JP3464272B2 - マスコンクリートの施工方法 - Google Patents

マスコンクリートの施工方法

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JP3464272B2 JP09764894A JP9764894A JP3464272B2 JP 3464272 B2 JP3464272 B2 JP 3464272B2 JP 09764894 A JP09764894 A JP 09764894A JP 9764894 A JP9764894 A JP 9764894A JP 3464272 B2 JP3464272 B2 JP 3464272B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マスコンクリートの施
工方法に関し、特にポンプ圧送により、寸法の大きい粗
骨材を含有するマスコンクリート構造物構築用コンクリ
ートを施工現場まで運搬してマスコンクリートを施工す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダムのような河川、湖沼、海洋等の護岸
構造物、ビルや橋梁等の基礎構造物および橋脚や沈埋凾
等の中詰コンクリート構造物等のマスコンクリート構造
物の構築に用いられるコンクリートは、最大寸法が40
〜150mmであるような粗骨材を含有しており、この
ようなコンクリートを用いてマスコンクリートを施工す
る方法としては、従来主として次の2つの方法が知られ
ている。
【0003】以下、マスコンクリート構造物の代表的な
ものとして主としてコンクリートダムを例に挙げて本発
明を説明するが、本発明が対象とするコンクリート構造
物は勿論、このコンクリートダムに限定されない。
【0004】上記方法のうちの1つは、コンクリートが
硬化するときに生ずる水和熱の放散を容易にするために
堤体面を幾つかのブロックに分割して、その各ブロック
に打設時期をずらしながら、スランプが数cmのコンク
リートを順次打ち込み、その打ち込まれたコンクリート
を棒状バイブレータを用いて締め固めることによってダ
ムコンクリートを施工するブロック工法と言われるもの
で、従来大部分のコンクリートダムにおいて採用されて
きた。
【0005】もう1つの方法は堤体幅の広いコンクリー
トダムの構築を対象として近年開発されたレアー工法と
言われる方法であって、コンクリートの水和熱が短時間
で大量に発生するのを避けるためにスランプゼロのコン
クリートを薄層の形で堤体全面に敷設した後、振動ロー
ラで締め固めるという一連の工程を上記堤体全面で順に
繰り返すことによってマスコンクリートを施工する方法
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの施工方法にお
いては、コンクリートをダムの施工現場まで運搬するた
めにケーブルクレーンを必要とするので、その設置費用
がかかる上に、これの設置に伴って環境破壊が生じ、ま
た運搬能率が悪いという問題がある。
【0007】これらの方法においてはまた、ブリージン
グなどにより上下方向にコンクリートの品質にばらつき
が生じやすいため、十分な振動締固めが必要とされ、さ
らに、満足な接合強度をもって新旧コンクリートの一体
化を図るためには打継時における旧コンクリート表面の
グリーンカット処理または旧コンクリート表面へのモル
タル敷設も必要となり、これらの作業は注意深く入念に
行なわれなければならず、これに伴って最近の熟練労働
者の不足や省力化推進が問題となる。
【0008】また、前者の方法においては、工期が長く
なるという問題がある。後者の方法においては、工期は
比較的短くてすむが、堤体幅の狭い頂部を施工する際に
は、底部で使った大型機械をそのまま使うことが困難で
あり、また、国内に数多くある施工面積が狭い中小規模
のコンクリートダムの構築には向いていないという問題
がある。
【0009】一方、コンクリートの運搬能率を改善する
ため、コンクリートをポンプ圧送することも試みられて
きたけれども、40〜150mmの最大寸法を有する粗
骨材が含まれているダム用のコンクリートをポンプ圧送
するためには機械が大型化しやすく、また、最大寸法が
25mm以下の粗骨材を含む一般のコンクリートよりも
高い圧力で圧送しなければならないため、水の分離が生
じやすくなって、配管内で閉塞が起こりやすくなり、従
ってコンクリートを施工現場までポンプ圧送する方法
は、コンクリートの運搬能率を改善して作業能率を向上
