JP7439997B1 - 長繊維不織布およびその製造方法ならびに衛生材料 - Google Patents

長繊維不織布およびその製造方法ならびに衛生材料 Download PDF

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Abstract

ポリエステル系樹脂である第1成分と、ポリオレフィン系樹脂である第2成分と、からなる複合繊維によって構成されてなる長繊維不織布であって、前記複合繊維が捲縮されてなり、前記長繊維不織布の一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と、前記長繊維不織布の他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数とがともに20個/mm2以上60個/mm2以下であって、前記長繊維不織布の繊維密度が0.010g/cm3以上0.050g/cm3以下である長繊維不織布。本発明の長繊維不織布は、衛生材料の肌に触れる面に使用する衛材用不織布として用いるのに優れたクッション性を有し、かつ、表裏面とも柔軟性に優れる長繊維不織布を提供する。

Description

本発明はクッション性と柔軟性に優れ、衛生材料用途に好適な長繊維不織布およびその製造方法ならびに衛生材料に関するものである。
使い捨ておむつや生理用ナプキン、マスク等の衛生材料の世界的な普及に伴い、近年においては、使用する部材の性能や品質への要求が高くなってきている。特に、おむつトップシートなどの使用者の肌に直接触れる部材には、着用時の快適性を向上させるために柔軟性や、嵩高性を有しながらも圧縮でつぶれにくい、すなわちクッション性が求められている。
従来、このような部位には、短繊維をカーディングによりシート化した後、熱風処理により自己融着した、いわゆるエアスルー不織布が好適に使用されている。エアスルー不織布は、柔軟性・クッション性に優れるため、ソフト感が優れるという特徴を有しており、幅広く採用されているが、短繊維同士が交点で熱接着された構造であることから不織布の力学特性が比較的低く、低目付化や高速生産が困難であった。
一方、スパンボンド法などによって製造される長繊維不織布では、繊維が連続しているため、接着点を介して多くの繊維が不織布の強度に関与できることから、強度向上が見込めるものの、嵩高性が不十分であった。
この課題に対し、特許文献1では、融解温度が30℃以上異なる2種のポリマーからなる長繊維で構成され、繊維密度が特定の範囲にあるスパンボンド不織布が提案されている。
また、特許文献2や特許文献3では、第1成分としてポリプロピレン系樹脂、及び第2成分としてポリエチレン系樹脂を含む複合長繊維不織布であって、不織布内の繊維の接着点および接着点間の距離を特定の範囲に制御した、複合長繊維不織布が提案されている。
国際公開第2021/010357号 特開2019-85661号公報 特開2016-041858号公報
特許文献1の技術では、特定のポリマー組合せの長繊維からなる不織繊維ウェブを熱風により接着させることにより、不織布の嵩高性を向上させている。しかしながら、この技術では不織布の接合工程において、熱風に暴露される面と暴露されない面で、接着の程度に差が生じ、得られた不織布では接着性の差に起因して表面、裏面で柔軟性の差が生じる場合があった。このように表面、裏面で柔軟性の差が生じた素材を、例えば衛生材料に使用した場合には、柔軟性が低い面を有することで、着用者の動作による衛生材料の変形に不織布の変形に追従できず、着用快適性を損ねる可能性がある。
一方、特許文献2や特許文献3の技術では、ポリプロピレンとポリエチレンからなる複合長繊維からなる不織繊維ウェブを熱風により接着することで嵩高性を得ている。しかしながら、ポリプロピレンやポリエチレンは剛性が比較的低いため、嵩高性を有していたとしても圧縮によってつぶれやすい不織布となり、クッション性に課題があった。
そこで、本発明の課題は、上記の事情に鑑みて、衛生材料の肌に触れる面に使用する衛材用不織布として用いるのに優れたクッション性を有し、かつ、表裏面とも柔軟性に優れる長繊維不織布を提供することである。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]ポリエステル系樹脂である第1成分と、ポリオレフィン系樹脂である第2成分と、からなる複合繊維によって構成されてなる長繊維不織布であって、前記複合繊維が捲縮されてなり、前記長繊維不織布の一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と、前記長繊維不織布の他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数とがともに20個/mm以上60個/mm以下であって、前記長繊維不織布の繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下である、長繊維不織布。
[2]前記複合繊維が、サイドバイサイド型複合繊維である、[1]に記載の長繊維不織布。
[3]前記複合繊維の断面において、第2成分の面積比率が50%以上90%以下である、[1]または[2]に記載の長繊維不織布。
[4]長繊維不織布の一方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)と、他方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)との関係が、以下の式(1)を満たす、[1]~[3]のいずれかに記載の長繊維不織布。
0≦|L-L|≦1.5 ・・・(1)
[5][1]~[4]のいずれかに記載の長繊維不織布で少なくとも一部が構成されてなる、衛生材料。
[6]前記衛生材料がおむつである、[5]に記載の衛生材料。
[7]前記長繊維不織布がトップシートに含まれてなる、[6]に記載の衛生材料。
[8]前記第1成分と前記第2成分とをそれぞれ溶融させて複合紡糸口金に供給し、該複合紡糸口金の吐出孔から複合ポリマー流を吐出させて複合繊維を紡出し、
前記複合繊維をベルト上に捕集して繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下のウェブを形成し、
