JP7430546B2 - 固体電池及び固体電池の製造方法 - Google Patents

固体電池及び固体電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体電池及び固体電池の製造方法に関する。
固体電池の1つとして、酸化物固体電解質を用いるものが知られている。
例えば、特許文献1には、固体電解質にNASICON(Na super ionic conductor)型のLi1+zAlTi2-z(PO(以下「LATP」と言う)を用いる技術、更に、正極活物質にリン酸コバルトリチウム(LiCoPO)等のオリビン型の正極活物質を用い、負極活物質にLATPを用いる技術が記載されている。LiCoPOが正極として動作する際の電圧は4.8V(Li/Li)程度であり、LATPが負極として動作する際の電圧は2.5V(Li/Li)程度である。正極にLiCoPOを用い、負極にLATPを用いた電池セルの動作電圧は、正極の動作電圧から負極の動作電圧を差し引いた2.3V程度となる。
このほか、非特許文献1には、固体電解質にNASICON型のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO(以下「LAGP」と言う)、正極活物質にリン酸バナジウムリチウム(Li(PO)(以下「LVP」と言う)、負極活物質に酸化チタン(TiO)を用いる技術が記載されている。LVPが正極として動作する際の電圧は4V(Li/Li)程度、TiOが負極として動作する際の電圧は2V(Li/Li)程度であり、これらを用いた電池セルの動作電圧は、正極の動作電圧から負極の動作電圧を差し引いた2V程度となる。
また、非特許文献2には、LAGPが6V程度の高電位でも安定であることが記載されている。特許文献2には、LATP、LAGP等に金属Liを貼り付けてアルゴン(Ar)雰囲気で保管すると、一定期間後には接触面が黒色に変化し、LATP、LAGP等が金属リチウムと反応することが記載されている。
国際公開第2014/208133号パンフレット 特開2010-45019号公報
第59回電池討論会要旨集、2018年、3A21、p.62 「ジャーナル・オブ・アロイズ・アンド・コンパウンズ」(Journal of Alloys and Compounds)、2010年、第501巻、p.255~258
固体電池において、酸化物固体電解質は、正極層と負極層との間の電解質層に用いられるほか、正極層及び負極層の成分として用いられる場合がある。ここで、酸化物固体電解質には、6Vといった比較的高電位でも酸化分解が生じ難い一方で、1V以下といった比較的低電位では還元分解が生じ易いものがある。このような比較的還元電位に弱い酸化物固体電解質を固体電池の負極層に用いると、負極層が低電位とされた際、負極層内の酸化物固体電解質が耐えられずにその還元分解が生じ、固体電池の動作性能が劣化してしまうことが起こり得る。
1つの側面では、本発明は、酸化物固体電解質の還元分解を抑え、動作性能に優れる固体電池を実現することを目的とする。
1つの態様では、第1酸化物固体電解質、第1炭素系導電助剤及び正極活物質を含む正極層と、第2酸化物固体電解質、第2炭素系導電助剤及び負極活物質を含む負極層と、前記正極層と前記負極層との間に設けられ、第3酸化物固体電解質を含む電解質層とを有し、前記負極活物質は、一般式XSi(aは1又は2、bは1又は2、Xは遷移金属、Siはシリコン)で表されるシリサイドを含み、前記負極層は、LiAlP 含む固体電池が提供される。
また、1つの態様では、上記のような固体電池の製造方法が提供される。
1つの側面では、酸化物固体電解質の還元分解を抑え、動作性能に優れる固体電池を実現することが可能になる。
固体電池の一例について説明する図である。 固体電池の製造方法の一例について説明する図(その1)である。 固体電池の製造方法の一例について説明する図(その2)である。 正極活物質にLCPO、負極活物質にNiSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。 正極活物質にLCPO、負極活物質にFeSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。 正極活物質にLCPO、負極活物質にCuSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。 NiSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。 FeSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。 CuSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。 固体電池の第1の適用例について説明する図である。 固体電池の第2の適用例について説明する図である。 固体電池本体の別の例について説明する図である。
高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池は、デバイスの小型化に大きく寄与し、IoT(Internet of Things)機器やウェアラブル端末等、用途は拡大している。それに伴い、要求される仕様も多様化しており、高いエネルギー密度、安全性への期待が高まっている。要求に対応するための新しい電池として固体電池の開発が進められている。固体電池の1つとして、電解質に固体電解質材料を用いるものが知られている。このような固体電池は、可燃性の有機電解液を用いないため、漏液、燃焼、爆発といった危険性を低減して安全性を高めることが可能であり、また、低温及び高温の条件でも性能を維持することが可能である。固体電解質材料を用いることで、それに対応したより高電位の電極材料を用いることができるため、固体電池の更なる性能向上も期待される。
[固体電池]
図1は固体電池の一例について説明する図である。図1には、固体電池の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す固体電池1は、正極層10及び負極層20、並びにそれらの間に設けられた電解質層30を有する。
