JP7437608B2 - 粘弾性ダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、高減衰組成物からなる粘弾性体を備え、建築物等に組み込んで制震等に用いる粘弾性ダンパに関するものである。
粘弾性ダンパの粘弾性体は、ベースポリマに、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤や、ロジン類、石油樹脂等の粘着性付与剤を配合した高減衰組成物を用いて形成するのが一般的である(特許文献1等参照)。
特開2016-17092号公報
ベースポリマに無機充填剤や粘着性付与剤を配合することで、高減衰組成物からなる粘弾性体に振動が加えられた際のヒステリシスロスを大きくして、振動のエネルギーを効率よく速やかに減衰する性能、すなわち減衰性能を高めることができる。
減衰性能を現状よりも高めるためには、無機充填剤や粘着性付与剤の量を、現状よりも増加させることが考えられる。
しかし、多量の無機充填剤を配合した高減衰組成物は混練時の粘度、たとえば、ベースポリマが架橋性ゴムである場合にはムーニー粘度が上昇して、当該高減衰組成物の加工性が低下する場合がある。
また、多量の粘着性付与剤を配合した高減衰組成物は粘着性が高くなって、やはり加工性が低下する場合がある。
そして、このいずれの場合にも、高減衰組成物を調製するために各成分を混練したり、粘弾性体を製造するために高減衰組成物を混練したり任意の立体形状に成形加工したりするのが容易でなくなる場合がある。
とくに、工場レベルで粘弾性体を量産する場合、加工性の低さは、その生産性を大きく低下させ、生産に要するエネルギーを増大させ、さらには生産コストを高騰させる原因となるため、望ましくない。
また、たとえば、建築物等に組み込んで用いられる粘弾性ダンパの粘弾性体には、温度差の大きい建築物等の外壁などに設置しても、減衰性能が温度によって大きく変化しない、すなわち減衰性能の温度依存性が小さいことも求められる。
しかし、粘着性付与剤の種類によっては、粘弾性体の減衰性能の温度依存性が大きくなって、この要求に十分に対応できない場合がある。
本発明の目的は、良好な加工性を有し、減衰性能に優れる上、当該減衰性能の温度依存性の小さい粘弾性体を形成できる高減衰組成物からなる粘弾性体を備え、建築物等に組み込んで用いられる粘弾性ダンパを提供することにある。
本発明は、
架橋性ゴム
シリカ、および
ロジン類とオキシアルキレン化合物との反応生成物であって、オキシアルキレン単位を、前記反応生成物1分子中に2以上含むロジン誘導体
を含む高減衰組成物からなる粘弾性体を含む粘弾性ダンパである。
本発明によれば、良好な加工性を有し、減衰性能に優れる上、当該減衰性能の温度依存性の小さい粘弾性体を形成できる高減衰組成物からなる粘弾性体を備え、建築物等に組み込んで用いられる粘弾性ダンパを提供することができる。
本発明の実施例、比較例の高減衰組成物からなる粘弾性体の減衰性能を評価するために作製する、上記粘弾性体のモデルとしての試験体を分解して示す分解斜視図である。 同図(a)(b)は、上記試験体を変位させて変位量と荷重との関係を求めるための試験機の概略を説明する図である。 上記試験機を用いて試験体を変位させて求められる、変位量と荷重との関係を示すヒステリシスループの一例を示すグラフである。
《高減衰組成物》
本発明の高減衰組成物は、上述したようにベースポリマおよびシリカとともに、
ロジン類とオキシアルキレン化合物との反応生成物であって、オキシアルキレン単位を、当該反応生成物1分子中に2以上含むロジン誘導体(以下「OA含有ロジン誘導体」と略記する場合がある。)
を含むことを特徴とする。
かかる本発明の高減衰組成物によれば、良好な加工性を有し、減衰性能に優れる上、当該減衰性能の温度依存性の小さい粘弾性体を形成することができる。
このことは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかである。
〈ベースポリマ〉
ベースポリマとしては、架橋性ゴムや非架橋性の熱可塑性エラストマ等を用いることができ、とくに架橋性ゴムが好ましい。
また架橋性ゴムとしては、たとえば、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、およびスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
これらの架橋性ゴムは、シリカとの親和性や当該シリカの分散性に優れている。
また、これらの架橋性ゴムは、ガラス転移温度Tgが室温(2~35℃)付近に存在しない。
そのため、上述したようにOA含有ロジン誘導体を用いていることと相まって、粘弾性体の最も一般的な使用温度域である上記室温付近での減衰性能の温度依存性を小さくして、広い温度範囲で安定した減衰性能を示す粘弾性体を形成することができる。
なお架橋性ゴムとしては、架橋させた状態でのゴム分子同士の架橋構造が緩やかで、減衰性能に優れた粘弾性体を形成できる上、入手しやすく高減衰組成物をコスト安価に製造できる点で、天然ゴムが好適に使用される。
天然ゴムとしては、たとえば、SMR(Standard Malaysian Rubber)-CV60等の各種グレードの天然ゴムや、あるいは各種の脱蛋白天然ゴム等の1種または2種以上を用いることができる。
IRとしては、ポリイソプレン構造を有し、なおかつ架橋性を有する種々の重合体の1種または2種以上が、いずれも使用可能である。
BRとしては、分子中にポリブタジエン構造を備え、架橋性を有する種々のBRがいずれも使用可能である。
とくに、高温から低温まで広い温度範囲でゴムとしての良好な特性を発現しうる、シス-1,4結合の含量が95%以上の高シスBRが好ましい。
またBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、このいずれのタイプのBRを用いてもよい。
これらBRの1種または2種以上を用いることができる。
SBRとしては、スチレンと1,3-ブタジエンとを乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のSBRが、いずれも使用可能である。
またSBRとしては、スチレン含量によって分類される高スチレンタイプ、中スチレンタイプ、および低スチレンタイプのSBRが、いずれも使用可能である。
さらにSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明では、このいずれのタイプのSBRを用いてもよい。
これらSBRの1種または2種以上を用いることができる。
〈シリカ〉
シリカは、ベースポリマ中に分散されて粘弾性体の減衰性能を向上するために機能する。
シリカとしては、その製法によって分類される湿式法シリカ、乾式法シリカのいずれを用いてもよい。
シリカの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種シリカ等の1種または2種以上を用いることができる。
東ソー・シリカ(株)製のNipSil(ニプシル、登録商標)シリーズのうちVN3、AQ、LP、NA、ER、ER-R、RS-150、NS、NS-T、NS-K、NS-KR、KP、L-300、KQ、NS-P等。
シリカの割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり110質量部以上、170質量部以下であるのが好ましい。
シリカの割合がこの範囲未満では、粘弾性体に、良好な減衰性能を付与できない場合がある。
一方、シリカの割合が上記の範囲を超える場合には、高減衰組成物の混練時の粘度が高くなりすぎて、加工性が低下する場合がある。
すなわち、高減衰組成物を調製するために各成分を混練したり、粘弾性体を製造するために高減衰組成物を混練したり任意の立体形状に成形加工したりするのが容易でなくなる場合がある。
これに対し、シリカの割合を上記の範囲とすることにより、高減衰組成物の加工性が低下するのを抑制しながら、粘弾性体に良好な減衰性能を付与することができる。
〈OA含有ロジン誘導体〉
本発明で用いるOA含有ロジン誘導体は、オキシアルキレン単位と、ロジン類に由来する環式ジテルペン構造とを併有する化合物である。
かかるOA含有ロジン誘導体は、ロジン類と、当該ロジン類に対して反応可能なオキシアルキレン化合物とを反応させることによって、これらの反応生成物として得られる。
ロジン類は、樹木由来の組成物であり、樹脂酸(樹木由来のカルボキシ基を有する化合物)および/またはその変性体を含んでいる。
樹脂酸としては、たとえば、環式ジテルペン構造を有する樹脂酸が挙げられる。