前記ウェブに対して、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm-20℃以上Tm+100℃以下の気体を1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吹き付けるとともに、前記ベルトの下方に向かって該気体を1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吸引する、[1]~[4]のいずれかに記載の長繊維不織布の製造方法。
[9]前記複合繊維が、サイドバイサイド型複合繊維である、[8]に記載の長繊維不織布の製造方法。
[10]前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率が、50質量%以上95質量%以下である[8]または[9]に記載の長繊維不織布の製造方法。
本発明によれば、優れたクッション性を有し、かつ、表裏面とも柔軟性に優れる長繊維不織布を得ることができる。
鞘となる第一成分(1)の重心と異なる位置に芯となる第2成分(2)の重心があり、なおかつ第2成分が半月型の偏心芯鞘型複合断面の例を示す模式図である。
本発明はポリエステル系樹脂である第1成分と、ポリオレフィン系樹脂である第2成分からなる複合繊維によって構成されてなる長繊維不織布であって、前記複合繊維が捲縮されてなり、前記長繊維不織布の一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と、前記長繊維不織布の他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数がともに20個/mm以上60個/mm以下であって、前記長繊維不織布の繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下である。
以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
[複合繊維]
本発明の長繊維不織布に係る複合繊維は、ポリエステル系樹脂である第1成分と、ポリオレフィン系樹脂である第2成分とからなる。
前記のポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、および、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらの中でも、複合繊維の剛性を高くでき、不織布のクッション性を良好とする観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートがより好ましく、とりわけ、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
このポリエステル系樹脂は、種々の目的に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で、共重合成分が含まれても良い。
さらに、このポリエステル系樹脂には、種々の目的に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化チタン粒子などの無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤、抗菌剤等を含有することができる。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でも、繊維同士の接着性を良好にし、不織布の力学特性を向上できる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンが特に好ましく用いられる。
前記ポリオレフィン系樹脂には、種々の目的に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセンなどのα-オレフィンと共重合されていても良い。
さらに、前記ポリオレフィン系樹脂には、種々の目的に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリオレフィン系樹脂がブレンドされていても良い。
さらに、このポリオレフィン系樹脂には、種々の目的に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化チタン粒子などの無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤、抗菌剤等を含有することができる。
本発明の長繊維不織布に係る複合繊維は、前述のようなポリエステル系樹脂である第1成分と、前述のようなポリオレフィン系樹脂である第2成分とからなることにより、適度に高い剛性を有しながらも熱により接着しやすくなるため、不織布とした際には良好なクッション性を発揮することができるのである。
本発明の長繊維不織布に係る複合繊維は、第2成分の面積比率が50%以上90%以下であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂である第2成分の面積比率を係る範囲にすることで、繊維同士の接着性を十分に担保しながらも、ポリエステル系樹脂である第1成分の高い剛性を活かすことができ、不織布とした際にクッション性を良好にすることができる。このような観点から、第2成分の面積比率は50%以上80%以下がより好ましい。
ここでいう第2成分の面積比率は、以下のようにして求めるものである。
長繊維不織布から、単繊維を切り出し、包埋処理を行い、単繊維の横断面が観察できるようにミクロトームにより切片を作製し、スライドガラスの上に乗せる。そして、100倍の対物レンズを入れたラマン分光装置(RENISHAW社製「inVia」)に内蔵されているマイクロスコープで繊維断面を観察し、繊維断面を構成する2つの成分に対して、顕微ラマン分光測定を実施する。得られたラマンスペクトルと、事前に計測しておいた第2成分を構成するポリオレフィン系樹脂のラマンスペクトルとの比較により、スペクトルが一致する成分を第2成分として同定を行なう。第2成分を構成するポリオレフィン系樹脂が事前に入手できない場合は、国立研究開発法人産業技術総合研究所が公開している「有機化合物のスペクトルデータベース SDBS」を利用し、第2成分の同定を行う。