電解質層30は、固体電解質材料を含む。電解質層30の固体電解質材料には、酸化物固体電解質が用いられる。電解質層30には、例えば、NASICON型(「ナシコン型」とも称される)の酸化物固体電解質の1種であるLAGPが用いられる。LAGPは、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0<x≦1)で表される酸化物固体電解質であって、アルミニウム置換リン酸ゲルマニウムリチウム等と称される。この例では、電解質層30のLAGPとして、組成比x=0.5のLi1.5Al0.5Ge1.5(POが用いられる。
正極層10は、固体電解質材料及び正極活物質を含む。正極層10の固体電解質材料には、酸化物固体電解質が用いられる。正極層10の酸化物固体電解質には、例えば、電解質層30に用いられる酸化物固体電解質と同種の材料が用いられる。即ち、この例では、正極層10の酸化物固体電解質として、LAGPが用いられる。正極層10の正極活物質には、例えば、ピロリン酸コバルトリチウム(LiCoP,以下「LCPO」と言う)が用いられる。
正極層10には、酸化物固体電解質及び正極活物質のほか、導電助剤が含まれる。導電助剤としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料が用いられる。ここでは、このような炭素材料が用いられた導電助剤を「炭素系導電助剤」とも言う。
負極層20は、固体電解質材料及び負極活物質を含む。負極層20の固体電解質材料には、酸化物固体電解質が用いられる。負極層20の酸化物固体電解質には、例えば、電解質層30に用いられる酸化物固体電解質と同種の材料が用いられる。即ち、この例では、負極層20の酸化物固体電解質として、LAGPが用いられる。
負極層20の負極活物質には、一般式XSiで表されるシリサイドが用いられる。式中、aは1又は2、bは1又は2、Xは遷移金属、Siはシリコンである。遷移金属Xには、負極活物質と共に負極層20に含まれる酸化物固体電解質等の他の材料との組み合わせによって、1種又は2種以上の各種遷移金属を用いることができる。例示の固体電池1の場合、各種遷移金属Xのうち、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)が好適である。例えば、負極層20の負極活物質には、遷移金属XをNiとしたニッケルシリサイド(NiSi、NiSi、NiSi)、又は遷移金属XをFeとした鉄シリサイド(FeSi、FeSi、FeSi)が用いられる。
ここでは、負極活物質のニッケルシリサイドとしてNiSiを用い、負極活物質の鉄シリサイドとしてFeSiを用いる場合を例にする。
負極層20には、酸化物固体電解質及び負極活物質のほか、導電助剤が含まれる。導電助剤としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料が用いられた、炭素系導電助剤が用いられる。尚、負極層20に含まれる炭素系導電助剤には、正極層10に含まれる炭素系導電助剤と同種の炭素材料が用いられてもよいし、異種の炭素材料が用いられてもよい。
酸化物固体電解質、炭素系導電助剤及び負極活物質を含む負極層20には更に、ピロリン酸アルミニウムリチウム(LiAlP)が含まれる。LiAlPは、固体電池1の製造過程において、負極活物質として用いられるシリサイド、この例ではNiSi又はFeSiが、酸化物固体電解質、この例ではLAGPと共に焼成されることで、負極層20内に生成され含有される。
上記のような構成を有する固体電池1の充電時には、正極層10から電解質層30を介して負極層20にリチウムイオンが伝導して取り込まれ、放電時には、負極層20から電解質層30を介して正極層10にリチウムイオンが伝導して取り込まれる。固体電池1では、このようなリチウムイオン伝導によって充放電動作が実現される。
ところで、電池の負極活物質としては、従来、シリコン(Si)系負極活物質が提案されている。しかし、Si系負極活物質は、充放電時の膨張及び収縮によって電極が破壊されてしまい、その特性を充分に引き出せないことがある。
一方、Siと種々の金属をメカニカルアロイング(Mechanical Alloying;MA)によって合金化したシリサイド負極活物質をイオン液体中で評価することでサイクル特性が飛躍的に向上することが報告されている(“ChemElectroChem”、2019年、第6巻、p.581~589)。これは、従来の有機電解液とは異なった固体電解質皮膜がイオン液体中で形成されているためと考えられている。この報告では、NiSiの高い特性について示されている。
シリサイドの一種であるNiSiは、負極として動作する際の電圧が1V(Li/Li)程度である。1V付近といった比較的低電位で動作するNiSiを負極活物質として用いれば、理論上、正極活物質の動作電位との差を広げることができる。但し、負極層20に含有させる酸化物固体電解質として、上記のようなLAGPを用いようとした場合、LAGP自体は、6Vといった比較的高電位では酸化分解が生じ難い一方、1V以下といった比較的低電位では還元分解が生じ易い材料の1つである。
固体電池1では、その負極層20内に、このようにそれ自体は比較的低電位で還元分解が生じ易い性質を持つ酸化物固体電解質のLAGPと共に、炭素系導電助剤に加え、負極活物質としてNiSiが含まれる。この負極層20内には更に、負極活物質のNiSiが酸化物固体電解質のLAGPと共に焼成されることで生成されるLiAlPが含まれる。この負極層20内に生成されるLiAlPは、リチウムイオン伝導物質としての機能と、LAGPの還元分解を抑える機能とを有する。
酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質のNiSiを含む負極層20を備えた固体電池1によれば、その製造過程の焼成時に負極層20内に生成されて含有されるLiAlPによって、LAGPの還元分解を抑えることが可能になる。固体電池1では、低電位でのLAGPの還元分解を抑えて、1V付近で動作するNiSiを負極活物質に用いることができる。或いは、1V付近で動作するNiSiを負極活物質に用いても、LAGPの還元分解を抑えることができると言ってもよい。例えば、5V(Li/Li)程度で動作するLCPOを正極活物質に用い、1V(Li/Li)程度で動作するNiSiを負極活物質に用いることで、差し引き4V程度の電圧で動作する固体電池1を実現することが可能になる。
