JP7439492B2 - ポリエステルフィルムの選定方法、積層体の製造方法、パッケージの製造方法、及び積層体 - Google Patents

ポリエステルフィルムの選定方法、積層体の製造方法、パッケージの製造方法、及び積層体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステルフィルムの選定方法、積層体の製造方法、パッケージの製造方法、及び積層体に関する。
ベースフィルムとして耐熱性及び強靭性に優れた二軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムと、シーラント層としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムとを備える積層体(軟包材)が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2017-178357号公報
ところが近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、プラスチック材料の分別回収と再資源化のさらなる高効率化が求められるようになってきている。すなわち、従来、様々な異種材料を組み合わせることで高性能化を図ってきた軟包材においても、モノマテリアル化が求められるようになってきた。
ベースフィルムとしてPETフィルムを用いる積層体において、モノマテリアル化を実現するためには、シーラント層にもポリエステル系フィルムを用いる必要がある。しかしながら、ポリエステル系フィルムをシーラント層として用いる場合、包材としての充填適性や強度が不充分となる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリエステルフィルムを主構成とする場合であっても、包材としての優れた充填適性及び強度を両立可能な積層体を得ることが可能な、シーラント層として用いられるポリエステルフィルムの選定方法を提供することを目的とする。本発明はまた、当該選定方法に基づき選定されたポリエステルフィルムを用いる積層体の製造方法、当該製造方法により製造される積層体を用いるパッケージの製造方法、及び積層体を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、ポリエステルフィルムの選定方法であって、上記ポリエステルフィルムが、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層、接着層及びシーラント層をこの順に備える積層体におけるシーラント層として用いられ、上記ポリエステルフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、下記式より上記ポリエステルフィルムの結晶化度を測定する工程と、結晶化度が2~15%である第一のポリエステルフィルムを選定する工程と、を備える選定方法を提供する。
1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
(式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。なお、1409cm-1:normalization band、1370cm-1:cis-conformerband(アモルファス相に由来する)、1340cm-1:trans-conformerband(トランス配座吸収帯:結晶相に由来する)である。)
本発明の選定方法は、結晶化度が10%以上である第二のポリエステルフィルムを選定する工程を更に備えてよい。
本発明の一側面は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層及びシーラント層を接着層を介して積層する工程を備え、上記シーラント層として、上記選定方法により選定された上記第一のポリエステルフィルムを用いる、積層体の製造方法を提供する。
本発明の一側面は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層及びシーラント層を接着層を介して積層する工程を備え、上記シーラント層として、上記選定方法により選定された上記第一のポリエステルフィルム及び上記第二のポリエステルフィルムを用いる、積層体の製造方法を提供する。
本発明の積層体の製造方法において、上記シーラント層の厚さが15μm以上であってよい。
本発明の積層体の製造方法において、上記結晶性ポリエステルフィルムが、少なくとも一方の表面に無機酸化物の蒸着層を備えてよい。
本発明の積層体の製造方法において、上記積層体の水蒸気透過量が10g/m・day以下であってよい。
本発明の積層体の製造方法において、上記積層体の酸素透過量が5cc/m・day以下であってよい。
本発明の一側面は、上記製造方法により製造された積層体の上記シーラント層同士を対向させた状態でヒートシールを行い、内容物が充填されたパッケージを得る工程を備える、パッケージの製造方法を提供する。
本発明のパッケージの製造方法において、23℃における上記パッケージ内の空気の体積割合が15体積%以下であってよい。
本発明の一側面は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層、接着層及びシーラント層をこの順に備える積層体であって、上記シーラント層が第一のポリエステルフィルムを含み、反射法によりFT-IR分析を行い、下記式より得られる上記第一ポリエステルフィルムの結晶化度が2~15%である、積層体を提供する。
1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
(式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。)
本発明の積層体において、上記シーラント層が、上記第一のポリエステルフィルムより上記接着層側に第二のポリエステルフィルムを更に含んでいてよい。その際、上記第二のポリエステルフィルムの結晶化度が10%以上であってよい。
本発明の積層体において、上記シーラント層の厚さが15μm以上であってよい。
本発明の積層体において、上記シーラント層の厚さに対する、上記第一のポリエステルフィルムの厚さの割合が10~70%であってよい。
