JP7430670B2 - ビア充填基板の製造方法および導電ペーストのキット - Google Patents

ビア充填基板の製造方法および導電ペーストのキット Download PDF

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Description

本発明は、各種の電子機器に使用される表裏導通基板(ビア充填基板)の製造方法および前記ビア充填基板を製造するための導電ペーストのキットに関する。
従来から、電子基板は、機能部品の配置や配線回路の形成に使用されている。近年、電子機器または部品の小型化、高機能化および集積化のために、絶縁性基板に貫通孔(孔部またはビア)を形成し、貫通孔内に導電材料を設けて基板両面を電気的に導通させる用途が増加している。基板両面を電気的に導通する方法として、貫通孔内に導電材料をメッキ処理する方法が知られているが、環境負荷の大きいメッキ工程が必要であるため、工程が複雑であり、経済性も低い。
また、貫通孔に金属粉および硬化性樹脂で構成される導電ペースト(導体ペースト)を充填し、硬化して充填ビアを得る方法も知られている。しかし、この充填ビアも、導電材料に樹脂が含まれているため、導電性が低く、樹脂の耐熱性によって制限され、基板の耐熱性も低い。
さらに、貫通孔に金属粉、無機バインダーおよび樹脂で構成される導電ペーストを充填し、金属の焼結温度以上に加熱して金属粉を焼結して導電性の充填ビアを得る方法も知られており、この方法は、簡便性に優れるとともに、有機ビヒクルとしての樹脂成分は焼成により蒸発、分解される。そのため、この方法で得られた充填ビアは、導電性、熱伝導性および耐熱性も比較的高い。
しかし、ビアに導電ペーストを充填した後に焼成して得られるビア充填基板には、以下の2点の課題が存在する。
(1)絶縁性基板の収縮率に対して導電ビア部に充填した導体材料の収縮率が大きい場合には、高温焼成後の冷却において導電ビア部が大きく収縮することが原因で、導電ビア部と基板との間に大きな収縮応力(引張応力)が生じる。その結果、導電ビア部と孔部壁面との間に剥がれが生じて隙間やボイドが発生すると、密着性、気密性が低下する。あるいは、収縮応力により基板側が破壊されてクラックが生じる虞もある。また、製造時に問題がなくても、使用時(熱サイクルでのヒートショック時)において、導電ビア部と基板との間に大きな収縮応力(引張応力)が原因で、導電ビア部と孔部壁面との間に剥がれや、基板側にクラックが生じる(すなわち、信頼性が低下する)。
(2)導電ペーストに含まれる有機ビヒクルが、焼成により揮発や熱分解で除去され、導電ビア部にその体積分の空隙が生じ、導電ビア部内部が全体的にポーラス状になる。充填導体内部がポーラス状になると、ポーラスのないバルク金属に比べ導電性、熱伝導性は大きく低下する。
そこで、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も高く、第1の課題を解決するとともに、導電ビア部の緻密性が高く、第2の課題も解決できるビア充填基板の開発が望まれ、以下のようなビア充填基板の製造方法などが提案されている。
特公平7-101724号公報(特許文献1)には、ハイブリッドマイクロ回路を作製するのに使用される複数の金属充填貫通孔を有するセラミック基板を製造する方法であって、高融点金属粒子とバインダーからなるペーストを、セラミック基板の貫通孔に充填する段階と、前記ペーストを焼結して前記各貫通孔内に高融点金属の多孔質体を形成する段階と、溶融状態の低融点金属を毛管作用により高融点金属の多孔質体の孔中に浸透せしめて前記貫通孔を無孔の複合金属充填物で充填する製造方法が開示されている。前記高融点金属粒子としては、タングステン粒子が記載されている。
WO2014/106925号(特許文献2)には、セラミック基板の上下導通孔の内面に、Mo、W、Co、Fe、Zr、Re、Os、Ta、Nb、Ir、RuおよびHfからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる中間層を形成する工程、前記上下導通孔内に、前記W、およびMoからなる群より選ばれた少なくとも1種の高融点金属の粉末を含むペーストを充填し、当該粉末を焼結させて、前記高融点金属からなる多孔質構造体を形成する工程、および前記多孔質構造体中に、前記Cu、Ag、およびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の低抵抗金属を溶浸させて前記上下導通体を形成する工程を含むセラミック配線基板の製造方法が開示されている。
特許第5820092号公報(特許文献3)には、上下導通孔中でWおよびMoからなる群より選ばれた少なくとも1種の高融点金属の粒子を多数焼結させて多孔質構造体を形成し、次いでこの多孔質構造体中に、Cu、Ag、およびAuからなる群より選ばれた少なくとも1種の低抵抗金属を溶浸させて、前記多孔質構造体と、当該多孔質構造体の空間を埋める低抵抗金属とを含む複合構造に形成されたセラミック配線基板が開示されている。
特公平7-101724号公報 WO2014/106925号 特許第5820092号公報
しかし、特許文献1~3の製造方法でも、高密度に充填された緻密性の高い導電ビア部を有するビア充填基板を製造するのは困難であった。その原因について、出願人が検討したところ、特許文献1~3の製造方法では、金属粒子同士が結合して形成された骨格の狭い隙間(完全連通な状態でない隙間)を通って溶融金属が流れ込むため、流れが阻害され易く、効率良く空隙を埋められないためであると推定できる。
従って、本発明の目的は、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が高く、かつ導電ビア部の緻密性も高いビア充填基板を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、特定の充填用導電ペーストを充填した後、充填された前記充填用導電ペーストの上に、特定の積層用導電ペーストを積層して窒素雰囲気下で焼成することにより、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性を向上でき、さらに導電ビア部の緻密性も向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のビア充填基板の製造方法は、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを充填する充填工程、前記充填工程で前記孔部に充填された前記充填用導電ペーストの上に、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストを積層する積層工程、前記積層工程で得られた両導電ペーストを含む絶縁性基板を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を含むビア充填基板の製造方法であって、
前記無機成分Aが、焼成温度を超える融点を有する高融点無機粒子であり、
前記高融点無機粒子が、熱膨張係数の小さい低熱膨張高融点無機粒子を含み、
前記金属成分Bが、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子である。
前記無機成分Aの熱膨張係数および導電ビア部中の体積比率を、それぞれKaおよびVa、前記金属成分Bの熱膨張係数をKb、絶縁性基板の熱膨張係数をKxとしたとき、下記式(1)を充足してもよい。
[Ka×Va+Kb×(1-Va)]-Kx≦7(ppm/K) (1)
前記低熱膨張高融点無機粒子は、W粒子および/またはMo粒子であってもよい。前記無機成分Aは、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属またはこの高融点金属を含む合金で形成された高融点金属粒子をさらに含んでいてもよい。前記充填用導電ペーストおよび前記積層用導電ペーストの少なくとも一方は、活性金属を含む活性金属成分を含んでいてもよい。前記充填用導電ペーストおよび前記積層用導電ペーストの少なくとも一方は、前記難溶融金属粒子よりも低い融点を有する易溶融金属粒子である金属成分Cを含んでいてもよい。
本発明には、前記製造方法でビア充填基板を製造するための導電ペーストのキットであって、焼成温度を超える融点を有する高融点無機粒子であり、かつ前記高融点無機粒子が、熱膨張係数の小さい低熱膨張高融点無機粒子を含む無機成分A、および第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストと、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子である金属成分B、および第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストとの組み合わせであるキットも含まれる。
本発明では、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、特定の充填用導電ペーストを充填した後、充填された前記充填用導電ペーストの上に、特定の積層用導電ペーストを積層して窒素雰囲気下で焼成するため、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性を向上でき、さらに導電ビア部の緻密性も向上できる。
図1は、本発明におけるビア充填基板の製造方法の一例を示す概略工程図である。
[ビア充填基板の製造方法]
本発明のビア充填基板の製造方法は、孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを充填する充填工程、前記充填工程で前記孔部に充填された前記充填用導電ペーストの上に、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストを積層する積層工程、前記積層工程で得られた両導電ペーストを含む絶縁性基板を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を含む。本発明の製造方法では、このような工程を経て、前記孔部に充填された導電ビア部を有するビア充填基板が得られる。
本発明において、前記充填工程と前記積層工程とを組み合わせることにより、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性を向上でき、さらに導電ビア部の緻密性も向上できる理由は以下のように推定できる。
本発明の方法では、充填用導電ペーストと積層用導電ペーストとを積層し、両ペースト共に未焼成の状態で両ペーストを焼成するため、焼成温度に到達する前に、有機ビヒクルが揮発すると共に金属成分Bが溶融する。すなわち、焼結していない無機成分A(粒子同士が未結合)に対し、有機ビヒクルの揮発で生じた空隙(完全連通な隙間)に、溶融した金属成分Bが流れ込む。無機成分Aの粒子が未結合であるため(骨格が形成されていないため)、流れが阻害されず末端まで通過して流れ込み易くなり、高密度充填(緻密性)が実現される。
