JP7430595B2 - Csg及びcsg工法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 令和2年8月5日、ウェブサイトのアドレス:https://confit.atlas.jp/guide/event-img/jsce2020/V-16/public/pdf?type=in(V-43 現地発生土の細粒分がセメント系材料の施工性に及ぼす影響)、https://confit.atlas.jp/guide/event-img/jsce2020/V-17/public/pdf?type=in(V-44 現地発生土の細粒分がセメント系材料の発熱特性に及ぼす影響)、https://confit.atlas.jp/guide/event-img/jsce2020/V-18/public/pdf?type=in(V-45現地発生土の細粒分がセメント系材料の鉱物組成に及ぼす影響)に掲載
本発明は、CSG及びCSG工法に関する。
油圧ショベルで掘削することにより得られる現地発生材(掘削土質材料)にセメントと水を添加混合し、これをダンプトラックで施工現場まで搬送し、ブルドーザで敷均し、振動ローラで締め固める(転圧する)ことにより構造物を構築するCSG工法が知られている。
特開2011-168977号公報
しかしながら、CSG工法では、現地発生材にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでに長時間を要する場合がある。本願発明者らは、このような場合、現地発生材にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでの時間が短い場合に比べて、締固め(転圧)後のCSGの締固め度が低くなり、構築した構造物の強度が低くなってしまうという課題を見出した。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、現地発生材にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでに長時間を要する場合に、締固め(転圧)後のCSGの締固め度の低下を抑制し、構造物の強度の低下を抑制することを目的とする。
本発明は、未洗浄の掘削土質材料と、セメントと、水と、セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含む、CSGであり、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量比は、1.0%を超える。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分となる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、40倍以下に設定される。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+30分~+90分、終結時間において+0分~+90分となる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、80倍以下に設定される。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分より長く、終結時間において+0分より長くなる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、120倍以下に設定される。
また、本発明は、掘削土質材料と、セメントと、水と、セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、掘削土質材料が、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が3%を超える、CSGであり、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量比は、1.0%を超える。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分となる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、40倍以下に設定される。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+30分~+90分、終結時間において+0分~+90分となる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、80倍以下に設定される。また、凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分より長く、終結時間において+0分より長くなる凝結遅延剤である場合、セメントの単位重量に対する凝結遅延剤の添加重量は、「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、120倍以下に設定される。
さらに、本発明は、上記CSGを転圧機によって転圧することにより締め固める、CSG工法である。
本発明によれば、掘削土質材料(現地発生材)にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでに長時間を要する場合に、締固め(転圧)後のCSGの締固め度の低下を抑制し、構造物の強度の低下を抑制することができる。