そして、上記測定に使用した切片をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX6000」)にて、1本の単繊維の断面が観察できる倍率で画像を撮影する。撮影されたSEM画像から、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF2015」)を用いて、繊維の断面積(Af)および第2成分の面積(A)を測定し、次式(2)により第2成分の面積比率を算出する。
(第2成分の面積比率)=100×A/Af ・・・(2)
これと同様の動作を、異なる20本の複合繊維に対して行った結果の単純な数平均を求め、小数点第1位を四捨五入した値が本発明でいう第2成分の面積比率である。
また、本発明に係る長繊維不織布に複合繊維は、一定の捲縮を有する。このような捲縮複合繊維としては、サイドバイサイド型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維が挙げられる。
これらの複合繊維は、単繊維の横断面において各成分の重心点が離れているため、紡糸工程で張力から解放された際には、各成分の弾性回復量の差に応じて繊維が湾曲することとなり、それが繊維軸方向に連続することで、捲縮を発現することができる。このような捲縮を有することにより、単繊維同士が排斥しあうため、不織布の嵩高性を向上することができる。
本発明の長繊維不織布においては、繊維が細かい捲縮を発現でき、嵩高性と柔軟性を向上できるという観点から、捲縮を左右する重心点間距離を大きく設定できる、サイドバイサイド型複合繊維が好ましい。
本発明に係る複合繊維の断面形状は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されるものではなく、丸断面はもとより、三角や扁平、六角形、中空などの異形断面であっても良い。
本発明に係る複合繊維の単繊維直径は、3.0μm~30.0μmであることが好ましい。前記複合繊維の単繊維直径は、好ましくは3.0μm以上、より好ましくは5.0μm以上、さらに好ましくは7.5μm以上である。前記複合繊維の単繊維直径を3.0μm以上とすることにより、不織布とした際に荷重がかかってもへたりにくく、優れたクッション性とすることができる。また、前記複合繊維の単繊維直径は、好ましくは30.0μm以下、より好ましくは25.0μm以下、特に好ましくは20.0μm以下である。前記複合繊維の単繊維直径を30.0μm以下とすることにより、ソフトな風合いを得やすい。
本発明でいう単繊維直径(D)は以下のようにして求めるものである。
まず、前述の第2成分の面積比率の測定手法と同様にして単繊維の横断面を観察できる切片を作製し、単繊維1本が観察できる倍率として画像を撮影する。撮影された繊維断面画像を用い、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF2015」)を用いて、単繊維の断面輪郭が形成する面積Af(μm)を計測し、この面積Afと同一の面積となる真円の直径を算出する。これを長繊維不織布から任意に抽出した単繊維20本について測定し、単純な数平均を求め、単位をμmとして、小数点第2位を四捨五入した値を単繊維直径(D)とする。
[長繊維不織布]
また、本発明の長繊維不織布は、長繊維から構成されてなる不織布であり、長繊維で構成されることによって、低目付化や高速生産に十分な力学特性を得ることができる。
また、本発明の長繊維不織布は、繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下である。
ここでいう繊維密度とは、以下のようにして求めるものである。
まず長繊維不織布の目付(W)を、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき測定する。
次に長繊維不織布の厚さ(H)を以下のようにして求める。
長繊維不織布から25mm×40mmの試験片を採取し、3Dマイクロスコープ(株式会社キーエンス製ワンショット3D形状測定機:ヘッド「VR-3050」、コントローラー「VR-3000」)の測定台に、試験片に荷重をかけずに静置する。試料片の任意の8点について厚さを、単位をμmとして測定する。測定した値の平均値を、単位をμmとして小数点第1位で四捨五入した値を、長繊維不織布の厚さ(H)とする。
このようにして求めた長繊維不織布の目付W(g/m)を、長繊維不織布の厚さH(μm)で除した値の小数点第4位を四捨五入した値が、本発明でいう繊維密度である。
繊維密度が係る範囲であると、長繊維不織布の嵩高性が十分に低いことを示しており、柔軟性を良好にすることができる。より好ましくは、0.010g/cm以上0.040g/cm以下、さらに好ましくは、0.010g/cm以上0.030g/cm以下である。
なお、本発明の長繊維不織布の繊維密度は、第2成分の面積比率や単繊維の横断面形態により捲縮の度合いを変化させることで、制御することができる。
また、本発明の長繊維不織布は、一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数がともに20個/mm以上60個/mm以下である。
ここでいう一方の表面における接着点数および、他方の表面における接着点数とは、以下のようにして求めるものである。
まず、長繊維不織布の一方の表面を表面A、他方の表面を表面Bと設定する。
続いて、長繊維不織布から機械方向(MD方向)に10mm、機械方向と垂直の方向(CD方向)に10mmの試験片を10枚採取する。採取した試験片を、表面Aと表面Bの位置関係がわかるようにデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX6000」)に静置し、長繊維不織布のCD方向の断面について、厚さ方向が全域視野に入る倍率として画像を撮影する。撮影された長繊維不織布の断面画像において、以下に示す領域Mと領域Nを設定する。
領域M:CD方向に1,000μm、厚み方向に表面A側の端から前述の手法で求めた厚みの25%(H×0.25(μm))の長方形の領域。
領域N:CD方向に1,000μm、厚み方向に表面B側の端から前述の手法で求めた厚みの25%(H×0.25(μm))の長方形の領域。