また、酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質としてFeSiを含む負極層20を備えた固体電池1においても、負極層20内には、負極活物質のFeSiが酸化物固体電解質のLAGPと共に焼成されることで、LiAlPが生成される。生成されるLiAlPによって低電位でのLAGPの還元分解が抑えられる固体電池1が実現される。
[固体電池の製造]
続いて、上記のような構成を含む固体電池の製造方法について説明する。
図2及び図3は固体電池の製造方法の一例について説明する図である。図2(A)及び図2(B)、並びに図3(A)及び図3(B)にはそれぞれ、固体電池製造における各工程の要部斜視図を模式的に示している。
ここでは、正極層と負極層との間の電解質層に酸化物固体電解質であるLAGPが用いられ、正極層にLAGP、炭素系導電助剤及び正極活物質が含まれ、負極層に、LAGP、炭素系導電助剤及び負極活物質が含まれる固体電池の製造方法を例にする。
(LAGPの形成)
まず、LAGPの形成方法について説明する。
LAGPの原料となる炭酸リチウム(LiCO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ゲルマニウム(GeO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)の粉末が所定の組成比となるように秤量され、磁性乳鉢やボールミルで混合される。混合によって得られた混合物は、アルミナルツボ等に入れられ、温度300℃~400℃で3時間~5時間仮焼成される。仮焼成によって得られた粉体は、温度1200℃~1400℃で1時間~2時間の熱処理によって溶解される。溶解によって得られた材料は、急冷され、ガラス化される。これにより、非晶質のLAGP粉体が形成される。
得られた非晶質のLAGP粉体は、200μm以下の粒子径となるように粗解砕され、更にボールミル等の粉砕装置を用いて粉砕されることで、目的の粒径p(メジアン径)に調整される。ここで、電解質層用のLAGP粉体については、その粒径pが、例えば2μm≦p≦5μmに調整される。また、正極層用及び負極層用(各々「電極層用」とも言う)のLAGP粉体については、それぞれ粉体状の正極活物質及び負極活物質の粒子間にLAGP粉体を介在させて正極層及び負極層のリチウムイオン伝導性を確保する観点から、その粒径pが、電解質層用のものよりも細かい、例えば0.2μm≦p≦1.0μmに調整される。
例えばこのような方法により、固体電池の電解質層、正極層及び負極層に用いられるLAGP粉体が準備される。
(電解質層の形成)
上記方法によって得られた電解質層用の粒径pのLAGP粉体は、一軸油圧プレスによって圧粉体に成形され、温度900℃で3時間焼成される。これにより、LAGP基板が形成される。このようにして形成されるLAGP基板が、図2(A)に示す電解質層30として用いられる。
(正極層の形成)
正極活物質としては、LCPOが用いられる。正極活物質のLCPO、上記方法によって得られた正極層用の粒径pのLAGP粉体、アクリル樹脂等のバインダ、炭素系導電助剤、及び溶剤が混合され、正極ペーストが形成される。
図2(A)に示すように、形成された正極ペースト11は、電解質層30(上記LAGP基板)の一方の面30aに、所定の厚み及び活物質量となるように調整され、スクリーン印刷により塗工される。塗工後、乾燥機によって温度100℃で30分間乾燥されることで、塗工された正極ペースト11中の溶剤が除去される。
尚、正極ペースト11のスクリーン印刷による塗工は、1回のスクリーン印刷で行われてもよいし、複数回のスクリーン印刷で行われてもよい。複数回のスクリーン印刷で行われる場合、溶媒除去のための乾燥は、各回のスクリーン印刷後に都度行われてもよいし、複数回のスクリーン印刷後に一括で行われてもよい。
(負極層の形成)
負極活物質としては、例えばNiSiが用いられる。NiSiは、Ni及びSiのメカニカルアロイングによって形成される。負極活物質のNiSi、上記方法によって得られた負極層用の粒径pのLAGP粉体、アクリル樹脂等のバインダ、炭素系導電助剤、及び溶剤が混合され、負極ペーストが形成される。
また、負極活物質として、例えばFeSiが用いられた負極ペーストが形成される。FeSiは、Fe及びSiのメカニカルアロイングによって形成される。負極活物質のFeSi、上記方法によって得られた負極層用の粒径pのLAGP粉体、アクリル樹脂等のバインダ、炭素系導電助剤、及び溶剤が混合され、負極ペーストが形成される。
図2(A)に示すように、形成された負極ペースト21(負極活物質としてNiSiを含むもの、又は負極活物質としてFeSiを含むもの)は、電解質層30(上記LAGP基板)の他方の面30b(正極ペースト11の塗工側とは反対の面)に、所定の厚み及び活物質量となるように調整され、スクリーン印刷により塗工される。塗工後、乾燥機によって温度100℃で30分間乾燥されることで、塗工された負極ペースト21中の溶剤が除去される。
尚、負極ペースト21のスクリーン印刷による塗工は、1回のスクリーン印刷で行われてもよいし、複数回のスクリーン印刷で行われてもよい。複数回のスクリーン印刷で行われる場合、溶媒除去のための乾燥は、各回のスクリーン印刷後に都度行われてもよいし、複数回のスクリーン印刷後に一括で行われてもよい。
(焼成)
電解質層30(LAGP基板)の一方の面30aに正極ペースト11が塗工されて乾燥され、他方の面30bに負極ペースト21が塗工されて乾燥された積層体は、図2(B)に示すように、焼成炉100に搬入される。そして、搬入された積層体に対し、焼成炉100により、大気雰囲気中、温度400℃で7時間の加熱によって脱媒、脱脂が行われ、窒素(N)雰囲気中、温度600℃~625℃で2時間の加熱によって焼成(本焼成)が行われる。これにより、電解質層30の一方の面30aに、正極ペースト11から形成された正極層10が設けられ、電解質層30の他方の面30bに、負極ペースト21から形成された負極層20が設けられた、図2(B)に示すような焼結体2(積層体)が形成される。