さらに、本発明の方法では、主成分である無機成分Aである高融点金属粒子として、導電ビア部と絶縁性基板との熱膨張係数の差が小さくなるような低熱膨張無機粒子を含み、絶縁性基板との熱膨張係数の差異を低減できるため、焼成後の冷却による導電ビア部の収縮が抑制され、絶縁性基板の孔部壁面との間の剥離を抑制できる。すなわち、CuやAgを主成分とした導電ビア部は、セラミックス基板との収縮率の差が大きく、高温焼成後の冷却において、セラミックス基板に対して導電ビア部が大きく収縮する。そのため、導電ビア部と基板との間に大きな収縮応力(引張応力)が生じる結果、導電ビア部と孔部壁面との間が剥がれて隙間やボイドが生じたり、基板側が破壊されてクラックが生じる虞がある。また、製造時に問題がなくても、使用時(熱サイクルでのヒートショック時)において、同様の問題が生じる虞がある。これに対して、本発明の方法では、前述のように、焼成後の冷却による導電ビア部の収縮が抑制され、絶縁性基板の孔部壁面との間の剥離を抑制できるため、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も向上できる。
なお、本願において、「熱膨張係数」とは、50℃から350℃までの温度領域において熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)を用いて測定した平均膨張係数(平均線膨張係数)であり、試料の初期長さに対する試料長さの変化量を温度差で割った値を意味する。また、本願において、熱膨張係数は、JIS R 3102(1995)に準じて測定できる。
(充填工程)
充填工程において、充填用導電ペーストは、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む。
(a)無機成分A
無機成分Aは、焼成温度を超える融点を有する高融点無機粒子である。前記高融点無機粒子は、熱膨張係数の小さい低熱膨張高融点無機粒子を含む。本発明では、前述のように、低膨張高融点無機粒子を含むことにより、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も向上できる。
(a1)低膨張高融点無機粒子
低膨張高融点無機粒子は、導電ビア部の熱膨張率を絶縁性基板と同程度の熱膨張率に調整するために配合され、具体的には、前記式(1)を充足するための熱膨張係数を有する低膨張高融点無機粒子が好ましい。
前記式(1)では、導電ビア部の熱膨張係数[Ka×Va+Kb×(1-Va)]と、絶縁性基板の熱膨張係数をKxとの差が7ppm/K以下(例えば0~7ppm/K)が好ましく、両係数の差{すなわち[Ka×Va+Kb×(1-Va)]-Kx}は、さらに好ましくは1~7ppm/K、より好ましくは2~6.5ppm/Kである。前記差が7ppm/Kを超えると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞がある。
低膨張高融点無機粒子の熱膨張係数は、前記式(1)を充足すればよいが、例えば10ppm/K以下であってもよく、例えば1~10ppm/K、好ましくは2~8ppm/K、さらに好ましくは3~6ppm/K、最も好ましくは4~5ppm/Kである。熱膨張係数が大きすぎると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞がある。
低膨張高融点無機粒子は、シリカなどの低膨張高融点非金属粒子であってもよいが、導電ビア部の導電性も向上できる点から、低膨張高融点金属粒子が好ましく、W粒子および/またはMo粒子がさらに好ましい。
低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)の融点は、焼成温度を超える融点であればよく、例えば2000℃以上であってもよく、好ましくは2000~4000℃、さらに好ましくは2500~3800℃である。
低膨張高融点無機粒子の中でも、低膨張高融点金属粒子(特に、W粒子および/またはMo粒子)は、このような融点を有しているため、焼成の過程で溶融はしないが、低膨張高融点金属粒子の粒子間で焼結してもよい。一方で、低膨張高融点金属粒子(特に、W粒子および/またはMo粒子)は、他の金属粒子(特に、低膨張高融点金属と融点が大きく異なる金属粒子)と焼結して合金化し難いため、合金化による導電性や熱伝導性の低下を抑制できる。
低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)は、慣用の方法で製造でき、例えば、湿式還元法、電解法、アトマイズ法、水アトマイズ法などの各種製法によって製造できる。
低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)の形状としては、例えば、球状(真球状または略球状)、楕円体(楕円球)状、多面体状(多角錘状、立方体状や直方体状など多角柱状など)、板状(扁平状、鱗片状、薄片状など)、ロッド状または棒状、繊維状、樹針状、不定形状などが挙げられる。低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)の形状は、通常、球状、楕円体状、多面体状、不定形状などである。充填密度が高くなる点や、ペーストとしての流動性に優れる点から、球状が好ましい。
低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)の中心粒径(D50)は、ペーストとしての流動性、焼成後の緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、100μm以下(特に50μm以下)程度であってもよく、例えば0.1~30μm、好ましくは1~10μm、さらに好ましくは2~8μm、より好ましくは3~5μmである。中心粒径が大きすぎると、小さい孔部への充填が困難となる虞がある。
なお、本願において、中心粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された平均粒径(体積基準)を意味する。
(a2)高膨張高融点無機粒子
前記高融点無機粒子は、低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)に加えて、熱膨張係数の大きい高膨張高融点無機粒子をさらに含んでいてもよい。
前記高膨張高融点無機粒子は、前記式(1)を逸脱しない範囲において、導電性の向上などのために配合される。
高膨張高融点無機粒子の熱膨張係数は、30ppm/K以下であってもよく、例えば10~30ppm/K、好ましくは12~25ppm/K、さらに好ましくは13~23ppm/K、最も好ましくは15~20ppm/Kである。熱膨張係数が大きすぎると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞がある。
高膨張高融点無機粒子は、導電ビア部の導電性も向上できる点から、高膨張高融点金属粒子が好ましい。高膨張高融点金属は、高膨張高融点金属単体であってもよく、前記高融点金属を含む合金であってもよい。具体的には、前記高融点金属としては、例えば、Cu、Ag、Ni、Au、Pt、Pdなどが挙げられる。前記高融点金属を含む合金は、前記高融点金属同士の合金であってもよく、前記高融点金属と他の金属との合金であってもよい。他の金属は、合金の融点が焼成温度を超えれば特に限定されず、前記高融点金属と合金可能な金属であればよい。他の金属としては、例えば、後述する金属成分Bの項で例示される難溶融金属、後述する金属成分Cの項で例示される易溶融金属、後述する活性金属成分の項で例示される活性金属などが挙げられる。他の金属も、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
高膨張高融点金属粒子を構成する金属としては、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された高融点金属単体、前記群より選択された高融点金属を含む合金が好ましい。
これらの高膨張高融点無機粒子のうち、導電性に優れ、かつ比較的融点が低く、800~950℃の焼成温度で粒子同士が互いに焼結し易い点から、Cu粒子(融点1085℃)、Ag粒子(融点962℃)が好ましく、経済性の点から、Cu粒子が特に好ましい。
高膨張高融点無機粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)の融点は、焼成温度を超える融点であればよく、例えば600℃以上であってもよく、具体的には600~4000℃程度の範囲から選択でき、例えば800~2500℃、好ましくは850~2000℃、さらに好ましくは900~1500℃、より好ましくは950~1200℃である。融点が低すぎると、導電性、耐熱性が低下する虞がある。
高膨張高融点無機粒子の中でも、高膨張高融点金属粒子(特に、Cu粒子および/またはAg粒子)は、このような融点を有しているため、焼成の過程で溶融はしないが、高膨張高融点金属粒子の粒子間で焼結したり、高膨張高融点金属粒子と金属成分Bとがお互いに焼結して合金化してもよい。
高膨張高融点無機粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)は、慣用の方法で製造でき、例えば、湿式還元法、電解法、アトマイズ法、水アトマイズ法などの各種製法によって製造できる。
高膨張高融点無機粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記低膨張高融点無機粒子の形状として例示された形状から選択できる。
高膨張高融点無機粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)の中心粒径(D50)は、ペーストとしての流動性、焼成後の緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる点から、100μm以下(特に50μm以下)程度であってもよく、例えば0.01~30μm、好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは1~8μm、より好ましくは2~7μmである。中心粒径が大きすぎると、小さい孔部への充填が困難となる虞がある。
高膨張高融点無機粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)の割合は、低膨張高融点無機粒子(特に、低膨張高融点金属粒子)100体積部に対して100体積部以下(例えば0~100体積部)であってもよく、好ましくは80体積部以下(例えば10~80体積部)、さらに好ましくは60体積部以下(例えば20~60体積部)、より好ましくは50体積部以下(例えば30~50体積部)である。高膨張高融点無機粒子の割合が多すぎると、導電ビア部の熱膨張率と絶縁性基板の熱膨張率との差が大きくなり、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞がある。
