特許文献1に記載の技術は、2つの部材を貼り合わせる場所で位置合わせを行っているが、貼り合わせ場所が例えば真空チャンバ内の場合、貼り合わせ場所にカメラを設置するのに特別な対応が必要な場合がある。このような事情に鑑みて、貼り合わせ場所に部材を移動させる前に位置合わせを済ませることも行われている。この事前位置合わせは、複数台のカメラが設けられた専用の位置合わせ自動ステージで行われている。この場合、部材は、自動ステージまで搬送アームで搬送されて自動ステージに受け渡され、自動ステージで位置合わせが行われた後、自動ステージから貼り合わせ場所まで規定の動きをする搬送アームに受け渡されて、貼り合わせ場所に搬送される。後段の搬送アームは、規定の動きをするので、自動ステージで位置合わせがされた状態の部材を受け取ると、貼り合わせ場所に移動したときに適正位置に部材を届けることができる。しかしながら、このようにして行われる事前位置合わせは、専用の位置合わせ自動ステージとその前後に配置される搬送アームとが用いられることとなり、構成部品が多く、機構が煩雑となっている。
本開示は上述の課題に鑑み、構成を簡略化した貼合済部材製造装置及び貼合済部材の製造方法を提供することに関する。
本開示の第1の態様に係る貼合済部材製造装置は、第1の部材を面で支持する載置面を有する支持部材と、前記載置面に載置された前記第1の部材を撮像するカメラと、前記支持部材から前記第1の部材を受け取って支えるステージであって、前記第1の部材が第2の部材に貼り合わせられる際に前記第1の部材を支えるステージと、前記載置面が前記載置面と同一の仮想面の上を移動するように前記支持部材を移動させる移動装置であって、前記第1の部材が前記載置面に載置される載置位置と、前記第1の部材が前記カメラに撮像される撮像位置と、前記第1の部材が前記ステージに受け渡しされる受渡位置と、を前記載置面が通るように前記支持部材を移動させる移動装置と、前記移動装置による前記支持部材の移動及び前記カメラによる前記第1の部材の撮像を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記撮像位置にある前記載置面に対して標準位置に載置されている前記第1の部材の位置があらかじめ記憶されていると共に、前記第1の部材を支持している前記載置面が前記撮像位置にあるときに前記カメラで撮像された前記第1の部材の前記標準位置からのずれを求め、その後前記載置面が前記受渡位置に移動した際に、求められた前記ずれの分が修正されていて前記載置面に載置された前記第1の部材が適正位置となる位置に前記支持部材を移動させるように、前記移動装置及び前記カメラを制御し、前記適正位置は、前記第1の部材を前記標準位置で支持している前記載置面が通常軌道で前記受渡位置に到達したときの前記第1の部材の位置であって、前記支持部材から前記ステージに受け渡しされて前記ステージに支持された前記第1の部材が前記第2の部材に対して位置合わせがされた位置である。
このように構成すると、第1の部材を支持部材に支持させてからステージに受け渡すまでの間に第1の部材を支持部材から外すことなく、位置ずれを把握し当該位置ずれを修正してステージに受け渡すことができる。したがって、従来用いられていた専用の位置合わせ自動ステージ及びその前後に配置される搬送アームが不要となり、装置構成を簡略化することができる。
また、本開示の第2の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様に係る貼合済部材製造装置において、前記移動装置は、前記支持部材を第1の方向に移動させる第1の移動装置と、前記支持部材を前記第1の方向に直交する第2の方向に移動させる第2の移動装置と、を有する。
このように構成すると、支持部材を、第1の方向及び第2の方向の少なくとも一方に移動させるだけで、載置面に支持された第1の部材を仮想面上の任意の位置に移動させることができる。
また、本開示の第3の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様又は第2の態様に係る貼合済部材製造装置において、前記載置面が前記仮想面に沿って角度を変えるように前記支持部材を移動させる角度可変装置を備える。
このように構成すると、載置面に対する第1の部材の仮想面上における傾きを修正することができる。
また、本開示の第4の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る貼合済部材製造装置において、前記制御装置は、前記カメラに前記第1の部材を撮像させる際に、前記カメラに対して前記支持部材を相対的に移動させて、前記載置面に載置された前記第1の部材の部分の複数の箇所を前記カメラに撮像させる。ここで、カメラに対して支持部材を相対的に移動させることは、典型的には、カメラ及び支持部材の少なくとも一方を移動させることを含む。
