JP7432305B2 - ろう付け用表面処理基材および熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、ろう付け用表面処理基材および熱交換器に関する。
従来、耐食性が要求される熱交換器として、プレス成型等により凹凸を形成したステンレス鋼板を、ろう付けにより積層させることで、ステンレス鋼板の凹凸同士により形成される隙間を冷媒等の流路としたプレート式熱交換器が知られている。
このようなプレート式熱交換器を製造するためのろう付け用ステンレス鋼板として、たとえば、特許文献1には、表面にろう材としてのニッケル-リン合金めっき層が形成されてなるフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。
特開2000-61627号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のろう付け用ステンレス鋼板では、ろう付けを行う際の熱により、ろう材であるニッケル-リン合金めっき層が流れて、基材であるステンレス鋼板が表面に露出してしまい、これにより、熱交換器として用いる場合における耐食性が低下してしまうという問題があった。
本発明の目的は、ろう付け後の耐食性に優れるろう付け用表面処理基材を提供することである。
本発明者等は、基材上に、特定の第1層および特定の第2層を、この順で形成することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、基材と、融点が1100℃以上である第1材料からなり、前記基材上に形成された第1層と、Ni-P合金を含有し、前記第1材料よりも融点が300℃以上低い第2材料からなり、前記第1層上に形成された第2層と、を備え、前記第1層の厚みtと、前記第2層の厚みtとの関係が、厚み条件(1)「t≧3μm、かつ、t≧5μm」、または厚み条件(2)「1μm≦t<3μm、かつ、t≧20μm」のいずれかを満たすろう付け用表面処理基材が提供される。
本発明のろう付け用表面処理基材において、前記第1層の厚みtと、前記第2層の厚みtとの関係が、前記厚み条件(1)を満たす場合に、厚み条件(3)「t>t」をさらに満たすことが好ましい。
本発明のろう付け用表面処理基材において、前記基材がステンレス鋼であることが好ましい。
本発明のろう付け用表面処理基材において、前記第1材料が、Ni,Ni合金(Ni以外の元素の含有割合が10原子%以下であるNi合金),Co,Co合金(Co以外の元素の含有割合が10原子%以下であるCo合金),またはNi-Co合金を含有することが好ましい。
本発明のろう付け用表面処理基材は、塩水に接触して使用されるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記いずれかのろう付け用表面処理基材を備える熱交換器が提供される。
本発明では、ろう付け後の耐食性に優れるろう付け用表面処理基材を提供することができる。
本発明に係るろう付け用表面処理基材を用いて形成される伝熱板を備えるプレート式熱交換器の一実施の形態を示す斜視図である。 図1に示すプレート式熱交換器に備えられている伝熱板の断面図である。 本実施形態におけるプレート式熱交換器の他の例を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るろう付け用表面処理基材の断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態について説明する。本発明に係るろう付け用表面処理基材は、熱処理を施すことでろう付け可能であり、ろう付けにより積層することで形成することができる部品、特に耐食性が求められる部品に用いることができる。たとえば、本発明に係るろう付け用表面処理基材は、図1,2に示すように、プレート式熱交換器2を構成する伝熱板23を形成するために用いることができる。以下においては、プレート式熱交換器2の伝熱板23として、本発明に係るろう付け用表面処理基材を用いた実施形態にて、本発明を説明する。
図1は、本発明に係るろう付け用表面処理基材を用いて形成された伝熱板23を備えるプレート式熱交換器2の一実施の形態を示す斜視図である。