ダムの縦断面図である。 ダムを上流側から見た正面図である。 掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間(横軸)と、横軸で表す放置時間の経過後に締固め(転圧)を行った場合の締固め度(縦軸)と、の関係を示すグラフである。 掘削土質材料の締固め曲線を示す図である。 掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間(横軸)と、横軸で表す放置時間の経過後に締固め(転圧)を行った場合のピーク強度(縦軸)と、の関係を示すグラフである。 ダムの建設現場における掘削土質材料(現地発生材)の粒度分布を表す粒径加積曲線Pdの一例を示す図である。 図3に対応する図であり、凝結遅延剤を添加混合したCSGの締固め試験(実施例1)の結果を示すグラフである。 図3に対応する図であり、凝結遅延剤を添加混合したCSGの締固め試験(実施例2)の結果を示すグラフである。 図5に対応する図であり、凝結遅延剤を添加混合したCSGの圧縮試験の結果(実施例1)を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るCSG(Cemented Sand and Gravel)及びこのCSGを用いた構造物の構築方法であるCSG工法について説明する。本実施形態では、CSG工法により構築される構造物がダム101である場合について説明する。
図1及び図2を参照して、ダム101について説明する。図1はダム101の縦断面図であり、図2はダム101を上流側から見た正面図(図1において、ダム101を左側から見た図)である。図1に示すように、ダム101は、断面が台形状の台形ダムである。図2に示すように、ダム101は、左右の側面のそれぞれが岩盤102,103に岩着される。
本実施形態に係るダム101は、CSG工法により、台形状に盛り立てたCSGからなるダム本体部の表面を保護コンクリートで覆うことにより構築される。ダム本体部の材料であるCSGは、建設現場周辺で手近に得られる砂礫や岩塊等からなる掘削土質材料(現地発生材)に、水及びセメントを混合して製造される。なお、掘削土質材料に対しては、オーバーサイズのものを取り除いたり、破砕したりする処理がなされることはあるが、分級、粒度調整及び洗浄は基本的に行われない。このため、通常のコンクリートダムの建設で必要となる骨材製造設備や濁水処理設備などの設備が不要となる。CSGは、掘削土質材料にセメント及び水を添加混合したものであり、コンクリートの作製設備よりも簡易な設備で連続的に作製することができる。
CSG工法では、油圧ショベル等の掘削機械によって地山を掘削し、掘削土質材料(現地発生材)を採取する掘削工程と、掘削工程で採取された掘削土質材料にセメントと水を添加混合してCSG(混合材料)を作製するCSG作製工程と、CSG作製工程で作製されたCSGをダンプトラック等の搬送機械によって施工現場まで搬送する搬送工程と、搬送工程で搬送されたCSGをブルドーザ等の敷均し機械によって敷均す敷均し工程と、敷均し工程で敷均されたCSGを振動ローラ等の締固め機械(転圧機械)によって締め固める締固め工程(転圧する転圧工程)と、を繰り返すことにより、下から上へ、CSGを層状に積み上げてダム(構造物)101を構築する。なお、掘削工程とCSG作製工程との間において、必要に応じて、オーバーサイズのものを除去するオーバーサイズカットが行われる。また、締固め工程(転圧工程)の後には、CSG層の上流側及び下流側の側面を覆うように保護コンクリートを打設する打設工程が行われる。CSG層の1層の高さhは、75cm~100cm程度である。
図1及び図2では、簡易的に6層のCSG層からなるダム101を示している。CSG層は上層ほど上下流方向の長さが短く形成される。したがって、ダム101の上流側及び下流側の側面には、傾斜面または階段状に複数の段部が形成される。
ダム101を構成する各CSG層は、CSGを薄く広く敷均す、いわゆる、薄層まき出し方式によって構築されるものであって、例えば、層状に重ねられた下層、中間層、上層の3つの層が硬化することにより構築される。
具体的には、まず、ダンプトラックやコンベヤ、クレーン等の搬送機械によって施工現場まで搬送されたCSGをブルドーザ等の敷均し機械によって敷均すことによって締固められ、下層が形成される。
続いて、敷均された下層の上面に、搬送機械によりCSGが搬送され、搬送されたCSGを敷均し機械によって敷均すことによって締固められ、中間層が形成される。さらに、敷均された中間層の上面に、搬送機械によりCSGが搬送され、搬送されたCSGを敷均し機械によって敷均すことによって締固められ、上層が形成される。
そして、上層が形成された後、上層の表面が振動ローラ等の締固め機械(転圧機)によって転圧され、下層、中間層及び上層は締め固められる。つまり、CSG層を構築する複数の層のうち最も上に敷均される層は、敷均し機械によって敷均された後、締固め機械によって転圧され、締め固められる。なお、下層及び中間層についても、上層と同様に、敷均し機械によって敷均された後、締固め機械によって転圧され、締め固められてもよい。
このようにして形成される下層、中間層及び上層の高さは、それぞれ10cm~30cm程度であり、CSG層の1層の高さhは、75cm~100cm程度に設定される。
このような作業を繰り返して、下から上へとCSG層を層状に積み上げることによってダム101は構築される。
