JP7446822B2 - 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法に関する。
オレフィン重合体を含有する熱可塑性エラストマー組成物から成形される成形体は、高い引張強度や引裂強度を有すること、寒冷地での使用にも耐えられるように優れた低温耐衝撃性を有することなどから、例えば、自動車関連の部材を成形するための成形材料として用いられている。
例えば、特許文献1には、特定の分子量分布および結晶度を有するプロピレンホモポリマー等からなるマトリックスと、エチレン-プロピレン共重合体からなる分散相と、を含む自動車部品等に用いられる樹脂組成物が記載されている。特許文献1において、当該樹脂組成物は、モノマー、架橋剤、抗酸化剤および核生成剤を、一連または二連の反応槽中で反応させることにより製造される。
また、特許文献2には、プロピレンホモポリマーとエチレン-α-オレフィン共重合体とを含む樹脂組成物、プロピレン-エチレン共重合体、並びに、特定の密度およびMFRを有する2種類のエチレン-α-オレフィン共重合体、を必須の成分として含有する熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。
特表2013-528247号公報 特開2015-193710号公報
近年、自動車部品等に用いられる樹脂組成物は、視認可能な部位に装着されるエアバッグカバーを始めとし、当該熱可塑性エラストマー組成物から成形される成形体の、非塗装化が検討されている。熱可塑性エラストマー組成物の成形体は、その形状によらず、外観が良好であることが求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物から、例えば、その表面に溝状の肉薄部が設けられた平板状の成形体を射出成形すると、当該肉薄部の近傍における表面に艶むらが発生し易く、塗装工程を省略できる程度の良好な外観は得られない。
また、特許文献2に記載の熱可塑性エラストマー組成物よりも、成形体の形状によらず良好な外観が得られる、熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
以上の課題に鑑み、本発明の一態様は、厚みが異なる部位を有する形状に射出成形しても、非塗装用途に好適な外観を有する成形体を製造することが可能な熱可塑性エラストマー組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、熱可塑性エラストマー組成物のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量および等温結晶化時間が、当該組成物からなる成型物の外観に関与することを見出した。
より具体的には、オルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量、および、等温結晶化時間について、特定の条件を満たす熱可塑性エラストマー組成物から成形されてなる成形体が、安定して良好な外観を呈することを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
<1>少なくとも2種のオレフィン重合体を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、下記要件(I)および下記要件(II):
(I)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、前記熱可塑性エラストマー組成物の、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、前記熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、20重量部~50重量部である;
(II)熱流束型示差走査熱量計を用いて130℃で測定される等温結晶化時間が、300秒以上である;
を満たす、熱可塑性エラストマー組成物。
<2>前記不溶成分の含有量が、20重量部~35重量部である、<1>に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<3>前記不溶成分の含有量が、24重量部~30重量部である、<1>または<2>に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<4>前記等温結晶化時間が、1500秒~2000秒である、<1>~<3>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<5>前記熱可塑性エラストマー組成物が、ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練して得られる組成物であって、
前記ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有し、
前記プロピレン共重合体(A)および前記プロピレン共重合体(B)の合計量100重量%に対して、前記プロピレン共重合体(A)の含有量が45重量部~65重量部であり、前記プロピレン共重合体(B)の含有量が35重量部~55重量部であり、
前記プロピレン共重合体(A)は、
プロピレンに由来する単量体単位(A1)と、
エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(A2)とを含み、
前記単量体単位(A1)および前記単量体単位(A2)100重量部に対して、前記単量体単位(A1)の含有量が95重量部~99.9重量部であり、前記単量体単位(A2)の含有量が0.1重量部~5重量部であり、
前記プロピレン共重合体(B)は、
プロピレンに由来する単量体単位(B1)と、
エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(B2)とを含み、
前記単量体単位(B1)および前記単量体単位(B2)100重量部に対して、前記単量体単位(B1)の含有量が20重量部~78重量部であり、前記単量体単位(B2)の含有量が22重量部~80重量部である、
<1>~<4>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<6>前記プロピレン共重合体(A)の重量平均分子量が、1.0×10~7.0×10であり、前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、4.0×10~1.3×10である、<5>に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<7>前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、2.0×10~1.1×10である、<5>または<6>に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<8>前記架橋剤が、有機過酸化物である、<5>~<7>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<9>前記架橋助剤が、マレイミド化合物、多官能ビニル化合物および多官能アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、<5>~<8>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<10>前記溶融混練を行う温度が、170℃~270℃である、<5>~<9>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<11>前記ヘテロファジックプロピレン重合材料が、多段重合により得られた重合材料である、<5>~<10>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
<12>ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練する工程を含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、
前記ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有し、
前記プロピレン共重合体(A)および前記プロピレン共重合体(B)の合計量100重量%に対して、前記プロピレン共重合体(A)の含有量が45重量部~65重量部であり、前記プロピレン共重合体(B)の含有量が35重量部~55重量部であり、
前記プロピレン共重合体(A)は、
プロピレンに由来する単量体単位(A1)と、
エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(A2)とを含み、
前記単量体単位(A1)および前記単量体単位(A2)の100重量に対して、前記単量体単位(A1)の含有量が95重量部~99.9重量部であり、前記単量体単位(A2)の含有量が0.1重量部~5重量部であり、
前記プロピレン共重合体(B)は、
プロピレンに由来する単量体単位(B1)と、
エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(B2)とを含み、
前記単量体単位(B1)および前記単量体単位(B2)の合計量100重量部に対して、前記単量体単位(B1)の含有量が20重量部~78重量部であり、前記単量体単位(B2)の含有量が22重量部~80重量部であり、
前記熱可塑性エラストマー組成物は、下記要件(I)および下記要件(II):
(I)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、前記熱可塑性エラストマー組成物の、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、前記熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、20重量部~50重量部である;
(II)熱流束型示差走査熱量計を用いて130℃で測定される等温結晶化時間が、300秒以上である;
を満たす、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
<13>上記<1>~<11>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含有する成形体。
<14>上記<1>~<11>のいずれか一つに記載の熱可塑性エラストマー組成物を含有するエアバッグカバー。
本発明の一態様によれば、非塗装用途に好適な外観を有する成形体を製造することが可能な熱可塑性エラストマー組成物、およびその関連技術を提供することができる。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。
<熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも2種のオレフィン重合体を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、要件(I)および要件(II)の要件を満たす。また、本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、架橋剤、及び架橋助剤を含み、当該架橋剤、及び架橋助剤によって、1種のオレフィン重合体同士、または、少なくとも2種のオレフィン重合体が、互いに架橋する構造を有している。
要件(I)及び要件(II)を満たすことによって、本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物を厚みが異なる部位(肉薄部)を有する形状に射出成形しても、当該部位に艶ムラが発生することを防止することができ、非塗装用途に好適な外観を有する成形体を製造することができる。このため、例えば、インストルメントパネルやピラー等の自動車内装部品に設けられるエアバッグにおけるエアバッグカバー、モール等の自動車外装部品、家電部材、建材、家具等、雑貨等の成形体に好適に使用することができる。
〔140℃のオルトジクロロベンゼンに対する溶解性〕
熱可塑性エラストマー組成物は、要件(I)としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、前記熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、20重量部~50重量部である。
熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン重合体の非架橋体とオレフィン重合体の架橋体との少なくとも2種のオレフィン重合体を含んでいる。熱可塑性エラストマー組成物に含まれるオレフィン重合体における非架橋体は、140℃のオルトジクロロベンゼンに溶解する。その一方で、オレフィン重合体における架橋体は140℃のオルトジクロロベンゼンに溶解せず、不溶成分として溶出する。すなわち、要件(I)は、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する溶解度の差を利用して分析することができる、前記熱可塑性エラストマー組成物に含まれるオレフィン重合体の三次元的な架橋度であり得る。
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、20重量部~50重量部であり、好ましくは20重量部~45重量部であり、より好ましくは20重量部~35重量部であり、さらに好ましくは24重量部~30重量部である。140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、20重量部~50重量部であれば、成型体の外観を向上させることができる。