本発明の積層体において、上記結晶性ポリエステルフィルムが、少なくとも一方の表面に無機酸化物の蒸着層を備えてよい。
本発明の積層体が、上記基材層及び上記接着層の間に更に金属層を備えてよい。
本発明の積層体の水蒸気透過量が10g/m・day以下であってよい。
本発明の積層体の酸素透過量が5cc/m・day以下であってよい。
本発明の積層体において、積層体の全質量に対し、ポリエステル成分以外の成分の合計質量が10質量%以下であってよい。
本発明によれば、ポリエステルフィルムを主構成とする場合であっても、包材としての優れた充填適性及び強度を両立可能な積層体を得ることが可能な、シーラント層として用いられるポリエステルフィルムの選定方法を提供することができる。また、本発明によれば、当該選定方法に基づき選定されたポリエステルフィルムを用いる積層体の製造方法、当該製造方法により製造される積層体を用いるパッケージの製造方法、及び積層体を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る積層体の模式断面図を示す。 図2は、他の実施形態に係る積層体の模式断面図を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<積層体>
図1は、一実施形態に係る積層体の模式断面図を示す。一実施形態に係る積層体10は、基材層1、接着層2及びシーラント層3をこの順に備える。
図2は、他の実施形態に係る積層体の模式断面図を示す。他の実施形態に係る積層体20は、基材層1、接着層2、並びにシーラント基材層3a及びヒートシール層3bを含むシーラント層3をこの順に備える。
[基材層]
基材層は支持体となるフィルム(ベースフィルム)であり、結晶性ポリエステルフィルムを含む。基材層が結晶性ポリエステルフィルムからなるものであってよい。結晶性ポリエステルフィルムは延伸フィルムであってよく、非延伸フィルムであってよい。結晶性ポリエステルフィルムの結晶化度は40%以上とすることができる。結晶性ポリエステルフィルムの融点は250℃以上とすることができ、255℃以上であってよい。
結晶性ポリエステルは、例えば、ジオール類とジカルボン酸とを縮重合させることによって得ることができる。
ジオール類としては、脂肪族ジオールや脂環族ジオールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、バイオマス由来のエチレングリコールを用いてもよい。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n-ドデシルコハク酸、n-デドセニルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸の無水物又は低級アルキルエステル等の化合物が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
包材の基材層としての機能を充分に発現する観点から、結晶性ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
基材層は再生ポリエステルを含んでもよい。再生ポリエステルとしてはエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルからなる容器をケミカルリサイクルしてなるケミカルリサイクルポリエステル、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステルからなる容器をメカニカルリサイクルしてなるメカニカルリサイクルポリエステル等を挙げることができる。
基材層は、例えば水蒸気や酸素に対するガスバリア性向上の観点から、少なくとも一方の表面に無機酸化物の蒸着層を備えてよい。無機酸化物の蒸着層を用いることにより、積層体のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。無機酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、無機酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよい。無機酸化物の蒸着層の厚さは、例えば5nm以上100nm以下とすることができ、10nm以上50nm以下であってよい。厚さが5nm以上であることでバリア性が良好に発揮され易く、厚さが100nm以下であることで、積層体の可撓性が維持され易い。蒸着層は、例えば物理気相成長法、化学気相成長法等によって形成することができる。
基材層は結晶性ポリエステルフィルムを複数層含んでよく、その場合各結晶性ポリエステルフィルムは同一であっても異なっていてもよい。基材層が結晶性ポリエステルフィルムを複数層含む場合は、少なくとも一層の結晶性ポリエステルフィルムが、その表面に無機酸化物の蒸着層を備えてよい。
基材層の厚さは、例えば5μm~1mm以下とすることができ、5~800μmであってよく、5~500μmであってよい。基材層が結晶性ポリエステルフィルムを複数層含む場合は、その合計厚さを上記範囲内としてよい。
なお、積層体は、無機酸化物の蒸着層に代えて、あるいは加えて、金属層(金属箔)を更に備えていてもよい。すなわち、積層体は、基材層及び接着層の間に金属層を更に備えていてもよい。
金属層としては、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる各種金属箔を使用することができ、これらのうち、防湿性、延展性等の加工性、コスト等の面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができる。なかでも、耐ピンホール性及び成型時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。
金属層を設ける場合、その厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性等の点から、7~50μmであってよく、9~15μmであってよい。
[接着層]
接着層の接着成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネート化合物を作用させる、2液硬化型のポリウレタン系接着剤が挙げられる。
