JP7443219B2 - 車両の除湿装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車室内の空気に含まれる水蒸気を吸着除去する車両の除湿装置に関するものである。
室内の湿気(水蒸気)を除去する除湿装置として、吸湿部(吸湿フィルター)を内蔵した吸湿デバイスに室内の空気を流し、空気に含まれる水蒸気を吸湿部によって吸着除去するものが知られている。この種の除湿装置では、吸湿部による水蒸気の吸着が進むと、吸湿部の吸湿性能が低下するため、適宜のタイミングで吸湿部の再生を行う。吸湿部の再生は、吸湿部に温風を流したり、吸湿部をヒータによって直接加熱することにより、吸湿部に吸着した水蒸気を脱離(蒸発)させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2010-259980号公報
吸湿部の再生時に吸湿部をヒータによって直接加熱する除湿装置は吸湿部からの水蒸気の脱離を効率良く行うことができる。しかし、再生運転時には、送風デバイスによって吸湿部の上流側から下流側に向かって空気が流されるため、吸湿部がヒータによって加熱され始める初期の段階でヒータの熱が対流によって下流側に逃げ、吸湿部の昇温が妨げられ易い。このため、吸湿部が再生温度(吸着した水蒸気が良好に脱離する温度)に達するまでに多く時間を要する。また、この対策としてヒータの熱量を増大させると、吸湿部の再生のためのエネルギー消費が増大してしまう。
そこで本発明は、吸湿部の再生のためのエネルギー消費を抑制しつつ、吸湿部を迅速に再生することができる車両の除湿装置を提供しようとするものである。
本発明に係る車両の除湿装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る車両の除湿装置は、車室内の空気に含まれる水蒸気を吸着する吸湿部(例えば、実施形態の吸湿部15)、及び、前記吸湿部を直接加熱して吸着した水蒸気を脱離させる加熱部(例えば、実施形態のヒータ21,22)を有する吸湿デバイス(例えば、実施形態の吸湿デバイス11,11A,11B)と、前記吸湿デバイスに空気を流す送風デバイス(例えば、実施形態の空気導入ファン18)と、前記加熱部と前記送風デバイスを制御する制御装置(例えば、実施形態の制御装置50)と、を備え、前記加熱部は、前記空気の流れに沿い、かつ前記吸湿デバイス内の下方から鉛直方向に向かって延びる板状の複数のヒータによって構成されるとともに、当該ヒータが前記吸湿デバイス内で間隔を開けて略平行に配置され、前記吸湿部は、複数の前記ヒータの間の当該ヒータが直接接触する領域に配置され、前記制御装置は、前記加熱部によって前記吸湿部を加熱して前記水蒸気を脱離させるときに、前記加熱部による加熱を開始してから所定時間が経過するまで前記送風デバイスの作動を停止させることを特徴とする。
本発明に係る除湿装置では、吸湿部の再生時に、加熱部による加熱を開始してから所定時間が経過するまで送風デバイスによる空気の送風が行われない。この間、送風デバイスの送風による対流によって吸湿部から熱が逃げないいため、吸湿部が加熱部の熱によって迅速に加熱される。この後、吸湿部からの水蒸気の脱離が開始するタイミングで送風デバイスによる送風を開始する。この結果、吸湿部から脱離した水蒸気が風下側に排出される。
また、この場合、再生時に、加熱部による加熱によって温度上昇した空気が空気密度の差によって上方に浮上する。このため、熱や脱離した水蒸気を効率良く下流側に移動させることができる。したがって、本構成を採用した場合に、吸湿部の再生効率を高めることができる。
前記吸湿部は、空気の流れ方向の上流側に配置される上流側領域(例えば、実施形態の上流側領域15a)と、空気の流れ方向の下流側に配置される下流側領域(例えば、実施形態の下流側領域15b)と、を有する構成とし、前記加熱部は、前記上流側領域を直接加熱する上流側加熱部(例えば、実施形態のヒータ21)と、前記下流側領域を直接加熱する下流側加熱部(例えば、実施形態のヒータ22)と、を有する構成としても良い。