環式ジテルペン構造を有する樹脂酸としては、たとえば、
・ アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸などの、共役二重結合と環式ジテルペン構造とを併有する樹脂酸や、
・ ピマル酸、イソピマル酸などの、非共役二重結合と環式ジテルペン構造とを併有する樹脂酸
などの1種または2種以上が挙げられる。
樹脂酸としては、好ましくは、共役二重結合と環式ジテルペン構造とを併有する樹脂酸が挙げられ、より好ましくは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸が挙げられる。
アビエチン酸は、たとえば下記式(1)で示され、ネオアビエチン酸は、たとえば下記式(2)で示され、パラストリン酸は、たとえば下記式(3)で示される。
Figure 0007437608000001
樹脂酸の変性体としては、たとえば、樹脂酸をα,β-不飽和カルボン酸類で変性した酸変性体、樹脂酸を不均化処理した不均化物、樹脂酸を水添処理した水添化物、樹脂酸を重合させた重合体などの1種または2種以上が挙げられる。
これらの樹脂酸および/またはその変性体は、ロジン類に含まれる。
換言すればロジン類は、好ましくは、樹脂酸および/またはその変性体に由来する環式ジテルペン構造を含有する。
ロジン類としては、より具体的には、たとえば、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(誘導体)などが挙げられる。
無変性ロジンとしては、上記樹脂酸(無変性体)を含む、たとえばトールロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどの1種または2種以上が挙げられる。
無変性ロジンとしては、好ましくは、トールロジンが挙げられる。
ロジン変性体は、上記無変性ロジンの変性体であって、上記樹脂酸の変性体を含んでいる。
ロジン変性体としては、たとえば、無変性ロジンをα,β-不飽和カルボン酸類で変性した酸変性ロジン、無変性ロジンを不均化処理した不均化ロジン、無変性ロジンを水添処理した水素添加ロジン、無変性ロジンを重合させた重合ロジンなどが挙げられる。
これらロジン変性体の1種または2種以上を用いることができる。
ロジン変性体としては、好ましくは、酸変性ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジンが挙げられ、より好ましくは、酸変性ロジンが挙げられる。
これらロジン類の1種または2種以上を用いることができる。
ロジン類としては、低コスト化および環境に対する負荷の観点から、好ましくは、重合ロジンを除くロジン類が挙げられ、より好ましくは、無変性ロジン、酸変性ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジンが挙げられる。
中でも反応性の観点から、より好ましくは、無変性ロジンが挙げられる。
ロジン類に対して反応可能なオキシアルキレン化合物としては、たとえば、ロジン類に対して反応可能な反応性基と、オキシアルキレン基とを併有する化合物(以下「反応性オキシアルキレン化合物」と略記する場合がある。)が挙げられる。
ロジン類に対して反応可能な反応性基としては、たとえば、
・ 樹脂酸および/またはその変性体のカルボキシ基に対してエステル化反応可能な水酸基、あるいは
・ 樹脂酸および/またはその変性体の共役二重結合に対してディールス・アルダー反応可能な(メタ)アクリル基
などが挙げられる。
なお(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを示す。
これら反応性基の1種または2種以上を用いることができる。
オキシアルキレン基としては、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基(オキシ-1,2-プロピレン基)、オキシトリメチレン基(オキシ-1,3-プロピレン基)、オキシブチレン基などの、炭素数2~4のオキシアルキレン基などが挙げられる。
これらオキシアルキレン基の1種または2種以上を用いることができる。
オキシアルキレン基としては、好ましくは、炭素数2~3のオキシアルキレン基が挙げられ、より好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられ、さらに好ましくは、オキシエチレン基が挙げられる。
反応性オキシアルキレン化合物としては、より具体的には、たとえば、
・ 水酸基とオキシアルキレン基とを併有する化合物(以下「水酸基含有オキシアルキレン化合物と略記する場合がある。)、
・ (メタ)アクリル基とオキシアルキレン基とを併有する化合物(以下「(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物」と略記する場合がある。)
などが挙げられる。
水酸基含有オキシアルキレン化合物としては、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノアルキルエーテル;オキシエチレン単位数が3~30のポリオキシエチレンモノアルキルエーテルなどのオキシアルキレン含有エーテルモノオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、オキシエチレン単位数が4~30のポリオキシエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、オキシプロピレン単位数が4~30のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(ランダム/ブロック)共重合ジオールなどの、オキシアルキレン単位数が2~30のオキシアルキレン含有ジオール;オキシエチレン単位数が2~30のポリオキシエチレントリオール、オキシプロピレン単位数が2~30のポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(ランダム/ブロック)共重合トリオールなどの、オキシアルキレン単位数が2~30のオキシアルキレン含有トリオール;オキシエチレン単位数が2~30のポリオキシエチレンテトラオール、オキプロピレン単位数が2~30のポリオキシプロピレンテトラオール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(ランダム/ブロック)共重合テトラオールなどの、オキシアルキレン単位数が2~30のオキシアルキレン含有テトラオールなどの1種または2種以上を用いることができる。
1分子の水酸基含有オキシアルキレン化合物中の水酸基の数は、たとえば1以上、中でも2以上であるのが好ましく、6以下、中でも4以下、とくに3以下であるのが好ましい。
すなわち、水酸基含有オキシアルキレン化合物としては、好ましくは、オキシアルキレン含有ジオール、オキシアルキレン含有トリオール、オキシアルキレン含有テトラオールが挙げられ、より好ましくは、オキシアルキレン含有ジオール、オキシアルキレン含有トリオールが挙げられ、さらに好ましくは、オキシアルキレン含有ジオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。
また、1分子の水酸基含有オキシアルキレン化合物中のオキシアルキレン基の数は、たとえば1以上、中でも2以上、とくに4以上であるのが好ましく、30以下、中でも10以下、とくに9以下であるのが好ましい。
なお、水酸基含有オキシアルキレン化合物の数平均分子量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物としては、たとえば、メトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オキシエチレン単位数が4~30のメトキシ-ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート;エトキシ-ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オキシエチレン単位数が4~30のエトキシ-ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート;フェノキシ-ジエチレングリコールアクリレート、フェノキシ-トリエチレングリコールアクリレート、オキシエチレン単位数が4~30のフェノキシ-ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのオキシエチレン含有モノ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オキシエチレン単位数が4~30のポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのオキシエチレン含有ジ(メタ)アクリレートなどの1種または2種以上を用いることができる。