このように構成すると、第1の部材の標準位置からのずれを複数の箇所で確認することができ、位置修正の精度を高めることができる。
また、本開示の第5の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る貼合済部材製造装置において、前記カメラが、前記撮像位置にある前記載置面に支持された前記第1の部材の一部を撮像するように構成され、前記撮像位置にある前記載置面に支持された前記第1の部材の複数の部分を前記カメラが撮像できるように、前記カメラを移動させるカメラ可動装置を備える。
このように構成すると、1台のカメラで第1の部材の複数の部分を撮像することができる。
また、本開示の第6の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る貼合済部材製造装置において、前記カメラの位置が固定されており、前記撮像位置が、第1の撮像位置と、前記第1の撮像位置とは別の第2の撮像位置とを含み、前記制御装置は、前記載置面が前記第1の撮像位置と前記第2の撮像位置とを通るように前記移動装置を移動させる。
このように構成すると、1台のカメラで第1の部材の部分の複数の箇所を撮像することができる。
また、本開示の第7の態様に係る貼合済部材製造装置は、上記本開示の第1の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る貼合済部材製造装置において、前記ステージを収容する真空チャンバを備え、前記カメラが前記真空チャンバの外に配置されている。
このように構成すると、真空対応でないカメラを用いることができ、カメラの構成を簡素化することができる。
また、本開示の第8の態様に係る貼合済部材の製造方法は、上記本開示の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る貼合済部材製造装置を用いて、前記第1の部材と前記第2の部材とを貼り合わせた貼合済部材を製造する方法であって、前記載置位置で前記載置面に前記第1の部材を載置する工程と、前記撮像位置において前記載置面に支持されている前記第1の部材を前記カメラで撮像する工程と、前記制御装置が、前記カメラで撮像された前記第1の部材の前記標準位置からのずれを求める工程と、前記受渡位置において前記第1の部材が前記適正位置に来るように、求められた前記ずれの分を修正したうえで、前記載置面を前記受渡位置に移動させる工程と、前記受渡位置で、前記載置面に支持されている前記第1の部材を、前記ステージに受け渡す工程と、前記ステージに支えられた前記第1の部材に対して前記第2の部材を貼り合わせる工程と、を備える。
このように構成すると、第1の部材を支持部材に支持させてからステージに受け渡すまでの間に第1の部材を支持部材から外すことなく貼合済部材を製造することができ、製造効率を向上させることができる。
本開示によれば、第1の部材を支持部材に支持させてからステージに受け渡すまでの間に第1の部材を支持部材から外すことなく、位置ずれを把握し当該位置ずれを修正してステージに受け渡すことができる。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、一実施の形態に係る貼合済部材製造装置1を説明する。図1は、貼合済部材製造装置1の概略構成図である。貼合済部材製造装置1は、第1の部材(以下「第1部材81」という)と第2の部材(以下「第2部材82」という)とを、樹脂を介して貼り合わせた貼合済部材を製造する装置である。第1部材81及び第2部材82は、例えば、液晶ディスプレイ等の基板やレンズ等であり得る。第1部材81として、液晶モジュールを適用してもよい。第1部材81としての液晶モジュールは、矩形の平板状に形成されていてもよい。第2部材82として、液晶を保護するカバーガラスを適用してもよい。第2部材82としてのカバーガラスは、矩形の平板状に形成されていてもよい。第1部材81と第2部材82との間に供給される樹脂は、接着剤として機能するものであってもよい。この樹脂は、本実施の形態では、第1部材81及び/又は第2部材82に塗布されるときは流動性を有する所定の粘度の液体状となっており、第1部材81と第2部材82とを貼り合わせて増粘措置が施されると硬化する特性を有していてもよい。増粘措置としては、樹脂の性質に応じて、紫外線を照射する、加熱する、時間経過を待つ、等が挙げられる。
