以下に、実施の形態にかかる引出形遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる引出形遮断器の外観斜視図である。図2は、実施の形態1にかかる遮断器本体が引出枠内から引き出された状態の引出形遮断器を示す外観斜視図である。図3は、実施の形態1にかかる遮断器本体が引出枠から引き出され且つモールドカバーが取り外された状態の引出形遮断器の外観斜視図である。なお、図1~図3では、引出形遮断器の引出枠の一部がカットされた状態を示している。
図1~図3に示すように、実施の形態1にかかる引出形遮断器100は、3相回路の電路の開閉を行う遮断器本体1と、遮断器本体1に接続される端子装置2と、端子装置2が配設され且つ遮断器本体1を収納する引出枠3とを備える。さらに、引出形遮断器100は、図2および図3に示すように、遮断器本体1を引出枠3内から引き出し可能に遮断器本体1と引出枠3とを連結する伸縮式の引出レール4を備える。なお、引出形遮断器100は、例えば、不図示の閉鎖配電盤の筐体内に遮断器本体1を引き出し可能に収納される。
また、引出形遮断器100は、図1および図2に示すように、外部から不図示の引出ハンドルが挿入され、引出ハンドルの移動に伴って引出枠3内から遮断器本体1の引き出し方向および引出枠3内への遮断器本体1の挿入方向に移動させる引出機構部50を備える。
なお、図1~図3を含む複数の図面において、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きが正方向であるZ軸と、遮断器本体1を引出枠3から引き出す方向が正方向であるX軸と、X軸とZ軸とに各々直交するY軸とを含む3次元の直交座標系を図示している。以下において、Z軸正方向を上方向とし、Z軸負方向を下方向と記載する場合がある。また、X軸正方向を前方向とし、X軸負方向を後方向と記載する場合がある。また、Y軸正方向を右方向とし、Y軸負方向を左方向と記載する場合がある。
遮断器本体1は、図1および図2に示すように、絶縁性の筐体10を備える。筐体10は、モールドケース11およびモールドカバー12を有する。モールドカバー12の前面12aには、後述する投入バネ18を手動により蓄勢するためのハンドル13と、3相回路の電路を閉状態にするための閉ボタン14と、3相回路の電路を開状態にするための開ボタン15とが配置される。
また、遮断器本体1は、図3に示すように、筐体10内に収納され電路の開閉を行う開閉機構部5を備える。以下において、遮断器本体1によって電路が閉状態である場合を単に閉状態と記載し、遮断器本体1によって電路が開状態である場合を単に開状態と記載する場合がある。また、遮断器本体1が行う開状態から閉状態への動作を閉動作と記載する場合がある。
図4は、実施の形態1にかかる引出形遮断器がトリップ状態である場合の遮断器本体の断面図である。図5は、実施の形態1にかかる引出形遮断器がチャージが完了した開状態である場合の遮断器本体の断面図である。図6は、実施の形態1にかかる引出形遮断器が閉状態である場合の遮断器本体の断面図である。図7は、実施の形態1にかかる遮断器本体の内部構成の一例を示す正面図である。なお、以下において、時計回りおよび反時計回りとは、図4~図6を含む図面上において時計回りおよび反時計回りであることを意味する。
図4に示すように、遮断器本体1は、負荷側固定導体42と、可動接点43aが配置された可動接触子43と、固定接点44aが配置された電源側固定導体44とを備える。また、遮断器本体1は、一端が負荷側固定導体42に固定され、他端が可動接触子43に固定された可撓性を有する可撓導体45と、一端が筐体10に取り付けられ、他端が可撓導体45に取り付けられた接圧バネ46とを備える。可動接点43aと固定接点44aとが接触することで、可撓導体45を介して負荷側固定導体42と電源側固定導体44とが電気的に接続される。可動接点43aが配置された可動接触子43は、開閉機構部5によって駆動される。なお、可動接触子43は、可撓導体45を含む構成であってもよい。
開閉機構部5は、筐体10に固定されたフレーム16と、フレーム16に回転可能に支持されたカムシャフト21と、カムシャフト21に各々固定されたチャージ用カム22およびラチェット23とを備える。フレーム16には、固定軸24a,26a,30aなどが固定されている。ラチェット23は、ハンドル13の先端が図4に示す矢印Eで示される方向に操作された場合に、ハンドル13の回転に連動して反時計回りに回転する。