140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物に含まれる、後述する架橋剤および架橋助剤の種類および添加量、溶融混錬を行う温度および時間等を調整するとよい。
なお、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する熱可塑性エラストマー組成物の溶解性の測定方法は、実施例にて詳細に説明される。
〔50℃のオルトジクロロベンゼンに対する溶解性〕
熱可塑性エラストマー組成物は、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する溶解度が異なる2つのオレフィン重合体を含んでいることが好ましい。50℃のオルトジクロロベンゼンに対する溶解度が異なる2つのオレフィン重合体を併用することより、後述するオレフィン重合体の等温結晶化時間を好適に調整することができる。
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、好ましくは、45重量部~65重量部であり、より好ましくは、47重量部~55重量部である。
50℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が上記の範囲であることにより、得られる成型体の低温衝撃性能および材料強度を損なうことなしに、外観を向上させることができる。
なお、本発明において、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分および可溶成分の含有量、並びに、これらの重量平均分子量(Mw)および1000カーボンあたりのメチル基の量(CH/1000C)は、以下のクロス分別クロマトグラフィー(CFC)により測定することができ、測定方法については実施例にて詳細に説明される。
〔等温結晶化時間〕
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、要件(II)として、熱流束型示差走査熱量計を用いて130℃で測定される等温結晶化時間が、300秒以上であり、より好ましくは300秒~3000秒であり、より好ましくは500秒~3000秒であり、さらに好ましくは1500秒~2000秒である。
熱可塑性エラストマー組成物における等温結晶化時間が上記の範囲のうち、300秒以上であれば、成形体の外観を向上させることができ、2000秒以下であれば、成形体の剛性を向上させることができる。
なお、本発明において、等温結晶化時間は、以下の方法を用いて測定される値である。
熱可塑性エラストマー組成物を、平滑なプレート間に挟み、230℃、1MPaで5分間プレスし、冷却して得られるプレスシート(厚み0.2mm)を、測定試料として使用する。
熱流束型示差走査熱量計を用いて、上記測定試料を、窒素雰囲気下、200℃で5分間保持した後に、320℃~340℃/分で130℃まで冷却して保持する。このときの試料の結晶化による発熱量と時間との関係を測定し、総発熱量の1/2の発熱量に達するまでに要した時間を等温結晶化時間(秒)とする。
(その他の物性)
また、樹脂組成物は更に以下の物性を満たすことが好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物のJIS K7210:1999に準拠して測定した温度230℃、測定荷重21.18Nでのメルトフローレートは、得られる成形体の外観の観点から、好ましくは1g/10分~50g/10分であり、より好ましくは5g/10分~30g/10分である。
また、熱可塑性エラストマー組成物の融解温度は、得られる成形体の剛性の観点から、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは145℃以上ある。また、この融解温度は、通常175℃以下である。融解温度は、示差走査熱量計により測定される昇温操作時の示差走査熱量曲線において、ピーク温度が最も大きい吸熱ピークのピーク温度である。示差走査熱量計による示差走査熱量曲線の測定は、次の条件で行い、昇温操作での示差走査熱量曲線から融解温度を求めるとよい。
〔オレフィン重合体〕
熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン重合体として、三次元的に架橋した架橋体と、三次元的に架橋していない非架橋体との少なくとも2種のオレフィン重合体を含み、本発明の好ましい態様において、オレフィン重合体の架橋体と非架橋体とは少なくとも2つのオレフィン重合体から構成され得る。この場合、少なくとも2つのオレフィン重合体は、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分であるオレフィン重合体と、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分であるオレフィン重合体とを挙げることができる。
一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン重合体を含み、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分であるオレフィン重合体を含むことが好ましい。すなわち、一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物が上述の要件(I)及び(II)を満たすように、オレフィン重合体の架橋体を含んでおり、さらに50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分としてのオレフィン重合体を含み得る。
(ヘテロファジックプロピレン重合材料)
一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、オレフィン重合体として、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料を含み、これらヘテロファジックプロピレン重合材料が、架橋剤、及び架橋助剤によって三次元的に架橋した架橋体を含む熱可塑性エラストマー組成物であり得る。
ヘテロファジックプロピレン重合材料は、通常、多段重合によって得られ、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有し、一方のプロピレン共重合体からなるマトリックス中に、他方のプロピレン共重合体からなる分散相が均一に分散した構造を有する混合物である。
ヘテロファジックプロピレン重合材料の融解温度は、射出成形時における成形体の離型性の観点から、好ましくは140℃以上であり、より好ましくは145℃以上ある。また、この融解温度は、通常175℃以下である。融解温度は、示差走査熱量計により測定される昇温操作時の示差走査熱量曲線において、ピーク温度が最も大きい吸熱ピークのピーク温度である。示差走査熱量計による示差走査熱量曲線の測定は、次の条件で行い、昇温操作での示差走査熱量曲線から融解温度を求める。例えば、融解温度は、以下の測定条件にて求めるとよい。
降温操作:ヘテロファジックプロピレン重合材料を220℃で融解させ、次いで、220℃から-90℃まで5℃/分の降温速度で降温する。
昇温操作:降温の操作後、直ちに-90℃から200℃まで5℃/分で昇温する。
(プロピレン共重合体(A))
プロピレン共重合体(A)は、プロピレンに由来する単量体単位(A1)と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(A2)とを含み、単量体単位(A1)および単量体単位(A2)の合計量100重量%に対して、単量体単位(A1)の含有量が95重量%~99.9重量%であり、より好ましくは、97重量%~99重量%であり、さらに好ましくは、97重量%~98.5重量%であり、単量体単位(A2)の含有量が0.1重量%~5重量%であり、より好ましくは、1重量%~3重量%であり、さらに好ましくは1.5重量%~3重量%である。単量体単位(A1)および単量体単位(A2)の含有量が、当該範囲であることにより、得られる成形体について、良好な外観が得られやすい。単量体単位(A2)の含有量は、赤外分光法により求めることが可能である。
プロピレン共重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは、1.0×10~7.0×10であり、より好ましくは、1.0×10~3.0×10である。
単量体単位(A2)を構成する炭素原子数が4~12のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ヘキセン、2,2,4-トリメチル-1-ペンテン等が挙げられる。
単量体単位(A2)を構成する単量体として、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンであり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンである。これらは、単独または2種以上組み合わせて用いることが可能である。
プロピレン共重合体(A)は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
(プロピレン共重合体(B))
プロピレン共重合体(B)は、プロピレンに由来する単量体単位(B1)と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位(B2)とを含み、単量体単位(B1)および単量体単位(B2)の合計量100重量%に対して、単量体単位(B1)の含有量が、20重量%~78重量%であり、より好ましくは、30重量%~70重量%であり、さらに好ましくは、40重量%~65重量%である。また、単量体単位(B2)の含有量が、22重量%~80重量%であり、より好ましくは、30重量%~70重量%であり、さらに好ましくは、35重量%~60重量%である。単量体単位(B1)および単量体単位(B2)の含有量が、当該範囲であることにより、得られる成形体について、良好な外観が得られやすい。単量体単位(B2)の含有量は、赤外分光法により求めることが可能である。
プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量は、好ましくは、4.0×10~1.3×10であり、より好ましくは、2.0×10~1.1×10である。
単量体単位(B2)を構成する炭素原子数が4~12のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ヘキセン、2,2,4-トリメチル-1-ペンテン等が挙げられる。
単量体単位(B2)を構成する単量体として、好ましくは、エチレンおよび炭素原子数4~10のα-オレフィンであり、より好ましくは、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンである。これらは、単独または2種以上組み合わせて用いることが可能である。
プロピレン共重合体(B)は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
プロピレン共重合体(B)は、具体的には、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体等が挙げられるが、プロピレン-エチレン共重合体やプロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体を用いることがより好ましい。
(プロピレン共重合体(A)とプロピレン共重合体(B)との混合比率)
ヘテロファジックプロピレン重合材料において、プロピレン共重合体(A)とプロピレン共重合体(B)との混合比率は、得られる成形体の外観および低温耐衝撃性の観点から、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)の合計量100重量%に対して、プロピレン共重合体(A)の含有量が45重量%~65重量%であり、より好ましくは、47重量%~55重量%であり、プロピレン共重合体(B)の含有量が35重量%~55重量%であり、より好ましくは、45重量%~53重量%である。
(架橋剤)
上記製造方法において用いられる架橋剤は、有機過酸化物を用いることが好ましい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシジカーボネート類、およびパーオキシエステル類を例示することができる。
ケトンパーオキサイド類としては、シクロヘキサンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、2,2,4-トリメチルペンチル-2-ハイドロパ-オキサイド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類としては、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1-Bis(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-bis(t-ブチルペオキシ)バレレート等が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ-n-プロピルパーオキシジカルボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカルボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