貼合済部材製造装置1は、貼合済部材を一旦製造し始めたら、第1部材81及び第2部材82について、それぞれ、当面は同じ材質、同じ形状、同じ大きさのものを扱い、同じ貼合済部材を複数製造するのが一般的である。貼合済部材製造装置1は、設定を変更することで、それまで製造していた貼合済部材を構成する第1部材81及び/又は第2部材82に対して、異なる材質及び/又は異なる形状及び/又は異なる大きさのものを扱うことができる。貼合済部材を製造するに際しては、第1部材81と第2部材82とを適切な位置で貼り合わせるために、位置合わせ(アライメント)が行われる。本実施の形態に係る貼合済部材製造装置1は、位置合わせのための構成が従来よりも簡略化したものになっている。貼合済部材製造装置1は、支持部材11と、移動装置13と、カメラ21と、ステージ34と、制御装置50とを備えている。
支持部材11は、第1部材81を支持する部材である。支持部材11は、第1部材81を面で支持する載置面12を有している。本実施の形態では、第1部材81が矩形平板状に形成されているので、載置面12は平面に形成されている。載置面12の形状は、第1部材81を面で支持することができる範囲において、四角形又はその他の多角形、円形あるいは楕円形等の種々の形状を採用することができるが、本実施の形態では矩形に形成されている。載置面12の大きさは、第1部材81の表面の面積に対して、同じであっても、大きくても、小さくてもよいが、載置の安定性の観点から0.2倍以上又は0.3倍以上とすることが好ましく、大型化を抑制する観点から1.5倍以下とすることが好ましい。本実施の形態では、載置面12が水平に広がる向きで支持部材11が配置されている。
支持部材11は、本実施の形態では、第1部材81を安定して支持する観点から、矩形の第1部材81の図心が矩形の載置面12の図心と一致し、第1部材81の外周辺が載置面12の対応する外周辺と平行になるように、第1部材81を支持するのが好ましい。そこで、本実施の形態では、このような載置面12と第1部材81との位置関係にある状態を、第1部材81が載置面12に対して標準位置に載置されているということとする。標準位置は、貼合済部材を製造する際の位置合わせで利用する概念であって、載置面12に対する第1部材81の位置であり、任意の位置を設定することも可能であるが、本実施の形態では上記の位置を標準位置に設定することとしている。なお、支持部材11は、本実施の形態では、第2部材82も、第1部材81と同じ要領で、支持することができるようになっている。
移動装置13は、支持部材11を移動させる装置である。移動装置13は、本実施の形態では、載置面12が仮想面の上を移動するように、支持部材11を移動させるようになっている。仮想面は、載置面12と同一の平面にある仮想の面である。本実施の形態では、載置面12が水平に広がるように支持部材11が配置されているので、仮想面も水平に広がることになる。換言すれば、本実施の形態における仮想面は、載置面12と同じ高さで載置面12の外側(周囲)に広がる水平面である。
図2を併せて参照するとより理解が進むように、移動装置13は、本実施の形態では、第1の移動装置(以下「第1移動装置14」という。)と、第2の移動装置(以下「第2移動装置16」という。)と、を有している。第1移動装置14は、支持部材11を第1の方向(以下「Y方向」という。)に移動させるものである。第1移動装置14は、Y方向に延びる細長いアーム15の上を往復直線移動するようになっている。第1移動装置14には、リニアサーボモータを採用してもよい。第1移動装置14は、アーム15の上及び支持部材11の下に配置されている。換言すれば、第1移動装置14は、支持部材11とアーム15との間に配置されている。なお、本実施の形態では、第1移動装置14は、水平面内で往復回転移動することができるようになっている(図1参照)。つまり、本実施の形態における第1移動装置14は、載置面12が仮想面に沿って往復回転移動することができるように支持部材11の角度を変える角度可変装置を兼ねている。
第2移動装置16は、アーム15を第2の方向(以下「X方向」という。)に移動させるものである。第2移動装置16は、X方向に延びる細長い搬送レール18の上を往復直線移動するようになっている。第2移動装置16には、リニアサーボモータを採用してもよい。第2移動装置16は、搬送レール18の上及びアーム15の下に配置されている。換言すれば、第1移動装置14は、アーム15と搬送レール18との間に配置されている。移動装置13は、第2移動装置16がアーム15をX方向に動かし、アーム15上を移動する第1移動装置14が支持部材11をY方向に動かす。このように第1移動装置14及び第2移動装置16を動かすことで、移動装置13は、支持部材11の載置面12を、移動装置13の可動範囲内における仮想面内の任意の位置に移動させることができるようになっている。
