JP7430516B2 - 抗カビ剤 - Google Patents

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Description

本発明は、抗カビ剤に関する。より詳しくは、洗浄剤、化粧料、塗料、樹脂、木材防腐剤、セメント混和剤、水処理剤、工業用水、紙パルプ、プラスチック、繊維、食品添加物、医療機器、光学機器、モジュール、電子製品等に有用な抗カビ剤に関する。
近年、消費者の清潔志向及び衛生上の観点から、種々の日用品、工業製品に抗菌処理を施すことが求められている。このような抗菌処理に用いられる抗菌剤として、例えば特許文献1には、カチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤であって、該共重合体は、カチオン性基含有単量体由来の構造単位と疎水性単量体由来の構造単位とを有し、該カチオン性基含有単量体由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であり、重量平均分子量が4000~100万であり、該疎水性単量体は、単独重合体の溶解性パラメータが15以下であることを特徴とするカチオン性基含有共重合体を含む抗菌剤が開示されている。
高温多湿な日本では、細菌の増殖を抑制することのみならず、カビの繁殖を抑制することも重要視されている。抗カビの技術に関して、例えば特許文献2には、寒天培地に対象となる組成物及びカビの胞子懸濁液を塗抹し、静置培養した後にカビのコロニー数を計数し、当該コロニー数を対照と比較すること、を特徴とする組成物の防カビ効果確認方法が開示されている。
特許文献3には、単量体水溶液の重合工程、乾燥工程、及び表面架橋工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水剤の製造方法であって、単量体又はその重合体に含まれる酢酸及びプロピオン酸の合計量を200~2500ppmとし、表面架橋された吸水性樹脂粒子に対して、殺菌成分を含む水性液を添加する工程を更に含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水剤の製造方法が開示されている。
特開2017-214346号公報 特開2013-162805号公報 特開2016-131902号公報
上述のとおり、従来抗菌剤等が種々開発されているが、真核生物であるカビに対して特に有効な抗カビ剤を開発する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、抗カビ性能に優れる重合体を含む抗カビ剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、重合体について種々検討したところ、カチオン性基含有単量体由来の構造単位と特定の単量体由来の構造単位とを有し、カチオン性基含有単量体由来の構造単位の割合及び重量平均分子量が特定の範囲である共重合体が、抗カビ性能に優れることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、カチオン性基含有共重合体を含む抗カビ剤であって、該抗カビ剤は、下記の方法により測定される抗カビ能が2.0以上であり、該カチオン性基含有共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と単量体(B)由来の構造単位(b)とを有し、該カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であり、該単量体(B)は、単独重合体の溶解性パラメータが10以下である単量体(B1)、並びに、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)、から選択される1種以上の単量体であり、該カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量が4000~100万であり、抗カビ剤に含まれる該カチオン性基含有共重合体の割合が抗カビ剤100質量%に対して10~100質量%である抗カビ剤である。
<抗カビ能の測定>
1)ポテトデキストロース寒天(PDA)斜面培地にクロカビ(Cladosporium cladosporioides)を植菌し、30℃で1週間前培養する。
2)生育したクロカビから胞子懸濁液を調製し、血球盤で胞子数をカウントして適宜希釈することにより約5.0×10 spores/mlの濃度に調整する。この時、調整後の胞子懸濁液を適宜希釈してPDA培地に100μL塗布し、30℃で3日間培養することにより、実際の生菌数を求め、これを初期の生菌数αとする。
3)1.5mlチューブに当該カチオン性基含有共重合体の20%水溶液500μLと調整後の胞子懸濁液500μLを入れ、ツインミキサーで撹拌する。攪拌180分後の試料をPDA培地に100μl塗抹し、30℃で3日間培養することにより、生菌数を求め、これを撹拌180分後の試料中の生菌数βとする。
4)下記式(1)により抗カビ能を算出する。
抗カビ能=2-log[(β/α)×100](1)
本発明の抗カビ剤は、上述の構成よりなり、抗カビ能に優れるため、洗浄剤、化粧料、塗料、樹脂、木材防腐剤、セメント混和剤、水処理剤、工業用水、紙パルプ、プラスチック、繊維、食品添加物、医療機器、光学機器、モジュール、電子製品等に好適に用いることができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
≪抗カビ剤≫
本発明における抗カビ剤とは抗カビ性能を有する剤のことをいう。抗カビ性能とは、カビの増殖を抑える、カビを殺す、防カビ等の性能を有することをいう。対象となるカビとしては、特に制限されないが、例えば、ペニシリウム(Penicillium)属に属する微生物、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する微生物、クラドスポリウム(Cladosporium)属に属する微生物、フザリウム(Fusarium)属に属する微生物、アルテルナリア(Alternaria)属に属する微生物、リゾプス(Rhizopus)属に属する微生物等が挙げられる。
