JP6963760B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
前記胴部は、積層体により形成されており、
前記胴部は、胴部の上端が外側に丸められたフランジ部を備え、
前記積層体は、少なくとも、紙層と、無機物または無機酸化物の少なくともいずれかを含む薄膜層をいずれか一方の面に備えたポリエステル樹脂層と、第1のシーラント層と、が順に積層されたものであり、
前記第1のシーラント層が前記積層体の最内層を構成しており、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含む2軸延伸フィルムであり、
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含み、
前記イソフタル酸の含有量は、前記バイオマスポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.5モル%以下であることを特徴とするものである。
本発明においては、前記イソフタル酸の含有量は、前記バイオマスポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸単位に対して、0.5モル%以上であってもよい。
本発明においては、前記ポリエステル樹脂層の少なくともいずれか一方の面に前記薄膜層を備えてもよい。
本発明においては、前記積層体が、第2のシーラント層をさらに備え、前記第2のシーラント層が前記積層体の最外層を構成していてもよい。
本発明においては、前記第1のシーラント層が、化石燃料由来またはバイオマス由来の樹脂材料を含み、前記樹脂材料がポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ乳酸からなる群より選択される樹脂を含んでもよい。
本発明においては、前記カップの胴部は、胴部の下端が内側に折り返された状態で底部と接着していてもよい。
本発明においては、前記紙カップがさらに蓋材を備えていてもよい。
本明細書において、
「ポリエステル」とは、ジオール単位とジカルボン酸単位との重縮合反応により得られる重合体を意味する。
また、「化石燃料ポリエステル」とは、化石燃料由来のジオールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする重合体を意味する。
また、「バイオマスポリエステル」とは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする重合体を意味する。
本発明による積層体を構成するポリエステル樹脂層1は、バイオマスポリエステル樹脂を含んでなる。バイオマスポリエステルは、上記したように、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。本発明においては、バイオマスポリエステルの共重合成分であるジカルボン酸単位として、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むことに特徴を有している。従来のバイオマスポリエステルは、バイオマス由来のエチレングリコールとテレフタル酸とを重縮合して得られたものであったため、バイオマスポリエステル樹脂を基材層として用いた積層体では、該積層体を用いて包装体を作製するとクラックが発生することがあった。本発明はこの問題に着目し、バイオマスポリエステルの酸成分であるジカルボン酸単位として、テレフタル酸に加えてイソフタル酸を含有させることにより、積層体の柔軟性を向上させることができることを見出した。以下、本発明に使用されるバイオマスポリエステルについて説明する。
Pbio(%)=PC14/105.5×100 ・・・(1)
縦延伸は、通常、50〜100℃の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、ポリエステルフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
薄膜層2は、無機物または無機酸化物の少なくともいずれかを含む薄膜層である。積層体はポリエステル樹脂層1の少なくともいずれか一方の面に薄膜層を備えることで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を向上させることができる。なお、積層体は、薄膜層を2層以上備えてもよい。薄膜層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50〜600Å位、更に、好ましくは、100〜450Å位が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50〜500Å位、更に、好ましくは、100〜300Å位が望ましいものである。
アルゴン、酸素、窒素、炭酸ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いて、真空状態の環境で発生させたプラズマを、ポリエステル樹脂層1の表面に当てることによって行う、プラズマによる表面改質を行うことができる。このプラズマによる表面改質をポリエステル樹脂層1に行うことにより、薄膜層2とポリエステル樹脂層1との密着性を向上させることができる。
アンカーコート層は、ポリエステル樹脂層1と薄膜層2との間に設けられてもよい。これにより、ポリエステル樹脂層と薄膜層との密着強度を高め、熱水殺菌処理後のデラミネーションの発生を防ぐことができる。
バリアコート膜3は、上記薄膜層2上に設けられることが好ましい。これにより、さらにガスバリア性を向上することができる。このようなバリアコートとしては、一般式:R1 nM(OR2)mで表される少なくとも1種以上のアルコキシド、ポリビニルアルコール及び/又はエチレン・ビニルアルコールを含有する組成物をゾルゲル法によって重縮合して得られるバリアコート用組成物によるものを好適に使用することができる。さらにシランカップリング剤を加えることができる。
第1のシーラント層は、包装体とした場合に最内層側となるものである。シーラント層は、熱によって相互に融着し得るヒートシール性樹脂により形成される層である。第1のシーラント層は、化石燃料由来の樹脂材料を含んでいてもよいし、バイオマス由来の樹脂材料を含んでいてもよい。