また、開閉機構部5は、フレーム16に一端が固定され、上方向に延伸するガイド板17と、ガイド板17に取り付けられた投入バネ18と、中途部が固定軸24aに回転可能に支持されたL字状のチャージアーム24とを備える。チャージアーム24の一端に設けられたバネ掛けピン24dは、ガイド板17に形成される長孔17aに挿入される。投入バネ18は、一端がバネ掛けピン24dに当接し、他端がフレーム16に当接する。また、チャージアーム24の他端に設けられたアーム側ローラ24bはチャージ用カム22のカム面22bに当接する。チャージ用カム22とラチェット23との間にはカム側ローラ22aが設けられる。
また、開閉機構部5は、固定軸24aに回転可能に支持された第1のクローズラッチ25と、固定軸26aに回転可能に支持された第2のクローズラッチ26と、一部が半円柱状に形成されたクローズバー27とを備える。第1のクローズラッチ25の先端は、カム側ローラ22aに当接する。第1のクローズラッチ25の基端と先端との間の中途部に設けられたラッチ側ローラ25aは、第2のクローズラッチ26の下端に当接する。第2のクローズラッチ26の下端には、突出部26bおよび係合部26cが形成される。
第2のクローズラッチ26は、不図示の復帰バネによって反時計回りの力を受けているため、突出部26bが第1のクローズラッチ25を時計回りに回転させようとする。図4に示す状態では、第1のクローズラッチ25がカム側ローラ22aと当接状態にあり、カム側ローラ22aがストッパとなって第1のクローズラッチ25は回転できない状態に保持される。なお、クローズバー27は、図7に示す閉ボタン14による手動またはソレノイドなどによるオン操作によって時計回りに回転される。
図8は、実施の形態1にかかるメインシャフト、絶縁リンク用アーム、および絶縁リンクの関係を示す図であり、開閉機構部5のうち一部の構成のみ図示している。図8に示すように、開閉機構部5は、メインシャフト28と、メインシャフト28に固定された絶縁リンク用アーム28aと、メインシャフト28に固定され、絶縁リンク用アーム28a間に配置された第2リンク用アーム28bとを備える。絶縁リンク用アーム28aは、メインシャフト28に延伸方向に沿って基端が等間隔で3つ配置される。絶縁リンク用アーム28aと第2リンク用アーム28bとは互いに同形である。絶縁リンク用アーム28aは、ピン47によって図4に示す絶縁リンク41の一端に回転可能に連結される。絶縁リンク41の他端は可動接触子43に連結される。
図4に示すように、開閉機構部5は、投入トグルリンク機構29と、固定軸30aに回転可能に支持されたリンクレバー30と、固定軸26aに回転可能に支持されたトリップラッチ31と、トリップラッチ31の一端と係合するトリップバー32とを備える。投入トグルリンク機構29は、第1リンク29aと、第2リンク29bと、ピン29c,29dとを含む。第1リンク29aの一端と第2リンク29bの一端とはピン29dによって連結される。第2リンク29bの他端は、ピン29cにより第2リンク用アーム28bの他端に連結される。リンクレバー30は、一端が第1リンク29aの他端にピン30bによって連結され、一端と回転中心との間の中途部にレバー側ローラ30cが設けられる。トリップラッチ31は、側面がレバー側ローラ30cに係合する。
次に、遮断器本体1を図4に示すトリップ状態から図5に示すチャージが完了した開状態へ移行するための蓄勢動作について説明する。チャージは、投入バネ18の蓄勢を意味する。投入バネ18が放勢した図4に示すトリップ状態において、ハンドル13を手動操作によって矢印Eで示される方向に押し下げると、ラチェット23、カムシャフト21、およびチャージ用カム22が反時計回りに回転する。そのため、アーム側ローラ24bがカム面22bに沿って回転しながら移動し、チャージアーム24が固定軸24aを中心に時計回りに回転する。これにより、図5に示すように、チャージアーム24の一端に設けられたバネ掛けピン24dが下方向に移動して投入バネ18が蓄勢される。
また、チャージ用カム22が反時計回りに回転すると、第1のクローズラッチ25が時計回りに回転し、ラッチ側ローラ25aが第2のクローズラッチ26の突出部26bから外れる。これにより、第2のクローズラッチ26は、下端がフリーになるため、不図示の復帰バネによって反時計回りに回転し、係合部26cが第1のクローズラッチ25のラッチ側ローラ25aと係合して反時計回りの回転が止まる。また、クローズバー27は、不図示の復帰バネによって反時計回りに回転して図5に示す状態となり、第2のクローズラッチ26の時計回りの回転を阻止する。