これらは、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
架橋剤の量は、得られる成形体の外観の観点から、ヘテロファジックプロピレン重合材料100重量部に対し、好ましくは、0.05重量部~1.0重量部であり、より好ましくは、0.10重量部~0.50重量部であり、さらに好ましくは、0.20重量部~0.40重量部である。
架橋剤の配合量が過少であると、熱可塑性エラストマー組成物の流動性や、得られる成形体の外観が十分でない場合があり、過大であると、得られる成形体の低温衝撃性能や材料強度が低下する場合がある。
(架橋助剤)
架橋助剤は、架橋し得る重合体の架橋度を高めて、熱可塑性エラストマー組成物の機械的特性を向上するためのものであり、分子内に複数の二重結合を有する化合物が、好ましく使用される。
このような架橋助剤としては、マレイミド化合物、多官能ビニル化合物、多官能アクリレート化合物から選択される少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。
マレイミド化合物としては、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等が挙げられる。
多官能ビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。
多官能アクリレート化合物は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルであり、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他、架橋助剤として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の多官能イソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)等の水酸基又はアミノ基等の活性水素基を有する(メタ)アクリレートとの反応物である多官能ウレタンアクリレート化合物を用いてもよい。
これらは、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
架橋助剤の量は、得られる成形体の外観の観点から、ヘテロファジックプロピレン重合材料100重量部に対し、好ましくは、0.05重量部~1.0重量部であり、より好ましくは、0.10重量部~0.70重量部であり、さらに好ましくは、0.20重量部~0.60重量部である。
架橋助剤の配合量が過少であると、得られる成形体の外観が十分でない場合があり、過大であると、熱可塑性エラストマー組成物の流動性が十分でない場合がある。
(その他の成分)
熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形での生産安定性の向上を目的とした離型性を付与させるという観点から、炭素原子数5以上の脂肪酸、炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩、炭素原子数5以上の脂肪酸のアミド、および、炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルからなる化合物群から選ばれる少なくとも1種の離型剤をさらに含有してもよい。
炭素原子数5以上の脂肪酸としては、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リシノール酸を例示することができる。
炭素原子数5以上の脂肪酸の金属塩としては、上記脂肪酸と、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ba、Pbなどの金属との塩、具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などを例示することができる。
炭素原子数5以上の脂肪酸のアミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルジエタノールアミドを例示することができる。中でも、エルカ酸アミドが好ましい。
炭素原子数5以上の脂肪酸のエステルとしては、下記のアルコールと上記脂肪酸とのエステルが挙げられる。
ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、12ヒドロキシステアリルアルコール等の脂肪族アルコール;
ベンジルアルコール、β-フェニルエチルアルコール、フタリルアルコール等の芳香族アルコール;
グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;
具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、クエン酸ジステアレート等が挙げられる。
上記離型剤の含有量としては、射出成形後の離型性と、成形品表面の外観とのバランスから、ヘテロファジックプロピレン重合材料100重量部に対し、好ましくは、0.01重量部~1.5重量部であり、より好ましくは、0.05重量部~1.0重量部であり、さらに好ましくは、0.10重量部~0.50重量部である。
熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、ハイドロタルサイト等の無機フィラー、繊維、木粉、セルロースパウダー等の有機フィラー、シリコーンオイル、シリコーンガム等の滑剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、顔料、造核剤、吸着剤等を含有していてもよい。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練する工程を含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である。
ここで、ヘテロファジックプロピレン重合材料を製造する工程と、熱可塑性エラストマー組成物を製造する工程とは、必ずしも連続的に行われる必要はないが、連続的に行われることが好ましい。すなわち、本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、以下に説明する製造方法によって得られる、ヘテロファジックプロピレン重合材料を市販品として入手し、ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練する態様を含み得る。
(ヘテロファジックプロピレン重合材料の製造工程)
ヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法としては、以下の製造方法1および製造方法2が挙げられる。
<製造方法1> 工程(1-1)と工程(1-2)とを含むヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法
工程(1-1):プロピレン重合触媒の存在下、多段重合方法により、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンと、プロピレンとを共重合して、プロピレン共重合体(A)を得る工程。
工程(1-2):上記工程で得られたプロピレン共重合体(A)の存在下、多段重合方法により、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンと、プロピレンとを共重合して、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料を得る工程。
<製造方法2> 工程(2-1)と工程(2-2)とを含むヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法
工程(2-1):プロピレン重合触媒の存在下、多段重合方法により、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンと、プロピレンとを共重合して、プロピレン共重合体(B)を得る工程。
工程(2-2):上記工程で得られたプロピレン共重合体(B)の存在下、多段重合方法により、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも一種のオレフィンと、プロピレンとを共重合して、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料を得る工程。
本発明において、多段重合方法とは、直列に接続された複数の反応領域において、重合触媒の存在下、モノマーを重合する重合方法であって、下記工程a~工程cを含む重合方法である。
工程a:最上流の第1の反応領域へ、重合触媒とモノマーとを供給し、該モノマーを重合することにより、重合体を得る工程。
工程b:第1の反応領域で得られた重合体を、第1の反応領域に接続された第2の反応領域へ移送する工程。
工程c:前記第2の反応領域へモノマーを供給し、前記第1の反応領域で得られた重合体の存在下、モノマーを重合することにより、重合体を得る工程。
直列に接続された反応領域の数が3以上である場合、第3の反応領域以降の反応領域においても、前記工程bおよび前記工程cに相当する工程を行う。
上記多段重合としては、一つの反応器中に一つの反応領域を有する反応器が、直列に複数接続された反応装置中で行う場合と、一つの反応器中に複数の反応領域を有する反応器中で行う場合と、一つの反応器中に一つの反応領域を有する反応器と、一つの反応器中に複数の反応領域を有する反応器とが接続された反応装置中で行う場合と、が挙げられる。
一つの反応器中に複数の反応領域を有する反応器としては、多段噴流層型反応器が挙げられる。
多段重合方法における反応領域の数は特に限定されない。前記工程(1-1)または前記工程(2-2)では、多段重合方法の反応領域の数は6~10が好ましい。前記工程(1-2)または前記工程(2-1)では、多段重合方法の反応領域の数は2~5が好ましい。
前記工程(1-2)または前記工程(2-1)は、水素濃度が0.4mol%より高く、且つ10mol%以下である雰囲気下において行うことが好ましい。該水素濃度は、より好ましくは0.5~5.0mol%である。
本発明の一実施形態において、多段重合の1段目では、例えばベッセル型反応器を用いることができる。重合温度は、例えば0~120℃とすることができる。重合圧力は、例えば常圧~10MPaGとすることができる。
次いで、多段重合の2段目では、例えば気相反応器を用いることができる。重合温度は、例えば40~80℃とすることが好ましく、40~75℃とすることがより好ましい。重合圧力は、例えば常圧~10MPaGとすることが好ましく、常圧~2.0MPaGとすることがより好ましい。
次いで、多段重合の3段目では、例えば気相反応器を用いることができる。重合温度は、例えば0~120℃とすることが好ましい。重合圧力は、例えば常圧~10MPaGとすることが好ましく、常圧~2.0MPaGとすることがより好ましい。水素濃度は例えば0.4~10vol%とすることが好ましい。
次いで、多段重合の4段目では、例えば気相反応器を用いることができる。重合温度は、例えば0~120℃とすることが好ましい。重合圧力は、例えば常圧~10MPaGとすることが好ましく、常圧~2.0MPaGとすることがより好ましい。水素濃度は例えば0.4~10vol%とすることが好ましい。
本発明の一実施形態において、ヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法において好ましく使用されるプロピレン重合触媒として、固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物とを接触させることによって得られるプロピレン重合触媒が挙げられる。
本発明の別の実施形態において、ヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法において好ましく使用されるプロピレン重合触媒として、固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体とを接触させることによって得られるプロピレン重合触媒が挙げられる。
上記固体触媒成分としては、モノエステル化合物、脂肪族ジカルボン酸エステル化合物、ジオールジエステル化合物、β-アルコキシエステル化合物およびジエーテル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の内部電子供与体と、チタン原子と、マグネシウム原子と、ハロゲン原子とを含み、下記要件(i)~(iv)を満たす、固体触媒成分を好ましく使用することができる。
(i)規格ISO15901-1:2005に従い、水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.95~1.80mL/gであり、且つ、規格ISO15901-1:2005に従い、水銀圧入法により測定される比表面積が60~170m/gである。
(ii)規格ISO13320:2009に従い、レーザ回折・散乱法により測定される体積基準の粒子径分布において、10μm以下である成分の累積百分率が6.5%以下である。
(iii)規格ISO15472:2001に従い、X線光電子分光法(XPS)により得られる酸素原子の1s軌道に帰属されるピークを波形分離して得られるピーク成分のうち、結合エネルギーが532eV以上、且つ、534eV以下の範囲にピークトップを有するピーク成分の面積(F)に対する、結合エネルギーが529eV以上、且つ、532eV未満の範囲にピークトップを有するピーク成分の面積(G)の比(G/F)が0.33以下である。
(iv)チタン原子含有量が1.50~3.40重量%である。