接着層は、接着成分を基材層上に塗工後、乾燥することで形成することができる。ポリウレタン系接着剤を用いる場合、塗工後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基の反応が進行して強固な接着が可能となる。
接着層の厚さは、接着性、追随性、加工性等の観点から、2~50μmとすることができ、3~20μmであってよい。
[シーラント層]
シーラント層は、積層体においてヒートシールによる封止性を付与する層であり、上記のとおり単一の又は複数のポリエステルフィルムを含む。シーラント層がポリエステルフィルムからなるものであってよい。シーラント層を構成するポリエステルフィルムをポリエステル層(ポリエステル樹脂層)等と言うこともできる。
反射法によりFT-IR分析を行い、下記式より得られる第一のポリエステルフィルムの結晶化度は、2~15%である。
1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
(式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。)
第一のポリエステルフィルムの結晶化度が2%以上であると、積層体としての強度が向上し、耐突き刺し性等に優れることとなる。また、第一のポリエステルフィルムの結晶化度が15%以下であると、ガラス転移温度以上に加熱された際にポリエステルフィルムが充分に流動性を有することになるため、シーラント層としてのヒートシール性が向上し、充填適性(特に連続充填における高速充填適性)等に優れることとなる。この観点から、結晶化度は2.5%以上とすることができ、3%以上であってよく、5%以上であってよい。また、結晶化度は、14%以下とすることができ、13.5%以下であってよく、13%以下であってよい。なお、第一のポリエステルフィルムはヒートシール性に寄与する層であるため、シーラント層におけるヒートシール層と言うことができる。
また、積層体が第二のポリエステルフィルムを含む場合、第二のポリエステルフィルムの結晶化度は10%以上である。結晶化度が10%以上であると、耐突き刺し性が向上し耐ピンホール性等が優れることとなる。この観点から、結晶化度は20%以上であってよく、40%以上であってよい。一方、第二のポリエステルフィルムの結晶化度は70%以下であってよい。結晶化度が高くなるほど腰強度も高くなるが、結晶化度が70%より高くなると腰強度が高くなりすぎてしまい、積層体を使用しパウチを作製する際、内容物充填後のシール時にしわが発生する恐れがある。また、パウチに充填可能な内容量が少なくなる。この観点から、結晶化度は65%以下であってよく、60%以下であってよい。なお、第二のポリエステルフィルムはシーラント層の強度向上に寄与する層であるため、シーラント層におけるシーラント基材層と言うことができる。
積層体が第二のポリエステルフィルムを含む場合、第一のポリエステルフィルムの結晶化度より第二のポリエステルフィルムの結晶化度の方が高くてもよい。これにより、ヒートシール性及び耐突き刺し性をより向上し易い。
ポリエステルフィルムの結晶化度は、共重合に供するモノマーの種類を変えることで調整することができる。また、ポリエステルフィルムを成膜する際の冷却速度を変えることで、結晶化の進行の程度を調整し、結晶化度を調整することができる。さらに、成膜したポリエステルフィルムに熱処理を施すことによっても、結晶化度を調整することができる。その他、熱固定温度や延伸倍率等の成膜条件を変えることで、結晶化度を調整することができる。ポリエステルフィルムは、例えば、ジオール類とジカルボン酸とを縮重合させることによって得ることができる。ジオール類及びジカルボン酸としては、上記基材層において例示した化合物が挙げられる。
包材のシーラント層としての機能を充分に発現する観点から、ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。
シーラント層は第一のポリエステルフィルム及び第二のポリエステルフィルム以外に、他のポリエステルフィルムを複数層含んでよく、その場合他のポリエステルフィルムは同一であっても異なっていてもよい。シーラント層が他のポリエステルフィルムを複数層含む場合は、少なくとも包装袋としたときに最内層側となるポリエステルフィルムが、上記結晶化度2~15%を有する第一のポリエステルフィルムであればよい。
シーラント層を構成するポリエステルフィルムには、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加材が添加されてよい。
シーラント層の厚さは、優れた強度及び充填適性の確保という観点から、15μm以上とすることができ、15~100μmであってよく、20~60μmであってよい。なお、シーラント層の厚さが15μm未満であると、積層体のサイズや内容物の量によってはシール強度が不足する傾向がある。また、積層体における接着剤やインキの占める質量比が高くなる傾向がある。シーラント層がポリエステルフィルムを複数層含む場合は、その合計厚さを上記範囲内としてよい。
シーラント層の厚さに対する、第一のポリエステルフィルムの厚さの割合が10~70%であってよい。当該割合が10%以上であると優れたシール強度を確保し易くなり、また70%以下であると優れた突き刺し強度を確保し易くなる。この観点から、当該割合は20%以上又は30%以上であってよく、65%以下又は60%以下であってよい。
シーラント層を構成する、第一のポリエステルフィルムのガラス転移温度Tgは、良好なヒートシール性を発現する観点から、30~90℃とすることができ、50~80℃であってよい。ガラス転移温度Tgは、測定温度20~300℃、昇温速度10℃/分の条件にて示差走査熱量(DSC)測定を行い決定することができる。
シーラント層同士を、温度Tg+60℃、エアー圧力0.2MPa、及び時間1秒間の条件にてヒートシールした際の、JIS K7127に準拠して測定されるシール強度は、10N/15mm以上であってよい。シール強度が10N/15mm未満であると、充分な耐圧性及び耐衝撃性を維持し難くなる。この観点から、シール強度は15N/15mm以上であってよい。