なお、本願において、体積割合は、25℃、大気圧下での体積割合を示す。
(a3)無機成分Aの特性
無機成分Aの熱膨張係数は、前記式(1)を充足すればよく、特に限定されないが、20ppm/K以下であってもよく、例えば1~20ppm/K、好ましくは2~15ppm/K、さらに好ましくは3~13ppm/K、最も好ましくは4~10ppm/Kである。
無機成分A(高融点無機粒子)の割合は、充填用導電ペースト中30体積%以上であってもよく、例えば30~99体積%、好ましくは35~90体積%、さらに好ましくは40~80体積%、より好ましくは45~70体積%、最も好ましくは50~65体積%である。無機成分Aの割合が少なすぎると、導電ビア部の保形性が低下する虞がある。
(b)第1の有機ビヒクル
前記充填用導電ペーストは、ペースト状(流動性のある状態)にするために、前記無機成分Aに加えて、有機ビヒクル(第1の有機ビヒクル)をさらに含む。
第1の有機ビヒクルは、金属粒子を含む導電性ペーストの有機ビヒクルとして利用される慣用の有機ビヒクル、例えば、有機バインダーおよび/または有機溶剤であってもよい。有機ビヒクルは、有機バインダーおよび有機溶剤のいずれか一方であってもよいが、通常、有機バインダーと有機溶剤との組み合わせ(有機バインダーの有機溶剤による溶解物)である。
有機バインダーとしては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体など)、熱硬化性樹脂(熱硬化性アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂など)などが挙げられる。これらの有機バインダーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機バインダーのうち、焼成過程で容易に焼失し、かつ灰分の少ない樹脂、例えば、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートなど)、セルロース誘導体(ニトロセルロース、エチルセルロース、ブチルセルロース、酢酸セルロースなど)、ポリエーテル類(ポリオキシメチレンなど)、ゴム類(ポリブタジエン、ポリイソプレンなど)などが汎用され、熱分解性などの点から、ポリ(メタ)アクリル酸メチルやポリ(メタ)アクリル酸ブチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステルが好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されず、ペーストに適度な粘性を付与し、かつペーストを基板に塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発できる有機化合物であればよく、高沸点の有機溶剤であってもよい。このような有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素(パラキシレンなど)、エステル類(乳酸エチルなど)、ケトン類(イソホロンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、脂肪族アルコール(オクタノール、デカノール、ジアセトンアルコールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類(エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなど)、カルビトール類(カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトールなど)、カルビトールアセテート類(エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(モノテルペンアルコールなど)など]、芳香族アルコール類(メタクレゾールなど)、芳香族カルボン酸エステル類(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、窒素含有複素環化合物(ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノンなど)などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの有機溶剤のうち、ペーストの流動性などの点から、カルビトールなどのカルビトール類、テルピネオールなどの脂環族アルコールが好ましい。
有機バインダーと有機溶剤とを組み合わせる場合、有機バインダーの割合は、有機溶剤100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは10~100質量部、さらに好ましくは20~50質量部程度であり、有機ビヒクル全体に対して5~80質量%、好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~30質量%である。
第1の有機ビヒクルの割合は、無機成分A100体積部に対して、例えば10~300体積部、好ましくは30~200体積部、さらに好ましくは50~150体積部、より好ましくは70~100体積部である。第1の有機ビヒクルの割合が少なすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、多すぎると、緻密性ならびに気密性および密着性が低下する虞がある。
(c)金属成分C
前記充填用導電ペーストは、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、後述する活性金属成分を保護し、窒素、酸素、炭素などと活性金属との高温下での反応を抑制することなどにより、前記気密性および密着性を向上させるために、後述する金属成分Bである難溶融金属粒子よりも低い融点(好ましくは融点450℃以下)の易溶融金属粒子である金属成分C(第1の金属成分C)をさらに含んでいてもよい。
金属成分Cである易溶融金属粒子を形成する金属は、難溶融金属粒子よりも低い融点を有していれば、特に限定されない。易溶融金属粒子を形成する前記金属は、易溶融金属単体であってもよく、前記易溶融金属を含む合金であってもよい。具体的には、前記易溶融金属としては、例えば、Bi、Sn、In、Znなどが挙げられる。前記易溶融金属を含む合金は、前記易溶融金属同士の合金であってもよく、前記易溶融金属と他の金属との合金であってもよい。他の金属は、合金の融点が難溶融金属粒子よりも低ければ特に限定されず、前記易溶融金属と合金可能な金属であればよい。他の金属としては、例えば、後述する金属成分Bの項で例示される難溶融金属、後述する活性金属成分の項で例示される活性金属などが挙げられる。他の金属も、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
易溶融金属粒子を構成する金属としては、Bi、Sn、InおよびZnからなる群より選択された少なくとも1種の易溶融金属またはこの易溶融金属を含む合金を含む金属が好ましい。
これらの易溶融金属粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの易溶融金属粒子のうち、Bi粒子、Sn粒子、In粒子、Zn粒子がさらに好ましく、Sn粒子が特に好ましい。
易溶融金属粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記低膨張高融点無機粒子の形状として例示された形状から選択できる。
易溶融金属粒子の中心粒径(D50)は0.1~100μm程度の範囲から選択でき、充填用導電ペーストの取り扱い性、およびより少量でも効果を発揮するという点から、例えば0.2~30μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~10μmである。
易溶融金属粒子の融点は、活性金属成分(活性金属粒子)の表面を覆って、焼成雰囲気ガスの窒素などとの反応から保護するためには、好ましくは450℃以下であり、具体的には100~450℃程度の範囲から選択でき、例えば130~420℃、好ましくは150~400℃、さらに好ましくは180~300℃、より好ましくは200~250℃である。易溶融金属粒子の融点が高すぎると、溶融した易溶融金属粒子による活性金属成分(活性金属粒子)の表面を覆って保護する機能が低下して、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞がある。
金属成分Cは、導電性を担う主成分の無機成分A(特に、高融点金属粒子)に比べると、導電性は低いため、活性金属を保護するために必要な割合に調整するのが好ましい。金属成分Cの割合は、無機成分A100体積部に対して1~40体積部程度の範囲から選択でき、例えば2~30体積部(特に2~25体積部)、好ましくは3~25体積部、さらに好ましくは5~20体積部、より好ましくは10~15体積部である。金属成分Cの割合が少なすぎると、焼成時に溶融して発現する機能が小さくなり、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞がある。金属成分Cの割合が多すぎると、導電ビア部の導電性や熱伝導性が低下したり、無機成分A(特に、高融点金属粒子)の粒子間に、溶融した金属成分Cが入り込み、表面から流れ込む金属成分Bの流入路を阻害し、ポーラス(空隙)が充填されず、密着性が低下する虞がある。また、金属成分Cの割合が多すぎると、焼成時に充填部から金属成分Cが流れ出る虞もある。
金属成分Cは、充填用導電ペーストに含まれる金属成分Cの合計体積が、充填用導電ペーストに含まれる無機成分A、金属成分Cおよび活性金属成分の合計体積(以下「無機成分の合計体積」と称する)に対して、例えば0.5~30体積%(特に1~19体積%)、好ましくは1~25体積%(特に2~18体積%)、さらに好ましくは3~20体積%、より好ましくは5~15体積%となる体積割合となるように配合してもよい。
(d)活性金属成分
前記充填用導電ペーストは、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、無機成分Aと絶縁性基板との接合性を向上させるために、活性金属成分(第1の活性金属成分)をさらに含んでいてもよい。
充填用導電ペーストに含まれる活性金属成分は、活性金属含有粒子であってもよい。活性金属含有粒子に含まれる活性金属としては、例えば、Ti、Zr、Hf、Nbなどが挙げられる。これらの活性金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの活性金属のうち、焼成工程での活性に優れ、絶縁性基板と導電ビア部との接合力を向上できる点から、Ti、ZrおよびNbからなる群より選択された少なくとも1種が好ましく、Tiおよび/またはZrがさらに好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属含有粒子は、活性金属を含んでいればよく、前記活性金属単体で形成されていてもよいが、焼成工程での活性に優れる点から、活性金属を含む化合物で形成されているのが好ましい。
