JP2007231161A - ポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】常温および低温での耐衝撃性、透明性および延性に優れ、さらに、成形体にしたときに、結晶化速度が速く成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることができるポリプロピレン樹脂組成物およびその射出成形体を提供する。
【解決手段】エチレン含有量が2〜5重量%、メルトフローレートが2〜90g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体50〜85重量%と、チーグラー・ナッタ触媒によって共重合させて得られる共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3、メルトフローレートが0.5〜30g/10分である低密度ポリエチレン5〜20重量%と、メルトフローレートが2〜90g/10分であるプロピレン単独重合体10〜30重量%とを含有する樹脂混合物100重量部と、造核剤0.01〜2重量部とを含むポリプロピレン樹脂組成物およびその射出成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体に関するものである。さらに詳細には、常温および低温での耐衝撃性、透明性および延性に優れ、さらに、成形体にしたときに、結晶化速度が速く成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることができるポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる射出成形体に関するものである。
ポリプロピレン樹脂組成物は、これを薄肉で透明な射出成形品にできることから、従来から、食品容器等に用いられている。そのような用途に用いられるポリプロピレン樹脂組成物として、例えば、特開2004−176061号公報に、特定のプロピレン・エチレンランダム共重合体と特定のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、及び特定のプロピレン単独重合体とを含有する混合物に、有機過酸化物を添加し、溶融混練してなるプロピレン樹脂組成物が記載されている。
特開2004−176061号公報
しかし、上記公報に記載されているプロピレン樹脂組成物についても、常温および低温での耐衝撃性、透明性および延性に優れたものであって、さらに、成形体にしたときに、結晶化速度が速く成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることが望まれていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、常温および低温での耐衝撃性、透明性および延性に優れ、さらに、成形体にしたときに、結晶化速度が速く成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることができるポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる射出成形体を提供することにある。
本発明者らは、検討の結果、本発明が、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
下記プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))50〜85重量%と、下記低密度ポリエチレン(成分(B))5〜20重量%と、下記プロピレン単独重合体(成分(C))10〜30重量%とを、含有する樹脂混合物(I)(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100重量%とする)、および、前記樹脂混合物(I)100重量部に対して、造核剤(成分(D))0.01〜2重量部とを含むポリプロピレン樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる射出成形体に係るものである。
成分(A):
エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5重量%であり、
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100重量%とする)。
成分(B):
プロピレンおよび炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンとをチーグラー・ナッタ触媒によって共重合させて得られる共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3であり、
測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K7210)が0.5〜30g/10分である低密度ポリエチレン。
成分(C):
測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン単独重合体。
本発明によれば、常温および低温での耐衝撃性、透明性および延性に優れ、さらに、成形体にしたときに、結晶化速度が速く成形サイクルを短縮でき生産性を向上させることができるポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる射出成形体を得ることができる。
本発明で用いられるプロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))は、エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100重量%とする)。エチレン由来の構造単位の含有量として、好ましくは2〜4重量%である。
エチレン由来の構造単位の含有量が2重量%未満の場合、耐衝撃性が不十分なことがあり、5重量%を超えた場合、結晶化速度、剛性が不十分なことがある。
成分(A)の測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K6758)は2〜90g/10分であり、好ましくは15〜90g/10分である。成分(A)のMFRが2g/10分未満の場合、成形性が不十分なことがあり、90g/10分を超えた場合、衝撃強度や延性が不十分なことがある。
本発明で用いられる低密度ポリエチレン(成分(B))は、プロピレンおよび炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンとを共重合させて得られる共重合体である。
α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等が挙げられる。これらを単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
成分(B)の密度は0.85〜0.91g/cm3であり、好ましくは0.88〜0.91g/cm3である。成分(B)の密度が0.85g/cm3未満の場合、剛性が不十分なことがあり、0.91g/cm3を超えた場合、衝撃強度が不十分なことがある。
