JP7440626B2 - 硬化性組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、化合物 - Google Patents

硬化性組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、化合物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、及び、化合物に関する。
パーソナルコンピュータ、一般家電、及び自動車等の様々な電気機器に用いられているパワー半導体デバイスは、近年、小型化が急速に進んでいる。小型化に伴い高密度化されたパワー半導体デバイスから発生する熱の制御が困難になっている。
このような問題に対応するため、パワー半導体デバイスからの放熱を促進する熱伝導材料が用いられている。
例えば、特許文献1には、Bステージ状態でのハンドリング性及び硬化物の熱伝導性に優れるエポキシ樹脂組成物として、所定のエポキシ樹脂と硬化剤とフィラーとを所定の条件で含有するエポキシ樹脂組成物が公開されている。
国際公開第2017/145413号
本発明者らは、特許文献1に記載されたエポキシ樹脂組成物について検討したところ、得られる硬化物の熱伝導性について改善の余地があることを知見した。
そこで、本発明は、熱伝導性に優れた熱伝導材料を与え得る硬化性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記硬化性組成物に関する熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、及び、化合物を提供することをも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
〔1〕
フェノール化合物、エポキシ化合物、硬化促進剤、及び、無機物を含む、硬化性組成物であって、
上記フェノール化合物が、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、
上記無機物の含有量が、全固形分に対して、10質量%超である、硬化性組成物。
要件1:一般式(Y)で表される化合物である。
要件2:トリアジン骨格を有し、かつ、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を有するフェノール化合物である。

一般式(Y)中、myは0以上の整数を表す。
Y1及びRY2は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基を表す。
Y1及びLY2は、それぞれ独立に、-C(RY5)(RY6)-、又は、-CO-を表す。
Y3~RY6は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
〔2〕
上記硬化性組成物を用いて形成される半硬化シートを示差走査熱量計で測定した場合に、発熱ピークが検出される温度が、140℃以上となる、〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔3〕
上記エポキシ化合物の分子量が、300以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性組成物。
〔4〕
上記無機物が、平均粒径が20μm以上である凝集状窒化ホウ素を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔5〕
上記フェノール化合物が、一般式(Z)で表される化合物を含む、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の硬化性組成物。

一般式(Z)中、rは0以上の整数を表す。
k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ただし、k、l、r×m、及び、nの合計は2以上である。
Lは、2価の有機基を表す。
~Eは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、又は、-NR-を表す。Rは、置換基を表す。
は、単結合又はk+1価の有機基を表す。
は、単結合又はl+1価の有機基を表す。
は、単結合又はm+1価の有機基を表す。
は、単結合又はn+1価の有機基を表す。
~X4は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する芳香環基を表す。
ただし、k個存在するX、l個存在するX、r×m個存在するX、及び、n個存在するXのうちの少なくとも1個は、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を表す。
〔6〕
上記フェノール化合物が、一般式(Z1)で表される化合物を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の硬化性組成物。

一般式(Z1)中、rは0以上の整数を表す。
Lは、2価の有機基を表す。
は、水素原子又は置換基を表す。
ただし、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は置換基を表す。
また、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は水素原子を表す。
〔7〕
上記フェノール化合物が、一般式(Z2)で表される化合物を含む、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の硬化性組成物。

一般式(Z2)中、Rは、水素原子又は置換基を表す。
ただし、2個存在するRの少なくとも一方は置換基を表す。
〔8〕
上記硬化促進剤が、リン原子を含む化合物を含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔9〕
上記硬化促進剤が、ホスホニウム塩を含む、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔10〕
〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られる、熱伝導材料。
〔11〕
〔10〕に記載の熱伝導材料からなる、熱伝導シート。
〔12〕
デバイスと、上記デバイス上に配置された〔11〕に記載の熱伝導シートを含む熱伝導層とを有する、熱伝導層付きデバイス。
〔13〕
一般式(Z)で表される、化合物。

一般式(Z)中、rは0以上の整数を表す。
k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ただし、k、l、r×m、及び、nの合計は2以上である。
Lは、2価の有機基を表す。
~Eは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、又は、-NR-を表す。Rは、置換基を表す。
は、単結合又はk+1価の有機基を表す。
は、単結合又はl+1価の有機基を表す。
は、単結合又はm+1価の有機基を表す。
は、単結合又はn+1価の有機基を表す。
~X4は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する芳香環基を表す。
ただし、k個存在するX、l個存在するX、r×m個存在するX、及び、n個存在するXのうちの少なくとも1個は、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を表す。
〔14〕
一般式(Z1)で表される、〔13〕に記載の化合物。

一般式(Z1)中、rは0以上の整数を表す。
Lは、2価の有機基を表す。
は、水素原子又は置換基を表す。
ただし、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は置換基を表す。
また、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は水素原子を表す。
〔15〕
一般式(Z2)で表される、〔13〕又は〔14〕に記載の化合物。

一般式(Z2)中、Rは、水素原子又は置換基を表す。
ただし、一般式(Z2)中に2個存在するRの少なくとも一方は置換基を表す。
本発明によれば、熱伝導性に優れた熱伝導材料を与え得る硬化性組成物を提供できる。
また、本発明によれば、上記硬化性組成物に関する熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、及び、化合物を提供できる。
以下、本発明の硬化性組成物、熱伝導材料、熱伝導シート、熱伝導層付きデバイス、及び、化合物について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」との記載は、「アクリロイル基及びメタクリロイル基のいずれか一方又は双方」の意味を表す。また、「(メタ)アクリルアミド基」との記載は、「アクリルアミド基及びメタクリルアミド基のいずれか一方又は双方」の意味を表す。
本明細書において、酸無水物基は、1価の基であってもよく、2価の基であってもよい。なお、酸無水物基が1価の基を表す場合、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、及び、無水トリメリット酸等の酸無水物から任意の水素原子を除いて得られる置換基が挙げられる。また、酸無水物基が2価の基を表す場合、*-CO-O-CO-*で表される基を意図する(*は結合位置を表す)。
なお、本明細書において、置換又は無置換を明記していない置換基等については、可能な場合、目的とする効果を損なわない範囲で、その基に更に置換基(例えば、後述する置換基群Y)を有していてもよい。例えば、「アルキル基」という表記は、目的とする効果を損なわない範囲で、置換又は無置換のアルキル基(置換基を有してもよいアルキル基)を意味する。
また、本明細書において、「置換基を有していてもよい」という場合の置換基の種類、置換基の位置、及び置換基の数は特に制限されない。置換基の数としては、例えば、1個、又は、2個以上が挙げられる。置換基としては、例えば、水素原子を除く1価の非金属原子団が挙げられ、以下の置換基群Yから選択される基が好ましい。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基群Y:
ハロゲン原子(-F、-Br、-Cl、-I等)、水酸基、アミノ基、カルボン酸基及びその共役塩基基、無水カルボン酸基、シアネートエステル基、不飽和重合性基、エポキシ基、オキセタニル基、アジリジニル基、チオール基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、アルデヒド基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、N-アルキルアミノ基、N,N-ジアルキルアミノ基、N-アリールアミノ基、N,N-ジアリールアミノ基、N-アルキル-N-アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N-アルキルカルバモイルオキシ基、N-アリールカルバモイルオキシ基、N,N-ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N-ジアリールカルバモイルオキシ基、N-アルキル-N-アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N-アルキルアシルアミノ基、N-アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアルキルウレイド基、N’-アリールウレイド基、N’,N’-ジアリールウレイド基、N’-アルキル-N’-アリールウレイド基、N-アルキルウレイド基、N-アリールウレイド基、N’-アルキル-N-アルキルウレイド基、N’-アルキル-N-アリールウレイド基、N’,N’-ジアルキル-N-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアルキル-N-アリールウレイド基、N’-アリール-N-アルキルウレイド基、N’-アリール-N-アリールウレイド基、N’,N’-ジアリール-N-アルキルウレイド基、N’,N’-ジアリール-N-アリールウレイド基、N’-アルキル-N’-アリール-N-アルキルウレイド基、N’-アルキル-N’-アリール-N-アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アルキル-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アルコキシカルボニルアミノ基、N-アリール-N-アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、N-アリールカルバモイル基、N,N-ジアリールカルバモイル基、N-アルキル-N-アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(-SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N-アルキルスルフィナモイル基、N,N-ジアルキルスルフィナモイル基、N-アリールスルフィナモイル基、N,N-ジアリールスルフィナモイル基、N-アルキル-N-アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N,N-ジアルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N,N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモイル基、N-アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルスルファモイル基(-SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N-アルキルスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N-アリールスルホニルカルバモイル基(-CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(-Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(-Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(-Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(-PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(-PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(-PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(-PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(-POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(-POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(-OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(-OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(-OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(-OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(-OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(-OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルキル基。また、上述の各基は、可能な場合、更に置換基(例えば、上述の各基のうちの1以上の基)を有してもよい。例えば、置換基を有してもよいアリール基も、置換基群Yから選択可能な基として含まれる。
置換基群Yから選択される基が炭素原子を有する場合、上記基が有する炭素数としては、例えば、1~20である。
置換基群Yから選択される基が有する水素原子以外の原子の数としては、例えば、1~30である。
また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、又は置換している基と結合して環を形成してもよいし、していなくてもよい。例えば、アルキル基(又は、アルコキシ基のように、アルキル基を部分構造として含む基におけるアルキル基部分)は、環状のアルキル基(シクロアルキル基)でもよく、部分構造として1以上の環状構造を有するアルキル基でもよい。
[組成物]
本発明の硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう)は、フェノール化合物、エポキシ化合物、硬化促進剤、及び、無機物を含む、硬化性組成物であって、
上記フェノール化合物が、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、
上記無機物の含有量が、全固形分に対して、10質量%超である、硬化性組成物。
要件1:後述する一般式(Y)で表される化合物である。
要件2:トリアジン骨格を有し、かつ、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基を有するフェノール化合物である。
本発明の組成物が、上記のような構成で本発明の課題が解決されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の組成物が含有するフェノール化合物(以下、「特定フェノール化合物」ともいう)は、フェノール性水酸基として、オルト位に置換基が存在するフェノール性水酸基を有し、かつ、所定の構造を有する。特定フェノール化合物がこのような特徴を有することにより、組成物から形成された硬化物は、剛直な構造を有することができ、硬化物中での熱の移動がより迅速になり、その結果、形成される熱伝導材料の熱伝導性が改善したと考えられている。