活性金属を含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、水素化チタン(TiH)、水素化ジルコニウム(ZrH)、水素化ニオブ(NbH)などが挙げられる。これらのうち、焼成工程での活性に優れる点から、水素化チタン(TiH)が好ましい。
これらの活性金属を含む活性金属含有粒子は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用でき、水素化チタン粒子および/または水素化ジルコニウム粒子がさらに好ましく、水素化チタン粒子が特に好ましい。
前記活性金属含有粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記低膨張高融点無機粒子の形状として例示された形状から選択できる。
前記活性金属含有粒子の中心粒径(D50)は0.1~100μm程度の範囲から選択でき、充填用導電ペーストの取り扱い性などの点から、例えば0.2~50μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~10μmである。
活性金属成分の割合は、無機成分A100体積部に対して0.1~40体積部(例えば0.3~40体積部)程度の範囲から選択でき、例えば0.1~36体積部(例えば0.4~36体積部)、好ましくは0.1~30体積部(例えば1~30体積部)、さらに好ましくは0.2~30体積部(例えば2~30体積部)、より好ましくは3~20体積部、最も好ましくは5~10体積部である。活性金属成分の割合が少なすぎると、導電ビア部と孔部壁面との接合力が不充分で、気密性および密着性が低下する虞があり、多すぎると、ポーラス(空隙)が大きくなって密着性が低下したり、導電性や焼結性が低下する虞がある。
活性金属成分は、充填用導電ペーストに含まれる活性金属成分の合計体積が、無機成分の合計体積に対して0.1~30体積%(例えば0.1~22体積%)程度の範囲から選択でき、例えば0.2~30体積%(特に0.2~20体積%)、好ましくは0.3~25体積%、さらに好ましくは0.5~20体積%、より好ましくは1~15体積%、最も好ましくは3~10体積%となる割合で配合してもよい。
(e)他の成分
前記充填用導電ペーストは、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、無機バインダー(ガラスフリットなど)、硬化剤(アクリル系樹脂用硬化剤など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤または分散剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)、分散安定化剤、粘度調整剤またはレオロジー調整剤、保湿剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。他の成分の割合は、成分の種類に応じて選択でき、通常、充填用導電性ペースト全体に対して10質量%以下(例えば0.01~10質量%)程度である。
(f)絶縁性基板
前記充填用導電ペーストを孔部に充填する絶縁性基板の材質は、焼成工程を経るため、耐熱性が要求され、エンジニアリングプラスチックなどの有機材料であってもよいが、通常、無機材料(無機素材)である。
無機材料としては、例えば、セラミックス{金属酸化物(石英、アルミナまたは酸化アルミニウム、ジルコニア、サファイア、フェライト、チタニアまたは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、ムライト、ベリリアなど)、酸化ケイ素(二酸化ケイ素など)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化チタンなど)、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素、金属炭化物(炭化チタン、炭化タングステンなど)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、金属ホウ化物(ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウムなど)、金属複酸化物[チタン酸金属塩(チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ニオブ、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウムなど)、ジルコン酸金属塩(ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛など)など]など}、ガラス類(ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなど)、ケイ素類(半導体ケイ素など)などが挙げられる。無機材料は、これらの無機材料と金属との複合材料(例えば、ほうろうなど)であってもよい。
絶縁性基板は、例えば、セラミックス基板、ガラス基板、シリコン基板、ほうろう基板などの耐熱性基板であってもよい。これらの耐熱性基板のうち、アルミナ基板、サファイア基板、窒化アルミニウム基板、窒化ケイ素基板、炭化ケイ素基板などのセラミックス基板;石英ガラス基板などのガラス基板が好ましい。
絶縁性基板の熱膨張係数は、20ppm/K以下であってもよく、例えば1~15ppm/K、好ましくは2~13ppm/K、さらに好ましくは3~10ppm/K、最も好ましくは4~8ppm/Kである。
絶縁性基板の孔部壁面は、酸化処理[表面酸化処理、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電処理、高温酸化処理など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔処理など]、表面凹凸処理(溶剤処理、サンドブラスト処理など)などの表面処理がされていてもよい。
絶縁性基板の平均厚みは、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば0.01~10mm、好ましくは0.05~5mm、さらに好ましくは0.1~1mm、より好ましくは0.2~0.8mmである。
絶縁性基板には、導電ビア部を充填するための孔部(通常、複数の孔部)が形成されており、この孔部は通常は貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。孔部の基板面方向に平行な断面形状は、特に限定されず、多角形状(三角形状、四角形状や六角形状など)などであってもよいが、通常、円形状または楕円形状であり、円形状が好ましい。
孔部の平均孔径は、例えば0.05~10mm、好ましくは0.08~5mm、さらに好ましくは0.1~1mm程度である。
孔部の形成方法は、特に限定するものではなく、レーザー法、ブラスト法、超音波法、研削法、ドリル法などの公知な方法を適宜使用できる。
(g)充填用導電ペーストの充填方法
充填用導電ペーストの孔部への充填方法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの印刷方法や、ロール圧入法、スギージ圧入法、プレス圧入法などの直接圧入法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法などが好ましい。
充填後は、自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥してもよい。加熱温度は、有機溶剤の種類に応じて選択でき、例えば50~200℃、好ましくは60~180℃、さらに好ましくは100~150℃程度である。加熱時間は、例えば1~60分、好ましくは3~40分、さらに好ましくは5~30分である。
(金属膜形成工程)
前記充填工程の前工程として、孔部の孔部壁面に活性金属成分(第2の活性金属成分)を含む金属膜を形成する金属膜形成工程をさらに含んでいてもよい。金属膜形成工程は、前記充填用導電ペーストおよび/または後述する積層工程における積層用導電ペーストが活性金属成分を含まない場合に有効であり、前記充填用導電ペーストが活性金属成分を含まない場合に特に有効である。充填用導電ペーストおよび/または積層用導電ペーストが活性金属成分を含んでいない場合であっても、充填用導電ペーストとして、孔部壁面に活性金属成分を含む金属膜を積層することにより、導電ペースト中の無機成分Aに作用して、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性も向上できる。
金属膜は、活性金属を含んでいればよい。金属膜の平均厚みは、例えば0.01μm以上であり、例えば0.05~1μm、好ましくは0.1~0.5μm、さらに好ましくは0.2~0.4μmである。
金属膜形成工程は、金属膜が活性金属成分を含んでいればよいが、活性金属で形成された活性金属層を形成する活性金属層形成工程を含むのが好ましい。
活性金属としては、前記充填用導電ペーストの項で例示された活性金属などが挙げられる。前記活性金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記活性金属のうち、焼成工程での活性に優れ、絶縁性基板と導電ビア部との接合力を向上できる点から、Tiおよび/またはZrが好ましく、Tiが特に好ましい。
活性金属層の平均厚みは、例えば0.005μm以上であり、例えば0.005~1μm、好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.05~0.4μm、より好ましくは0.1~0.3μmである。活性金属層の厚みが薄すぎると、密着性が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および焼結性が低下する虞がある。
金属膜形成工程は、前記活性金属層の上にさらに高融点金属で形成された保護層形成工程をさらに含むのが好ましい。本発明では、前記活性金属層の上に保護層を積層することにより、孔部壁面に形成した活性金属層が、焼成前や焼成中の過程において、酸素、窒素、炭素などとの反応から前記活性金属層を保護し、活性金属が失活するのを抑制できる。特に、充填用導電ペーストおよび/または積層用導電ペーストに含まれる金属成分Cとの組み合わせにより、活性金属の保護機能をより向上できる。
高融点金属としては、例えば、Cu、Ni、Pd、Ptなどが挙げられる。これらの高融点金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用でき、二種以上を組み合わせた合金であってもよい。これらの高融点金属のうち、Pd、Ptが好ましく、Pdが特に好ましい。