このような固体触媒成分は、例えば、ハロゲン化チタン化合物および溶媒を含むハロゲン化チタン化合物溶液と、マグネシウム化合物とを接触させ、固体生成物を含むスラリーを得る工程を有する製造方法であって、当該工程において、下記式(2)で表されるCに対する下記式(1)で表されるAの比(A/C)が、3以下である、固体触媒成分の製造方法によって製造することができる。
A=a/b ・・・(1)
C=a/c ・・・(2)
a:ハロゲン化チタン化合物溶液に含まれるハロゲン化チタン化合物の体積(mL)
b:ハロゲン化チタン化合物溶液に含まれる溶媒の体積(mL)
c:固体生成物を含むスラリーに含まれる溶媒の体積(mL)
内部電子供与体として用いられるモノエステル化合物としては、芳香族カルボン酸エステル化合物および脂肪族カルボン酸エステル化合物が好ましい。芳香族カルボン酸エステル化合物としては、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸ペンチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸オクチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸プロピル、トルイル酸ブチル、トルイル酸ペンチル、トルイル酸ヘキシルおよびトルイル酸オクチル等が挙げられる。脂肪族カルボン酸エステル化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸オクチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸ヘキシル、酪酸オクチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、吉草酸ペンチル、吉草酸ヘキシル、吉草酸オクチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプロン酸ブチル、カプロン酸ペンチル、カプロン酸ヘキシル、カプロン酸オクチル、エナント酸メチル、エナント酸エチル、エナント酸プロピル、エナント酸ブチル、エナント酸ペンチル、エナント酸ヘキシル、エナント酸オクチル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、カプリル酸ブチル、カプリル酸ペンチル、カプリル酸ヘキシル、カプリル酸オクチル、ペラルゴン酸メチル、ペラルゴン酸エチル、ペラルゴン酸プロピル、ペラルゴン酸ブチル、ペラルゴン酸ペンチル、ペラルゴン酸ヘキシル、ペラルゴン酸オクチル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、カプリン酸プロピル、カプリン酸ブチル、カプリン酸ペンチル、カプリン酸ヘキシル、カプリン酸オクチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ペンチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸ペンチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸ペンチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、マルガリン酸メチル、マルガリン酸エチル、マルガリン酸プロピル、マルガリン酸ブチル、マルガリン酸ペンチル、マルガリン酸ヘキシル、マルガリン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチル、ステアリン酸ヘキシルおよびステアリン酸オクチル等が挙げられる。
内部電子供与体として用いられる脂肪族ジカルボン酸エステル化合物としては、エタン二酸ジメチル、エタン二酸ジエチル、エタン二酸ジプロピル、エタン二酸ジブチル、エタン二酸ジペンチル、エタン二酸ジヘキシル、エタン二酸ジオクチル、プロパン二酸ジメチル、プロパン二酸ジエチル、プロパン二酸ジプロピル、プロパン二酸ジブチル、プロパン二酸ジペンチル、プロパン二酸ジヘキシル、プロパン二酸ジオクチル、ブタン二酸ジメチル、ブタン二酸ジエチル、ブタン二酸ジプロピル、ブタン二酸ジブチル、ブタン二酸ジペンチル、ブタン二酸ジヘキシル、ブタン二酸ジオクチル、ペンタン二酸ジメチル、ペンタン二酸ジエチル、ペンタン二酸ジプロピル、ペンタン二酸ジブチル、ペンタン二酸ジペンチル、ペンタン二酸ジヘキシル、ペンタン二酸ジオクチル、ヘキサン二酸ジメチル、ヘキサン二酸ジエチル、ヘキサン二酸ジプロピル、ヘキサン二酸ジブチル、ヘキサン二酸ジペンチル、ヘキサン二酸ジヘキシル、ヘキサン二酸ジオクチル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジメチル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジエチル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジプロピル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジブチル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジペンチル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジヘキシル、(E)-ブタ-2-エン二酸ジオクチル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジメチル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジエチル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジプロピル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジブチル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジペンチル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジヘキシル、(Z)-ブタ-2-エン二酸ジオクチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジメチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジプロピル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジブチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジペンチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジヘキシル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジメチル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジプロピル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジブチル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジペンチル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジヘキシル、1,2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジメチル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジプロピル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジブチル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジペンチル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジヘキシル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジメチル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジプロピル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジブチル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジペンチル、3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジヘキシルおよび3、6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジオクチル等が挙げられる。
内部電子供与体として用いられるジオールジエステル化合物としては、1,2-ジベンゾエートプロパン、1,2-ジアセチルオキシプロパン、1,2-ジベンゾエートブタン、1,2-ジアセチルオキシブタン、1,2-ジベンゾエートシクロヘキサン、1,2-ジアセチルオキシシクロヘキサン、1,3-ジベンゾエートプロパン、1,3-ジアセチルオキシプロパン、2,4-ジベンゾエートペンタン、2,4-ジアセチルオキシペンタン、1,2-ジベンゾエートシクロペンタン、1,2-ジアセチルオキシシクロペンタン、1,2-ジベンゾエート-4-tert-ブチル-6-メチルベンゼン、1,2-ジアセチルオキシ-4-tert-ブチル-6-メチルベンゼン、1,3-ジベンゾエート-4-tert-ブチル-6-メチルベンゼンおよび1,3-ジアセチルオキシ-4-tert-ブチル-6-メチルベンゼン等が挙げられる。
内部電子供与体として用いられるβ-アルコキシエステル化合物としては、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸メチル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸プロピル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ブチル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ペンチル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ヘキシル、2-メトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸オクチル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸メチル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸プロピル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸ブチル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸ペンチル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸ヘキシル、3-メトキシ-2-フェニルプロピオン酸オクチル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸メチル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸プロピル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ブチル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ペンチル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ヘキシル、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸オクチル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸メチル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸プロピル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸ブチル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸ペンチル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸ヘキシル、3-エトキシ-2-フェニルプロピオン酸オクチル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸メチル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸プロピル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ブチル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ペンチル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸ヘキシル、2-プロピルオキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸オクチル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸メチル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸エチル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸プロピル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸ブチル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸ペンチル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸ヘキシル、3-プロピルオキシ-2-フェニルプロピオン酸オクチル、2-メトキシベンゼンカルボン酸メチル、2-メトキシベンゼンカルボン酸エチル、2-メトキシベンゼンカルボン酸プロピル、2-メトキシベンゼンカルボン酸ブチル、2-メトキシベンゼンカルボン酸ペンチル、2-メトキシベンゼンカルボン酸ヘキシル、2-メトキシベンゼンカルボン酸オクチル、2-エトキシベンゼンカルボン酸メチル、2-エトキシベンゼンカルボン酸エチル、2-エトキシベンゼンカルボン酸プロピル、2-エトキシベンゼンカルボン酸ブチル、2-エトキシベンゼンカルボン酸ペンチル、2-エトキシベンゼンカルボン酸ヘキシルおよび2-エトキシベンゼンカルボン酸オクチル等が挙げられる。