次に、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF2015」)を用いて、領域Mおよび領域Nの中に観察できる複合繊維の接着点の個数を計測する。これを10枚の試験片に対して実施し、単純な数平均を求め、接着点の個数を単位面積(1mm)あたりの接着点の個数に換算し、小数点第1位で四捨五入する。このようにして求めた領域Mの単位面積(1mm)あたりの複合繊維の接着点数が、本発明でいう一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数、領域Nの単位面積(1mm)あたりの複合繊維の接着点数が、本発明でいう他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数である。
ここでいう接着点とは、複合繊維同士が交差した箇所において、その交点付近の複合繊維の外形が変形している箇所である。
本発明の長繊維不織布において、両方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数が係る範囲にあると、高い力学特性を有しながらも、適度な接着密度により優れた柔軟性を両立することが出来る。好ましくは、上記一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と、他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数が、ともに25個/mm以上55個/mm以下である。
なお、本発明の長繊維不織布の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数は、繊維同士の接着に加熱した気体を使用する場合には、繊維を接着する温度および吹き付ける気体の風速などにより制御することができる。また、各表面の接着点数を緻密に制御するためには、不織布の内部を均一に熱風が通過しながらも、好適に繊維同士を接着させることが必要であるため、接着工程における気体の温度と吹き付ける風速および、長繊維不織布の下方に吸引する風速を適切な範囲に制御する必要がある。
また、本発明の長繊維不織布では、一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差は、20個/mm以下であることが好ましい。
ここでいう一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差は、前述の方法で測定した各表面の単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差を算出した値の絶対値を意味する。
長繊維不織布の各表面の単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差を上記好ましい範囲にすることで、不織布の両面の柔軟性を同程度に制御することができる。このような観点から、より好ましくは、一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差が15個/mm以下であることが好ましい。
このように、本発明の長繊維不織布は、各表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数の差が小さいことで、両面の柔軟性が同程度に制御されるため、衛生材料とした場合には、不織布が着用者の動作による衛生材料の変形に追従して変形でき、着用時にも柔軟性を感じることができる。
このため、本発明の長繊維不織布は、一方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)と、他方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)との関係が以下の式(1)を満たすことが好ましい。
0≦|L-L|≦1.5 ・・・(1)
ここでいうLおよびLは、以下、カンチレバー測定長さということがあり、具体的には、以下の手順で測定される値である。
手順1:長繊維不織布から機械方向(MD方向)に25mm、機械方向と垂直の方向(CD方向)に250mmの試験片を6枚ランダムに採取する。
手順2:JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」に基づき、採取した試験片の目付Mを、単位をg/mとして計測し、小数点第2位を四捨五入して算出する。
手順3:JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7.3 41.5°カンチレバー法」で使用する、41.5°カンチレバー形試験機を水平な台に置き、一方の表面Aを下にして、試験片の一端をプラットホームの前端に合わせて設置する。
手順4:鋼製定規の0点をカンチレバー形試験機の上面に刻印されたマークDに合わせた状態で鋼製定規を試験片の上に乗せる。
手順5:定規と試験片とを一緒に斜面の方向に緩やかに一定速度で押し出す。
手順6:試験片が、カンチレバー形試験機の斜面に接触するまで調製定規を移動し、8秒間放置した後に、試験片の奥まで突き出た長さを1mmの単位まで鋼製定規から読み取る。
手順7:手順2から手順6までを採取した6枚の試験片に対して繰り替えし、6枚の試験片の奥まで突き出た長さの平均値を算出し、L(cm)とする。
手順8:手順1で採取した6枚の試験片について、手順3とは異なり、表面Bを下にして設置し、手順4~7と同様にして、6枚の試験片の奥まで突き出た長さの平均値を算出し、L(cm)とする。
各表面におけるカンチレバー測定長さLとLの関係が式(1)を満たせば、長繊維不織布の柔軟性が各表面で同程度であることを示しており、衛生材料とした場合には、不織布が着用者の動作による衛生材料の変形に追従して変形でき、着用時にも柔軟性を感じることができる。このような観点から、前記LとLの差の絶対値|L-L|は小さい方が好適であり、0≦|L-L|≦1.0とすることが好ましく、0≦|L-L|≦0.8とすることがより好ましい。
なお、本発明の長繊維不織布において、繊維同士を接着する際に繊維同士の接着に加熱した気体を使用する場合には、繊維を接着する温度および、吹き付ける気体の風速と不織布下方に吸引する風速のバランスなどを制御することで上記の式(1)を満たすことができる。
また、本発明の長繊維不織布の目付は、5g/m~100g/mとすることが好ましい。目付を好ましくは5g/m以上、より好ましくは8g/m以上、さらに好ましくは10g/m以上とすることにより、実用に供し得る機械的強度の長繊維不織布を得ることができる。一方、目付を好ましくは100g/m以下、より好ましくは50g/m以下とすることにより、衛生材料用の不織布としての使用に適した適度な柔軟性を有する長繊維不織布とすることができる。