保護層の平均厚みは、例えば0.005μm以上であり、例えば0.005~1μm、好ましくは0.01~0.5μm、さらに好ましくは0.05~0.3μm、より好ましくは0.08~0.2μmである。保護層の厚みが薄すぎると、密着性を向上させる効果が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および焼結性が低下する虞がある。
金属膜の形成方法としては、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)などを利用できるが、容易に金属膜を形成できる点から、物理蒸着法が好ましい。物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法などが挙げられる。これらのうち、物理的なエネルギーが高く、形成された金属膜と絶縁性基板との間の密着力を向上できる点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法は、慣用の条件で利用できる。
(研磨工程)
前記充填工程で孔部に充填用導電ペーストが充填された絶縁性基板は、そのまま積層工程に供してもよいが、孔部に充填された充填用導電ペーストの表面を研磨する研磨工程を経た後に積層工程に供してもよい。研磨工程によって、充填用導電ペーストの表面を平滑にすると、充填用導電ペーストを均一に積層し易く、緻密性を向上できる。
研磨工程における研磨方法としては、物理的な研磨方法であってもよく、化学的な研磨方法であってもよい。物理的な研磨方法としては、例えば、バフ研磨、ラップ研磨、ポリッシング研磨などが挙げられる。化学的な研磨方法(表面処理方法)としては、例えば、過硫酸ナトリウム水溶液などで最表面をソフトエッチングする方法などが挙げられる。これらのうち、バフ研磨などの物理的研磨方法が好ましい。
(積層工程)
積層工程において、積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む。
(a)金属成分B
金属成分Bである難溶融金属粒子を形成する金属は、焼成温度で溶融する融点(前記無機成分Aよりも低い融点)を有していれば、特に限定されない。そのため、焼成温度に応じて、前記充填工程において、無機成分Aの項で例示された高融点金属粒子(特に、高膨張高融点金属粒子)を難溶融金属粒子として用いてもよい。
難溶融金属粒子を形成する金属は、難溶融金属単体であってもよく、難溶融合金であってもよい。具体的には、難溶融金属としては、例えば、無機成分Aの項で例示された高膨張高融点金属などが挙げられる。難溶融合金としては、例えば、前記難溶融金属同士の合金、無機成分Aの項で例示された高膨張高融点金属同士の合金、難溶融金属と高膨張高融点金属との合金、難溶融金属と金属成分Cの項で例示された易溶融金属との合金、高膨張高融点金属と易溶融金属との合金、高膨張高融点金属と難溶融金属と易溶融金属との合金などが挙げられる。
難溶融金属粒子を構成する金属としては、難溶融金属単体、高膨張高融点金属同士の合金、高膨張高融点金属と易溶融金属との合金が汎用される。
難溶融金属単体を構成する金属としては、無機成分Aよりも融点の低い高膨張高融点金属であればよく、Cuおよび/またはAgが好ましい。
難溶融合金を構成する高膨張高融点金属としては、Cu、Ag、Ni、Au、Pt、Pd(特に、Cuおよび/またはAg)が好ましい。
難溶融合金を構成する易溶融金属としては、Bi、Sn、Zn(特に、Snおよび/またはZn)が好ましい。合金として高膨張高融点金属または難溶融金属に対して易溶融金属を組み合わせることにより、広い範囲で金属成分Bの融点を調整することが可能であるが、易溶融金属を含む金属成分Bは導電性が低下するため、易溶融金属の割合は必要最小量に留めるのが好ましい。
これらの難溶融金属粒子のうち、緻密性に加えて、導電性も向上できる点から、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高膨張高融点金属を含む難溶融金属粒子が好ましく、生産性などの点から、前記高膨張高融点金属を含む難溶融合金を含む難溶融金属粒子(特に、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高膨張高融点金属を含む難溶融合金粒子)がさらに好ましく、Agおよび/またはCuを含む合金粒子がより好ましく、Agを含む合金粒子(例えば、Ag-Cu合金粒子、Ag-Sn合金粒子、Ag-Cu-Zn-Sn合金粒子など)が特に好ましく、Ag-Cu合金粒子が最も好ましい。特に、Agおよび/またはCuを含む単体粒子または合金粒子を用いると、充填用導電ペースト中の低膨張高融点金属粒子との合金化も抑制しつつ、導電性および熱伝導性を向上できるため、ビア充填基板の密着性、緻密性、導電性および熱伝導性をバランスよく向上できる。
なお、金属成分Bは、充填用導電ペーストとは別個に調製して充填用導電ペーストの上に積層するため、合金化可能な複数の金属単体粒子を組み合わせて配合すると、焼成工程において、金属単体粒子同士が合金化した状態で孔部の隙間やボイドに流れ込む。そのため、本願において、金属成分Bにおける合金は、原料段階で金属単体粒子であっても、焼成工程において金属成分Bとして合金化する複数の金属単体粒子の組み合わせも含む意味で用いる。さらに、合金として金属単体粒子を組み合わせる態様においては、金属成分Bの融点は、各金属単体粒子の融点ではなく、焼成工程で合金化した合金粒子の融点である。そのため、原料段階における合金化前の金属単体粒子の一部が、金属成分Cの易溶融金属粒子であっても、合金が難溶融金属に相当するため、金属成分Bでは、難溶融合金化可能な金属単体粒子同士の組み合わせとして難溶融金属粒子に分類する。
難溶融金属粒子の形状は、通常の態様および好ましい態様も含めて、前記低膨張高融点金属粒子の形状として例示された形状から選択できる。
難溶融金属粒子の中心粒径(D50)は0.01~100μm程度の範囲から選択でき、積層用導電ペーストの取り扱い性などの点から、例えば0.1~30μm、好ましくは0.5~20μm、さらに好ましくは1~15μm、より好ましくは3~15μm、最も好ましくは4~10μmである。
金属成分Bが難溶融金属単体で形成された粒子を含む場合、この粒子の中心粒径(D50)は10μm以下であってもよく、例えば0.01~10μm、好ましくは0.05~5μm、さらに好ましくは0.1~3μm、より好ましくは0.3~1μmである。難溶融金属単体で形成された粒子の粒径が大きすぎると、合金化が十分に進行しない虞がある。
難溶融金属粒子の融点は、焼成温度よりも低ければよいが、通常450℃を超えており、具体的には450℃超1100℃程度の範囲から選択でき、例えば500~1000℃、好ましくは600~960℃、さらに好ましくは650~900℃、より好ましくは700~830℃、最も好ましくは750~800℃である。難溶融金属粒子の融点が高すぎると、難溶融金属粒子の流動性が低下して、緻密性ならびに気密性および密着性が低下する虞がある。難溶融金属粒子の融点が低すぎると、流動しすぎて導電ビア部から流出し易くなって、緻密性が低下する虞がある。
金属成分Bの熱膨張係数は、前記式(1)を充足すればよく、特に限定されないが、50ppm/K以下であってもよく、例えば5~40ppm/K、好ましくは10~30ppm/K、さらに好ましくは13~25ppm/K、最も好ましくは15~20ppm/Kである。
金属成分Bの割合は、積層用導電ペースト中30体積%以上であってもよく、例えば30~75体積%、好ましくは40~70体積%、さらに好ましくは50~65体積%、より好ましくは55~60体積%である。金属成分Bの割合が少なすぎると、充填ビア部に流れ込む金属成分Bの量が不足して緻密性が低下する虞があり、流れ込む量を確保するには積層(印刷)回数を多くする必要がある。積層回数が多すぎると、印刷性が低下する。
積層用導電ペースト中において、金属成分Bの体積割合は、無機成分の合計体積に対して、例えば60~100体積%、好ましくは70~100体積%、さらに好ましくは80~100体積%、より好ましくは85~100体積%である。金属成分Bの体積割合が小さすぎると、流動性が低下して緻密性が低下する虞がある。積層用導電ペーストに活性金属成分や金属成分Cを配合する必要がなければ、100体積%にするのが好ましい。
金属成分Bの割合が充填用導電ペースト中の第1の有機ビヒクルの体積と略同体積であると、焼成に伴って第1の有機ビヒクルが消失して生じるボイドに金属成分Bが過不足なく充填され、導電ビア部の緻密性を向上できる。そのため、積層用導電ペーストの体積は、金属成分Bおよび第1の有機ビヒクルの体積の関係から選択でき、理論上は、両体積が同一体積となる割合が好ましいが、金属成分Bは孔部周囲の基板表面に滞留したり、孔部から流れ出し易いため、同一体積よりも大きくなる割合であってもよい。
具体的には、金属成分Bの割合は、第1の有機ビヒクル100体積部に対して、例えば100~1000体積部、好ましくは120~700体積部、さらに好ましくは150~500体積部、より好ましくは200~300体積部である。金属成分Bの体積比率が少なすぎると、緻密性が低下する虞があり、多すぎると、経済性が低下する虞がある。
(b)第2の有機ビヒクル
前記積層用導電ペーストは、取り扱い性を向上させるために、前記金属成分Bに加えて、有機ビヒクル(第2の有機ビヒクル)をさらに含む。
第2の有機ビヒクルの材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された第1の有機ビヒクルの材質から選択できる。
第2の有機ビヒクルの割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して、例えば25~65体積%、好ましくは30~60体積%、さらに好ましくは35~50体積%、より好ましくは40~45体積%である。第2の有機ビヒクルの割合が少なすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、多すぎると、充填ビア部に流れ込む金属成分Bが不足して緻密性が低下する虞があり、流れ込む量を確保するには積層(印刷)回数を多くする必要がある。
(c)金属成分C
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、金属成分C(第2の金属成分C)をさらに含んでいてもよい。
金属成分Cの材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された金属成分C(第1の金属成分C)の材質から選択できる。
金属成分Cの割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して40体積%以下(例えば0.1~40体積%)であってもよく、好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下(例えば1~20体積%)である。
(d)活性金属成分
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、活性金属成分(第3の活性金属成分)をさらに含んでいてもよい。
