JP7108982B2 - ポリエステル樹脂層を備える積層体およびそれを備える包装製品 - Google Patents

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本発明は、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層を備えた積層体に関し、より詳細には、少なくとも、紙基材層と、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とを備える積層体に関する。さらには、該積層体を備える包装製品および紙コップに関する。
ポリエステルは、その機械的特性、化学的安定性、耐熱性、透明性などに優れ、かつ安価であることから、各種産業用途に広く使用されている。ポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合して得られ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、エチレングリコールとテレフタル酸とを原料として、これらをエステル化反応させた後に重縮合反応させて製造されている。これらの原料は化石資源である石油から生産され、例えば、エチレングリコールはエチレンから、テレフタル酸はキシレンから工業的に生産されている。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、汎用高分子材料であるポリエステルをこれらバイオマス原料から製造する試みも行われている。
例えば、バイオマス原料を用いたポリエステルとして、バイオマス原料のひとつであるイソソルビド、テレフタル酸およびエチレングリコールからなるポリエステルが提案されている(特許文献1)。
また、トウモロコシやサトウキビ等の植物から得られるデンプンや糖類を微生物で発酵させて得られたバイオマスエタノールが実用化されており、このバイオマスエタノールからエチレンを経由して工業的にエチレングリコールを製造することにも成功している。
特表2002-512304号公報
本発明者らは、ポリエステルの原料であるエチレングリコールに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレングリコールに代えて、バイオマス由来のエチレングリコールをその原料としたバイオマスポリエステル(以下、単に「バイオマスポリエステル」ということがある)を含むポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップは、従来の化石燃料から得られるエチレングリコールを用いて製造されたポリエステル(以下、単に「化石燃料由来のポリエステル」ということがある)からなるポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップと、機械的特性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、従来の化石燃料由来のポリエステルからなるポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップと機械的特性等の物性面で遜色ない、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップを提供することである。
本発明の態様においては、
少なくとも、紙基材層と、接着樹脂層と、バリア層を有するポリエステル樹脂層と、第1の熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層体を備える紙カップであって、
前記積層体の最内層が前記第1の熱可塑性樹脂層であり、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステルを含み(但し、前記ポリエステル樹脂層はメカニカルリサイクルポリエステルを含まない)、
前記第1の熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
前記ポリエステル樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記接着樹脂層が、前記紙基材層および前記バリア層を有するポリエステル樹脂層と接している、紙カップが提供される。
本発明の態様においては、前記ジカルボン酸がテレフタル酸であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリア層が、無機物および/または無機酸化物からなるものであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリア層が、蒸着膜または金属箔からなることが好ましい。
本発明の態様においては、前記積層体が、第2の熱可塑性樹脂層を備え、
前記積層体の最外層が前記第2の熱可塑性樹脂層であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記接着樹脂層がバイオマス由来のポリエチレンを含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記紙カップに用いられる積層体の製造方法であって、
溶融押出しして形成した前記接着樹脂層を介して、前記バリア層を有するポリエステル樹脂層を積層する、紙カップの製造方法が提供される。
本発明による積層体を備える紙カップは、積層体が、少なくとも、紙基材層と、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とを備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体を備える紙カップは、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップと比べて機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体を備える紙カップを代替することができる。
本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 紙カップの一部を切除した斜視図。 紙カップの別の実施形態を示す一部を破断した正面図。
本発明において、「バイオマスポリエステル」および「バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層」とは、原料として少なくとも一部にバイオマス由来の原料を用いたものであって、原料の全てがバイオマス由来のものであることを意味するものではない。
<積層体>
本発明による積層体は、紙基材層と、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備えるものである。以下、熱可塑性樹脂層と表現した場合、第1の熱可塑性樹脂層を指すものとする。積層体は、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層を備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体を代替することができる。
本発明による該積層体は、上記の層以外に、印刷層、バリア層、プラスチックフィルム、接着層、第2の熱可塑性樹脂層等の他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体の模式断面図の例を図1~3に示す。
図1に示される積層体10は、紙基材層11と、紙基材層11上に形成されたポリエステル樹脂層12と、ポリエステル樹脂層12上に直接形成された熱可塑性樹脂層13とを備えるものである。積層体10を備える紙カップの場合、熱可塑性樹脂層13が紙カップの内側に位置する。ここで、ポリエステル樹脂層12は、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層である。
図2に示される積層体20は、紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層14と、ポリエステル樹脂層12と、接着層14と、熱可塑性樹脂層13とをこの順に備える。積層体20を備える紙カップの場合、熱可塑性樹脂層13が紙カップの内側に位置する。