ここで、上述のCSG工法では、掘削土質材料(現地発生材)にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでに長時間(例えば、最大6時間程度)を要する場合がある。また、上述のように、CSG層が複数層で構成される場合、特に、最も下の層が敷均し機械によって敷均されてから、または、中間層及び上層が敷均されてから、振動ローラ等の締固め機械(転圧機)によって転圧されるまで、比較的長い時間を要することになる。しかしながら、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでの時間(放置時間)が長い場合、CSGの締固め度の低下に伴い、ピーク強度が低下するという問題がある。以下、詳しく説明する。
図3は、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間t(横軸)と、横軸で表す放置時間tの経過後に締固め(転圧)を行った場合の締固め度(縦軸)と、の関係を示すグラフである。図3に示す締固め度は、放置時間tの経過後に締め固めた混合材料(CSG)の乾燥密度ρdと、理論上の最大乾燥密度ρdmaxとの比である((ρd/ρdmax)×100[%])。
図4を参照して、理論上の最大乾燥密度ρdmaxについて説明する。図4は、掘削土質材料の締固め曲線Cを示す図であり、横軸は含水比w、縦軸は乾燥密度ρdを表している。締固め曲線Cは、掘削土質材料を締め固めた場合の乾燥密度ρdと含水比wとの関係を示す曲線である。締固め曲線Cは、掘削土質材料を所定容積の容器において、一定の衝撃エネルギーを与えて締め固める締固め試験を、含水比wを変えながら行い、締め固めた掘削土質材料の乾燥密度ρdを含水比wに対してプロットすることにより得られる。この締固め曲線Cは、JIS A 1210:2009「突固めによる土の締固め試験方法」に従う締固め試験によって求めることができる。締固め曲線Cから、乾燥密度ρdの最大値である最大乾燥密度ρdmaxと、最大乾燥密度ρdmaxが得られる含水比、すなわち最も効率的に締固め得る含水比である最適含水比woptと、が求められる。本実施形態では、このようにして求められた掘削土質材料の最大乾燥密度ρdmaxを、CSGの理論上の最大乾燥密度、すなわち、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間t=0のときの最大乾燥密度とする。
図3に示す締固め度は、CSGの理論上の最大乾燥密度ρdmaxと、放置時間tの経過後に締め固めた混合材料(CSG)の乾燥密度ρdと、から求められる。なお、締め固めた混合材料(CSG)の乾燥密度ρdは、掘削土質材料にセメントと水を添加混合した混合材料(CSG)を所定時間放置した後に、所定容積の容器において、一定の衝撃エネルギーを与えて締め固める締固め試験(JIS A 1210:2009に従う試験)を行うことにより得られる。
発明者は、図3に示すように、締固め度は、放置時間tが長くなるほど低下することを発見した。この現象はコンクリートの締固めでは生じない現象であり、未洗浄の掘削土質材料や掘削土質材料が、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が、掘削土質材料全体の例えば3%、4%、5%、10%を超えるほどに生じる現象であった。したがって、これは、掘削土質材料にセメントと水を添加混合することにより、セメントと水が反応する凝結反応が進むことに起因すると仮定した。なお、コンクリート用骨材であれば、主に微粒分は細骨材に含まれ、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率は最大でも5%前後であり、掘削土質材料全体であると、3%以下となる。このようなコンクリート骨材(細骨材)を使用したコンクリートは締固め度の低下は小さかった。
この発見を検証するために追加の試験を行った。以下、図4に示すように、掘削土質材料にセメントと水を添加混合することにより、混合直後の含水比wがw1であり、乾燥密度ρdがρ0である混合材料(CSG)が作製された場合(S1参照)を例に説明する。掘削土質材料にセメントと水を添加混合した後、直ちにその材料に対して締固め(転圧)を行うと、理論的には曲線C上の乾燥密度ρ2まで乾燥密度ρdが上昇することになる(S4参照)。なお、締固め(転圧)の条件は、上記締固め曲線Cを得るときの条件と同じである。
一方、掘削土質材料にセメントと水を添加混合した後、所定の時間だけ放置される場合、セメントと水が反応する凝結反応(水和反応)によって混合材料中の自由水が奪われる。このため、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの時間の経過とともに含水比wが低下する(S2参照)。締固め曲線Cから分かるように、掘削土質材料は、最適含水比woptよりも低い含水比wでは、含水比wが小さいほど乾燥密度ρdが小さくなる。このため、セメントの凝結反応(水和反応)により自由水が減少することは、締固め(転圧)後の乾燥密度ρdの低下の要因となると仮定した。
さらに、掘削土質材料にセメント及び水を添加混合した混合材料には、セメントの凝結反応(水和反応)によってセメントゲルと呼ばれる小さな結晶が互いに絡まりあってなる網状構造物が形成される。セメントゲルの網状構造物は時間とともにサイズが大きくなり、形状も複雑化する。このようなセメントゲルの網状構造物が形成されると、混合材料(CSG)を締固め(転圧)した場合に空隙を埋めにくくなるため、混合材料(CSG)の乾燥密度ρdを十分に上昇させることができない(S3参照)。例えば、含水比wがw0まで低下した状態で締固め(転圧)をした場合の乾燥密度ρdは、上記乾燥密度ρ2及び含水比w0における締固め曲線C上の乾燥密度よりも低いρ1となる。