また、チャージアーム24の時計回りの回転によって作動面24cが下方向に動くため、投入トグルリンク機構29の屈曲力によって、投入トグルリンク機構29のリンク側ローラ29eが作動面24cの下方向への動きに追従する。そのため、投入トグルリンク機構29の第1リンク29aが下方向に移動し、ピン30bが下方向に動くため、リンクレバー30が反時計回りに回転し、レバー側ローラ30cも反時計回りに回転する。これにより、トリップラッチ31は復帰バネによって時計回りに回転し、図5に示すように、トリップラッチ31の凹部にレバー側ローラ30cが係合すると共に、トリップバー32は不図示の復帰バネによって時計回りに回転する。図5に示す状態において、トリップバー32は、トリップラッチ31の反時計回りの回転を阻止するストッパとして機能する。
なお、チャージ用カム22は、ハンドル13の数回の押し下げ操作によりほぼ1回転して最終的に図5に示す状態になる。図5に示す状態では、投入バネ18の放勢力によってバネ掛けピン24dが上方向に押されるため、チャージアーム24に反時計回りの力を及ぼすが、第1のクローズラッチ25および第2のクローズラッチ26を介してクローズバー27がストッパとして機能する。そのため、チャージアーム24の反時計回りの回転が阻止される。
図5に示す状態で、図7に示す閉ボタン14が押されると、クローズバー27が時計回りに回転し、クローズバー27による第2のクローズラッチ26のロックが解除される。ロックが解除された第2のクローズラッチ26は時計回りに回転し、係合部26cとラッチ側ローラ25aとの係合が外れる。そのため、チャージ用カム22は、カム側ローラ22aによって第1のクローズラッチ25を反時計回りに回転させながら、反時計回りに回転するため、アーム側ローラ24bがチャージ用カム22のカム面22bの段差部に落ち込む。
チャージアーム24は、投入バネ18の放勢力によって反時計回りに回転し、作動面24cが投入トグルリンク機構29のリンク側ローラ29eをはね上げる。トリップラッチ31はトリップバー32によって反時計回りへ動きがロックされているため、投入トグルリンク機構29は伸張し、第2リンク用アーム28bを反時計回りに回転させる。これにより、図6に示すように、遮断器本体1において、可動接点43aと固定接点44aとが接触し、電路が閉状態になる。なお、図6の状態において、リンクレバー30には、接圧バネ46によって投入トグルリンク機構29およびピン30bを介して時計回りの回転力が与えられている。そのため、レバー側ローラ30cを介してトリップラッチ31が反時計回りに押圧されるが、トリップラッチ31はトリップバー32によって反時計回りの回転が阻止されるため、リンクレバー30の時計回りの回転が阻止される。
遮断器本体1が図6に示す状態である場合、図7に示す開ボタン15が押されると、トリップバー32が反時計回りに回転し、トリップラッチ31がリンクレバー30の時計回りの回転力によって反時計回りに回動する。そのため、トリップラッチ31の凹部からレバー側ローラ30cが外れ、リンクレバー30が時計回りに回転する。この結果、投入トグルリンク機構29の他端のピン30bが上方向に移動して投入トグルリンク機構29が屈曲する。この時、投入トグルリンク機構29のリンク側ローラ29eがチャージアーム24の作動面24cに沿って左方向に移動し、ピン29cが絶縁リンク41を左方向に駆動して可動接触子43を左方向に動作させる。そのため、可動接点43aが固定接点44aから離れ、遮断器本体1は、図4に示す開状態に戻る。
引出形遮断器100には、図7に示すように、電路が閉状態において不図示の引出ハンドルの引出機構部50へ挿入を阻止するインターロック機構60が設けられる。以下、引出ハンドル、引出機構部50、およびインターロック機構60の構成について具体的に説明する。
まず、引出ハンドルの構成について説明する。図9は、実施の形態1にかかる引出ハンドルの構成の一例を示す図である。図9に示すように、実施の形態1にかかる引出ハンドル70は、T字状に形成されており、軸部71と、把手72とを備える。軸部71は、円柱状に形成され、一端部が把手72の中央部に連結される延伸部71aと、延伸部71aの他端部に連続し、六角形状に形成される先端部71bとを備える。
次に、引出機構部50の構成について説明する。図10は、図1に示すX-X線に沿った断面図である。図10に示すように、引出機構部50は、前面パネル51と、支持部52と、メインスクリュー53と、圧縮バネ54と、インサートスクリュー55とを備える。前面パネル51、支持部52、およびメインスクリュー53は、遮断器本体1に設けられ、インサートスクリュー55は、引出枠3に設けられる。
前面パネル51には、円形に開口した挿入口51aが形成されており、かかる挿入口51aから引出機構部50の内部に引出ハンドル70の軸部71が挿入される。支持部52は、メインスクリュー53を前後方向に移動可能に支持する。かかる支持部52は、インジケータフレームとも呼ばれる。