図1に示すプレート式熱交換器2は、内部に図2に示す伝熱板23を備え、冷媒等の流体が、図1に示す矢印の方向に沿って流体入口21からプレート式熱交換器2の内部に流れ込み、複数の伝熱板23の間に形成される流体流路24を通った後、流体出口22から、図1に示す矢印の方向に沿ってプレート式熱交換器2から流れ出ていくように構成されている。
プレート式熱交換器2を構成する伝熱板23は、本発明に係るろう付け用表面処理基材を、プレス等の成型方法により、所望の形状に成形することにより得ることができ、たとえば、図2に示す伝熱板23のような波型の形状とすることができる。本実施形態においては、このような伝熱板23を複数準備して、図2に示すように介在部材25を介して重ね合わせた状態で、熱処理を施すことで、伝熱板23と介在部材25とが接触している部分において、伝熱板23の最表層が溶融してろう付けが行われ、これにより、伝熱板23と介在部材25とが接合され、伝熱板23と介在部材25との隙間に流体流路24を形成することができる。また、本実施形態においては、図3に示すように、所望の形状に成形した伝熱板23を、プレート式熱交換器の外層を構成する外層部材26に対してろう付け接合することで、伝熱板23と外層部材26との間に流体流路24aを形成し、これによりプレート式熱交換器を製造してもよい。以下、図4を参照して、本発明に係るろう付け用表面処理基材(表面処理基材1)の構成について説明する。
図4は、図2、図3に示す伝熱板23を製造するために用いる、表面処理基材1の断面図である。本実施形態の表面処理基材1は、図4に示すように、基材11上に、第1材料からなる第1層12および第2材料からなる第2層13が、この順で形成されてなる。
本実施形態の表面処理基材1においては、第1層12を構成する第1材料の融点が1100℃以上である。また、本実施形態の表面処理基材1においては、第2層13を構成する第2材料の融点が、Ni-P合金を含有し、かつ、上記第1材料の融点よりも300℃以上低い。さらに、本実施形態の表面処理基材1は、第1層の厚みtと、第2層の厚みtとの関係が、厚み条件(1)「t≧3μm、かつ、t≧5μm」、または厚み条件(2)「1μm≦t<3μm、かつ、t≧20μm」のいずれかを満たすものである。これにより、本実施形態の表面処理基材1は、最表層(第2層13)を溶融させてろう付けを行う場合においても、ろう付け後の耐食性に優れたものとなる。
<基材11>
本実施形態の基材11としては、成形加工性に優れているものであればよく特に限定されないが、ステンレス鋼板を用いることが好ましい。ステンレス鋼板としては、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系などが挙げられるが、なかでも、オーステナイト系ステンレス鋼板が好ましく、SUS304、SUS316が特に好ましい。
基材11としてステンレス鋼板を用いる場合には、ステンレス鋼の熱間圧延板を酸洗して表面のスケール(酸化膜)を除去した後、冷間圧延し、次いで電解洗浄後に、焼鈍、調質圧延したもの、または冷間圧延、電解洗浄後、焼鈍をせずに調質圧延を施したもの等を用いることができる。
基材11の厚みは特に限定されないが、得られる表面処理基材1の強度および加工性をよりバランスに優れたものとすることができるという観点より、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.2~0.8mm、さらに好ましくは0.3~0.5mmである。
<第1層12>
第1層12は、後述する第2層13の下層として形成される層であり、融点が1100℃以上である第1材料から構成される。本実施形態においては、複数の表面処理基材1を、一部が接触するように重ねた状態で、熱処理により最表層(第2層13)を溶融させると、第2層13がろう材として作用して、他の部材(他の表面処理基材1や、他の材料からなる部材)の接触部分と接合することができる。本実施形態によれば、この際において、ろう付けの熱によって第2層13が流れたとしても、第2層13の下層として第1層12が存在することにより、表面処理基材1の耐食性を向上させることが可能となる。
第1材料としては、融点が1100℃以上であるものであればよく、特に限定されないが、たとえば、Ni,Ni合金(たとえば、Ni以外の元素の含有割合が10原子%以下であるNi合金),Co,Co合金(たとえば、Co以外の元素の含有割合が10原子%以下であるCo合金),またはNi-Co合金(たとえば、NiおよびCoの含有割合が、それぞれ10原子%超である合金)などが挙げられ、なかでも、Ni,Ni-Zn合金,Ni-Fe合金,Ni-Zn-Co合金が好ましく、Niが特に好ましい。すなわち、第1層12は、実質的にNiのみからなる第1材料から構成されるものであることが好ましい。
