JP2005298571A - 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 Download PDF

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哲郎 今野
Gakuji Shin
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Abstract

【課題】生産性、成形性、架橋特性、色調に優れ、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などに有用な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)、共重合ゴム(B)、軟化剤(C)、マレイミド架橋剤(D)、1分間半減期温度が160℃以下の過酸化物(E)から成る混合物を動的架橋してなる熱可塑性エラストマー組成物。共重合ゴム(B)としては、オレフィン系共重合ゴム(B1)又はスチレン系共重合ゴム(B2)が好適に用いられる。そして、オレフィン系共重合ゴム(B1)としては、エチレン−プロピレン−非共役ジエン−ランダム共重合ゴム(EPDM)が好適であり、スチレン系共重合ゴム(B2)としては、スチレン系ブロック−オレフィン系ブロック−スチレン系ブロックから成るトリブロック共重合体が好適である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法に関し、詳しくは、生産性、成形性、外観、架橋特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法に関する。
オレフィン系樹脂にオレフィン系やスチレン系の共重合ゴムをブレンドした組成物は、熱可塑性エラストマーとして、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などの分野で広く用いられている。斯かる熱可塑性エラストマーの圧縮永久歪みや耐油性は、分散相である共重合ゴムの架橋密度に大きく依存しており、これらの特性を向上させるためには、架橋密度を高くする必要がある。特に、スチレン系共重合ゴムは、通常ブロック構造を有しており、そのハードセグメントの疑似架橋によりゴム弾性を発現しているが、架橋点の数に限界があり、充分な架橋密度とならない。
オレフィン樹脂がマトリックスでありゴム成分が分散相である熱可塑性エラストマーでは、動的架橋によってゴム成分の架橋密度を高くする手法として、ビニル化合物と有機過酸化物を併用する方法(A)(例えば特許文献1参照)、フェノール樹脂と金属化合物を併用する方法(B)(例えば特許文献2〜4参照)、炭素ラジカルを用いる方法(C)(例えば特許文献5参照)が知られている。
ビニル化合物と有機過酸化物を併用する方法(A)は、オレフィン系樹脂とオレフィン系ゴムをブレンドした系で広く用いられているが、ビニル化合物の架橋速度がゴム成分の不飽和結合の架橋速度に比べて大きいために架橋したビニル化合物の凝集体が発生して外観上の不具合(ブツ)を生じるという問題、有機過酸化物に由来するラジカルがオレフィン系樹脂を変質させて成形時に不具合(ムラ、メヤニ)を発生する、即ちエチレン樹脂であればゲル化して(ムラ)、プロピレン樹脂やブチレン樹脂であれば分解する(メヤニ)という問題がある。
フェノール樹脂と金属化合物を併用する方法(B)は、やはりオレフィン系樹脂とオレフィン系ゴムをブレンドした系で広く用いられているが、有効な架橋速度を得るためにはハロゲン成分が必須であって、しかも、ハロゲン成分の供給と制御のために錫や亜鉛が必要であるという問題、ハロゲン成分で活性化されたフェノール樹脂はゴム成分の不飽和二重結合を効率的に架橋させるものの反応性が高すぎるためにフェノール樹脂の縮合体が副生して外観上の不具合(着色、ブツ)を発生するという問題がある。
炭素ラジカルを用いる方法(C)は、架橋速度が遅いために効率的な生産性を達成することが難しいという問題があって実用化されていない。
特開昭59−131613号公報 特開昭54−99153号公報 特開昭63−99256号公報 特開平05−302012号公報 特開平09−95577号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、生産性、成形性、架橋特性、色調に優れ、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などに有用な熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、オレフィン系樹脂と共重合ゴムと軟化剤から成る混合物にマレイミド架橋剤と1分間半減期温度が160℃以下の有機過酸化物を配合したものを連続生産可能な押出機によって動的架橋することにより、生産性、成形性、外観、架橋特性に優れた熱可塑性エラストマーが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、オレフィン系樹脂(A)、共重合ゴム(B)、軟化剤(C)、マレイミド架橋剤(D)、1分間半減期温度が160℃以下の過酸化物(E)から成る混合物を動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、オレフィン系樹脂(A)、共重合ゴム(B)、軟化剤(C)、マレイミド架橋剤(D)、1分間半減期温度が160℃以下の過酸化物(E)から成る混合物を押出機によって動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に存する。
