JP7438760B2 - 免制震エレベータ - Google Patents
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Description
特許文献1には、エレベータの昇降路の下部にエレベータピットを設け、そのエレベータピットの底部内に免震装置を設置し、昇降路内に配置されるエレベータ架構を免震装置上に載置してエレベータ架構の底部側に地震検知器を設けて検知した地震動の数値が免震装置によって減衰される構成の免震エレベータを採用し、エレベータ架構の変形や破壊を防止する構成が提案されている。この場合、昇降路の底部に設けられた免震装置上にエレベータ架構が載置され、このエレベータ架構は昇降路の壁との間にクリアランスを確保した状態で配置されており、地震時に建物が大きく揺れても、その建物の揺れが免震装置で緩和されてエレベータ架構に伝達され、これによりエレベータ架構が構造体に衝突しない構成となっている。
すなわち、エレベータに設置される免震装置は例えば年1回程度の点検や、必要に応じて免震装置を更新する必要がある。そのため、エレベータ架構の底部を支持する免震装置が配置されるエレベータピットの大きさは免震装置の点検や更新を行うために、エレベータシャフト周りのクリアランスを大きくして十分な作業スペースが確保する必要があることから、エレベータピットが大きくなってしまうという問題があった。
また、本発明の他の目的は、免制震装置を基壇部に設けない配置とすることで、エレベータシャフトの振れ幅を小さくできるとともに、エレベータピットの深さを浅くすることができる免制震エレベータを提供することである。
また、本発明に係る免制震エレベータでは、エレベータシャフトにおける免制震装置によって支持される被支持部がエレベータシャフトの側壁となるため、免制震装置をエレベータシャフトが配置される領域よりも外側に配置することができるうえ、必要であれば複数の設置も可能になる。そのため、本実施形態では、例えば従来のようにエレベータシャフトの底部で免制震支持する場合のようにエレベータシャフトが転倒し易い構造に比べて、エレベータシャフトの変位量を抑えることができる。
また、本発明の免制震エレベータによれば、免制震装置を基壇部に設けない配置とすることで、エレベータシャフトの振れ幅を小さくできるとともに、エレベータピットの深さを浅くすることができる。
図1に示す本実施形態による免制震エレベータ1は、建物2の構造体と分離されているエレベータシャフト3に免震ゴム4(免制震装置)を備えて免震機能をもたせたエレベータである。
なお、本実施形態では、免震ゴム4を適用した免震装置を対象としているが、制震装置のみ、あるいは免震装置と制震装置との組み合わせによる装置を対象とした免制震装置が対象となる。
ここで、免震ゴム4は、建物2の地上階と2階との間に配置されている。そして、免震ゴム4が設けられる層を第1免震支持部M1として以下説明する。
エレベータピット23は、上端部23aが地上階22と2階の床スラブ2Aとの間の層に位置している。
エレベータシャフト3は、図1に示すように、側壁31と、頂壁32と、底壁33と、を有している。エレベータシャフト3は、第1免震支持部M1より上側、及び下側は床スラブ2Aと切り離された自由端をなしている。
また、エレベータシャフト3の内側には、エレベータ本体5の昇降移動を案内するガイドレール(図示省略)が上下方向に延在した状態で設けられている。
また、エレベータシャフト3には、他の各階と同じレベルにおいて側壁31から外方に突出する張出し床3bが固定されている。張出し床3bは、同レベルの床スラブ2Aのシャフト用開口21との間に所定間隔をあけて配置されている。そして、建物2の構造体(床スラブ2A)とエレベータシャフト3とは構造的には別の挙動を示すため、各階における床スラブ2Aと、シャフト支持架台6又は張出し床3bと、の間はエクスパンションジョイント24で接続されている。
なお、具体的にクリアランスCは、(ピット周囲間隔S+αn)以上となるように設定される。ここで、αnは、クリアランスCが設置される階高(m)をHnとしたときに、Hn×(1/50)の式で求められる値である。例えば、図2に示すように、2階の床スラブ2Aに形成されるクリアランスC(S+α2)は、H2×(1/50)により求めることができる。
本実施形態では、図2に示すように、エレベータシャフト3の側壁31が2階の床スラブ2Aとの間に配置される免震ゴム4を介して支持され、免震ゴム4をエレベータシャフト3より水平方向の外側に配置することで、構造上変形に有利な構造となる。すなわち、地震時には免震ゴム4によってエレベータシャフト3の揺れを抑制して小さな加速度幅に抑えることができる。そのため、エレベータが地震発生時のP波で一時停止した後、S波の加速度を小さく抑えることで、地震後、エレベータを通常運転に戻すことができる。
また、本実施形態による免制震エレベータ1では、免震ゴム4を基壇部に設けない配置とすることで、エレベータシャフト3の振れ幅を小さくできるとともに、エレベータピット23の深さを浅くすることができる。
図4に示すように、第2実施形態の免制震エレベータ1Aは、シャフト支持架台6Aに対して4つの免震ゴム4を配置した構成である。すなわち、上述した第1実施形態では、シャフト支持架台6に対して2つの免震ゴム4を備えた構成(図3参照)としているが、第2実施形態のシャフト支持架台6Aでは横枠フレーム61と縦枠フレーム62とによって形成される4つの角部6aの下面のそれぞれに免震ゴム4(免制震装置)を支持させた構成となっている。