このように、セメントの凝結反応(水和反応)に起因して含水比wが低下するとともにセメントゲルの網状構造物が形成された混合材料(S2参照)に対し、締固め(転圧)を行った場合には、乾燥密度ρdを十分に高めることができないおそれがある(S3参照)と仮定した。したがって、図3に示すように、放置時間tが長いほど締固め度が低下するのは、放置時間tが長いほどセメントの凝結反応(水和反応)により自由水が減少し、さらに、セメントゲルの網状構造物の形成が進むことが主な原因と仮定した。
図5は、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間t(横軸)と、横軸で表す放置時間tの経過後に締固め(転圧)を行った場合のピーク強度(縦軸)と、の関係を示すグラフである。
ピーク強度(圧縮強度)は、材齢28日の混合材料に対し、JIS A 1108:1999「コンクリートの圧縮強度試験方法」に従う圧縮強度試験を行うことにより求めた。圧縮強度試験では、コアドリルを用いて円柱形のコアを切り取って採取し、採取したコア供試体に圧縮力を載荷する。供試体の変位量と載荷荷重に基づき応力ひずみ曲線を求め、応力ひずみ曲線の最大値をピーク強度とした。
図3に示したように、締固め度は、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間tが長くなるほど低下する。このため、図5に示すように、ピーク強度も、掘削土質材料にセメントと水を添加混合してからの放置時間tが長くなるほど低下する。
以上のとおり、図3及び図5の試験結果から、掘削土質材料(現地発生材)にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでの放置時間tが長い場合、放置時間tが短い場合に比べて、締め固めた(転圧した)後の混合材料(CSG)の締固め度が低くなり、構築した構造物(ダム等)の強度が低くなってしまうことが分かる。
ここで、掘削土質材料(現地発生材)に添加する水の量を増加させることにより、混合材料(CSG)の締固め度及びピーク強度の低下を抑制することが考えられる。しかしながら、掘削土質材料(現地発生材)にセメントと水を添加混合してからの放置時間tが長くなることに起因する締固め度及びピーク強度の低下は、混合材料中の自由水の減少のみが原因ではない。このため、掘削土質材料(現地発生材)に添加する水の量を増加させるだけでは、締固め度及びピーク強度の低下を効果的に抑制することができないおそれがある。
本実施形態では、凝結遅延剤によってセメントの凝結反応を遅延させることにより、自由水の減少及びセメントゲルの網状構造物の形成を遅延させることにより、締固め度及びピーク強度の低下を抑制する。凝結遅延剤は、上記CSG作製工程において、掘削土質材料に対し、セメント及び水とともに添加される。セメントとしては、ポルトランドセメント、混合セメント、特殊セメントがあるが、CSG及びCSG工法にはポルトランドセメントや混合セメント(高炉セメントやフライアッシュセメント等)が用いられる。特に、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント(B種)、ポルトランドセメントにフライアッシュを混合したものや、中庸熱ポルトランドセメントにフライアッシュセメントを混合したものが好ましい。
本実施形態に係るCSGは、未洗浄の掘削土質材料と、セメントと、水と、セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含む。未洗浄の掘削土質材料は、必要に応じてオーバーサイズの除去などによって最大粒径(80mm)以下に調整した材料(CSG材)であって、かつ、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法5mmを通る、未洗浄の土質材料を含む。
凝結遅延剤は、コンクリートの品質を経済的に改善する効果に優れたコンクリート用化学混和剤であり、コンクリートの凝結や初期硬化の遅延を目的として用いられる。凝結遅延剤には、例えば、珪弗化物を主成分として遅延作用を有する凝結遅延剤、従来よりも長時間の凝結遅延を目的としたオキシカルボン酸塩を主成分とする凝結遅延剤がある。リグニンスルホン酸塩やオキシカルボン酸塩は、セメント粒子表面に吸着し、セメントと水との接触を一時的に遮断することにより、初期水和反応を遅らせる。凝結遅延剤は、セメントの凝結反応を遅延させる種々の薬剤から選択することができる。凝結遅延剤として具体的には、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸塩、オキシカルボン酸塩、超微粒子アクリルポリマーエマルション、オキシカルボン酸系化合物、ポリヒドロキシカルボン酸、リグニンスルホン酸塩、及び、これらの成分を含む複合体(例えば、変性リグニンスルホン酸化合物とオキシカルボン酸化合物の複合体)のうちのいずれかを主成分とする薬剤を選択することができる。
また、凝結遅延剤は、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に従う混和剤であって、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分よりも長く、または、終結時間において+0分よりも長い特性を有するものを選択することが好ましい。更には、始発時間において+30分よりも長く、かつ、終結時間において+0分よりも長い特性を有するものを選択することが好ましい。上限値は、始発時間において+90分より小さく、終結時間において+90分より小さいことが好ましい。また、始発時間において+210より小さく、終結時間において+210分より小さいことが更に好ましい。