本発明によれば、生産性、成形性、架橋特性、色調に優れ、車両用部材、家電製品用部材、OA機器用部材、医療用部材、雑貨などに有用な熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるオレフィン系樹脂(A)は、特に限定されないが、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、ブテン系樹脂、それらを主成分とする共重合体の群から選択するのが好ましい。
上記の共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、プロピレン−エチレン共重合体などを挙げることが出来る。
オレフィン系樹脂(A)の中ではプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とする共重合体樹脂が好適であり、具体的には、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などを挙げることが出来る。
プロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)としては、通常0.05〜100g/10分であり、好ましくは0.1〜50g/10分である。メルトフローレートが0.05g/10分未満の場合は、成形性が悪化し、得られる成形体の外観に不具合が生じることがあり、100g/10分を超える場合は、機械的特性、特に引張り破壊強さが低下する傾向にある。
本発明に用いられる共重合ゴム(B)としては、オレフィン系やスチレン系の共重合ゴムが好適である。
オレフィン系共重合ゴム(B1)としては、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−ブタジエン共重合体などの、オレフィンを主成分として脂肪族系不飽和結合を有するランダム共重合体が挙げられる。これらの中ではエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
EPDMとのエチレン含量は、通常50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%、プロピレン含量は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、非共役ジエン含量は、通常1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%である。エチレン含量が50重量%未満の場合は機械的特性が低下することがあり、90重量%を超える場合は得られる組成物の柔軟性が不足することがある。非共役ジエン含量が1重量%未満の場合は得られる組成物の架橋特性が不足することがあり、30重量%を超える場合は成形性が悪化することがある。
オレフィン系共重合ゴム(B1)は分子量が高いほど耐油性が良くなる。従って、オレフィン系共重合ゴム(B1)は、分子量の点から、そのムーニー粘度が次の式(1)を満足するのが好ましく、軟化剤(C)を50重量部以上含有した状態で測定したムーニー粘度が次の式(2)を満足するのが更に好ましい。
スチレン系共重合ゴム(B2)は、A−(B−A)n及び/又は(A−B)nで表されるブロック共重合体の水素添加物である。ここで、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)であり、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である。
上記のブロック共重合体において、Aブロックはハードセグメント、Bブロックはソフトセグメントを構成する。代表例はA−B又はA−B−Aであり、A−B−Aトリブロックが特に好ましい。Bブロックの不飽和二重結合は、水素添加されているブロック共重合体であり、一般に水素添加されたスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
Aブロックを構成するビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、核置換メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。特に、スチレン単独またはスチレンを主成分とすることが好ましい。スチレンを主成分とする場合の残成分としては、α−メチルスチレン、無水マレイン酸などが好適である。
Bブロックは、共役ジエン単独重合ブロックの水素添加物または共役ジエンを主成分とした重合ブロックの水素添加物が好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。特に、ブタジエン、イソプレン又は両者の混合物が好ましい。
スチレン系共重合ゴム(B2)の重量平均分子量(ポリスチレン換算のGPC)は、通常16〜100万、好ましくは18〜50万、更に好ましくは20〜40万である。重量平均分子量が前記範囲未満では得られる組成物のゴム弾性や機械的強度が劣り、前記範囲を超える場合は得られる組成物の成形加工性が劣ることになる。
スチレン系共重合ゴム(B2)のAブロック含有量は、通常5〜45重量%、好ましくはく10〜40重量%である。Aブロック含有量が前記範囲未満ではハードセグメントによる疑似架橋点の拘束力が弱くなって得られる組成物の架橋特性が劣る傾向となり、前記範囲を超える場合はソフトセグメントが発現すべき柔軟性やゴム弾性が不足して得られる組成物の柔軟性やゴム弾性も不足することになる。Aブロックの分子量は、通常3.6万以上、好ましくは3.8万以上である。Aブロック分子量が3.6万未満では疑似架橋点としての拘束力が弱くなる。