第1層12を形成する方法としては、特に限定されないが、上述した第1材料を含むめっき浴を用いて、基材11に対してめっきを行う方法が好ましい。
第1材料としてのNiを含む第1層12を、めっきにより形成する場合には、ニッケルめっき浴を用いてめっきを行うことで、基材11上に第1層12を形成することができる。ニッケルめっき浴としては、ニッケルめっきで通常用いられているめっき浴、すなわち、ワット浴や、スルファミン酸浴、ほうフッ化物浴、塩化物浴などを用いることができる。たとえば、第1材料としてのNiを含む第1層12は、ワット浴として、硫酸ニッケル200~350g/L、塩化ニッケル20~60g/L、ほう酸10~50g/Lの浴組成のものを用い、pH3.0~4.8(好ましくはpH3.6~4.6)、浴温50~70℃にて、電流密度10~40A/dm(好ましくは20~30A/dm)の条件で形成することができる。
また、第1材料としてのCoを含む第1層12を、めっきにより形成する場合には、コバルトめっき浴を用いてめっきを行うことで、基材11上に第1層12を形成することができる。たとえば、第1材料としてのCoを含む第1層12は、硫酸コバルト:200~300g/L、塩化コバルト:50~150g/L、塩化ナトリウム:10~50g/Lの浴組成のコバルトめっき浴を用いて、pH:2~5、浴温:40~80℃、電流密度:1~40A/dmの条件で形成することができる。
あるいは、第1材料としてのNi-Co合金を含む第1層12を、めっきにより形成する場合には、たとえば、ニッケル-コバルト合金めっき浴として、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸コバルトおよびホウ酸を含有してなるワット浴をベースとしためっき浴を用いて、めっきを行うことで、基材11上に第1層12を形成することができる。なお、ニッケル-コバルト合金めっきは、浴温40~80℃、pH1.5~5.0、電流密度1~40A/dmの条件とすることが好ましい。なお、第1材料としてNi-Co合金を用いる場合には、Ni-Co合金としては、たとえば、NiおよびCoの含有割合が、それぞれ10原子%超である合金が挙げられる。また、Ni-Co合金には他の金属が含まれていてもよく、たとえば、Ni-Zn-Co合金などを用いることができる。この場合には、第1材料を構成することとなる金属(Ni,Zn,Co等)を含むめっき浴を用いてめっきを行うことにより、基材11上に第1層12を形成することができる。
第1材料として、Ni合金(Ni以外の元素の含有割合が10原子%以下であるNi合金)を用いる場合には、たとえば、Ni-Zn合金、Ni-Fe合金などを用いることができる。また、第1材料として、Co合金(Co以外の元素の含有割合が10原子%以下であるCo合金)を用いる場合には、Co-Fe合金などを用いることができる。この場合には、第1材料を構成することとなる金属(Ni,Zn,Fe,Co等)を含むめっき浴を用いてめっきを行うことにより、基材11上に、第1材料として上記Ni合金を含む第1層12、または第1材料として上記Co合金を含む第1層12を形成することができる。
第1層12を構成する第1材料の融点は、1,100℃以上であればよいが、好ましくは1,200℃以上、より好ましくは1,400℃以上である。第1材料の融点が低すぎると、表面処理基材1の最表層(第2層13)を溶融させてろう付けを行う場合に、ろう付けの熱により、第2層13だけでなく第1層12も溶融してしまい、これにより第1層12が流れて基材11が露出してしまい、表面処理基材1の耐食性が低下してしまうおそれがある。なお、第1材料の融点の上限は、特に限定されないが、通常1,600℃以下、好ましくは1,500℃以下である。
第1層12の厚みtは、特に限定されないが、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~8μm、さらに好ましくは3~5μmである。第1層12の厚みtを上記範囲とすることにより、得られる表面処理基材1の耐食性をより向上させることができる。特に第1層がめっき層からなる場合には10μmを超えるとめっき時のひずみにより全体がたわんだり、表面の凹凸ができやすかったり、基材の端と中央部分とでめっきムラができたりする恐れがあり、それにより、第2層形成時、特にNi-P合金をめっきで形成する際にNi-P合金層の厚みの均一性が崩れやすくなる恐れがあるため、10μm以下が好ましい。