図5に示す第3実施形態の免制震エレベータ1Bは、建物2に免震装置及び制震装置、又はすべり支承を設けた構成である。第3実施形態では、地上階と2階との間で上述した第1実施形態と同様の免震ゴム4(第1免制震装置)を備えた第1免震支持部M1(第1免制震支持部)が配置され、その上層階にすべり支承7を備えた第2免震支持部M2(第2免制震支持部)を配置した構成となっている。なお、図5において、第2免震支持部M2は、第1免震支持部M1を支持するフロア(2F)の1階上のフロア(3F)の床スラブ2Aに配置されているが、第1免震支持部M1に対して階をあけた上層部に配置されていてもよい。
ここでは、免制震エレベータ1Bの地震応答低減や転倒防止を効率よく実現できる組み合わせとする。
図6に示す第4実施形態の免制震エレベータ1Cは、第3実施形態のすべり支承7を複数階に設けるものであり、全層あるいは限定層に制震ダンパー又はすべり支承を設けることで、免制震エレベータ1Cの地震応答低減や転倒防止を更に効率よく実現する組み合わせとする。すなわち、第1免震支持部M1において、シャフト支持架台6とエレベータピット23との間にすべり支承7が組み込まれている。さらに、第1免震支持部M1よりも上層には、複数(図6では2層が記載)の第2免震支持部M2が配置され、それぞれエレベータシャフト3の側壁31にシャフト支持架台6Bが設けられ、シャフト支持架台6Bと同レベルにある床スラブ2Aとの間にすべり支承7が設けられている。
また、第2免制震装置は、建物2の高さや免制震エレベータ1Cの平面形状、寸法等により、どの層にどの装置を設けるか適宜使い分けることも可能である。
図7に示す第5実施形態による免制震エレベータ1Dは、エレベータシャフト3が建物2の外側に露出した状態で設けた構成となっている。第5実施形態では、エレベータシャフト3の側壁31のうち片面のみが建物2の床スラブ2Aに対向して配置されている。
この場合も、エレベータシャフト3の側壁31にシャフト支持架台6が設けられ、シャフト支持架台6とエレベータピット23との間に免震ゴム4(免制震装置)を介在させた構成となっている。
なお、本第5実施形態では、免制震エレベータ1Dが建物2から離れないように復元力の生じる制震ダンパー74や転倒防止機能を有するダッシュポット75(転倒防止装置)を有する第2免制震装置70が設けられている。
また、柱頭免震や中間階免震の場合には、耐火被覆が必要とされる。
また、上記実施形態では、建物構造体として床スラブ2Aを対象としているが、床スラブ2Aであることに制限されることはなく、他の建物構造体であってもよい。例えば新設の建物の場合には、エレベータピットを建物構造体として、エレベータピットとエレベータシャフトとが免制震装置を介して連結されていてもよい。
2 建物
2A 床スラブ(建物構造体)
3 エレベータシャフト
3a 支持部
4 免震ゴム(免制震装置)
5 エレベータ本体
6、6A、6B シャフト支持架台
7 すべり支承(第2免免制震装置)
21 シャフト用開口
23 エレベータピット
24 エクスパンションジョイント
31 側壁
61 横枠フレーム
62 縦枠フレーム
64 枠フレーム
70 第2免制震装置
75 ダッシュポット(転倒防止装置)
C クリアランス
M1 第1免震支持部(第1免制震支持部)
M2 第2免震支持部(第2免制震支持部)
S ピット周囲間隔
Claims (5)
- 免震構造をもたない建物の建物構造体と分離されているエレベータシャフトに免制震装置を備えた免制震エレベータであって、
前記免制震装置は、前記建物構造体に設けられたエレベータピットと前記エレベータシャフトの側壁との間であって、かつ、前記エレベータピットの外側から点検作業が可能な位置に配置され、
前記エレベータシャフトは、前記免制震装置に支持される被支持部によって吊り下げられた状態で設けられていることを特徴とする免制震エレベータ。 - 前記エレベータシャフトの側壁の前記被支持部には、前記免制震装置を備えたシャフト支持架台が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の免制震エレベータ。
- 前記免制震装置は、前記建物の地上階より上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の免制震エレベータ。
- 前記エレベータシャフトは、前記免制震装置を備えた第1免制震支持部と、該第1免制震支持部とは別の免制震装置を有する少なくとも1つの第2免制震支持部と、によって支持され、
第2免制震支持部は、前記建物構造体と前記エレベータシャフトの側壁との間に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の免制震エレベータ。 - 前記エレベータシャフトは、前記免制震装置と、該免制震装置の上層階に設けられた転倒防止装置と、によって支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の免制震エレベータ。
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