本発明の抗カビ剤に含まれるカチオン性基含有共重合体(以下、本発明の共重合体ともいう)は、上記の方法により測定される抗カビ能が2.0以上である。
上記抗カビ能として好ましくは2.5以上であり、更に好ましくは3.0以上であり、特に好ましくは3.5以上である。
抗カビ能の測定方法の詳細は実施例のとおりである。
上記カチオン性基含有共重合体は、全構造単位100質量%に対して、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)を36~99.9質量%の割合で有する。好ましくは40~99質量%、より好ましくは45~99質量%であり、更に好ましくは50~95質量%であり、一層好ましくは60~90質量%である。
上記カチオン性基含有共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)が第1~3級アミノ基含有単量体(A1)及び/又はこれらの酸による中和物の場合、カチオン性基含有単量体(A1)由来の構造単位(a1)の割合は、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であることが好ましい。すなわち、上記カチオン性基含有単量体(A)が、第1~3級アミノ基含有単量体(A1)及び/又はこれらの酸による中和物であり、第1~3級アミノ基含有単量体(A1)及び/又はこれらの酸による中和物由来の構造単位(a1)の割合が、全構造単位100質量%に対して36~99.9質量%であるカチオン性基含有共重合体も本発明の1つである。
上記割合として好ましくは40~99質量%、より好ましくは45~99質量%であり、更に好ましくは50~95質量%であり、一層好ましくは60~90質量%である。
なお、構造単位(a)及び(a1)におけるアミノ基が、アミン塩基の酸による中和物である場合、構造単位(a)及び(a1)の質量は、中和前の構造単位に換算して質量を計算するものとする。
上記カチオン性基含有単量体(A)が、後述する式(4-1)又は(4-2)で表される構造であって、R、Rがメチル基である場合、構造単位(a)の含有割合は、40~95質量%であることが好ましい。より好ましくは50~90質量%であり、更に好ましくは60~90質量%であり、特に好ましくは70~90質量%である。
上記カチオン性基含有単量体(A)が、後述する式(4-1)又は(4-2)で表される構造であって、R、Rが炭素数2以上の炭化水素基である場合、構造単位(a)の含有割合は、40~90質量%であることが好ましい。より好ましくは45~85質量%であり、更に好ましくは50~80質量%であり、一層好ましくは55~80質量%であり、特に好ましくは60~80質量%であり、最も好ましくは65~80質量%である。
本発明のカチオン性基含有共重合体は、全構造単位100質量%に対して、単量体(B)由来の構造単位(b)を0.1~64質量%の割合で有することが好ましい。より好ましくは1~60質量%、更に好ましくは1~55質量%であり、一層好ましくは5~50質量%であり、更に一層好ましくは10~40質量%である。
本発明の共重合体は、共重合体における単量体(B)由来の構造単位(b)の含有割合が、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)100質量%に対して、1~150質量%であることが好ましい。より好ましくは1~120質量%、更に好ましくは5~100質量%であり、一層好ましくは10~60質量%である。本発明の共重合体における構造単位(b)の含有割合がこのような範囲であれば、上記共重合体の抗カビ性能が向上する傾向にある。
上記共重合体は、単量体(B1)由来の構造単位(b1)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して、0.1~64質量%であることが好ましい。より好ましくは1~60質量%、更に好ましくは1~55質量%、一層好ましくは5~50質量%、更に一層好ましくは10~40質量%である。
上記共重合体は、単量体(B2)由来の構造単位(b2)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して、0~30質量%であることが好ましい。より好ましくは0~20質量%、更に好ましくは0~10質量%である。
本発明の共重合体は後述するとおり、単量体(B1)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位と、更にカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)由来の構造単位(b2)とを有していてもよく、上記共重合体におけるカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)由来の構造単位(b2)の割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位100質量%に対して、0~100質量%であることが好ましい。より好ましくは0~50質量%であり、更に好ましくは0~40質量%であり、特に好ましくは0.1~30質量%である。
本発明の共重合体が単量体(B1)として(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を有する場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位の割合は、全構造単位100質量%に対して、0.1~64質量%であることが好ましい。より好ましくは1~60質量%、更に好ましくは1~55質量%、一層好ましくは、5~50質量%、更に一層好ましくは10~40質量%である。