内部電子供与体として用いられるジエーテル化合物としては、1,2-ジメトキシプロパン、1,2-ジエトキシプロパン、1,2-ジプロピルオキシプロパン、1,2-ジブトキシプロパン、1,2-ジ-tert-ブトキシプロパン、1,2-ジフェノキシプロパン、1,2-ジベンジルオキシプロパン、1,2-ジメトキシブタン、1,2-ジエトキシブタン、1,2-ジプロピルオキシブタン、1,2-ジブトキシブタン、1,2-ジ-tert-ブトキシブタン、1,2-ジフェノキシブタン、1,2-ジベンジルオキシブタン、1,2-ジメトキシシクロヘキサン、1,2-ジエトキシシクロヘキサン、1,2-ジプロピルオキシシクロヘキサン、1,2-ジブトキシシクロヘキサン、1,2-ジ-tert-ブトキシシクロヘキサン、1,2-ジフェノキシシクロヘキサン、1,2-ジベンジルオキシシクロヘキサン、1,3-ジメトキシプロパン、1,3-ジエトキシプロパン、1,3-ジプロピルオキシプロパン、1,3-ジブトキシプロパン、1,3-ジ-tert-ブトキシプロパン、1,3-ジフェノキシプロパン、1,3-ジベンジルオキシプロパン、2,4-ジメトキシペンタン、2,4-ジエトキシペンタン、2,4-ジプロピルオキシペンタン、2,4-ジブトキシペンタン、2,4-ジ-tert-ブトキシペンタン、2,4-ジフェノキシペンタン、2,4-ジベンジルオキシペンタン、1,2-ジメトキシシクロペンタン、1,2-ジエトキシシクロペンタン、1,2-ジプロピルオキシシクロペンタン、1,2-ジブトキシシクロペンタン、1,2-ジ-tert-ブトキシシクロペンタン、1,2-ジフェノキシシクロペンタン、1,2-ジベンジルオキシシクロペンタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(エトキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(プロピルオキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(ブトキシメチル)フルオレン、9,9-ビス-tert-ブトキシメチルフルオレン、9,9-ビス(フェノキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(ベンジルオキシメチル)フルオレン、1,2-ジメトキシベンゼン、1,2-ジエトキシベンゼン、1,2-ジプロピルオキシベンゼン、1,2-ジブトキシベンゼン、1,2-ジ-tert-ブトキシベンゼン、1,2-ジフェノキシベンゼンおよび1,2-ジベンジルオキシベンゼン等が挙げられる。
また、特開2011-246699号公報に記載された内部電子供与体も適用することができる。
内部電子供与体として好ましくは、ジカルボン酸エステル化合物、ジオールジエステル化合物およびβ-アルコキシエステル化合物である。内部電子供与体は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機アルミニウム化合物としては、例えば、特開平10-212319号公報に記載された化合物を例示することができる。中でも、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンであり、さらに好ましくはトリエチルアルミニウム、トリiso-ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドとの混合物またはテトラエチルジアルモキサンである。
外部電子供与体としては、特許第2950168号公報、特開2006-96936号公報、特開2009-173870号公報、および特開2010-168545号公報に記載された化合物を例示することができる。中でも、好ましくは酸素含有化合物または窒素含有化合物である。酸素含有化合物として、アルコキシケイ素、エーテル、エステル、およびケトンを例示することができる。中でも、好ましくはアルコキシケイ素またはエーテルであり、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジiso-プロピルジメトキシシラン、tert-ブチルエチルジメトキシシラン、tert-ブチル-n-プロピルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、sec-ブチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシランが挙げられる。
固体触媒成分の製造方法において使用される溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼンおよびトルエン等の不活性炭化水素が好ましい。
本発明のヘテロファジックプロピレン重合材料の製造方法は、さらに、固体触媒成分および有機アルミニウム化合物の存在下で、少量のオレフィンを重合させて、該オレフィンの重合体で表面が覆われた触媒成分を生成させる工程(該重合は通常、予備重合と言われ、したがって該触媒成分は通常、予備重合触媒成分と言われる)を含んでもよい。予備重合に用いられるオレフィンは、本重合において、ヘテロファジックプロピレン重合材料の原料として使用されるオレフィンのうちの少なくとも一つである。予備重合工程では、生成されるオレフィン重合体の分子量を調節するために水素のような連鎖移動剤を用いてもよいし、外部電子供与体を用いてもよい。
一態様において、予備重合では、有機アルミニウム化合物は、固体触媒成分に含まれる遷移金属原子1モルあたり0.1~700モルとすることが好ましく、0.2~200モルとすることが好ましい。また、外部電子供与体は、固体触媒成分に含まれる遷移金属原子1モルあたり0.01~400モルとすることが好ましい。溶媒1Lあたりに含まれる固体触媒成分は1~500gとすることが好ましい。予備重合されるオレフィンの量は、固体触媒成分1gあたり、通常、0.1~200gである。
〔溶融混錬工程〕
本発明の一実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、上述のヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練する溶融混錬工程を含む製造方法により製造することができる。
ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練することにより、プロピレン共重合体中の、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する単量体単位が、架橋性の単量体単位として作用し、架橋構造を形成する。したがって、熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも、鎖状構造を有するプロピレン共重合体(A)の非架橋体、および、架橋性の単量体単位を多く含有するプロピレン共重合体(B)の架橋体を含有する。熱可塑性エラストマー組成物は、さらに、プロピレン共重合体(A)の架橋体、および、プロピレン共重合体(B)の非架橋体を含んでいてもよい。熱可塑性エラストマー組成物は、プロピレン共重合体(A)の非架橋体、プロピレン共重合体(B)の架橋体、および、プロピレン共重合体(B)の非架橋体を含んでいることが好ましい。
架橋剤および架橋助剤をヘテロファジックプロピレン重合材料に添加するタイミングは、同時であっても別々であってもよく、また、いずれを先に添加してもよい。例えば、押出し機の上流側でヘテロファジックプロピレン重合材料を供給し、この供給位置と同じ位置で、またはそれよりも下流側で、架橋剤および/または架橋助剤を供給してもよい。
溶融混錬を行う温度は、添加する架橋剤および架橋助剤の種類によって異なるが、溶融混練後の各成分が十分に架橋される程度の温度であることが好ましく、例えば、170℃~270℃であり、より好ましくは180~250℃である。
溶融混錬を行う時間は、添加する架橋剤および架橋助剤の種類によって異なるが、溶融混練後の各成分が十分に架橋される程度の時間であることが好ましく、例えば、0.1~5.0分であり、より好ましくは0.3~2.0分である。
〔射出成形工程〕
射出成形時の成形温度は一般に150℃~300℃であり、好ましくは180℃~280℃であり、より好ましくは200℃~250℃である。金型の温度は通常0℃~100℃であり、好ましくは20℃~90℃であり、より好ましくは40℃~80℃であり、さらに好ましくは50℃~75℃である。
〔参考例1〕固体触媒成分の製造
工程(1-1):撹拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた100mL容のフラスコを窒素で置換し、次いで、当該フラスコに、トルエン36.0mL、および四塩化チタン22.5mLを投入し、撹拌し、四塩化チタン溶液を得た。フラスコ内の温度を0℃とした後、同温度でマグネシウムジエトキシド1.88gを30分おきに4回に分けて投入し、0℃で1.5時間撹拌した。次いで、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル0.60mLをフラスコ内に投入し、フラスコ内の温度を10℃に昇温した。その後、同温度で2時間撹拌し、トルエン9.8mLを投入した。次いで、フラスコ内の温度を昇温し、60℃の時点でフラスコ内に2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル3.15mLを投入し、110℃まで昇温した。同温度で3時間、フラスコ内の混合物を撹拌した。
得られた混合物を固液分離して固体を得た。得られた固体を、100℃にてトルエン56.3mLで3回洗浄した。
工程(1-2):上記工程(1-1)で得られた洗浄後の固体に、トルエン38.3mLを投入し、スラリーを調製した。該スラリーに四塩化チタン15.0mL、2-エトキシメチル-3,3-ジメチルブタン酸エチル0.75mLを投入して混合物を調製し、110℃で1時間混合物を攪拌した。次いで、攪拌した混合物を固液分離し、得られた固体を、60℃にてトルエン56.3mLで3回洗浄し、さらに室温にてヘキサン56.3mLで3回洗浄し、洗浄後の固体を減圧乾燥して固体触媒成分を得た。
この固体触媒成分について、チタン原子含有量は2.53重量%であり、エトキシ基含有量は0.44重量%であり、内部電子供与体含有量は13.7重量%であった。
また、レーザ回折・散乱法により測定される中心粒径は59.5μmであり、体積基準の粒子径分布において10μm以下である成分の累積百分率は5.3%であった。
XPSにより得られる酸素原子の1s軌道に由来し、結合エネルギーが532~534eVの範囲にピークトップを有するピーク成分量は85.0%であり、前記結合エネルギーが529eV以上、532eV未満の範囲にピークトップを有するピーク成分量は15.0%であった。
水銀圧入法により測定される全細孔容積は1.43mL/gであり、細孔半径5~30nmの範囲の細孔の合計容積は0.160mL/gであり、細孔半径30~700nmの範囲の細孔の合計容積は0.317mL/gであり、比表面積は107.44m2/gであった。
〔参考例2〕ヘテロファジックプロピレン重合材料-1の製造
(2-1)予備重合
内容積3Lの撹拌機付きSUS製オートクレーブに、充分に脱水および脱気処理したn-ヘキサン1.0L、トリエチルアルミニウム(以下、「TEA」と記載することがある。)20ミリモル(mmol)、t-ブチル-n-プロピルジメトキシシラン(電子供与体成分)2.0ミリモルを収容させた。その中に、参考例1で製造した固体触媒成分6gを添加し、オートクレーブ内の温度を約10℃に保ちながらプロピレン6gを約30分かけて連続的に供給して予備重合を行った。次いで、予備重合スラリーを内容積150Lの攪拌機付きSUS316L製オートクレーブに移送し、液状ブタン100Lを加えて、予備重合触媒成分のスラリーとした。
(2-2)本重合
スラリー重合反応器と気相反応器3槽とを直列に配置した反応装置において、下記重合工程(2-2-1)および下記重合工程(2-2-2)においてプロピレン共重合体(A-1)を製造し、生成したプロピレンン共重合体(A-1)を失活することなく後段に移送し、下記重合工程(2-2-3)および下記重合工程(2-2-4)においてプロピレン共重合体(B-1)を製造した。