図3に示される積層体30は、紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層14と、バリア層15と、ポリエステル樹脂層12と、接着層14と、熱可塑性樹脂層13とをこの順に備える。積層体30を備える紙カップの場合、熱可塑性樹脂層13が紙カップの内側に位置する。
なお、いずれの積層体においても、紙基材層11の他方の面上に、印刷層または第2の熱可塑性樹脂層を積層してもよい。印刷層および第2の熱可塑性樹脂層を積層する場合、第2の熱可塑性樹脂層が最外面になるように積層してもよい。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
(紙基材層)
本発明において、紙基材層は、ポリエステル樹脂層を保持する基材層としての機能を果たすものであり、積層体に包装製品としての強度を付与できるものが好ましい。紙基材層として用いる紙は、100g/m以上700g/m以下、好ましくは150g/m以上600g/m以下、より好ましくは200g/m以上500g/m以下の坪量を有するものである。紙基材層としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の使用が好ましい。
また、本発明で使用する板紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、硫酸バンドを使用してpH6以上pH9以下の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
(ポリエステル樹脂層)
本発明において、ポリエステル樹脂層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステルを含むものである。ポリエステル樹脂層は、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする化石燃料由来のポリエステルをさらに含んでもよい。ポリエステル樹脂層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、ポリエステル樹脂層がバイオマスポリエステルを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のポリエステルの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
本発明において、ポリエステル樹脂層中の「バイオマス度」(バイオマス由来の炭素濃度)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、ポリエステル中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。本発明においては、バイオマスポリエステル中の全炭素に対して、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、10%以上20%以下であることが好ましく、10%以上19%以下であってもよい。バイオマスポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量が10%以上であると、カーボンオフセット材料として好適である。また、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエステル中のバイオマス由来の炭素の含有量は0%であり、化石燃料由来のポリエステルのバイオマス度は0%となる。
本発明において、ポリエステル樹脂層中のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。ポリエステル樹脂層中のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のポリエステルの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
バイオマスポリエステルの樹脂組成物、または、バイオマスポリエステルと化石燃料由来のポリエステルを含む樹脂組成物を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することによりポリエステル樹脂層を形成することができる。具体的には、上記した樹脂組成物を乾燥させた後、樹脂組成物の融点Tm以上の温度~Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することによりポリエステル樹脂層のフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
ポリエステル樹脂層は2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出されたポリエステル樹脂層のフィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、フィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
縦延伸されたフィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して二軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合はフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
ポリエステル樹脂層のフィルムの破断強度は、MD方向で5kg/mm以上40kg/mm以下、TD方向で5kg/mm以上35kg/mm以下であり、また、破断伸度は、MD方向で50%以上350%以下、TD方向で50%以上300%以下である。また、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1%以上5%以下である。
ポリエステル樹脂層は、好ましくは5μm以上38μm以下、より好ましくは5μm以上25μm以下、さらに好ましくは8μm以上16μm以下の厚さを有するものである。
ポリエステル樹脂層の厚さが上記範囲程度であれば、成形加工が容易である。
(バイオマスポリエステル)
バイオマスポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなり、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを用い、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を用いて重縮合反応により得られるものである。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常炭素数が2以上40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらのなかでも、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸又はこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、又はこれらの混合物がより好ましい。
これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合して使用することもできる。
バイオマスポリエステルは、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度の共重合ポリエステルが容易に製造できる傾向があるため、特に2官能及び/又は3官能以上のオキシカルボン酸が好適に使用される。その中でも、3官能以上のオキシカルボン酸の使用は、後述する鎖延長剤を使用することなく、極少量で容易に高重合度のポリエステルを製造できるので最も好ましい。