本発明の共重合体は、後述するとおり、上記カチオン性基含有単量体(A)及び単量体(B)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよく、その他の単量体(E)由来の構造単位(e)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して、0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0~8質量%、更に好ましくは0~5質量%である。
本発明の共重合体としては、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と単量体(B)由来の構造単位(b)のみからなる共重合体もまた、好ましい形態の1つである。この場合、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と単量体由来の構造単位の割合の合計は100質量%であり、これらの構造単位のそれぞれの割合は、100質量%から上述のカチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)の割合又は単量体(B)由来の構造単位(b)の割合を差し引いた値となる。
本発明のカチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、4000~100万である。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量がこのような範囲であれば、抗カビ剤を使用する素材に対する抗カビ剤の吸着性が向上するため、洗浄した際に洗い流されることを充分に抑制し、上記素材に対する抗カビ作用が向上する。
上記重量平均分子量として好ましくは4000~80万であり、より好ましくは5000~60万であり、更に好ましくは6000~40万であり、一層好ましくは7000~20万であり、更に一層好ましくは7000~10万であり、特に好ましくは7000~8万である。カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のカチオン性基含有共重合体の構造はランダム共重合体構造、グラフト構造、ブロック共重合体構造、グラジエント共重合体構造、星形構造、デンドリマー構造などが挙げられるが、いずれの構造であってもよい。
本発明の抗カビ剤は、カチオン性基含有共重合体と有機酸及び/又は無機酸とを含むことが好ましい。これにより、本発明の抗カビ剤の抗カビ性能がより向上する。
上記有機酸としては、酢酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸等が挙げられる。上記無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。好ましくは有機酸であり、より好ましくは酢酸、クエン酸、塩酸であり、特に好ましくは酢酸である。
上記抗カビ剤における有機酸及び/又は無機酸の含有割合は特に制限されないが、カチオン性基含有共重合体の構造単位(a)1規定に対して有機酸及び/又は無機酸の含有割合が0.5~2規定であることが好ましい。より好ましくは0.8~1.5規定であり、更に好ましくは1.0~1.2規定である。
<カチオン性基含有単量体(A)>
本発明の抗カビ剤に含まれるカチオン性基含有共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)を有している。上記カチオン性基含有単量体は、エチレン性不飽和基とカチオン性基とを少なくとも1つずつ有していれば、特に制限されない。また、「カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)」とは、単量体(A)が重合して形成される構造単位と同じ構造であれば、別の製法により形成されたものであってもよい。後述する単量体(B)及び単量体(E)についても同様である。例えば、単量体(A)がN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートである場合、構造単位(a)は、-CH-C(CH)(COCHCH-N(CH)-で表される構造単位である。ここでカチオン性基とは、カチオンを有する基又はカチオンを発生させる基であり、例えば、第1~3級アミノ基、第1~3級アミノ基の酸による中和物等が挙げられる。第1~3級アミノ基としては、下記式(2);
Figure 0007430516000001
(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~12の炭化水素基を表す。)で表される構造であることが好ましい。
上記炭化水素基は、鎖状構造であっても、環構造を有していてもよいが、鎖状構造であることが好ましい。炭化水素基が鎖状構造である場合、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくはアルキル基である。
また、上記炭化水素基の炭素数としては、1~10が好ましく、より好ましくは1~8であり、特に好ましくは1~5であり、特に一層好ましくは1~2であり、最も好ましくは1である。
上記R及びRのうち少なくともいずれか一方は、炭素数1~12の炭化水素基であることが好ましく、R及びRの両方が炭素数1~12の炭化水素基であることがより好ましい。すなわち、第1~3級アミノ基の中でも、第3級アミノ基が好ましい。
上記第1~3級アミノ基の酸による中和物としては、下記式(3);
Figure 0007430516000002
(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~12の炭化水素基を表す。Yは、陰イオンを表す。)で表される構造であることが好ましい。炭化水素基の具体例及び好ましい形態は、上述のとおりである。