1分子の(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物中の(メタ)アクリル基の数は、たとえば1以上であるのが好ましく、6以下、中でも4以下、とくに2以下であるのが好ましく、なかんずく1であるのが好ましい。
すなわち、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物としては、好ましくは、オキシエチレン含有モノ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、オキシエチレン単位数が4~30のメトキシ-ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
1分子の(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物中のオキシアルキレン基の数は、たとえば1以上、中でも2以上、とくに4以上であるのが好ましく、30以下、とくに10以下であるのが好ましい。
なお、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物の数平均分子量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
これら反応性オキシアルキレン化合物の1種または2種以上を用いることができる。
また、ロジン類に対して反応可能なオキシアルキレン化合物としては、上記の反応性オキシアルキレン化合物の他、たとえば、アルキレンオキサイドも挙げられる。
アルキレンオキサイドは、ロジン類に付加重合可能な環状エーテルである。
アルキレンオキサイドとしては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド(1,2-プロピレンオキサイド)、トリメチレンオキサイド(1,3-プロピレンオキサイド)、1,4-ブチレンオキサイドなどの、炭素数2~4のアルキレンオキサイドなどの1種または2種以上を用いることができる。
アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2~3のアルキレンオキサイドが挙げられ、より好ましくは、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、さらに好ましくは、エチレンオキサイドが挙げられる。
これらオキシアルキレン化合物の1種または2種以上を用いることができる。
オキシアルキレン化合物は、ロジン類に対して、以下のように反応する。
たとえば、オキシアルキレン化合物が水酸基含有オキシアルキレン化合物を含む場合には、たとえば、ロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有するカルボキシ基と、水酸基含有オキシアルキレン化合物の水酸基とが、必要により添加されるエステル触媒の存在下で、エステル化反応する。
また、たとえば、ロジン類が酸変性され、樹脂酸にカルボキシ基が付加されている場合、その付加されたカルボキシ基と、水酸基含有オキシアルキレン化合物の水酸基とが、必要により添加されるエステル触媒の存在下で、エステル化反応する。
このような場合、ロジン類と水酸基含有オキシアルキレン化合物との配合割合は、ロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有するカルボキシ基1モルに対して、水酸基含有オキシアルキレン化合物の水酸基のモル数が、たとえば0.8モル以上、中でも0.9モル以上、とくに0.95モル以上であるのが好ましく、5.0モル以下、とくに3.0モル以下であるのが好ましい。
ロジン類と水酸基含有オキシアルキレン化合物との反応条件(エステル化反応条件)は、たとえば、不活性ガス雰囲気下および大気圧下において、反応温度が、たとえば100℃以上、とくに150℃以上であるのが好ましく、400℃以下、とくに300℃以下であるのが好ましい。
また、反応時間は2時間以上、とくに4時間以上であるのが好ましく、48時間以下、とくに24時間以下であるのが好ましい。
これにより、ロジン類と水酸基含有オキシアルキレン化合物との反応生成物として、ロジン類の樹脂酸および/またはその変性体に由来する環式ジテルペン構造と、水酸基含有オキシアルキレン化合物に由来するオキシアルキレン基とを含有するOA含有ロジン誘導体が得られる。
また、オキシアルキレン化合物が(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物を含む場合には、たとえば、ロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有する共役二重結合と、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物の(メタ)アクリル基とが、必要により添加される触媒の存在下で、ディールス・アルダー反応する。
このような場合、ロジン類と(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物との配合割合は、ロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有する共役二重結合1単位に対して、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物の(メタ)アクリル基のモル数が0.2モル以上、中でも0.4モル以上、とくに0.7モル以上、とりわけ0.9モル以上であるのが好ましく、5.0モル以下、中でも3.0モル以下、とくに1.0モル以下であるのが好ましい。
ロジン類と(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物との反応条件(ディールス・アルダー反応条件)は、たとえば、不活性ガス雰囲気下および大気圧下において、反応温度が、たとえば100℃以上、とくに150℃以上であるのが好ましく、400℃以下、とくに300℃以下であるのが好ましい。
また反応時間は、たとえば2時間以上、とくに4時間以上であるのが好ましく、48時間以下、とくに24時間以下であるのが好ましい。
これにより、ロジン類と(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物との反応生成物として、ロジン類の樹脂酸および/またはその変性体に由来する環式ジテルペン構造と、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物に由来するオキシアルキレン基とを含有するOA含有ロジン誘導体が得られる。
さらに、オキシアルキレン化合物がアルキレンオキサイドを含む場合、そのアルキレンオキサイドは、ロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有するカルボキシ基に対して、公知の重合触媒の存在下で、開環重合する。
また、必要によりロジン類中の樹脂酸および/またはその変性体が有するカルボキシ基に対して、公知の2価アルコール(たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)をエステル化反応し、その末端水酸基に対してアルキレンオキサイドを付加重合することもできる。
このような場合、ロジン類とアルキレンオキサイドとの配合割合は、ロジン類のカルボキシ基1モルに対して、アルキレンオキサイドが、たとえば1モル以上、とくに2モル以上であるのが好ましく、40モル以下、とくに30モル以下であるのが好ましい。
ロジン類とアルキレンオキサイドとの反応条件(付加重合条件)は、たとえば、不活性ガス雰囲気下および大気圧下において、反応温度が、たとえば100℃以上、とくに150℃以上であるのが好ましく、400℃以下、とくに300℃以下であるのが好ましい。
また反応時間は、たとえば2時間以上、とくに4時間以上であるのが好ましく、48時間以下、とくに24時間以下であるのが好ましい。
これにより、ロジン類とアルキレンオキサイドとの反応生成物として、ロジン類の樹脂酸および/またはその変性体に由来する環式ジテルペン構造と、アルキレンオキサイドに由来するオキシアルキレン基とを含有する化合物が得られる。