させるのに有効であることは認められながらも、その実
用化を満足させる技術は未だ開発されていない。
【0010】また、一般のコンクリートの中には、減水
剤、AE剤、AE減水剤または高性能減水剤と、発泡性
の低いセルロース系増粘剤または低粘度のアクリル系増
粘剤とを併用することによって、流動性および材料分離
抵抗性を改善したものがある(特開平5−147995
号)。しかし、ダム用のコンクリートには、最大寸法が
40〜150mmに達する粗骨材が含まれていて、この
ようなコンクリートは一般のコンクリートよりも材料分
離が生じやすいため、上記のような方法によって、流動
性および材料分離抵抗性が一般のコンクリートと同じ位
優れているダム用コンクリートを製造できるとは考えら
れていなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の状況
に鑑みて種々研究を重ねた結果、 (1)高性能減水剤および高性能AE減水剤のいずれか
一方または双方と増粘剤とを生コンクリート中に含有さ
せて、40mmメッシュ篩で40mmを越える寸法の粗
骨材を除いた後のスランプフローが40〜70cmとな
るようにすると、上記生コンクリート中に含まれている
粗骨材の最大寸法が40〜150mmに達していても、
この生コンクリートの流動性および高圧を受けたときの
変形能力並びに材料分離抵抗性が改善される結果、
(i)生コンクリートが、上記のような寸法の大きい粗
骨材を含有するマスコンクリート構造物構築用のコンク
リートであっても、配管内で閉塞を起こすことなくポン
プで圧送することが容易となって、生コンクリートの運
搬能率、したがってマスコンクリートの施工能率を向上
できること、(ii)上記生コンクリートは僅かな振動締
固めを施すか、または振動締固めを全く施さないでもレ
アー工法により上下方向に品質のバラツキが少ない十分
実用に耐える硬化コンクリートを生ずること、および
(iii)このような生コンクリートをレアー工法で打設し
てマスコンクリートを施工する場合には、打継のための
グリーンカット処理およびモルタル敷設のいずれか一方
または双方を省いても打継部で十分な強度を有するコン
クリート構造物を構築できること、ならびに (2)上記のように特性が改善された生コンクリート
(高流動性コンクリート)にさらに、減水剤、AE剤、
AE減水剤、フライアッシュ、微粉スラグおよび微石粉
のうちの1種または2種以上の混和材料を加えると、高
流動性コンクリートの流動性および材料分離抵抗性が一
層改善されることを見出した。
【0012】本発明は、上記知見に基づいて発明された
もので、生コンクリートが最大寸法が40〜150mm
に及ぶような大きい粗骨材を含有するマスコンクリート
構造物構築用のコンクリートであっても、ポンプ圧送工
法およびレアー工法を利用して、打設時に振動締固めを
殆どまたは全く施すことなく、十分な強度と品質を備え
たマスコンクリート構造物を構築するためのコンクリー
トの施工方法を提供することを目的とし、(1)粗骨材
として最大寸法が40〜150mmである粗骨材を含む
マスコンクリート構造物構築用コンクリートであって、
高性能減水剤および高性能AE減水剤のいずれか一方ま
たは双方と増粘剤とを含有し、かつ40mmメッシュ篩
で40mmを越える寸法の粗骨材を除いた後のモルタル
のスランプフローが40〜70cmである高流動性コン
クリートをポンプで圧送して施工現場まで運搬し、つい
でこのコンクリートに軽微な振動締固めを施すか、また
は振動締固めを全く施さないでレアー工法により上記コ
ンクリートを打設することを特徴とするマスコンクリー
トの施工方法、および(2)高流動性コンクリートが、
高性能減水剤および高性能AE減水剤のいずれか一方ま
たは双方と増粘剤とのほかに、さらに、減水剤、AE
剤、AE減水剤、フライアッシュ、微粉スラグおよび微
石粉からなる群から選ばれる1種または2種以上の混和
材料を含有するマスコンクリートの施工方法に係るもの
である。
【0013】本発明による高流動性コンクリートには、
粗骨材として最大寸法が40〜150mmである粗骨
材、ならびに、高性能減水剤および高性能AE減水剤の
いずれか一方または双方と増粘剤とに加えて、セメン
ト、細骨材および水、ならびに必要に応じて混和材料が
含まれる。
【0014】本発明による高流動性コンクリートに含ま
れる最大寸法が40〜150mmである粗骨材として
は、通常のマスコンクリート構造物構築用コンクリート