カメラ21は、支持部材11の載置面12に載置されている第1部材81を撮像するものである。カメラ21は、載置面12に対して第1部材81が載置されている位置を確認するために、第1部材81を撮像する。カメラ21は、典型的にはCCDカメラやCMOSカメラを用いることができる。カメラ21は、本実施の形態では、載置面12の移動範囲における上方に設けられており、載置面12に載置されている第1部材81を上方から撮像するようになっている。カメラ21は、第1部材81の配置を高精度で把握する観点から、第1部材81の全体が収まるのではなく一部が収まる画角を有することが好ましく、本実施の形態では第1部材81の角部が収まる画角を有している。カメラ21が第1部材81の一部を撮像するものである場合、第1部材81の配置を高精度で把握する観点から、第1部材81の一部の複数箇所を撮像するために、カメラ21と支持部材11とが相対的に移動可能であることが好ましい。本実施の形態では、カメラ21を移動させるカメラ可動装置23(以下、単に「可動装置23」という。)がカメラ21に設けられている。可動装置23は、カメラレール25に沿って移動することができるようになっている。カメラレール25は、典型的には、貼合済部材製造装置1の筐体(不図示)を支えるフレーム(不図示)に支持されている。カメラレール25は、第1部材81の外周に対応する矩形の環状に配置されている。
ステージ34は、第1部材81と第2部材82とを貼り合わせる際に、第1部材81を支えるものである。ステージ34は、本実施の形態ではチャンバ31に収容されている。チャンバ31は、本実施の形態では真空チャンバである。上述のカメラ21は、チャンバ31の外に配置されている。したがって、カメラ21は、真空対応の仕様のものを必要とせず、比較的簡素な構成のカメラを採用することができる。なお、図1に示すステージ34は、概念が示されたものであるため、ステージ34まわりの構成を別途説明する。
図3は、本実施の形態に係る貼合済部材製造装置1が備える貼合装置30を示す概略側面断面図である。貼合装置30は、チャンバ31と、ステージ34とを有している。ステージ34は、前述のように、チャンバ31に収容されている。チャンバ31は、蓋チャンバ32と、底チャンバ33とを含んでいる。蓋チャンバ32及び底チャンバ33は、それぞれ、水平に広がるように配置された板状の部材の外周に、蓋チャンバ32では当該板状の部材の下面から下方に延び、底チャンバ33では当該板状の部材の上面から上方に延びる外周壁がそれぞれ設けられている。チャンバ31は、蓋チャンバ32及び底チャンバ33の少なくとも一方が上下に移動することで、開閉可能に構成されている。本実施の形態では、底チャンバ33が上下に移動するようになっている。チャンバ31は、第1部材81及び第2部材82を出し入れするときは蓋チャンバ32と底チャンバ33とが離れて開状態となり、第1部材81と第2部材82との貼り合わせを行うときは蓋チャンバ32と底チャンバ33との外壁同士が接触して閉状態となる。チャンバ31は、閉状態のときに内部の空間を密閉するように構成されている。
ステージ34は、本実施の形態では、底板35と、下支持ピン36とを有している。底板35は、第1部材81を包含する大きさの表面を持つ板状の部材になっている。底板35は、その上面が水平になるようにして底チャンバ33の板状部材の上面に設けられており、底チャンバ33の上下動と共に上下に移動するように構成されている。底板35は、典型的には第1部材81よりも硬い材料で形成されている。下支持ピン36は、細長い円筒状の部材の複数で構成されている。下支持ピン36は、各円筒状部材が鉛直に延びるように配置されており、各円筒状部材の上端で第1部材81の下面を支持するようになっている。下支持ピン36を構成する各円筒状部材の数及び配置間隔は、第1部材81を安定的に支持する観点から決定すればよく、本実施の形態では4つの円筒状部材が第1部材81の4つの角部よりも第1部材81の図心に寄った位置に配置されている。下支持ピン36は、各円筒状部材が底板35及び底チャンバ33を貫通してチャンバ31の外に延びている。下支持ピン36の各円筒状部材が底板35及び底チャンバ33を貫通する部分はシール部材が設けられており、閉状態のチャンバ31の内部空間の密閉が維持されるようになっている。下支持ピン36は、各円筒状部材のチャンバ31の外に位置する端部が、配管(不図示)を介して真空ポンプ(不図示)に接続されており、この真空ポンプの作動によって各円筒状部材の内部を負圧にすることで、第1部材81を吸着保持することができるようになっている。