成分(B)の測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K7210)は0.5〜30g/10分であり、好ましくは5〜20g/10分である。成分(B)のMFRが0.5g/10分未満の場合、衝撃強度や成形性が不十分なことがあり、30g/10分を超えた場合、剛性が不十分なことがある。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体(成分(C))の測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する)(JIS−K6758)は2〜90g/10分であり、好ましくは15〜90g/10分である。成分(C)のMFRが2g/10分未満の場合、成形性が不十分なことがあり、90g/10分を超えた場合、延性が不十分なことがある。
成分(C)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は、剛性、耐熱性または硬度を高めるという観点から、好ましくは0.95以上である。
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー由来の単位の分率である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行う)。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法によって英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19-14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
成分(C)の測定温度135℃、テトラリン溶媒中で測定される極限粘度([η]単位:dl/g)は、成形サイクルを短縮するという観点や延性を良好にするという観点から、好ましくは1.5dl/g以下であり、より好ましくは0.8dl/g以上1.5dl/g以下であり、さらに好ましくは0.9dl/g以上1.3dl/g以下である。
成分(C)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定される分子量分布(Q値、Mw/Mn)として、好ましくは3以上7以下であり、より好ましくは3〜5である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物に含有される成分(A)の含有量は50〜85重量%であり、好ましくは70〜85重量%である。成分(A)の含有量が50重量%未満の場合、十分な透明性、延性、耐衝撃性が得られないことがあり、85重量%を超えた場合、十分な結晶化速度が得られず、成形サイクル性が十分に短縮できないことがある。
また、(B)の含有量は5〜20重量%であり、好ましくは5〜10重量%である。成分(B)の含有量が5重量%未満の場合、十分な耐衝撃性が得られないことがあり、20重量%を超えた場合、十分な結晶化速度が得られず、成形サイクル性が十分に短縮できないことがある。
また、成分(C)の含有量は10〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。成分(C)の含有量が10重量%未満の場合、十分な結晶化速度が得られないことがあり、30重量%を超えた場合、十分な透明性、耐衝撃性が得られないことがある。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物に含有される成分(A)の含有量と成分(B)の含有量と成分(C)の含有量の合計を100重量%とする。なお、成分(A)と成分(B)と成分(C)を含有する樹脂混合物を樹脂混合物(I)と称する。
本発明で用いられる造核剤(成分(D))は、ポリプロピレン樹脂に対して造核効果を持つ物質であり、結晶化速度を速め成形サイクルを短縮するという観点や、透明性、剛性、耐熱性を高めるという観点から、好ましくは、ソルビトール系造核剤、有機リン酸塩系造核剤、高分子系造核剤であり、これらは単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
ソルビトール系造核剤としては、例えば、1,3:2,4−ビス(o−ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−ベンジリデンソルビトール、1,3−o−ベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−o−p−クロロベンジリデン−2,4−o−3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3−o−3,4−ジメチルベンジリデン−2,4−o−p−クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス(o−p−クロロベンジリデン)ソルビトール等、および、それらの混合物が挙げられる。有機リン酸塩系造核剤としては、例えば、リン酸ビス(p−t−ブチルフェニル)ナトリウム、メチレン(2,4−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ナトリウム−2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が挙げられる。高分子系造核剤としては、例えば、ポリビニルシクロヘキサンが挙げられる。
成分(D)の含有量は、前記樹脂混合物(I)100重量部に対して、0.01〜2重量部であり、好ましくは0.01〜0.5重量部である。成分(D)の含有量が0.01重量部未満の場合、十分な常温および低温での耐衝撃性、透明性、延性が得られないことがあり、さらに、十分な結晶化速度が得られず、成形サイクルを十分に短縮できないことがある。そして、2重量部を超えた場合、過剰なだけで、不経済であり、また、射出成形をする時に煙や臭気の原因になる恐れがある。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、成形性、延性、耐衝撃性を高めるという観点から、好ましくは、5〜120g/10分であり、より好ましくは8〜50g/10分である。なお、ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)である。
本発明で用いられる成分(A)、成分(B)および成分(C)の製造方法は、従来のチーグラー・ナッタ触媒を用いて、従来の重合方法によって製造する方法である。成分(A)、成分(B)および成分(C)の製造に用いられるチーグラー・ナッタ触媒としては、例えば、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と(b)有機アルミニウム化合物と(c)電子供与体成分から形成される触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法は例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報、特開平10−212319号公報等に記載されている。
上記の触媒系に用いられる固体触媒成分(a)、有機アルミニウム化合物(b)および電子供与体成分(c)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、公知の触媒の使用方法によって、適宜、決めることができる。