本発明の長繊維不織布は、一方の面の単位長さ当たりの曲げ剛性の平均値Ba(gf・cm/cm)と、他方の面の単位長さ当たりの曲げ剛性の平均値Bb(gf・cm/cm)との関係が以下の式(3)を満たすことが好ましい。
0≦|Ba-Bb|≦0.1 ・・・(3)
ここでいうBaおよびBbは以下の手順で測定される値である。
手順1:長繊維不織布から機械方向(MD方向)に200mm、機械方向と垂直の方向(CD方向)に100mmの試験片を6枚採取する。
手順2:純曲げ試験機(カトーテック株式会社製「KES-FB2」)のチャックに、チャック間距離が10mmとなるように試験片を取り付ける。この際に試験片のMD方向が曲げ方向となり、一方の表面Aが観測者から見て左側を向くようにする。
手順3:「風合い評価の標準化と解析(第2版)」(著者;川端季雄、発行所;財団法人日本繊維機械学会、風合い計量と規格化研究委員会、発行日;昭和55年7月10日)の第27頁~第28頁に記載の方法に準じ、曲率K=-2.5~+2.5cm-1 の範囲で等速度曲率の純曲げを行う。変形速度は0.50cm-1/secとする。
手順4:手順3の操作によって、試験片の単位面積当たりの曲げモーメントM と曲率Kとの関係(M-K曲線)を求める。
手順5:手順2から手順4までを採取した6枚の試験片に対して繰り返し、M-K曲線のK=0.5cm-1とK=1.5cm-1との間におけるKの絶対値の増加過程の傾斜の平均値を算出し、小数点以下第4位で四捨五入して、Ba(gf・cm/cm)とする。
手順6:手順2から手順4までを採取した6枚の試験片に対して繰り返し、M-K曲線のK=-0.5cm-1とK=-1.5cm-1との間におけるKの絶対値の増加過程の傾斜の平均値を算出し、小数点以下第4位で四捨五入して、Bb(gf・cm/cm)とする。
なお、1gf・cm/cmは9.807×10-3N・cm/cmであることから、Ba(gf・cm/cm)、Bb(gf・cm/cm)をそれぞれ単位変換したBa’(N・cm/cm)、Bb’(N・cm/cm)を用いて前記の式(3)を表せば、以下の式(3’)で表すことができる。
0≦|Ba’-Bb’|≦9.807×10-4 ・・・(3’)
本発明の長繊維不織布は、表裏の柔軟性差が、以下に記す基準で3.5級以上であることが好ましい。
ここでいう表裏の柔軟性差とは以下の基準で評価するものである。
任意に選定した健康な一般成人10名が以下の手順で長繊維不織布の表裏の柔軟性を評価し、以下の基準に従って評価した。各不織布について、評価結果の平均点をその不織布の表裏の柔軟性差とした。
手順1:長繊維不織布の表面Aを上にして台の上に置き、人差し指、中指および親指を用いてつまみ上げて柔軟性を判断する。
手順2:手順1と同じサンプルの表面Bを上にして台の上に置き、人差し指、中指および親指を用いてつまみ上げて柔軟性を判断する。
手順3:長繊維不織布の表裏の柔軟性差を以下の基準に従って評価した。
・5:両面ともに柔軟で、差がほとんど感じられない。
・4:両面とも柔軟であるが、もう一方の面は明確に柔軟性の差を感じる。
・3:片方の面は柔軟だが、もう一方の面は柔軟性に劣る。
・2:片方の面は柔軟だが、もう一方の面は柔軟でない。
・1:両面ともに柔軟でない。
[衛生材料]
本発明の衛生材料は、少なくとも一部が前記の長繊維不織布から構成されるものであり、優れたクッション性と柔軟性が得られるものである。なお、本発明の衛生材料は、医療・介護など健康に関わる目的で使用される、主に使い捨ての物品であり、紙おむつ、生理用ナプキン、ガーゼ、包帯、マスク、手袋、絆創膏等が挙げられ、その構成部材、例えば、紙おむつのトップシート、バックシート、サイドギャザー等も含まれる。
第1の好適な実施態様としては、トップシートが前記の長繊維不織布で構成されてなる、おむつである。
[長繊維不織布の製造方法]
次に、本発明の長繊維不織布を製造する好ましい態様を、具体的に説明する。
本発明の長繊維不織布は、ポリエステル系樹脂からなる前記第1成分とポリオレフィン系樹脂からなる前記第2成分とをそれぞれ溶融させて複合紡糸口金に供給し、該複合紡糸口金の吐出孔から複合ポリマー流を吐出させて複合繊維を紡出し、前記複合繊維をベルト上に捕集して繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下のウェブを形成し、前記ウェブに対して、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm-20℃以上Tm+100℃以下の気体を1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吹き付けるとともに、前記ベルトの下方に向かって該気体を1.0m/秒以上12.0m/秒以下の風速で吸引する工程を含む方法が好ましい。
本発明の長繊維不織布の製造方法に用いる好適な複合紡糸口金としては、サイドバイサイド型複合断面または、偏心芯鞘複合断面を形成できる機構を具備していることが好ましく、特にサイドバイサイド型複合断面を形成できる機構を具備していることが好ましい。また、口金の吐出孔形状は本発明の効果を損ねない限り、自由に選択すれば良いが、紡糸安定性の観点から、丸孔とすることが好ましい。
また、本発明における紡糸温度は、第1成分と第2成分の内、融解温度が高い方の融解温度をTm(℃)としたとき、(Tm+10℃)以上、(Tm+100℃)以下とすることが好ましい。紡糸温度を上記の範囲内とすることにより、安定した溶融状態とし、優れた紡糸安定性を得ることができる。
本発明の長繊維不織布の製造方法では、複合紡糸口金から吐出させた複合繊維を、冷却固化して得られた繊維に対し、エジェクター等のエア牽引ユニットで牽引し延伸して、捕集ベルト上に捕集してウェブを形成することが好ましい。繊維をエア牽引ユニットで牽引し延伸することによって、繊維形成工程で第1成分と第2成分の間に弾性回復量の差が生じるため、複合繊維は好適に捲縮を発現させることができる。これにより、複合繊維をベルト上に捕集したウェブにおいて、良好な嵩高性を得ることができるのである。さらに、繊維をエア牽引ユニットで牽引し延伸することによって、単繊維の強度が向上ことで力学特性も良好とすることができる。
複合繊維に好適に捲縮を発現させる観点から、本発明の長繊維不織布の製造方法では、紡糸速度は高い方が好ましく、2,000m/分以上であることが好ましい。より好ましくは2,500m/分以上、特に好ましくは3,000m/分以上である。また、紡糸速度を2,000m/分以上とすることにより、繊維の配向結晶化が進み、より高い強度の繊維を得ることができるとともに、高い生産性を担保することもできる。