重合工程(2-2-1)
攪拌機付きSUS304製ベッセル型反応器を用いて、プロピレンとエチレンとの共重合を行った。すなわち、プロピレン、エチレン、水素、トリエチルアルミニウム、t-ブチル-n-プロピルジメトキシシランおよび(2-1)で製造した予備重合触媒成分のスラリーを反応器に連続的に供給し、重合反応を行った。反応条件は以下の通りとした。
重合温度:50℃
攪拌速度:150rpm
反応器の液レベル:18L
プロピレンの供給量:20.0kg/時間
エチレンの供給量:0.03kg/時間
水素の供給量:24.0NL/時間
トリエチルアルミニウムの供給量:37.2ミリモル/時間
t-ブチル-n-プロピルジメトキシシランの供給量:7.90ミリモル/時間
予備重合触媒成分のスラリーの供給量(重合触媒成分換算):0.42g/時間
重合圧力:3.50MPa(ゲージ圧)。
重合工程(2-2-2)
鉛直方向に6段の反応領域を有し、その内最上段が流動層であり、残りの5段が噴流層である多段気相重合反応器を準備した。
重合工程(2-2-1)のベッセル型反応器から、多段気相重合反応器の最上段である流動層に、ポリプロピレン共重合体粒子および液状プロピレン共重合体を含むスラリーを失活させることなく連続供給した。
多段気相重合反応器内でのポリプロピレン粒子の段間移送は、ダブル弁方式により行った。この移送手段は、上段の反応領域と下段の反応領域を1インチサイズの配管で接続し、配管に二つの開閉弁を設け、下側の弁を閉じた状態で上側の弁を開け、上段の反応領域から弁の間にパウダーを溜め込み、その後、上側の弁を閉じた後に下側の弁を開けることで下段の反応領域にポリプロピレン粒子を移送するものである。
上記構成の多段気相重合反応器の下部から、プロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給した。これにより、各反応領域にそれぞれ流動層または噴流層を形成させ、ガス組成および圧力を一定に保つようプロピレンとエチレンと水素の供給量をコントロールし、過剰ガスをパージしながらプロピレンとエチレンとの共重合をさらに行い、プロピレン共重合体(A-1)を製造した。反応条件は以下の通りとした。
重合温度:65℃
重合圧力:1.70MPa(ゲージ圧)。
当該多段気相重合反応器において、反応器内のガスの濃度比は、エチレン/(プロピレン+エチレン)が1.40モル%であり、水素/(水素+プロピレン+エチレン)が5.60モル%であった。
重合工程(2-2-3)
重合工程(2-2-2)の多段気相重合反応器から排出されるプロピレン共重合体(A-1)の粒子を、流動層型反応器に連続的に供給した。流動層型反応器は、ガス分散板を備えたものであり、前段の多段気相重合反応器から流動層型反応器へのプロピレン共重合体(A-1)の粒子の移送手段は、上記のダブル弁方式で行った。
上記構成の流動層型反応器に、プロピレン、エチレンおよび水素を連続的に供給し、ガス組成および圧力を一定に保つように、ガス供給量の調整および過剰ガスのパージを行いながら、プロピレン共重合体(A-1)の粒子の存在下、プロピレンとエチレンとの共重合を行った。反応条件は以下の通りとした。
重合温度:70℃
重合圧力:1.60MPa(ゲージ圧)。
当該流動層型反応器において、反応器内のガスの濃度比は、エチレン/(プロピレン+エチレン)が45.9モル%であり、水素/(水素+プロピレン+エチレン)が3.10モル%であった。
重合工程(2-2-4)
重合工程(2-2-3)の流動層型反応器から排出されるポリプロピレン共重合体の粒子を、さらに後段の流動層型反応器に連続的に供給した。重合工程(2-2-4)の流動層型反応器は、重合工程(2-2-3)の流動層型反応器と同様に、ガス分散板を備えたものであり、重合工程(2-2-3)の流動層型反応器から重合工程(2-2-4)の流動層型反応器へのポリプロピレン共重合体の粒子の移送手段は、ダブル弁方式で行った。
以下の条件以外は上記重合工程(2-2-3)と同様の方法で、プロピレンとエチレンとの共重合を行い、プロピレン共重合体(A-1)およびプロピレン共重合体(B-1)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料-1を得た。
重合温度:70℃
重合圧力:1.40MPa(ゲージ圧)。
当該流動層型反応器において、反応器内のガスの濃度比は、エチレン/(プロピレン+エチレン)が46.0モル%であり、水素/(水素+プロピレン+エチレン)が3.20モル%であった。
(2-3)プロピレン共重合体(A-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の含有量
得られたヘテロファジックプロピレン重合材料-1中のプロピレン共重合体(A-1)の含有率(XA-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の含有率(XB-1)は、プロピレン共重合体(A-1)およびヘテロファジックプロピレン重合材料-1全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示差走査型熱分析(DSC)により測定した。
示差走査型熱分析(DSC)の条件は、まず、1stラン(1回目の走査)として、50℃から220℃まで200℃/分で昇温し、220℃で5分間保持した。次いで、220℃から180℃まで70℃/分で降温し、180℃で1分間保持した。次いで、180℃から50℃まで150℃/分で降温し、50℃で2分間保持した(降温過程)。次に2ndラン(2回目の走査)として、50℃から185℃まで16℃/分で昇温した。2ndランのときにおけるヘテロファジックプロピレン重合材料-1またはプロピレン共重合体(A-1)の吸熱ピークを測定し、得られたピーク面積から、以下に示す、(ΔHf)および(ΔHf)A-1を求めた。なお、示差走査型熱分析(DSC)に用いた1回当たりの試料の量は、約5mgである。
A-1=(ΔHf)/(ΔHf)A-1
B-1=1-(ΔHf)/(ΔHf)A-1
(ΔHf)T:ヘテロファジックプロピレン重合材料-1全体に含まれるプロピレン共重合体(A-1)の融解熱量(J/g)
(ΔHf)A-1:プロピレン共重合体(A-1)の融解熱量(J/g)
上記条件による示差走査型熱分析(DSC)において、プロピレン共重合体(B-1)は実質的に吸熱ピークを示さない。このため、(ΔHf)を求めるためのピーク面積は、ヘテロファジックプロピレン重合材料全体-1に含まれるプロピレン共重合体(A-1)に由来するピーク面積に相当する。よって、(ΔHf)はヘテロファジックプロピレン重合材料-1全体の融解熱量を測定することによって求められる、当該ヘテロファジックプロピレン重合材料-1全体に含まれるプロピレン共重合体(A-1)の融解熱量に相当する。
プロピレン共重合体(A-1)の含有率(XA-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の含有率(XB-1)に基づき求められる、プロピレン共重合体(A-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の合計量100重量%に対する、プロピレン共重合体(A-1)の含有量は、50.4重量%であり、プロピレン共重合体(B-1)の含有量は、49.6重量%であった。
(2-4)プロピレン共重合体(A-1)中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(YA-1
FT-IR5200型(日本分光製)によって重合工程(2-2-1)および重合工程(2-2-2)で得られたプロピレン共重合体(A-1)の赤外吸収スペクトルから、プロピレン共重合体(A-1)中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(YA-1)を、次式を用いて求めた。
A-1は、高分子分析ハンドブック(著者:日本分析化学会高分子分析研究懇談会出版:紀伊国屋書店)に記載された方法に準じて定量した。
1)赤外吸収スペクトルの測定資料の密度:ρ(g/cm)および厚み:t(cm)と、波数732cm-1における吸光度A’732および波数718cm-1における吸光度A’718とから、下記式により、波数732cm-1における見かけの吸光係数(K’732および波数718cm-1における見かけの吸光係数(K’718を算出した。なお、赤外吸収スペクトルの測定試料の密度は0.9g/cmとした。また、赤外吸収スペクトルの測定試料の厚みは市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH-15M、日本光学社製)で測定し、0.02cmであった。
(K’732=A’732/(ρt)
(K’718=A’718/(ρt)
2)下記式により、波数732cm-1における補正後の吸光係数(K’732および波数718cm-1における補正後の吸光係数(K’718を算出した。
(K’732=1/0.96{(K’732-0.268(K’718
(K’718=1/0.96{(K’718-0.150(K’718
3)下記式により、YA-1(重量%)を算出した。
A-1=0.575{(K’722+(K’736
プロピレンに由来する単量体単位およびエチレンに由来する単量体単位の合計量100重量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量(YA-1)は、1.8重量%であった。
(2-5)プロピレン共重合体(B-1)中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(YB-1
プロピレン共重合体(B-1)中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(YB-1)は、得られたヘテロファジックプロピレン重合材料の赤外吸収スペクトル(日本分光製 FT-IR5200型)によりヘテロファジックプロピレン重合材料-1中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(T-C2’)測定し、次式を用いて計算により求めた。
B-1=(T-C2’-(YA-1×XA-1))/XB-1(重量%)
T-C2’は、高分子分析ハンドブック(著者:日本分析化学会高分子分析研究懇談会出版:紀伊国屋書店)に記載された方法に準じて定量した。
赤外吸収スペクトルの測定資料の密度:ρ(g/cm)および厚み:t(cm)と、波数736cm-1における吸光度A’736および波数722cm-1における吸光度A’722とから、下記式により、波数736cm-1における見かけの吸光係数(K’736および波数722cm-1における見かけの吸光係数(K’722を算出した。なお、赤外吸収スペクトルの測定試料の密度は0.9g/cmとした。また、赤外吸収スペクトルの測定試料の厚みは市販のデジタル厚み計(接触式厚み計、商品名:超高精度デシマイクロヘッド MH-15M、日本光学社製)で測定し、0.02cmであった。
(K’736=A’736/(ρt)
(K’722=A’722/(ρt)
2)下記式により、波数736cm-1における補正後の吸光係数(K’736および波数722cm-1における補正後の吸光係数(K’722を算出した。
(K’736=1/0.96{(K’736-0.268(K’722
(K’722=1/0.96{(K’722-0.150(K’736
3)下記式により、T-C2’(質量%)を算出した。
T-C2’=0.575{(K’722+(K’736
プロピレンに由来する単量体単位およびエチレンに由来する単量体単位の合計量100重量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量(YB-1)は、42.1重量%であった。
(2-6)プロピレン共重合体(A-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の重量平均分子量
後述のCFCを用いる測定の条件およびその測定手順にしたがって、プロピレン共重合体(A-1)およびプロピレン共重合体(B-1)の重量平均分子量を求めた。
プロピレン共重合体(A-1)の重量平均分子量は、5.1×10であり、プロピレン共重合体(B-1)の重量平均分子量は、8.7×10であった。
〔参考例3〕ヘテロファジックプロピレン重合材料-2の製造
表1に示す値以外はヘテロファジックプロピレン重合材料-1と同様の方法で、プロピレン重合体(A-2)およびプロピレン共重合体(B-2)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料-2を製造した。
ヘテロファジックプロピレン重合材料-2において、プロピレン重合体(A-2)およびプロピレン共重合体(B-2)の合計量100重量%に対して、プロピレン重合体(A-2)の含有量(XA-2)は、47.1重量%であり、プロピレン共重合体(B-2)の含有量(XB-2)は、52.9重量%であった。
また、プロピレン重合体(A-2)において、プロピレンに由来する単量体単位およびエチレンに由来する単量体単位の合計量100重量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量(YA-2)は、0.0重量%であった。
また、プロピレン共重合体(B-2)において、プロピレンに由来する単量体単位およびエチレンに由来する単量体単位の合計量100重量%に対して、エチレンに由来する単量体単位の含有量(YB-2)は、47.0重量%であった。
また、プロピレン重合体(A-2)の重量平均分子量は、4.6×10であり、プロピレン共重合体(B-2)の重量平均分子量は、9.2×10であった。