ここで、焼結体2の電解質層30は、酸化物固体電解質であるLAGPを用いて形成される。焼結体2の正極層10には、酸化物固体電解質であるLAGP、炭素系導電助剤、及び正極活物質であるLCPOが含まれる。焼結体2の負極層20には、酸化物固体電解質であるLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質であるNiSi又はFeSiが含まれる。負極層20内には更に、NiSi又はFeSiがLAGPと共に焼成されることで、LiAlPが生成される。焼成によって負極層20内に生成されるLiAlPは、負極層20に含まれるLAGPの還元分解を抑える機能、或いは、負極層20に含まれるLAGPと負極層20付近の電解質層30に含まれるLAGPとの還元分解を抑える機能を有する。
(集電体層の形成)
焼結体2の形成後、図3(A)に示すように、正極層10が露出している表面部分に、銀(Ag)ペースト等により集電体層40が形成される。同様に、焼結体2の、負極層20が露出している表面部分に、Agペースト等により集電体層50が形成される。尚、集電体層40及び集電体層50には、Agペーストのほか、各種金属粒子や炭素粒子等の導電性粒子を含有した導電性ペーストを用いることもできる。Agペースト等の導電性ペーストが塗工され、焼成によってその導電性ペースト中のAg等の導電性粒子が焼結されて、集電体層40及び集電体層50が形成される。焼結体2の正極層10及び負極層20の表面にそれぞれ集電体層40及び集電体層50が形成され、図3(B)に示すような固体電池1Aが形成される。
[固体電池の特性]
続いて、上記のような方法を用いて形成された固体電池に関する評価結果について説明する。
(充放電評価)
正極活物質にLCPOを用い、負極活物質にNiSiを用いた固体電池1A(図3(B))について、下記のような条件で充放電評価を行った。更に、正極活物質にLCPOを用い、負極活物質にFeSiを用いた固体電池1Aについても同様に、充放電評価を行った。
また、比較のため、正極活物質にLCPOを用い、負極活物質にNiSi及びFeSiに代えて銅シリサイドとしてCuSiを用い、固体電池1Aと同様の方法を用いて形成した固体電池を準備し、その充放電評価を行った。CuSiには、Cu及びSiのメカニカルアロイングによって形成されたものを用いた。
充放電評価において、充電は、定電流(Constant Current;CC)充電とし、1サイクル~3サイクルは終止電圧4.5V又は充電容量50μAh、電流値10μAの条件で行い、4サイクル~6サイクルは終止電圧4.5V又は充電容量100μAh、電流値10μAの条件で行った。また、放電は、CC放電とし、終止電圧0.5V、電流値10μAの条件で行った。充放電の測定は、60℃の恒温槽中で行った。
このような条件を用いて行った充放電評価の結果を図4~図6に示す。図4は正極活物質にLCPO、負極活物質にNiSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。図5は正極活物質にLCPO、負極活物質にFeSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。図6は正極活物質にLCPO、負極活物質にCuSiを用いた固体電池の充放電曲線図である。
図4に示すように、正極活物質にLCPO、負極活物質にNiSiを用いることで、4V程度の電圧で動作する固体電池1Aが実現されることが確認された。同様に、図5に示すように、正極活物質にLCPO、負極活物質にFeSiを用いることで、4V程度の電圧で動作する固体電池1Aが実現されることが確認された。これに対し、図6に示すように、正極活物質にLCPO、負極活物質にCuSiを用いた固体電池では、充放電動作が殆ど認められなかった。
(構造評価)
NiSiと、上記電極層用の粒径pとした非晶質のLAGP粉体とを、50wt%(重量%):50wt%の割合で混合し、混合によって得られた粉体を、N雰囲気中、温度600℃で2時間保持する条件で焼成し、焼成によって得られた試料についてX線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定を行った。NiSiには、Ni及びSiのメカニカルアロイングによって形成されたものを用いた。
同様に、FeSiと、上記電極層用の粒径pとした非晶質のLAGP粉体とを、50wt%:50wt%の割合で混合し、混合によって得られた粉体を、N雰囲気中、温度600℃で2時間保持する条件で焼成し、焼成によって得られた試料についてXRD測定を行った。FeSiには、Fe及びSiのメカニカルアロイングによって形成されたものを用いた。
また、比較のため、CuSiと、上記電極層用の粒径pとした非晶質のLAGP粉体とを、50wt%:50wt%の割合で混合し、混合によって得られた粉体を、同じくN雰囲気中、温度600℃で2時間保持する条件で焼成し、焼成によって得られた試料についてXRD測定を行った。CuSiには、Cu及びSiのメカニカルアロイングによって形成されたものを用いた。
XRD測定の結果を図7~図9に示す。図7はNiSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。図7には、NiSiのXRD測定結果を点線で、NiSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料(NiSi+LAGP焼成)のXRD測定結果を実線で、それぞれ示している。図8はFeSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。図8には、FeSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料(FeSi+LAGP焼成)のXRD測定結果を実線で示している。また、図9はCuSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料のXRD測定結果を示す図である。図9には、CuSiのXRD測定結果を点線で、CuSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料(CuSi+LAGP焼成)のXRD測定結果を実線で、それぞれ示している。
NiSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料では、図7に示すように、NiSi及びLAGPの各々のXRDピークが認められると共に、LiAlPのXRDピークが認められた。FeSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料では、図8に示すように、FeSi及びLAGPの各々のXRDピーク、FeSiのXRDピークが認められると共に、LiAlPのXRDピークが認められた。一方、CuSiとLAGP粉体とを混合して焼成した試料では、図9に示すように、CuSi及びLAGPの各々のXRDピークが認められると共に、Cu15SiのXRDピークが認められた。
(考察)
図7の結果から、上記のように負極活物質のNiSi、LAGP粉体及び炭素系導電助剤を含む負極ペースト21が電解質層30に塗工され焼成されることで形成される負極層20を備えた固体電池1では、負極層20内に、NiSi及びLAGPに加え、LiAlPが存在するものと考えられる。LiAlPは、NiSiがLAGPと共に焼成されることで生成されるものと言える。
そして、この固体電池1は、上記図4の結果から、正極活物質にLCPOが用いられ、負極活物質にNiSiが用いられることで、4V程度の電圧で動作する電池として機能する。固体電池1では、負極層20内にLiAlPが存在することで、1V付近で動作するNiSiを負極活物質に用いても、LAGPの還元分解を抑えることが可能になっているものと考えられる。或いは、LAGPの還元分解を抑えて、1V付近で動作するNiSiを負極活物質に用いることが可能になっているものと考えられる。負極層20内に存在するLiAlPが充放電動作に関与することで、優れた動作性能を有し、動作電圧が4V程度の優れた特性を有する固体電池1が実現される。
同様に、図8の結果から、上記のように負極活物質のFeSi、LAGP粉体及び炭素系導電助剤を含む負極ペースト21が電解質層30に塗工され焼成されることで形成される負極層20を備えた固体電池1では、負極層20内に、FeSi及びLAGPに加え、LiAlPが存在するものと考えられる。LiAlPは、FeSiがLAGPと共に焼成されることで生成されるものと言える。
そして、この固体電池1は、上記図5の結果から、正極活物質にLCPOが用いられ、負極活物質にFeSiが用いられることで、4V程度の電圧で動作する電池として機能する。固体電池1では、負極層20内にLiAlPが存在することで、FeSiを負極活物質に用いても、LAGPの還元分解を抑えることが可能になっているものと考えられる。或いは、LAGPの還元分解を抑えて、FeSiを負極活物質に用いることが可能になっているものと考えられる。負極層20内に存在するLiAlPが充放電動作に関与することで、優れた動作性能を有し、動作電圧が4V程度の優れた特性を有する固体電池1が実現される。
一方、図9の結果から、CuSi、LAGP粉体及び炭素系導電助剤を含む負極ペーストが電解質層に塗工され焼成されることで形成される負極層を備えた固体電池の場合は、その負極層内に、CuSi、LAGP、Cu15Siが存在するものと考えられる。しかし、上記図6の結果から、これらCuSi、LAGP、Cu15Siが存在する負極層では、固体電池の充分な動作性能は得られない。
従って、負極層20内に酸化物固体電解質であるLAGP及び炭素系導電助剤と共に含まれる負極活物質として、NiSi又はFeSiを用いることは、固体電池1の動作性能、特性の向上に有効であると言うことができる。
負極層20内のLiAlPの生成メカニズムについて更に考察する。
LiAlPの生成に関し、LiCO、Al及びNHPOの粉末原料を量論比で混合し、温度800℃で焼成することで、単斜晶のLiAlP相を合成する技術が知られている(“Materials Research Bulletin”、2016年、第78巻、p.148~157)。
一方、上記固体電池1では、負極層20の形成において、酸化物固体電解質である非晶質のLAGP粉体、炭素系導電助剤、及び負極活物質であるNiSi又はFeSiが混合され、焼成されることで、粉末原料から合成される温度800℃よりも200℃程度低い600℃~625℃で単斜晶のLiAlPが生成される。このことから、負極層20では、NiSi又はFeSiが存在することで、LAGPの成分からLi、Al、P及びOが選択的に引き抜かれ、NiSi又はFeSiがLiAlP生成の触媒として機能するものと考えられる。
これに対し、非晶質のLAGP粉体、炭素系導電助剤、及びCuSiが混合された粉体では、焼成によってLiAlPは生成されず、一部のCuSiが変化してCu15Siが生成される。
この違いは、シリサイド活物質の2元素の溶解度の差によるものと考えられる。2元合金の溶解度に関する法則の原子容積効果より、2元合金の溶解度は、主成分元素の原子半径をr1、合金成分元素の原子半径をr2とした場合、次式(1)の値X[%]から見積もることができる。
X=|r1-r2|/r1×100・・・(1)
Siの原子半径を111pm、Niの原子半径を124pm、Feの原子半径を126pm、Cuの原子半径を128pmとすると、式(1)より、SiとNiではX=11.7%、SiとFeではX=13.5%、SiとCuではX=15.3%となる。一般的に、式(1)の値Xが15%を超えると溶解度は低下するとされており、CuSiは、NiSi及びFeSiに比べて、合金としての溶解度が低いことが予想される。
このことから、構造が安定なNiSi及びFeSiは、触媒として作用し、LiAlPの生成に寄与したものと考えられる。これに対し、CuSiは、合金としての溶解度が低く、構造が不安定であるために、焼成時に自身の構造変化によってCuSiから一部がCu15Siに変化し、LiAlPの生成には寄与しなかったものと考えられる。
[適用例]
続いて、上記のような構成を有する固体電池の適用例について説明する。
図10は固体電池の第1の適用例について説明する図である。図10(A)には、固体電池の一例の要部斜視図を模式的に示している。図10(B)には、固体電池の一例の要部断面図を模式的に示している。図10(B)は、図10(A)の面S1に沿った切断面の一例である。