この場合、再生時に、上流側領域と下流側領域が夫々上流側加熱部と下流側加熱部によって個別に直接加熱されるため、吸湿部全域の吸湿能力をむらなく高め、かつ、不必要な加熱を少なくして再生のためのエネルギー消費を抑制することができる。
前記制御装置は、前記加熱部によって前記吸湿部を加熱して前記水蒸気を脱離させるときに、前記加熱部による加熱によって前記吸湿部の温度が設定温度に達した時点で前記送風デバイスの作動を開始させるようにしても良い。
この場合、吸湿部の再生時に、吸湿部の温度が水蒸気の脱離が可能な温度に達したタイミングで送風デバイスによる送風が行われるため、不要な待機時間を無くし、吸湿部を効率良く再生することができる。
前記吸湿デバイスを並列に二組備え、各前記吸湿デバイスは、吸湿と再生が交互に切り換えられるようにしても良い。
この場合、一方の吸湿デバイスで車室内の除湿を行っている間に、他方の吸湿デバイスの再生を行い、他方の吸湿デバイスの再生が完了した後に両吸湿デバイスの接続を切り換えることにより、車室内の除湿を二組の吸湿デバイスによって連続して行うことができる。
本発明に係る車両の除湿装置は、加熱部によって吸湿部を加熱して水蒸気を脱離させるときに、加熱部による加熱を開始してから所定時間が経過するまで送風デバイスの作動が停止するため、対流によって吸湿部の昇温が妨げられことがない。したがって、本発明に係る車両の除湿装置を採用した場合には、吸湿部の再生のためのエネルギー消費を抑制しつつ、吸湿部を迅速に再生することができる。
実施形態の除湿装置を採用した車両の室内の模式的な側面図。 第1実施形態の除湿装置の模式的な縦断面図。 第1実施形態の除湿装置の吸湿デバイスの内部構造を示す断面図。 比較例の除湿装置と第1実施形態の除湿装置の各部の作動状態を示す図。 比較例の除湿装置と第1実施形態の除湿装置の連続運転時における吸湿部温度の変化と送風デバイスの作動状態を示す図。 変形例の吸湿デバイスの模式的な断面図。 第2実施形態の除湿装置の斜視図。 第2実施形態の除湿装置の模式的な縦断面図。 変形例の除湿装置の模式的な縦断面図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る除湿装置10を採用した車両1の室内の模式的な側面図である。
除湿装置10は、図1に示すように、例えば、車室2の後部下方に配置され、除湿した車室2内の空気を車室2の前方側に吹き出す。また、吸湿した水蒸気は、除湿装置10の再生運転によって車両1の外部に排出する。
(第1実施形態)
図2は、本実施形態の除湿装置10の模式的な縦断面図である。
除湿装置10は、車室内の空気を流通させて空気中の水蒸気(湿気)を吸着する吸湿デバイス11と、吸湿デバイス11を内部に収容する矩形筒状のハウジング12と、ハウジング12の一端側に接続された空気導入用の上流側ダクトブロック13と、ハウジング12の他端側に接続された空気排出用の下流側ダクトブロック14と、を備えている。
吸湿デバイス11は、矩形筒状のケースの内部に、空気の流通が可能な吸湿部15が配置されている。吸湿デバイス11A,11Bの詳細構造については後に説明する。
上流側ダクトブロック13は、車室内の空気が流入する流入口13aを有する。上流側ダクトブロック13の内部には、車室内の空気を吸引して吸湿デバイス11に送給するため空気導入ファン18が設置されている。空気導入ファン18は、本実施形態における送風デバイスを構成している。
下流側ダクトブロック14は、吸湿デバイス11で除湿された空気を車室内に戻す室内戻し口14cと、吸湿デバイス11の再生時に水蒸気を含む空気を車外に排出する排出口14dと、を有する。下流側ダクトブロック14の内部には、吸湿デバイス11の下流側を、室内戻し口14cと排出口14dのいずれか一方に択一的に接続する流路切換機構19が設置されている。本実施形態の除湿装置10では、流路切換機構19による下流側ダクトブロック14内での流路の切り換えにより、吸湿デバイス11の吸湿と再生を切り換えることができる。
図3は、吸湿デバイス11を空気の流れと直交する方向で切った断面図である。