シーラント層は高いホットタック性を有することができる。具体的には、下記方法により行うホットタックテストにおける剥離距離が150mm以下であってよい。ホットタック性が不充分であると、内容物を高速で充填及び封止する用途において、充分な接着強度を維持し難い。この観点から、剥離距離は120mm以下であってよく、100mm以下であってよい。
(ホットタックテスト)
30mm幅に切り出した積層体同士を、シーラント層が内側で接するようにして2枚重ね、下記条件にてヒートシールを行う。シールバー解放後に積層体の端につけた錘の荷重(各100g)でT型剥離を行い、シール部分のうち剥離した距離を計測する。
上側シールバー温度:120℃又は180℃(両温度でのテストを実施)
下側シールバー温度:100℃
エアー圧力:0.2MPa
シール時間:0.5秒間
シールバー:幅10mm、長さ300mm
積層体の水蒸気透過量は10g/m・day以下とすることができる。また、積層体の酸素透過量は5cc/m・day以下とすることができる。これにより内容物を水蒸気や酸素による劣化から保護し、長期的に品質を保持し易くなる。この観点から、水蒸気透過量は7.5g/m・day以下であってよく、5g/m・day以下であってよい。また、酸素透過量は4cc/m・day以下であってよく、3cc/m・day以下であってよい。なお、積層体が金属層を更に備える場合は、水蒸気透過量及び酸素透過量がより低減される傾向がある。
積層体は優れた強度を有することができる。具体的には、JIS Z1707に準拠して測定される突刺し強度が、5N以上であってよい。突刺し強度が不充分であると、外部に対する、あるいは内容物に対する突刺し抵抗が低下し、破袋する虞がある。この観点から、突刺し強度は7.5N以上であってよく、10N以上であってよい。なお、シーラント層が第二のポリエステルフィルムを必須として備える場合は、突刺し強度がより向上する傾向がある。
上記のとおり、積層体を構成するフィルムは、全てポリエステルフィルムとすることができる。そのような積層体は、リサイクル性に優れる単一素材からなる(モノマテリアルの)包装材料と言うことができる。この観点から、積層体の全質量に対し、ポリエステル成分以外の成分(例えば、接着剤やインキ成分)の合計質量は10質量%以下とすることができ、7.5質量%以下であってよく、5.0質量%以下であってよい。
<ポリエステルフィルムの選定方法>
ポリエステルフィルムの選定方法は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層、接着層及びシーラント層をこの順に備える上記積層体におけるシーラント層として好適に用いることができる、ポリエステルフィルムを選定する方法である。ポリエステルフィルムの選定方法は、ポリエステルの選定方法と言うこともできる。
ポリエステルフィルムの選定方法は、ポリエステルフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、下記式よりポリエステルフィルムの結晶化度を測定する工程と、結晶化度を測定したポリエステルフィルムの中から、結晶化度が2~15%である第一のポリエステルフィルムを選定する工程と、を備える。
1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
(式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。)
ポリエステルフィルムに対する反射法によるFT-IR分析は、例えば以下のように実施することができる。
シーラント層として用いる第一のポリエステルフィルムのシール面をプリズムに接触させ、1回反射ATR測定装置にて吸光度を測定する。プリズムとしてはZnSe、Ge等を用いることができる。各ピークの吸光度は、吸収スペクトル高波数側から波数1409cm-1のピークが立ち上がり始める波数における吸光度と、低波数側から波数1340cm-1のピークが立ち上がり始める波数における吸光度とを結ぶ直線をベースライン(0点)として算出する。
上記選定方法により選定された、結晶化度が2~15%である第一のポリエステルフィルムをシーラント層として用いることで、上記のとおり包材としての優れた充填適性及び強度を両立可能な積層体を得ることができる。
上記選定方法は、結晶化度が10%以上である第二のポリエステルフィルムを選定する工程を更に備えていてよい。その際、ヒートシール性及び耐突き刺し性をより向上し易い観点から、第一のポリエステルフィルムの結晶化度より第二のポリエステルフィルムの結晶化度の方が高くなるように、第二のポリエステルフィルムを選定してよい。
上記選定方法により選定された、結晶化度が2~15%である第一のポリエステルフィルムと、結晶化度が10%以上である第二のポリエステルフィルムとを含むフィルムをシーラント層として用いることで、包材としての優れた充填適性及びより優れた強度を両立可能な積層体を得ることができる。
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層、接着層及びシーラント層をこの順に備える上記積層体を製造する方法である。
積層体の製造方法は、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層及びシーラント層を接着層を介して積層する工程を備える。積層方法は特に限定されないが、例えばドライラミネート法を用いることができる。この際、シーラント層としては、上記選定方法により選定された第一のポリエステルフィルム及び場合により更に第二のポリエステルフィルムを用いる。このようにして得られた積層体は、上記のとおり包材としての優れた充填適性及び強度を両立可能である。
積層体が更に金属層を備える場合、上記同様ドライラミネート法により基材層に積層すればよく、これにより基材層、接着層、金属層、接着層及びシーラント層を備える積層体が得られる。
シーラント層がポリエステルフィルムを複数層含む場合、予めポリエステル同士を共押し出しして積層したシーラント層を準備すればよい。一般的に同系統の層(フィルム)の場合、ドライラミネートで貼り合わせるより、共押し出しにより貼り合わせた方が層間強度は強くなる傾向がある。層間強度はシール強度や耐圧強度に影響するため、共押し出しが好適である。
<パッケージの製造方法>