に使用される粗骨材を使用することができる。その含有
量は、コンクリート1m3 あたり、一般に800〜12
00kg、好ましくは900〜1100kg、特に95
0〜1050kgである。
【0015】高性能減水剤としては、コンクリートの技
術分野で通常使用される高性能減水剤のいずれを使用す
ることもでき、例えば高縮合トリアジン系化合物、メラ
ミンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系
誘導体、変性リグニンスルホン酸塩系化合物、芳香族ア
ミノスルホン酸系高分子化合物、ナフタリンスルホン酸
塩のホルマリン縮合物系化合物などが挙げられ、この
中、高縮合トリアジン系化合物、ポリカルボン酸系誘導
体および変性リグニンスルホン酸塩系化合物が好まし
い。
【0016】高性能AE減水剤としては、コンクリート
の技術分野で通常使用される高性能AE減水剤のいずれ
を使用することもでき、例えば高縮合トリアジン系化合
物、メラミンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリカル
ボン酸系誘導体、変性リグニンスルホン酸塩系化合物、
芳香族アミノスルホン酸系高分子化合物、ナフタリンス
ルホン酸塩のホルマリン縮合物系化合物などが挙げら
れ、この中、高縮合トリアジン系化合物、ポリカルボン
酸系誘導体および変性リグニンスルホン酸塩系化合物が
好ましい。
【0017】高性能減水剤および高性能AE減水剤のい
ずれか一方または双方の含有量は、セメント1kgあた
り、一般に5〜50g、好ましくは15〜40g、特に
20〜35gである。
【0018】増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロ
キシエチルエチルセルロースが挙げられ、その中で、発
泡性の低いヒドロキシエチルセルロースが好ましい。増
粘剤の含有量は、セメント1kgあたり、一般に、0.
2g〜5g、好ましくは1〜3g、特に1.5〜2.5
gである。増粘剤の含有量が、セメント1kgあたり
0.2gより少ないと、コンクリートの材料分離抵抗性
が不十分となって骨材とモルタルとが分離し易くなり、
他方5gより多いと、コンクリートの粘性が高くなり過
ぎて、コンクリートに巻き込まれる空気量が多くなって
強度が低下すると共に施工性が悪くなり易い。
【0019】セメントとしては、コンクリートに通常使
用されるセメントであればいずれのセメントを使用する
こともでき、例えば、普通ポルトランドセメントのほ
か、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセ
メント、高炉セメント、フライアッシュセメントが挙げ
られる。セメントの含有量は、設計強度、コンクリート
に含まれる骨材の最大寸法、骨材の含有率、混和材の添
加の有無などによって異なるが、コンクリート1m3
たり、一般に100〜300kg、好ましくは125〜
250kg、特に150〜225kgである。
【0020】細骨材としては、コンクリートに通常使用
される細骨材、例えば、10mmふるいを全部通り、5
mmふるいを重量で85%以上通過する骨材が使用でき
る。細骨材の含有量は、コンクリート1m3 あたり、一
般に700〜1100kg、好ましくは800〜100
0kg、特に850〜950kgである。
【0021】本発明による高流動性コンクリート中に、
粗骨材および細骨材は合わせて、コンクリート1m3
たり一般に1950〜2250kg(容積比:75〜8
5%)の量で含まれるのに対し、特開平5−14799
5号公報に記載された一般の高流動性コンクリートで
は、骨材の含有量は、コンクリート1m3 あたり170
0〜1900kg(容積比:65〜75%)である。本
発明による高流動性コンクリートは、一般の高流動性コ
ンクリートと比べて、骨材の容積比が大きいのにも拘わ
らず、流動性が優れ、かつ、水の分離や骨材の沈降がな
いことは驚くべきことであった。
【0022】水としては、水道水、河川水または湖水の
ような淡水は勿論、海水を用いることもできる。水の含
有量は、コンクリート1m3 あたり、一般に120〜1
70kg、好ましくは130〜160kg、特に140
〜150kgである。
【0023】本発明による高流動性コンクリートには、
必要に応じて、さらに、減水剤、AE剤、AE減水剤、
フライアッシュ、微粉スラグおよび微石粉からなる群か
ら選ばれる1種または2種以上の混和材料が含まれる。
【0024】減水剤、AE剤および/またはAE減水剤