Figure 0007446822000001
※1.水素/(水素+プロピレン+エチレン)
※2.エチレン/(プロピレン+エチレン)
〔使用した材料〕
実施例および比較例では、以下の材料を使用した。
(1)ヘテロファジックプロピレン重合材料-1
プロピレン共重合体(A-1)の含有量:50.4重量%
プロピレン共重合体(B-1)の含有量:49.6重量%
プロピレン共重合体(A-1)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:1.8重量%
プロピレン共重合体(B-1)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:42.1重量%
(2)ヘテロファジックプロピレン重合材料-2
プロピレン重合体(A-2)の含有量:47.1重量%
プロピレン共重合体(B-2)の含有量:52.9重量%
プロピレン重合体(A-2)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:0.0重量%
プロピレン共重合体(B-2)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:47.0重量%
(3)ヘテロファジックプロピレン重合材料-3(住友化学株式会社製ノーブレンAZ564)
プロピレン共重合体(A-3)の含有量:87重量%
プロピレン共重合体(B-3)の含有量:13重量%
プロピレン共重合体(A-3)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:0重量%
プロピレン共重合体(B-3)における、エチレンに由来する単量体単位の含有量:46重量%
(4)プロピレン-エチレン共重合体-1(住友化学株式会社製ノーブレンZ144CE4)
MFR=27g/10分;融解温度=141℃;プロピレンに由来する単量体の含有量=96重量%;エチレンに由来する単量体の含有量=4重量%)
(5)エチレン-1-オクテン共重合体-1
ダウケミカル社製、Engage 8842
(密度=0.857g/cm3)
(6)エチレン-1-ブテン共重合体-1
ダウケミカル社製、Engage 7487
(密度=0.860g/cm3)
(7)架橋剤-1
架橋剤-1として、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ株式会社製 カヤヘキサAd-40C、炭酸カルシウムおよび含水非晶質二酸化ケイ素等で40重量%濃度に希釈したもの)を用いた。
(8)架橋剤-2
架橋剤-2として、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ株式会社製 カヤヘキサAPO-10DL、パラフィン系オイルで10%濃度に希釈したもの)を用いた。
(9)架橋助剤
架橋助剤として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(精工化学株式会社製 ハイクロスMS-50、無機充填剤(非晶質シリカ)で50重量%濃度に希釈したもの)を用いた。
(10)その他の材料
離型剤:エルカ酸アミド(日本精化製 ニュートロンS)
酸化防止剤1:BASFジャパン株式会社製 イルガノックス1010
酸化防止剤2:BASFジャパン株式会社製 イルガフォス168
酸化防止剤3:住友化学株式会社製 スミライザーGA80
光安定剤1:住友化学株式会社製 スミソーブ300
光安定剤2:BASFジャパン株式会社製 チヌビン622SF
光安定剤3:BASFジャパン株式会社製 チヌビンXT850FF
光安定剤4:BASFジャパン株式会社製 チヌビン123
防腐剤(無機フィラー):ハイドロタルサイト(協和化学工業株式会社製、DHT-4A)
無機フィラー:炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、Vigot10)
〔実施例1〕
ヘテロファジックプロピレン重合材料-1を100重量部に対し、架橋剤-1を0.7重量部(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンの添加量として0.28重量部)、架橋助剤を0.8重量部(トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量として0.4重量部)、離型剤を0.15重量部、酸化防止剤1を0.2重量部、酸化防止剤2を0.1重量部、光安定剤1を0.2重量部、光安定剤2を0.1重量部、光安定剤3を0.1重量部、防腐剤を0.2重量部添加し、二軸押出機により、シリンダー温度200℃にて約1分間、溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
〔実施例2~3〕
表2に示した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2~3の熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
〔実施例4〕
防腐剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
〔実施例5〕
ヘテロファジックプロピレン重合材料-1を75重量部、ヘテロファジックプロピレン重合材料-2を25重量部に対し(ヘテロファジックプロピレン重合材料-1とヘテロファジックプロピレン重合材料-2の合計量が100重量部)、架橋剤-1を0.5重量部(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンの添加量として0.20重量部)、架橋助剤を0.8重量部(トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量として0.4重量部)、離型剤を0.15重量部、酸化防止剤1を0.2重量部、酸化防止剤2を0.1重量部、光安定剤1を0.2重量部、光安定剤2を0.1重量部、光安定剤3を0.1重量部、防腐剤を0.2重量部添加し、二軸押出機により、シリンダー温度200℃にて約1分間、溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
〔比較例1~5および8〕
表3に示した材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1~5および8の熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
〔比較例6〕
ヘテロファジックプロピレン重合材料-3を35重量部、プロピレン-エチレン共重合体-1を20重量部、エチレン-1-オクテン共重合体-1を20重量部、エチレン-1-ブテン共重合体-1を25重量部に対し(ヘテロファジックプロピレン重合材料-3とプロピレン-エチレン共重合体-1とエチレン-1-オクテン共重合体-1とエチレン-1-ブテン共重合体-1の合計量が100重量部)、架橋剤-2を2.0重量部(2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンの添加量として0.2重量部)、架橋助剤0.5重量部(トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量として0.25重量部)、離型剤を0.05重量部、酸化防止剤2を0.1重量部、酸化防止剤3を0.2重量部、光安定剤1を0.2重量部、光安定剤2を0.1重量部、光安定剤4を0.1重量部、防腐剤を0.2重量部、無機フィラーを0.6重量部添加し、二軸押出機により、シリンダー温度200℃にて約1分間、溶融混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
〔比較例7〕
表3に示した材料を用いた以外は、実施例5と同様にして、比較例7の熱可塑性エラストマー組成物を製造した。
Figure 0007446822000002
Figure 0007446822000003
〔射出成形体の製造〕
実施例1~5および比較例1~8の熱可塑性エラストマー組成物100重量部に、黒顔料マスターバッチ(住化カラー株式会社製 商品名SPEC824)1重量部を添加し、射出成形機(住友重機械工業株式会社製 商品名SE180D)を用いて、シリンダー温度220℃、金型温度25℃の条件で射出成形を行った。
金型として、400×100×3mmの平板金型を用い、平板金型のコア側(可動側)に、64×12.7×2mmの樹脂製平板を設置し、平板金型のキャビティ側に、シボ加工を施した入れ子を設置した。また、樹脂製平板を設置した位置に、厚さが1.0mmとなる薄肉部(ティアライン部)を設けた。
〔物性の評価〕
実施例1~5および比較例1~8の熱可塑性エラストマー組成物および射出成型体について、以下の方法で各種物性を評価した。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999に準拠し、230℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)融解温度
熱流束型示差走査熱量計(TAインストルメント社製 DSC Q100)を用いて、下記測定条件で示差走査熱量曲線の測定を行い、昇温操作での示差走査熱量曲線から融解温度(℃)を求めた。
<測定条件>
降温操作:220℃で融解させ、次に、220℃から-90℃まで5℃/分の降温速度で降温した。
昇温操作:降温の操作後、直ちに-90℃から200℃まで5℃/分で昇温した。
(3)等温結晶化時間
熱流束型示差走査熱量計(PerkinElmer社製 DSC8500)を用いて、窒素雰囲気下で試料を200℃で5分間保持した後に、約320℃~340℃/分で130℃まで冷却して保持する。このときの試料の結晶化による発熱量と時間の関係を測定し、総発熱量の1/2の発熱量に達するまでに要した時間を等温結晶化時間(秒)とした。
なお、測定試料としては、実施例および比較例の熱可塑性エラストマー組成物を、平滑なプレート間に挟み、230℃、1MPaで5分間プレスし、冷却して得られるプレスシート(厚み0.2mm)を使用する。
(4)140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量
下記のGPCを用いる測定の条件、および、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量の算出方法にしたがって、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量を求めた。
(GPCを用いる測定の条件)
GPC装置:HLC-8121GPC/HT(東ソー株式会社製)
GPCカラム:TSKgel GMH6-HT 7.8mm I.D.×300mm(東ソー株式会社製) 3本
移動相:オルトジクロロベンゼン(富士フィルム和光純薬株式会社製、特級)に、重合体の分解を抑制する酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)(富士フィルム和光純薬株式会社製、特級、純度98%)を0.1w/V%添加して使用した。
流速:1ml/分
カラムオーブン温度:140℃
オートサンプラー温度:140℃
システムオーブン温度:40℃
検出:示差屈折率検出器(RID)
RIDセル温度:140℃
試料溶液注入量:300μl
溶解溶媒:移動相と同じ
溶解用自動振とう器:DF-8020(東ソー株式会社製)
試料溶液の調製手順:30ml容のスクリューバイアルに、熱可塑性エラストマー組成物20.0mg、および、溶解溶媒20.0mlを入れて密栓し、これを溶解用自動振とう器にセットし、140℃で120分間撹拌した。次いで、得られた溶液を、0.8μm以上の孔径を有するフィルターを通過させてろ過した。ここで、ろ過は、140℃以上で行い、且つ溶媒の蒸発による濃度変化を避けるために20分間以内で行なった。これらの操作により、GPC測定用の試料溶液を調製した。
(140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量の算出方法)
以下の式(3)により、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量を算出した。
140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量(重量%)=(1-B/A)×100・・・(3)
式(3)中、Aは、ポリエチレン標準物質NIST1475aを上記のGPCを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積である。また、Bは、試料溶液を上記のGPCを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積である。ベースラインの規定は、ISO16014-1の記載に基づき行なった。
(5)50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分及び不溶成分の含有量
下記のCFCを用いる測定の条件に基づく、算出方法にしたがって、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分及び不溶成分の含有量を求めた。
(CFCを用いる測定の条件)
CFC装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC-2
TREFカラム:Polymer ChAR社製 ステンレススチールマイクロボール充填カラム(3/8”o.d x 150mm)