なお、これら反応(エステル化反応、ディールス・アルダー反応および付加重合反応)は、1種または2種以上を用いることができる。
すなわち、いずれか1種類の反応方法によって、ロジン類とオキシアルキレン化合物とを反応させてもよく、また2種類以上の反応方法によって、ロジン類とオキシアルキレン化合物とを反応させてもよい。また、2種類以上の反応方法が併用される場合、反応順序は特に制限されず、適宜設定できる。
たとえば、エステル化反応とディールス・アルダー反応とが併用される場合、まず、ロジン類とオキシアルキレン化合物とをエステル化反応させた後、ロジン類とオキシアルキレン化合物とをディールス・アルダー反応させてもよく、ロジン類とオキシアルキレン化合物とをディールス・アルダー反応させた後、ロジン類とオキシアルキレン化合物とをエステル化反応させてもよく、さらには、それらエステル化反応およびディールス・アルダー反応が同時であってもよい。
また、付加重合反応についても同様であり、エステル化反応またはディールス・アルダー反応と、付加重合反応とを併用することができ、さらに、エステル化反応、ディールス・アルダー反応および付加重合反応を併用することもできる。
オキシアルキレン化合物としては、好ましくは、反応性オキシアルキレン化合物が挙げられ、より好ましくは、水酸基含有オキシアルキレン化合物が挙げられる。
換言すれば、ロジン類とオキシアルキレン化合物との反応として、好ましくは、エステル化反応が挙げられる。
また、上記のロジン類とオキシアルキレン化合物との反応では、必要に応じて、ロジン類が有するカルボキシ基の一部または全部を、オキシアルキレン基を含有しないアルコールにより封止(失活)することもできる。
アルコールは、オキシアルキレン基を含有せず、1つ以上の水酸基を有する化合物であれば、とくに制限されないが、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの1価脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオールなどの2価脂肪族アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価脂肪族アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価脂肪族アルコール;ジペンタエリスリトールなどの6価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
これらアルコールの1種または2種以上を用いることができる。
アルコールを添加するタイミングは、とくに制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
たとえば、ロジン類とオキシアルキレン化合物とを反応させる前に、ロジン類が有するカルボキシ基の一部または全部をアルコールとエステル化反応させて、封止することができる。
また、たとえば、ロジン類とオキシアルキレン化合物とを反応させた後、得られる反応生成物が遊離(フリー)のカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基の一部または全部をアルコールとエステル化反応させて、封止することができる。
さらに、たとえば、ロジン類とオキシアルキレン化合物との反応時にアルコールを添加して、ロジン類が有するカルボキシ基の一部または全部をアルコールとエステル化反応させて、封止することができる。
なお、アルコールによりカルボキシ基を封止する場合、そのアルコールとカルボキシ基との割合および反応条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
アルコールによりカルボキシル基を封止する場合、好ましくは、ロジン類の共役二重結合と、(メタ)アクリル基含有オキシアルキレン化合物とを反応させた後、ロジン類由来の未反応のカルボキシ基をアルコールにより封止し、失活させる。
これにより、ロジン類およびオキシアルキレン化合物(さらに、必要によりアルコール)の反応生成物として、OA含有ロジン誘導体が得られる。
そしてOA含有ロジン誘導体(つまり、ロジン類およびオキシアルキレン化合物の反応により得られる反応生成物)は、ロジン類の樹脂酸および/またはその変性体に由来する環式ジテルペン構造と、オキシアルキレン化合物に由来するオキシアルキレン単位とを併有している。
OA含有ロジン誘導体1分子に含まれる環式ジテルペン構造の数(すなわち、反応生成物1モルあたりの樹脂酸のモル数)は、たとえば1以上、とくに2以上であるのが好ましく、10以下、中でも8以下、とくに6以下、とりわけ4以下であるのが好ましく、なかんずく2であるのが好ましい。
環式ジテルペン構造の数が上記範囲であれば、粘弾性体に、とりわけ優れた減衰性能を付与することができる。
また、減衰ポリマー用添加剤1分子に含まれるオキシアルキレン単位(基)の数(すなわち、反応生成物1モルあたりのオキシアルキレン単位のモル数は2以上、中でも3以上、とくに4以上、とりわけ6以上、なかんずく8以上であるのが好ましく、40以下、とくに30以下であるのが好ましい。
オキシアルキレン単位の数が上記範囲であれば、粘弾性体に、とりわけ優れた減衰性能を付与することができる。
また、減衰ポリマー用添加剤の重量平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算分子量)は、たとえば500以上、とくに800以上であるのが好ましく、2500以下、とくに2000以下であるのが好ましい。
そして、このようにして得られるOA含有ロジン誘導体は、ロジン類と、ロジン類に対して反応可能なオキシアルキレン化合物との反応生成物を含み、それらの反応生成物1分子中において、オキシアルキレン単位の数が2以上であるため、粘弾性体に、とりわけ優れた減衰性を付与することができる。
〈シラン化合物〉
本発明の高減衰組成物には、シラン化合物を配合してもよい。
シラン化合物としては、いわゆるシリル化剤やシランカップリング剤等として機能しうる種々のシラン化合物が使用可能である。
かかるシラン化合物は、シリカと反応してその表面を改質して、当該シリカの、ベースポリマに対する親和性、分散性を向上し、それによってシリカを、高減衰組成物中に良好に分散させる働きをする。
シラン化合物としては、式(a):
Si(OR)4-n (a)
〔式中、Rはフェニル基、または炭素数1~10のアルキル基を示し、Rは炭素数1~3のアルキル基を示す。nは1~3の数を示す。〕
で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
アルコキシシラン化合物としては、たとえば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等の1種または2種以上が挙げられる。
とくに、粘弾性体に良好な減衰性能を付与することを考慮すると、式(a)中のRがフェニル基、Rがメチル基、nが1であるフェニルトリメトキシシランや、式(a)中のRがフェニル基、Rがエチル基、nが1であるフェニルトリエトキシシランが好ましい。
シラン化合物の割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり10質量部以上、とくに15質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましい。
シラン化合物の割合がこの範囲未満では、上述した、シリカの表面を改質してベースポリマに対する親和性、分散性を向上する効果が十分に得られず、高減衰組成物の加工性が低下する場合がある。
また、粘弾性体に良好な減衰性能を付与できない場合もある。
一方、シラン化合物の割合が上記の範囲を超える場合には、却って、高減衰組成物の加工性が低下したり、粘弾性体の減衰性能が低下したりする場合がある。
これに対し、シラン化合物の割合を上記の範囲とすることにより、高減衰組成物の加工性が低下するのを抑制しながら、粘弾性体に良好な減衰性能を付与することができる。
〈架橋成分〉
本発明の高減衰組成物が、ベースポリマとして架橋性ゴムを含む場合、当該高減衰組成物には、架橋性ゴムを架橋させるための架橋成分を配合する。
架橋成分としては架橋剤、架橋促進剤等が挙げられ、このうち架橋剤としては、とくに硫黄系架橋剤が好ましい。
また硫黄系架橋剤としては、たとえば、粉末硫黄、オイル処理粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、分散性硫黄等の硫黄や、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N-ジチオビスモルホリン等の有機含硫黄化合物などが挙げられ、とくに硫黄が好ましい。
