ、これにより、複数のシャトル70のそれぞれが通信不能となる確率は低減する。ただし、スタッカクレーン100が移動することにより、1つのシャトル70の直接的な通信相手がアクセスポイント83と第二通信機82との間で頻繁に切り替わる場合も考えられる。そのため、コントローラ300が必要と判断したときにのみ、第二通信機82とシャトル70との通信が許可されるように構成されてもよい。
また、コントローラ300は、スタッカクレーン100を、シャトル70が載置された載置棚51に対応する位置に移動させる制御を実行するか否かの判断材料として、シャトル70のバッテリー76の状態を用いることもできる。具体的には、シャトル70のバッテリー76の蓄電量が所定の値以下になった場合、シャトル70は、コントローラ300に充電要求を送信することができる。しかし、充電要求を送信しようとする際に、シャトル70が通信不能である場合、充電要求はコントローラ300に届かない。その結果、シャトル70の動作が不可能になる程度までバッテリー76の蓄電量が減少する可能性、つまり、バッテリー76切れを起こす可能性がある。そこで、コントローラ300は、シャトル70が備えるバッテリー76の充電が必要であると判断した場合、スタッカクレーン100を制御することで、スタッカクレーン100を、シャトル70が配置された載置棚51に対応する位置に移動させてもよい。
具体的には、コントローラ300は、シャトル70の最後のバッテリー76の充電からの経過時間、または、シャトル70に指示した作業量の累積値等から、シャトル70のバッテリー76の充電が必要か否かを判断することができる。つまり、当該経過時間が長いほど、または、作業量の累積値が大きいほど、バッテリー76の蓄電量(残量)は小さくなると考えられる。そのため、コントローラ300は、これら経過時間等と所定の閾値との比較により、バッテリー76の充電の要否を判断することができる。この要否判断の結果、バッテリー76の充電が必要と判断した場合、コントローラ300は、スタッカクレーン100を、シャトル70が配置された載置棚51に対応する位置に移動させる。これにより、バッテリー76切れを起こす前に、シャトル70に近い位置までスタッカクレーン100を移動させることができる。その結果、仮に、シャトル70が通信不能であるために充電要求が送信できない状態であったとしても、コントローラ300は、スタッカクレーン100に配置された第二通信機82を介して、シャトル70に充電指示を行うこと、または、シャトル70から充電要求を受信することができる。つまり、バッテリー76の蓄電量が低下したシャトル70が、通信不能なまま放置されるような事態の発生が抑制される。
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る自動倉庫システム10について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、第二通信機82は、スタッカクレーン100において、昇降台120以外の位置に配置されてもよい。図10は、スタッカクレーン100における第二通信機82の配置位置の別例を示す図である。
例えば図10に示すように、第二通信機82は、スタッカクレーン100の下部台車107に固定されていてもよい。具体的には、ラック50において、主として下段部から中段部(例えば最下段から3段目)の載置棚51に荷物20が載置される場合を想定する。この場合、ラック50内で荷物20を搬送するシャトル70は、ラック50の中段部以下に配置される可能性が高い。このような場合、スタッカクレーン100における下部に位置する下部台車107に第二通信機82が固定されていることで、例えば第二通信機82のメンテナンスが容易になるとともに、第二通信機82と、シャトル70の第一通信機81との無線通信の確実性が確保される。
また、例えば図10に示すように、第二通信機82は、スタッカクレーン100のマスト110に固定されてもよい。具体的には、マスト110における、ラック50の中段部の高さ位置に相当する位置であって、かつ、昇降台120の昇降等のスタッカクレーン100の動作を阻害しない位置に、第二通信機82を固定する。これにより、第二通信機82の通信可能範囲内に、ラック50の上段部から下段部までの比較的に広い範囲を収めることができる。さらに、第二通信機82は上下方向の移動を行わないため、例えば、上下方向の移動時の振動等に起因した不具合が第二通信機82に生じ難い。
また、例えば、主としてラック50の中段部から上段部(例えば3段目から5段目)の載置棚51に荷物20が載置される場合を想定する。この場合、第二通信機82は、スタッカクレーン100の上部台車101、または、マスト110の上端部など、スタッカクレーン100の上部に配置されてもよい。
また、スタッカクレーン100に配置する第二通信機82の数は1には限定されず、スタッカクレーン100に複数の第二通信機82が配置されてもよい。例えば、昇降台120のY軸プラス方向の端部及びY軸マイナス方向の端部のそれぞれに、第二通信機82を配置してもよい。つまり、通路30のY軸プラス方向側に配置されたシャトル70用の第二通信機82と、通路30のY軸マイナス方向側に配置されたシャトル70用の第二通信機82とが、それぞれスタッカクレーン100における別の位置に配置されてもよい。
また、例えば、自動倉庫システム10において保管及び搬送の対象となる荷物20は、複数の段ボール箱が積載されたパレットでなくてもよい。荷物20は、例えば複数の製品が収容された1つの箱体(木箱、段ボール箱、または折り畳みコンテナ等)であってもよい。つまり、スタッカクレーン100及びシャトル70のそれぞれが搬送可能で、かつ、ラック50に収容可能なサイズ、大きさ、及び荷姿の物体であれば、自動倉庫システム10において保管及び搬送の対象となる荷物20として扱うことができる。
また、スタッカクレーン100が備える移載装置130は、スライドフォーク131の出退によって荷物20及びシャトル70の移載を行うとした。しかし、移載装置130による荷物20等の移載の手法はこれに限定されず、例えば荷物20等の押し出し及び引き込みを行うアームを用いて荷物20等を移載してもよい。
また、シャトル70が備える移載装置は、昇降テーブル71には限定されない。例えば、シャトル本体部からシャトルの移動方向に直交する方向に突出したフォークを備え、当該フォークを昇降させることで、当該フォークと、ラックに設けられた片持ち式の支持体との間で荷物20等が移載されてもよい。
また、図1に示す自動倉庫システム10のレイアウトは一例である。例えばラック50における載置棚51の数、大きさ、形状、及びレイアウト、並びにシャトル70の台数等は、自動倉庫システム10が設置される領域の面積及び形状、または、自動倉庫システム10に求められる処理能力等に応じて適宜決定されてもよい。また、例えば2台のスタッカクレーン100が並行して作業できるように、通路30に2つの軌道31をY軸方向(図1参照)に並べて配置してもよい。これにより、通路30よりもY軸プラス方向側の複数の載置棚51に対する入出庫作業と、通路30よりもY軸マイナス方向側の複数の載置棚51に対する入出庫作業とを並行して、かつ、非同期で行うことができる。
また、ラック50が複数連の載置棚51を備えることは必須ではない。例えば、ラック50が、A連の載置棚51Aのみを有する場合を想定する。この場合であっても、A連の載置棚51Aに載置された1以上の荷物20によってアクセスポイント83を経由する第一通信経路に障害が発生する可能性がある。従って、この場合に、スタッカクレーン100に第二通信機82が配置されていることで、シャトル70に対して、第二通信機82を経由する第二通信経路を提供することができる。
また、コントローラ300は、ラック50から離れた位置に配置されたコンピュータによって実現されることは必須ではない。例えば、スタッカクレーン100に配置されたコンピュータによってコントローラ300が実現されてもよい。つまり、スタッカクレーン100がコントローラ300を備えており、コントローラ300は、スタッカクレーン100の移動に伴って移動してもよい。