パッケージの製造方法は、上記の製造方法により製造された積層体のシーラント層同士を対向させた状態でヒートシールを行い、内容物が充填されたパッケージを得る工程を備える。同工程は、より具体的には、積層体を用いて包装袋を製造する工程と、包装袋内に内容物を充填する工程と、包装袋を密閉する工程と、を備えることができる。この場合、包装袋は、例えば積層体のシーラント層同士を対向させた状態で、積層体の三辺をヒートシールすることにより得ることができる。その後、ヒートシールされていない残りの一辺から内容物を充填し、最後に残りの一辺をヒートシールすることによりパッケージを得ることができる。充填方式は間欠充填方式であってもよく、連続充填方式であってもよい。
シーラント層を構成する第一のポリエステルフィルムの結晶化度が15%以下であるため、シーラント層同士をそのガラス転移温度近辺で融着させることが可能である。したがって、ヒートシール温度はシーラント層のTg+10~150℃とすることができ、Tg+40~100℃であってよい。なお、Tgから大きく離れた高温シールが必要となる場合、内容物を高速で充填して封止する用途においては十分な熱量を与えられずシール強度が不足する可能性や、シールに必要な温度とフィルムが熱劣化により脆くなる温度の間のマージンが狭くなる可能性がある。
内容物としては液体調味料、トイレタリー用品、液体洗剤等の液状物、栄養補助食品、粉末洗剤等の固形物、あるいはベビーフード、ペットフード等の液状物と固形物の固液混合物などが挙げられる。上記積層体は、良好なヒートシール性及び高いホットタック性を備えるため、内容物が液状物や固液混合物である場合においても連続充填が可能であり、高速充填適性に優れている。
上記製造方法において、密閉後の23℃におけるパッケージ内の空気の体積割合は、15体積%以下とすることができる。空気の体積割合が15体積%超であると、積層体自体のバリア性が充分であっても、包装内の残存酸素により内容物が劣化する虞がある。この観点から、当該体積割合は12体積%以下であってよく、10体積%以下であってよい。内容物をパッケージに充填する方法としては間欠充填方式及び連続充填方式を挙げることができる。間欠充填方式に比して連続充填方式の方が厳しい充填環境であるといえるが、充填方式を連続充填とすることにより、体積割合を上記範囲内にし易くなる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実験1>
[ポリエステルフィルムの作製]
ポリエステルフィルムA:
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸85mol%及びイソフタル酸15mol%、ジオール成分としてエチレングリコール100mol%を出発原料とするポリエステルフィルム形成用のレジンを準備した。このレジンを、キャスト法により厚さ30μmで押し出し、表面温度30℃に設定した冷却ロール上で冷却することによって、未延伸のポリエステルシーラントフィルム(ヒートシールPET:HSPET)であるポリエステルフィルムAを得た。
ポリエステルフィルムA’:
上記レジンをキャスト法により厚さ12μmで押し出したこと以外は、ポリエステルフィルムAと同様にしてポリエステルフィルムA’を得た。
ポリエステルフィルムB:
ポリエステルフィルムAを、ロール to ロール方式の乾燥炉に通すことでポリエステルフィルムBを得た。その際、乾燥炉の温度設定を170℃とし、フィルムが1分間加熱されるように搬送速度を調整した。
ポリエステルフィルムC:
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール60mol%及びネオペンチルグリコール40mol%を出発原料とするポリエステルフィルム形成用のレジンを準備した。このレジンを用いて、ポリエステルフィルムAと同様の方法で厚さ30μmのポリエステルフィルムCを得た。
ポリエステルフィルムD:
ポリエステルフィルムAを、ロール to ロール方式の乾燥炉に通すことでポリエステルフィルムDを得た。その際、乾燥炉の温度設定を170℃とし、フィルムが3分間加熱されるように搬送速度を調整した。
ポリエステルフィルムE:
ポリエステルフィルムAを、ロール to ロール方式の乾燥炉に通すことでポリエステルフィルムEを得た。その際、乾燥炉の温度設定を180℃とし、フィルムが3分間加熱されるように搬送速度を調整した。
ポリエステルフィルムF:
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール50mol%及びネオペンチルグリコール50mol%を出発原料とするポリエステルフィルム形成用のレジンを準備した。このレジンを用いて、ポリエステルフィルムAと同様の方法で厚さ30μmのポリエステルフィルムFを得た。
ポリエステルフィルムG:
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてエチレングリコール60mol%、ジエチレングリコールを5mol%及び1,4-シクロヘキサンジメタノールを35mol%を出発原料とするポリエステルフィルム形成用のレジンを準備した。このレジンを用いて、ポリエステルフィルムAと同様の方法で厚さ30μmのポリエステルフィルムGを得た。
(ポリエステルフィルムの結晶化度測定)
各ポリエステルフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、下記式よりポリエステルフィルムの結晶化度を測定した。まず、市販のA-PETフィルムと市販の結晶性延伸PETフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、吸光度I1340、I1370、I1409を下記式1に代入し、連立方程式によりp1、p2を求めた。次に、作製したポリエステルフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、吸光度I1340、1409と、上記で求めたp1とを下記式2に代入し、結晶化度を算出した。そして、結晶化度に基づき、ポリエステルフィルムA(A’)~C及びGを実施例相当のポリエステルフィルムとして選定した。
1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
(式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。)