メインスクリュー53は、係合部53a1が形成された筒部53aと、雄ネジ部53b1が形成されたスクリュー部53bと、スクリュー部53bの外周に移動可能に取り付けられたリング部53cを備える。係合部53a1は、六角形状に形成された穴であり、引出ハンドル70の先端部71bが挿入され、先端部71bと係合する。筒部53aとリング部53cとの間には、圧縮バネ54が配置されており、リング部53cは後方向への移動が規制される。そのため、筒部53aが後方向に押された場合、圧縮バネ54によって筒部53aが前方向に付勢される。
インサートスクリュー55は、ネジ穴55aが形成されており、かかるネジ穴55aにメインスクリュー53の雄ネジ部53b1が挿入されることで、メインスクリュー53と係合する。
図10には、インターロック機構60のうちの一部が示されている。インターロック機構60は、引出機構部50への引出ハンドル70の挿入を規制する。かかるインターロック機構60は、支持部52に回転可能に支持されたハンドルロックピン63と、図7に示す開ボタン15へのユーザの操作に連動してハンドルロックピン63を回転させて引出機構部50への引出ハンドル70の挿入阻止を解除するインターロックレバー62とを含む。
図11は、実施の形態1にかかる遮断器本体の開ボタンが押されていない場合におけるハンドルロックピンと引出ハンドルとの関係を示す図である。図12は、実施の形態1にかかる遮断器本体の開ボタンが押されている場合における引出ハンドルによって遮断器本体が引出枠から引き出される様子を示す図である。
図7に示す開ボタン15が押されていない場合、作業者が引出ハンドル70における軸部71の先端部71bをメインスクリュー53における筒部53aの係合部53a1に挿入しようとした場合に、ハンドルロックピン63が引出ハンドル70の先端部71bと当接する位置に存在する。そのため、図11に示すように、引出ハンドル70の先端部71bの係合部53a1への挿入が阻止される。
図7に示す開ボタン15が押されている場合、ハンドルロックピン63が引出ハンドル70の軸部71と当接しない位置に存在する。そのため、図12の枠A内に示すように、作業者が引出ハンドル70の軸部71の先端部71bをメインスクリュー53の係合部53a1に挿入することができる。
そして、作業者は、引出ハンドル70の把手72を軸部71を中心に回転させることで、メインスクリュー53を回転させていくことで、雄ネジ部53b1とインサートスクリュー55との係合を解除することができる。雄ネジ部53b1とインサートスクリュー55との係合が解除された後、図12の枠B内に示すように、作業者は、引出ハンドル70を前方向に移動させることによって遮断器本体1を引出枠3から引き出すことができる。
また、作業者は、遮断器本体1を引出枠3に収容させる場合、引出ハンドル70の先端部71bをメインスクリュー53の係合部53a1に挿入した後、引出ハンドル70を後方向に移動させ、雄ネジ部53b1とインサートスクリュー55に挿入する。その後、作業者は、引出ハンドル70の把手72を軸部71を中心に回転させることで、メインスクリュー53を回転させ、雄ネジ部53b1とインサートスクリュー55とを係合させることで、遮断器本体1を引出枠3に収容させることができる。
次に、インターロック機構60について説明する。図13は、実施の形態1にかかる遮断器本体の内部構成の一部の一例を示す側面図である。図14は、実施の形態1にかかる遮断器本体の開ボタンが押されていない状態における遮断器本体の内部構成の一部の一例を示す正面図である。図15は、実施の形態1にかかる遮断器本体の開ボタンが押されている状態における遮断器本体の内部構成の一部の一例を示す正面図である。
図13に示すように、実施の形態1にかかるインターロック機構60は、クローズアーム61と、インターロックレバー62と、ハンドルロックピン63とを備える。クローズアーム61は、フレーム16に回転軸64を介して回転可能に支持される。かかるクローズアーム61は、開ボタン15が後方向に押し込まれた場合に、回転軸64を中心に図13における反時計回りに回転する。インターロックレバー62は、上下方向に延伸しており、一端がクローズアーム61に回転可能に接続され、他端がハンドルロックピン63に当接している。インターロックレバー62は、クローズアーム61が反時計回りの回転に伴って上方向に移動する。