また、バイオマスポリエステルは、これらの共重合ポリエステルを鎖延長(カップリング)した高分子量のポリエステルであってもよい。鎖延長剤としては、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできるが、その量は、通常ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対し、カーボネート結合ならびにウレタン結合が通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物が使用可能である。
ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが挙げられる。
バイオマスポリエステルは、上記したジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。具体的には、上記のジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。
バイオマスポリエステルを製造する際に用いるジオールの使用量は、ジカルボン酸又はその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化及び/又はエステル交換反応及び/又は縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上20モル%以下の量を過剰に用いることが好ましい。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く第1族~第14族金属元素を含む化合物が挙げられる。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ-ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、特に、チタン化合物、ジルコニウム化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好ましい。
チタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的には、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート及びこれらの混合チタネートが挙げられる。また、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマー等も好適に用いられる。更には、酸化チタンや、チタンと珪素を含む複合酸化物も好適に用いられる。これらの中でも、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート及びテトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー、酸化チタン、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の製品名:C-94)が好ましく、特に、テトラ-n-ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の製品名:C-94)が好ましい。
ジルコニウム化合物としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテイト、シュウ酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネートならびにそれらの混合物が挙げられる。また、酸化ジルコニウムや、例えばジルコニウムと珪素を含む複合酸化物を使用してもよい。これらの中でも、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシドが好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、具体的には、酸化ゲルマニウムや塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特に、酸化ゲルマニウムが好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒使用量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常5ppm以上、好ましくは10ppm以上であり、上限値が通常30000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマーの熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる。ここで使用する触媒量としては、その使用量を低減させる程生成するポリエステルの末端カルボキシル基量が低減されるので使用触媒量を低減させる方法は好ましい態様である。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、通常、150℃以上260℃以下の範囲であり、反応雰囲気は、通常窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。また、反応圧力は、通常、常圧以上10kPa以下である。また、反応時間は、通常、1時間以上10時間以下である。
上記した製造工程において、鎖延長剤(カップリング剤)を反応系に添加してもよい。
鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で、無溶媒で反応系に添加し、重縮合により得られたポリエステルと反応させる。
これらの鎖延長剤(カップリング剤)を用いた高分子量ポリエステルは公知の技術を用いて製造することが可能である。鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で無溶媒で反応系に添加し、重縮合により得られたポリエステルと反応させる。具体的には、ジオールとジカルボン酸とを触媒反応させて得られる、末端基が実質的にヒドロキシル基を有し、質量平均分子量(Mw)が20,000以上、好ましくは40,000以上のポリエステルプレポリマーに上記鎖延長剤を反応させることにより、より高分子量化したポリエステル系樹脂を得ることができる。質量平均分子量が20,000以上のプレポリマーであれば、少量のカップリング剤の使用で、溶融状態といった苛酷な条件下でも、残存する触媒の影響を受けないので反応中にゲルを生ずることなく、高分子量のポリエステルを製造することができる。
得られたポリエステルは、固化させた後、さらに重合度を高めたり、環状三量体などのオリゴマーを除去するために、必要に応じて固相重合を行ってもよい。具体的には、ポリエステルをチップ化して乾燥させた後、100℃以上180℃以下の温度で1時間以上8時間以下程度加熱してポリエステルを予備結晶化させ、続いて、190℃以上230℃以下の温度で、不活性ガス流通下または減圧下で1時間以上数十時間以下加熱することにより行われる。
上記のようにして得られるポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール溶液で、35℃にて測定)は、原料製造工程およびフィルム製膜工程における生産性の観点から、0.5dl/g以上1.5dl/g以下であることが好ましく、0.6dl/g以上1.2dl/g以下であることがより好ましい。
バイオマスポリエステルの製造工程において、または製造されたバイオマスポリエステルには、その特性が損なわれない範囲において各種の添加剤を添加してもよく、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料等を添加することができる。これら添加剤は、バイオマスポリエステルを含む樹脂組成物全体に対して、5質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上20質量%以下の範囲で添加される。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。積層体が、熱可塑性樹脂層をさらに備えることで、従来の積層体と同様の耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、およびその他の物性を付与させることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン等を挙げることができ、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、およびエチレン-メタクリル酸共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂層がバイオマス由来の材料を含む場合、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂層がバイオマスポリオレフィンを含む場合、好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)等が挙げられる。