ポリエステルフィルムに対する反射法によるFT-IR分析は、以下のように実施した。
シーラント層として用いるポリエステルフィルムのシール面をプリズムに接触させ、1回反射ATR測定装置にて吸光度を測定した。プリズムとしてはGeを用いた。各ピークの吸光度は、吸収スペクトル高波数側から波数1409cm-1のピークが立ち上がり始める波数における吸光度と、低波数側から波数1340cm-1のピークが立ち上がり始める波数における吸光度とを結ぶ直線をベースライン(0点)として算出した。
(ガラス転移温度測定)
ポリエステルフィルムのガラス転移温度Tgは、測定温度20~300℃、昇温速度10℃/分の条件にて示差走査熱量(DSC)測定を行い決定した。
[積層体の作製]
(実施例1)
ベースフィルムとして、結晶性ポリエステルフィルムである、厚さ12μmの延伸PETフィルムを準備し、その一方の表面に、バリア層としてシリカ蒸着膜を設けることでバリアフィルムとした。このバリアフィルムのシリカ蒸着面と、ポリエステルフィルムAとを、ドライラミネート法により貼り合わせて積層体を得た。ドライラミネートに用いる接着剤には、一般的なウレタン樹脂系接着剤を用いた。ウレタン樹脂系接着剤の乾燥後の塗布量は3g/m(厚さ3μm)になるように調整した。
(実施例2)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例3)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムA’を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例4)
バリアフィルム上に、さらに結晶性ポリエステルフィルムである厚さ12μmの延伸PETフィルムを積層したこと、ウレタン樹脂系接着剤の乾燥後の塗布量を4g/m(厚さ4μm)になるように調整したこと以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。延伸PETフィルムの積層においても上記ウレタン樹脂系接着剤を用いた。
(実施例5)
上記バリアフィルムに代えて、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)コーティングがされたPETフィルム(ベースフィルムは結晶性ポリエステルフィルム)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例6)
実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例7)
実施例2と同様にして積層体を得た。
(実施例8)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例9)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムGを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(比較例1)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(比較例2)
比較例1と同様にして積層体を得た。
(比較例3)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(比較例4)
比較例3と同様にして積層体を得た。
(比較例5)
ポリエステルフィルムAに代えてポリエステルフィルムFを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
[各種評価]
得られた積層体について、各種評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
(シール強度測定)
積層体のシーラント層同士を、温度Tg+60℃、エアー圧力0.2MPa、及び時間1秒間の条件(但し、Tgは上記DSC測定によるガラス転移温度)にてヒートシールした。そして、JIS K7127に準拠して、シーラント層同士のシール強度を測定した。
(ホットタックテスト)
30mm幅に切り出した積層体同士を、シーラント層が内側で接するようにして2枚重ね、下記条件にてヒートシールを行った。シールバー解放後に積層体の端につけた錘の荷重(各100g)でT型剥離を行い、シール部分のうち剥離した距離を計測した。
上側シールバー温度:120℃又は180℃(両温度でのテストを実施)
下側シールバー温度:100℃
エアー圧力:0.2MPa
シール時間:0.5秒間
シールバー:幅10mm、長さ300mm
(突刺し強度試験)
積層体の突刺し強度をJIS Z1707に準拠して測定した。突刺しの開始面はベースフィルム側とした。
(酸素透過度及び水蒸気透過度測定)
JIS K7126Bに準拠して、積層体の酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
(充填適性評価)
間欠充填方式又は連続充填方式における積層体の充填適性試験を、下記条件にて行った。
使用機器:大成ラミック ダンガンtypeIII
フィルム幅:80mm
送り方向シールピッチ:90mm
内容物:醤油5g
充填方式:間欠(充填・シールの交互動作)50shot/分、気体容積割合12%
:連続(液中シール)200shot/分、気体容積割合8%
シール条件:温度Tg+90℃、圧力0.2MPa
試験結果を、下記基準に従って評価した。
判定基準(耐圧):
A評価 静荷重試験 100kg×1分間で破袋なし。
B評価 静荷重試験 100kg×1分間で破袋するが、80kg×1分間では破袋なし。
C評価 静荷重試験 80kg×1分間で破袋あり。
判定基準(風味劣化):
上記のとおり準備した醤油を充填した包装袋を、40℃90%RHの環境下で1週間保存した。10名の被験者に味及び香りが保存の前後で変化(劣化)しているか判断させた。
A評価 劣化を感じた被験者が2名以下であった。
B評価 劣化を感じた被験者が3名以上であった。
(ポリエステル成分の質量比率)
積層体を構成する材料の全質量を基準として、ポリエステル成分の質量割合を算出した。
Figure 0007439492000001
Figure 0007439492000002
<実験2>