<第2層13>
第2層13は、Ni-P合金を含有する第2材料から構成される。この第2材料としては、融点が、上述した第1材料の融点より300℃以上低いものを用いる。本実施形態の表面処理基材1においては、複数の表面処理基材1を積層した後、熱処理を施すことにより、第2層13に含まれるNi-P合金がろう材として作用して、他の部材(他の表面処理基材1や、他の材料からなる部材)の接触部分と接合することができる。
第2材料としては、Ni-P合金を含有し、かつ、融点が第1材料の融点より300℃以上低いものであればよく、特に限定されないが、Ni-P合金単独(すなわち、第1材料が、実質的にNi-P合金のみからなるもの)であってもよいし、Ni-P合金以外に、例えばSiやCrを含有するものであってもよい。ろう付け性確保のため、Siは10重量%以下、Crは30%重量以下が好ましい。Siは融点降下元素だが、多すぎるとNi-P合金が脆くなり、ろう付け性は低下するためである。Crは耐食性向上元素だが、多すぎるとろう材の流動性が悪くなり、ろう付け性が低下するためである。
第2材料に含まれるNi-P合金は、Pの含有割合が、好ましくは7~15重量%、より好ましくは9~14重量%、さらに好ましくは11~12重量%である。Ni-P合金中のPの含有割合を上記範囲とすることにより、第2材料の融点をより適切な範囲に制御することができ、第2材料を用いて形成される第2層13を、ろう材としてより適切なものとすることができる。
第2層13を形成する方法としては、特に限定されないが、上述した第2材料を含むめっき浴を用いて、第1層12上にめっきを行う方法が好ましい。
第2層13を、電気めっきにより形成する場合には、たとえば、ニッケル-リン合金めっき浴として、たとえば硫酸ニッケル等のニッケル塩、亜リン酸ナトリウム等のリン成分を含有してなるめっき浴を用いて、第1層12を形成した基材11に対してめっきを行うことで、第1層12上に第2層13を形成することができる。ニッケル-リン合金めっきは、浴温40~80℃、pH1.5~5.0、電流密度が1~20A/dmの条件とすることが好ましい。なお、本実施形態においては、電気めっきにより第1層および第2層を形成することにより、工業的に生産性を伴って、連続処理によって一定幅(幅10~150cm)かつ長さ10~40000m以上の表面処理基材の連続金属帯を得ることが可能となり、このような連続金属帯から得られる表面処理基材はろう付け用に好適である。
第2材料の融点は、第1材料の融点より、300℃以上低いものであればよいが、第1材料の融点より400℃以上低いことが好ましく、第1材料の融点より500℃以上低いことがより好ましい。第2材料の融点を上記範囲とすることにより、第2材料を用いて形成される第2層13を、ろう材としてより適切なものとすることができる。
本実施形態においては、第2層13の厚みtは、上述した第1層の厚みtとの関係で、厚み条件(1)「t≧3μm、かつ、t≧5μm」、または厚み条件(2)「1μm≦t<3μm、かつ、t≧20μm」のいずれかを満たすものである。
上述した厚み条件(1)においては、第2層13の厚みtは、第1層の厚みtがt≧3μmである場合に、t≧5μmであればよいが、好ましくはt≧10μm、より好ましくはt≧20μmである。なお、上述した厚み条件(1)においては、第2層13の厚みtの上限は、特に限定されないが、通常t≦10μm、好ましくはt≦20μmである。また、上述した厚み条件(1)を満たす場合には、さらに、厚み条件(3)「t>t」を満たすことが好ましい。第1層の厚みtがt≧3μmである場合においては、耐食性により優れるという観点より、第1層の厚みtは、4μm≦t≦6μmであることが好ましく、4.5μm≦t≦5.5μmであることがより好ましい。
一方、上述した厚み条件(2)においては、第2層13の厚みtは、第1層の厚みtが1μm≦t<3μmである場合に、t≧20μmであればよい。なお、上述した厚み条件(2)においては、第2層13の厚みtの上限は、特に限定されないが、通常t≦40μmである。