を使用する場合、その含有量は、コンクリートが硬化し
た後にその耐久性および強度が確保できるように試験練
りによって決める。
【0025】減水剤としては、コンクリートの技術分野
で通常使用される減水剤のいずれを使用することもで
き、例えばポリオール複合体、リグニンスルホン酸化合
物、オキシカルボン酸塩などが挙げられる。
【0026】AE剤としては、コンクリートの技術分野
で通常使用されるAE剤のいずれを使用することもで
き、例えばアルキルアリルスルホン酸化合物系陰イオン
界面活性剤、天然樹脂酸塩、硫酸エステル型非イオンア
ニオン界面活性剤などが挙げられる。
【0027】AE減水剤としては、コンクリート技術分
野で通常使用されるAE減水剤のいずれを使用すること
もでき、例えばリグニンスルホン酸化合物、ポリオール
複合体、オキシカルボン酸などが挙げられる。
【0028】フライアッシュ、微粉スラグおよび/また
は微石粉は、特に細骨材の含有量が少なく流動性が乏し
い場合、または、発熱量を低く抑える必要がある場合に
使用するのが好ましい。これらは、単独でまたは合わせ
て、一般にセメントの10〜50重量%を置き換えて使
用され得る。
【0029】フライアッシュは、火力発電所で微粉炭を
燃焼した際に副成されるものである。微粉スラグは、溶
鉱炉で銑鉄と同時に生成する溶融スラグを急冷して粉砕
したものである。微石粉は、砕石の製造過程で生成する
微細な石の粉である。
【0030】本発明による高流動性コンクリートは、4
0mmメッシュ篩で40mmを越える寸法の粗骨材を除
いた後のモルタルのスランプフローが40〜70cm、
好ましくは45〜60cm、特に好ましくは50〜60
cmを有する。スランプフローが40cmより小さい
と、振動締固めをすることなくマスコンクリートを施工
することはできず、他方、70cmより大きいと、骨材
とモルタルとが分離し易くなるため、本発明において
は、40mmメッシュ篩で40mmを越える粗骨材を除
いた後のスランプフローを40〜70cmと定めた。
【0031】本発明による高流動性コンクリートは、常
法に従って製造することができ、例えば、セメント、粒
径が40〜150mmの粗骨材、細骨材、水、ならび
に、必要に応じてフライアッシュ、微粉スラグおよび/
または微石粉とを混合した後、高性能減水剤および高性
能AE減水剤のいずれか一方または双方と増粘剤、なら
びに、必要に応じて減水剤、AE剤および/またはAE
減水剤を添加し、攪拌混合して製造する。
【0032】本発明のマスコンクリートの施工方法にお
いて、高流動性コンクリートを圧送する際に使用される
ポンプとしては、油圧ピストン式のコンクリートポンプ
が圧送能力が高いため好ましい。また、コンクリートを
施工現場まで運搬する際に使用される輸送管の内径は、
本発明による高流動性コンクリート中の粗骨材の最大寸
法の2.5〜3倍である。
【0033】また、本発明のマスコンクリートの施工方
法においては、コンクリートに軽微な振動締固めを施す
か、または振動締固めを全く施さないでレアー工法によ
り打設する。コンクリートを打設する際には、分岐管ま
たは多数の打設口を設けた配管系を用い、また、打ち込
みは連続して行なうのが好ましい。本発明による高流動
性コンクリートの自由落下高さは、空気の巻き込みや材
料分離を少なくするために、一般に1.5m以下、好ま
しくは1m以下にする。
【0034】打設されたコンクリートにおいては、ブリ
ージングが生じないので、それが硬化した時に表面にこ
わばりやプラスチックひびわれが発生し易い。これを防
止するために、打設後、早期に散水を行なうのが好まし
い。
【0035】レアー工法でマスコンクリート構造物を構
築する場合、通常、新旧のコンクリートが完全に密着す
るように、旧コンクリートが硬化する前の適当な時期に
その表面においてグリーンカット処理を行なうが、本発
明による高流動性コンクリートを用いる場合には、グリ
ーンカット処理は簡略に行なうか、または不要である。
また、本発明による高流動性コンクリートは流動性と材
料分離抵抗性に優れているため、モルタル敷設も不要で
ある。
【0036】また、マスコンクリートを施工する場合、
一般に硬化時のコンクリートの温度ひびわれを防止する
ために、低発熱性セメントを使用したり、一層(1リフ
ト)の高さを小さくして温度上昇量を低下させたり、ブ
ロック長さを短くして旧コンクリートの拘束度を小さく
したり、または、表面に溜水して内表面の温度差と温度
降下速度とを小さくするなどの方法が採用されている