本発明で用いられる成分(A)、成分(B)または成分(C)の重合方法としては、例えば、バルク重合、溶液重合、スラリー重合、気相重合等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組合せてもよい。工業的かつ経済的な観点から、好ましくは連続式の気相重合法である。
本発明で用いられる成分(A)、または成分(C)の重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaであり、好ましくは0.2〜5MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いることができる。
本発明で用いられる成分(B)の重合温度は、通常、100〜300℃であり、好ましくは150〜270℃である。重合圧力は、通常、50〜150MPaであり、好ましくは60〜100MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いることができる。
本発明で用いられる成分(A)、成分(B)または成分(C)の重合(本重合)を実施する前に、公知の方法によって、予備重合を行っても良い。成分(A)または成分(C)の重合(本重合)の前に実施する予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。成分(B)の重合(本重合)の前に実施する予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(a)および有機アルミニウム化合物(b)の存在下、少量の1−ヘキセンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法は、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を溶融混練する方法であり、溶融混練の方法として、従来の方法が挙げられる。溶融混練方法としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール、ブラベンダー、二ーダー等を用いる方法が挙げられ、好ましくは押出機を用いる方法である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造方法として、好ましくは、前記樹脂混合物(I)と造核剤(成分(D))と有機過酸化物(成分(E))とを溶融混練する方法であって、前記樹脂混合物(I)100重量部に対して、有機過酸化物(成分(E))0.0001〜0.1重量部を用いて製造する方法である。成分(E)の使用量として、好ましくは、0.001〜0.1重量部である。成分(E)の使用量が0.0001重量部未満の場合、成形性が不充分なことがあり、0.1重量部を超えた場合、延性、衝撃強度が不充分なことがある。
有機過酸化物(成分(E))としては、例えば、過酸化アルキル類、過酸化ジアシル類、過酸化エステル類、過酸化カーボネート類等が挙げられる。過酸化アルキル類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンや、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキシノナン等が挙げられる。
過酸化ジアシル類としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドやデカノイルパーオキサイドが挙げられ、過酸化エステル類としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルネオヘプタネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエートやジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジテート等が挙げられる。
過酸化カーボネート類としては、例えば、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネートやジミリスチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
有機過酸化物(成分(E))として好ましくは、過酸化アルキル類であり、より好ましくは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4−7−トリパーオキシノナンである。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等が挙げられる。
本発明の射出成形体は、本発明のポリプロピレン樹脂組成物からなるものであり、射出成形方法としては、公知の射出成形方法が挙げられる。
本発明の射出成形体の用途としては、例えば、食品容器、医療用器具、家電部品、日用雑貨等が挙げられ、好ましくは、食品容器である。
以下、実施例により本発明を説明する。実施例および比較例で用いた重合体及び組成物の物性の測定方法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
(1−1)プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))およびプロピレン単独重合体(成分(C))のMFRの測定方法
測定温度230℃、荷重2.16kgfで、JIS−K6758に従って測定した。
(1−2)低密度ポリエチレン(成分(B))のMFRの測定
測定温度190℃、荷重2.16kgfで、JIS−K7210に従って測定した。
(2)アイゾット衝撃強度(IZOD、単位:kJ/m2
JIS−K7110に規定された方法に従って測定した。試験片は、後述する射出成形体の製造方法により成形された厚みが6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの試験片を用いた。測定温度は23℃または0℃で測定した。
(3)引っ張り試験(破断伸び(UE)、単位:%)
ASTM D638に規定された方法に従って測定した。試験片は、後述する射出成形体の製造方法により成形された厚みが3.2mmである試験片を用いた。
引っ張り速度は50mm/分で測定した。
(4)エチレン含有量(単位:重量%)
高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁「(i)ランダム共重合体」の項に記載の方法に従ってIRスペクトルを用いて、エチレン由来の構造単位の含有量を測定した。
(5)結晶化速度(結晶化時間、T1/2、単位:秒)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC VII型)を用いて測定した。測定条件は、あらかじめ試片10mgを窒素雰囲気下におき結晶化温度130℃の条件で10分間等温結晶化を行い、得られた吸熱カーブから半結晶化時間を測定した。結晶化時間が短いほど、結晶化速度が速いことを示す。
(6)透明性(HAZE、単位:%)
JIS K7150に従って内部ヘイズ値を測定した。試験片は、後述する射出成形体の製造方法により得られた縦150mm、横90mm、厚み2mmの射出成形体の中心点から上下に約4cmのところを3cm×4cmの長方形に切削したものを使用した。内部ヘイズ値が高いほど、目視では試験片に霞がかかったように白っぽく見え、透明性が低いことを示す。
〔射出成形体の製造方法〕