吸湿デバイス11の内部の吸湿部15は、図3に示すように、襞状に折り畳まれた通気性を有するシート20に所定の吸湿剤が担持されている。シート20に担持される吸湿剤としては、例えば、ハクスレイ(登録商標)、ゼオライトやシリカゲル、高分子吸着剤等の所定の湿度環境下で高い吸湿性能を発揮する吸湿剤を用いることができる。本実施形態の吸湿部15は、吸湿剤を担持したシート20が後述するヒータ21,22と直接接触する構造を採用しているが、吸湿剤を担持する部材はシート20に限定されない。吸湿剤を担持する部材は、通電によって加熱できる部材であれば、例えば、ハニカム状に形成された基材や、メッシュ状に生成された基材であっても良い。
吸湿デバイス11は、吸湿部15の上流側領域15aに直接接触して加熱するヒータ21(加熱部)と、吸湿部15の下流側領域15bに直接接触して加熱するヒータ22(加熱部)を備えている。各ヒータ21,22は、空気の流れに沿う方向に延びる板状のヒータであり、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bにおいて夫々シート20に接触している。上流側のヒータ21(上流側加熱部)は、再生時に吸湿部15の上流側領域15aを直接加熱し、下流側のヒータ22(下流側加熱部)は、再生時に吸湿部15の下流側領域15bを直接加熱する。上流側のヒータ21による上流側領域15aへの加熱量は、下流側のヒータ22による下流側領域15bへの加熱量よりも大きく設定されている。
二つのヒータ21,22の加熱量の相違は、上流側のヒータ21と下流側のヒータ22とで加熱面の面積を変えたり、上流側のヒータ21と下流側のヒータ22で発熱体の抵抗値を変えることによって作り出すことができる。前者の場合、上流側のヒータ21の加熱面の面積を下流側のヒータ22の加熱面の面積よりも大きく設定し、後者の場合、上流側のヒータ21の発熱体の抵抗値を下流側のヒータ22の発熱体の抵抗値よりも大きく設定する。これらの手段を採用した場合には、上流側と下流側の各ヒータ21,22に同電圧を印加することができるため、電圧供給部の構造を簡素化して製造コストの抑制を図ることができる。
また、二つのヒータ21,22の加熱量の相違は、各ヒータ21,22の発熱体に印加する電圧を変えることによって作り出すこともできる。この場合、上流側のヒータ21の発熱体に印加する電圧を下流側のヒータ22の発熱体に印加する電圧よりも高電圧に設定する。この手段を採用した場合には、各ヒータ21,22の発熱体に印加する電圧を調整することにより、各発熱体の発熱量を精度良く設定調整することができる。
なお、本実施形態では、吸湿デバイス11の吸湿部15が、上流側領域15aから下流側領域15bにかけて連続した一体構造とされているが、吸湿デバイス11の吸湿部15は、上流側領域15aと下流側領域15bとを分離可能な別体構造としても良い。この場合、上流側領域15aとヒータ21の構造体と、下流側領域15bとヒータ22の構造体を、夫々単独で吸湿デバイスに用いることもできる。したがって、このように構成した場合、複数仕様の車両で共通部品を共用できるため、生産効率をより高めることができる。
二つのヒータ21,22は、制御装置50による制御によってオンとオフが切り換えられる。二つのヒータ21,22は、車室2内の空気を除湿する除湿運転時にはオフにされ、吸湿デバイス11を再生する(上流側領域15aと下流側領域15bに吸着された水蒸気を脱離させる)再生運転時にはオンにされる。
また、空気導入ファン18は、制御装置50による制御によって電力のオン・オフが切り換えられる。空気導入ファン18は、除湿運転時には作動し、再生運転時には、ヒータ21,22による加熱を開始してから所定時間が経過するまで停止状態に維持され、所定時間が経過した後に運転が開始される。
制御装置50は、再生運転の開始時には、空気導入ファン18の作動を停止し、かつ、ヒータ21,22による吸湿部15の加熱を開始する。制御装置50は、このとき経過時間をタイマーによって計測し、再生運転の開始から所定時間が経過したところで、空気導入ファン18の運転を開始する。
(除湿装置の作動)