活性金属成分の材質は、好ましい態様も含めて、前記充填用導電ペーストの項で例示された活性金属成分(第1の活性金属成分)の材質から選択できる。
活性金属成分の割合は、積層用導電ペーストの全体積に対して40体積%以下(例えば0.1~40体積%)であってもよく、好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは10体積%以下(例えば1~10体積%)である。
(e)他の成分
前記積層用導電ペーストは、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、前記充填用導電ペーストの項で例示された添加剤などが挙げられる。他の成分の割合は、成分の種類に応じて選択でき、通常、積層用導電性ペースト全体積に対して10体積%以下(例えば0.01~10体積%)程度である。
(f)積層用導電ペーストの割合
積層用導電ペーストは、絶縁性基板の孔部に充填された充填用導電ペースト(一方の面における第1の充填用導電ペースト)の上に積層すればよく、絶縁性基板の孔部に充填されて孔部の開口部において露出した充填用導電ペーストの少なくとも一部を被覆するように積層すればよい。具体的には、緻密性を向上できる点から、前記孔部の開口部の面積(充填用導電ペースト表面の面積)に対して50%以上(好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上)の面積割合で積層用導電ペーストを積層するのが好ましい。生産性の点から、開口部よりも大きい径で積層用導電ペーストを積層するのが好ましく、開口部の開口径に対して1.1倍以上(例えば1.1~5倍、好ましくは1.2~3倍、さらに好ましくは1.3~2倍程度)の径を有する積層用導電ペーストを積層してもよい。
積層用導電ペーストの割合は、第1の有機ビヒクルに対する金属成分Bの体積割合が前記範囲となる割合であってもよい。充填用導電ペーストの第1の有機ビヒクルに基づいて、積層用導電ペーストの割合を調整する場合は、以下の方法で調整できる。
すなわち、積層用導電ペーストの必要量は、下記式に基づいて計算できる。
積層用導電ペースト必要量(体積)=[金属成分Bの必要量(体積)]÷[積層用導電ペースト中の金属成分Bの体積比率]
なお、金属成分Bの必要量は、下記式に基づいて計算できる。
金属成分Bの必要量(体積)=[孔部(導電ビア部)の体積]×[充填用導電ペースト中の第1の有機ビヒクルの体積比率]
積層用導電ペーストの厚みは、前記割合に基づいて積層用導電ペースト量と、前記積層塗布面積から求めればよく、おおむね、充填用導電ペーストの厚み(孔部深さ)に対して、例えば5~120%、好ましくは8~100%、さらに好ましくは10~80%、より好ましくは12~70%、最も好ましくは15~50%である。
(g)積層用導電ペーストの積層方法
積層用導電ペーストの孔部上面への積層方法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、凹版印刷法(例えば、グラビア印刷法など)、オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法、フレキソ印刷法などの印刷方法などが挙げられる。これらの方法のうち、スクリーン印刷法などが好ましい。
積層後は、自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥してもよい。加熱温度は、有機溶剤の種類に応じて選択でき、例えば50~200℃、好ましくは60~180℃、さらに好ましくは100~150℃程度である。加熱時間は、例えば1~60分、好ましくは3~40分、さらに好ましくは5~30分である。
積層は、必要な厚みに応じて、印刷を繰り返すことで複数の層を積層してもよい。印刷を繰り返す場合は、1回の印刷ごとに乾燥を行ってもよい。
(焼成工程)
焼成工程において、焼成温度は、無機成分Aの融点未満で、かつ金属成分Bの融点超であればよい。焼成温度(ピーク温度)は、金属成分Bの融点よりも30~200℃高い温度から選択でき、好ましくは50~150℃高い温度、さらに好ましくは80~120℃高い温度である。具体的な焼成温度は600℃以上(例えば800~1500℃程度)であってもよい。焼成時間(ピーク保持時間)は、例えば5分~3時間、好ましくは8分~1時間、さらに好ましくは10分~20分程度である。室温からピーク温度までの昇温時間、およびピーク保持時間以降の室温までの降温時間は、それぞれ10分~3時間、好ましくは20分~2時間、さらに好ましくは25分~60分である。
なお、焼成の雰囲気は、窒素ガス雰囲気である。本発明では、活性金属を含む場合であっても、雰囲気ガスとして、活性金属と反応する窒素ガスを用いても、金属成分Cの作用によって、高温において活性金属の活性を維持できるため、真空装置や耐熱性容器などの特殊な製造装置を用いることなく、簡便な方法で、緻密性ならびに気密性および密着性の高いビア充填基板を製造できる。
(図面による説明)
以下、図面を参照しながら、本発明のビア充填基板の製造方法の製造工程について説明する。図1は、本発明におけるビア充填基板の製造方法の一例を示す概略工程図である。
図1に示す製造方法では、最初に、図1(a)に示されるように、耐熱性基板1に孔部1aが形成される。次に、図1(b)に示されるように、充填工程として前記孔部1aに充填用導電ペースト3を充填し、乾燥後、充填した前記充填用導電ペースト3の表面を研磨して平坦化する。さらに、図1(c)に示されるように、研磨した充填用導電ペースト3の表面に積層用導電ペースト4を積層し、乾燥する。最後に、両導電ペーストを含む絶縁性基板1を焼成して導電ビア部5を形成する。
[ビア充填基板]
本発明のビア充填基板は、前記製造方法によって得られ、絶縁性基板の両面を電気的に導通させるためのビア充填基板であり、詳しくは、孔部を有する絶縁性基板と、前記孔部に充填された導体で形成された導電ビア部とを有する。このビア充填基板は、導電ビア部の緻密性が高く、前記導電ビア部の空隙率は10体積%以下であり、好ましくは8体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。なお、本願において、導電ビア部の空隙率は、SEMを用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記ビア充填基板は、導電ビア部と孔部壁面との密着性も高く、導電ビア部と孔部壁面との間の隙間が小さい。具体的には、導電ビア部と孔部壁面との間には、隙間が存在していても局部的であり、かつ隙間の大きさは0.5μm以下であるのが好ましく、隙間が実質的に存在しないのがさらに好ましく、隙間が存在しないのが特に好ましい。なお、本願において、導電ビア部と孔部壁面との間の隙間は、SEMを用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記ビア充填基板の導電ビア部は、主成分の無機成分A(特に、高融点金属)と、空隙を埋める金属成分Bとが混在し、それらが焼結(合金化)した状態で存在する。詳しくは、導電ビア部は、連続相(マトリックス相)と分散相との組み合わせである相分離構造(海島構造)を有しており、この相分離構造によって導電ビア部の応力が緩和されているため、緻密性ならびに気密性および密着性を向上できる。
分散相と、連続相との比率は、断面写真の面積比において、前者/後者=1/99~90/10程度の範囲から選択でき、例えば3/97~60/40、好ましくは5/95~50/50、さらに好ましくは10/90~40/60、より好ましくは10/90~30/70である。
分散相の形状は、特に限定されず、等方形状(球状、立方体状など)であってもよく、異方形状(楕円体状、棒状、繊維状、不定形状など)であってもよい。
分散相の平均径は、例えば0.1~100μm、好ましくは1~80μm、さらに好ましくは3~50μm、より好ましくは5~30μmである。
なお、本願において、前記比率および平均径は、断面SEM像に基づいて測定できる。また、分散相が異方形状である場合、各分散相の径は長径と短径との平均値とする。
連続相は、導電ビア部の骨格となる無機相(特に、金属相)であり、主として無機成分A由来の金属相であってもよい。特に、充填用導電ペーストに含まれる無機成分Aが中心となって焼成により形成された連続相であってもよい。
分散相は、主として金属成分B由来の金属相であってもよい。特に、積層用導電ペーストに含まれる金属成分Bが焼成によって生じる空隙に流れ込んで前記空隙を埋めることにより形成された分散相であってもよい。
導電ビア部が活性金属を含む場合、孔部壁面との界面に活性金属膜が存在していてもよい。この活性金属膜は、前記孔部壁面との界面において、前記界面に沿って連続して延びる相(連続相または連続膜)であるのが好ましい。このような活性金属膜が存在すると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性を向上できる。
活性金属膜の平均厚みは、例えば0.1~10μm程度の範囲から選択でき、好ましくは0.3~5μm、さらに好ましくは0.5~3μm、より好ましくは1~2.5μmである。活性金属膜の厚みが薄すぎると、導電ビア部と孔部壁面との気密性および密着性が低下する虞があり、厚すぎると、導電性および熱伝導性が低下する虞がある。
なお、本願において、活性金属膜の存在およびサイズは、慣用の元素マッピング像、例えば、SEM-EDSを用いて得られた活性金属の元素マッピング像に基づいて確認および測定できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、導電ペーストの調製方法および評価試験の測定方法を以下に示す。
[使用した材料]
(無機成分A)
W粒子:中心粒径5μmのタングステン粒子、融点3683℃
Mo粒子:中心粒径3μmのモリブデン粒子、融点2620℃
Cu粒子1:中心粒径6.5μmの銅粒子、融点1085℃
Ag粒子1:中心粒径2.5μmの銀粒子、融点962℃
シリカ粒子:中心粒径5μmのシリカ粒子、融点1710℃。
(金属成分B)
AgCu粒子:中心粒径5μmの72Ag-28Cu合金粒子、融点780℃
Cu粒子2:中心粒径0.5μmの銅粒子、融点1085℃
Ag粒子2:中心粒径0.5μmの銀粒子、融点962℃。
(金属成分C)
Sn粒子:中心粒径8μmのスズ粒子、融点232℃。
(活性金属成分)
水素化チタン(TiH)粒子:中心粒径6μm
(有機ビヒクル)
有機バインダーであるアクリル樹脂と、有機溶剤であるカルビトールおよびテルピネオールの混合溶媒(質量比1:1)とを、有機バインダー:有機溶剤=1:3の質量比で混合した混合物。
[導電ペーストの調製]
表1~3に示す組成で各原料を秤量し、ミキサーにより混合した後、三本ロールで均一に混練することによって、導電ペースト1(充填用導電ペースト)、導電ペースト2(積層用導電ペースト)を調製した。
Figure 0007430670000001