上記(2)、(3)、(6)で用いた試験片は、次の方法に従って製造した。住友重機械製ネスタールサイキャップ120t射出成形機用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃、冷却時間20secで射出成形を行い、射出成形体を得た。これを試験片として用いた。
(7)耐衝撃性(落錘衝撃強度(FWI)、単位:Kg・cm)
測定に用いる重錘の形状を図1に示した。図1に示した形状の鉄製の重錘を用いた以外は、JIS K7211の測定方法に従い、試験片の数の50%が破壊するときの衝撃エネルギーを求めた。測定温度は23℃で実施した。
尚、試験片は後述する射出成形体の製造方法によって得られたものを用いた。具体的には、縦長さ×横長さ×厚み=400×100×3mmの長平板状試験片を数枚成形し、その試験片を横方向に平行に4等分割し(すなわち、分割された1片は、縦長さ×横長さ=100×100mmの平板である。)、その中央部の2枚を試験片として使用した。
〔落錘衝撃強度評価用の試験片の製造方法〕
落錘衝撃強度評価用の試験片(射出成形体)は下記の方法に従い製造した。
住友重機械製NEOMAT350/120型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型冷却温度50℃で射出成形を行い、縦長さ×横長さ×厚み=400×100×3mmの寸法の落錘衝撃強度評価用試験片を得た。
実施例1
成分(A)としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:20g/10分、エチレン含量2.5重量%)79重量部、成分(B)としてエチレンを主成分とした1−ブテンとの共重合体(住友化学株式会社製、商品名エクセレンVL VL400、MFR:5g/10分、密度:0.900g/cm3)8重量部、成分(C)としてプロピレン単独重合体(MFR:19g/10分)13重量部の全100重量部に対し、成分(D)としてソルビトール誘導体(新日本理化株式会社製、商品名ゲルオールD)0.3重量部、成分(E)として有機過酸化物2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.018重量部を添加し、溶融混練時に熱減成を行った。得られた溶融混練物はMFR(測定温度230℃、JIS−K6758):32g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物であった。
この溶融混練物について、前述の手法に従い、試験片の成形を行い、また、物性を評価し、その結果を表1に示した。試験片は、IZOD(23℃)、IZOD(0℃)、結晶化速度、透明性、FWI、および破断伸びのいずれにおいても優れていた。
比較例1
成分(A)としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:20g/10分、エチレン含量2.5重量%)100重量部の全100重量部に対し、成分(D)としてソルビトール誘導体(新日本理化株式会社製、商品名ゲルオールD)0.3重量部を添加した溶融混練物を得た。成形・評価の結果は表1に示したとおり、IZOD(23℃)、透明性は良好であるものの、IZOD(0℃)、FWI、結晶化速度、破断伸びに劣っていた。
比較例2
成分(A)としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:20g/10分、エチレン含量2.5重量%)95重量部、成分(C)としてプロピレン単独重合体(MFR:19g/10分)5重量部の全100重量部で溶融混練物を得た。成形・評価の結果は表1に示したとおり、とくに透明性、結晶化速度、破断伸び、IZOD(23℃)、IZOD(0℃)に劣っていた。
比較例3
成分(A)としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:20g/10分、エチレン含量4.0重量%)85重量部、成分(C)としてプロピレン単独重合体(MFR:19g/10分)15重量部の全100重量部に対し、成分(D)としてソルビトール誘導体(新日本理化株式会社製、商品名ゲルオールD)0.3重量部を添加した溶融混練物を得た。成形・評価の結果は表1に示したとおり、透明性、結晶化速度、破断伸び、IZOD(23℃)に優れているものの、IZOD(0℃)とFWIに劣っていた。
比較例4
成分(A)としてプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:20g/10分、エチレン含量4.0重量%)70重量部、成分(C)としてプロピレン単独重合体(MFR:19g/10分)30重量部の全100重量部に対し、成分(D)としてソルビトール誘導体(新日本理化株式会社製、商品名ゲルオールD)0.3重量部を添加した溶融混練物を得た。成形・評価の結果は表1に示したとおり、透明性、結晶化速度、IZOD(23℃)に優れているものの、破断伸びとIZOD(0℃)、FWIに劣っていた。
Figure 2007231161
落錘衝撃強度の測定に用いる重錘の形状の略図である。

Claims (5)

  1. 下記プロピレン−エチレンランダム共重合体(成分(A))50〜85重量%と、
    下記低密度ポリエチレン(成分(B))5〜20重量%と、
    下記プロピレン単独重合体(成分(C))10〜30重量%とを、
    含有する樹脂混合物(I)(成分(A)と成分(B)と成分(C)の合計を100重量%とする)、および、前記樹脂混合物(I)100重量部に対して、
    造核剤(成分(D))0.01〜2重量部とを含むポリプロピレン樹脂組成物。
    成分(A):
    エチレン由来の構造単位の含有量が2〜5重量%であり、
    測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体の全量を100重量%とする)。
    成分(B):
    プロピレンおよび炭素数4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとエチレンとをチーグラー・ナッタ触媒によって共重合させて得られる共重合体であって、密度が0.85〜0.91g/cm3であり、測定温度190℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K7210)が0.5〜30g/10分である低密度ポリエチレン。
    成分(C):
    測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が2〜90g/10分であるプロピレン単独重合体。
  2. 測定温度230℃、荷重2.16kgfで測定したメルトフローレート(JIS−K6758)が5〜120g/10分である請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 樹脂混合物(I)と造核剤(成分(D))と有機過酸化物(成分(E))とを溶融混練して、請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物を製造する方法であって、樹脂混合物(I)100重量部に対して、有機過酸化物(成分(E))0.0001〜0.1重量部を用いて製造する方法。
  4. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
  5. 食品容器である請求項4に記載の射出成形体。
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