スチレン系共重合ゴム(B2)のBブロック水素添加率は、通常80〜99.9%、好ましくは85〜99.8%、更に好ましくは90〜99.6%である。水素添加率が前記範囲未満の場合は架橋させるべき不飽和二重結合が多すぎて多量の架橋剤が必要であると共に架橋密度が過大となることによって柔軟性が不足し、前記範囲を超える場合は架橋に利用できる不飽和二重結合が不足して得られる組成物の架橋特性の向上が僅かとなる。
本発明において、軟化剤(C)としては、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤などを用いることが出来が、鉱物油系軟化剤が好ましい。一般に、鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族系炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に用いられる。
本発明においてマレイミド架橋剤(D)としては、モノマレイミド、ビスマレイミド、多価マレイミドの他、無水マレイン酸と一級アミン化合物の当量混合物を用いることが出来る。
モノマレイミドとしては、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミドなどがある。ビスマレイミドとしては、2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、N,N’−(4,4’−ビフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4マレイミドフェニル)メタン、N,N’−エチレンビスマレイミド等がある。
無水マレイン酸と一級アミン化合物との当量混合物を構成する一級アミン化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、ベンジルアミン、ポリアリルアミン等がある。なお、本発明の特徴を損なわない範囲でエポキシ化合物、アクリル化合物、ウレタン化合物、ビニル化合物などの架橋助剤を用いることが出来る。
本発明において用いる有機過酸化物(E)は1分間半減期温度が160℃以下のものでなければならない。1分間半減期温度は、好ましくは80〜160℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜140℃である。1分間半減期温度が160℃を超える有機過酸化物の場合は、有機過酸化物を充分に分解させて架橋反応を完了させるためには過大な熱履歴を加えることが必要となり、得られる熱可塑性エラストマーの主成分であるオレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)が熱劣化する。1分間半減期が余りに低い場合は、オレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)が溶融して架橋反応が可能となる前に有機過酸化物の分解が進んでしまうことになる。
本発明において用いる有機過酸化物(E)の具体例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等が挙げられる
なお、有機過酸化物(E)を用いずに前記成分(A)〜(D)を混練装置に加えて動的架橋させても、成形性、外観、架橋特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るが、架橋反応速度が遅いために生産性のあるものとはならない。
オレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)の重量配合比(A)/(B)は、通常5/95〜45/55、好ましくは10/90〜40/60である。オレフィン系樹脂(A)の比率が前記割合より少ないと成形が困難となり、前記比率を超えると熱可塑性エラストマーとしては堅い感触のものとなってしまう。
軟化剤(C)の割合は、オレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)の合計100重量部に対し、通常1〜500重量部、好ましくは20〜350重量部、更に好ましくは40〜250重量部である。軟化剤(C)の配合量が前記範囲未満の場合は得られる組成物の柔軟性が不足し、前記範囲を超える場合は得られる組成物の強度が不足する。
マレイミド架橋剤(D)の割合は、共重合ゴム(B)100重量部に対し、通常0.5〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部である。マレイミド架橋剤(D)の割合が前記範囲未満の場合は得られる組成物に充分な架橋特性の向上が見られず、前記範囲を超える場合は得られる組成物の柔軟性が損なわれる。
有機過酸化物(E)の割合は、共重合ゴム(B)100重量部に対し、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、更に好ましくは0.1〜2.5重量部である。有機過酸化物(E)の割合が前記範囲未満の場合は動的架橋の過程において充分な架橋速度の向上が見られず、前記範囲を超える場合は得られる組成物の柔軟性が損なわれる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、上記必須成分に加えて本発明の効果を失わない範囲で各種目的に応じて他の任意の配合成分を配合することが出来る。任意成分としては、例えば、充填材(フィラー)、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性賦与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴剤、蛍光増白剤などの各種添加物、上記の必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記の必須成分以外のエラストマーを挙げることが出来、これらの中から任意のものを単独または併用して用いることが出来る。