溶媒およびGPC移動相:オルトジクロロベンゼン(富士フィルム和光純薬株式会社製、特級)に、重合体の分解を抑制する酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)(富士フィルム和光純薬株式会社製、特級、純度98%)を0.05w/V%添加して使用
試料溶液濃度:試料20mgに対して溶媒20mlを添加
試料の溶解:145℃で60分間加熱撹拌
TREFカラムへの注入量:0.5ml
GPCカラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT2 7.8mm I.D.×300mm(東ソー) 3本
GPC移動相の流速:1.0ml/分
検出器:Polymer ChAR社製赤外分光光度計IR5(CFC装置に内蔵)
GPCカラムの較正:東ソー株式会社製標準ポリスチレン(F-1、F-2、F-4、F-10、F-40、F-80、F-288、F-850、A-500、A-1000、A-2500)各5mgを、それぞれ表4のような組合せで量り取り、20mlの溶媒を加えて145℃で1時間溶解させ、得られた溶液をそれぞれGPC分析し、各標準ポリスチレンの分子量とピークトップ溶出時間との関係から較正曲線を作成して較正を行った。
Figure 0007446822000004
赤外分光光度計の較正:ポリエチレン標準物質NIST1475aおよびMerck社製アイソタクチックポリプロピレン試料(製品番号182389)各10mgにそれぞれ20mlの溶媒を加えて145℃で1時間溶解させ、得られた溶液をそれぞれGPC分析し、前者のCH/1000Cを0.1、後者のCH/1000Cを333.3として検量線を作成し、試料のCH/1000Cを求めるのに用いた。
測定手順:試料20mgに溶媒20mlを加え、145℃で60分間加熱撹拌し、試料溶液を調製する。得られた試料溶液を、CFC装置中で145℃に保持された昇温溶出分別(TREF)カラムに0.5ml注入して、20分間保持させた。次いで、TREFカラムの温度を20℃/分の速度で100℃まで降温させ、100℃で20分間保持させた。次いで、TREFカラムの温度を0.5℃/分の速度で30℃まで降温させ、30℃で30分間保持させた。次いで、TREFカラムの温度を20℃/分の速度で50℃まで昇温させ、50℃で約19分間保持させた。次いで、50℃での溶出量、MwおよびCH/1000Cを、赤外分光光度計を備えたGPC(CFCに内蔵)で測定した。次いで、TREFカラムの温度を20℃/分の速度で140℃に上昇させ、約19分間保持した後、140℃での溶出量、MwおよびCH/1000Cを、赤外分光光度計を備えたGPC(CFCに内蔵)で測定する。全溶出量に占める50℃での溶出量と、140℃での溶出量との割合(重量%)から、熱可塑性エラストマー組成物中の140℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分のうち、50℃のオルトジクロロベンゼンに対する可溶成分および50℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分のそれぞれの量(重量%)を求めた。
(6)物性評価用射出成形体の製造方法
射出成型体とは別に、東芝機械社製射出成形機EC160NIIにて、サイドゲート平板金型を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃の条件で、実施例及び比較例の熱可塑性エラストマー組成物を縦90mm、横150mm、厚み2mmの射出成形体を得た。
(6-1)引張破断強度(TB)、引張破断伸び(EB)
JIS K6251:1993に従い、(7)で製造した射出成形体の引張破断強度および、引張破断伸びの測定を行った。なお、JIS 3号ダンベル、引張速度200mm/分とした。
(6-2)低温耐衝撃性(IZOD)
JIS K7110:1984に従い、(7)で製造した射出成形体の耐衝撃性の測定を行った。
なお、測定温度は-40℃である。
NB=破壊されず
B=破壊される
(7)成形外観
射出成型体について、シボ面に発生する光沢むら(艶むら)を目視観察し、下記の基準で判断を行った。目視観察を行う際には、スタンドライトを用いて、艶むらが目立つように艶むら部を照らして観察を行った。
〇:ティアライン部の艶むらが目立たない
×:ティアライン部の艶むらが目立つ
結果を表5と表6に示す。
Figure 0007446822000005
Figure 0007446822000006
本発明の一態様に係る熱可塑性エラストマー組成物は、公知の成形加工方法、好ましくは射出成形法により、エアバッグカバーやインストルメントパネルやピラー等の自動車内装部品、モール等の自動車外装部品、家電部材、建材、家具等、雑貨等の成形体に加工される。

Claims (16)

  1. ヘテロファジックプロピレン重合材料を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、下記要件(I)および下記要件(II):
    (I)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、前記熱可塑性エラストマー組成物の全量を100重量部として、20重量部~50重量部であり、前記不溶成分の含有量は、以下の式(3)により、算出され、
    140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量(重量%)=(1-B/A)×100・・・(3)
    式(3)中、Aは、ポリエチレン標準物質NIST1475aを、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積であり、Bは、試料溶液を、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積であり、A及びBそれぞれについての前記ベースラインの規定は、ISO16014-1の記載に基づき行なわれる
    (II)熱流束型示差走査熱量計を用いて130℃で測定される等温結晶化時間が、300秒以上である;
    を満たし、
    前記ヘテロファジックプロピレン重合材料が、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有するヘテロファジックプロピレン重合材料であって、
    前記プロピレン共重合体(A)および前記プロピレン共重合体(B)の合計量100重量部に対して、前記プロピレン共重合体(A)の含有量が45重量部~65重量部であり、前記プロピレン共重合体(B)の含有量が35重量部~55重量部であり、
    前記プロピレン共重合体(A)は、
    プロピレンに由来する単量体単位(A1)と、
    エチレンに由来する単量体単位(A2)とを含み、
    前記単量体単位(A1)および前記単量体単位(A2)の合計量100重量部に対して、前記単量体単位(A1)の含有量が95重量部~99.9重量部であり、前記単量体単位(A2)の含有量が0.1重量部~5重量部であり、
    前記プロピレン共重合体(B)は、
    プロピレンに由来する単量体単位(B1)と、
    エチレンに由来する単量体単位(B2)とを含み、
    前記単量体単位(B1)および前記単量体単位(B2)の合計量100重量部に対して、前記単量体単位(B1)の含有量が20重量部~78重量部であり、前記単量体単位(B2)の含有量が22重量部~80重量部である、
    熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記不溶成分の含有量が、20重量部~35重量部である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記不溶成分の含有量が、24重量部~30重量部である、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記等温結晶化時間が、1500秒~2000秒である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記プロピレン共重合体(A)の重量平均分子量が、1.0×10~7.0×10であり、前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、4.0×10~1.3×10である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、2.0×10~1.1×10である、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記ヘテロファジックプロピレン重合材料が、多段重合により得られた重合材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. ヘテロファジックプロピレン重合材料を、架橋剤および架橋助剤の存在下で溶融混練する工程を含む、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、
    前記ヘテロファジックプロピレン重合材料は、プロピレン共重合体(A)およびプロピレン共重合体(B)を含有し、
    前記プロピレン共重合体(A)および前記プロピレン共重合体(B)の合計量100重量%に対して、前記プロピレン共重合体(A)の含有量が45重量部~65重量部であり、前記プロピレン共重合体(B)の含有量が35重量部~55重量部であり、
    前記プロピレン共重合体(A)は、
    プロピレンに由来する単量体単位(A1)と、
    エチレンに由来する単量体単位(A2)とを含み、
    前記単量体単位(A1)および前記単量体単位(A2)の合計量100重量部に対して、前記単量体単位(A1)の含有量が95重量部~99.9重量部であり、前記単量体単位(A2)の含有量が0.1重量部~5重量部であり、
    前記プロピレン共重合体(B)は、
    プロピレンに由来する単量体単位(B1)と、
    エチレンに由来する単量体単位(B2)とを含み、
    前記単量体単位(B1)および前記単量体単位(B2)の合計量100重量部に対して、前記単量体単位(B1)の含有量が20重量部~78重量部であり、前記単量体単位(B2)の含有量が22重量部~80重量部であり、
    前記熱可塑性エラストマー組成物は、下記要件(I)および下記要件(II):
    (I)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量が、前記熱可塑性エラストマー組成物の全量を100重量部として、20重量部~50重量部であり、前記不溶成分の含有量は、以下の式(3)により、算出され、
    140℃のオルトジクロロベンゼンに対する不溶成分の含有量(重量%)=(1-B/A)×100・・・(3)
    式(3)中、Aは、ポリエチレン標準物質NIST1475aを、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積であり、Bは、試料溶液を、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いる測定に付し、得られたクロマトグラムについて、ピークにベースラインを引くことで得られるピーク面積であり、A及びBそれぞれについての前記ベースラインの規定は、ISO16014-1の記載に基づき行なわれる
    (II)熱流束型示差走査熱量計を用いて130℃で測定される等温結晶化時間が、300秒以上である;
    を満たす、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  9. 前記プロピレン共重合体(A)の重量平均分子量が、1.0×10 ~7.0×10 であり、前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、4.0×10 ~1.3×10 である、請求項8に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  10. 前記プロピレン共重合体(B)の重量平均分子量が、2.0×10 ~1.1×10 である、請求項8または9に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  11. 前記架橋剤が、有機過酸化物である、請求項8~10のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  12. 前記架橋助剤が、マレイミド化合物、多官能ビニル化合物および多官能アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項8~11のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  13. 前記溶融混練を行う温度が、170℃~270℃である、請求項8~12のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  14. 前記ヘテロファジックプロピレン重合材料が、多段重合により得られた重合材料である、請求項8~13のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  15. 請求項1~のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含有する成形体。
  16. 請求項1~のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含有するエアバッグカバー。
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