また、本発明の長繊維不織布の製造方法では、複合繊維をベルト上に捕集したウェブにおける嵩高性を高くする観点から、前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率を50質量%以上かつ、95質量%以下とした複合ポリマー流として吐出させることが好ましい。前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率を係る範囲に制御することにより、前記第1成分と前記第2成分との間の弾性回復量の差を拡大して捲縮発現を促進しながらも、前記第1成分の高い剛性を有効に活用することで、クッション性の高いウェブを採取することができる。これにより、後の接着工程においてもウェブが圧縮されにくくなるため、嵩高で、クッション性の高い長繊維不織布を得ることができる。このため、複合繊維の剛性を高め、ウェブおよび得られる長繊維不織布のクッション性を向上する観点から、前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率は50質量%以上かつ、90質量%以下として吐出することが好ましい。さらに、前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率は50質量%以上かつ、80質量%以下として吐出することで、吐出および製糸の安定性を向上させることができるため、より好ましい。
本発明の長繊維不織布の製造方法では、口金の吐出孔当たりの吐出量は、所望の繊維径に応じて任意に変更することが好ましい。
本発明の長繊維不織布の製造方法においては、前述のようにして製造した複合繊維を、繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下になるようにベルト上に捕集することが好ましい。
ここで言う繊維密度は、熱接着する前のベルト上に捕集されたウェブを工程から採取し、前述の方法で測定した繊維密度である。
本発明の長繊維不織布の製造方法においては、繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下とすることにより、後の工程において気体の通気度を良好とし、効率的に熱接着を施すことができる。
本発明の長繊維不織布の製造においては、ベルト上に捕集したウェブに対して、加熱した気体を使用して繊維同士を熱接着することが好ましい。このような接着様態をとることで、ウェブを圧縮することなく形態固定できるため、得られた長繊維不織布の嵩高性を向上できる。
このような観点から、前記熱接着工程においては、使用する気体の温度、風速の制御に加えて、気体を吸引する工程を制御することが重要となる。
まず、本発明の長繊維不織布の製造方法においては、熱接着に使用する気体の温度を、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm-20℃以上Tm+100℃以下とすることが好ましい。
ここでいう第2成分の融点Tm(℃)は、示差走査熱量計(TA Instruments社製「DSCQ2000」)を用い、第2成分のポリオレフィン樹脂を窒素雰囲気下において、昇温速度16℃/分の条件で測定した際の吸熱ピークのピークトップ温度(℃)である。
本発明の長繊維不織布の製造における熱接着に使用する気体の温度を係る範囲に制御することにより、複合繊維同士を強固に接着して高い不織布強度が得られるとともに、過剰な接着による不織布の嵩高性および柔軟性の低下を抑制することができる。また、複合繊維の熱収縮を抑制し、ウェブの収縮による高密度化を抑制する観点から、熱接着に使用する気体の温度を、Tm-20℃以上Tm+75℃以下とすることがより好ましい。Tm-20℃以上Tm+50℃以下とすることがさらに好ましい。
また、本発明の長繊維不織布の製造方法で熱接着に使用する気体は、任意の気体を使用してよいが、コストと安全性の観点から、空気が好ましい。また、複合繊維への熱伝導率を高くする観点から、加熱水蒸気を用いてもよい。
次に、本発明の長繊維不織布の製造においては、熱接着に使用する気体をウェブに対して、1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吹き付けることが好ましい。
本発明でいう吹き付ける風速は、ベルト上のウェブ上面における、ベルトの鉛直下方に向かう速度のことを意味する。
本発明の長繊維不織布の製造において熱接着に使用する気体の風速を係る範囲に制御することにより、ウェブを厚み方向に過剰に圧縮することなく熱接着ができるため、得られた長繊維不織布の嵩高性を向上することができる。
さらに、本発明の長繊維不織布の製造においては、気体をウェブに対して吹き付けながら、前記ベルトの下方に向かって該気体を1.0m/秒以上、13.0m/秒以下の風速で吸引することが好ましい。
本発明でいう吸引する風速とは、ベルト直上における、ベルトの鉛直下方に向かう速度のことを意味しており、ベルト上方から気体を吹き付けない状態で測定された測定値である。
本発明の長繊維不織布の製造において気体をウェブに対して吹き付けながら、前記ベルトの下方に向かって該気体を係る範囲で吸引することにより、気体がウェブ内を好適に通過することが可能となり、気体に暴露している面ともう一方の面における接着性の差を低減することができるため、得られた長繊維不織布において両面ともに柔軟性を良好にすることができる。
このような観点から、本発明の長繊維不織布の製造においては、ウェブに吹き付ける気体の風速とベルトの下方に向かって該気体を吸引風速の関係が重要である。すなわち、ウェブに吹き付ける気体の風速とベルトの下方に向かって該気体を吸引する風速の差の絶対値を、3.0m/秒以下とすることが好ましい。
吹き付ける風速と吸引する風速の差を係る範囲に制御することで、ウェブを圧縮せずに十分な接着を施しながらも、ウェブ内で加熱気体が滞留しにくく、ウェブの両面を均等に熱接着することができる。さらに、長繊維からなるウェブは繊維同士が絡合していないため、吹付ける風速と吸引する風速の差が大きい場合、繊維がずれることで地合いを損ね、嵩高性や強度は大幅に低下してしまう。このような観点から、風速差は2.0m/秒以下とすることがより好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。なお、長繊維不織布において、製造における機械方向をMD方向、MD方向と直交する方向をCD方向とした。