Figure 0007430670000002
Figure 0007430670000003
[導電ビア部の空隙率(ボイド率)]
焼成後のビア充填基板の導電ビア部の中心部付近をダイヤモンドソーで基板に対して垂直方向に切断した上、イオンミリングにより切断面を平滑に仕上げ加工した。加工した試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で観察し、画像解析により導電ビア部の空隙率(ボイド率)を算出した。
(判定方法)
a:空隙率(ボイド率)5%以下(合格)
b:空隙率(ボイド率)5%超、10%以下(合格)
c:空隙率(ボイド率)が10%を超える(不合格)。
[導電ビア部と基板との密着性]
導電ビア部と基板(孔部の壁面)との間の密着性について、上記のイオンミリングにて平滑に仕上げ加工した試料について、走査型電子顕微鏡を用いて3000倍の倍率で観察し、導電ビア部と孔部の壁面との間に隙間が存在するかを確認した。なお、導体の熱膨張率がセラミックス基板より高いため、高温焼成した後、室温まで冷却する際、導体の収縮量は基板より高くなるため、導体と基板との間の密着力が不十分な場合、導体は孔部壁面から剥がれ、微小な隙間が生じる結果となる。
(判定方法)
a:隙間が存在しない(合格)
b:局部的に0.5μm以下の隙間が存在する(合格)
c:0.5μmを超える隙間が存在する(不合格)。
[耐クラック性]
上記のイオンミリングにて平滑に仕上げ加工した試料について、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍の倍率で観察し、導電ビア部付近における絶縁性基板のクラックの状態を確認した。
(判定方法)
a:充填前の絶縁性基板と変化はない(合格)
b:局部的にクラックが見られるが、クラックが発生した領域の厚み方向の長さの総和が基板の厚みに対して30%以下である(合格)
c:クラックが発生した領域の厚み方向の長さの総和が、基板の厚みに対して30%を超える(不合格)。
[初期評価]
以上の空隙率、密着性、耐クラック性の評価を初期評価として、各評価においてcの項目が1つもないビア充填基板を合格と判定した。
[耐久信頼性評価(熱サイクル試験)]
初期評価で合格となったビア充填基板に対して、熱サイクル試験を行った。低温域(-50℃)と高温域(150℃)のそれぞれに30分間保持して加熱冷却する操作を1サイクルとして、1000サイクルまで繰り返した。1000サイクル後のビア充填基板の密着性、および耐クラック性について、上記の初期評価と同じ方法で判定した。
[総合判定(ランク付け)]
耐久信頼性評価における密着性、耐クラック性の結果から、以下の基準で総合的な判定を行い、ランク付けを行った。
A:密着性、耐クラック性がいずれもa(合格)
B:密着性、耐クラック性がaかb(合格)
C:初期評価が不合格、または耐久信頼性評価で密着性、耐クラック性のいずれかがc(不合格)
[実施例1]
以下に示す方法で、基板を作製した。
(基板の準備)
2インチ×2インチ×0.5mm厚みのアルミナ基板(京セラ(株)「A476」)に、レーザー装置で孔径φ0.1mmおよび0.3mmの貫通孔をそれぞれ複数形成した。
(ビア充填基板の作製工程)
孔径φ0.1mmおよび0.3mmの貫通孔をそれぞれ多数有する2インチ×2インチ×0.5mm厚みのアルミナ基板に、表1に示す導電ペースト1-1(W粒子およびCu粒子1からなる無機成分Aを含む)を用いてメタルマスク(板厚が0.1mmで、開口の直径が貫通孔の直径よりも0.2mm大きいメタルマスク)を通してスクリーン印刷により貫通孔を充填し、120℃の送風乾燥機で10分間乾燥した。その後、バフ研磨機を1回通過させてメタルマスクに由来する孔部上の基板表面に突起または突出している導電ペーストを除去し、基板表面を平坦にした。
その後、上記と同じメタルマスクを用いて、導電ペースト1-1で充填した孔部の一方の表面に、表3に示す導電ペースト2-1(AgCu合金粒子からなる金属成分Bを含む)を印刷し、孔部表面に孔径より直径が0.2mm大きい導電ペースト2の円形パターンを形成した。導電ペースト2-1を印刷した基板を、100℃の送風乾燥機で10分間乾燥した。なお、孔径φ0.3mmの貫通孔に関しては、1回印刷した導電ペースト2-1の量(ウエット膜厚0.1mm)では孔の内部の空隙を全て埋めることは不十分である可能性があるため、導電ペースト2-1を印刷、乾燥した後、さらに重ねて2回(合計3回)印刷した。
導電ペースト2-1を印刷した面を基板の上部に位置させ、ベルト式連続焼成炉にて窒素雰囲気中、ピーク温度900℃、ピーク保持時間10分間焼成した。焼成炉に投入してから、焼成後の基板を排出するまでの総時間は60分であった。
導電ペースト1-1の無機成分の熱膨張係数は8.3ppm/K、導電ペースト2-1の無機成分の熱膨張係数は19.6ppm/Kであるため、空隙部を導電ペースト2-1によって緻密化された後の導電ビア部の熱膨張係数は、下記式(1A)から、12.8ppm/Kとなる。
導電ビア部の熱膨張係数(ppm/K)=(導電ペースト1中の無機成分の熱膨張係数)×[1-(導電ペースト1中の有機成分の体積割合)]+(導電ペースト2中の金属成分の熱膨張係数)×(導電ペースト1中の有機成分の体積割合)・・・(1A)
アルミナ基板の熱膨張係数は7.2ppm/Kであるため、絶縁性基板と導電ビア部との熱膨張係数の差は、5.6ppm/Kとなる。
導電ビア部の空隙率(ボイド率)、導電ビア部と基板との密着性、基板の耐クラック性を確認した。導電ペースト1-1に含有する有機成分(有機ビヒクル)は、乾燥、焼成時に、蒸発および分解により消失し、充填部にその体積分の空隙となるが、導電ペースト2-1が焼成時に溶融して充填部内部に侵入し、空隙を埋めるため、孔部内部は緻密化され、導電ビア部に空隙(ボイド)は見られなかった[空隙率(ボイド率)5%以下]。また、導電ビア部と孔部壁面との接合部との隙間はなく、密着性に優れていた。さらに、導電ビア部付近の基板のクラックにも変化は見られず、耐クラック性も優れていた。耐久信頼性評価でも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例2]
導電ペースト2-1の代わりに導電ペースト2-2(導電ペースト2に含まれる金属成分BがCu粒子とAg粒子との混合粉)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、5.0ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例3]
絶縁性基板として窒化アルミニウム基板((株)MARUWA製「170W」)を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、窒化アルミニウム基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、7.6ppm/Kであった。実施例2と同様に、初期評価での空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性はいずれも良好な結果(全てa判定)が得られた。実施例2よりも絶縁性基板と導電ビア部の熱膨張係数の差が大きく、収縮の影響で耐久信頼性評価では密着性が低下したが(b判定)、耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られ、総合判定では実用レベル(Bランク)であった。
[実施例4]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-2(導電ペースト1に含まれる無機成分AがW粒子およびAg粒子1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、5.8ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例5]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-3(導電ペースト1に含まれる無機成分AがMo粒子およびCu粒子1)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、5.6ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例6]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-4(導電ペースト1-1に対して活性金属粒子と易溶融金属粒子とを追加)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、6.1ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例7]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-5(導電ペースト1に含まれる無機成分AがW粒子)を用い、導電ペースト2-1の代わりに導電ペースト2-3(導電ペースト2に含まれる金属成分BがCu粒子2)を用い、焼成温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、2.1ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例8]
絶縁性基板として窒化アルミニウム基板((株)MARUWA製「170W」)を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、窒化アルミニウム基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、4.7ppm/Kであった。実施例1と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例9]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-8(導電ペースト1に含まれる無機成分の熱膨張係数が11.7ppm/K)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、7.6ppm/Kであった。実施例1と同様に、初期評価での空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性はいずれも良好な結果(全てa判定)が得られた。実施例1よりも絶縁性基板と導電ビア部の熱膨張係数の差が大きく、収縮の影響で耐久信頼性評価では密着性が低下したが(b判定)、耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られ、総合判定では実用レベル(Bランク)であった。
[実施例10]