チャンバ31内には、上支持ピン38及びプレスプレート39も設けられている。上支持ピン38は、第2部材82を吸着保持するものである。上支持ピン38は、下支持ピン36と同様に、細長い円筒状の部材の複数で構成されている。上支持ピン38を構成する各円筒状部材は、鉛直に延びるように配置されており、蓋チャンバ32を貫通して、上端がチャンバ31の外に位置している。上支持ピン38の各円筒状部材が蓋チャンバ32を貫通する部分はシール部材が設けられており、閉状態のチャンバ31の内部空間の密閉が維持されるようになっている。上支持ピン38は、各円筒状部材のチャンバ31の外に位置する端部が、配管(不図示)を介して真空ポンプ(不図示)に接続されている。上支持ピン38は、各円筒状部材の下端に第2部材82の上面を接触させて、真空ポンプを作動することにより、第2部材82を吸着保持することができるようになっている。上支持ピン38を構成する各円筒状部材の数及び配置間隔は、第2部材82を安定的に保持する観点から決定すればよく、本実施の形態では下支持ピン36の各円筒状部材と同じ数が同じ間隔で配置されている。
プレスプレート39は、第1部材81と第2部材82とを貼り合わせるときに、第2部材82を第1部材81に向けて押し付けるものである。プレスプレート39は、第2部材82を包含する大きさの表面を持つ板状の部材であり、底板35の上方に、表面が底板35の表面に対向する向きで、典型的には蓋チャンバ32の中に配置されている。プレスプレート39には、上支持ピン38の各円筒状部材が貫通している。また、プレスプレート39には、プレスプレート39を支持する支持棒40が取り付けられている。支持棒40は蓋チャンバ32を貫通しており、支持棒40が蓋チャンバ32を貫通する部分はシール部材が設けられている。支持棒40は可動装置(不図示)に接続されており、この可動装置を作動させることでプレスプレート39を上下に移動させることができるようになっている。なお、蓋チャンバ32には、真空ポンプ(不図示)に接続された配管37も貫通していて、真空ポンプを作動させることで、密閉したチャンバ31の内部を真空にすることができるようになっている。配管37が蓋チャンバ32を貫通する部分もシールされている。以下、ステージ34まわりの構成に言及しているときは、適宜図3を参照することとする。
再び図1を主に参照して、貼合済部材製造装置1の説明を続ける。前述のように、支持部材11の載置面12は、移動装置13によって仮想面内を移動する。本実施の形態では、移動する載置面12は、載置位置P1、撮像位置P2、受渡位置P3で一時停止するようになっている。ここで、載置位置P1は、第1部材81が載置面12に載置される位置、換言すれば載置面12が第1部材81を受け取る位置である。載置位置P1においては、典型的には、ロボットハンド(不図示)が第1部材81を載置面12に載置するようになっている。撮像位置P2は、載置面12に載置されている第1部材81をカメラ21が撮像する位置であり、典型的にはカメラレール25の下方の位置になる。受渡位置P3は、載置面12に載置されている第1部材81をステージ34に受け渡す位置であり、典型的にはチャンバ31に隣接した位置になる。受渡位置P3においては、典型的には、ロボットハンド(不図示)が第1部材81を載置面12からステージ34に移動させるようになっている。受渡位置P3に設けられたロボットハンドは、受渡位置P3からステージ34へ、第1部材81をあらかじめ決められた距離だけ移動させるように構成されている。したがって、受渡位置P3における第1部材81の位置が、ステージ34に移送したときの第1部材81の位置に反映されることとなる。換言すれば、受渡位置P3において第1部材81が適正位置からずれていれば、ステージ34に移送された際の第1部材81の位置も、第2部材82との貼り合わせの際に位置が合った状態からずれることとなる。ここで、「適正位置」は、受渡位置P3に設けられたロボットハンドが第1部材81を受渡位置P3からステージ34に移送したときに第1部材81が第2部材82に対して位置合わせされた位置にある状態となる、受渡位置P3における第1部材81の位置である。換言すれば、受渡位置P3に設けられたロボットハンドが、第2部材82に対して位置合わせがされている第1部材81を、逆方向であるステージ34から支持部材11の方にあらかじめ決められた距離だけ移動させたと仮定したときの、第1部材81の位置である。上述の載置位置P1、撮像位置P2、受渡位置P3は、いずれも、仮想面上における載置面12の位置である。なお、載置位置P1は、典型的には撮像位置P2とは異なる位置に設定されているが、撮像位置P2と同じ位置に設定して、載置位置P1において第1部材81の撮像を行うようにしてもよい。