[シーラントフィルムの作製]
表3に記載のモノマーを出発原料とするポリエステルフィルム形成用のレジンを準備した。表中、TPAはテレフタル酸、EGはエチレングリコール、NPGはネオペンチルグリコール、BDOは1,4-ブタンジオール、DEGはジエチレングリコール、CHDMは1,4-シクロヘキサンジメタノールであり、数値の単位はmоl%である。
Figure 0007439492000003
シーラントフィルムA:
レジン3とレジン7をキャスト法により共押し出した後、フィルム搬送方向(以下、「MD」という)に延伸倍率3倍で延伸することにより、2層構成のシーラントフィルムAを得た。ヒートシール層はレジン3を押し出した層とした。延伸後の各層の厚さは15μmであった。
シーラントフィルムB:
レジン7をレジン6に変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムBを得た。ヒートシール層はレジン3を押し出した層とした。
シーラントフィルムC:
レジン7をレジン1に変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムCを得た。ヒートシール層はレジン1を押し出した層とした。
シーラントフィルムD:
レジン3をレジン4に変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムDを得た。ヒートシール層はレジン4を押し出した層とした。
シーラントフィルムE:
レジン3からなる層の厚さを5μm、レジン7からなる層の厚さを10μmに変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムEを得た。
シーラントフィルムF:
レジン3からなる層の厚さを3μm、レジン7からなる層の厚さを27μmに変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムFを得た。
シーラントフィルムG:
レジン3からなる層の厚さを21μm、レジン7からなる層の厚さを9μmに変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムGを得た。
シーラントフィルムH:
レジン3とレジン7を、それぞれレジン1とレジン2に変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムHを得た。ヒートシール層はレジン1を押し出した層とした。
シーラントフィルムI:
レジン3をレジン5に変更したこと以外は、シーラントフィルムAと同様にしてシーラントフィルムIを得た。ヒートシール層はレジン5を押し出した層とした。
シーラントフィルムJ:
レジン5をキャスト法により押し出した後、MDに延伸倍率3倍で延伸することにより、単層構成のシーラントフィルムJを得た。延伸後の厚さは30μmであった。
(ポリエステルフィルムの結晶化度測定)
上記実験1と同様にして、シーラントフィルムを構成するポリエステルフィルムの結晶化度を測定した。シーラント基材層として用いるポリエステルフィルムについては、接着層と接する面をプリズムに接触させて吸光度を測定した。そして、結晶化度に基づき、シーラントフィルムA~Hを実施例相当のシーラントフィルムとして選定した。
[積層体の作製]
(実施例10)
ベースフィルムとして、結晶性ポリエステルフィルムである、厚さ12μmの延伸PETフィルムを準備し、その一方の表面に、バリア層としてシリカ蒸着膜を設けることでバリアフィルムとした。このバリアフィルムのシリカ蒸着面と、シーラントフィルムAとを、ドライラミネート法により貼り合わせて積層体を得た。ドライラミネートに用いる接着剤には、一般的なウレタン樹脂系接着剤を用いた。ウレタン樹脂系接着剤の乾燥後の塗布量は3g/m(厚さ3μm)になるように調整した。
(実施例11)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムBを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例12)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムCを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例13)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムDを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例14)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムEを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例15)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムFを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例16)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムGを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(実施例17)
ベースフィルムとして、結晶性ポリエステルフィルムである、厚さ12μmの延伸PETフィルム、厚さ9μmのアルミニウム箔、及びシーラントフィルムAを準備し、これらをドライラミネート法により貼り合わせて積層体を得た。ドライラミネートに用いる接着剤には、一般的なウレタン樹脂系接着剤を用いた。ウレタン樹脂系接着剤の乾燥後の塗布量は3g/m(厚さ3μm)になるように調整した。
(実施例18)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムHを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(比較例6)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムIを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