硫黄の割合は、ベースポリマとしての架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
なお硫黄として、たとえば、オイル処理粉末硫黄、分散性硫黄等を使用する場合、上記の割合は、それぞれの中に含まれる有効成分としての硫黄自体の割合とする。
架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系促進剤、チウラム系促進剤等が挙げられる。
架橋促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、2種以上を併用するのが好ましい。
このうちスルフェンアミド系促進剤としては、たとえば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等の1種または2種以上を用いることができる。
スルフェンアミド系促進剤の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
またチウラム系促進剤としては、たとえば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の1種または2種以上を用いることができる。
チウラム系促進剤の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
〈その他の成分〉
本発明の高減衰組成物には、上記の各成分に加えて、さらにシリカ以外の他の無機充填剤、架橋助剤、軟化剤、OA含有ロジン誘導体以外の他の粘着性付与剤、老化防止剤等を、適宜の割合で配合してもよい。
(無機充填剤)
シリカ以外の他の無機充填剤としては、たとえば、カーボンブラックが挙げられる。
またカーボンブラックとしては、その製造方法等によって分類される種々のカーボンブラックのうち、充填剤として機能しうるカーボンブラックの1種または2種以上を用いることができる。
カーボンブラックの割合は、架橋性ゴム等のベースポリマの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
(架橋助剤)
架橋助剤としては、たとえば、酸化亜鉛等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。とくに、酸化亜鉛とステアリン酸とを併用するのが好ましい。
このうち、酸化亜鉛の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
またステアリン酸の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
(軟化剤)
軟化剤は、高減衰組成物の加工性をさらに向上するための成分であって、当該軟化剤としては、たとえば、室温で液状を呈する液状ゴムが挙げられる。
また液状ゴムとしては、たとえば、液状ポリイソプレンゴム、液状ニトリルゴム(液状NBR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)等の1種または2種以上が挙げられ、とくに液状ポリイソプレンゴムが好ましい。
液状ポリイソプレンゴムの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)LIR-30(数平均分子量:28000)、LIR-50(数平均分子量:54000)等の少なくとも1種を用いることができる。
なお液状ゴムは、前述した、高減衰組成物の主体を構成し、架橋前に室温で固形状を呈する架橋性ゴムの架橋時に、当該架橋性ゴムとともに架橋反応する成分ではあるが、特性上はあくまでも軟化剤であるため、架橋性ゴムの総量には加えないこととする。
液状ゴムの割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましい。
また他の軟化剤としては、たとえば、クマロン・インデン樹脂等が挙げられる。
クマロン・インデン樹脂としては、主にクマロンとインデンの重合物からなり、平均分子量1000以下程度の比較的低分子量であって、軟化剤として機能しうる種々のクマロン・インデン樹脂が挙げられる。
クマロン・インデン樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種製品等の1種または2種以上を用いることができる。
日塗化学(株)製のニットレジン(登録商標)シリーズのうちクマロンG-90〔平均分子量:770、軟化点:90℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:25KOHmg/g、臭素価9g/100g〕、G-100N〔平均分子量:730、軟化点:100℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:25KOHmg/g、臭素価11g/100g〕、V-120〔平均分子量:960、軟化点:120℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:30KOHmg/g、臭素価6g/100g〕、V-120S〔平均分子量:950、軟化点:120℃、酸価:1.0KOHmg/g以下、水酸基価:30KOHmg/g、臭素価7g/100g〕等。
クマロン・インデン樹脂の割合は、架橋性ゴム等のベースポリマの総量100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましく、20質量部以下であるのが好ましい。
(他の粘着性付与剤)
OA含有ロジン誘導体以外の他の粘着性付与剤としては、たとえば、オキシアルキレン化合物を反応させていない、前述した無変性ロジンやロジン変性体(酸変性ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、重合ロジン等)の1種または2種以上を用いることができる。
また粘着性付与剤としては、石油樹脂等を用いることもできる。
しかし、OA含有ロジン誘導体を配合することによる前述した効果を良好に発現させること等を考慮すると、これら他の粘着性付与剤の割合はできるだけ少ないことが好ましく、とくに他の粘着性付与剤は配合しない(除く)ことが好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、たとえば、ベンズイミダゾール系、キノン系、ポリフェノール系、アミン系等の各種老化防止剤の1種または2種以上を用いることができる。
とくに、ベンズイミダゾール系老化防止剤とキノン系老化防止剤を併用するのが好ましい。
このうちベンズイミダゾール系老化防止剤としては、たとえば、2-メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
ベンズイミダゾール系老化防止剤の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
またキノン系老化防止剤としては、たとえば、丸石化学品(株)製のアンチゲンFR〔芳香族ケトン-アミン縮合物〕等が挙げられる。
キノン系老化防止剤の割合は、架橋性ゴムの総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下であるのが好ましい。
〈高減衰組成物〉
上記各成分を含む本発明の高減衰組成物によれば、たとえば、ビルなどの建築物等の基礎に組み込まれる免震用の粘弾性支承や、あるいは建築物等の構造中に組み込まれる制震用の粘弾性ダンパを構成する粘弾性体を形成することができる。
また本発明の高減衰組成物によれば、吊橋や斜張橋等のケーブルの制振部材、産業機械や航空機、自動車、鉄道車両等の防振部材、コンピュータやその周辺機器類、家庭用電気機器類等の防振部材などとして使用される各種の粘弾性体を形成することもできる。
しかも架橋性ゴム等のベースポリマ、シリカ、OA含有ロジン誘導体、シラン化合物、架橋成分その他の種類と組み合わせと配合割合を調整することにより、各々の粘弾性体を、それぞれの用途に適した優れた減衰性能を有するものとすることもできる。
《粘弾性ダンパ》
本発明の高減衰組成物を形成材料として用いて、建築物等の構造中に組み込まれる粘弾性ダンパの粘弾性体を形成すると、当該粘弾性体が高い減衰性能を有することから、かかる粘弾性体を含む個々の粘弾性ダンパの減衰性能を向上することができる。