移動装置13によって移動する支持部材11(載置面12)は、載置位置P1において第1部材81が載置面12に対して標準位置に載置されたとき、受渡位置P3において第1部材81が適正位置となるためにはX方向にだけ移動すれば足りるようになっている。この場合、支持部材11は、Y方向への移動及び仮想面内における載置面12の回転は行われない。このように、支持部材11(ひいては載置面12)が載置位置P1から受渡位置P3に移動する過程で、X方向にだけ移動して、Y方向への移動及び仮想面内における載置面12の回転は行われない載置面12の軌道を、「通常軌道」ということとする。貼合済部材製造装置1は、載置位置P1において第1部材81が載置面12に対して標準位置に載置されれば、載置面12(すなわち支持部材11)を通常軌道で移動させるだけで、受渡位置P3において第1部材81を適正位置に置くことができる。しかし、載置位置P1において第1部材81が載置面12に対して標準位置からずれた位置に載置されれば、載置面12を通常軌道で移動させるだけでは受渡位置P3において第1部材81を適正位置に置くことができない。そこで、本実施の形態に係る貼合済部材製造装置1では、専用の位置合わせ自動ステージを用いることなく、制御装置50が、カメラ21で撮像した第1部材81について標準位置からのずれを求め、第1部材81を受渡位置P3に搬送するまでにずれを修正するようにしている。
制御装置50は、貼合済部材製造装置1の動作を制御する機器である。制御装置50は、移動装置13と電気的に接続(有線又は無線による接続。以下同じ。)されており、移動装置13に支持部材11をX方向へ移動、Y方向へ移動、及び仮想面内における載置面12の回転をさせるように移動装置13を制御する。また、制御装置50は、カメラ21と電気的に接続されており、カメラ21に撮像を実行させると共にカメラ21が撮像した画像をデータとして制御装置50に送信するようにカメラ21を制御する。また、制御装置50は、可動装置23と電気的に接続されており、可動装置23によってカメラ21をカメラレール25に沿って移動させるように可動装置23を制御する。また、制御装置50は、載置位置P1及び受渡位置P3のそれぞれに設けられたロボットハンド(不図示)と電気的に接続されており、各ロボットハンドの動作を制御する。また、制御装置50は、チャンバ31と電気的に接続されており、底チャンバ33(ひいては底板35)を上下に移動させるようにチャンバ31を制御する。また、制御装置50は、下支持ピン36及び上支持ピン38のそれぞれに接続されている真空ポンプ(不図示)と電気的に接続されており、下支持ピン36及び上支持ピン38による第1部材81部材及び第2部材82の保持の有無を行うように真空ポンプを制御する。また、制御装置50は、配管37に接続された真空ポンプ(不図示)と電気的に接続されており、真空ポンプの作動によりチャンバ31内の真空度を調節するように真空ポンプを制御する。また、制御装置50は、プレスプレート39に対して支持棒40を介して接続された可動装置(不図示)と電気的に接続されており、プレスプレート39を上下に移動させるように可動装置を制御する。
図4に示すように、制御装置50は、本実施の形態では、仮想面の任意の位置を座標で特定できるように、仮想面に対してXY座標を割り当てている。この座標は、通常軌道を移動する載置面12の図心の軌道がX軸に重なるように設定することが好ましい。この座標の原点は任意に設定することができるが、本実施の形態では、載置面12が撮像位置P2にあるときの載置面12の図心を原点に設定することとしている。つまり、載置面12の図心は、載置位置P1にあるときの座標が(0、0)となる。また、載置面12の図心の座標は、本実施の形態では、載置位置P1にあるときに(-a、0)となり、受渡位置P3にあるときに(b、0)となる。また、制御装置50は、撮像位置P2にある載置面12に対して標準位置に載置されている第1部材81の位置があらかじめ記憶されている。このとき、典型的には、第1部材81の外周縁上の複数の点の座標が記憶されていることで、撮像位置P2において標準位置に載置されている第1部材81の位置が制御装置50に記憶されている。なお、制御装置50に記憶される第1部材81の外周縁上の点は、第1部材81の外周全体を連続的に表すものでもよいが、第1部材81の角の点の2点以上(3点又は4点でもよい)をあらかじめ記憶しておくこととしてもよい。
制御装置50は、また、カメラ21から受信した撮像データに基づいて特定した第1部材81の位置を、あらかじめ記憶されている第1部材81の位置と比較して、撮像した第1部材81の位置の標準位置からのずれを求めることができるように構成されている。制御装置50は、カメラレール25上の特定の位置においてカメラ21が撮像した画像に対してあらかじめ座標を付与しておくことにより、撮像した第1部材81の標準位置からのずれを特定することができるように構成されている。