本実施形態においては、第2層13の厚みtと、第1層の厚みtとを、上述した関係を満たすものとすることにより、表面処理基材1の最表層(第2層13)を溶融させてろう付けを行う場合に、ろう付けの熱によって第2層13が流れてしまったとしても、基材11上には第1層12が残存することとなり、表面処理基材1の耐食性をより向上させることができる。
また、本実施形態においては、第2層13の厚みtに対する第1層の厚みtの比(第1層の厚みt/第2層13の厚みt)は、好ましくは0.05~1.0、より好ましくは0.1~1.0、さらに好ましくは0.2~1.0である。第2層13の厚みtに対する第1層の厚みtの比を上記範囲とすることにより、表面処理基材1をろう付けにより積層する場合に、ろう付けの熱によって第2層13が流れたとしても、第2層13の下層として第1層12が残存することとなり、表面処理基材1の耐食性をより向上させることができる。
本実施形態の表面処理基材1は、以上のようにして構成される。
本実施形態の表面処理基材1は、基材11上に、上述した特定の第1層12および特定の第2層13をこの順で形成してなるものであるため、複数の表面処理基材1を、一部が接触するように重ねた状態で、熱処理により最表層(第2層13)を溶融させると、第2層13がろう材として作用して、他の部材(他の表面処理基材1や、他の材料からなる部材)の接触部分と接合することができる。本実施形態の表面処理基材1によれば、この際において、ろう付けの熱によって第2層13が流れたとしても、第2層13の下層として第1層12が存在することにより、表面処理基材1の耐食性を向上させることができる。
なお、従来においては、予め流体流路等の凹凸が形成された基材上に、めっきにより、ろう材としての銅めっき層やニッケルめっき層を形成して得られるろう付け用表面処理基材が、熱交換器の部材として用いられている。しかしながら、このような従来のろう付け用表面処理基材においては、複数の表面処理基材を重ねて、熱処理を施すことで表面処理基材の表面のろう材を溶融させてろう付けする場合に、ろう付けの熱によって表面のろう材が流れてしまい、これにより、表面処理基材の表面に基材が露出してしまい、表面処理基材の耐食性が低下してしまうという問題があった。
これに対し、本実施形態の表面処理基材1によれば、第2層13の下層として第1層12を形成することにより、表面に基材11が露出してしまうことを抑制することができるため、ろう付け後に、塩水と接触するような過酷な環境で使用される場合においても、適切に腐食を抑制することが可能となる。そのため、本実施形態の表面処理基材1は、マリンジェット等の船舶に用いられるオイルクーラー等のように、海水を冷媒(流体)として使用する熱交換器の材料として、特に好適に用いることができる。
また、特に第1材料として、Ni、Ni-Co合金、またはNiを基とする合金を用いて各層の厚みを制御した場合に、第二層のNi-Pによるろう付を阻害することなく、ろう付け層同士の接合性も保持しつつ、かつ、ろう付け後の基材とろう付け層の密着性も十分とでき、好適に用いることが可能である。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
《実施例1》
まず、基材として、下記に示す化学組成を有するSUS304のステンレス鋼板(厚さ(0.3)mm)を準備した。
C:0.08重量%、Si:1.00重量%、Mn:2.00重量%、P:0.04重量%、S:0.03重量%、Ni:8~10.5重量%、Cr:18.0~20.0重量%、残部:Feおよび不可避的不純物
そして、準備した基材について、アルカリ電解脱脂、硫酸浸漬の酸洗を行った後、下記条件にてニッケルめっきを行い、第1材料としてNiを用いた第1層(厚さ3μmのニッケルめっき層)を形成した。なお、第1層の厚みは蛍光X線分析装置(株式会社リガク蛍光X線分析装置ZSX100e)にて、ニッケルの付着量を測定し、ニッケルの比重8.9を用いて換算し求めた。実施例1においてはニッケル付着量は26.7g/mであった。また、形成されたニッケルめっき層の融点を熱重量示差熱分析装置TG-DTA(株式会社リガク製、TG8210)を用いて測定したところ、約1455℃(1445~1465℃の間に吸熱のピークが存在する)であった。
<ニッケルめっき>
浴組成:硫酸ニッケル250g/L、塩化ニッケル45g/L、ほう酸30g/L
pH:3.5~5.0
浴温:60℃
電流密度:10A/dm