が、本発明によるマスコンクリートの施工方法において
は、特開平5−194003号公報に記載されているよ
うな温度応力抑制工法を採用するのが、コンクリートの
打設の効率化と温度ひびわれの抑制を図るために非常に
効果的である。具体的には、旧コンクリート近傍の新コ
ンクリート中に厚さ30cm程度の凝結遅延コンクリー
ト層を打設し、この層の凝結速度を遅延させることによ
って、旧コンクリートの拘束度を低減させて温度ひびわ
れを防止する。
【0037】
【実施例】以下、本発明を例を用いて更に詳細に説明す
る。 例1 表1に示す組成で、水、高炉セメントB種、フライアッ
シュ、微石粉、粒径が5mm以下の細骨材、最大寸法が
60mmまたは80mmの粗骨材、高性能AE減水剤、
AE剤および増粘剤を練り混ぜ、得られる本発明コンク
リート1〜10から、40mmメッシュ篩で40mmを
越える粗骨材を除いた後のモルタルのスランプフローを
測定した。また、本発明コンクリート1〜10をコンク
リートバケットを用いて横30cm、縦60cm、長さ
3.6mの溝に連続的に投入して、流動性および材料分
離抵抗性を観察した。これらの結果を表1に示す。
【0038】
【表1】 これらの結果から、コンクリートに最大寸法が60mm
または80mmの粗骨材が含まれている場合でも、コン
クリートの流動性および材料分離抵抗性が改善されるこ
とがわかる。特にフライアッシュまたは微石粉の使用、
あるいはフライアッシュおよび微石粉の併用が効果的で
あることがわかる。
【0039】例2 例1の本発明コンクリート5を用いて、図1に示すよう
にして新旧コンクリートの打継実験を行なった。まず、
旧コンクリートを、コンクリートバケットを用いて、縦
180cm、横180cm、高さ120cmの型枠内
に、厚さ60cmで打設し、1日後、この旧コンクリー
トの表面の半分に高圧水でグリーンカット処理を施し、
残りの半分には処理を施さず、7日後に、新コンクリー
トをコンクリートバケットを用いて旧コンクリート上に
厚さ60cmで打設した。新旧コンクリートの打設の際
には、振動締固めは全く行なわなかった。
【0040】旧コンクリート打設28日後に図1に示す
ように、φ200mmの径でコアボーリングを行なって
打継供試体を得、これらの供試体について、図2に示す
ように、曲げ強度試験を行なって、打継部の一体性を調
べた。なお、これらの打継供試体と比較するために、打
継部のない同寸法の供試体を作ってこれについても曲げ
強度試験を行なった。試験の結果を表2に示す。
【0041】 これらの結果から、何らの処理をほどこさなかった打継
供試体も、グリーンカット処理が施された打継供試体
も、打継部のない比較供試体とほぼ同等(比較供試体の
95%)の曲げ強度を有していることがわかる。従来の
マスコンクリート構造物用コンクリートの場合には、グ
リーンカット処理を施さないと、グリーンカット処理を
施した時の約50〜60%の曲げ強度しか得られないの
に対して、本発明による高流動性コンクリートの場合に
は、旧コンクリート表面に処理を施さず、振動締固めを
しないでも、打継部で十分な強度を有するコンクリート
が得られるので、マスコンクリートの施工能率を向上で
きる。
【0042】例3 表3に示す組成の本発明コンクリート11および、本発
明コンクリート11の組成から増粘剤を除き、高性能A
E減水剤の含有率を低下したスランプ値15cmの比較
コンクリート1を、コンクリートバケットを用いて、図
3に示す縦120cm、横120cm、高さ180cm
の型枠内に、本発明コンクリート11の場合には振動締
固めをしないで、他方、比較コンクリート1の場合には
φ40mmの棒状バイブレータを用いて振動締固めをし
て、打設した。
【0043】
【表2】 28日後に上下方向にφ200mmの5本のコアボーリ
ングを行なった後、それぞれを高さ方向に4本の供試体
に分割した。これらの供試体の圧縮強度試験を行なっ
て、各層の5体の供試体の圧縮強度の平均値を求めた。
その結果を表4に示す。
【0044】 これらの結果から、比較供試体では上下方向に強度差を
生じており、下部から上部に行くに従って強度が低下す
る傾向にあることがわかる。このような傾向は、最大骨
材寸法が20〜25mmの通常のコンクリートを用いた
一般の建築物においても認められる傾向であり、主とし
て自重圧密によるブリージング水の影響によるものであ
る。これに対して、本発明供試体ではこのような上下方
向の強度差はあまりみられず、供試体全体の強度のばら