そのため、粘弾性ダンパの全体を小型化したり、1つの建築物等に組み込む数を減らしたりしても、従来と同等の制震性能を確保することができる。
また、本発明の高減衰組成物によれば、先に説明したように、粘弾性体の減衰性能の温度依存性を小さくできることから、たとえば、温度差の大きい建築物等の外壁付近に粘弾性ダンパを設置することもできる。
したがって建築物等における、粘弾性ダンパによる制震性能の設計の自由度を拡げたり、周辺鋼材の強度を上げるための設計などを省略してコスト低減に繋げたりすることもできる。
なお、高減衰組成物を用いて粘弾性体を形成する工程は、従来同様に実施できる。
たとえば、高減衰組成物をシート状等の任意の形状に形成したものを、さらに粘弾性体の形状に成形したのち、架橋性ゴムを架橋させることで粘弾性体を形成することができる。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(OA含有ロジン誘導体Iの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン530質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら加熱して溶融させた。
次いで、温度が205℃に達した段階で、溶融したトールロジンを撹拌しながら、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレート〔メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、新中村化学工業(株)製のAM-90G、アクリル基数:1、オキシエチレン単位数(EO数):9〕240質量部を2時間かけて滴下した。
そして、トールロジン中の樹脂酸の共役二重結合と、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレートのアクリル基とをディールス・アルダー反応させて、反応生成物を得た。
次いで、上記反応生成物に、オキシアルキレン基を含有しないアルコールとしての1-オクタノール230質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、反応生成物中に残存するカルボキシ基と、1-オクタノールの水酸基とをエステル化反応させてカルボキシ基を封止して、OA含有ロジン誘導体Iを合成した。
ディールス・アルダー反応では、共役二重結合1単位に対するアクリル基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体Iは、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレート1モルに対して樹脂酸1モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体Iは、1分子中に環式ジテルペン構造を1つ含み、かつEO数が9の化合物である。
(高減衰組成物の調製)
ベースポリマとしては、架橋性ゴムである天然ゴム〔SMR-CV60〕を用いた。
上記天然ゴム100質量部を、密閉式混練機を用いて素練りしながら、上記OA含有ロジン誘導体Iと、下記表1に示す各成分とを配合し、混練の温度を160℃に設定して混練した。
Figure 0007437608000002
表1中の各成分は下記の通り。また表中の質量部は、それぞれ天然ゴム100質量部あたりの質量部である。
シリカ:東ソー・シリカ(株)製のNipSil(ニップシール)VN3
OA含有ロジン誘導体I:環式ジテルペン構造×1、EO数×9
シラン化合物:フェニルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製のKBE-103
液状ポリイソプレンゴム:(株)クラレ製のクラプレンLIR-50、数平均分子量:54000
カーボンブラック:FEF、東海カーボン(株)製のシースト3
酸化亜鉛2種:三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:日油(株)製の「つばき」
次いで、下記表2に示す架橋成分を加えてさらに混練して、高減衰組成物を調製した。
Figure 0007437608000003
表中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は、それぞれ天然ゴム100質量部あたりの質量部である。
5%オイル処理粉末硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製、硫黄自体の配合割合は1.5質量部
スルフェンアミド系促進剤:N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS
チウラム系促進剤:テトラブチルチウラムジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTBT-n
〈実施例2~5〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体IIを、天然ゴム100質量部あたり10質量部(実施例2)、20質量部(実施例3)、45質量部(実施例4)、50質量部(実施例5)配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体IIの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン770質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、トリエチレングリコール〔水酸基数:2、EO数:3〕230質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、トリエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体IIを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体IIは、トリエチレングリコール1モル(水酸基2モル)に対して樹脂酸2モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体IIは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が3の化合物である。
〈実施例6〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体IIIを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体IIIの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン770質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、ポリオキシエチレンエーテルテトラオール〔水酸基数:4、EO数:4〕230質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、ポリオキシエチレンエーテルテトラオールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体IIIを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体IIIは、ポリオキシエチレンエーテルテトラオール1モル(水酸基4モル)に対して樹脂酸4モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体IIIは、1分子中に環式ジテルペン構造を4つ含み、かつEO数が4の化合物である。
〈実施例7、8〉