第2のシーラント層は、包装体とした場合に最外層となるものである。第2のシーラント層は、熱によって相互に融着し得るヒートシール性樹脂により形成される層である。第2のシーラント層は、第1のシーラント層3と同じ材料を使用することができる。
支持体層は、積層体を支持し、積層体の強度特性や耐衝撃性などを向上させることができるものであれば、特に限定されるものではない。支持体層は、化石燃料由来の樹脂材料を含んでいてもよいし、バイオマス由来の樹脂材料を含んでいてもよい。支持体層3を形成する樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどのポリアミドなどが挙げられる。また、支持体層は延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがさらに好ましい。また、支持体層は、これらの層を一層単独または二層以上を組み合わせて使用することができる。
紙層としては、所望の剛性などに応じて任意の紙を使用することができ、例えば、上質紙、模造紙、アート紙、コート紙、純白ロール紙、クラフト紙、耐水性を高めたラベル用紙、コップ原紙、カード紙、アイボリー紙、マニラボールなどの板紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、合成紙、クレイコート紙などの公知の紙を使用することができる。
印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、ポリエステル樹脂層1の薄膜層2側の面や紙層の外面に設けることができる。印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示のために、文字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。
ドライラミネーション法により2層を接着する際に設ける接着層は、積層しようとする層の表面に、接着剤層を塗布して乾燥させることにより形成することができる。接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。塗布量としては、0.1g/m2〜10g/m2(乾燥状態)が好ましく、1g/m2〜5g/m2(乾燥状態)がより好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用できることは言うまでもない。例えば、紙層、接着樹脂層、薄膜層2、ポリエステル樹脂層1、第1のシーラント層が順に積層された積層体において、薄膜層2が金属を含む場合、接着樹脂層をエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)とすることにより、紙層と薄膜層2の接着性を向上させることができる。
本発明による積層体は、包装袋、紙容器、紙カップ、各種ラベル材料、蓋材、シート成型品、ラミネートチューブ等の用途に好適に使用することができる。包装袋として、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型などの種々の形態が挙げられる。その場合の積層体の厚みは、用途に応じて、適宜決定することができ、例えば、30〜300μm、好ましくは35〜180μmの厚みのフィルムの形態で用いられる。
本発明による積層体をスタンディングパウチに適用した場合について説明する。図3は、スタンディングパウチの構成の一例を簡略に示す図である。図3に示すように、スタンディングパウチ20は、2枚の胴部(側面シート)21と、底部(底面シート)22とで構成されている。スタンディングパウチ20は、側面シート21および底面シート22が同部材で構成されている。スタンディングパウチ20の側面シート21および底面シート22は、例えば、図4に示すように、ポリエステル樹脂層1、薄膜層2、第1のシーラント層4が順に積層された積層体10Aを用いて形成することができる。なお、本実施形態においては、スタンディングパウチ20は、側面シート21と底面シート22とが同部材で構成されているが、これに限定されるものではなく、側面シート21および底面シート22が別部材で構成されていてもよい。
次に、本発明による積層体を用いてチューブ容器を形成した場合について説明する。図5は、チューブ容器の一例を簡略に示す部分断面図である。図5に示すように、チューブ容器30は、頭部31と、筒状胴部32とを備えている。頭部31は、中空円錐型の肩部33と注出口部34とからなり、一体に形成されている。
本発明による積層体を用いて紙容器を形成した場合について説明する。紙容器は、例えば、図7に示すように、第2のシーラント層5、紙層6、薄膜層2、ポリエステル樹脂層1、第1のシーラント層4が順に積層された積層体10Cを用いて形成することができる。第1のシーラント層4は、紙容器とした場合に最内層となるものであり、第2のシーラント層5は紙容器とした場合に最外層となるものである。図8に示すように、紙容器40は、側面を含む四角筒状の胴部41と、四角板状の底部42と、上部43とを有しており、所謂ゲーベルトップ型容器となっている。
紙容器40は、例えば、液体紙容器として使用することができる。また、積層体10Cを用いて、フラットトップ型容器を形成してもよい。
本発明による積層体を用いて紙カップを形成した場合について説明する。紙カップは、例えば、図9に示すように、紙層6、薄膜層2、ポリエステル樹脂層1、第1のシーラント層4が順に積層された積層体10Dを用いて形成することができる。図10は、紙カップの一部を切除した斜視図である。図10に示すように、紙カップ50は、上部にフランジ部51を有し、かつ直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部52と、胴部52の下端(一端)に設けられた底部53とを備えている。胴部52は、その上端が外側に丸められたフランジ部51が設けられている。なお、紙カップ50は、内容物を収納した後に、胴部52のフランジ部51に沿って蓋材(図示せず)が貼着されることにより密封される。蓋材はガスバリア性を有していることが好ましい。
本発明の他の目的は、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と薄膜層とが積層された積層体において、柔軟性を向上させることができる積層体を提供することである。