貼合済部材製造装置1は、上記のほか、樹脂供給装置45が設けられている。樹脂供給装置45は、第1部材81及び/又は第2部材82に樹脂を供給(典型的には塗布)するものである。この樹脂の供給は、載置位置P1から受渡位置P3の間で行われることとしてもよく、本実施の形態では載置位置P1と撮像位置P2との間で行われるようになっている。つまり、貼合済部材製造装置1は、樹脂供給装置45が載置位置P1と撮像位置P2との間に設けられている。樹脂供給装置45も、制御装置50と電気的に接続されている。制御装置50は、樹脂供給装置45から樹脂の供給及び停止を適時に行うように樹脂供給装置45を制御する。
次に図5を参照して、貼合済部材の製造方法を説明する。図5は、貼合済部材の製造の手順を示すフローチャートである。以下に説明する貼合済部材の製造方法は、これまで説明してきた貼合済部材製造装置1を用いて実行される。以下の貼合済部材製造装置1を用いた貼合済部材の製造方法の説明は、貼合済部材製造装置1の作用の説明を兼ねている。以下の説明において、貼合済部材製造装置1の構成に言及しているときは、適宜図1~図4を参照することとする。
貼合済部材製造装置1の停止中は、典型的には支持部材11の載置面12が載置位置P1にあるが、貼合済部材製造装置1を起動したときに載置面12が載置位置P1に移動することとしてもよい。本実施の形態では、貼合済部材の製造を開始したら、ロボットハンド(不図示)が、ストッカ(不図示)に収容されている複数の第1部材81から1つを取り出し、載置位置P1にある載置面12に載置する(S1)。このとき、第1部材81が載置面12に対して標準位置に載置されるのが理想であるが、標準位置からずれた位置に載置される場合もあり得る。第1部材81が載置面12に載置されたら、制御装置50は、移動装置13を制御して、載置面12を撮像位置P2に移動させる(S2)。このとき、撮像位置P2が載置位置P1と同じ位置に設定されている場合は、載置面12の移動量は0となる。なお、詳細な説明は省略するが、本実施の形態では、載置面12が載置位置P1から撮像位置P2に移動する間に、樹脂供給装置45から第1部材81の表面への樹脂の供給(塗布)が行われる。
載置面12が撮像位置P2に移動したら、制御装置50は、カメラ21を制御して、載置面12に載置されている第1部材81をカメラ21に撮像させる(S3)。このとき、制御装置50は、カメラ21が撮像した画像を制御装置50に送信するように、カメラ21を制御する。前述のように、本実施の形態では、カメラ21が撮像するのは第1部材81の一部となっている。そのため、制御装置50は、第1部材81の複数の特定の箇所(典型的には角部)をカメラ21に撮像させるために、カメラレール25に沿ってカメラ21を移動させるように可動装置23を制御する。制御装置50は、複数の箇所でカメラ21が撮像した画像のそれぞれを制御装置50に送信するように、カメラ21を制御する。
制御装置50は、カメラ21から画像を受信したら、制御装置50にあらかじめ記憶されている、載置面12に対して標準位置にある第1部材81の位置と対比して、撮像した第1部材81の標準位置からのずれを求める(S4)。このとき、制御装置50における演算上で設定されている座標を用いて標準位置からのずれを求めると、ずれの量を明確に特定することができて好適である。例えば、制御装置50に設定された座標上で、撮像した第1部材81の標準位置からのずれが、(2、3)であると特定することができる。
次に、制御装置50は、移動装置13を制御して、載置面12に載置されている第1部材81が受渡位置P3における適正位置になるように、載置面12を移動させる(S5)。このとき、制御装置50は、前の工程で求めた第1部材81の標準位置からのずれの分を修正して載置面12を移動させる。例えば、前の工程で求めた第1部材81の標準位置からのずれが(2、3)である場合、載置面12を撮像位置P2から通常軌道で受渡位置P3に移動させると、載置面12に載置されている第1部材81は適正位置から(2、3)の分だけずれることとなる。そこで、制御装置50は、載置面12を撮像位置P2から受渡位置P3に移動させる際に、載置面12が、通常軌道で移動する場合から(-2、-3)だけずれた位置にくるように、移動装置13を制御する。上記の例の場合、載置面12をこのように動かすと、この載置面12に載置された第1部材81が、受渡位置P3において適正位置に置かれることとなる。このように、本実施の形態に係る貼合済部材製造装置1では、載置位置P1において載置面12に載置した第1部材81を、載置面12から移動させることなく、位置ずれを修正して、受渡位置P3における適正位置に移動させることができる。このため、貼合済部材製造装置1では、専用の位置合わせ自動ステージ及びその前後に配置される搬送アームを設けなくて済み、その分、装置の小型化、コストダウン、及び装置機構の簡素化を図ることができる。