例えば、凝結遅延剤として、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に従う混和剤であって、減水剤遅延形、AE減水剤遅延形、高性能AE減水剤遅延形、流動化剤遅延形のいずれかに分類される混和剤の中から選択することができる。なお、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」では、これらのコンクリート用化学混和剤(凝結遅延剤)のJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分は、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分と定められている。また、凝結遅延剤として、セメントの凝結反応(水和反応)を一時的に停止させ、より長時間に亘って凝結を遅延させた後、再び反応が開始するような性質を有する、いわゆる超遅延剤を選択することもできる。凝結遅延剤と超遅延剤のいずれの場合も、凝結を遅延させた後は徐々に水和反応が進行する。
ところで、コンクリートを用いて構造物を構築する場合、水和反応によりセメントが凝結硬化する前に、コンクリートを所定形状の型枠に注入し型枠全体に隙間なく充填させるために、凝結遅延剤が用いられることがある。この場合、コンクリートに添加混合する凝結遅延剤は、セメント量比で約0.2~1.0%の範囲で使用される。
これに対し、本実施形態では、掘削土質材料(現地発生材)に水及びセメントを混合してなるCSGに凝結遅延剤を添加する。図6は、ダム101の建設現場における掘削土質材料(現地発生材)の粒度分布を表す粒径加積曲線Pdの一例を示す図である。なお、図6中の一点鎖線で示される曲線は、一般的なレディーミクストコンクリート用の骨材の粒度範囲を示したものである。
図6において実線で示すように、掘削土質材料(現地発生材)は、基本的に洗浄が行われないため、一般的なレディーミクストコンクリート用の骨材(一点鎖線参照)に比べて微粒分が多く含まれる傾向にある。微粒分が多く含まれると、微粒分に吸収される水の量が増加するため、微粒分が多いほど掘削土質材料(現地発生材)の自由水が減少しやすくなる。
本実施形態では、コンクリートに比べて、微粒分が多い掘削土質材料(現地発生材)を含むCSGに凝結遅延剤を添加する。このため、本実施形態では、CSGに添加する凝結遅延剤の添加量を、コンクリートにおいて使用する場合の通常範囲(セメント量比で0.2~1.0%)よりも多くすることにより、効果的にセメントの凝結反応を遅延させるようにした。
なお、一般的なレディーミクストコンクリート用骨材では、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]は、混合後の材料全体に対し、2%程度以下であり微粒分が少ない。これに対して、本実施形態で使用される微粒分が多い掘削土質材料とは、現地発生材を未洗浄で使用することを基本とする。ただし、現地発生材でない土質材料が一部に含まれていたり、洗浄された土質材料が含まれていたりしたら使用できないというものではない。具体的な粒度に関しては、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]が、掘削土質材料全体に対し、3%を超えるものである。更には、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]の下限は、掘削土質材料全体に対し4%を超えるもの、5%を超えるもの、10%を超えるもの、25%を超えるものを対象としている。一方で、掘削土質材料は、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]の上限は、掘削土質材料全体に対し35%以下、好ましくは30%以下を想定している。
また、現地発生材を使用することを基本としていることから、使用される掘削土質材料は、レディーミクスト用のコンクリート骨材と比較してバラツキが大きい。したがって、使用される掘削土質材料の微粒分については、一時的にはまた一部には上記各値よりも小さいものや大きいものが含まれる場合があってもよい。
(実施例)
ダム(構造物)101を構築する実際の現場において採取した掘削土質材料(現地発生材)に凝結遅延剤を添加し、締固め試験(JIS A 1210:2009に準じる)及び圧縮強度試験(JIS A 1108:1999に準じる)を実施し、凝結遅延剤による効果の検証を行った。本試験における混合後の材料(CSG)に含まれる1m3当たりの水量及びセメント量は表1の通りである。なお、CSGのうち、水とセメントを除いたものは、掘削土質材料として配合設計される。また、本試験で使用した凝結遅延剤は、「フローリックT(フローリックは登録商標)」(株式会社フローリック製)を表1の割合で、添加した。「フローリックT」は、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+95分程度であり、終結時間において+100分程度である。なお、凝結遅延剤の添加量は、単位セメント量Cに対する比率(すなわち、セメント比)で示している。なお、配合設計は周知の方法によってなされる。また、本実施形態における、掘削土質材料は未洗浄であり、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]が、大部分は掘削土質材料全体に対し3%を超えて15%以下であった。また、本試験において使用した掘削土質材料では、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率[%]は掘削土質材料全体の8%を超えて10%以下であった。