図10(A)及び図10(B)に示す固体電池1Bは、薄形電池の一例である。固体電池1Bは、図10(A)及び図10(B)に示すように、外装体200、並びに外装体200から外部に突出する正極端子210及び負極端子220を有する。外装体200には、例えば、樹脂、セラミック、絶縁コーティングされた金属等の材料を用いて形成されるフィルム状、袋状又は箱状のもの等を用いることができる。外装体200の内部に、固体電池本体1Baが収容される。固体電池1Bでは、所定の絶縁材料(例えば酸化物固体電解質)で被覆された固体電池本体1Baが、フィルム状、袋状、箱状等の外装体200で更に被覆された構造が採用されてもよい。
固体電池本体1Baは、正極層10及び負極層20、並びにそれらの間に設けられた電解質層30を有する。固体電池本体1Baは更に、正極層10の表面に設けられた集電体層40、及び負極層20の表面に設けられた集電体層50を有する。
固体電池本体1Baの電解質層30、正極層10及び負極層20、並びに集電体層40及び集電体層50には、上記のような材料が用いられる。即ち、電解質層30には、例えば、酸化物固体電解質であるLAGPが用いられる。正極層10には、例えば、酸化物固体電解質としてLAGP、炭素系導電助剤、及び正極活物質としてLCPOが含まれる。負極層20には、例えば、酸化物固体電解質としてLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質としてNiSi又はFeSiが含まれる。集電体層40及び集電体層50は、Agペースト等を用いて形成される。
このような構成を有する固体電池本体1Baの、正極層10側の集電体層40に、接合や溶接等の手法を用いて正極端子210が接続され、負極層20側の集電体層50に、接合や溶接等の手法を用いて負極端子220が接続される。固体電池本体1Baは、これら正極端子210及び負極端子220の先端部が外部に露出するように、外装体200の内部に収容される。
固体電池本体1Baの負極層20には、例えば、酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質のNiSiが含まれ、製造過程の焼成によりLiAlPが生成され、LAGPの還元分解が抑えられる。固体電池本体1Baでは、5V(Li/Li)程度で動作するLCPOが正極活物質に用いられ、1V(Li/Li)程度で動作するNiSiが負極活物質に用いられて、4V程度の動作電圧が実現される。また、固体電池本体1Baの負極層20には、例えば、酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質のFeSiが含まれ、製造過程の焼成によりLiAlPが生成され、LAGPの還元分解が抑えられる。固体電池本体1Baでは、FeSiが負極活物質に用いられ、4V程度の動作電圧が実現される。このような優れた動作性能を有する固体電池本体1Baが外装体200の内部に収容され、高性能の固体電池1Bが実現される。
尚、図10(B)に示したような固体電池本体1Baの形成には、上記の製造方法の例に従い、LAGP粉体を圧粉して成形される電解質層30(LAGP基板)の両面にそれぞれ正極ペースト及び負極ペーストを塗工して乾燥し、焼成する方法を用いることができる。焼成によって得られる焼結体の正極層10及び負極層20の表面にそれぞれ集電体層40及び集電体層50が形成され、固体電池本体1Baが形成される。
また、図10(B)に示したような固体電池本体1Baの形成には、電解質層30用のグリーンシート、正極層10用のグリーンシート、負極層20用のグリーンシートを予め作製しておき、これらを所定の順序で積層して圧着する方法(グリーンシート積層法)を用いることもできる。圧着後、所定の形状に切断されて焼成され、焼成によって得られる焼結体の正極層10及び負極層20の表面にそれぞれ集電体層40及び集電体層50が形成され、固体電池本体1Baが形成される。或いは、集電体層40用及び集電体層50用のグリーンシートが作製される場合には、当該グリーンシートが積層、圧着、焼成されて集電体層40及び集電体層50が形成され、固体電池本体1Baが形成される。
尚、図10(B)には、外装体200内の固体電池本体1Baとして、断面視で1つの電池セル(1層の電解質層30とそれを挟む各1層の正極層10及び負極層20)を例示したが、外装体200内には、複数の電池セルが収容されてもよい。この場合、複数の電池セルは、外装体200の厚さ方向に積層されてもよいし、外装体200の幅又は長さ方向に並設されてもよい。複数の電池セルは、電気的に並列接続されてもよいし、直列接続されてもよい。
また、図11は固体電池の第2の適用例について説明する図である。図11(A)には、固体電池の一例の要部斜視図を模式的に示している。図11(B)には、固体電池の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(B)は、図11(A)の面S2に沿った切断面の一例である。
図11(A)及び図11(B)に示す固体電池1Cは、SMD(Surface Mount Device)として用いることのできるチップ形電池の一例である。固体電池1Cは、図11(A)及び図11(B)に示すように、固体電池本体1Caを被覆する被覆体300、並びに被覆体300の対向する両端部にそれぞれ設けられた正極端子310及び負極端子320を有する。図11(B)には一例として、断面視で上下2つの電池セルが電気的に並列接続されて積層された固体電池本体1Caを例示している。
固体電池本体1Caの各電池セルには、上記同様の構成を有するものを用いることができる。即ち、各電池セルは、電解質層30、正極層10及び負極層20、並びに集電体層40及び集電体層50を有する。電解質層30には、例えば、酸化物固体電解質であるLAGPが用いられる。正極層10には、例えば、酸化物固体電解質としてLAGP、炭素系導電助剤、及び正極活物質としてLCPOが含まれる。負極層20には、例えば、酸化物固体電解質としてLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質としてNiSi又はFeSiが含まれる。集電体層40及び集電体層50は、Agペースト等を用いて形成される。
固体電池本体1Caの、正極層10側の集電体層40は、被覆体300の一端部に設けられた正極端子310に接続され、負極層20側の集電体層50は、被覆体300の他端部に設けられた負極端子320に接続される。
固体電池本体1Ca及び被覆体300は、例えば、スクリーン印刷法を用いて形成することができる。