上記カチオン性基含有共重合体は、第1~3級アミノ基含有単量体(A1)及び/又はこれらの酸による中和物由来の構造単位(a1)の少なくとも1つについて、該構造単位(a1)が有する第2又は3級アミノ基に結合するすべてのアルキル基のそれぞれの炭素数が、上記単量体(B)由来の構造単位(b)の少なくとも1つが有する最も炭素数が多いアルキル基の炭素数よりも少ないものであることが好ましい。
これにより、構造単位(a)と構造単位(b)との疎水性のバランスがより向上し、カビの細胞膜及び細胞壁に対してより効果的に作用する傾向にあるため、本発明の抗カビ剤はより優れた抗カビ性能を発揮することとなる。
上記カチオン性基含有共重合体は、上記の関係を満たす構造単位(a1)(以下、構造単位(a1’)ともいう)と構造単位(b)(以下、構造単位(b’)ともいう)とを少なくとも1つずつ有していればよいが、構造単位(a1’)の割合が、構造単位(a1)100モル%に対して50~100モル%であることが好ましい。より好ましくは80~100モル%である。また、上記カチオン性基含有共重合体における構造単位(b’)の割合は、構造単位(b)100モル%に対して50~100モル%であることが好ましい。より好ましくは80~100モル%である。
上記カチオン性基としては、第1~3級アミノ基、第1~3級アミノ基の酸による中和物の中でも、第3級アミノ基、第3級アミノ基の酸による中和物が好ましい。第3級アミノ基又は第3級アミノ基の酸による中和物としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又はこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物が好ましい。
上記カチオン性基含有単量体としては、下記式(4-1)及び/又は(4-2);
Figure 0007430516000003
(式(4-1)及び(4-2)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Xは、直接結合又は2価の連結基を表す。R、Rは、上記式(2)におけるR、Rと同様である。)で表される構造であることが好ましい。
上記Rにおける炭素数1~5のアルキル基は、メチル基であることが好ましい。上記Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。抗カビ性及び耐加水分解性の観点からRとしてはメチル基がより好ましい。
上記R、Rは、水素原子であることが好ましい。
上記式(4-1)及び(4-2)のXにおける2価の連結基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~12のアルキレン基や、下記式(5);
Figure 0007430516000004
(式中、mは、0~12の整数を表す。)、下記式(6);
Figure 0007430516000005
(式中、eは、0~4の整数を表す。)及び下記式(7);
Figure 0007430516000006
(式中、kは、1~10の整数を表す。)で表される構造が挙げられる。
上記式(5)におけるmは、1~8であることが好ましく、より好ましくは1~5である。
上記式(7)におけるkは、1~8であることが好ましく、より好ましくは1~5である。
上記カチオン性基含有単量体として、具体的には、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類若しくはこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類若しくはこれらの塩酸等の酸による中和物;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2-(tert-ブチルアミノ)エチル等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;モノメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、モノエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のモノアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;(メタ)アクリル酸-2-アミノエチル等の(メタ)アクリル酸とアルカノールアミンとのエステル類及びこれらの塩酸等の酸による中和物;アリルアミン及びこれの塩酸等の酸による中和物;1-アリルオキシ-3-ジブチルアミノ-2-オール、1-アリルオキシ-3-ジエタノールアミノ-2-オール等の炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体と炭素数1~24のアミン化合物との付加反応物若しくはこれの塩酸等の酸による中和物等が挙げられる。
上記炭素数1~24のアミン化合物は、アミノ基を有し、炭素数2~8の環状エーテル含有基を有する不飽和単量体の環状エーテル構造と反応することができる限り特に制限されない。炭素数1~24のアミン化合物の炭素数は、1~20が好ましく、1~16がより好ましい。炭素数1~24のアミン化合物としては、第1級アミン、第2級アミンが挙げられ、例えば、炭素数1~24の(ジ)アルキルアミン、炭素数1~24の(ジ)アルカノールアミン、炭素数1~24のアルキルアルカノールアミン等が挙げられる。
炭素数1~24の(ジ)アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン等が好ましい。
炭素数1~24の(ジ)アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ヘキサノールアミン等が好ましい。
炭素数1~24のアルキルアルカノールアミンとしては、メチルエタノールアミン等が好ましい。