1m3のCSGに含まれる単位セメント量C(kg/m3)の範囲は、50kg/m3(下限値)以上、200kg/m3(上限値)以下、好ましくは80kg/m3(下限値)以上、130kg/m3(上限値)以下、である。単位水量W(kg/m3)は、50kg/m3(下限値)以上、200kg/m3(上限値)以下、好ましくは80kg/m3(下限値)以上、130kg/m3(上限値)以下、更に好ましくは、90kg/m3(下限値)以上、120kg/m3(上限値)以下である。水セメント比(W/C)は0.70(下限値)以上、1.50(上限値)以下、好ましくは、0.80(下限値)以上、1.20(上限値)以下である。
図7A及び図7Bは、図3に対応する図であり、凝結遅延剤を添加混合したCSGの締固め試験の結果を示すグラフである。図7Aに示すように、凝結遅延剤を添加した試験結果(実施例1)では、凝結遅延剤を添加していない試験結果(参考例1)に比べて、締固め度を高くできることが確認できた。また、凝結遅延剤を添加することによる締固め度の低下の抑制効果は、放置時間tが長くなるほど大きくなることが確認できた。同様に、単位セメント量Cが異なる試験結果(実施例2)においても、図7Bに示すように、凝結遅延剤を添加していない試験結果(参考例2)に比べて、締固め度を高くできることが確認できた。
凝結遅延剤を単位セメント量Cに対して2%添加することにより、水、セメント及び凝結遅延剤を添加混合してからの時間が360分を経過した後に、締固め(転圧)試験を行った場合の締固め度は、特に、図7Aに示すように98[%]を超えており、好ましい締固め度である90[%]以上となっており、十分な締固め度が得られることが確認できた。なお、凝結遅延剤の添加量は、多いほど締固め度の低下の抑制効果が高くなることが予想される。このため、凝結遅延剤は、例えば、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分となる凝結遅延剤である場合、単位セメント量Cに対して2%以上(2%相当量以上)を添加することが好ましいといえ、少なくとも、単位セメント量Cに対して1.5%以上(1.5%相当量以上)を添加することが好ましい。
このように単位セメント量Cに対する比率で示される凝結遅延剤(コンクリート用化学混和剤)の添加量は、以下のような手順によって具体的な添加重量(kg/m3)を定めることが好ましい。なお、以下の手順は一例であって、添加量を定める手順は、これに限定されるものではない。
まず、JIS R 5201:2015「セメント物理試験」に規定されるモルタルであって、質量配合がセメント(普通ポルトランドセメント):標準砂:水=1:3:0.5のモルタルにおいて、その単位セメント量に対して所定の試験重量比(X%)の凝結遅延剤を添加する。そして、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に規定される試験を行う。
この凝結時間試験において、凝結時間の差分が、始発時間で+60分~+210分、かつ、終結時間で+0分~210分となった凝結遅延剤(混和剤)をCSGに添加する場合、CSGの単位セメント量Cに対するこの凝結遅延剤の添加重量比(%)は、試験重量比(X%)の0.5倍(下限値)以上、40倍(上限値)以下、好ましくは、1.0倍(下限値)以上、20倍(上限値)以下、更に好ましくは1.5倍(下限値)以上、15倍(上限値)以下に設定される。
そして、凝結遅延剤が添加された上記質量配合比のモルタルを用いた凝結時間試験において、凝結時間の差分が、始発時間で+60分~+210分、かつ、終結時間で+0分~210分となったときの凝結遅延剤の試験重量比(X%)が、例えば、1.0%であったなら、単位セメント量Cが100kg/m3であるCSGに対して添加される凝結遅延剤の添加重量(kg/m3)は、0.5kg/m3(下限値)以上、40kg/m3(上限値)以下、好ましくは1.0kg/m3(下限値)以上、20kg/m3(上限値)以下、更に好ましくは1.5kg/m3(下限値)以上、15kg/m3(上限値)以下、に設定される。
一方、上述の凝結時間試験において、凝結時間の差分が比較的小さく、例えば、始発時間で+30分~+90分、かつ、終結時間で+0分~90分となった凝結遅延剤(混和剤)をCSGに添加する場合、CSGの単位セメント量Cに対するこの凝結遅延剤の添加重量比(%)は、試験重量比(X%)の0.5倍(下限値)以上、80倍(上限値)以下、好ましくは、1.0倍(下限値)以上、40倍(上限値)以下に設定される。
また、上述の凝結時間試験において、凝結時間の差分がさらに小さく、例えば、始発時間で+15分より長く、かつ、終結時間で+0分より長くなった凝結遅延剤(混和剤)をCSGに添加する場合、CSGの単位セメント量Cに対するこの凝結遅延剤の添加重量比(%)は、試験重量比(X%)の0.5倍(下限値)以上、120倍(上限値)以下、好ましくは、1.0倍(下限値)以上、60倍(上限値)以下に設定される。
このように、CSGに添加される凝結遅延剤は、上記質量配合比のモルタルに添加された状態において測定された凝結時間に、ある程度の遅れが生じていることが確認されたコンクリート用化学混和剤であればよい。また、CSGの単位セメント量Cに対する添加重量比(%)は、確認された凝結時間の遅れの程度に応じて変更してもよく、例えば、添加重量比(%)の上限を、凝結時間の遅れが大きい凝結遅延剤ほど小さくし、凝結時間の遅れが小さい凝結遅延剤ほど大きくしてもよい。これにより、凝結時間の遅れが比較的大きい凝結遅延剤を用いる場合には、CSGへの凝結遅延剤の添加量を減らすことによって、構造物の施工コストの上昇を抑制することができる。