導電ペースト1-4の代わりに導電ペースト1-9(導電ペースト1-4に対してシリカ粒子を追加)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、3.9ppm/Kであった。実施例6と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例11]
絶縁性基板として窒化アルミニウム基板((株)MARUWA製「170W」)を用いたこと以外は、実施例10と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、窒化アルミニウム基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、6.5ppm/Kであった。実施例10と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例12]
導電ペースト1-4の代わりに導電ペースト1-10(導電ペースト1に含まれる無機成分中の活性金属成分の割合を0.2体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、6.2ppm/Kであった。実施例6と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例13]
導電ペースト1-4の代わりに導電ペースト1-11(導電ペースト1に含まれる無機成分中の活性金属成分の割合を20.0体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、6.1ppm/Kであった。実施例6と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例14]
導電ペースト1-4の代わりに導電ペースト1-12(導電ペースト1に含まれる無機成分中の活性金属成分の割合を23.0体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、6.0ppm/Kであった。初期評価では、密着性、耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られたが、空隙率が大きくなった(b判定)。さらに、耐久信頼性評価でも耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られたが、密着性が低下し(b判定)、総合判定では実用レベル(Bランク)であった。導電ペースト1に含む活性金属成分の割合が多すぎると、焼結性が低下して、空隙率が大きくなったと思われる。
[実施例15]
導電ペースト1-4の代わりに導電ペースト1-13(導電ペースト1に含まれる無機成分中の金属成分Cの割合を2.0体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、5.8ppm/Kであった。実施例6と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例16]
導電ペースト1-14(導電ペースト1に含まれる無機成分中の金属成分Cの割合を18.0体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、7.0ppm/Kであった。実施例6と同様に、空隙率(ボイド率)、密着性、耐クラック性、耐久信頼性評価において、いずれも良好な結果(全てa判定)が得られた(Aランク)。
[実施例17]
導電ペースト1-15(導電ペースト1に含まれる無機成分中の金属成分Cの割合を20.0体積%に変更)を用いたこと以外は、実施例6と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、7.2ppm/Kであった。初期評価では、密着性、耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られたが、空隙率が大きくなった(b判定)。さらに、耐久信頼性評価でも耐クラック性は良好な結果(a判定)が得られたが、密着性が低下し(b判定)、総合判定では実用レベル(Bランク)であった。導電ペースト1に含む金属成分Cの割合が多すぎると、焼成時に溶融する金属成分Cによる導電ペースト2の流れ込みの封鎖が影響して、空隙率が大きくなったと思われる。
[比較例1]
導電ペースト1-1の代わりに導電ペースト1-6(導電ペースト1に含まれる無機成分AがCu粒子)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、10.5ppm/Kであった。実施例1~17とは異なり、低熱膨張高融点金属粒子を含まないため、絶縁性基板と導電ビア部との熱膨張係数の差が大きく、収縮の影響で密着性、耐クラック性が低下し(b判定)、耐久信頼性評価でも不合格(c判定)となった(Cランク)。
[比較例2]
導電ペースト1-6の代わりに導電ペースト1-7(導電ペースト1-6に対して活性金属粒子と易溶融金属粒子とを追加)を用いたこと以外は、比較例1と同様の方法でビア充填基板を作製した。このとき、アルミナ基板と導電ビア部の熱膨張係数の差は、10.5ppm/Kであった。比較例1に対して、初期評価で密着性は向上したものの、耐クラック性は向上せず、耐久信頼性評価でも不合格(c判定)となった(Cランク)。
[比較例3]
実施例1において、アルミナ基板の貫通孔を充填した導電ペースト1-1を900℃で焼成した後、充填部の上部表面に導電ペースト2-1を印刷して積層した状態で、再度900℃で焼成を行う方法(2段階の焼成)で、ビア充填基板を作製した。具体的には以下の方法でビア充填基板を作製した。
導電ペースト1-1を用いてアルミナ基板の貫通孔を充填して乾燥を行い、バフ研磨機にて表面の平坦化を行った後、ベルト式連続焼成炉にて窒素雰囲気中、ピーク温度900℃、ピーク保持時間10分間焼成した(焼成炉に投入してから、焼成後の基板を排出するまでの総時間は60分)。
その後、導電ペースト1-1で充填した孔部の一方の表面に導電ペースト2-1を印刷し、孔部表面に孔径より直径が0.2mm大きい導電ペースト2の円形パターンを形成した。導電ペースト2-1を印刷した基板を、100℃の送風乾燥機で10分間乾燥した。なお、孔径φ0.3mmの貫通孔に関しては、導電ペースト2-1を印刷、乾燥した後、さらに重ねて2回(合計3回)印刷した。
そして、導電ペースト2-1を印刷した面を基板の上部に位置させ、ベルト式連続焼成炉にて窒素雰囲気中、ピーク温度900℃、ピーク保持時間10分間で焼成した(焼成炉に投入してから、焼成後の基板を排出するまでの総時間は60分)。
その結果、実施例1とは異なり、初期評価で空隙率(ボイド率)や密着性が不合格(c判定)となった(Cランク)。この結果から、充填用導電ペースト(導電ペースト1-1)を焼成した状態で、積層用導電ペースト(導電ペースト2-1)を流し込んでも、充分に空隙を埋められないと云える。
[比較例4~7]
実施例1と比較例3との対比と同様に、実施例2および4~6に対して上記の2段階の焼成を行う方法でビア充填基板を作製した例を、それぞれ比較例4~7とした。比較例3だけでなく、比較例4~7においても、初期評価で空隙率(ボイド率)や密着性が不合格(c判定)となった(Cランク)。
これらの結果から、充填用導電ペーストを焼成した状態で、積層用導電ペーストを流し込む方法では、有機ビヒクルの揮発で生じた空隙が充分に埋まらず充填密度を高めることができないと云える。それに対して、充填用導電ペーストを焼成していない状態で、充填用導電ペーストと積層用導電ペーストとを積層して同時に焼成を行う本発明の方法では、有機ビヒクルの揮発で生じた空隙が充分に埋まり、緻密性(高密度充填)に優れるビア充填基板を得ることができる。
実施例1~17および比較例1~2の評価結果を表4および5に示し、比較例3~7の評価結果を表6および7に示す。
Figure 0007430670000004
Figure 0007430670000005
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本発明の製造方法で得られるビア充填基板は、回路基板、電子部品、半導体パッケージの基板などに利用できる。
1…絶縁性基板
1a…孔部
3…充填用導電ペースト
4…積層用導電ペースト
5…導電ビア部

Claims (6)

  1. 孔部を有する絶縁性基板の前記孔部に、無機成分Aおよび第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストを充填する充填工程、前記充填工程で前記孔部に充填された前記充填用導電ペーストの上に、金属成分Bおよび第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストを積層する積層工程、前記積層工程で得られた両導電ペーストを含む絶縁性基板を窒素雰囲気下で焼成する焼成工程を含むビア充填基板の製造方法であって、
    前記無機成分Aが、焼成温度を超える融点を有する高融点無機粒子であり、
    前記高融点無機粒子が、熱膨張係数の小さい低熱膨張高融点無機粒子を含み、かつ
    前記金属成分Bが、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子である製造方法。
  2. 前記無機成分Aの熱膨張係数および導電ビア部中の体積比率を、それぞれKaおよびVa、前記金属成分Bの熱膨張係数をKb、絶縁性基板の熱膨張係数をKxとしたとき、下記式(1)を充足する請求項1記載の製造方法。
    [Ka×Va+Kb×(1-Va)]-Kx≦7(ppm/K) (1)
  3. 前記低熱膨張高融点無機粒子が、W粒子および/またはMo粒子である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記無機成分Aが、Cu、Ag、Ni、Au、PtおよびPdからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属またはこの高融点金属を含む合金で形成された高融点金属粒子をさらに含む請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記充填用導電ペーストおよび前記積層用導電ペーストの少なくとも一方が、活性金属を含む活性金属成分を含み、かつ前記充填用導電ペーストおよび前記積層用導電ペーストの少なくとも一方が、前記難溶融金属粒子よりも低い融点を有する易溶融金属粒子である金属成分Cを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法でビア充填基板を製造するための導電ペーストのキットであって、焼成温度を超える融点を有する高融点無機粒子であり、かつ前記高融点無機粒子が、熱膨張係数の小さい低熱膨張高融点無機粒子を含む無機成分A、および第1の有機ビヒクルを含む充填用導電ペーストと、焼成温度よりも低い融点を有する難溶融金属粒子である金属成分B、および第2の有機ビヒクルを含む積層用導電ペーストとの組み合わせであるキット。
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