つきが小さく、本発明による高流動性コンクリートを用
いると、振動締固めをしなくても上下方向に品質のばら
つきが少ない、密実なマスコンクリートを施工できる。
【0045】例4 表3に示した本発明コンクリート11および比較コンク
リート1を用いて、コンクリートポンプによる圧送実験
を行なった。コンクリートポンプとしては、横型単動複
列油圧ピストン式コンクリートポンプ(最大吐出量:8
5m3 /h,シリンダー径:22cm、ストローク長:
144cm)を用い、配管としては、直径が8インチの
ものを用いた。圧送実験は、図4に示すように、水平管
部と垂直管部とを設け、図に示す4か所,P1 〜P4
圧力計を設置し、コンクリートの吐出量をそれぞれ3
0、40、50m3 /hと変化させて、圧送時のP1
4でのコンクリート圧を測定することによって行なっ
た。各点の圧力差から水平および垂直管部の圧力損失を
計算した。また、コンクリートの品質変化を、スランプ
フローまたはスランプおよび空気量について調べた。こ
れらの結果を表5に示す。
【0046】
【表3】 表5に示されるように、本発明コンクリート11におけ
る圧力損失は、比較コンクリート1の圧力損失に比べて
70〜90%程度に小さくなることがわかる。また、ポ
ンプ圧送前後のコンクリートの品質は、比較コンクリー
ト1ではかなり変化しているのに対して、本発明コンク
リート11ではほとんど変化していないこともわかる。
【0047】さらに、圧送時には、比較コンクリート1
の場合には数回の閉塞を生じたのに対して、本発明コン
クリート11の場合には閉塞は生じなかった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、ポンプ圧送が可能で、
振動締固めをせずに上下方向にコンクリートの品質のば
らつきが少ないマスコンクリートを施工でき、また、打
継のためのグリーンカット処理またはモルタル敷設など
の作業を簡略化または省略でき、マスコンクリートの施
工能率が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】例2における新旧コンクリートの打継実験方法
を示す図である。
【図2】例2における曲げ強度試験方法を示す図であ
る。
【図3】例3における供試体の作成方法を示す図であ
る。
【図4】例4における圧送実験方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−286746(JP,A) 特開 平3−45544(JP,A) 特開 平5−293815(JP,A) 特開 平5−212716(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 21/02 103 B28B 13/02 C04B 28/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最大寸法が40mmを越えて150mm
    下の範囲にある粗骨材を含む高流動性コンクリ−トを使
    用してマスコンクリ−トを施工する方法であって、高性
    能減水剤および高性能AE減水剤のいずれか一方または
    双方と増粘剤とを含有し、かつ前記粗骨材のうちの40
    mmメッシュ篩で40mmを越える寸法の粗骨材
    た後の粗骨材を含むコンクリ−トのスランプフロ−が
    40〜70cmである前記高流動性コンクリ−トをポン
    プで施工現場まで圧送し、ついでこの高流動性コンクリ
    −トに軽微な振動締固めを施すか、または振動締固めを
    全く施さないでレア−工法により前記高流動性コンクリ
    −トを打設することを特徴とするマスコンクリ−トの
    施工方法。
  2. 【請求項2】 高流動性コンクリートが、セメント1k
    gあたり高性能減水剤および高性能AE減水剤のいずれ
    か一方または双方を5〜50g含有し、そして増粘剤を
    0.2〜5g含有する請求項1記載の施工方法。
  3. 【請求項3】 高流動性コンクリートが、高性能減水剤
    および高性能AE減水剤のいずれか一方または双方と増
    粘剤とのほかに、さらに、減水剤、AE剤、AE減水
    剤、フライアッシュ、微粉スラグおよび微石粉からなる
    群から選ばれる1種または2種以上の混和材料を含有す
    る請求項1または2記載の施工方法。
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