また、上述のように、紙基材層のポリエステル樹脂層とは反対側の面に第2の熱可塑性樹脂層を設けてもよい。第2の熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂層(第1の熱可塑性樹脂層)と同じ樹脂を用いることができる。
(印刷層)
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、紙基材層のポリエステル樹脂層とは反対側の面に設けることができる。印刷層は、紙基材層の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
(バリア層)
バリア層は、無機物および/または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層をさらに有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装用材料(袋)等に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜、あるいは、ケイ素酸化物またはアルミニウム金属もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1、5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~1、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上600Å以下、更に、好ましくは、100Å以上450Å以下が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましいものである。
蒸着膜は、ポリエステル樹脂層や、下記のプラスチックフィルムに以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
また、他の態様によれば、バリア層は、金属を圧延して得られた金属箔であってもよい。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。
(プラスチックフィルム)
本発明においては、他の層として各種プラスチックフィルムを用いてもよい。例えば、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/ エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであってもよい。なお、プラスチックフィルムには、ポリビニルアルコールなどがコーティングされていてもよい。
プラスチックフィルムは、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。プラスチックフィルムがバイオマス由来の材料を含む場合、ポリエステル樹脂層と同じ材料を使用することができる。
(接着層)
接着層は、ドライラミネート法により2層を接着する場合に、積層しようとする層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される接着剤層とすることができる。
接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。塗布量としては、0.1g/m以上10g/m以下(乾燥状態)が好ましく、1g/m以上5g/m以下(乾燥状態)がより好ましい。
また、接着層は、溶融押出しラミネート法により熱可塑性樹脂層などを積層する場合に、積層しようとする層の表面に、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成されるアンカーコート層であってもよい。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなるアンカーコート剤が挙げられるが、特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂と、硬化剤としてのイソシアネート化合物とからなるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよく、また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。
また、接着層は、サンドラミネート法により2層を接着する場合や溶融押出しラミネート法に使用される接着樹脂層であってもよい。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用できることは言うまでもない。
接着樹脂層は、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。接着樹脂層がバイオマス由来の材料を含む場合、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含んでいてもよい。
接着樹脂層がバイオマスポリオレフィンを含む場合、好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)等が挙げられる。
(積層体の製造方法)
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、溶融押出しラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いてにより製造することができる。本発明においては、サンドラミネート法を用いて、溶融押出しして形成した接着樹脂層を介して、ポリエステル樹脂層を積層することができる。
上記のようにして得られる積層体の厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5μm以上500μm以下、好ましくは20μm以上300μm以下である。
本発明による積層体には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明による積層体に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
(用途)
本発明による積層体は、紙カップ、液体紙容器、ラベル材料、蓋材等の包装製品に使用することができる。
(紙カップ)
本発明による積層体は、特に紙コップに好適に使用できる。本発明による積層体を用いて紙カップを形成した場合について説明する。図4は、紙カップの一部を切除した斜視図である。図4に示すように、紙カップ40は、上部にフランジ部41を有し、かつ直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部42と、胴部42の下端(一端)に設けられた底部43とを備えている。胴部42は、その上端が外側に丸められたフランジ部41が設けられている。なお、紙カップ40は、内容物を収納した後に、胴部42のフランジ部41に沿って蓋材(図示せず)が貼着されることにより密封されていてもよい。蓋材はガスバリア性を有していることが好ましい。
また、紙カップ40は、図5に示すように、胴部42の外周に外装体44を備えていてもよい。外装体44としては、例えば、紙を用いることができる。そして、胴部42には凸部45が形成されている。凸部45は、胴部42と外装体44との間に空気層の間隙46を設けるために形成される。凸部45は水平方向に一本以上設けられ、例えば、図5に示すように二本設けることができる。
(他の態様)