図14に示すように、インターロックレバー62は、延伸部62aと、屈曲部62bとを備える。ハンドルロックピン63は、ロック部63aと、回転部63bと、操作部63cとを備える。インターロックレバー62の延伸部62aは、クローズアーム61に接続された基端からハンドルロックピン63の操作部63cに向けた方向である下方向に延伸する。インターロックレバー62の屈曲部62bは、延伸部62aからハンドルロックピン63の回転軸63dの延伸方向である左右方向に屈曲し操作部63cに当接する。屈曲部62bは、例えば、折り曲げ加工によって形成される。以下、回転軸63dの延伸方向を回転軸方向と記載する場合がある。図14に示す例では、屈曲部62bは、左方向に屈曲するが、右方向に屈曲する構成であってもよい。
ロック部63aは、円筒状に形成され、内部に回転部63bが挿通されている。回転部63bは、ロック部63aの内部に挿通される中央部がU字状に形成され、一端と他端とが支持部52に回転可能に支持される。また、回転部63bの他端と支持部52との間には、ハンドルロックバネ65が架け渡されており、かかるハンドルロックバネ65によってロック部63aが回転軸63d回りに付勢されている。
また、操作部63cは、L字状に形成されており、回転部63bに連続している。かかる操作部63cは、回転軸63dと直交する方向に延伸した後に回転軸63dに沿った方向に屈曲している。ハンドルロックピン63を回転し易くするために、回転部63bを支持する支持部52と操作部63cとの間にギャップが設けられている。なお、ロック部63aおよび回転部63bは一体化された構成であってもよく、また、ハンドルロックピン63は、ロック部63aを設けずに、回転部63bをロック部と兼用する構成であってもよい。
図13および図14に示す状態では、メインスクリュー53の係合部53a1の前方向にハンドルロックピン63のロック部63aが存在している。そのため、引出形遮断器100では、遮断器本体1において開ボタン15が押されていない状態において、メインスクリュー53の係合部53a1に引出ハンドル70の先端部71bが誤挿入されることを防止することができる。
図13および図14に示す状態において、開ボタン15が後方向に押し込まれると、開ボタン15がクローズアーム61に当接し、開ボタン15がさらに押し込まれると、クローズアーム61が回転軸64を中心に図13における反時計回りに回転する。
クローズアーム61が図13における反時計回りに回転すると、インターロックレバー62が図13における符号Fで示される方向である上方向に移動する。インターロックレバー62が上方向に移動すると、ハンドルロックピン63がハンドルロックバネ65の付勢力によって回転軸63dを中心に回転する。これにより、図15に示すように、ハンドルロックピン63のロック部63aが下方向に移動するため、メインスクリュー53の係合部53a1の前方向にロック部63aが存在しない状態になる。そのため、図15に示す状態では、メインスクリュー53の係合部53a1に引出ハンドル70の先端部71bを挿入することができる。
インターロックレバー62は、不図示の復帰バネによって図13における符号Fで示される方向と逆方向である下方向へ付勢されており、図15に示す状態から、作業者が開ボタン15を離すと、インターロックレバー62が下方向へ移動する。インターロックレバー62が下方向へ移動すると、ハンドルロックピン63の操作部63cが下方向へインターロックレバー62の屈曲部62bによって押される。そのため、ハンドルロックピン63の操作部63cがインターロックレバー62の屈曲部62bを摺動し、図14に示すように、ハンドルロックピン63のロック部63aがメインスクリュー53の係合部53a1の前方向に移動する。
図16は、図14の一部を拡大した正面図である。図17は、図13の一部を拡大した側面図である。図16および図17に示すように、ハンドルロックピン63の操作部63cは、回転部63bの一端に連続し回転軸63dと直交する方向に延伸する第1延伸部63c1と、第1延伸部63c1に連続し回転軸63dに沿った方向に延伸する第2延伸部63c2とを備える。第2延伸部63c2がインターロックレバー62によって押されることで、第1延伸部63c1が回転軸63dを中心に回転し、図16および図17に示す状態になる。
インターロックレバー62の屈曲部62bのうちインターロックレバー62の第2延伸部63c2に接触する面は平坦面である。そのため、インターロックレバー62の第2延伸部63c2への当接は、インターロックレバー62の屈曲部62bによる面接触によって行われる。図16に示すように、左右方向において、屈曲部62bの長さは、延伸部62aの長さよりも長い。そのため、インターロックレバー62は、屈曲部62bを設けずに延伸部62aを第2延伸部63c2へ当接させた場合に比べ、第2延伸部63c2への係り代、すなわち第2延伸部63c2への当接面積を増加させることができる。そのため、例えば、操作部63cと支持部52との間のギャップ分だけハンドルロックピン63が左右方向に移動した場合であっても、屈曲部62bが第2延伸部63c2に当接している状態が維持される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性を向上させることができる。