上記の必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂などを挙げることが出来る。また、充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、各種ウィスカー、粘土鉱物、アエロジル等を挙げることが出来る。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記(A)〜(E)の成分を動的架橋してなる。動的架橋とは前記(A)〜(E)の成分を混練装置により溶融状態または半溶融状態で混練しながら架橋させることを指す。具体的な混練温度は、配合材料の種類などにより適宜選択される。また、混練時間は、通常10秒から30分、好ましくは20秒から20分間である。
混練装置への成分(A)〜(E)の供給は、混合装置を用いて(A)〜(E)を混合したものを供給機によって供給してもよいし、成分(A)〜(E)を個別の供給装置を用いて個別に供給してもよい。混合装置に関しては、特に制限はないが、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が用いられる。供給装置に関しても特に制限はないが、重量フィーダー、容量フィーダー、ギヤポンプ等の通常の混練装置に利用されるもの用いられる。
また、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストミル等のバッチ式の混練装置と、一軸押出機、二軸押出機などの連続式の混練装置が知られているが、連続生産が可能であるという点からは押出機が好ましく、原料供給と混練条件の自由度が高いという点からは二軸押出機が特に好ましい。
前記(A)〜(D)の成分だけを混練装置に投入して動的架橋させても、成形性、外観、架橋特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るが、動的架橋に要する時間が長くなるという問題がある。すなわち、生産性の低いバッチ式の混練装置では充分な架橋時間を取ることが出来るために良好な特性の熱可塑性エラストマーを得ることが出来るが、生産性の高い連続式の混練装置では充分な架橋時間を取ることが出来ないために良好な特性の熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来ないという問題がある。
これに対し、前記(A)〜(D)の成分に前記(E)の成分を加えることによって動的架橋に要する時間が短くなり、生産性の低いバッチ式の混練装置を用いた場合では良好な特性の熱可塑性エラストマーを比較的短時間で得ることが出来る様になり、生産性の高い連続式の混練装置を用いた場合でも良好な特性の熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来る様になる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で用いた、物性測定方法、評価方法、配合材料および混練装置は次の通りである。
<物性測定方法>
(1) MFR:JIS−K7210に準拠した230℃、49N荷重で測定した。
(2) 硬度:JIS−K6253に準拠したショア硬度Aを測定した。
(3) ゲル分率:沸騰キシレン10時間の抽出残量をゴム成分の割合で補正した。
(4) 色調:カラーテスター(スガ試験機製「SC−3」)で白色標準板に対するΔEとYIを求めた。
(5) 膨潤率:軽質パラフィン中、80℃、24時間後の重量増加率で評価した。
(6)圧縮永久歪み:JIS−K6262に準拠し、70℃、22時間、25%圧縮で測定した。
<評価方法>
(1)生産性:押出機での連続生産が可能か否かを判定した。
(2)成形性:180℃に設定し吐出量を5g/minに調整したラボプラストミルの押出機(ストランドダイ付き)で熱可塑性エラストマー組成物を10分間押出し、ダイ出口でのメヤニの発生、ストランドの乱れを評価した。
(3)諸特性:MFRが1〜40、ゲル分率が50%以上、ΔEが40以下、YIが20以下、膨潤率が70%以下、Csが50%以下を良好な特性の指標とした。
実施例1〜6(共重合ゴムとしてオレフィン系共重合ゴム使用):
表2に記載の条件で混練して熱可塑性エラストマーを得、ペレット又はシートを作成して評価を行った。なお、シートの作成は200℃で2mmの厚さにプレス成形して得た。表3に組成物物性および評価結果を示す。
比較例1〜6(共重合ゴムとしてオレフィン系共重合ゴム使用):
表4に記載の条件で混練して熱可塑性エラストマーを得、ペレット又はシートを作成して評価を行った。なお、シートの作成は200℃で2mmの厚さにプレス成形して得た。表5に組成物物性および評価結果を示す。
比較例1は架橋剤も開始剤も加えていないためにゲルが生成せず、膨潤率とCsが実施例1〜6に比べて不良である。比較例2と3は架橋剤を加えているが開始剤を加えていないため、生産性の低いバッチ式の混練ではゲルを生成して膨潤率とCsは良好となるが、生産性の高い連続式の押出機ではゲルを生成せず膨潤率とCsが実施例1〜6に比べて不良である。比較例4は架橋剤に1分間半減期温度が181℃の有機過酸化物を併用しているが、ゲルが生成せず膨潤率とCsが実施例1〜6に比べて不良で、MFRが高くなって成形性が不良となる。比較例5(公知のジビニルベンゼン/有機過酸化物の組合せ)は、ゲルは生成するもののやはりMFRが高くなって成形性が悪化する。比較例6(公知のフェノール樹脂架橋の例)は、得られる組成物中には錫と塩素が含まれていて着色も大きい。
実施例7〜12(共重合ゴムとしてスチレン系共重合ゴム使用):