本発明者らは、ポリエステルの原料であるエチレングリコールに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレングリコールに代えて、バイオマス由来のエチレングリコールをその原料としたバイオマスポリエステル(以下、単に「バイオマスポリエステル」ということがある)を含むポリエステル樹脂層を備える積層体は、従来の化石燃料から得られるエチレングリコールを用いて製造されたポリエステル(以下、単に「化石燃料由来のポリエステル」ということがある)からなるポリエステル樹脂層を備える積層体と、機械的特性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明の他の態様はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の他の態様の目的は、従来の化石燃料由来のポリエステルからなるポリエステル樹脂層を備える積層体と機械的特性等の物性面で遜色ない、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層を備える積層体を提供することである。
本発明の他の態様においては、
少なくとも、紙基材層と、ポリエステル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とをこの順に備える積層体であって、
前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステルを含み、
前記ポリエステル樹脂層中のバイオマス度が5%以上である、積層体が提供される。
本発明の他の態様においては、前記ジカルボン酸がテレフタル酸であることが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記熱可塑性樹脂層が、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、およびエチレン-メタクリル酸共重合体からなる群から選択される樹脂材料を含むことが好ましい。
本発明の他の態様においては、前記積層体を備える包装製品が提供される。
本発明の他の態様においては、前記積層体を備える紙カップであって、
前記紙カップの最内層が前記熱可塑性樹脂層である、紙カップが提供される。
本発明の他の態様による積層体は、少なくとも、紙基材層と、バイオマスポリエステルを含むポリエステル樹脂層と、熱可塑性樹脂層とを備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明の他の態様による積層体は、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体と比べて機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体を代替することができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
<測定・条件>
下記の参考例、参考比較例、実施例、および比較例において、バイオマス度とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素濃度の値である。
下記で用いた押出製膜機の条件は、以下のとおりであった。
スクリュー径:90mm
スクリュー型式:フルフライト
L/D:28
Tダイ:11S型ストレートマニホールド
Tダイ有効開口長:560mm
[実施例1]
<積層体1の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した二軸延伸されたポリエステルフィルム1(バイオマス度:20%、東洋紡社製、DE038、厚さ12μm)を準備した。紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS-700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、第2の熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の第2の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム1(ポリエステル樹脂層)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、第2の熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体1を得た。
[実施例2]
<積層体2の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS-700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、第2の熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ20μm)を形成した。
次に、紙基材層の第2の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、バイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム1(ポリエステル樹脂層)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、第2の熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体2を得た。
[比較例1]
<積層体3の作製>
化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコール(化石燃料由来のポリエステル)用いて製膜した二軸延伸されたポリエステルフィルム2(バイオマス度:0%、東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)を準備した。紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS-700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、第2の熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の第2の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム2(樹脂層)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム2上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、第2の熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体3を得た。
[実施例3]
<積層体4の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム1のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体4を得た。
[実施例4]
<積層体5の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、バイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム1のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体5を得た。
[比較例2]
<積層体6の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施したポリエステルフィルム2のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、ポリエステルフィルム2上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体6を得た。
[実施例5]
<積層体7の作製>