また、本発明の組成物は、半硬化膜にした後の保存安定性も良好であり、作製した熱伝導材料の絶縁破壊電圧も高く良好であり、作製した熱伝導材料を介して接着された材料同士のピール強度も良好にできる。
以下、上記熱伝導性、上記保存安定性、上記絶縁破壊電圧、及び/又は、上記ピール強度に優れることを、本発明の効果が優れるともいう。
以下、組成物に含まれる成分について詳述する。
〔フェノール化合物〕
本発明の組成物はフェノール化合物を含む。
上記フェノール化合物は、下記要件1及び要件2の少なくとも一方を満たす特定フェノール化合物である。
特定フェノール化合物は、下記要件1のみを満たしてもよいし、下記要件2のみを満たしてもよいし、下記要件1と下記要件2との両方を満たしてもよい。
要件1:一般式(Y)で表される化合物である。
要件2:トリアジン骨格を有し、かつ、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を有するフェノール化合物である。
<要件1>
要件1を満たす特定フェノール化合物は、一般式(Y)で表される化合物である。
上記一般式(Y)中、同一の符号で表される基が複数存在する場合、特段の断りがない限り、複数存在する同一の符号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(Y)中、myは0以上の整数を表す。
myは、0~10の整数が好ましく、0~1の整数がより好ましく、1が更に好ましい。
一般式(Y)中、RY1及びRY2は、それぞれ独立に、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基を表す。
つまり、RY1及びRY2で表される上記芳香環基は、オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基を有する。
「オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基」とは、芳香環(好ましくは芳香族炭化水素環、より好ましくはベンゼン環)に直接結合する水酸基(フェノール性水酸基)であって、上記芳香環における上記水酸基と隣接する位置(オルト位)の一方又は両方に炭素数1~6の置換基が存在している水酸基のことをいう。
上記芳香環基は、「オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基」を1個以上(例えば1~3個)有していればよく、「オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基」以外のフェノール性水酸基を有していても有していなくてもよい。
上記芳香環基は、単環でも多環でもよく、環員原子としてヘテロ原子を有していてもよい。
上記芳香環基の環員原子の数は5~15が好ましく、6~10がより好ましく、6が更に好ましい。
フェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基は、フェノール性水酸基のオルト位の少なくとも一方に存在していればよく、両方に存在していてもよい。
炭素数1~6の置換基における炭素数は、1~6であり、1~4が好ましく、1がより好ましい。
炭素数1~6の置換基は、炭素数1~6の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基は無置換であることも好ましい。
Y1及びRY2(つまり、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基)は、それぞれ独立に、一般式(P0)で表される基であることが好ましい。
一般式(P0)中、RP1~RP5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
ただし、RP1~RP5のうちの1つは結合位置であり、かつ、RP1及びRP5の一方又は両方は上記炭素数1~6の置換基である。
P1及びRP5において、一方が上記炭素数1~6の置換基であり、かつ、他の一方が上記炭素数1~6の置換基以外である場合、上記他の一方は水素原子であることも好ましい。
P2~RP4のうちのいずれかが、結合位置であることも好ましい。
P2~RP4のうち1個以上(例えば1~3個)が置換基である場合、上記置換基は上記炭素数1~6の置換基であることも好ましい。
一般式(Y)中、RY3は、水素原子又は置換基を表す。
Y3は、水素原子又は水酸基を表すことが好ましい。
Y3が複数存在する場合、少なくとも1つのRY3が水酸基を表すのが好ましく、全てのRY3が水酸基を表すのがより好ましい。
一般式(Y)、RY4は、水素原子又は置換基を表す。
Y4は、水素原子、アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基が好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
上記フェニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
Y4は、RY4が結合するベンゼン環基が有し得る水酸基(RY3)に対して、パラ位に結合するのが好ましい。
一般式(Y)中、LY1及びLY2は、それぞれ独立に、-C(RY5)(RY6)-、又は、-CO-を表す。
Y5及びRY6は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
Y5及びRY6は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボン酸基、ボロン酸基、アルデヒド基、アルキル基、アルコキシ基、又は、アルコキシカルボニル基が好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~10が好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
上記アルコキシ基におけるアルキル基部分、及び、上記アルコキシカルボニル基におけるアルキル基部分は、上記アルキル基と同様である。
上記フェニル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、例えば、置換基を有する場合は1~3つの水酸基を有してもよい。
Y1及びLY2は、それぞれ独立に、-CH-、-CH(OH)-、又は、-CO-が好ましい。
要件1を満たす特定フェノール化合物は、「オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基」以外の水酸基を有していてもよい。ただし、要件1を満たす特定フェノール化合物が有する全水酸基のうち、「オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基」の割合〔(オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基の個数/特定フェノール化合物が有する全水酸基の個数)×100〕は、30~100%が好ましく、50~100%がより好ましく、65~100%が更に好ましい。
<要件2>
要件2を満たす特定フェノール化合物は、トリアジン骨格を有し、かつ、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を有するフェノール化合物である。
要件2を満たす特定フェノール化合物が「トリアジン骨格を有する」とは、化合物中に1個以上(例えば1~5個)のトリアジン環基を有することを意味する。
要件2を満たす特定フェノール化合物は「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」を有する。
言い換えると、要件2を満たす特定フェノール化合物は、芳香環基を有し、上記芳香環基は、オルト位に置換基が存在するフェノール性水酸基を有する。
「オルト位に置換基が存在するフェノール性水酸基」とは、芳香環(好ましくはベンゼン環)に直接結合する水酸基(フェノール性水酸基)であって、上記芳香環における上記水酸基と隣接する位置(オルト位)の一方又は両方に置換基(好ましくは有機基、より好ましくは炭素数1~6の置換基)が存在している水酸基のことをいう。
上記芳香環基は、「オルト位に置換基が存在するフェノール性水酸基」を1個以上(例えば1~3個)有していればよく、「オルト位に置換基が存在するフェノール性水酸基」以外のフェノール性水酸基を有していても有していなくてもよい。
上記芳香環基は、単環でも多環でもよく、環員原子としてヘテロ原子を有していてもよい。
上記芳香環基の環員原子の数は5~15が好ましく、6~10がより好ましく、6が更に好ましい。
フェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基は、フェノール性水酸基のオルト位の少なくとも一方に存在していればよく、両方に存在していてもよい。
フェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基は有機基が好ましく、炭素数1~6の置換基がより好ましい。
「炭素数1~6の置換基」については、要件1に関する説明中で述べた「炭素数1~6の置換基」と同様である。
要件2を満たす特定フェノール化合物は、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基(好ましくは上述の一般式(P0)で表される基)を1個以上有することが好ましく、2個以上有することがより好ましく、2~12個有することが更に好ましく、4~8個有することが特に好ましい。
要件2を満たす特定フェノール化合物は、一般式(Z)で表される化合物であることが好ましい。特定フェノール化合物は、一般式(Z)で表される化合物を含むことが好ましく、特定フェノール化合物が一般式(Z)で表される化合物そのものであってもよい。一般式(Z)で表される化合物の含有量は、特定フェノール化合物の全質量に対して、10~100質量%が好ましく、25~100質量%がより好ましく、50~100質量%が更に好ましい。
上記一般式(Z)中、同一の符号で表される基が複数存在する場合、特段の断りがない限り、複数存在する同一の符号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(Z)中、E~Eは、それぞれ独立に、単結合、-NH-、又は、-NR-を表す。
Rは、置換基を表す。Rの表す置換基としては、例えば、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
~Eは、それぞれ独立に、-NH-、又は、-NR-が好ましく、-NH-がより好ましい。
一般式(Z)中、Bは、単結合又はk+1価の有機基を表す。
は、単結合又はl+1価の有機基を表す。
は、単結合又はm+1価の有機基を表す。
は、単結合又はn+1価の有機基を表す。
上記k+1価の有機基、l+1価の有機基、m+1価の有機基、及び、n+1価の有機基におけるk、l、m、及び、nの値は、一般式(Z)中に明示される、k、l、m、及び、nの値と一致する。
なお、rが2以上であって、複数存在するmの値が異なる場合、Bで表されるm+1価の有機基におけるmの値は、そのBが結合するXの数を示すmの値と同一である。
~Bが表す有機基としては、例えば、炭素数1~20のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素からj個の水素原子を除いた基などが挙げられる。なお、j個とは、k+1個、l+1個、m+1個、又は、n+1個のことをいう。
ここで、j個の水素原子を除く前の炭化水素としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素、置換基を有していてもよい炭素数3~20の脂肪族環、及び、置換基を有していてもよい炭素数3~20の芳香環からなる群から選択される1以上の炭化水素が挙げられる。また、上記1以上の炭化水素に対して、更に、-O-、-S-、-CO-、-NR-(RNは水素原子又は置換基)、及び、-SO-からなる群から選択される2価の連結基の1以上を組み合わせてなる炭化水素でもよい。
炭素数1~20の脂肪族炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、及び、ヘプタンなどが挙げられる。
炭素数3~20の脂肪族環としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ノルボルナン環、及び、アダマンタン環などが挙げられる。
炭素数3~20の芳香環としては、例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素、及び、炭素数3~20の芳香族複素環などが挙げられる。
炭素数6~20の芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、炭素数3~20の芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、カルバゾール環、インドール環、及び、ベンゾチアゾール環などが挙げられる。
一般式(Z)中、k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。ただし、k、l、r個存在するm(つまりr×m)、及び、nの合計は2以上であり、2~12の整数であることが好ましく、4~8の整数であることがより好ましい。
k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0~5が好ましく、1~2がより好ましい。
例えば、kが1以上(より好ましくは1~2)であるのが好ましく、lが1以上(より好ましくは1~2)であるのが好ましく、mが1以上(より好ましくは1~2)であるのが好ましく、nが1以上(より好ましくは1~2)であるのが好ましい。
なお、kが0の場合、BはXを有さない。lが0の場合、BはXを有さない。mが0の場合、BはXを有さない。nが0の場合、BはXを有さない。
また、Bが単結合の場合、kは1である。Bが単結合の場合、lは1である。Bが単結合の場合、mは1である。Bが単結合の場合、nは1である。
Lは、2価の有機基を表す。
有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の芳香環基、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂肪族環基、-O-、-S-、-N(R)-又は-CO-、及び、これらを組み合わせた基が挙げられる。
は、置換基を表す。Rの表す置換基としては、例えば、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基などが挙げられる。
また、芳香環基、脂肪族炭化水素基、及び、脂肪族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基などが挙げられる。
芳香環基としては、例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素基、及び、炭素数3~20の芳香族複素環基などが挙げられる。
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環基などの単環式芳香環基;ナフタレン環基、及び、アントラセン環基などの多環式芳香環基;などが挙げられ、炭素数3~20の芳香族複素環基としては、例えば、フラン環基、ピロール環基、チオフェン環基、ピリジン環基、及び、チアゾール環基などの単環式芳香環基;ベンゾチアゾール環基、カルバゾール環基、及び、インドール環基などの多環式芳香環基;などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1~12のアルキレン基などが挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、メチルヘキシレン基、及び、へプチレン基などが挙げられる。
脂肪族環基としては、例えば、シクロヘキサン環基、シクロヘプタン環基、ノルボルナン環基、及び、アダマンタン環基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香環基、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環基、又は、-O-、-S-、-NR-若しくは-CO-を組み合わせた基としては、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基だけでなく、同種の基(例えば、芳香環基)を単結合を介して2つ以上組み合わせた2価の連結基であってもよい。
本発明においては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点から、Lの両末端が炭素原子であることが好ましい。具体的には、「-E-C-」であること、かつ、「-C-E-」であることが好ましい。なお、上記C(炭素原子)は、Lを構成する原子である。末端の炭素原子は環状構造の一部でもよい。
また、本発明においては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点から、上記一般式(P2)中のLが、置換基を有していてもよい2価の芳香環基、置換基を有していてもよい2価の脂肪族環基、及び、炭素数2以上の分岐を有していてもよいアルキレン基からなる群から選択される少なくとも1種を有する2価の有機基であることが好ましく、熱伝導性がより優れるとの理由から置換基を有していてもよい2価の芳香環基を有する2価の有機基がより好ましい。
一般式(Z)中、rは0以上の整数である。
rは0~20の整数であることが好ましく、0~10の整数であることがより好ましい。
一般式(Z)中、X~Xは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する芳香環基を表す。
「フェノール性水酸基を有する芳香環基」は、芳香環に直接結合する水酸基(フェノール性水酸基)を1個以上(例えば1~4個)有する芳香環基であればよい。上記芳香環基は上記水酸基以外の置換基を有しててもよく、有していなくてもよい。上記芳香環基は、単環でも多環でもよく、環員原子としてヘテロ原子を有していてもよい。上記芳香環基の環員原子の数は5~15が好ましく、6~10がより好ましく、6が更に好ましい。