除湿運転時には、流路切換機構19によって吸湿デバイス11の下流側が室内戻し口14c側に切り換えられ、その状態で空気導入ファン18が作動し、車室2内の空気が吸湿デバイス11に導入される。吸湿デバイス11に導入された車室2内の空気は、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bを通過する際に、これらによって空気中の水蒸気を吸着される。水蒸気を吸着されて除湿された空気は、室内戻し口14cから車室内2に戻される。除湿装置10は、除湿運転が所定時間続けられた後に再生運転に切り換わる。
再生運転時には、流路切換機構19によって吸湿デバイス11の下流側が排出口14d側に切り換えられ、その状態でヒータ21,22による各吸湿部15,16の加熱を開始する。このとき、空気導入ファン18は作動停止状態とされている。このため、吸湿デバイス11の吸湿部15には送風が入り込まず、対流によってヒータ21,22の熱が下流側に逃げることがない。したがって、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bはヒータ21,22によって迅速に加熱される。
こうして所定時間が経過すると、空気導入ファン18による送風が開始される。これにより、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bから脱離した水蒸気が送風にのって下流側に移動し、その水蒸気を含む空気が排出口14dを通って車両の外部に排出される。
図4は、本実施形態の除湿装置10の連続運転時における室内戻し口14cの開閉状態、排出口14dの開閉状態、ヒータ21,22のOn・Off状態、空気導入ファン18のOn・Off状態を示す図である。
図4に示すように、本実施形態の除湿装置10は、除湿運転時には、排出口14dが閉じられた状態で室内戻し口14cが開き、ヒータ21,22がOff状態のまま空気導入ファン18がOn状態とされる。再生運転時には、室内戻し口14cが閉じた状態で排出口14dが開き、ヒータ21,22がOn状態とされる。このとき、空気導入ファン18は所定時間Off状態とされ、所定時間の経過後にOn状態とされる。
図5は、比較例の除湿装置と本実施形態の除湿装置10の連続運転時における吸湿部温度の変化と空気導入ファン18の作動状態を示す図である。図5の(a)は、比較例の除湿装置の吸湿部温度の変化と空気導入ファン18の作動状態を示し、図5の(b)は、本実施形態の除湿装置10の吸湿部温度の変化と空気導入ファン18の作動状態を示している。図5の(a),(b)の上段側は、吸湿部15の上流側領域15aの温度の変化を実線で示し、下流側領域15bの温度の変化を点線で示している。また、図5の(a),(b)の下段側は、空気導入ファン18の作動状態を示している。図中の風量Offは、空気導入ファン18が停止した状態を示し、図中の風量Onは、空気導入ファン18が作動している状態を示している。
図5の(a)に示す比較例の除湿装置は、除湿運転時と再生運転時に常に空気導入ファン18が作動している。このため、再生運転の開始時にヒータ21,22による加熱が開始される際には、吸湿デバイス11の内部を車室内からの吸入空気が流れている。このため、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bに夫々接して配置されたヒータ21,22の熱は、吸入空気による対流によって下流側に逃げる。このため、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bの温度の立ち上がり(昇温)がゆっくりとなり、上流側領域15aと下流側領域15bの温度が再生温度(再生温度閾値)に達するまでに多くの時間を要することになる。