(比較例7)
シーラントフィルムAに代えてシーラントフィルムJを用いたこと以外は、実施例10と同様にして積層体を得た。
[各種評価]
得られた積層体について、各種評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
(酸素透過度及び水蒸気透過度測定)
JIS K7126Bに準拠して、積層体の酸素透過度及び水蒸気透過度を測定した。
(突刺し強度測定)
積層体の突刺し強度をJIS Z1707に準拠して測定した。突刺しの開始面はベースフィルム側とした。
(屈曲ピンホール試験)
ゲルボフレックステスターを用いて、積層体を25℃下で500回及び1000回屈曲した後のピンホール数をチェックした。
判定基準:
A評価 1000回屈曲させピンホールなし。
B評価 500回屈曲させピンホールなし。
C評価 500回屈曲させピンホールあり。
(シール強度測定と耐圧試験)
下記条件でパッケージを作製し、シール強度測定と耐圧試験を実施した。シール強度の測定はJIS K7127に準拠して行った。
使用機器:大成ラミック ダンガンtypeIII
充填方式:連続充填
フィルム幅:80mm
送り方向シールピッチ:140mm
内容物:水30ml
充填速度:200shot/分
シール条件:160℃、圧力0.2MPa
耐圧試験判定基準:
A評価 動荷重試験300kgf以上。
B評価 動荷重試験300kgf未満、静荷重試験100kg×1分間で破袋なし。
C評価 静荷重試験100kg×1分間で破袋あり。
静荷重試験はJIS Z0238に準拠して測定した。また、動荷重試験では、試験速度10mm/分でパッケージを圧縮し、パッケージが破袋したときの最大荷重を記録した。
(ポリエステル成分の質量比率)
積層体を構成する材料の全質量を基準として、ポリエステル成分の質量割合を算出した。
Figure 0007439492000004
Figure 0007439492000005
本発明に係る積層体は、包材としての優れた充填適性及び強度を両立可能であると共に、その構成フィルムを実質的に全てポリエステルフィルムとすることができる。そのような積層体は、単一素材からなる(モノマテリアルの)包装材料と言うことができ、優れたリサイクル性が期待される。
1…基材層、2…接着層、3…シーラント層、3a…シーラント基材層、3b…ヒートシール層、10,20…積層体。

Claims (10)

  1. ポリエチレンテレフタレートフィルムの選定方法であって、
    前記ポリエチレンテレフタレートフィルムが、結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層、接着層及びシーラント層をこの順に備える積層体におけるシーラント層として用いられ、
    前記ポリエチレンテレフタレートフィルムに対して反射法によりFT-IR分析を行い、下記式より前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの結晶化度を測定する工程と、
    結晶化度が2~15%である第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを選定する工程と、を備える選定方法。
    1409=p1×I1340+p2×I1370 ・・・(式1)
    結晶化度[%]=p1×(I1340/I1409)×100 ・・・(式2)
    (式中、I1409は波数1409cm-1における吸光度を、I1370は波数1370cm-1における吸光度を、I1340は波数1340cm-1における吸光度をそれぞれ示す。p1及びp2は、アモルファスポリエチレンテレフタレートフィルム並びに結晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムそれぞれのI 1409 、I 1370 、及びI 1340 を用いて式1より算出される値である。
  2. 結晶化度が10%以上である第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを選定する工程を更に備える、請求項1に記載の選定方法。
  3. 結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層及びシーラント層を接着層を介して積層する工程を備え、
    前記シーラント層として、請求項1に記載の選定方法により選定された前記第一のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる、積層体の製造方法。
  4. 結晶性ポリエステルフィルムを含む基材層及びシーラント層を接着層を介して積層する工程を備え、
    前記シーラント層として、請求項2に記載の選定方法により選定された前記第一のポリエチレンテレフタレートフィルム及び前記第二のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる、積層体の製造方法。
  5. 前記シーラント層の厚さが15μm以上である、請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記結晶性ポリエステルフィルムが、少なくとも一方の表面に無機酸化物の蒸着層を備える、請求項3~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記積層体の水蒸気透過量が10g/m・day以下である、請求項3~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記積層体の酸素透過量が5cc/m・day以下である、請求項3~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 請求項3~8のいずれか一項に記載の製造方法により製造された積層体の前記シーラント層同士を対向させた状態でヒートシールを行い、内容物が充填されたパッケージを得る工程を備える、パッケージの製造方法。
  10. 23℃における前記パッケージ内の空気の体積割合が15体積%以下である、請求項9に記載の製造方法。
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