[測定方法]
実施例中の各特性値は、次の方法で測定、評価した。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
(1)第2成分の融点
第2成分の融点Tmについては、示差走査熱量計として、TA Instruments社製「DSCQ2000」を用い、前記の方法で測定、算出した。
(2)繊維密度
3Dマイクロスコープ(株式会社キーエンス製ワンショット3D形状測定機:ヘッド「VR-3050」、コントローラー「VR-3000」)を用い、前記の方法で測定、算出した。
(3)複合繊維における第2成分の面積比率
ラマン分光装置として、RENISHAW社製「inVia」を、走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス製「VHX-6000」を、画像解析ソフトウェアとして、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」を用い、前記の方法で測定、算出した。
(4)繊維表面における単位面積当たりの繊維接着点数
デジタルマイクロスコープとして、株式会社キーエンス製「VHX-6000」を、画像解析ソフトウェアとして、三谷商事株式会社製「WinROOF2015」を用い、前記の方法で測定、算出した。
(5)カンチレバー測定長さL、L
長繊維不織布からMD方向に25mm、CD方向に250mmの試験片を6枚ランダムに採取して、前記の方法に従って測定を行った。
(6)単位長さ当たりの曲げ剛性Ba,Bb
純曲げ試験機としてカトーテック株式会社製「KES-FB2」を用い、前記の方法に従って測定を行った。
(7)クッション性
任意に選定した健康な一般成人10名が長繊維不織布を厚み方向に圧縮するようにつまみ、それぞれの長繊維不織布に対して、以下の基準に従って評価した。各不織布について、評価結果の平均点をその不織布のクッション性とした。
・5:嵩高性に優れ、かつ反発力がある。
・3:嵩高であるが、指でつぶれやすい。
・1:嵩高性がない。
(8)表裏の柔軟性差
長繊維不織布の表裏の柔軟性差は、前記の方法に従って評価を行った。
[実施例1]
第1成分として、ポリエチレンテレフタレート(以降、表1などを含め、PETと略記することがある)を用い、第2成分として、ポリエチレン(以降、表1などを含め、PEと略記することがある)を用いた。これらを別個の押出機で溶融し、紡糸温度を290℃で、サイドバイサイド型複合断面が得られる矩形口金から、単孔当たりの吐出量を0.60g/分、吐出質量比率を、第1成分:第2成分=50:50として吐出した。紡出した繊維を冷却固化した後、矩形エジェクターにおいて紡糸速度を3,321m/分として、牽引・延伸し、移動する捕集ベルト上に捕集して、繊維密度0.015g/mのウェブを得た。この際、ウェブ内の繊維は捲縮を有していた。このようにして得られたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を3.6m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって2.2m/秒の風速で吸引してウェブを熱接着することで、目付が35g/mの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[実施例2]
第1成分と第2成分の吐出質量比率を第1成分:第2成分=25:75とした以外は実施例1と同様にして複合ポリマー流を吐出し、紡糸速度を3,321m/分として、牽引・延伸し、移動する捕集ベルト上に捕集して、繊維密度0.025g/mのウェブを得た。このようにして得られたウェブに、実施例1と同様の条件でウェブを熱接着することで、目付が37g/mの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[実施例3]
第1成分として、PETを用い、第2成分として、PEを用いた。これらを別個の押出機で溶融し、紡糸温度を290℃で、図1に例示されるような、鞘となる第2成分が半月型の偏心芯鞘型複合断面が得られる矩形口金から、第1成分を芯、第2成分を鞘として、単孔当たりの吐出量を0.60g/分、吐出質量比率を、第1成分:第2成分=50:50として吐出した。紡出した繊維を冷却固化した後、矩形エジェクターにおいて紡糸速度を3,262m/分として、牽引・延伸し、移動する捕集ベルト上に捕集して、繊維密度0.015g/cmのウェブを得た。この際、ウェブ内の繊維は捲縮を有していなかった。このようにして得られたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を3.6m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって2.2m/秒の風速で吸引してウェブを熱接着することで、目付が34g/cmの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[実施例4]
第1成分と第2成分の吐出質量比率を第1成分:第2成分=60:40とした以外は実施例1と同様にして複合ポリマー流を吐出し、紡糸速度を2,399m/分として、牽引・延伸し、移動する捕集ベルト上に捕集して、繊維密度0.017g/mのウェブを得た。このようにして得られたウェブに、実施例1と同様の条件でウェブを熱接着することで、目付が32g/mの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[実施例5]
捕集されたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を4.8m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって1.0m/秒の風速で吸引した以外は実施例1と同様にして、目付が36g/cmの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[比較例1]
捕集ベルトの鉛直下方に向かって吸引を行わずにウェブを熱接着した以外は実施例1と同様にして、目付が33g/mの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[比較例2]