これに対し、図5の(b)に示す本実施形態の除湿装置10は、再生運転時にヒータ21,22による加熱を開始してから所定時間が経過するまで空気導入ファン18が停止しているため、このとき吸湿デバイス11の内部には車室2内からの吸入空気が流れない。このため、対流によってヒータ21,22の熱が下流側に逃げることがない。吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bの温度はいずれも急激に立ち上がり、早期に再生温度(再生温度閾値)に達することになる。この後、空気導入ファン18の作動が開始されても、上流側領域15aと下流側領域15bの温度は再生温度(再生温度閾値)以上の温度に維持される。
(第1実施形態の効果)
以上のように、本実施形態の除湿装置10は、ヒータ21,22によって吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bを加熱して水蒸気を脱離させるときには、ヒータ21,22の加熱開始から所定時間が経過するまで空気導入ファン18の作動が停止する。このため、空気導入ファン18の送風による対流によって吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bの昇温が妨げられることがない。したがって、ヒータ21,22の温度を必要以上に高めることなく、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bを早期に再生温度まで昇温させることができる。
よって、本実施形態の除湿装置10を採用した場合には、吸湿部15の再生のためのエネルギー消費を抑制しつつ、吸湿部15の上流側領域15aと下流側領域15bを迅速に再生することができる。
また、本実施形態の除湿装置10は、吸湿デバイス11の吸湿部15のうちの、上流側領域15aと下流側領域15bが夫々ヒータ21,22によって直接個別に加熱されるようになっている。このため、本構成を採用した場合には、吸湿部15の全域の吸湿能力をむらなく高め、かつ、不必要な加熱を少なくして再生のためのエネルギー消費をより抑制することができる。
また、本実施形態の除湿装置10は、上流側のヒータ21による吸湿部15の上流側領域15aへの加熱量が、下流側のヒータ22による下流側領域15bへの加熱量よりも大きく設定されている。このため、再生時に温度の低い車室内の空気が吸湿部15の上流側領域15aに流入しても、加熱量の大きい上流側のヒータ21によって上流側領域15aを充分に加熱することができる。また、下流側のヒータ22には吸湿部15の上流側領域15aを通過して昇温された空気が流れ込むため、下流側のヒータ22の加熱量が上流側のヒータ21の加熱量よりも小さくても、下流側領域15bを充分に加熱することができる。
本実施形態では、吸湿部15の再生時に、制御装置50がタイマーによってヒータ21,22の加熱開始からの経過時間を計測し、経過時間が所定時間となったときに空気導入ファン18の作動を開始するようにしている。
しかし、吸湿部15の再生時に、ヒータ21,22による加熱によって吸湿部15の温度が設定温度に達するまで空気導入ファン18の作動を停止し、吸湿部15の温度が設定温度に達した時点で空気導入ファン18の作動を開始するようにしても良い。この場合、吸湿部15の温度が水蒸気の脱離が可能な温度に達したタイミングで空気導入ファン18による送風が開始されるため、不要な待機時間を無くし、吸湿部を効率良く再生することができる。
また、本実施形態では、再生運転の開始時に、上流側のヒータ21と下流側のヒータ22で同時に加熱を行うようにしているが、再生運転の開始時には上流側のヒータ21のみで加熱を行うようにしても良い。この場合、下流側のヒータ22は、時間差をおいて加熱を実行する。この方式を採用した場合には、吸湿部15の全体を低電力で適正温度に加熱することができる。
(変形例)
図6は、変形例の吸湿デバイス11の模式的な断面図である。
本変形例は、基本的な構成は上記の実施形態と同様であるが、吸湿部15の内部を下方から鉛直上方に向かって空気が流れるように吸湿デバイス11が配置されている。
本変形例の場合、再生時に、ヒータ(加熱部)による加熱によって温度上昇した空気が空気密度の差によって上方に浮上するため、熱や脱離した水蒸気を効率良く下流側(上方側)に移動させることができる。したがって、本変形例の構造を採用することによりに、吸湿部15の再生効率をより高めることができる。