第1部材81を適正位置に移動させたら、制御装置50は、ロボットハンド(不図示)を制御して、第1部材81を支持部材11の載置面12からステージ34に移動させる(S6)。このとき、制御装置50は、下支持ピン36の各円筒状部材の内部に流体的に接続されている真空ポンプ(不図示)を制御して、下支持ピン36に第1部材81を吸着保持させる。第1部材81を下支持ピン36に保持させたら、第2部材82を上支持ピン38で支持する(S7)。このとき、第2部材82に対しても、支持部材11及び移動装置13等を用いて、第1部材81と同様に、載置面12に載置し、カメラ21で撮像して標準位置からのずれを求め、当該ずれ分を修正して適正位置に移動させ、上支持ピン38に吸着保持させてもよい。これにより、第2部材82も、簡便な構成で、上支持ピン38に位置合わせされた状態で支持させることができる。
第2部材82を上支持ピン38に支持させたら、制御装置50は、底チャンバ33を上昇させてチャンバ31を閉じるようにチャンバ31を制御し、配管37に流体的に接続されている真空ポンプ(不図示)を制御して、チャンバ31の内部を真空にする(S8)。チャンバ31の内部を真空にしたら、制御装置50は、プレスプレート39に間接的に接続された可動装置(不図示)を制御して、プレスプレート39を底板35に向けて押し付け、第1部材81と第2部材82とを貼り合わせる(S9)。第1部材81と第2部材82とが貼り合わせられることで、貼合済部材が製造される。貼合済部材が製造されたら、制御装置50は、真空ポンプ(不図示)を停止してチャンバ31内を周囲環境圧力に戻すように真空ポンプを制御すると共に、チャンバ31を制御してチャンバ31を開け、チャンバ31から貼合済部材を取り出す(S10)。これで、1つの貼合済部材を得ることができる。引き続き次の貼合済部材を製造する場合は、上述のフローを繰り返せばよい。
以上で説明したように、本実施の形態に係る貼合済部材製造装置1によれば、載置位置P1において載置面12に載置した第1部材81を、載置面12から移動させることなく、位置ずれを修正して、受渡位置P3における適正位置に移動させることができる。このため、専用の位置合わせ自動ステージ及びその前後に配置される搬送アームを設けなくて済み、装置の小型化、コストダウン、及び装置機構の簡素化を図ることができる。また、カメラ21がチャンバ31の外に設けられているので、真空対応の仕様のカメラ21を採用しなくて済み、比較的簡素な構成のカメラを採用することができる。また、カメラ21の他に、可動装置23及びカメラレール25を備えているので、カメラ21をカメラレール25に沿って移動させることができる。このように、カメラ21を第1部材81に対して相対的に移動させることができることで、第1部材81の一部を拡大して撮像した画像を複数得ることができ、第1部材81の配置を高精度で把握することができる。
以上の説明では、撮像位置P2で静止している第1部材81に対してカメラ21が移動することにより第1部材81の複数の位置を撮像することとした。しかしながら、カメラ21の位置を固定して、支持部材11の載置面12に載置された第1部材81を移動装置13で移動させることによって第1部材81の複数の位置を撮像することとしてもよい。このとき、撮像位置は、載置面12の図心が制御装置50における座標上の原点となる第1の撮像位置に加え、載置面12の図心が制御装置50における座標上の原点とは別の位置となる第2の撮像位置を含むようにするとよい。第2の撮像位置は、第1の撮像位置で得られる第1部材81の部分の画像とは異なる第1部材81の部分の画像を得ることができる位置である。なお、撮像位置は、第1の撮像位置及び第2の撮像位置の他に、さらに別の第1部材81の部分の画像を得ることができる第3の撮像位置、第4の撮像位置、第5の撮像位置等を有することとしてもよい。
以上の説明では、貼合済部材製造装置1が、内部を真空にすることができるチャンバ31を備えることとした。しかしながら、第1部材81と第2部材82との貼り合わせを真空環境下で行わなくてもよい場合は、チャンバ31を省略することができる。この場合、搬送レール18を下支持ピン36の位置まで延ばし、受渡位置P3を下支持ピン36の上方の位置に設定することで、ロボットハンド(不図示)によらず、下支持ピン36が第1部材81を支持部材11から直接受け取ることとしてもよい。
以上の説明では、樹脂供給装置45から第1部材81に樹脂を供給(塗布)することとしたが、第1部材81に代えて又は第1部材81に加えて、第2部材82に樹脂を供給(塗布)することとしてもよい。
以上の説明では、本開示の実施の形態に係る貼合済部材製造装置及び貼合済部材の製造方法を、一例として主に図1乃至図5を用いて説明したが、各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択的に採用したものも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に包含される。