また、凝結時間の差分は、温度が高いほど小さくなり、温度が低いほど大きくなる傾向があることから、CSGの単位セメント量に対する添加重量比(%)は、環境温度や日平均気温によって補正される。具体的には、環境温度や気温が高くなった場合には、凝結遅延剤の添加量を増加し、環境温度や気温が低くなった場合には、凝結遅延剤の添加量を減少させる。これにより、例えば、平均気温が低い日が続くと予想される場合には、CSGへの凝結遅延剤の添加量を減らすことによって、構造物の施工コストを低減させることができ、また、平均気温が高い日が続くと予想される場合には、CSGへの凝結遅延剤の添加量を増やすことによって、締固め後のCSGの締固め度の低下を確実に抑制することができる。
図8は、図5に対応する図であり、凝結遅延剤を添加混合したCSGの圧縮試験の結果を示すグラフである。図8に示すように、凝結遅延剤を添加した試験結果(実施例1)は、凝結遅延剤を添加していない試験結果(参考例1)に比べて、ピーク強度を高くできることが確認できた。また、凝結遅延剤は、単位セメント量Cに対して2%添加することにより、水、セメント及び凝結遅延剤を添加混合してからの時間が360分を経過した後に圧縮試験を行った場合のピーク強度は放置時間が30分のときよりも高い値を示しており、十分なピーク強度が得られることが確認できた。このような点からも、凝結遅延剤は、単位セメント量Cに対して2%以上(2%相当量以上)を添加することが好ましいといえる。同様に、単位セメント量Cが異なる試験結果(実施例2)においても、凝結遅延剤を添加していない試験結果(参考例2)に比べて、ピーク強度を高くできることが確認される。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
本実施形態に係るCSGは、掘削土質材料と、セメントと、水と、セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含む。凝結遅延剤により、CSGに含まれるセメントの凝結反応を遅延させることにより、自由水の減少とセメントゲルの網状構造物の形成を抑制することができる。したがって、掘削土質材料(現地発生材)にセメントと水を添加混合してから締固め(転圧)に至るまでに長時間を要する場合や複数層で構成されるCSG層内の最下層のように敷均し機械によって敷均されてから締固め機械(転圧機)によって中間層及び上層とともに転圧されるまでに比較的長い時間を要する場合であっても、締固め後(転圧後)のCSGの締固め度の低下を抑制することができ、締固め特性の品質を確保することができる。その結果、ダム(構造物)101の強度(ピーク強度)の低下を抑制することができる。
特に、掘削土質材料(現地発生材)は、基本的には洗浄がなされない未洗浄の掘削土質材料であるため、微粒分を多く含む。具体的には、掘削土質材料は、JIS A 1204:2009「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が掘削土質材料全体に対して3%を超え、好ましくは5%を超える。このように、微粒分が多く含まれる掘削土質材料では、微粒分に水が吸収されることにより、コンクリートに比べて自由水が減少しやすい。本実施形態では、上述したように、コンクリートにおいて通常使用される範囲を超える量(例えば、単位セメント量Cに対し2%以上)の凝結遅延剤を添加することにより、セメントの凝結反応を効果的に遅延させ、自由水の減少とセメントゲルの網状構造物の形成を抑制するようにした。このため、微粒分を多く含むCSGにおいて、締固め(転圧)後のCSGの締固め度及びピーク強度の低下を抑制することができる。
<変形例1>
上記実施形態では、掘削土質材料が未洗浄である例について説明したが、一部、洗浄を施した掘削土質材料が混在していてもよい。少なくとも、CSGに未洗浄の掘削土質材料が含まれていればよい。
<変形例2>
上記実施形態では、CSG工法により構築される構築物がダム101である場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、凝結遅延剤が添加混合されたCSGを用いた種々の構造物を構築するCSG工法に適用することができる。
<変形例3>
上記実施形態では、凝結遅延剤として、JIS A 6204:2011「コンクリート用化学混和剤」に従い、減水剤遅延形、AE減水剤遅延形、高性能AE減水剤遅延形、流動化剤遅延形のいずれかに分類される混和剤、あるいは超遅延剤といった、セメントの凝結反応を積極的に遅延させるものが選択される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。減水剤標準形、AE減水剤標準形、高性能AE減水剤標準形、流動化剤標準形のうち、セメントの凝結反応がそれらを添加しない場合に比べて遅延させることができるものを選択することもできる。例えば、減水剤標準形、AE減水剤標準形、高性能AE減水剤標準形、流動化剤標準形のうち、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分よりも長く、かつ、終結時間において+0分よりも長いものを選択し、CSGに添加してもよい。これにより、選択した凝結遅延剤を添加しない場合に比べて、締固め度及びピーク強度の時間の経過に伴う低下を抑制することができる。なお、JIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」における、1m3当たりの化学混和剤の使用量は、製造会社の推奨する量を参考にして決めてもよい。ただし、製造会社の推奨する量が不明である場合や製造会社が推奨する量と実際の使用量が異なる場合等は、CSGに添加される単位セメント量Cに対する実際の混和剤の添加率を使用量として「コンクリートの凝結時間試験方法」の試験を行うことがよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