(第2実施形態)
図7は、本実施形態の除湿装置110の斜視図であり、図8は、除湿装置110の模式的な縦断面図である。なお、これらの図では、第1実施形態と共通部分に同一符号が付されている。
除湿装置110は、矩形筒状のハウジング12の内部に一対の吸湿デバイス11A,11Bが並列に配置されている。ハウジング12の一端側には上流側ダクトブロック13が接続され、ハウジング12の他端側には下流側ダクトブロック14が接続されている。各吸湿デバイス11A,11Bは、第1実施形態の吸湿デバイス11と同様の構成とされている。
ハウジング12は、内部に、空気の流通方向に沿う仕切壁17を有している。仕切壁17は、ハウジング12の内部を二つの収容室に隔成している。各収容室には、対応する吸湿デバイス11A,11Bが配置されている。
上流側ダクトブロック13は、車室内の空気が流入する流入口13aと、流入口13aから流入した空気を二つに分岐して、ハウジング12内の対応する吸湿デバイス11A,11Bに導入する分岐通路13b,13cと、を有する。また、上流側ダクトブロック13内の分岐通路13b,13cの上流部には、車室内の空気を吸引して吸湿デバイス11A,11B側に送給するため空気導入ファン18が設置されている。
下流側ダクトブロック14は、ハウジング12内の対応する吸湿デバイス11A,11Bに連通する二つの連通路14a,14bと、除湿された空気を車室内に戻す室内戻し口14cと、吸湿デバイス11A,11Bの再生に使用した空気(水蒸気を含む空気)を車外に排出する排出口14dと、を有する。下流側ダクトブロック14の内部には、各連通路14a,14bを、室内戻し口14cと排出口14dのいずれか一方に択一的に接続する流路切換機構19が設置されている。
流路切換機構19は、一方の吸湿デバイス11Aを室内戻し口14c側に接続しているときには、他方の吸湿デバイス11Bを排出口14d側に接続し、他方の吸湿デバイス11Bを室内戻し口14c側に接続しているときには、一方の吸湿デバイス11Aを排出口14d側に接続する。したがって、本実施形態の除湿装置10では、流路切換機構19による下流側ダクトブロック14内での流路の切り換えにより、吸湿デバイス11A,11Bの吸湿と再生を切り換えることができる。
本実施形態の除湿装置110の場合も、各吸湿デバイス11A,11Bの再生時には、各吸湿デバイス11A,11B内のヒータ21,22と、空気導入ファン18の作動が第1実施形態と同様にして制御装置(図示省略)によって制御される。
本実施形態の除湿装置110は、一方の吸湿デバイス11A(または11B)による車室2内の除湿と、他方の吸湿デバイス11B(または11A)の再生を同時に行うことができる。一方の吸湿デバイス11A(または11B)による車室2内の除湿と、他方の吸湿デバイス11B(または11A)の再生は、所定時間の経過毎に切り換えて行う。
(第2実施形態の効果)
本実施形態の除湿装置110は、基本的な構成は第1実施形態とほぼ同じであるため、前述した第1実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
ただし、本実施形態の除湿装置110は、吸湿デバイス11A,11Bを並列に二組備え、各吸湿デバイス11A,11Bの吸湿と再生が時間の経過に伴って交互に切り換えられるように構成されている。このため、一方の吸湿デバイス11Aで車室内の除湿を行っている間に、他方の吸湿デバイス11Bの再生を行い、他方の吸湿デバイス11Bの再生が完了した後に両吸湿デバイス11A,11Bの接続を切り換えることにより、車室2内の除湿を二組の吸湿デバイス11A,11Bによって連続して行うことができる。
(変形例)
図9は、変形例の除湿装置110Aの模式的な縦断面図である。図9には、上述した実施形態と共通部分に同一符号が付されている。
本変形例の除湿装置110Aは、基本的な構成は上記の実施形態とほぼ同様であるが、ハウジング12の一端側に接続される上流側ダクトブロック13Aの構造が上記の実施形態と異なっている。