本発明の他の態様による積層体は、少なくとも、ポリエステル樹脂層と、無機物または無機酸化物の少なくともいずれかを含む薄膜層とが積層された積層体であって、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含んでなり、
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含むものであってもよい。
本発明の他の態様においては、少なくとも、前記ポリエステル樹脂層、前記薄膜層およびバリアコート膜が順に積層された積層体であってもよい。
本発明の他の態様においては、少なくとも、いずれか一方の面に前記薄膜層を備えた前記ポリエステル樹脂層と、第1のシーラント層とが積層された積層体であってもよい。
本発明の他の態様においては、さらに紙層が積層された積層体であってもよい。
本発明の他の態様においては、少なくとも、第2のシーラント層、紙層、いずれか一方の面に前記薄膜層を備えた前記ポリエステル樹脂層、および第1のシーラント層が順に積層された積層体であってもよい。
本発明の他の態様においては、前記第1および/または第2のシーラント層が、化石燃料由来またはバイオマス由来の樹脂材料を含み、前記樹脂材料がポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ乳酸からなる群より選択される樹脂を含んでいてもよい。
本発明の他の態様によれば、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂層を備えた積層体において、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を含むことにより、柔軟性を向上させることができる積層体を実現することができる。
ここで、ポリエステル樹脂1を備えた積層体を用いて柔軟性を評価した結果を示す。
<積層体1の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のイソフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム1を準備した。ポリエステルフィルム1は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。また、イソフタル酸の含有量は、バイオマスポリエステルを構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.0モル%であり、ポリエステルフィルム1におけるイソフタル酸の含有量は、ポリエステルフィルム1を構成する全ジカルボン酸単位に対して、1.33モル%であった。
<積層体2の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム2を準備した。ポリエステルフィルム2は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。
上記積層体1および2を用いて、ポリエステルフィルム1および2の柔軟性(ループスティフネス)を評価した。評価結果を表1に示す。ここで、MD方向はバイオマスポリエステルフィルムの搬送方向を指し、TD方向はMD方向と直交する方向を指す。柔軟性は以下のようにして評価した。まず、サンプルを幅15mmおよび長さ165mmに切り出して、それぞれ試験片を得た。そして、この試験片をループ長60mmでループスティフネステスター(テスター産業(株)製)を用いて各積層体の腰強度値(mN/15mm)を測定した。
次に、ポリエステル樹脂1を備えた積層体を用いてクラックの発生を評価した結果を示す。
<積層体3の作製>
まず、サンドラミネート法を用いて、上記ポリエステルフィルム1の一方の面と、化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m3、厚さ40μm)とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ15μm)を介して貼合した。次に、ドライラミネート法を用いて、ポリエステルフィルム1の他方の面とアルミニウム箔(厚さ7μm)とを貼合した。また、押出しラミネート法を用いて、紙(坪量400g/m2)の一方の面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ20μm)を積層した。最後に、サンドラミネート法を用いて、該アルミニウム箔と、紙(坪量400g/m2)の他方の面とを化石燃料由来のエチレンメタクリレート(EMAA、厚さ20μm)を介して貼合して、低密度ポリエチレン、紙、エチレンメタクリレート、アルミニウム箔、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体3を得た。
<積層体4の作製>
上記ポリエステルフィルム1の代わりに上記ポリエステルフィルム2を用いた以外は、参考例3と同様に作製して、低密度ポリエチレン、紙、エチレンメタクリレート、アルミニウム箔、ポリエステルフィルム2、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体4を得た。
雄型と雌型で押圧することにより、上記積層体3および上記積層体4に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた。その後、アルコール溶液を収容するとともに、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにブランクを図8に示す紙容器に製函した後、1週間経過後のアルミニウム箔の腐食を目視により観察した。積層体3は、アルミニウム箔の腐食は観察されなかった。一方、ポリエステルフィルム2を用いた積層体4は、アルミニウム箔の腐食が観察された。これは、罫線加工によりポリエステルフィルム2にクラックが発生した結果、低密度ポリエチレンフィルムの面からアルコール溶液がポリエステルフィルム2を通過してアルミニウム箔まで達したことを示すものである。この結果からも、ポリエステルフィルム2に比べてポリエステルフィルム1のほうが薄膜層にクラックが発生しにくいことが期待できる。