ここで、インターロックレバー62に屈曲部62bを設けない場合を考える。この場合、インターロックレバー62の延伸部62aの端面が操作部63cに当接するが、インターロックレバー62の延伸部62aの端面は破断面である。ハンドルロックピン63の操作部63cがインターロックレバー62の破断面を摺動すると、摺動摩擦のばらつきによって、ハンドルロックピン63のインターロックレバー62に対する摺動動作が不安定になり、インターロックレバー62の復帰動作が不安定になる可能性がある。インターロックレバー62の復帰動作は、作業者が開ボタン15を離した後にインターロックレバー62が上方に移動する動作である。かかるインターロックレバー62の復帰動作は、インターロックレバー62を付勢する不図示の復帰バネの荷重を大きくすることで安定させることができるが、閉ボタン14を操作するための荷重よりも大きくすることはできない。一方、引出形遮断器100では、インターロックレバー62に対する第2延伸部63c2への当接は、インターロックレバー62の屈曲部62bによる面接触によって行われることから、ハンドルロックピン63のインターロックレバー62に対する摺動動作を安定させることができる。
第2延伸部63c2への屈曲部62bの接触位置は、インターロックレバー62の上下方向の移動に伴って変化する。すなわち、インターロックレバー62の上下方向の移動に伴って、第2延伸部63c2は屈曲部62bを摺動する。インターロック機構60では、上述したように、インターロックレバー62の第2延伸部63c2への当接面積が増加しているため、屈曲部62bに対する第2延伸部63c2の摺動を安定化することができる。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性を向上させることができる。
例えば、インターロック機構60が図16に示す状態であり且つ延伸部62aが第2延伸部63c2に直接当接しているとする。この場合、クローズアーム61が左方向に移動すると、延伸部62aの第2延伸部63c2への当接面積が減少し、クローズアーム61によるハンドルロックピン63の回転を安定的に行うことができない場合がある。一方、遮断器本体1では、ハンドルロックピン63が左方向に移動しても、屈曲部62bが第2延伸部63c2に当接している状態が維持される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性を向上させることができる。
また、インターロック機構60では、クローズアーム61が下方向に移動する場合に、屈曲部62bが支持部52から離れる方向である左方向に移動する。これにより、遮断器本体1では、クローズアーム61が左方向に移動しても、屈曲部62bが第2延伸部63c2に当接している状態がより安定的に維持される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性をより向上させることができる。
図18は、図15に示す符号Dの領域の拡大図である。図19は、図14に示す符号Cの領域の拡大図である。図18に示すように、インターロックレバー62の延伸部62aには、フレーム16に向けた方向である右方向に突出する凸部62a1が形成される。かかる凸部62a1は、例えば、延伸部62aに対する打ち出し加工によって形成される。凸部62a1は、開ボタン15が押されている状態では、フレーム16に形成される溝部16a1内に配置される。溝部16a1は、フレーム16におけるインターロックレバー62の延伸部62aとの対向面16aのうち凹状に形成される領域であり、平坦部16a2よりも延伸部62aから離れた位置にある。また、溝部16a1は、下方に向かうほど左右方向において平坦部16a2に近づく傾斜面を有しており、かかる傾斜面を凸部62a1が摺動する。
図18に示す状態から作業者が開ボタン15から手を離すことで、インターロックレバー62が図13における符号Fで示される方向と逆方向に移動するため、凸部62a1は、溝部16a1内から移動し、図19に示すようにフレーム16の平坦部16a2を当接する位置になる。すなわち、凸部62a1は、フレーム16の対向面16aに向けて突出しているため、ハンドルロックピン63が引出ハンドル70の引出機構部50への挿入を阻止しない位置からハンドルロックピン63が引出ハンドル70の引出機構部50への挿入を阻止する位置に変更される場合に、溝部16a1内の位置から平坦部16a2に当接する位置に移動する。そのため、屈曲部62bが図19における左方向に移動する。これにより、遮断器本体1では、クローズアーム61が左方向に移動しても、屈曲部62bが第2延伸部63c2に当接している状態がより安定的に維持される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性をより向上させることができる。