上記式(4-1)~(4-2)のXにおける2価の連結基としては、上記式(5)で表される構造が好ましい。
上記カチオン性基含有単量体は上記式(4-1)及び(4-2)におけるRが、メチル基であり、Xが、上記式(5)で表される構造であることが好ましい。
上記カチオン性基含有単量体として、好ましくは、N,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類及びこれらの塩酸等の酸による中和物やこれらに4級化剤を付加させたモノマー、N,N-ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類及びこれらの塩酸等の酸による中和物、中でもN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びこれらの塩酸等の酸による中和物がより好ましい。更に好ましくは、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの塩酸等の酸による中和物である。
<単量体(B)>
上記単量体(B)は、単独重合を行って得られた単独重合体(ホモポリマー)に対する溶解性パラメータが10以下である単量体(B1)、並びに、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)、から選択される1種以上の単量体である。なお、単量体(B)にはカチオン性基含有単量体(A)に該当するものは含まれない。また、溶解性パラメータが10以下である単量体であってもカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するものは単量体(B2)に分類するものとする。
ここで、上記溶解性パラメータは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE」(1974年、Vol.14、No.2)の147~154ページに記載の方法によって計算される値である。
以下にその方法を概説する。単独重合体の溶解性パラメータ(δ)(cal/cm1/2は、該重合体を形成している構成単位の蒸発エネルギー(△ei)及びモル体積(△vi)に基づいて、下記の計算法により算出される。
δ=(△ei/△vi)1/2 (cal/cm1/2
本発明の共重合体が、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と上記のような単量体(B)由来の構造単位(b)とを有することにより、カビの細胞膜若しくは細胞壁に対する親和性が向上し、細胞膜若しくは細胞壁との相互作用が増大することで、細胞膜若しくは細胞壁の生理活性にダメージを与えるため、抗カビ性能に優れることとなる。
上記単量体(B1)の溶解性パラメータとして好ましくは10以下であり、上記溶解性パラメータとしては通常5以上である。
上記単量体(B1)としては、単独重合体での溶解性パラメータが10以下であれば特に制限されないが、(メタ)アクリル酸とカルボキシル基、水酸基及びエーテル基以外の置換基を有していてもよいアルコールとのエステル((メタ)アクリレート)類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体;酢酸ビニル等の不飽和アルコールとカルボン酸とのエステル;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;が挙げられる。
上記単量体(B1)としては、上に挙げた単量体のうち、少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。
上記単量体(B1)としては、溶解性パラメータが10以下のものの中でも、炭素数が2以上のアルキル基を有するものが好ましい。単量体(B1)が、炭素数2以上のアルキル基を有することにより、カビの細胞膜若しくは細胞壁との親和性が増し、抗カビ性がより向上する。
上記(メタ)アクリレートにおけるカルボキシル基、水酸基及びエーテル基以外の置換基としては、例えばフルオロ基等のハロゲノ基等が挙げられる。
上記のような置換基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられる。
フルオロ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2~6のフルオロ基含有アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記単量体(B1)は、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(8);
Figure 0007430516000007
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1~30の炭化水素基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記炭化水素基の炭素数は、1~20であることが好ましい。より好ましくは1~16であり、更に好ましくは2~12であり、一層好ましくは2~8であり、特に好ましくは2~4である。
上記炭化水素基の炭素数が1~20であれば、重合体の水溶性、粘度を好適な範囲とすることができ、取扱いに優れるものとなる。上記炭化水素基の炭素数が2~12であれば、重合体の製造が容易となり、さらに、抗カビ性に加えて安全性にも優れるものとなる。さらに上記炭化水素基の炭素数が2~4であれば、重合体の製造が容易であるだけでなく、安全性に優れ、かつカビの細胞膜若しくは細胞壁との親和性が増し、抗カビ性がより向上するものとなる。