例えば、被覆体300の一部(a-b間)、集電体層40と被覆体300の一部(b-c間)、正極層10と被覆体300の一部(c-d間)、電解質層30と被覆体300の一部(d-e間)、負極層20と被覆体300の一部(e-f間)、及び集電体層50と被覆体300の一部(f-g間)が、順次スクリーン印刷されることで、下側の電池セルが形成される。集電体層40は、その下地となる被覆体300(その一部)の一端部まで形成され、集電体層50は、その下地となる被覆体300(その一部)の他端部まで形成される。尚、各スクリーン印刷後に都度乾燥が行われてもよいし、全スクリーン印刷後に一括で乾燥が行われてもよい。
形成された下側の電池セルの上に、同様にして、負極層20と被覆体300の一部、電解質層30と被覆体300の一部、正極層10と被覆体300の一部、集電体層40と被覆体300の一部、及び被覆体300の一部が、順次スクリーン印刷されることで、上側の電池セルが形成される。集電体層40は、その下地となる被覆体300(その一部)の一端部まで形成される。尚、各スクリーン印刷後に都度乾燥が行われてもよいし、全スクリーン印刷後に一括で乾燥が行われてもよい。
尚、このようなスクリーン印刷を、複数の固体電池本体1Caが形成されるように実施した大判のシート状の構造体を作製し、それを各固体電池本体1Caが含まれる位置で切断(個片化)して、固体電池本体1Ca及びそれを被覆する被覆体300を備えた複数の個片を得ることもできる。
形成された固体電池本体1Ca及び被覆体300(又は大判のシート状の構造体から切断された個片)は、所定の条件で焼成される。そして、焼成された固体電池本体1Ca及び被覆体300の、その被覆体300の一端部に、そこから露出する集電体層40と接続されるように正極端子310が形成され、被覆体300の他端部に、そこから露出する集電体層50と接続されるように負極端子320が形成される。例えば、被覆体300の一端部及び他端部にそれぞれ、ディップ法等を用いて導電性ペーストが塗工され、焼成によって導電性ペースト中の導電性粒子が焼結されて、正極端子310及び負極端子320が形成される。
このような方法が用いられ、図11(A)及び図11(B)に示すような固体電池1Cが形成される。
固体電池本体1Caの負極層20には、例えば、酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質のNiSiが含まれ、製造過程の焼成によりLiAlPが生成され、LAGPの還元分解が抑えられる。固体電池本体1Caでは、5V(Li/Li)程度で動作するLCPOが正極活物質に用いられ、1V(Li/Li)程度で動作するNiSiが負極活物質に用いられて、4V程度の動作電圧が実現される。また、固体電池本体1Caの負極層20には、例えば、酸化物固体電解質のLAGP、炭素系導電助剤、及び負極活物質のFeSiが含まれ、製造過程の焼成によりLiAlPが生成され、LAGPの還元分解が抑えられる。固体電池本体1Caでは、FeSiが負極活物質に用いられ、4V程度の動作電圧が実現される。このような優れた動作性能を有する固体電池本体1Caが内蔵され、高性能の固体電池1Cが実現される。
尚、図11(B)に示したような固体電池本体1Caの形成には、被覆体300用のグリーンシート、電解質層30用のグリーンシート、正極層10用のグリーンシート、負極層20用のグリーンシートを予め作製しておき、これらを所定の形状に切断し、所定の順序で積層して圧着する、グリーンシート積層法を用いることもできる。グリーンシートの積層の際の適当な段階で、スクリーン印刷によって集電体層40及び集電体層50が形成されるか、或いは、集電体層40用及び集電体層50用のグリーンシートが作製される場合には当該グリーンシートが積層される。そして、焼成が行われ、正極端子310及び負極端子320が形成されて、固体電池本体1Caが形成される。
また、図11(A)に示したような固体電池1Cには、次の図12に示すような固体電池本体が内蔵されてもよい。
図12は固体電池本体の別の例について説明する図である。図12(A)及び図12(B)にはそれぞれ、固体電池本体の一例の要部断面図を模式的に示している。図12(A)及び図12(B)はいずれも、図11(A)の面S2に沿った切断面の一例である。
図12(A)に示す固体電池本体1Cbは、正極層10の側端面が正極端子310まで延ばされて直接接続され、負極層20の側端面が負極端子320まで延ばされて直接接続された構成を有する点で、上記図11(B)に示した固体電池本体1Caと相違する。図12(A)に示すような構成を有する固体電池本体1Cbによれば、正極層10と正極端子310との間、負極層20と負極端子320との間の接続面積の増大、それによる電気抵抗の低減が図られる。
図12(B)に示す固体電池本体1Ccは、正極層10と正極端子310、負極層20と負極端子320が直接接続され、集電体層が省略され、上下の電池セルで1層の電極層(この例では負極層20)が共用される構成を有する点で、上記図12(A)に示した固体電池本体1Cbと相違する。図12(B)に示すような構成を有する固体電池本体1Ccによれば、集電体層の省略による工数及びコストの削減、集電体層の省略及び上下の電池セルの電極層の共用による薄型化が図られる。
尚、図11(B)並びに図12(A)及び図12(B)には、断面視で2つの電池セルが電気的に並列接続された固体電池本体1Ca,1Cb,1Ccを例示したが、上記の例に従い、2つの電池セルが電気的に直列接続された固体電池本体を内蔵する固体電池を実現することもできる。また、上記の例に従い、電気的に並列接続又は直列接続された3つ以上の電池セルを含む固体電池本体を内蔵する固体電池を実現することもできる。
また、図10(A)及び図10(B)には薄形電池の一例を、図11(A)~図12(B)にはチップ形電池の一例を、それぞれ示したが、固体電池本体1Ba,1Ca,1Cb,1Cc等を内蔵するコイン形、ボタン形、角形、円筒形等の各種形状の電池も実現することが可能である。
[変形例]
以上の説明では、電解質層30、正極層10及び負極層20に用いる酸化物固体電解質として非晶質のLAGPを例示したが、電解質層30、正極層10及び負極層20にはそれぞれ、非晶質のLAGPに加えて結晶質のLAGPが含まれてもよい。