ただし、一般式(Z)中、k個存在するX、l個存在するX、r×m個存在するX、及び、n個存在するXのうちの少なくとも1個は、フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基を表す。なお、「r×m」におけるmの値は、複数存在し得るmの平均値である。
言い換えると、(k+l+r×m+n)個存在するX~Xのいずれかで表される「フェノール性水酸基を有する芳香環基」のうち、少なくとも1個が「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」を表す。
なかでも、(k+l+r×m+n)個存在するX~Xのいずれかで表される「フェノール性水酸基を有する芳香環基」のうち、「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」の割合〔(「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」の個数/(k+l+r×m+n)個存在するX~Xのいずれかで表される「フェノール性水酸基を有する芳香環基」の個数)×100〕は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上が更に好ましい。上限は100%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。
上記「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」は、例えば、一般式(Y)の説明に関して述べた「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基」において、「炭素数1~6の置換基」が特に制限のない「置換基(水酸基でもよく、水酸基以外が好ましい)」に置き換わった形態が挙げられる。
「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」は、それぞれ独立に、「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基」であることが好ましい。
上記「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基」は、上述の一般式(Y)に関して説明した「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6の置換基とを有する芳香環基」と同様であり、上述の一般式(P0)で表される基であることが好ましい。
~Xで表されるフェノール性水酸基を有する芳香環基において、「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」以外の芳香環基は、水酸基(フェノール性水酸基)以外の置換基を有してもよく有してなくてもよい。
「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」以外の芳香環基は、例えば、ヒドロキシフェニル基が挙げられる。
(k+l+r×m+n)個存在するX~Xのいずれかで表される「フェノール性水酸基を有する芳香環基」のうち、少なくとも1個(例えば1~2個)が「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」以外の芳香環基であることも好ましい。
~X4で表されるフェノール性水酸基を有する芳香環基において、「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」以外の芳香環基も存在していることで、化合物全体としての対称性が崩れ、化合物の融点が低下し、取り扱い性が向上する。また、このような形態の化合物をエポキシ化合物と組み合わせて組成物とした場合、組成物をDSC(示差走査熱量計)で測定して検出される発熱ピークがブロード化(半値幅の増大、又は、発熱ピークの温度と反応開始温度の差の増大)する。このようなブロード化が生じると、組成物を幅広い温度で硬化させることができ、好ましいと考えられている。
要件2を満たす特定フェノール化合物は、一般式(Z1)で表される化合物であることも好ましい。特定フェノール化合物は、一般式(Z1)で表される化合物を含むことが好ましく、特定フェノール化合物が一般式(Z1)で表される化合物そのものであってもよい。一般式(Z1)で表される化合物の含有量は、特定フェノール化合物の全質量に対して、10~100質量%が好ましく、25~100質量%がより好ましく、50~100質量%が更に好ましい。
一般式(Z1)中、rは0以上の整数を表す。rは0~20の整数であることが好ましく、0~10の整数であることがより好ましい。
Lは、2価の有機基を表す。一般式(Z1)におけるLで表される2価の有機基は、例えば、一般式(Z1)におけるLで表される2価の有機基と同様である。
は、水素原子又は置換基を表す。
で表される置換基は、炭素数1~6の置換基であることが好ましく、炭素数1~6の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更に好ましい。
ただし、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は置換基を表す。(3+r)個存在するRのうち、置換基を表すRの割合〔(置換基を表すRの個数/(3+r)個存在するRの個数)×100〕は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上が更に好ましい。上限は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。
一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個(例えば1~2個)は水素原子を表す。
一般式(Z1)中におけるR(好ましくは置換基であるR)及びOHが結合したベンゼン環基において、上記R(好ましくは置換基であるR)は、上記ベンゼン環基が結合するNHに対するパラ位に存在していることも好ましい。
要件2を満たす特定フェノール化合物は、一般式(Z2)で表される化合物であることも好ましい。特定フェノール化合物は、一般式(Z2)で表される化合物を含むことが好ましく、特定フェノール化合物が一般式(Z2)で表される化合物そのものであってもよい。一般式(Z2)で表される化合物の含有量は、特定フェノール化合物の全質量に対して、10~100質量%が好ましく、25~100質量%がより好ましく、50~100質量%が更に好ましい。
一般式(Z2)中、Rは、水素原子又は置換基を表す。
ただし、2個存在するRの少なくとも一方は置換基を表す。2個存在するRの両方が置換基を表すことが好ましい。
で表される置換基は、炭素数1~6の置換基であることが好ましく、炭素数1~6の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更に好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基は無置換であることも好ましい。
一般式(Z2)中の2個のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
要件2を満たす特定フェノール化合物は、「オルト位に置換基(好ましくは炭素数1~6の置換基)が存在するフェノール性水酸基」以外の水酸基を有していてもよい。ただし、要件2を満たす特定フェノール化合物が有する全水酸基のうち、「オルト位に置換基(好ましくは炭素数1~6の置換基)が存在するフェノール性水酸基」の割合〔(オルト位に炭素数1~6の置換基が存在するフェノール性水酸基の個数/特定フェノール化合物が有する全水酸基の個数)×100〕は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上が更に好ましい。上記数は100%以下が好ましく、90%以下がよりこのましく、80%以下が更に好ましい。
特定フェノール化合物の分子量は、225~2000が好ましく、225~1000がより好ましい。
特定フェノール化合物の水酸基含有量は、2.0mmol/g以上が好ましく、4.0mmol/g以上がより好ましい。上限値は、25.0mmol/g以下が好ましく、10.0mmol/g以下がより好ましい。
なお、上記水酸基含有量は、フェノール化合物1gが有する、水酸基(好ましくはフェノール性水酸基)の数を意図する。
また、特定フェノール化合物は、水酸基以外にも、エポキシ化合物と重合反応できる活性水素含有基(カルボン酸基等)を有していてもよいし、有していなくてもよい。フェノール化合物の活性水素の含有量(水酸基及びカルボン酸基等における水素原子の合計含有量)の下限値は、2.0mmol/g以上が好ましく、4.0mmol/g以上がより好ましい。上限値は、25.0mmol/g以下が好ましく、10.0mmol/g以下がより好ましい。
特定フェノール化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
中でも、特定フェノール化合物は、一般式(Z)で表される化合物であって、(k+l+r×m+n)個存在するX~Xのいずれかで表される「フェノール性水酸基を有する芳香環基」のうち、少なくとも1個(例えば1~2個)が「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」以外の芳香環基である化合物(例えば一般式(Z2)で表される化合物)を、特定フェノール化合物の全質量に対して、10~100質量%含むことが好ましく、25~100質量%含むことがより好ましく、50~100質量%含むことが更に好ましい。
なお、本発明の組成物は、特定フェノール化合物以外にも、後述のエポキシ化合物と反応可能な基を有する化合物(「その他の活性水素含有化合物」ともいう)を含んでもよい。
その他の活性水素含有化合物としては、例えば、特定フェノール化合物以外のフェノール化合物であってもよい。
ただし、本発明の組成物において、特定フェノール化合物の含有量に対する、その他の活性水素含有化合物の含有量の質量比は、0~1が好ましく、0~0.1がより好ましく、0~0.05が更に好ましい。
〔エポキシ化合物〕
本発明の組成物はエポキシ化合物を含む。
エポキシ化合物は、1分子中に、少なくとも1つのエポキシ基(オキシラニル基)を有する化合物である。
上記エポキシ基は、オキシラン環から1以上の水素原子(好ましくは1の水素原子)を除いてなる基である。上記エポキシ基は、可能な場合、更に置換基(直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~5のアルキル基等)を有していてもよい。
エポキシ化合物が有するエポキシ基の数は、1分子中、2以上が好ましく、2~1000がより好ましく、2~40が更に好ましい。
エポキシ化合物の分子量は、150以上が好ましく、300以上がより好ましい。上記分子量の上限に制限はなく、例えば100000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。
なお、上記分子量に分子量分布がある場合、上記分子量は数平均分子量である。
本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
エポキシ化合物のエポキシ基含有量は、2.0~20.0mmol/gが好ましく、5.0~15.0mmol/gがより好ましい。
なお、上記エポキシ基含有量は、エポキシ化合物1gが有する、エポキシ基の数を意図する。
エポキシ化合物は、芳香環基(好ましくは芳香族炭化水素環基)を有するのも好ましい。
エポキシ化合物は、液晶性を示してもよく示さなくてもよい。
つまり、エポキシ化合物は、液晶化合物であってよい。言い換えれば、エポキシ基を有する液晶化合物であってもよい。
エポキシ化合物(液晶性のエポキシ化合物であってもよい)としては、例えば、少なくとも部分的に棒状構造を含む化合物(棒状化合物)、及び、少なくとも部分的に円盤状構造を含む化合物円盤状化合物が挙げられる。
以下、棒状化合物及び円盤状化合物について詳述する。
(棒状化合物)
棒状化合物であるエポキシ化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、及び、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が挙げられる。以上のような低分子化合物だけではなく、高分子化合物も使用できる。上記高分子化合物は、低分子の反応性基を有する棒状化合物が重合した高分子化合物である。
好ましい棒状化合物としては、下記一般式(XXI)で表される棒状化合物が挙げられる。
一般式(XXI):Q-L111-A111-L113-M-L114-A112-L112-Q
一般式(XXI)中、Q及びQはそれぞれ独立に、エポキシ基であり、L111、L112、L113、及び、L114はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。A111及びA112はそれぞれ独立に、炭素数1~20の2価の連結基(スペーサ基)を表す。Mはメソゲン基を表す。
及びQのエポキシ基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
一般式(XXI)中、L111、L112、L113、及び、L114はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
111、L112、L113、及び、L114で表される2価の連結基としては、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-NR112-、-CO-O-、-O-CO-O-、-CO-NR112-、-NR112-CO-、-O-CO-、-CH-O-、-O-CH-、-O-CO-NR112-、-NR112-CO-O-、及び、-NR112-CO-NR112-からなる群から選ばれる2価の連結基であるのが好ましい。上記R112は炭素数1~7のアルキル基又は水素原子である。
中でも、L113及びL114は、それぞれ独立に、-O-が好ましい。
111及びL112は、それぞれ独立に、単結合が好ましい。
一般式(XXI)中、A111及びA112は、それぞれ独立に、炭素数1~20の2価の連結基を表す。
2価の連結基は、隣接していない酸素原子及び硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。中でも、炭素数1~12の、アルキレン基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基が好ましい。上記、アルキレン基、アルケニレン基、又は、アルキニレン基がエステル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
2価の連結基は直鎖状であるのが好ましく、また、上記2価の連結基は置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、及び、臭素原子)、シアノ基、メチル基、及び、エチル基が挙げられる。
中でも、A111及びA112は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
一般式(XXI)中、Mはメソゲン基を表し、上記メソゲン基としては、公知のメソゲン基が挙げられる。中でも、下記一般式(XXII)で表される基が好ましい。
一般式(XXII):-(W-L115-W
一般式(XXII)式中、W及びWは、それぞれ独立に、2価の環状アルキレン基、2価の環状アルケニレン基、アリーレン基、又は、2価のヘテロ環基を表す。L115は、単結合又は2価の連結基を表す。nは、1~4の整数を表す。
及びWとしては、例えば、1,4-シクロヘキセンジイル、1,4-シクロヘキサンジイル、1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、ナフタレン-1,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、及び、ピリダジン-3,6-ジイルが挙げられる。1,4-シクロヘキサンジイルの場合、トランス体及びシス体の構造異性体のどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。中でも、トランス体が好ましい。
及びWは、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、上述した置換基群Yで例示された基が挙げられ、より具体的には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子)、シアノ基、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、及び、プロピル基等)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、及び、エトキシ基等)、炭素数1~10のアシル基(例えば、ホルミル基、及び、アセチル基等)、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、及び、エトキシカルボニル基等)、炭素数1~10のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、及び、プロピオニルオキシ基等)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、及び、ジフルオロメチル基等が挙げられる。
が複数存在する場合、複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(XXII)式中、L115は、単結合又は2価の連結基を表す。L115で表される2価の連結基としては、上述したL111~L114で表される2価の連結基の具体例が挙げられ、例えば、-CO-O-、-O-CO-、-CH-O-、及び、-O-CH-が挙げられる。