<積層体5の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のイソフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)と、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料ポリエステル)とを用いて製膜された厚みが12μmの二軸延伸されたポリエステルフィルム1を準備した。ポリエステルフィルム1は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量は20%であった。また、イソフタル酸の含有量は、バイオマスポリエステルを構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.0モル%であり、ポリエステルフィルム1におけるイソフタル酸の含有量は、ポリエステルフィルム1を構成する全ジカルボン酸単位に対して、1.33モル%であった。
このときの冷却ドラム温度は、−15℃であった。
(蒸着条件)
・蒸着チャンバー内の真空度: 2×10−4 mbar
・巻き取りチャンバー内の真空度: 2×10−2 mbar
・電子ビーム電力: 25 kw
・フィルムの搬送速度: 480 m/min
・蒸着面: コロナ処理
調製した組成aのポリビニルアルコールと、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成bのエチルシリケート、シランカップリング剤、塩酸、イソプロピルアルコール、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、無色透明のバリアコート形成用組成物を得た。
上記積層体5を用いて、以下の通り、バリア性の評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、各測定は、サンプル1〜4の4点で行った。
(水蒸気透過度の測定)
温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定機(パーマトラン(PERMATRAN)、モコン(MOCON)社製)を用いて、水蒸気透過度を測定した。なお、水蒸気透過度が2.0以下の場合を良好と評価した。
(酸素透過度の測定)
温度23℃、湿度90%RHの条件で、酸素透過度測定機(オクストラン(OX−TRAN)、モコン(MOCON)社製)を用いて、酸素透過度を測定した。なお、酸素透過度が1.0以下の場合を良好と評価した。
<積層体6の作製>
上記積層体5のバリアコート膜が設けられた側の面に、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ40μm)を320℃で押し出して、シーラント層を形成し、ポリエステルフィルム1、酸化アルミニウムの薄膜層、バリアコート膜、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体6を得た。そして、側面シート21および底面シート22として積層体6を用いて、図3に示すスタンディングパウチを作製した。
<積層体7の作製>
化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ40μm)の代わりにバイオマス由来の低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC118、密度0.918g/m3、厚さ40μm)を用いた以外は、実施例2と同様に作製して、ポリエステルフィルム1、酸化アルミニウムの薄膜層、バリアコート膜、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体7を得た。そして、側面シート21および底面シート22として積層体7を用いて、図3に示すスタンディングパウチを作製した。
<積層体8の作製>
ドライラミネート法を用いて、上記積層体5のバリアコート膜が設けられた側の面と化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(密度0.916g/m3、厚さ130μm)とを貼合した。次に、ドライラミネート法を用いて、上記積層体のバリアコート膜が設けられていない側の面と化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(密度0.916g/m3、厚さ130μm)とを貼合して、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体8を得た。そして、筒状胴部32として、積層体8を用いて、ポリエステルフィルム1に隣接する直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが内面になるようにして、図5に示すチューブ容器を作製した。
<積層体9の作製>
ポリエステルフィルム1に隣接する化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(密度0.916g/m3、厚さ130μm)の代わりにバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SLL118、密度0.916g/m3、厚さ130μm)を用いた以外は、実施例4と同様に作製して、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体9を得た。そして、筒状胴部32として、積層体9を用いて、ポリエステルフィルム1に隣接する直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが内面になるようにして、図5に示すチューブ容器を作製した。
<積層体10の作製>