次いで、ニッケルめっき層を形成した基材について、下記に示すニッケル-リン合金めっき浴を用いて、下記の条件で、めっき処理を施すことにより、第1層上に、第2材料としてNi-Pを用いた第2層(厚さ5μmのニッケル-リン合金めっき層)を形成することで、表面処理基材を得た。なお、Ni量およびP量の測定は、第1層と同じく蛍光X線分析装置を用いて行った。具体的には、まずニッケル-リン合金めっき後のニッケルの総付着量とリンの付着量を測定し、ニッケルの総付着量から第1層のニッケル付着量を差し引くことで、第2層中のニッケル付着量を算出した。次いで、求めた第2層中のニッケル付着量とリンの付着量の合計量を算出し、ニッケル-リン合金めっき付着量として算出したところ、40g/mであった。また、リンの含有割合を、リンの付着量/ニッケル-リン合金めっき付着量から求めたところ、10重量%であった。Ni-10%Pの比重は8.0となるため、ニッケル-リン合金めっき付着量からめっき厚みは5μmと求めることができる。ただし厚みは上記求め方に依らず、例えば断面観察からの測定も可能である。また、形成されたニッケル-リン合金めっき層の融点を熱重量示差熱分析装置TG-DTA(株式会社リガク製、TG8210)を用いて測定したところ、約907℃(897~917℃の間に吸熱のピークが存在)であった。いずれの実施例・比較例においても、同じ方法でめっき量とめっき厚みの算出を行った。
<電析ニッケル-リン合金めっき浴>
浴組成:硫酸ニッケル200g/L、塩化ニッケル10g/L、ほう酸30g/L、亜リン 酸40g/L、亜リン酸水素2ナトリウム110g/L
pH:2.0
浴温:60℃
電流密度:10A/dm
そして、このようにして得られた表面処理基材を、長さ100mm×幅30mmの大きさに切断して試験片を得て、得られた試験片について、1,100℃、1分間の条件で熱処理を施した。なお、この熱処理は、表面処理基材の第2層をろう材として、複数の表面処理基材同士をろう付けすることや、他の材料とろう付けすることを想定して、実際にろう付けを行う際の熱処理と同等の条件で行ったものである。次いで、熱処理を施した試験片に対して、JIS H 8502に準拠して、耐食性試験を行った。具体的には、試験液として濃度5重量%の塩化ナトリウム水溶液を使用し、塩水噴霧(35℃、2時間)、乾燥(60℃、25%RH、4時間)および湿潤(50℃、98%RH、2時間)のサイクルを、100サイクル行った。そして、耐食性試験後の試験片の表面を目視により観察し、以下の基準で判定することにより、表面処理基材の耐塩害性を評価した。結果を表1に示す。なお、以下の基準においては、1または2であれば、表面処理基材が耐塩害性に優れると判断した。
1:試験片に腐食は確認されなかった。
2:試験片に腐食が発生したものの、発生した腐食はいずれも試験片の端部の切断面(基材が露出している部分)から発生したものであった。
3:試験片の端部の切断面以外にて腐食が確認された。
《実施例2~7》
第1層の厚み、および第2層の厚みを、それぞれ表1に示すものとなるように、第1層を形成するためのめっき条件、および第2層を形成するためのめっき条件を変更した以外は、実施例1と同様に表面処理基材を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
《比較例1》
第1層を形成せずに、基材上に、直接、下記条件にて銅めっきを行うことで、第2層に代えて、厚さ20μmの銅めっき層を形成した以外は、実施例1と同様に表面処理基材を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
<銅めっき>
浴組成:硫酸銅・5水和物200g/L、硫酸45g/L
pH:1以下
浴温:50℃
電流密度:20A/dm
《比較例2~4》
第1層を形成せずに、基材上に、直接、厚さが表1に示すものとなるようにめっき条件を調整して第2層を形成した以外は、実施例1と同様に表面処理基材を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
《比較例5~7》
第1層の厚み、および第2層の厚みを、それぞれ表1に示すものとなるように、第1層を形成するためのめっき条件、および第2層を形成するためのめっき条件を変更した以外は、実施例1と同様に表面処理基材を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
《比較例8~12》