表6に記載の条件で混練して熱可塑性エラストマーを得、ペレット又はシートを作成して評価を行った。なお、シートの作成は200℃で2mmの厚さにプレス成形して得た。表7に組成物物性および評価結果を示す。
比較例7〜10(共重合ゴムとしてスチレン系共重合ゴム使用):
表8に記載の条件で混練して熱可塑性エラストマーを得、ペレット又はシートを作成して評価を行った。なお、シートの作成は200℃で2mmの厚さにプレス成形して得た。表9に組成物物性および評価結果を示す。
比較例7は架橋剤も開始剤も加えていないためにゲルが生成せず、膨潤率とCsが実施例7〜12に比べて不良である。比較例8と9は架橋剤を加えているが開始剤を加えていないため、生産性の低いバッチ式の混練ではゲルを生成して膨潤率とCsは良好となるが、生産性の高い連続式の押出機ではゲルを生成せず膨潤率とCsが実施例7〜12に比べて不良である。比較例10は架橋剤に1分間半減期温度が181℃の有機過酸化物を併用しているが、ゲルが生成せず膨潤率とCsが実施例7〜12に比べて不良で、MFRが高くなって成形性が不良となる。

Claims (12)

  1. オレフィン系樹脂(A)、共重合ゴム(B)、軟化剤(C)、マレイミド架橋剤(D)、1分間半減期温度が160℃以下の過酸化物(E)から成る混合物を動的架橋してなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 上記オレフィン系樹脂(A)が、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、ブテン系樹脂、それらを主成分とする共重合体の群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 共重合ゴム(B)がオレフィン系共重合ゴム(B1)である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. オレフィン系共重合ゴム(B1)が、エチレン−プロピレン−非共役ジエン−ランダム共重合ゴム(EPDM)であり、ムーニー粘度ML1+4(100℃)>100であり、プロピレン含有量が40重量%以下である請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 共重合ゴム(B)がスチレン系共重合ゴム(B2)である請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. スチレン系共重合ゴム(B2)が、スチレン系ブロック−オレフィン系ブロック−スチレン系ブロックから成るトリブロック共重合体であって、その分子量が16万以上であり、両端のスチレン系ブロックが5〜45重量%であって、その合計分子量が7.2万以上であり、オレフィン系ブロックが少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体を該共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合を99.9〜80%水素添加して成るものである請求5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. マレイミド架橋剤(D)が、多価マレイミド、ビスマレイミド、モノマレイミド、無水マレイン酸と一級アミン化合物の当量混合物の群から選択された少なくとも1種である請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. オレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)の配合比(重量)(A)/(B)が5/95〜45/55である請求項1〜7の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. マレイミド架橋剤(D)の割合が共重合ゴム(B)100重量部に対して0.5〜40.0重量部であり、1分間半減期が160℃以下の過酸化物(E)の割合が重合ゴム(B)100重量部に対して0.01〜10.0重量部である請求項1〜8の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  10. 軟化剤(C)の割合が、オレフィン系樹脂(A)と共重合ゴム(B)との合計100重量部に対して1〜500重量部である請求項1〜9の何れかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  11. オレフィン系樹脂(A)、共重合ゴム(B)、軟化剤(C)、マレイミド架橋剤(D)、1分間半減期温度が160℃以下の過酸化物(E)から成る混合物を押出機によって動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  12. 押出機が二軸押出機である請求項11に記載の製造方法。
JP2004113305A 2004-04-07 2004-04-07 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法 Withdrawn JP2005298571A (ja)

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JP2006265319A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Mitsui Chemicals Inc 熱可塑性エラストマー組成物およびその成形体
JP7446822B2 (ja) 2019-05-31 2024-03-11 住友化学株式会社 熱可塑性エラストマー組成物およびその製造方法

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