サンドラミネート法を用いて、上記積層体5のバリアコート膜が設けられていない側の面と、化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m3、厚さ40μm)とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ15μm)を介して貼合した。また、押出しラミネート法を用いて、紙(坪量400g/m2)の一方の面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ20μm)を積層した。最後に、サンドラミネート法を用いて、上記積層体5のバリアコート膜が設けられた側の面と、紙(坪量400g/m2)の他方の面とを化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ15μm)を介して貼合して、低密度ポリエチレン、紙、低密度ポリエチレン、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体10を得た。そして、雄型と雌型で押圧することにより積層体10に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた後、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにして、図8に示す紙容器を作製した。
<積層体11の作製>
化石燃料由来の低密度ポリエチレンフィルム(密度0.920g/m3、厚さ40μm)の代わりにバイオマス由来の低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC118、密度0.918g/m3、厚さ40μm)を用いた以外は、実施例6と同様に作製して、低密度ポリエチレン、紙、低密度ポリエチレン、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンフィルムが順に積層された積層体11を得た。そして、雄型と雌型で押圧することにより積層体11に罫線加工を施すとともに、紙容器用のブランクに打ち抜いた後、低密度ポリエチレンフィルムの面が内面になるようにして、図8に示す紙容器を作製した。
<積層体12の作製>
押出しラミネート法を用いて、上記積層体5のバリアコート膜が設けられていない側の面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ40μm)を積層した。次に、サンドラミネート法を用いて、紙(坪量270g/m2)と、上記積層体5のバリアコート膜が設けられた側の面とを、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ15μm)を介して貼合して、紙、低密度ポリエチレン、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体12を得た。また、紙(坪量250g/m2)に印刷層を形成した。そして、積層体12を用いて胴部52および底部53を形成した後、胴部52の外周に印刷層を設けた紙を印刷層が外側になるように巻くことにより、図11に示す紙カップを作製した。
<積層体13の作製>
最内層の化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度0.920g/m3、厚さ40μm)の代わりにバイオマス由来の低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC118、密度0.918g/m3、厚さ40μm)を用いた以外は、実施例8と同様に作製して、紙、低密度ポリエチレン、バリアコート膜、酸化アルミニウムの薄膜層、ポリエステルフィルム1、低密度ポリエチレンが順に積層された積層体13を得た。また、紙(坪量250g/m2)に印刷層を形成した。そして、積層体13を用いて胴部52および底部53を形成した後、胴部52の外周に印刷層を設けた紙を印刷層が外側になるように巻くことにより、図11に示す紙カップを作製した。
2 薄膜層
3 バリアコート膜
4 第1のシーラント層
5 第2のシーラント層
6 紙層
10、10A、10B、10C、10D 積層体
20 スタンディングパウチ
30 チューブ容器
40 液体紙容器
50 紙カップ
Claims (7)
- 胴部と、底部とを備える紙カップであって、
前記胴部は、積層体により形成されており、
前記胴部は、胴部の上端が外側に丸められたフランジ部を備え、
前記積層体は、少なくとも、紙層と、無機物または無機酸化物の少なくともいずれかを含む薄膜層をいずれか一方の面に備えたポリエステル樹脂層と、第1のシーラント層と、が順に積層されたものであり、
前記第1のシーラント層が前記積層体の最内層を構成しており、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステル樹脂を含む2軸延伸フィルムであり、
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸とイソフタル酸とを含み、
前記イソフタル酸の含有量は、前記バイオマスポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸単位に対して、2.5モル%以下であることを特徴とする、紙カップ。 - 前記イソフタル酸の含有量は、前記バイオマスポリエステル樹脂を構成する全ジカルボン酸単位に対して、0.5モル%以上である、請求項1に記載の紙カップ。
- 前記ポリエステル樹脂層の少なくともいずれか一方の面に前記薄膜層を備える、請求項1または2に記載の紙カップ。
- 前記積層体が、第2のシーラント層をさらに備え、
前記第2のシーラント層が前記積層体の最外層を構成している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙カップ。 - 前記第1のシーラント層が、化石燃料由来またはバイオマス由来の樹脂材料を含み、前記樹脂材料がポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ乳酸からなる群より選択される樹脂を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙カップ。
- 前記カップの胴部は、胴部の下端が内側に折り返された状態で底部と接着している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙カップ。
- さらに蓋材を備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙カップ。
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