115が複数存在する場合、複数存在するL115は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XXII)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましい骨格を、以下に例示する。上記メソゲン基は、これらの骨格に置換基が置換していてもよい。
上記骨格の中でも、得られる熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点でビフェニル骨格が好ましい。
なお、一般式(XXI)で表される化合物は、特表平11-513019号公報(WO97/00600)に記載の方法を参照して合成できる。
棒状化合物は、特開平11-323162号公報及び特許4118691号に記載のメソゲン基を有するモノマーであってもよい。
また、一般式(XXI)で表される化合物において、「Q-L111-」及び「-L112-Q」の一方又は両方が、ジグリシジルアミノ基に置き換わった化合物も好ましい。
中でも、棒状化合物は、一般式(E1)で表される化合物であるのが好ましい。
一般式(E1)中、LE1は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
中でも、LE1は、2価の連結基が好ましい。
2価の連結基は、-O-、-S-、-CO-、-NH-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、置換意を有していてもよいアルキレン基、又は、これらの2以上の組み合わせからなる基が好ましく、-O-アルキレン基-又は-アルキレン基-O-がより好ましい。
なお上記アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれでもよいが、炭素数1~2の直鎖状アルキレン基が好ましい。
複数存在するLE1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、LE2は、それぞれ独立に、単結合、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-、-C(-CH)=CH-、-CH=C(-CH)-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-N=N(-O)-、-N(-O)=N-、-CH=N(-O)-、-N(-O)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=C(-CN)-、又は、-C(-CN)=CH-を表す。
中でも、LE2は、それぞれ独立に、単結合、-CO-O-、又は、-O-CO-が好ましい。
E2が複数存在する場合、複数存在するLE2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、LE3は、それぞれ独立に、単結合、又は、置換基を有していてもよい、5員環若しくは6員環の芳香族環基又は5員環若しくは6員環の非芳香族環基、又は、これらの環からなる多環基を表す。
E3で表される芳香族環基及び非芳香族環基の例としては、置換基を有していてもよい、1,4-シクロヘキサンジイル基、1,4-シクロヘキセンジイル基、1,4-フェニレン基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジイル基、1,3,4-オキサジアゾール-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基、及び、ピリダジン-3,6-ジイル基が挙げられる。1,4-シクロヘキサンジイル基の場合、トランス体及びシス体の構造異性体のどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。中でも、トランス体であるのが好ましい。
中でも、LE3は、単結合、1,4-フェニレン基、又は、1,4-シクロヘキセンジイル基が好ましい。
E3で表される基が有する置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は、アセチル基が好ましく、アルキル基(好ましくは炭素数1)がより好ましい。
なお、置換基が複数存在する場合、置換基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
E3が複数存在する場合、複数存在するLE3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、peは、0以上の整数を表す。
peが2以上の整数である場合、複数存在する(-LE3-LE2-)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
中でも、peは、0~2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が更に好ましい。
一般式(E1)中、LE4は、それぞれ独立に、置換基を表す。
置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は、アセチル基が好ましく、アルキル基(好ましくは炭素数1)がより好ましい。
複数存在するLE4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、次に説明するleが2以上の整数である場合、同一の(LE4le中に複数存在するLE4も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中、leは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
中でも、leは、それぞれ独立に、0~2が好ましい。
複数存在するleは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(E1)で表される化合物において、2個存在する「エポキシ基-LE1-」の一方又は両方が、ジグリシジルアミノアルキレン基(好ましくはジグリシジルアミノメチレン基)に置き換わった化合物も好ましい。
棒状化合物は、得られる熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点でビフェニル骨格を有するのが好ましい。
言い換えると、エポキシ化合物は、ビフェニル骨格を有するのが好ましく、この場合のエポキシ化合物は棒状化合物であるのがより好ましい。
(円盤状化合物)
円盤状化合物であるエポキシ化合物は、少なくとも部分的に円盤状構造を有する。
円盤状構造は、少なくとも、脂環又は芳香族環を有する。特に、円盤状構造が、芳香族環を有する場合、円盤状化合物は、分子間のπ-π相互作用によるスタッキング構造の形成により柱状構造を形成しうる。
円盤状構造として、具体的には、Angew.Chem.Int. Ed. 2012, 51, 7990-7993又は特開平7-306317号公報に記載のトリフェニレン構造、並びに、特開2007-2220号公報及び特開2010-244038号公報に記載の3置換ベンゼン構造等が挙げられる。
エポキシ化合物として円盤状化合物を用いれば、高い熱伝導性を示す熱伝導材料が得られる。その理由としては、棒状化合物が直線的(一次元的)にしか熱伝導できないのに対して、円盤状化合物は法線方向に平面的(二次元的)に熱伝導できるため、熱伝導パスが増え、熱伝導率が向上する、と考えられる。
上記円盤状化合物は、エポキシ基を3つ以上有するのが好ましい。3つ以上のエポキシ基を有する円盤状化合物を含む組成物の硬化物はガラス転移温度が高く、耐熱性が高い傾向がある。
円盤状化合物が有するエポキシ基の数は、8以下が好ましく、6以下より好ましい。
円盤状化合物の具体例としては、C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994)、及び特許第4592225号に記載されている化合物等において末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物が挙げられる。
円盤状化合物としては、Angew.Chem.Int. Ed. 2012, 51, 7990-7993、及び特開平7-306317号公報に記載のトリフェニレン構造、並びに特開2007-2220号公報、及び、特開2010-244038号公報に記載の3置換ベンゼン構造において末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物等が挙げられる。
円盤状化合物としては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、以下に示す式(D1)~(D16)のいずれかで表される化合物が好ましい。
まず、式(D1)~(D15)について説明し、その後、式(D16)について説明する。
なお、以下の式中、「-LQ」は「-L-Q」を表し、「QL-」は「Q-L-」を表す。
式(D1)~(D15)中、Lは2価の連結基を表す。
熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、Lは、それぞれ独立に、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-、-S-、及び、これらの組み合わせからなる群から選ばれる基であるのが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、-CO-、-NH-、-O-、及び、-S-からなる群から選ばれる基を2個以上組み合わせた基であるのがより好ましい。
上記アルキレン基の炭素数は、1~12が好ましい。上記アルケニレン基の炭素数は、2~12が好ましい。上記アリーレン基の炭素数は、10以下が好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、及び、アリーレン基は、置換基(好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、及び、アシルオキシ基等)を有していてもよい。
Lの例を以下に示す。以下の例では、左側の結合手が式(D1)~(D15)のいずれかで表される化合物の中心構造(以下、単に「中心環」ともいう)に結合し、右側の結合手がQに結合する。
ALはアルキレン基又はアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
L101:-AL-CO-O-AL-
L102:-AL-CO-O-AL-O-
L103:-AL-CO-O-AL-O-AL-
L104:-AL-CO-O-AL-O-CO-
L105:-CO-AR-O-AL-
L106:-CO-AR-O-AL-O-
L107:-CO-AR-O-AL-O-CO-
L108:-CO-NH-AL-
L109:-NH-AL-O-
L110:-NH-AL-O-CO-
L111:-O-AL-
L112:-O-AL-O-
L113:-O-AL-O-CO-
L114:-O-AL-O-CO-NH-AL-
L115:-O-AL-S-AL-
L116:-O-CO-AL-AR-O-AL-O-CO-
L117:-O-CO-AR-O-AL-CO-
L118:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-
L119:-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-CO-
L120:-O-CO-AR-O-AL-O-AL-O-AL-O-CO-
L121:-S-AL-
L122:-S-AL-O-
L123:-S-AL-O-CO-
L124:-S-AL-S-AL-
L125:-S-AR-AL-
L126:-O-CO-AL-
L127:-O-CO-AL-O-
L128:-O-CO-AR-O-AL-
L129:-O-CO-
L130:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-AL-S-AR-
L131:-O-CO-AL-S-AR-
L132:-O-CO-AR-O-AL-O-CO-AL-S-AL-
L133:-O-CO-AL-S-AR-
L134:-O-AL-S-AR-
L135:-AL-CO-O-AL-O-CO-AL-S-AR-
L136:-AL-CO-O-AL-O-CO-AL-S-AL-
L137:-O-AL-O-AR-
L138:-O-AL-O-CO-AR-
L139:-O-AL-NH-AR-
L140:-O-CO-AL-O-AR-
L141:-O-CO-AR-O-AL-O-AR-
L142:-AL-CO-O-AR-
L143:-AL-CO-O-AL-O-AR-
式(D1)~(D15)中、Qは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
置換基としては、上述した置換基群Yで例示される基が挙げられる。より具体的には、置換基としては、上記反応性官能基、ハロゲン原子、イソシアネート基、シアノ基、不飽和重合性基、エポキシ基、オキセタニル基、アジリジニル基、チオイソシアネート基、アルデヒド基、及び、スルホ基が挙げられる。
ただし、Qがエポキシ基以外の基である場合、Qはエポキシ基に対して安定であるのが好ましい。
なお、式(D1)~(D15)中、1つ以上(好ましくは2つ以上)のQは、エポキシ基を表す。中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、すべてのQがエポキシ基を表すのが好ましい。
なお、式(D1)~(D15)で表される化合物は、エポキシ基の安定性の点からは、-NH-を有さないのが好ましい。
式(D1)~(D15)で表される化合物の中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、式(D4)で表される化合物が好ましい。言い換えると、円盤状化合物の中心環はトリフェニレン環であるのが好ましい。
式(D4)で表される化合物としては、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、式(XI)で表される化合物が好ましい。
式(XI)中、R11、R12、R13、R14、R15、及び、R16は、それぞれ独立に、*-X11-L11-P11、又は、*-X12-L12-Y12を表す。
なお、*はトリフェニレン環との結合位置を表す。
11、R12、R13、R14、R15、及び、R16のうち、2個以上は、*-X11-L11-P11であり、3個以上が*-X11-L11-P11であるのが好ましい。
中でも、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、R11及びR12のいずれか1個以上、R13及びR14のいずれか1個以上、並びに、R15及びR16のいずれか1個以上が、*-X11-L11-P11であるのが好ましい。
11、R12、R13、R14、R15、及び、R16が、全て、*-X11-L11-P11であるのがより好ましい。加えて、R11、R12、R13、R14、R15、及び、R16が、全て同一であるのが更に好ましい。
11は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
中でも、X11は、それぞれ独立に、-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は、-NH-CO-O-が好ましく、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-NH-、又は、-CO-NH-がより好ましく、-O-CO-又は-CO-O-が更に好ましい。
11は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。
2価の連結基の例としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、-NH-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~7が更に好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が更に好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び、ヘプチレン基が挙げられる。
上記アリーレン基としては、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、及び、アントラセニレン基が挙げられ、1,4-フェニレン基が好ましい。
上記アルキレン基及び上記アリーレン基はそれぞれ置換基を有していてもよい。置換基の数は、1~3が好ましく、1がより好ましい。置換基の置換位置は特に制限されない。置換基としては、ハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記アルキレン基及び上記アリーレン基は無置換であるのも好ましい。中でも、アルキレン基は無置換であるのが好ましい。
-X11-L11-の例として、上述のLの例であるL101~L143が挙げられる。
11は、エポキシ基を表す。上記エポキシ基は置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
12は、X11と同様であり、好適な条件も同様である。
12は、L11と同様であり、好適な条件も同様である。
-X12-L12-の例として、上述のLの例であるL101~L143が挙げられる。
12は、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は-CO-O-で置換された基を表す。
12が、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は-CO-O-で置換された基の場合、Y12に含まれる水素原子の1個以上がハロゲン原子で置換されていてもよい。
式(XI)で表される化合物の具体例については、特開平7-281028号公報の段落番号0028~0036、特開平7-306317号公報、特開2005-156822号公報の段落番号0016~0018、特開2006-301614号公報の段落番号0067~0072、及び、液晶便覧(平成12年丸善株式会社発刊)330頁~333頁に記載の化合物において、末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物が挙げられる。