上記炭化水素基としては、特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の環状炭化水素基が挙げられる。上記炭化水素基は、分岐を有していてもよく、分岐を有する場合の炭化水素基の炭素数は、主鎖及び分岐鎖の合計の炭素数を意味する。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルへキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル(ラウリル)基、ステアリル基、イコシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
上記炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アルケニル基であり、より好ましくはアルキル基である。
すなわち上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル(メタ)アクリレート)が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとして好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくはエチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレートであり、一層好ましくはエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはエチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレートである。
上記単量体(B2)は、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するものであれば特に制限されず、これらの官能基を2種以上有するものであってもよい。例えばカルボキシル基を有する単量体が、水酸基やエーテル基を有するものであってもよい。
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-アリルオキシアクリル酸及びこれらの塩等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸及びこれらの塩等の不飽和ジカルボン酸類;アクリル酸2-カルボキシエチル等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも不飽和モノカルボン酸類が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。上記不飽和モノカルボン酸の塩としては、金属塩が挙げられる。上記金属塩の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、亜鉛等の重金属塩が挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、例えば、上記ビニルアルコール、アリルアルコール、イソプレニルアルコール等の炭素数2~20の不飽和アルコール類;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1~18の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
エーテル基を有する単量体としては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート等の(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレート;アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート(アントックスLMA-10)等のアルキレングリコールの繰り返し数が1~100のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;アリルアルコールのエチレンオキシド付加物の末端疎水変性物、メタリルアルコールのエチレンオキシド付加物の末端疎水変性物、イソプレノールのエチレンオキシド付加物等の炭素数2~20の不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物の末端疎水変性物;等が挙げられる。これらの中でもエーテル基を1つ有する単量体が好ましい。
単量体(B2)として好ましくは、カルボキシル基及び/又は水酸基を有する単量体が好ましい。より好ましくはカルボキシル基を有する単量体(以下、カルボキシル基含有単量体(B2-1)ともいう。)である。
カチオン性基含有共重合体がカルボキシル基含有単量体(B2-1)に由来する構造単位(b2-1)を有する形態は本発明の好適な実施形態の1つである。カチオン性基含有共重合体が、カルボキシル基含有単量体(B2-1)に由来する構造単位(b2-1)を有する場合、該構造単位(b2-1)を全構造単位100質量%に対して1.0~30質量%の割合で有することが好ましい。より好ましくは1.0~20質量%であり、特に好ましくは1.0~10質量%の割合である。
本発明の抗カビ剤に含まれるカチオン性基含有共重合体(以下、本発明の共重合体ともいう)はまた、単量体(B)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位を有し、更にカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)由来の構造単位とを有するものであることが好ましい。このような構造単位を有する共重合体もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明において、単量体(B)として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単量体(B2)とを共重合することにより、得られる共重合体の水溶性が向上し、また、塩やpHによる共重合体の析出、抗カビ性の低下等の影響をより充分に緩和することができるため、幅広いpH領域において共重合体を使用することができ、弱酸性のものが多い化粧品や、中性から弱アルカリ領域のものが多い洗剤等の種々の用途に好適に用いることができる。