101・・・ダム(構造物)

Claims (11)

  1. 未洗浄の掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量比は、1.0%を超える、
    CSG。
  2. 未洗浄の掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分となる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、40倍以下に設定される、
    CSG。
  3. 未洗浄の掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+30分~+90分、終結時間において+0分~+90分となる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、80倍以下に設定される、
    CSG。
  4. 未洗浄の掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分より長く、終結時間において+0分より長くなる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、120倍以下に設定される、
    CSG。
  5. 掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記掘削土質材料は、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が3%を超え、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量比は、1.0%を超える、
    CSG。
  6. 掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記掘削土質材料は、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が3%を超え、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+60分~+210分、終結時間において+0分~+210分となる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、40倍以下に設定される、
    CSG。
  7. 掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記掘削土質材料は、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が3%を超え、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+30分~+90分、終結時間において+0分~+90分となる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、80倍以下に設定される、
    CSG。
  8. 掘削土質材料と、
    セメントと、
    水と、
    前記セメントの凝結反応を遅延させる作用を有する凝結遅延剤と、を含み、
    前記掘削土質材料は、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法0.15mmを通るものの質量分率が3%を超え、
    前記凝結遅延剤がJIS A 1147:2019「コンクリートの凝結時間試験方法」に従うセメントの凝結時間の差分が、始発時間において+15分より長く、終結時間において+0分より長くなる凝結遅延剤である場合、
    前記セメントの単位重量に対する前記凝結遅延剤の添加重量は、
    前記「コンクリート凝結時間試験方法」に用いられるモルタルのポルトランドセメントの単位セメント量に対して添加された所定の試験重量比の1.0倍を超え、120倍以下に設定される、
    CSG。
  9. 前記凝結遅延剤は、JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」に従い、減水剤遅延形、AE減水剤遅延形、高性能AE減水剤遅延形、流動化剤遅延形のいずれかに分類される混和剤である、
    請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のCSG。
  10. 前記掘削土質材料は、JIS A 1204「土の粒度試験方法」に従う、ふるいの呼び寸法5mmを通る土質材料を含む、
    請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のCSG。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のCSGを転圧機によって転圧することにより締め固める、CSG工法。
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