前述したOA含有ロジン誘導体IIを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合するとともに、シリカの量を、天然ゴム100質量部あたり110質量部(実施例7)、170質量部(実施例8)としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例9〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体IVを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体IVの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン830質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、ジエチレングリコール〔水酸基数:2、EO数:2〕170質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、ジエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体IVを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体IVは、ジエチレングリコール1モル(水酸基2モル)に対して樹脂酸2モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体IVは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が2の化合物である。
〈実施例10〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体Vを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体Vの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン590質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら加熱して溶融させた。
次いで、温度が200℃に達した段階で、溶融したトールロジンを撹拌しながら、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレート〔メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート、新中村化学工業(株)製のAM-130G、アクリル基数:1、EO数:13〕260質量部を2時間かけて滴下した。
そして、トールロジン中の樹脂酸の共役二重結合と、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレートのアクリル基とをディールス・アルダー反応させて、反応生成物を得、得られた反応生成物を150℃まで冷却した。
ディールス・アルダー反応では、共役二重結合1単位に対するアクリル基のモル数が1.0モルとなるように調整した。
次いで、上記反応生成物を200℃まで加熱して溶融させ、さらにジエチレングリコール〔水酸基数:2、オキシエチレン単位としてのEO数:2〕60質量部、およびトリエチレングリコール〔水酸基数:2、EO数:3〕90質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、反応生成物中の樹脂酸のカルボキシ基と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体Vを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整した。
合成したOA含有ロジン誘導体Vは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が28の化合物と、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が29の化合物との混合物である。
〈実施例11〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体VIを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体VIの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン510質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら加熱して溶融させた。
次いで、温度が200℃に達した段階で、溶融したトールロジンを撹拌しながら、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレート〔メトキシポリエチレングリコール#550アクリレート、新中村化学工業(株)製のAM-130G、アクリル基数:1、EO数:13〕310質量部を2時間かけて滴下した。
そして、トールロジン中の樹脂酸の共役二重結合と、メトキシ-ポリオキシエチレングリコールアクリレートのアクリル基とをディールス・アルダー反応させて、反応生成物を得、得られた反応生成物を150℃まで冷却した。
ディールス・アルダー反応では、共役二重結合1単位に対するアクリル基のモル数が1.0モルとなるように調整した。
次いで、上記反応生成物を200℃まで加熱して溶融させ、さらにトリエチレングリコール〔水酸基数:2、EO数:3〕80質量部、およびポリオキシエチレングリコール〔水酸基数:2、数平均分子量Mn:200、EO数:4〕100質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、反応生成物中の樹脂酸のカルボキシ基と、トリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体VIを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整した。
合成したOA含有ロジン誘導体VIは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が29の化合物と、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が30の化合物との混合物である。
〈実施例12〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体VIIを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体VIIの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン720質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、ポリオキシエチレングリコール〔水酸基数:2、数平均分子量Mn:200、EO数:4〕280質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、ポリオキシエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体VIIを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体VIIは、ポリオキシエチレングリコール1モル(水酸基2モル)に対して樹脂酸2モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体VIIは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が4の化合物である。
〈実施例13〉
下記で合成したOA含有ロジン誘導体VIIIを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(OA含有ロジン誘導体VIIIの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン560質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、ポリオキシエチレングリコール〔水酸基数:2、数平均分子量Mn:400、EO数:9〕440質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、ポリオキシエチレングリコールの水酸基とをエステル化反応させて、OA含有ロジン誘導体VIIIを合成した。
エステル化反応では、カルボキシ基1モルに対する水酸基のモル数が1.0モルとなるように調整しており、合成したOA含有ロジン誘導体VIIIは、ポリオキシエチレングリコール1モル(水酸基2モル)に対して樹脂酸2モルを付加させた構造を有している。
つまりOA含有ロジン誘導体VIIIは、1分子中に環式ジテルペン構造を2つ含み、かつEO数が9の化合物である。
〈比較例1〉
OA含有ロジン誘導体に代えて無変性ロジン〔ハリマ化成(株)製のハートールR-WW〕を、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈比較例2〉