式(XI)で表される化合物は、特開平7-306317号公報、特開平7-281028号公報、特開2005-156822号公報、及び、特開2006-301614号公報に記載の方法に準じて合成できる。
また、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、円盤状化合物として、式(D16)で表される化合物も好ましい。
式(D16)中、A2X、A3X、及び、A4Xは、それぞれ独立に、-CH=又は-N=を表す。中でも、A2X、A3X、及び、A4Xは、それぞれ独立に、-CH=が好ましい。
17X、R18X、及び、R19Xは、それぞれ独立に、*-X211X-(Z21X-X212Xn21X-L21X-Qを表す。*は、中心環との結合位置を表す。
211X及びX212Xは、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
21Xは、それぞれ独立に、5員環若しくは6員環の芳香族環基、又は、5員環若しくは6員環の非芳香族環基を表す。
21Xは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、式(D1)~(D15)におけるQと同義であり、好ましい条件も同様である。式(D16)中、複数存在するQのうち、少なくとも1つ(好ましくは全部)のQは、エポキシ基を表す。
n21Xは、0~3の整数を表す。n21Xが2以上の場合、複数存在する(Z21X-X212X)は、同一でも異なっていてもよい。
ただし、式(D16)で表される化合物は、エポキシ基の安定性の点からは、-NH-を有さないのが好ましい。
式(D16)で表される化合物としては、式(XII)で表される化合物が好ましい。
式(XII)中、A、A、及び、Aは、それぞれ独立に、-CH=又は-N=を表す。中でも、A、A、及び、Aは、-CH=が好ましい。言い換えると、円盤状化合物の中心環はベンゼン環であるのも好ましい。
17、R18、及び、R19は、それぞれ独立に、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21、又は、*-X221-(Z22-X222n22-Y22を表す。*は中心環との結合位置を表す。
17、R18、及び、R19のうち2個以上は、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21である。熱伝導材料の熱伝導性がより優れる観点から、R17、R18、及び、R19は全てが、*-X211-(Z21-X212n21-L21-P21であるのが好ましい。
加えて、R17、R18、及び、R19が、全て同一であるのが好ましい。
211、X212、X221、及び、X222は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-、-NH-、-O-CO-、-O-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-S-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、-S-、-S-CO-、-S-CO-O-、-S-CO-NH-、又は、-S-CO-S-を表す。
中でも、X211、X212、X221、及び、X222としては、それぞれ独立に、単結合、-O-、-CO-O-、又は、-O-CO-が好ましい。
21及びZ22は、それぞれ独立に、5員環若しくは6員環の芳香族環基、又は、5員環若しくは6員環の非芳香族環基を表し、例えば、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、及び、芳香族複素環基が挙げられる。
上記芳香族環基及び上記非芳香族環基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は1又は2が好ましく、1がより好ましい。置換基の置換位置は、特に制限されない。置換基としては、ハロゲン原子又はメチル基が好ましい。上記芳香族環基及び上記非芳香族環基は無置換であるのも好ましい。
芳香族複素環基としては、例えば、以下の芳香族複素環基が挙げられる。
式中、*はX211又はX221に結合する部位を表す。**はX212又はX222に結合する部位を表す。A41及びA42は、それぞれ独立に、メチン基又は窒素原子を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、イミノ基を表す。
41及びA42は、少なくとも一方が窒素原子であるのが好ましく、両方が窒素原子であるのがより好ましい。また、Xは、酸素原子であるのが好ましい。
後述するn21及びn22が2以上の場合、複数存在する(Z21-X212)及び(Z22-X222)は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
21は、それぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表し、上述した式(XI)におけるL11と同義である。L21としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、-NH-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~7が更に好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましく、6~14がより好ましく、6~10が更に好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
後述するn22が1以上の場合において、-X212-L21-の例としては、上述の式(D1)~(D15)におけるLの例であるL101~L143が同様に挙げられる。
21は、エポキシ基を表す。上記エポキシ基は置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
22は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基、又は、炭素数1~20の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基において1個又は2個以上のメチレン基が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-O-CO-、又は、-CO-O-で置換された基を表し、一般式(XI)におけるY12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
n21及びn22はそれぞれ独立に、0~3の整数を表し、熱伝導性がより優れる観点から、1~3の整数が好ましく、2~3がより好ましい。
円盤状化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる。



なお、下記構造式中、Rは、-X212-L21-P21を表す。
式(XII)で表される化合物の詳細、及び具体例については、特開2010-244038号公報の段落0013~0077に記載の化合物において、末端の少なくとも1つ(好ましくは3つ以上)をエポキシ基とした化合物を参照でき、その内容は本明細書に組み込まれる。
式(XII)で表される化合物は、特開2010-244038号公報、特開2006-76992号公報、及び、特開2007-2220号公報に記載の方法に準じて合成できる。
なお、電子密度を減らしてスタッキングを強くし、カラム状集合体を形成しやすくなるという観点から、円盤状化合物は水素結合性官能基を有する化合物であるのも好ましい。水素結合性官能基としては、-O-CO-NH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、-NH-CO-S-、又は、-S-CO-NH-等が挙げられる。
(その他のエポキシ化合物)
上述のエポキシ化合物以外の、その他のエポキシ化合物としては、例えば、一般式(DN)で表されるエポキシ化合物が挙げられる。
一般式(DN)中、nDNは、0以上の整数を表し、0~5が好ましく、1がより好ましい。
DNは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、-O-、-O-CO-、-CO-O-、-S-、アルキレン基(炭素数は、1~10が好ましい。)、アリーレン基(炭素数は、6~20が好ましい。)、又は、これらの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、メチレン基が更に好ましい。
その他の多官能エポキシ化合物としては、一般式(E1)で表されるエポキシ化合物も挙げられる。
(V-)4-UC(-W) (E1)
一般式(E1)中、Cは、炭素原子を表す。
一般式(E1)中、Uは、3又は4の整数を表す。
一般式(E1)中において、Vの数を示す「4-U」中の「U」と、Wの数を示す「U」とは同じ値を示す。つまり、一般式(E1)は、「V-C(-W)」又は「C(-W)」である。
一般式(E1)中、Vは、水素原子又はエポキシ基を有さない置換基を表す。
上記エポキシ基を有さない置換基は、エポキシ基以外の置換基であり、かつ、置換基の一部分としてもエポキシ基を含むことがない置換基である。
上記エポキシ基を有さない置換基としては、例えば、置換基群Yから選択される基であって、エポキシ基及びエポキシ基を一部分に含む基を除いた基が挙げられる。
上記エポキシ基を有さない置換基は、アルキル基が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。上記アルキル基は、炭素数1~5が好ましい。
一般式(E1)中、Wは、エポキシ含有基を表す。
エポキシ含有基は、エポキシ基そのものである基、又は、エポキシ基を一部分に含む一価の基である。
上記エポキシ基を一部分に含む一価の基は、基全体の中にエポキシ基を1個以上(好ましくは1~8個)有する基である。
上記エポキシ基を一部分に含む一価の基は、「-(2価の炭化水素基)M1-(-O-2価の炭化水素基-)M2-エポキシ基」で表される基が好ましい。上記基において、M1は、0又は1を表す。M2は、1以上(好ましくは1~10)の整数を表す。上記基における2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1~6)、アルケニレン基(-CH=CH-等。好ましくは炭素数2~6)、アルキニレン基(-C≡C-等。好ましくは炭素数2~6)、アリーレン基(フェニレン基等。好ましくは炭素数6~15)、及び、これらを組み合わせた基が挙げられる。上記2価の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよく、上記2価の炭化水素基が置換基として更にエポキシ含有基を有してもよい。複数存在してもよい上記2価の炭化水素基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
一般式(E1)中に複数存在するWは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
その他のエポキシ化合物としては、エポキシ基が、縮環している化合物も挙げられる。このような化合物としては、例えば、3,4:8,9-ジエポキシビシクロ[4.3.0]ノナン等が挙げられる。
その他のエポキシ化合物としては、他にも、例えば、ビスフェノールA、F、S、AD等のグリシジルエーテルであるビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物等;水素添加したビスフェノールA型エポキシ化合物、水素添加したビスフェノールAD型エポキシ化合物等;フェノールノボラック型のグリシジルエーテル(フェノールノボラック型エポキシ化合物)、クレゾールノボラック型のグリシジルエーテル(クレゾールノボラック型エポキシ化合物)、ビスフェノールAノボラック型のグリシジルエーテル等;ジシクロペンタジエン型のグリシジルエーテル(ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物);ジヒドロキシペンタジエン型のグリシジルエーテル(ジヒドロキシペンタジエン型エポキシ化合物);ポリヒドロキシベンゼン型のグリシジルエーテル(ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物);ベンゼンポリカルボン酸型のグリシジルエステル(ベンゼンポリカルボン酸型エポキシ化合物);トリスフェノールメタン型エポキシ化合物;及び、フェノキシ樹脂等が挙げられる。上述の各化合物におけるグリシジルエーテル基及び/又はグリシジルエステル基の1個又は2個以上が、ジグリシジルアミノ基又はジグリシジルアミノアルキレン基(ジグリシジルアミノメチレン基等)に置き換わった化合物をエポキシ化合物として使用してもよい。
上述の各化合物は、置換基を有していてもよい。例えば、上述の各化合物に含まれる芳香環基、シクロアルカン環基、及び/又は、アルキレン基などが、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、ジグリシジルアミノ基、及び/又は、ジグリシジルアミノアルキレン基以外の置換基を有していてもよい。
組成物において実現されるべき各性能を考慮して使用するエポキシ化合物を決定するのが好ましい。
例えば、エポキシ化合物が芳香環基(ベンゼン環等)を有する場合、熱伝導材料の熱伝導性がより優れる。
柔軟な構造であるか成形性に優れるエポキシ化合物を使用する場合、組成物から形成される半硬化シートの保存安定性がより優れる。このようなエポキシ化合物としては、ビスフェノールF型エポキシ化合物、一般式(E1)で表されるエポキシ化合物、及び、ジグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ化合物が液晶性を有する場合、組成物から形成される熱伝導材料の熱伝導率及び/又はピール強度がより優れる。
また、エポキシ化合物が、一般式(DN)で表されるエポキシ化合物である場合、組成物から形成される熱伝導材料の熱伝導率及び/又はピール強度がより優れる。
エポキシ化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
2種以上のエポキシ化合物を使用することで、組成物の性能のバランスを調整しやすい。
例えば、ビスフェノールF型エポキシ化合物とフェノキシ樹脂とを使用する場合、ビスフェノールF型エポキシ化合物とフェノールノボラック型エポキシ化合物とを使用する場合、及び、ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物とフェノールノボラック型エポキシ化合物とを使用する場合等に、組成物の性能のバランスがより良好になる。
組成物において全フェノール化合物に含まれるフェノール性水酸基の数に対する、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の数との比(エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数)は、40/60~60/40が好ましく、45/55~55/45がより好ましい。
つまり、組成物中の、全フェノール化合物とエポキシ化合物との含有量の比は、上記「エポキシ基の数/フェノール性水酸基の数」が上記範囲内になるような比であるのが好ましい。
なお、ここでいう全フェノール化合物とは、特定フェノール化合物及びその他のフェノール化合物の両方を意図する。
また、組成物において、エポキシ化合物のエポキシ基と、活性水素(フェノール性水酸基に由来する活性水素であってもよく、その他の活性水素含有化合物の活性水素であってもよい)との当量比(エポキシ基の数/活性水素の数)は、30/70~70/30が好ましく、40/60~60/40がより好ましく、45/55~55/45が更に好ましい。
また、組成物中、エポキシ化合物と全フェノール化合物との合計含有量は、組成物の全固形分に対して、5~90質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~40質量%が更に好ましい。
なお、全固形分とは、熱伝導材料を形成する成分を意図し、溶媒は含まれない。ここでいう、熱伝導材料を形成する成分は、熱伝導材料を形成する際に反応(重合)して化学構造が変化する成分でもよい。また、熱伝導材料を形成する成分であれば、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。
〔硬化促進剤〕
本発明の組成物は、硬化促進剤を含む。
硬化促進剤としては、例えば、トリスオルトトリルホスフィン、トリフェニルホスフィン、三フッ化ホウ素アミン錯体、及び、特開2012-67225号公報の段落0052に記載の化合物が挙げられる。また、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(TPP-K)、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボラート(TPP-MK)、テトラ-n-ブチルホスホニウムラウレート(TBP-LA)、ビス(テトラ-n-ブチルホスホニウム)ピロメリテート、及び、テトラフェニルホスホニウムのビス(ナフタレン-2,3-ジオキシ)フェニルシリケート付加物のような四級ホスホニウム系化合物(ホスホニウム塩)等のオニウム塩系硬化促進剤も挙げられる。