また、図17に示すように、屈曲部62bにおける操作部63cへの当接面は、インターロックレバー62の移動方向およびハンドルロックピン63の回転軸方向の各々に直交する方向である前後方向に対して傾斜角θ1を有する。すなわち、屈曲部62bにおける操作部63cへの当接面は、後方向に向かうほど上方向に傾斜している。これにより、インターロック機構60は、屈曲部62bが傾斜角θ1を有していない場合に比べて、インターロックレバー62が下方向へ移動する際に、屈曲部62bに対して第2延伸部63c2が接触する前後方向の位置が急激に変化することが抑制される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性をより向上させることができる。
以上のように、実施の形態1にかかる引出形遮断器100は、引出枠3と、引出枠3と引出レール4を介して連結され、引出枠3内からの引き出しが可能な遮断器本体1と、引出機構部50と、インターロック機構60とを備える。引出機構部50は、外部から引出ハンドル70が挿入され、引出ハンドル70の移動に伴って引出枠3内から遮断器本体1の引き出し方向および引出枠3内への遮断器本体1の挿入方向に遮断器本体1を移動させる。インターロック機構60は、引出機構部50への引出ハンドル70の挿入を規制する。インターロック機構60は、ハンドルロックピン63と、インターロックレバー62とを備える。ハンドルロックピン63は、引出ハンドル70の引出機構部50への挿入を阻止する。インターロックレバー62は、開ボタン15へのユーザの操作に連動してハンドルロックピン63を回転させて引出ハンドル70の引出機構部50への挿入を可能とする。インターロックレバー62は、延伸部62aと、屈曲部62bとを備える。延伸部62aは、ハンドルロックピン63のうちインターロックレバー62に当接する操作部63cに向けて延伸する。屈曲部62bは、延伸部62aからハンドルロックピン63の回転軸方向に屈曲し操作部63cに当接する。これにより、引出形遮断器100では、インターロックレバー62の第2延伸部63c2への当接は、インターロックレバー62の屈曲部62bによる面接触によって行われる。そのため、インターロックレバー62は、屈曲部62bを設けずに延伸部62aを第2延伸部63c2へ当接させた場合に比べ、第2延伸部63c2への当接面積を増加させることができる。これにより、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性を向上させることができる。また、引出形遮断器100において、インターロックレバー62に対する操作部63cへの当接は、インターロックレバー62の操作部63cによる面接触によって行われることから、ハンドルロックピン63のインターロックレバー62に対する摺動動作を安定させることができる。
また、引出形遮断器100は、インターロックレバー62と対向する対向面16aに溝部16a1と平坦部16a2とが形成されたフレーム16を備える。延伸部62aは、凸部62a1を備える。凸部62a1は、フレーム16の対向面16aに向けて突出しており、ハンドルロックピン63が引出機構部50への引出ハンドル70の挿入を規制しない位置から規制する位置に変更される場合に、溝部16a1内の位置から平坦部16a2に当接する位置に移動する。これにより、遮断器本体1では、クローズアーム61が回転軸方向に移動しても、屈曲部62bが第2延伸部63c2に当接している状態がより安定的に維持される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性をより向上させることができる。
また、引出形遮断器100における屈曲部62bは、インターロックレバー62の移動方向およびハンドルロックピン63の回転軸方向の各々に直交する方向である前後方向に対して操作部63cと当接する面が傾斜して形成される。これにより、インターロック機構60は、インターロックレバー62が下方向へ移動する際に、屈曲部62bに対して第2延伸部63c2が接触する位置が急激に変化することが抑制される。そのため、引出形遮断器100では、インターロック機構60の動作の安定性をより向上させることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。