<その他の単量体>
本発明の共重合体は、必要に応じて、抗カビ性能に影響しない程度に上記カチオン性基含有単量体(A)及び単量体(B)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。その他の単量体(E)としては、カチオン性基を有しないものであって、カチオン性基含有単量体(A)及び単量体(B)と共重合できるものである限り特に制限されない。
アクリロニトリル、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン等の環状ビニル系単量体等が挙げられる。
また、粘度を調整する観点から溶解性パラメータの値や有する官能基の種類に関わらずエチレン性不飽和基を2個以上有する単量体が含まれていてもよい。エチレン性不飽和基を2個以上有する単量体としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、サッカロース、ソルビトール、1,4-ブタンジオール等のポリオールの2置換以上の水酸基と(メタ)アクリル酸とのエステル類;上記ポリオールの2置換以上のメタクリル酸エステル類;フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、メタクリル酸アリル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、1,5-ヘキサジエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのその他の単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<カチオン性基含有共重合体の製造方法>
本発明の共重合体の製造は特に制限されないが、単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例、好ましい例及び各単量体の好ましい割合は、共重合体の組成と同様である。
上記共重合体は、上記単量体成分を重合開始剤の存在下で重合する方法により製造することが好ましい。単量体成分を重合させる際には、重合方法に応じて重合開始剤を適宜用いることができる。上記重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、アゾ系化合物が好ましい。上記重合開始剤としては、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体成分の重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分100質量部に対して、通常0.01~50質量部であり、好ましくは0.05~30質量部、より好ましくは0.05~20質量部であることが好ましい。
本発明で用いるカチオン性基含有単量体の使用方法としては、それらを酸により中和した酸中和物として用いてもよい。
カチオン性基含有単量体の中和に用いる酸としては、特に制限されるものではないが、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸等の有機酸が挙げられる。
上記酸を用いる場合、これらの使用量としては、上記カチオン性基含有単量体の一部又は全部が中和又は4級化される限り特に制限されないが、重合反応に用いるカチオン性基含有単量体1規定に対して、酸は0.5~2.0規定であることが好ましい。より好ましくは0.7~1.5規定であること、特に好ましくは1.0~1.2規定である。
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体のうちの一(例えば、カチオン性基含有単量体)の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合、リビング重合やグラフト重合等の方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、水単独もしくは水と溶剤との混合溶媒であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、THF(テトラヒドロフラン)等の1価のアルコール類;グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1~4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。上記溶媒は、比較的安価なものであり、本発明の製造方法は、経済的にも優れる。また、上記共重合方法においては、水にプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールやエチレングリコール等の多価アルコール溶媒を加えて重合してもよい。上記多価アルコール溶媒は水と併用することによって、ポリマーの溶解性を高めることができ、ソープフリー重合をより充分に抑制することができる。これにより、水溶性に乏しいポリマーの生成をより充分に抑制し、溶液の透明性をより向上させることができる。上記多価アルコール溶媒と水とを併用する場合、水100質量%に対する多価アルコール溶媒の割合は、0~200質量%であることが好ましい。
多価アルコール溶媒としてより好ましくは1,3-ブチレングリコールである。
1,3-ブチレングリコールを溶媒として用いた場合、得られる共重合体は、1,3-ブチレングリコールを含むこととなり、この場合、抗カビ性能により優れることとなる。
本発明の抗菌剤が、共重合体100質量%に対して1,3-ブチレングリコールを0~80質量%含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