その他にも、2-メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2-ウンデシルイミダゾール(商品名;C11-Z)、2-ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2-ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2-エチル-4-メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2-フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2-フェニル-4-メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール(商品名;2MZ-CN)、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z-CN)、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS-PW)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2MZ-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;C11Z-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2E4MZ-A)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA-OK)、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ-PW)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ-PW)、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール(商品名;2PZ-CN)、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(商品名;2MZA-PW)、及び、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MAOK-PW)などのイミダゾール系硬化促進剤等が挙げられる(いずれも四国化成工業(株)製)。更に、トリアリールホスフィン系の硬化促進剤として特開2004-43405号公報の段落0052に記載の化合物も挙げられる。トリアリールホスフィンにトリフェニルボランが付加したリン系硬化促進剤として、特開2014-5382の段落0024に記載の化合物も挙げられる。
中でも、硬化促進剤は、リン原子を含む化合物を含むことが好ましく、ホスホニウム塩を含むことがより好ましい。硬化促進剤は、リン原子を含む化合物又はホスホニウム塩そのものであってもよい。リン原子を含む化合物又はホスホニウム塩の含有量は、硬化促進剤の全質量に対して、10~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、80~100質量%が更に好ましい。
硬化促進剤は、1種単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。
硬化促進剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.002質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上が更に好ましい。硬化促進剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
硬化促進剤の含有量は、全エポキシ化合物に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.55質量%以上が更に好ましい。硬化促進剤の含有量は、全エポキシ化合物に対して、40質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
〔無機物〕
本発明の組成物は、無機物を含む。
無機物としては、従来から熱伝導材料の無機フィラーに用いられているいずれの無機物を用いてもよい。無機物としては、熱伝導材料の熱伝導性及び絶縁性がより優れる点から、無機窒化物又は無機酸化物を含むのが好ましく、少なくとも無機窒化物を含むのがより好ましい。
無機物の形状は特に制限されず、粒子状であってもよく、フィルム状であってもよく、又は板状であってもよい。粒子状無機物の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、凝集状、及び、不定形状が挙げられる。
無機酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe、FeO、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ニオブ(Nb)、酸化モリブデン(MoO)、酸化インジウム(In、InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、酸化タングステン(WO、W)、酸化鉛(PbO、PbO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO、Ce)、酸化アンチモン(Sb、Sb)、酸化ゲルマニウム(GeO、GeO)、酸化ランタン(La)、及び、酸化ルテニウム(RuO)等が挙げられる。
上記の無機酸化物は、1種のみを使用していてもよいし、2種以上を使用していてもよい。
無機酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、又は酸化亜鉛が好ましく、酸化アルミニウムがより好ましい。
無機酸化物は、非酸化物として用意された金属が、環境下等で酸化して生じている酸化物であってもよい。
無機窒化物としては、例えば、窒化ホウ素(BN)、窒化炭素(C)、窒化ケイ素(Si)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化クロム(CrN)、窒化銅(CuN)、窒化鉄(FeN)、窒化鉄(FeN)、窒化ランタン(LaN)、窒化リチウム(LiN)、窒化マグネシウム(Mg)、窒化モリブデン(MoN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化タングステン(WN)、窒化イットリウム(YN)、及び、窒化ジルコニウム(ZrN)等が挙げられる。
上記の無機窒化物は、1種のみを使用していてもよいし、2種以上を使用していてもよい。
無機窒化物は、アルミニウム原子、ホウ素原子、又は、珪素原子を含むのが好ましく、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、又は、窒化珪素を含むのがより好ましく、窒化アルミニウム又は窒化ホウ素を含むのが更に好ましく、窒化ホウ素を含むのが特に好ましい。
無機物の大きさは特に制限されないが、無機物の分散性がより優れる点で、無機物の平均粒径は500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、200μm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、取り扱い性の点で、10nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
無機物の平均粒径としては、市販品を用いる場合、カタログ値を採用する。カタログ値が無い場合、上記平均粒径の測定方法としては、電子顕微鏡を用いて、100個の無機物を無作為に選択して、それぞれの無機物の粒径(長径)を測定し、それらを算術平均して求める。
無機物は、1種のみを使用していてもよいし、2種以上を使用してもよい。
無機物は、無機窒化物及び無機酸化物の少なくとも一方を含むのが好ましく、無機窒化物を少なくとも含むのがより好ましい。無機窒化物と無機酸化物との両方を含んでもよい。
上記無機窒化物としては、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムの少なくとも一方を含むのが好ましく、窒化ホウ素を少なくとも含むのがより好ましく、平均粒径が20μm以上である凝集状窒化ホウ素を少なくとも含むのが更に好ましい。
無機物中における無機窒化物(好ましくは窒化ホウ素及び/又は窒化アルミニウム)の含有量は、無機物の全質量に対して10~100質量%が好ましく、40~100質量%がより好ましく、80~100質量%が更に好ましい。
上記無機酸化物としては、酸化アルミニウムが好ましい。
熱伝導材料の熱伝導性がより優れる点で、組成物は、平均粒径が20μm以上(好ましくは、30μm以上)の無機物(好ましくは、無機窒化物又は無機酸化物、より好ましくは無機窒化物、更に好ましくは窒化ホウ素、特に好ましくは凝集状窒化ホウ素)を少なくとも含むのが好ましい。
組成物が含む無機物(好ましくは無機窒化物又は無機酸化物、より好ましくは無機窒化物、更に好ましくは窒化ホウ素及び/又は窒化アルミニウム)は、実質的に平均粒径が20μm以上(好ましくは、30μm以上)の無機物のみであるのも好ましい。無機物が、実質的に平均粒径が20μm以上の無機物のみであるとは、無機物の全質量に対して、平均粒径が20μm以上の無機物の含有量が99質量%超であることを言う。
また、無機物は、平均粒径が異なる無機物をそれぞれ有するのも好ましく、例えば、平均粒径が20μm以上の無機物である無機物Xと、平均粒径が20μm未満の無機物である無機物Yとの両方を含むのも好ましい。
上記無機物Xの平均粒径は、20~300μmが好ましく、30~200μmがより好ましい。上記無機物Yの平均粒径は、1nm以上20μm未満が好ましく、10nm以上15μm以下がより好ましい。
無機物Xは、無機窒化物又は無機酸化物が好ましく、無機窒化物がより好ましく、窒化ホウ素が更に好ましく、凝集状窒化ホウ素が特に好ましい。
無機物Yは、無機窒化物又は無機酸化物が好ましく、窒化ホウ素又は酸化アルミニウムがより好ましい。
無機物X及び無機物Yは、それぞれ、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
無機物中、無機物Xの含有量と無機物Yの含有量との質量比(無機物Xの含有量/無機物Yの含有量)は、50/50~99/1が好ましく、60/40~95/5が更に好ましい。
無機物(特に窒化ホウ素)は、表面処理されていてもよい。なお表面処理とは、後述する表面修飾剤を用いた表面修飾とは異なる処理を意図する。
このような処理を行うことで、無機物の表面に官能基が導入され、無機物がフェノール化合物、エポキシ化合物、及び/又は、後述の表面修飾剤等と相互作用しやすくなり、形成される熱伝導材料の熱伝導性及びピール強度などがより改善すると考えられている。
表面処理としては、例えば、プラズマ処理(真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、及び、アクアプラズマ処理等)、紫外線照射処理、コロナ処理、電子線照射処理、オゾン処理、焼成処理、火炎処理、及び、酸化剤処理等が挙げられる。上記酸化剤処理としては、酸性条件で行ってもよいし塩基性条件(pH12以上等)で行ってもよい。
組成物中における無機物の含有量は、組成物の全固形分に対して、10質量%以上であり、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましい。上限は100質量%未満であり、95質量%以下が好ましい。
〔表面修飾剤〕
本発明の組成物は、上述の成分とは異なる成分として、更に表面修飾剤を含んでいてもよい。
表面修飾剤は、上述の無機物を表面修飾する成分である。
本明細書において、「表面修飾」とは無機物の表面の少なくとも一部に有機物が吸着している状態を意味する。吸着の形態は特に限定されず、結合している状態であればよい。すなわち、表面修飾は、有機物の一部が脱離して得られる有機基が無機物表面に結合している状態も含む。結合は、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び、金属結合等、いずれの結合であってもよい。表面修飾は、表面の少なくとも一部に単分子膜を形成するようになされていてもよい。単分子膜は、有機分子の化学吸着によって形成される単層膜であり、Self-AssembledMonoLayer(SAM)として知られている。なお、本明細書において、表面修飾は、無機物の表面の一部のみであっても、全体であってもよい。本明細書において、「表面修飾無機物」は、表面修飾剤により表面修飾されている無機物、すなわち無機物の表面に有機物が吸着している物質を意味する。
つまり、本発明の組成物において、無機物は、表面修飾剤と共同して、表面修飾無機物(好ましくは表面修飾無機窒化物及び/又は表面修飾無機酸化物)を構成していてもよい。
表面修飾剤としては、長鎖アルキル脂肪酸等のカルボン酸、有機ホスホン酸、有機リン酸エステル、有機シラン分子(シランカップリング剤)等従来公知の表面修飾剤を使用できる。その他、例えば、特開2009-502529号公報、特開2001-192500号公報、特許4694929号に記載の表面修飾剤を利用してもよい。
上記シランカップリング剤は、例えば、Si原子に直接結合した加水分解性基を有する化合物である。
上記加水分解性基としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~10)、及び、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
シランカップリング剤が有する、Si原子に直接結合した加水分解性基の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更により好ましい。上記数に上限はなく、例えば、10000である。
シランカップリング剤は、反応性基を有することも好ましい。
上記反応性基の具体例としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)クリル基、スチリル基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、及び、酸無水物基が挙げられる。
シランカップリング剤が有する、反応性基の数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更により好ましい。上記数に上限はなく、例えば、10000である。
シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトトリエトキシシラン、及び、3-ウレイドプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
表面修飾剤は、1種単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。
組成物が表面修飾剤を含む場合、表面修飾剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.005~5質量%が好ましく、0.05~3質量%がより好ましい。
組成物が表面修飾剤を含む場合、表面修飾剤の含有量は、全無機物に対して、0.01~10質量%が好ましく、0.10~5質量%がより好ましい。
〔イオン補足剤〕
本発明の組成物は、イオン補足剤を含んでいてもよい。
イオン補足剤は、組成物中又は組成物を用いて形成される熱伝導材料中においてイオン性の不純物を吸着する。これにより、組成物中又熱伝導材料が吸湿した場合でも、熱伝導材料の絶縁信頼性を良好に維持できる。
イオン捕捉剤としては、特に制限されず公知のものを使用できる。イオン捕捉剤としては、例えば、イオン交換により陽イオンを捕捉する陽イオン吸着剤、イオン交換により陰イオンを捕捉する陰イオン吸着剤、及び、イオン交換により陽イオンと陰イオンの両方を捕捉する両イオン補足剤などの無機イオン吸着剤;トリアジンチオール化合物;トリアジンアミン化合物;並びに、ビスフェノール系還元剤が挙げられる。
無機イオン吸着剤としては、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、チタン、スズ、マグネシウム、及び、アルミニウムからなる群から選択される1種又は2種以上の、酸化物、酸化水和物、及び、水酸化物が挙げられる。
中でも、ビスマス、ジルコニウム、マグネシウム、及び、アルミニウムからなる群から選択される2種以上の、酸化物、酸化水和物、又は、水酸化物が好ましく、マグネシウム、アルミニウム、及び、ジルコニウムの3成分系酸化物、ビスマス及びジルコニウムの2成分系酸化水和物、並びに、マグネシウム及びアルミニウムを含む水酸化物であるハイドロタルサイトがより好ましく、ハイドロタルサイトが更に好ましい。
トリアジンチオール化合物としては、例えば、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンが挙げられる。
ビスフェノール系還元剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、及び、4,4’-ブチリデンビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)が挙げられる。
イオン補足剤は市販品を用いてもよく、例えば、DHF-4A、DHT-4A、DHT-4A-2、DHT-4C、キョーワード500、KW-2000、及び、KW-2100(商品名、協和化学社製);IXE-100、IXE-500、IXE-600、IXE-700F、IXE-800、IXE-6107、IXEPLAS-A1、IXEPLAS-A2、及び、IXEPLAS-B1(商品名、東亞合成社製);ジスネットDB(商品名、三協製薬社製);VD-3、及び、VD-5(商品名、四国化成社製);並びに、ヨシノックスBB(商品名、吉富製薬社製)が挙げられる。
組成物がイオン補足剤を含む場合、イオン補足剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、例えば、0.01~10質量%である。
イオン補足剤は、1種単独で使用してもよく2種以上使用してもよい。
〔溶媒〕
組成物は、更に、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒の種類は特に制限されず、有機溶媒であるのが好ましい。有機溶媒としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジクロロメタン、及び、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有量は、組成物の固形分濃度を、20~90質量%とする量が好ましく、30~80質量%とする量がより好ましく、50~80質量%とする量が更に好ましい。
溶媒の含有量は、組成物の全質量に対して、5~80質量%が好ましく、15~70質量%がより好ましく、20~50質量%が更に好ましい。
〔発熱ピーク〕