第1層の厚みが表1に示すものとなるように、第1層を形成するためのめっき条件を変更した以外は、実施例1と同様に、第1層が形成された基材を作製した。次いで、第1層が形成された基材に対して、比較例1と同様の銅めっきを、めっき条件を調整して実施することで、厚みが表1に示すものとなる銅めっき層を形成することで、表面処理基材を作製した。そして、作製した表面処理基材について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
《比較例13》
第1層および第2層を形成せず、基材について、そのまま上記の耐食性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007432305000001
表1に示すように、基材上に、融点が1100℃以上である第1材料からなる第1層と、Ni-P合金を含有し、第1材料よりも融点が300℃以上低い第2材料からなる第2層と、をこの順で形成し、第1層の厚みと、第2層の厚みとを上述した所定の関係を満たすものとした表面処理基材は、耐食性(耐塩害性)に優れるものであった(実施例1~7)。
一方、表1に示すように、第1層および第2層のいずれも形成しなかった表面処理基材は、耐食性(耐塩害性)に劣るものであった(比較例1)。同様に、Ni-P合金を含む第2層を形成したとしても、第1層を形成しなかった表面処理基材は、耐食性(耐塩害性)に劣るものであった(比較例1~3)。
また、基材上に、融点が1100℃以上である第1材料からなる第1層と、Ni-P合金を含有し、第1材料よりも融点が300℃以上低い第2材料からなる第2層と、をこの順で形成したとしても、第1層の厚み3μm未満に対して、第2層の厚みが薄すぎた表面処理基材は、耐食性(耐塩害性)に劣るものであった(比較例5~7)。
また、第1層を形成したとしても、第1層上に、Ni-P合金を含有しない層(銅めっき層)を形成した表面処理基材は、耐食性(耐塩害性)に劣るものであった(比較例8~12)。
また、めっき層を形成していない基材自体は、耐食性(耐塩害性)に劣るものであった(比較例13)。
1…表面処理基材
11…基材
12…第1層
13…第2層
2…プレート式熱交換器
21…流体入口
22…流体出口
23…伝熱板
24,24a…流体流路
25…介在部材
26…外層部材

Claims (7)

  1. 基材と、
    融点が1100℃以上である第1材料からなり、前記基材上に形成された第1層と、
    Ni-P合金を含有し、前記第1材料よりも融点が300℃以上低い第2材料からなり、前記第1層上に形成された第2層と、を備え、
    前記第1材料が、Ni,Ni以外の元素の含有割合が10原子%以下であるNi合金,Co,Co以外の元素の含有割合が10原子%以下であるCo合金,ならびに、NiおよびCoの含有割合がそれぞれ10原子%超であるNi-Co合金からなる群から選ばれるいずれかであり、
    前記第2材料が、Ni-P合金単独であるか、または、Ni-P合金以外にSiおよび/もしくはCrをさらに含有し、Siの含有量が10重量%以下であり、Crの含有量が30重量%以下であるものであり、
    前記第1層の厚みtと、前記第2層の厚みtとの関係が、厚み条件(1)「10μm≧≧3μm、かつ、20μm≧≧5μm」、または厚み条件(2)「1μm≦t<3μm、かつ、40μm≧≧20μm」のいずれかを満たし、
    前記第2層がろう材であるろう付け用表面処理基材。
  2. 前記第1層の厚みtと、前記第2層の厚みtとの関係が、前記厚み条件(1)を満たす場合に、厚み条件(3)「t>t」をさらに満たす請求項1に記載のろう付け用表面処理基材。
  3. 前記基材がステンレス鋼である請求項1または2に記載のろう付け用表面処理基材。
  4. 塩水に接触して使用される請求項1~のいずれかに記載のろう付け用表面処理基材。
  5. 前記Ni-P合金におけるPの含有割合が、7~15重量%である請求項1~のいずれかに記載のろう付け用表面処理基材。
  6. 前記第2層の厚みtに対する前記第1層の厚みtの比(t/t)が0.1~1.0である請求項1~のいずれかに記載のろう付け用表面処理基材。
  7. 請求項1~のいずれかに記載のろう付け用表面処理基材を備える熱交換器。
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