第1成分として、PETを用い、第2成分として、PEを用いた。これらを別個の押出機で溶融し、紡糸温度を290℃で、芯鞘型複合断面が得られる矩形口金から、第1成分を芯、第2成分を鞘として、単孔当たりの吐出量を0.74g/分、吐出質量比率を、第1成分:第2成分=50:50として吐出した。紡出した繊維を冷却固化した後、矩形エジェクターにおいて紡糸速度を2,696m/分として、牽引・延伸し、移動する捕集ベルト上に捕集して、繊維密度0.020g/mのウェブを得た。この際、ウェブ内の繊維は捲縮を有していなかった。このようにして得られたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を3.6m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって2.2m/秒の風速で吸引してウェブを熱接着することで、目付が34g/mの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[比較例3]
捕集されたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を15.0m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって0.5m/秒の風速で吸引した以外は実施例1と同様にして、目付が31g/cmの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
[比較例4]
捕集されたウェブに、ウェブ上方からベルトの鉛直下方側に向かって200℃の加熱空気を0.5m/秒の風速で吹き付けながら、捕集ベルトの鉛直下方に向かって15.0m/秒の風速で吸引した以外は実施例1と同様にして、目付が29g/cmの長繊維不織布を得た。結果を表1に示す。
Figure 0007439997000001
表1に示す通り、実施例1~4の長繊維不織布においては、クッション性に優れ、かつ、表裏の柔軟性差が少ないものであった。特に、実施例1、実施例2および実施例4については、クッション性と柔軟性を高いレベルで両立するものであった。また、実施例3については、高い目付のため柔軟性は実施例1、実施例2および実施例4と比べて劣るものの、長繊維不織布の両面で繊維同士が好適にされているため、柔軟性を有しながらも、特にクッション性に優れるものであった。また、実施例5については、加熱空気の風速と吸引風速との差が実施例1~4に比べて大きいため、表面Aと表面Bとの柔軟性差が実施例1~4に比べて大きいものの、クッション性は有するものであった。一方、比較例1については、熱風に暴露されない表面Bでの接着性が低いため、表裏の柔軟性に大きな差が生じた。また、比較例2については、不織布の嵩高性が劣位であり、クッション性に劣る結果であった。また、比較例3については、空気加熱風速が極めて大きく、かつ吸引風速が小さいため、熱風に強く暴露された表面Aでは不織布が硬化するほど繊維同士が著しく接着した一方で表面Bでは接着性が低くなり、表裏の柔軟性に大きな差が生じ、さらにクッション性に劣る結果であった。また、比較例4については、空気加熱風速が小さく、かつ吸引風速が極めて大きいため、表面Aでは接着性が低くなり、表裏の柔軟性差に大きな差が生じた。
本発明の長繊維不織布は、優れたクッション性を有し、かつ、表裏面とも柔軟性に優れるので、おむつや生理用ナプキン、マスク等の衛生材料に利用することができる。
1:芯
2:鞘

Claims (10)

  1. ポリエステル系樹脂である第1成分と、ポリオレフィン系樹脂である第2成分と、からなる複合繊維によって構成されてなる長繊維不織布であって、前記複合繊維が捲縮されてなり、前記長繊維不織布の一方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数と、前記長繊維不織布の他方の表面における単位面積あたりの複合繊維の接着点数とがともに20個/mm以上60個/mm以下であって、前記長繊維不織布の繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下である、長繊維不織布。
  2. 前記複合繊維が、サイドバイサイド型複合繊維である、請求項1に記載の長繊維不織布。
  3. 前記複合繊維の断面において、第2成分の面積比率が50%以上90%以下である、請求項1または2に記載の長繊維不織布。
  4. 長繊維不織布の一方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)と、他方の表面を上面として、長繊維不織布をカンチレバー形試験機の斜面へ突き出した長さの平均値L(cm)との関係が、以下の式(1)を満たす、請求項1または2に記載の長繊維不織布。
    0≦|L-L|≦1.5 ・・・(1)
  5. 前記請求項1または2に記載の長繊維不織布で少なくとも一部が構成されてなる、衛生材料。
  6. 前記衛生材料がおむつである、請求項5に記載の衛生材料。
  7. 前記長繊維不織布がトップシートに含まれてなる、請求項6に記載の衛生材料。
  8. 前記第1成分と前記第2成分とをそれぞれ溶融させて複合紡糸口金に供給し、該複合紡糸口金の吐出孔から複合ポリマー流を吐出させて複合繊維を紡出し、
    前記複合繊維をベルト上に捕集して繊維密度が0.010g/cm以上0.050g/cm以下のウェブを形成し、
    前記ウェブに対して、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm-20℃以上Tm+100℃以下の気体を1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吹き付けるとともに、前記ベルトの下方に向かって該気体を1.0m/秒以上13.0m/秒以下の風速で吸引する、請求項1に記載の長繊維不織布の製造方法。
  9. 前記複合繊維が、サイドバイサイド型複合繊維である、請求項8に記載の長繊維不織布の製造方法。
  10. 前記複合ポリマー流における第2成分の質量比率が、50質量%以上95質量%以下である、請求項8または9に記載の長繊維不織布の製造方法。
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