本発明の組成物は、組成物を用いて形成される半硬化シートを示差走査熱量計で測定した場合に、発熱ピークが検出される温度(発熱ピーク温度)が、130℃以上になることが好ましく、140℃以上になることがより好ましく、150℃以上になることが更に好ましい。上記温度の上限は特に制限されないが、例えば、240℃以下が好ましい。
上記発熱ピークの測定に用いられる半硬化シートとは、組成物によって形成された半硬化状態の膜(半硬化膜)である。上記半硬化シートは、組成物を、いわゆるBステージ状態にして得られるシートである。
上記半硬化シートは具体的には以下のように定義される。
ずなわち、まず、未硬化の組成物をDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツル社製のDSC320/6200等)を用いて、25℃から240℃まで、10℃/分の昇温条件の下で反応挙動を観測する。これを測定1とする。なお、測定対象の組成物が溶媒を含む場合は、事前に、減圧下で組成物中の溶媒を除去してから測定1を実施する。
次に、同じ組成物から形成されたシートであって、半硬化シートであるか否かの判断対象となるシート(判断対象シート)を、DSCで同様に25℃から240℃まで、10℃/分の昇温条件の下で反応挙動を観測する。これを測定2とする。
その後、測定1で検出された発熱ピークの全面積を100%として、測定2で検出された発熱ピークの全面積の割合をN%として求める。(100-N)%を判断対象シートの反応率として、上記反応率が1%以上50%以下である場合、測定2に用いられた判断対象シートは半硬化シートであると判断する。
半硬化シートの形成する方法については、後段で組成物の硬化方法を詳述する中で説明する。
また、半硬化シートに発熱ピークが複数存在する場合、もっとも低温側に存在する実質的な発熱ピークにおける発熱ピーク温度を、半硬化シートの発熱ピーク温度とする。
上記「実質的な発熱ピーク」とは、25℃から240℃までの間に存在する半硬化シートの発熱ピークの全面積(100%)に対して、10%以上の面積を占める発熱ピークを意味する。
本発明の組成物は、組成物を用いて形成される未硬化のシートをDSCで測定した場合に検出される、発熱ピークがブロードであることも好ましい。
上記未硬化のシートとは、例えば、組成物が溶媒を含む場合において、溶媒を除去して得られるシートであり、いわゆるAステージ状態のシート(膜)である。
また、発熱ピークがブロードであるとは、発熱ピークの半値幅が大きいこと、及び/又は、発熱ピークの温度と反応開始温度の差が大きいことをいう。
組成物がこのような特徴を有していると、組成物の硬化及び組成物を用いた接着が、幅広い温度域で可能となり、様々な効果条件を適用可能になる点で好ましい。
〔組成物の製造方法〕
組成物の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、上述した各種成分を混合して製造できる。混合する際には、各種成分を一括で混合しても、順次混合してもよい。
成分を混合する方法に特に制限はなく、公知の方法を使用できる。混合に使用する混合装置は、液中分散機が好ましく、例えば、自転公転ミキサー、高速回転せん断型撹拌機等の撹拌機、コロイドミル、ロールミル、高圧噴射式分散機、超音波分散機、ビーズミル、及び、ホモジナイザーが挙げられる。混合装置は1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。混合の前後に、及び/又は、同時に、脱気処理を行ってもよい。
〔組成物の硬化方法〕
本発明の組成物は熱伝導材料形成用組成物であるのが好ましい。
本発明の組成物を硬化処理して熱伝導材料が得られる。
組成物の硬化方法は、特に制限されないが、熱硬化反応が好ましい。
熱硬化反応の際の加熱温度は特に制限されない。例えば、50~250℃の範囲で適宜選択すればよい。また、熱硬化反応を行う際には、温度の異なる加熱処理を複数回にわたって実施してもよい。
硬化処理は、フィルム状又はシート状とした組成物について行うのが好ましい。具体的には、例えば、組成物を塗布成膜し硬化反応を行えばよい。
硬化処理を行う際は、基材上に組成物を塗布して塗膜を形成してから硬化させるのが好ましい。この際、基材上に形成した塗膜に、更に異なる基材を接触させてから硬化処理を行ってもよい。硬化後に得られた硬化物(熱伝導材料)は、基材の一方又は両方と分離してもよいし分離しなくてもよい。
また、硬化処理を行う際に、別々の基材上に組成物を塗布して、それぞれ塗膜を形成し、得られた塗膜同士を接触させた状態で硬化処理を行ってもよい。硬化後に得られた硬化物(熱伝導材料)は、基材の一方又は両方と分離してもよいし分離しなくてもよい。
硬化処理は、組成物を半硬化状態にした時点で終了してもよい。また、組成物を半硬化状態にした後、更に硬化処理を実施して、硬化を完全にしてもよい。
組成物を半硬化状態にするための硬化処理(「半硬化処理」ともいう)と、硬化を完全にするための硬化処理(「本硬化処理」ともいう)とを、別々の工程に分けて行ってもよい。
例えば、半硬化処理では、基材上に組成物を塗布して塗膜を形成した後、そのまま無加圧で基材上の塗膜を加熱等して半硬化状態の熱伝導材料(「半硬化膜」又は「半硬化シート」ともいう)としてもよいし、プレス加工を併用しながら基材上の塗膜を加熱等して半硬化膜としてもよい。プレス加工をする場合、プレス加工は、上記加熱等の、前後に実施されてもよいし、最中に実施されてもよい。半硬化処理においてプレス加工を実施すると、得られる半硬化膜の膜厚の調整、及び/又は、半硬化膜中のボイド量の低減をしやすい場合がある。
半硬化処理において、別々の基材上に形成した塗膜同士を積層させた状態で半硬化処理を行ってもよいし、塗膜同士を積層させずに半硬化処理を行ってもよい。半硬化処理は、組成物から形成された塗膜と、更に、上記塗膜以外の材料とを接触させた状態で実施してもよい。
得られた、半硬化膜を、そのまま熱伝導材料として使用してもよいし、半硬化膜に更に本硬化処理を施してから完全に硬化した熱伝導材料として使用してもよい。
本硬化処理においては、半硬化膜を、そのまま無加圧で加熱等してもよいし、プレス加工を行ってから、又は、行いながら加熱等してもよい。この際、本硬化処理において、別々の半硬化膜同士を積層させた状態で本硬化処理を行ってもよいし、半硬化膜同士を積層させずに本硬化処理を行ってもよい。
また、本硬化処理は、半硬化膜を、使用されるデバイス等に接触するように配置した状態で実施してもよい。本硬化処理によって、デバイスと本発明の熱伝導材料とが接着するのも好ましい。
半硬化処理及び/又は本硬化処理等における硬化処理の際に実施してもよいプレス加工に使用するプレスに制限はなく、例えば、平板プレスを使用してもよいしロールプレスを使用してもよい。
ロールプレスを使用する場合は、例えば、基材上に塗膜を形成して得た塗膜付き基材を、2本のロールが対向する1対のロールに挟持し、上記1対のロールを回転させて上記塗膜付き基材を通過させながら、上記塗膜付き基材の膜厚方向に圧力を付加するのが好ましい。上記塗膜付き基材は、塗膜の片面にのみ基材が存在していてもよいし、塗膜の両面に基材が存在していてもよい。上記塗膜付き基材は、ロールプレスに1回だけ通過させてもよいし複数回通過させてもよい。
半硬化処理及び/又は本硬化処理等における硬化処理の際に、平板プレスによる処理とロールプレスによる処理とは一方のみを実施してもよいし両方を実施してもよい。
硬化反応を含む熱伝導材料の作製については、「高熱伝導性コンポジット材料」(シーエムシー出版、竹澤由高著)も参照できる。
熱伝導材料の形状に特に制限はなく、用途に応じて様々な形状に成形できる。成形された熱伝導材料の典型的な形状としては、例えば、シート状が挙げられる。
つまり、本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料は、熱伝導シートであるのも好ましい。
また、本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料の熱伝導性は異方的ではなく等方的であるのが好ましい。
熱伝導材料は、絶縁性(電気絶縁性)であるのが好ましい。言い換えると、本発明の組成物は、熱伝導性絶縁組成物であるのが好ましい。
例えば、熱伝導材料の23℃相対湿度65%における体積抵抗率は、1010Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましく、1014Ω・cm以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、通常1018Ω・cm以下である。
〔熱伝導材料の用途〕
本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料は放熱シート等の放熱材として使用でき、各種デバイスの放熱用途に使用できる。より具体的には、デバイス上に本発明の熱伝導材料を含む熱伝導層を配置して熱伝導層付きデバイスを作製して、デバイスからの発熱を効率的に熱伝導層で放熱できる。上記熱伝導層は、後述する熱伝導性多層シート含む熱伝導層であってもよい。
本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料は十分な熱伝導性を有するとともに、高い耐熱性を有しているため、パーソナルコンピュータ、一般家電、及び、自動車等の様々な電気機器に用いられているパワー半導体デバイスの放熱用途に適している。
更に、本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料は、半硬化状態であっても十分な熱伝導性を有するため、各種装置の部材の隙間等の、光硬化のための光を到達させるのが困難な部位に配置する放熱材としても使用できる。また、接着性にも優れるため、熱伝導性を有する接着剤としての使用も可能である。
本発明の組成物を用いて得られる熱伝導材料は、本組成物から形成される部材以外の、他の部材と組み合わせて使用されてもよい。
例えば、シート状の熱伝導材料(熱伝導シート)は、本組成物から形成された層の他の、シート状の支持体と組み合わせられていてもよい。
シート状の支持体としては、例えば、プラスチックフィルム、金属フィルム、又は、ガラス板が挙げられる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロース誘導体、及び、シリコーンが挙げられる。金属フィルムとしては、例えば、銅フィルムが挙げられる。
シート状の熱伝導材料(熱伝導シート)の膜厚は、100~300μmが好ましく、150~250μmがより好ましい。
また、熱伝導材料(好ましくは熱伝導シート)に対して、接着剤層及び/又は粘着剤層を組み合わせてもよい。
このような接着剤層及び/又は粘着剤層を介して、熱伝導材料をデバイスのような熱を移動させるべき対象物と接合することで、熱伝導材料と対象物との、より強固な接合を実現できる。
例えば、熱伝導性多層シートとして、熱伝導シートと、上記熱伝導シートの片面又は両面に設けられた、接着剤層又は粘着剤層と、を有する、熱伝導性多層シートを作製してもよい。
なお、上記熱伝導シートの片面又は両面には、それぞれ接着剤層及び粘着剤層の一方が設けられていてもよく、両方が設けられていてもよい。上記熱伝導シートの一面に接着剤層が設けられていて、他の面に粘着剤層が設けられていてもよい。また、上記熱伝導シートの片面又は両面には、接着剤層及び/又は粘着剤層が部分的に設けられていてもよく、全面的に設けられていてもよい。
なお、上述の通り、本発明において熱伝導シート等の熱伝導材料は半硬化状態(半硬化膜)であってもよく、熱伝導性多層シートにおける熱伝導シートが半硬化状態であってもよい。熱伝導性多層シートにおける接着剤層は硬化していてもよく半硬化状態であってもよく未硬化状態であってもよい。
[化合物]
本発明は化合物にも関する。
本発明の化合物は、本発明の組成物を作製するのに適した化合物である。
本発明の化合物の一形態は、上述の一般式(Z)で表される化合物であり、その内容は上述の通りである。
また本発明の化合物の別の一形態は、上述の一般式(Z1)で表される化合物であり、その内容は上述の通りである。
また本発明の化合物の別の一形態は、上述の一般式(Z2)で表される化合物であり、その内容は上述の通りである。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
[組成物の調製及び評価]
〔各種成分〕
以下に、実施例及び比較例で使用した各種成分を示す。
<フェノール化合物>
以下に、実施例及び比較例で使用したフェノール化合物を示す。
なお、化合物A-1~A-9が特定フェノール化合物である。X-1~X-4は、特定フェノール化合物以外のフェノール化合物である。
・X-4:国際公開第2017/14513の段落[0215]~[0219]に記載の方法に基づいて合成された、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂
(A-2の合成方法)
フェノール化合物であるA-2は、下記スキームに従って合成した。
塩化シアヌル(74.7g,0.41mol)と2-ブタノン(400ml)を混合した混合液を氷冷したところに、5-アミノ-o-クレゾール(154.6g,1.26mol)を少量ずつ添加した。その後、上記混合液に、酢酸ナトリウム三水和物(110.2g,0.81mol)を水(165ml)に溶解させた水溶液を添加した。上記混合液を80℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却し、上記混合液に炭酸ナトリウム(103g,0.97mol)を水(596ml)に溶解させた水溶液を滴下して30分間攪拌した。上記混合液を静置して水相を除去した後、有機相をセライトろ過して、150mlのエタノールを添加した。得られた有機相に、攪拌しながら水(1.91L)を滴下し、2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、乾燥することで、A-2を得た。
(A-3の合成方法)
上述のA-2の合成方法で使用した5-アミノ-o-クレゾールを4-アミノ-2,6ジメチルフェノールに変更した以外は、A-2の合成方法と同様の手法で、フェノール化合物であるA-3を合成した。
(A-4の合成方法)
フェノール化合物であるA-4は、下記スキームに従って合成した。
塩化シアヌル(87.6g,0.475mol)と2-ブタノン(620ml)を混合した混合液を氷冷したところに、5-アミノ-o-クレゾール(117g,0.95mol)を少量ずつ添加した。その後、上記混合液に、酢酸ナトリウム三水和物(135.8g,0.998mol)を水(193ml)に溶解させた水溶液を添加した。上記混合液を45℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却し、上記混合液に炭酸ナトリウム(80.6g,0.76mol)を水(700ml)に溶解させた水溶液を滴下して30分間攪拌した。上記混合液を静置して水相を除去した後、有機相をセライトろ過して、210mlのエタノールを添加した。得られた有機相に、攪拌しながら水(1.75L)を滴下し、2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、乾燥することで、A-4の中間体を得た。
A-4の中間体(125.5g,0.35mol)と2-ブタノン(410ml)を混合した混合液に、m-トリジン(37.3g,0.175mol)を添加した。上記混合液に、水(170ml)を添加し、80℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却した。上記混合液に、炭酸ナトリウム(29.8g,0.28mol)を水(620ml)に溶解させた水溶液を滴下して30分間攪拌した。上記混合液を静置して水相を除去した後、有機相をセライト濾過した。得られた有機相をエバポレーターで溶媒留去し、2-プロパノール(195ml)に溶解させた。得られた溶液を水(2.25L)に滴下し、2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、乾燥することでA-4を得た。
(A-5の合成方法)
上述のA-4の合成方法で使用したm-トリジンをm-フェニレンジアミンに変更した以外は、A-4の合成方法と同様の手法で、フェノール化合物であるA-5を合成した。
(A-8の合成方法)
フェノール化合物であるA-8は、下記スキームに従って合成した。
塩化シアヌル(15.5g,0.083mol)と2-ブタノン(75ml)を混合した混合液を氷冷したところに、5-アミノ-o-クレゾール(20.7g,0.168mol)を少量ずつ添加した。その後、上記混合液に、酢酸ナトリウム三水和物(22.8g,0.168mol)を水(32ml)に溶解させた水溶液を添加した。上記混合液を40℃で2時間攪拌した後、m-アミノフェノール(10.1g,0.092mol)を添加し、80℃で2時間攪拌した。上記混合液を室温まで冷却し、上記混合液に炭酸ナトリウム(21.3g,0.20mol)を水(134ml)に溶解させた水溶液を滴下して30分間攪拌した。上記混合液を静置して水相を除去した後、有機相をセライトろ過して、34mlのエタノールを添加した。得られた有機相に、攪拌しながら水(435ml)を滴下し、2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取し、乾燥することで、A-8を得た。
(A-9の合成方法)
フェノール化合物であるA-9は、下記スキームに従って合成した。
上述のA-8の合成方法で使用した5-アミノ-o-クレゾールとm-アミノフェノールの使用順序を入れ替えた以外は、A-8の合成方法と同様の手法で、フェノール化合物であるA-9を合成した。
<エポキシ化合物>
以下に、実施例及び比較例で使用したエポキシ化合物を示す。
B-8、B-9、及び、B-11は、いずれも数平均分子量300以上の化合物である。
なお、B-5、B-6、及び、B-7は、液晶性を示すエポキシ化合物である。
<無機物>
以下に、実施例及び比較例で使用した無機物を示す。
・HP-40:凝集状窒化ホウ素、平均粒径:40μm、水島合金鉄社製
・SGPS:凝集状窒化ホウ素、平均粒径12μm、デンカ社製
・SP-3:鱗片状窒化ホウ素、平均粒径:4μm、デンカ社製
・AA-3:酸化アルミニウム、平均粒径:3μm、住友化学社製
・AA-04:酸化アルミニウム、平均粒径:0.4μm、住友化学社製
<硬化促進剤>
・C-1:トリスオルトトリルホスフィン