ポリエステルフィルム1を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成して、酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム1を得た。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2~6×10-6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2~5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/分
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム1の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で押出成形して、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体7を得た。
[実施例6]
<積層体8の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、バイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム1の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム1上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で押出成形して、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、ポリエステル樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体8を得た。
[比較例3]
<積層体9の作製>
ポリエステルフィルム2を用いた以外は実施例3と同様にして、酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム2を得た。
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム2(バイオマス度:0%)の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該酸化珪素蒸着ポリエステルフィルム2上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT-RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で押出成形して、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、樹脂層、アンカーコート層、熱可塑性樹脂層が順に積層された積層体9を得た。
[製造例1~9]
<紙カップの作製>
下記表1に記載の胴部材用積層体と底部材用積層体を組み合わせて、以下の工程にて紙カップを製造した。まず、胴部材用積層体から紙カップの胴部を作る円錐台形のブランク板を打ち抜き加工した。次に、上記のブランク板を筒状に巻いて、その両端部を部分的に重ね合わせ、その重合部分にホットエアー処理を行い、上記の重合部分に存在する低密度ポリエチレン樹脂層を加熱溶融した。続いて、熱板等によって押圧して胴貼りを行って胴シール部を形成して、紙カップを構成する筒状のカップ胴部を製造した。
他方、底部材用積層体を円形状に打ち抜き加工して、底部を構成する円板を製造し、次いで、当該円板の外周部を筒状に起立成形して、起立成形部を有する底部を製造した。次いで、上記で製造した筒状のカップ胴部に、同じく上部で製造した底紙を挿入した後、その筒状のカップ胴部と底紙とを、その接合部分に熱風等を吹きつけてその接合部分に存在する樹脂層を加熱溶融した。続いて、カール用型により筒状のカップ胴部の先端部を内方に折り曲げて、上記の底部を構成する起立成形部にかぶせて、上記の筒状のカップ胴部の先端部と底部の起立成形部との重合部分を内径側からローレットによりローレットがけすることにより、上記の筒状のカップ胴部と底部とを密接着させて接合部を形成して、上記の筒状のカップ胴部と底部とからなる紙カップ底部を形成した。
その後、上記の筒状のカップ胴部の底部を密接着させて接合部を形成した側と反対側の先端短部を、上記と同様にカール用型により外方に折り曲げながらカールさせて、上端外向きカール部を形成して、満杯容量382ccの紙カップを製造した。
<性能評価試験>
製造した紙カップについて以下の性能評価試験を行った。
(破壊検査試験)
製造した紙カップを破壊検査し、接着状態を下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:紙剥けの現象が確認されるかあるいは材料が破壊され、接着状態は問題無かった。
×:シール異常が有り、接着状態は不良であった。
(液漏れ試験)
製造した紙カップを各40個用意し、各紙カップに中性洗剤(0.3%溶液)を添加し、10分間静置した後、下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:液漏れが無く、紙カップとしての性能が良好であった。
×:液漏れが有り、紙カップとしての性能が不良であった。
Figure 0007108982000001
10、20、30 積層体
11 紙基材層
12 ポリエステル樹脂層
13 熱可塑性樹脂層
14 接着層
15 バリア層
40 紙カップ
41 フランジ部
42 胴部
43 底部
44 外装体
45 凸部
46 間隙

Claims (8)

  1. 胴部用積層体と底部用積層体とを密接着させて接合部を形成した紙カップにおいて、
    前記胴部用積層体または前記底部用積層体が、 少なくとも、紙基材層と、接着樹脂層と、バリア層を有するポリエステル樹脂層と、第1の熱可塑性樹脂層とをこの順に備え
    前記積層体の最内層が前記第1の熱可塑性樹脂層であり、
    前記ポリエステル樹脂層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするバイオマスポリエステルを含み(但し、前記ポリエステル樹脂層はメカニカルリサイクルポリエステルを含まない)、
    前記第1の熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
    前記ポリエステル樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
    前記接着樹脂層が、前記紙基材層および前記バリア層を有するポリエステル樹脂層と接している、紙カップ。
  2. 前記ジカルボン酸がテレフタル酸である、請求項1に記載の紙カップ。
  3. 前記バリア層が、無機物および/または無機酸化物からなるものである、請求項1または2に記載の紙カップ。
  4. 前記バリア層が、蒸着膜または金属箔からなる、請求項3に記載の紙カップ。
  5. 前記積層体が、第2の熱可塑性樹脂層を備え、
    前記積層体の最外層が前記第2の熱可塑性樹脂層である、請求項1~4のいずれか一項に記載の紙カップ。
  6. 前記接着樹脂層がバイオマス由来のポリエチレンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の紙カップ。
  7. 前記接着樹脂層が、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、および、酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される一種または二種以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の紙カップ。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載の紙カップに用いられる積層体の製造方法であって、
    溶融押出しして形成した前記接着樹脂層を介して、前記バリア層を有するポリエステル樹脂層を積層する、紙カップの製造方法。
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