電解質層30のLAGPには、Li1.5Al0.5Ge1.5(POの組成に限らず、Li1.4Al0.4Ge1.6(POとった他の組成のNASICON型LAGPが用いられてもよい。電解質層30には、LAGPのほか、NASICON型LATP(一般式Li1+zAlTi2-z(PO,0<z≦1)の1種であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO、ガーネット型のジルコン酸ランタンリチウム(LiLaZr12,以下「LLZ」と言う)、ペロブスカイト型のチタン酸ランタンリチウム(Li0.5La0.5TiO,以下「LLT」と言う)、一部を窒化したγ-リン酸リチウム(γ-LiPO,以下「LiPON」と言う)等、他の酸化物固体電解質が用いられてもよい。
正極層10には、用いられる正極活物質との組み合わせで一定の性能が実現されるものであれば、LAGPのほか、LATP、LLZ、LLT、LiPON等の他の酸化物固体電解質が用いられてもよい。
負極層20には、用いられる負極活物質との組み合わせで一定の性能が実現されるものであって、LiAlPの生成によって酸化物固体電解質の還元分解を抑える観点からLi及びAlを含むNASICON型リン酸塩であれば、各種組成のLAGP、LATP等の酸化物固体電解質が用いられてもよい。このような酸化物固体電解質が用いられる場合にも、負極層20内には、NiSiやFeSiのようなシリサイドとの焼成によってLiAlPが生成される。
例えば、電解質層30、正極層10及び負極層20には、一般式Li1+yAl2-y(POで表されるNASICON型の酸化物固体電解質が好適である。ここで、組成比yは0<y≦1の範囲であり、Mはゲルマニウム(Ge)及びチタン(Ti)の一方又は双方である。
電解質層30、正極層10及び負極層20には、互いに同種の酸化物固体電解質が用いられてもよいし、互いに異種の酸化物固体電解質が用いられてもよい。電解質層30、正極層10及び負極層20にはそれぞれ、1種の酸化物固体電解質が用いられてもよいし、2種以上の酸化物固体電解質が用いられてもよい。
また、以上の説明では、正極層10の正極活物質としてLCPOを例示したが、正極活物質には、LiCoPO、LVP等が用いられてもよい。正極層10には、正極活物質として、1種の材料が用いられてもよいし、2種以上の材料が用いられてもよい。
また、以上の説明では、負極層20の負極活物質としてNiSi又はFeSiを用いる場合を例示したが、負極層20の負極活物質には、NiSi及びFeSiの双方が含まれてもよい。負極層20の負極活物質には、NiSi又はFeSiとは異なる他の組成比のニッケルシリサイド又は鉄シリサイドが用いられてもよい。負極層20の負極活物質には、NiSiと他の組成比のニッケルシリサイドとを含む材料が用いられてもよく、また、FeSiと他の組成比の鉄シリサイドとを含む材料が用いられてもよい。尚、この場合、NiSi又はFeSiとは異なる他の組成比のニッケルシリサイド及び鉄シリサイドは、必ずしも一般式XSi(aは1又は2、bは1又は2、Xは遷移金属)で表されるものであることを要しない。
負極層20には、負極活物質として、一般式XSi(aは1又は2、bは1又は2、Xは遷移金属)で表される1種又は2種以上のシリサイドを用いることができる。遷移金属Xとしては、Ni、Feが好適であり、シリサイドとして、NiSi、NiSi、NiSiといったニッケルシリサイド、FeSi、FeSi、FeSiといった鉄シリサイドが好適である。但し、遷移金属Xには、それを含む負極活物質と、負極層20に負極活物質と共に含まれる酸化物固体電解質との組み合わせにより、固体電池としての一定の性能を得ることができれば、Ni、Feに限らず、他の遷移金属Xが用いられてもよい。
負極層20には、負極活物質として、少なくとも上記のようなシリサイドが含まれるものであれば、シリサイドに加えて、LATP、LVP、TiO等の他の材料が更に含まれてもよい。
1,1A,1B,1C 固体電池
1Ba,1Ca,1Cb,1Cc 固体電池本体
2 焼結体
10 正極層
11 正極ペースト
20 負極層
21 負極ペースト
30 電解質層
30a,30b 面
40,50 集電体層
100 焼成炉
200 外装体
210,310 正極端子
220,320 負極端子
300 被覆体

Claims (6)

  1. 第1酸化物固体電解質、第1炭素系導電助剤及び正極活物質を含む正極層と、
    第2酸化物固体電解質、第2炭素系導電助剤及び負極活物質を含む負極層と、
    前記正極層と前記負極層との間に設けられ、第3酸化物固体電解質を含む電解質層と
    を有し、
    前記負極活物質は、一般式XSi(aは1又は2、bは1又は2、Xは遷移金属、Siはシリコン)で表されるシリサイドを含み、
    前記負極層は、LiAlP 含むことを特徴とする固体電池。
  2. 前記負極活物質は、ニッケルシリサイドを含むことを特徴とする請求項1に記載の固体電池。
  3. 前記負極活物質は、鉄シリサイドを含むことを特徴とする請求項1に記載の固体電池。
  4. 前記第1酸化物固体電解質、前記第2酸化物固体電解質及び前記第3酸化物固体電解質のうち、少なくとも前記第2酸化物固体電解質は、Li1.5Al0.5Ge1.5(POを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電池。
  5. 前記正極活物質は、LiCoPを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の固体電池。
  6. 第1酸化物固体電解質、第1炭素系導電助剤及び正極活物質を含む正極層と、
    第2酸化物固体電解質、第2炭素系導電助剤及び負極活物質を含む負極層と、
    前記正極層と前記負極層との間に設けられ、第3酸化物固体電解質を含む電解質層と
    を有する積層体を形成する工程と、
    前記積層体を窒素雰囲気下で焼成する工程と
    を含み、
    前記負極活物質が、ニッケルシリサイド又は鉄シリサイドを含み、
    焼成後の前記負極層は、LiAlP 含むことを特徴とする固体電池の製造方法。
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