・C-2:トリフェニルホスフィン
・C-3:2PHZ-PW(2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール)
・C-4:TPP-MK(テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボラート)
・C-5:TBP-LA(テトラ-n-ブチルホスホニウムラウレート)
・C-6:ビス(テトラ-n-ブチルホスホニウム)ピロメリテート
<溶媒>
溶媒として、シクロペンタノンを使用した。
<表面修飾剤>
表面修飾剤として、KBM-573(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製)を使用した。
〔組成物の調製〕
下記表1に示す組み合わせのエポキシ化合物とフェノール化合物とを、当量(エポキシ化合物のエポキシ基の数と、フェノール化合物の水酸基の数とが等しくなる量)で配合した混合体を調製した。
上記混合体、溶媒、所望に応じて使用する表面修飾剤、及び、硬化促進剤の順で混合した後、無機物を添加した。得られた混合物を自転公転ミキサー(THINKY社製、あわとり練太郎ARE-310)で5分間処理して、各実施例又は比較例の組成物(硬化性組成物)を得た。
ここで、溶媒の添加量は、組成物の固形分濃度が50~80質量%になる量とした。
なお、組成物の固形分濃度は、組成物の粘度がそれぞれ同程度になるように、上記範囲内で組成物ごとに調整した。
組成物中、エポキシ化合物とフェノール化合物との合計含有量(上記混合体の含有量)は、組成物の全固形分に対して、表1中の「合計量(質量%)」欄に示す量になるようにした。
組成物中、硬化促進剤、表面修飾剤、無機窒化物、無機酸化物の量は、それぞれ、組成物の全固形分に対して、表1中の「(質量%)」として示す量になるようにした。
[評価]
〔熱伝導率の評価〕
<半硬化シート(半硬化膜)の作製>
マイクロメーター付きアプリケーターを用いて、離型処理したPETフィルム(PET756501リンテック社製、膜厚75μm)の離型面上に、調製した組成物を均一に塗布し、120℃で4分間乾燥して半硬化シート(半硬化膜)を作製した。
上記半硬化シートについて、明細書中に記載の方法で反応率を確認したところ、いずれの組成物を用いて作製した半硬化シートの反応率も、1%以上50%以下であることが確認された。
<熱伝導シートの作製>
得られた半硬化シートに離型処理したPETフィルムを被せ、空気下で熱プレス(熱板温度180℃、圧力20MPaで5分間処理)した。その後、常圧下で180℃で90分加熱処理して樹脂シートを得た。樹脂シートの両面にあるPETフィルムを剥がし、平均膜厚120μmの熱伝導性シート(熱伝導材料)を得た。
<評価方法>
得られた熱伝導シートについて、以下の方法で熱伝導率を測定した。
(1)NETZSCH社製の「LFA467」を用いて、レーザーフラッシュ法で熱伝導性シートの厚み方向の熱拡散率を測定した。
(2)メトラー・トレド社製の天秤「XS204」を用いて、熱伝導性シートの比重をアルキメデス法(「固体比重測定キット」使用)で測定した。
(3)セイコーインスツル社製の「DSC320/6200」を用い、10℃/分の昇温条件の下、25℃における熱伝導性シートの比熱を求めた。
(4)得られた熱拡散率に比重及び比熱を乗じて、熱伝導性シートの熱伝導率を算出した。
測定された熱伝導率を下記基準に照らして区分し、熱伝導性を評価した。
A:15W/m・K以上
B:13W/m・K以上15W/m・K未満
C:13W/m・K未満
〔発熱ピーク温度の測定〕
上記熱伝導率の評価において示したのと同様にして半硬化シートを作製した。
セイコーインスツル社製の「DSC320/6200」を用いて、得られた半硬化シートの10℃/分の昇温条件の下で反応挙動を測定し、明細書中に記載の方法で、発熱ピーク温度を測定した。
測定された、発熱ピーク温度を、下記基準に照らして区分し、を評価した。
なお、いずれの組成物でも、発熱ピーク温度は220℃以下に存在した。
A:150℃以上
B:140℃以上150℃未満
C:130℃以上140℃未満
D:130℃未満
〔絶縁破壊電圧(耐電圧)の評価〕
上記熱伝導率の評価において示したのと同様にして作製した熱伝導性シートの、23℃相対湿度65%における絶縁破壊電圧(耐電圧)を、耐電圧試験機(菊水電子工業(株)製)を用いて測定した。
測定された絶縁破壊電圧(耐電圧)を熱伝導性シートの膜厚が200μmである場合の絶縁破壊電圧(耐電圧)に換算した。換算された絶縁破壊電圧(耐電圧)を、下記基準に照らして区分し、を評価した。
A:10kV以上
B:8kV以上10kV未満
C:8kV未満
〔ピール強度の評価〕
上記熱伝導率の評価において示したのと同様にして半硬化シート(PETフィルム付き半硬化シート)を作製した。
PETフィルム付き半硬化シートからポリエステルフィルムを剥がし、得られた半硬化シートを20mm×60mmの短冊状に切り出し、被着体である電解銅箔(20mm×100mm、厚み:35μm)とアルミニウム板(30mm×60mm、厚み:1mm)の間に挟んだ。得られた積層体を、空気下で熱プレス処理(熱板温度180℃、圧力20MPaで5分間処理した後、熱板温度180℃、常圧下で90分間処理)することにより、熱伝導シートと被着体とが一体化した銅箔付きアルミベース基板を得た。
得られたサンプルの銅箔ピール強度を、デジタルフォースゲージ(ZTS-200N、株式会社イマダ製)と90度剥離試験治具(P90-200N-BB、株式会社イマダ製)を用いて、JIS C 6481に記載の常態での引きはがし強さの測定方法に従って測定した。ピール強度試験における銅箔の剥離は、銅箔付きアルミベース基板に対して90°の角度で、50mm/分の剥離速度で実施した。
測定された引きはがし強さ(ピール強度)を下記基準に照らして区分し、評価した。
A:5N/cm以上
B:4N/cm以上5N/cm未満
C:4N/cm未満
〔ハンドリング性(経時保存性)の評価〕
上記熱伝導率の評価において示したのと同様にして半硬化シートを作製し、その後1日(24時間)、室温(25℃)で静置した。
静置後の半硬化シートを、5cm×10cmの短冊状に切り出し、折り曲げ試験用のサンプルを作製した。得られたサンプルについて、円筒形マンドレル試験機(コーテック株式会社製)を用いて、JIS K 5600-5-1に記載の方法に従って、折り曲げ試験を行った。それぞれの直径が32mm、25mm、及び、20mmである円筒形マンドレルを使用し、サンプルが破断又は破損したときの折り曲げ試験に使用したマンドレルの直径から、下記の評価基準に基づいて作製1日後の半硬化シートのハンドリング性を評価した。
サンプルが破断したときに使用したマンドレルの直径が短いほど、半硬化シートの経時保存性がより優れる。
なお、作製直後の半硬化シートで折り曲げ試験をした場合は、いずれの半硬化シートも直径25mmのマンドレルを使用しても破損しなかった。
破断時のマンドレルの直径を下記基準に照らして区分し、ハンドリング性(経時保存性)を評価した。
A:20mmで破損がない
B:25mmで破損せず、20mmで破損
C:25mmで破損
[結果]
以下、表1を示す。
なお、一つのマス内に二種以上の同種成分が比の値ともに記載されている場合、それらの同種成分を記載された比(質量比)で使用されていることを示す。例えば、実施例77は、エポキシ化合物であるB-3/B-9を、50/50(質量比)で含んでいる。
表に示す結果より、本発明の組成物を使用すれば本発明の効果を実現できることが確認された。
また、フェノール化合物として、要件1を満たすフェノール化合物として一般式(Y)におけるmyが1であるフェノール化合物を使用するか、又は、要件2を満たすフェノール化合物を使用する場合、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び/又はピール強度がより優れることが確認された(エポキシ化合物としてB-2を使用する実施例の結果の比較等を参照)。
エポキシ化合物として、液晶性を示すエポキシ化合物、又は、一般式(DN)で表されるエポキシ化合物を使用する場合、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び/又はピール強度がより優れることが確認された(エポキシ化合物としてB-4、B-6、B-7、又は、B-8を使用する実施例の結果等を参照)。
柔軟な構造であるか成形性に優れるエポキシ化合物として、ビスフェノールF型エポキシ化合物、一般式(E1)で表されるエポキシ化合物、又は、ジグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物を使用する場合、組成物から形成される半硬化シートの保存安定性がより優れることが確認された(エポキシ化合物としてB-3、B-10、B-13、B-14、又は、B-15を使用する実施例の結果等を参照)。
エポキシ化合物が芳香環基を有する場合、熱伝導材料の熱伝導性がより優れることが確認された(フェノール化合物としてA-3を使用する実施例同士を比較すると、芳香環基を有するエポキシ化合物を使用している場合は、いずれも熱伝導性がA評価である)。
また、ビスフェノールF型エポキシ化合物とフェノキシ樹脂とを使用する場合、ビスフェノールF型エポキシ化合物とフェノールノボラック型エポキシ化合物とを使用する場合、ポリヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物とフェノールノボラック型エポキシ化合物とを使用する場合、本発明の効果をよりバランスよく実現できることが確認された(実施例77~80の結果等を参照)。
フェノール化合物として、一般式(Z2)で表される化合物を使用した場合、組成物から形成される半硬化シートの保存安定性がより優れ、熱伝導性等の成績もより良好になることが確認された(フェノール化合物としてA-8又はA-9を使用する実施例の結果等を参照)。
これは、要件2を満たすフェノール化合物が、「フェノール性水酸基とフェノール性水酸基のオルト位に配置された置換基とを有する芳香環基」と、それ以外の「フェノール性水酸基を有する芳香環基」との両方を有することによって、化合物の対称性が崩れて融点が低下し、その結果、硬化時における良好な熱伝導性等を維持しながら半硬化時における柔軟性が導入されたためと考えられる。
硬化促進剤の含有量が、組成物の全固形分に対して0.07質量%以上である場合、得られる熱伝導材料の熱伝導性及び/又は耐電圧がより優れることが確認された(実施例97と103の結果の比較等を参照)。これは、硬化促進剤の含有量が十分に存在することで、硬化反応の反応率が良好になったためと考えられる。
硬化促進剤の含有量が、組成物の全固形分に対して2質量%以下である場合、本発明の効果がより優れることが確認された(実施例111と112の結果の比較等を参照)。これは、硬化促進剤の含有量が一定量以下であることで、硬化促進剤自体が不純物として熱伝導材料の諸性能を阻害する要因になることを回避できたためと考えられる。

Claims (14)

  1. フェノール化合物、エポキシ化合物、硬化促進剤、及び、無機物を含む、硬化性組成物であって、
    前記フェノール化合物が、要件1及び要件2の少なくとも一方を満たし、
    前記無機物の含有量が、全固形分に対して、10質量%超である、硬化性組成物。
    要件1:一般式(Y)で表される化合物である。
    要件2:一般式(Z)で表されるフェノール化合物である。
    一般式(Y)中、myは0又は1を表す。
    Y1及びRY2は、それぞれ独立に、一般式(P0)で表される基を表す。
    Y1及びLY2は、それぞれ独立に、-C(RY5)(RY6)-、又は、-CO-を表す。
    Y3~RY6は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    一般式(P0)中、RP1~RP5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    ただし、RP2~RP4のうちの1つは結合位置であり、RP1及びRP5の一方は炭素数1~6のアルキル基であり、かつ、RP1及びRP5の他方は水素原子である。
    一般式(Z)中、rは0以上の整数を表す。
    k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
    ただし、k、l、r×m、及び、nの合計は2以上である。
    Lは、2価の有機基を表す。
    ~Eは、それぞれ独立に、-NH-、又は、-NR-を表す。Rは、置換基を表す。
    は、単結合又はk+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はl+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はm+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はn+1価の有機基を表す。
    ~Xは、それぞれ独立に、フェノール性水酸基を有する芳香環基を表す。
    ただし、k個存在するX、l個存在するX、r×m個存在するX、及び、n個存在するXのうちの少なくとも1個は、フェノール性水酸基と前記フェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6のアルキル基とを有する芳香環基を表す。
  2. 前記硬化性組成物を用いて形成される半硬化シートを示差走査熱量計で測定した場合に、発熱ピークが検出される温度が、140℃以上となる、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記エポキシ化合物の分子量が、300以上である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記無機物が、平均粒径が20μm以上である凝集状窒化ホウ素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記フェノール化合物が、一般式(Z1)で表される化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    一般式(Z1)中、rは0以上の整数を表す。
    Lは、2価の有機基を表す。
    は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    ただし、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    また、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は水素原子を表す。
  6. 前記フェノール化合物が、一般式(Z2)で表される化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    一般式(Z2)中、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    ただし、一般式(Z2)中に2個存在するRの少なくとも一方は炭素数1~6のアルキル基を表す。
  7. 前記硬化促進剤が、リン原子を含む化合物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記硬化促進剤が、ホスホニウム塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、熱伝導材料。
  10. 請求項9に記載の熱伝導材料からなる、熱伝導シート。
  11. デバイスと、前記デバイス上に配置された請求項10に記載の熱伝導シートを含む熱伝導層とを有する、熱伝導層付きデバイス。
  12. 一般式(Z)で表される、化合物。
    一般式(Z)中、rは0以上の整数を表す。
    k、l、m、及び、nは、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
    ただし、k、l、r×m、及び、nの合計は2以上である。
    Lは、2価の有機基を表す。
    ~Eは、それぞれ独立に、-NH-、又は、-NR-を表す。Rは、置換基を表す。
    は、単結合又はk+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はl+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はm+1価の有機基を表す。
    は、単結合又はn+1価の有機基を表す。
    、X 及びX は、それぞれ独立に、下記一般式(P0)で表される基を表す。
    は、フェノール性水酸基を有する芳香環基を表す。
    ただし、k個存在するX、l個存在するX、r×m個存在するX、及び、n個存在するXのうちの少なくとも1個は、フェノール性水酸基と前記フェノール性水酸基のオルト位に配置された炭素数1~6のアルキル基とを有する芳香環基を表す。
    一般式(P0)中、R P1 ~R P5 は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。
    ただし、R P1 ~R P5 のうちの1つは結合位置であり、かつ、R P1 及びR P5 において、一方が炭素数1~6の置換基であり、他の一方は水素原子である。
  13. 一般式(Z1)で表される、請求項12に記載の化合物。
    一般式(Z1)中、rは0以上の整数を表す。
    Lは、2価の有機基を表す。
    は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    ただし、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    また、一般式(Z1)中に(3+r)個存在するRの少なくとも1個は水素原子を表す。
  14. 一般式(Z2)で表される、請求項12又は13に記載の化合物。
    一般式(Z2)中、Rは、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
    ただし、一般式(Z2)中に2個存在するRの少なくとも一方は炭素数1~6のアルキル基を表す。
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