上流側ダクトブロック13Aは、流入口13Aaを有する集合通路13Adと、集合通路13Adから二股に分岐する分岐通路13Ab,13Acと、を有している。集合通路13Adには、車室内の空気を吸湿デバイス11A,11Bに導入するための空気導入ファン18が設けられている。分岐通路13Ab,13Acは、夫々吸湿デバイス11A,11Bに連通している。集合通路13Adの空気導入ファン18よりも下流側には、集合通路13Adから各分岐通路13Ab,13Acに流れ込む空気の割合を調整するための吸気振り分けドア40が設けられている。吸気振り分けドア40は、図示しないアクチュエータによって回動操作される。本実施形態では、吸気振り分けドア40の回動位置を調整することにより、吸湿用の空気と再生用の空気の割合を調整することができる。
なお、図9では、下流側ダクトブロック14の構造が模式的に描かれている。図9では、通路の構造を理解し易いように、便宜的に室内戻し口14cと排出口14dが各連通路14a,14bに接続されるようにそれぞれ二つ描かれている。各連通路14a,14bの下流側には、流路切換機構19を構成する開閉ドア42a,42bが配置されている。各開閉ドア42a,42bは、図示しないアクチュエータの作動により、室内戻し口14cと排出口14dを開閉する。開閉ドア42a,42bは、各連通路14a,14bを、室内戻し口14cと排出口14dのいずれか一方に択一的に接続する。
本変形例の除湿装置110Aでは、上流側ダクトブロック13A内に吸気振り分けドア40が配置されているため、吸気振り分けドア40の回動位置を調整することにより、各吸湿デバイス11A,11Bに対し、吸湿用の空気と再生用の空気を適切に振り分けることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
10,110,110A…除湿装置
11…吸湿デバイス
15…吸湿部
15a…上流側領域
15b…下流側領域
18…空気導入ファン(送風デバイス)
21…ヒータ(加熱部、上流側加熱部)
22…ヒータ(加熱部、下流側加熱部)
50…制御装置

Claims (4)

  1. 車室内の空気に含まれる水蒸気を吸着する吸湿部、及び、前記吸湿部を直接加熱して吸着した水蒸気を脱離させる加熱部を有する吸湿デバイスと、
    前記吸湿デバイスに空気を流す送風デバイスと、
    前記加熱部と前記送風デバイスを制御する制御装置と、を備え、
    前記加熱部は、前記空気の流れに沿い、かつ前記吸湿デバイス内の下方から鉛直方向に向かって延びる板状の複数のヒータによって構成されるとともに、当該ヒータが前記吸湿デバイス内で間隔を開けて略平行に配置され、
    前記吸湿部は、複数の前記ヒータの間の当該ヒータが直接接触する領域に配置され、
    前記制御装置は、
    前記加熱部によって前記吸湿部を加熱して前記水蒸気を脱離させるときに、前記加熱部による加熱を開始してから所定時間が経過するまで前記送風デバイスの作動を停止させることを特徴とする車両の除湿装置。
  2. 前記吸湿部は、
    空気の流れ方向の上流側に配置される上流側領域と、
    空気の流れ方向の下流側に配置される下流側領域と、を有し、
    前記加熱部は、
    前記上流側領域を直接加熱する上流側加熱部と、
    前記下流側領域を直接加熱する下流側加熱部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の車両の除湿装置。
  3. 前記制御装置は、前記加熱部によって前記吸湿部を加熱して前記水蒸気を脱離させるときに、前記加熱部による加熱によって前記吸湿部の温度が設定温度に達した時点で前記送風デバイスの作動を開始させることを特徴とする請求項1また2に記載の車両の除湿装置。
  4. 前記吸湿デバイスを並列に二組備え、
    各前記吸湿デバイスは、吸湿と再生が交互に切り換えられることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の車両の除湿装置。
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