下記で合成したロジンエステルを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(ロジンエステルの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン660質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、1-オクタノール340質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、1-オクタノールの水酸基とをエステル化反応させてロジンエステルを合成した。
〈比較例3〉
下記で合成したジエステルロジンを、天然ゴム100質量部あたり20質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
(ジエステルロジンの合成)
2Lフラスコに、無変性ロジンとしてのトールロジン780質量部を仕込み、窒素5ml/分を流しながら、200℃まで加熱して溶融させた。
次いで、溶融したトールロジンを撹拌しながら、1,8-オクタンジオール220質量部を添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させて、トールロジン中の樹脂酸のカルボキシ基と、1,8-オクタンジオールの水酸基とをエステル化反応させてジエステルロジンを合成した。
〈減衰性能試験〉
(試験体の作製)
実施例、比較例で調製した高減衰組成物をシート状に押出成形したのち打ち抜いて、図1に示すように、平面形状が矩形の平板1(厚み8mm×縦40mm×横40mm)を形成した。
次いで、形成した平板1の表裏両面に、それぞれ加硫接着剤を介して、厚み6mm×縦44mm×横44mmの矩形平板状の鋼板2を重ねて積層体とした。
そして上記積層体を、積層方向に加圧しながら150℃に加熱して、平板1を形成する高減衰組成物を架橋させるとともに、当該平板1を2枚の鋼板2と加硫接着させて、粘弾性体のモデルとしての減衰性能評価用の試験体3を作製した。
(変位試験)
上記試験体3を、図2(a)に示すように2個用意し、この2個の試験体3を、それぞれ、一方の鋼板2を介して1枚の中央固定治具4に固定するとともに、両試験体3の、他方の鋼板2に、それぞれ1枚ずつの左右固定治具5を固定した。
次いで中央固定治具4を、図示しない試験機の上側の固定アーム6に、ジョイント7を介して固定し、かつ2枚の左右固定治具5を、上記試験機の下側の可動盤8に、ジョイント9を介して固定した。
なお両試験体3は、それぞれ平板1の互いに平行な2辺を下記変位方向と平行に揃えた状態で、上記のように固定した。
次いで、下記(I)(II)の操作を1サイクルとして、平板1を繰り返し歪み変形、すなわち振動させた際の、当該平板1の厚み方向の変位量(mm)と、荷重(N)との関係を示すヒステリシスループH(図3参照)を求めた。
(I):可動盤8を、図2(a)中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向に押し上げるように変位させて、平板1を、図2(b)に示すように厚み方向と直交方向に歪み変形させた状態とする。
(II):上記の状態から、可動盤8を、今度は図2(b)中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向と反対方向に引き下げるように変位させて、図2(a)に示す状態に戻す。
測定は、温度23℃の環境下、上記(I)(II)の操作を3サイクル実施して3サイクル目の値を求めた。
各サイクルにおける最大変位量は、いずれも平板1を挟む2枚の鋼板2の、当該平板1の厚み方向と直交方向のずれ量が平板1の厚みの100%となるように設定した。
測定によって求めた図3のヒステリシスループHから、式(i):
Figure 0007437608000004
によって等価せん断弾性率Geq(N/mm)を求めた。
式中、Keq(N/mm)は、ヒステリシスループHの最大変位点と最小変位点とを結ぶ、図3中に太線の実線で示す直線Lの傾き、T(mm)は平板1の厚み、A(mm)は平板1の断面積である。
また、図3のヒステリシスループHから、式(ii):
Figure 0007437608000005
によって等価減衰定数Heqを求めた。
式中のΔWは、図3中に斜線を付して示した、ヒステリシスループHの全表面積で表される吸収エネルギー量である。
またWは、同図中に網線を付して示した、直線Lと、グラフの横軸と、直線LとヒステリシスループHとの交点から上記横軸におろした垂線Lとで囲まれた三角形の領域の表面積で表される弾性歪みエネルギーである。
そして、比較例1における等価減衰定数Heqを100としたときの、各実施例、比較例の等価減衰定数Heqの相対値を求めた。
〈減衰性能の温度依存性評価〉
(低温環境)
温度0℃の低温環境下、上記と同条件で変位試験を実施して求めた図3に示すヒステリシスループHから、等価せん断弾性率Geq(0℃)(N/mm)を求めた。
次いで、同じサンプルの、前述した温度23℃の環境下で求めた等価せん断弾性率Geq(23℃)(N/mm)との比Geq(0℃)/Geq(23℃)を求めた。
そして、比較例1における比Geq(0℃)/Geq(23℃)を100としたときの、各実施例、比較例の比Geq(0℃)/Geq(23℃)の相対値を求めた。
(高温環境)
温度40℃の高温環境下、上記と同条件で変位試験を実施して求めた図3に示すヒステリシスループHから等価せん断弾性率Geq(40℃)(N/mm)を求めた。
次いで、同じサンプルの、前述した温度23℃の環境下で求めた等価せん断弾性率Geq(23℃)(N/mm)との比Geq(40℃)/Geq(23℃)を求めた。
そして、比較例1における比Geq(40℃)/Geq(23℃)を100としたときの、各実施例、比較例の比Geq(40℃)/Geq(23℃)の相対値を求めた。
(温度依存性評価)
上記低温環境下での相対値が105以下で、かつ高温環境下での相対値が95以上であったものを「○」、いずれか一方または両方が上記の範囲を満足しなかったものを「×」として減衰性能の温度依存性を評価した。
結果を表3~表6に示す。
Figure 0007437608000006
Figure 0007437608000007
Figure 0007437608000008
Figure 0007437608000009
各表の実施例、比較例の結果より、ベースポリマおよびシリカとともに、ロジン誘導体としてOA含有ロジン誘導体を用いることにより、減衰性能に優れる上、当該減衰性能の温度依存性の小さい粘弾性体を形成できることが判った。
また実施例3、7、8の結果より、シリカの割合は、ベースポリマの総量100質量部あたり110質量部以上、170質量部以下であるのが好ましいことが判った。
1 平板
2 鋼板
3 試験体
4 中央固定治具
5 左右固定治具
6 固定アーム
7 ジョイント
8 可動盤
9 ジョイント
H ヒステリシスループ
直線
垂線
W 弾性歪みエネルギー
ΔW 吸収エネルギー量

Claims (6)

  1. 架橋性ゴム
    シリカ、および
    ロジン類とオキシアルキレン化合物との反応生成物であって、オキシアルキレン単位を、前記反応生成物1分子中に2以上含むロジン誘導体
    を含む高減衰組成物からなる粘弾性体を含む粘弾性ダンパ
  2. 前記ロジン誘導体は、前記ロジン類に由来する環式ジテルペン構造を、前記反応生成物1分子中に1以上、6以下含む請求項1に記載の粘弾性ダンパ
  3. 前記ロジン誘導体を、前記架橋性ゴムの総量100質量部あたり10質量部以上、45質量部以下の割合で含む請求項1または2に記載の粘弾性ダンパ
  4. 前記架橋性ゴムは、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、およびスチレンブ
    タジエンゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋性ゴムである請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の粘弾性ダンパ
  5. 前記シリカを、前記架橋性ゴムの総量100質量部あたり110質量部以上、170
    質量部以下の割合で含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粘弾性ダンパ
  6. さらにシラン化合物を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘弾性ダンパ
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