得られたポリマーは水に任意に溶解するもの、もしくは任意に分散するものどちらでもよいが、水に任意に溶解するものが特に好ましい。本発明の共重合体が、25℃において100gの水に10g溶解させた際の不溶分が1g以下である形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
本発明の共重合体の製造方法はまた、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤などを用いることもできる。
重合の際の温度は特に限定されないが、通常50~120℃であり、好ましくは60~110℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなる傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温又は降温)させてもよい。また、単量体成分を重合させる際には、単量体成分が均一に重合するようにするために、適宜、撹拌することが好ましい。
重合時間は特に制限されず、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2~9時間程度である。
なお、本発明において、「重合時間」とは単量体の滴下前の加熱撹拌を行っている時間、単量体を添加している時間及び単量体の滴下後の熟成時間を表す。
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でも不活性雰囲気でもどちらでもよい。
上記重合反応系における重合反応が終了した時点での水溶液中の固形分濃度(すなわち単量体の重合固形分濃度)は、20質量%以上が好ましく、25~80質量%であることがより好ましい。このように重合反応終了時の固形分濃度が20質量%以上と高ければ、高濃度かつ一段で重合を行うことができる。そのため、従来の製造方法では場合によっては必要であった濃縮工程を省略することができるなど、効率よく共重合体を含む抗カビ剤を得ることができる。それゆえ、その製造効率を大幅に上昇させたものとすることができ、その結果、本発明の抗カビ剤の生産性を大幅に向上し、製造コストの上昇も抑制することが可能となる。
本発明の共重合体の製造方法は、全ての使用原料の添加が終了した以後に、単量体の重合率を上げること等を目的として熟成工程を設けても良い。熟成時間は、通常1~240分間、好ましくは1~180分間、より好ましくは1~120分間である。熟成時間が1分間未満の場合には、熟成不十分につき単量体成分が残ることがあり、残存単量体に起因する毒性や臭気などが問題となる。
また、熟成工程における好ましい重合体溶液の温度は、上記重合温度と同様の範囲である。したがって、ここでの温度も一定温度(好ましくは上記滴下が終了した時点での温度)で保持してもよいし、熟成中に経時的に温度を変化させてもよい。
本発明の抗カビ剤は、本発明の共重合体を抗カビ剤100質量%に対して10~100質量%含むものである。
本発明の抗カビ剤は、本発明の共重合体以外のその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分としては、抗カビ剤の抗カビ性能を阻害するものでない限り特に制限されないが、例えば、アルカリ調整剤、アニオン界面活性剤、相溶化剤や安定化剤等の添加剤等が挙げられる。
また、本発明の抗カビ剤は、抗カビ性を向上させる観点から、更に金属塩や金属酸化物、金属水酸化物などを含んでいてもよい。金属塩又は酸化物、金属水酸化物における金属としては、銅や、亜鉛、銀等の重金属が好ましい。
上記その他の成分の含有量は、抗カビ剤の抗カビ性能を阻害しなければ、特に制限されないが、上記共重合体100質量%に対して、0~20質量%であることが好ましい。
本発明の抗カビ剤は、上述の構成よりなり、抗カビ性能に優れるため、洗濯洗浄剤、柔軟剤、住居用洗剤、食器洗浄剤、硬質表面用洗浄剤等の洗浄剤用途;シャンプー、リンス、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め、ファンデーション、アイメイク製品等の化粧品、制汗剤等の化粧料用途;塗料、木材防腐剤、セメント混和剤、工業用水(製紙工程における抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水)等の工業用途;医療器具、食品添加物、太陽電池モジュールや有機素子デバイス、熱線遮蔽フィルムなどの電子機器用途等に好適に用いることができる。抗カビ剤は上記の用途品の質量100質量%に対して、0.1~20質量%であることが好ましい。より好ましくは、1~10質量%である。
上記用途の中でも好ましくは化粧料用途であり、本発明の抗カビ剤を含む化粧料もまた、本発明の1つである。化粧料中の上記抗カビ剤の含有割合は、化粧料100質量%に対して0.1~20質量%であることが好ましい。より好ましくは1~10質量%である。
本発明の化粧料は、本発明の抗カビ剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の抗カビ剤と該抗カビ剤以外のその他の成分とを含む化粧料組成物もまた、本発明の1つである。化粧料組成物中の上記抗カビ剤の含有割合は、化粧料組成物100質量%に対して0.1~20質量%であることが好ましい。より好ましくは1~10質量%である。
上記その他の成分としては特に制限されないが、例えば、油性基剤;グリセリン、プロピレングリコール等の保湿剤・感触向上剤;界面活性剤;高分子;増粘・ゲル化剤;溶剤・噴射剤;酸化防止剤;還元剤、酸化剤;防腐剤・抗菌剤;キレート剤;pH調整剤・酸・アルカリ;粉体類;無機塩類;紫外線吸収剤;美白剤;ビタミン類及びその誘導体類;消炎剤・抗炎症剤;育毛用薬剤・血行促進剤・刺激剤;ホルモン類;抗しわ剤・抗老化剤・ひきしめ剤・冷感剤・温感剤;創傷治癒促進剤・刺激緩和剤・鎮痛剤・細胞賦活剤;植物・動物・微生物エキス類;鎮痒剤、角質剥離・溶解剤;制汗剤;清涼剤;収れん剤;酵素類;核酸類;香料;色素・着色剤・染料・顔料;水等が挙げられる。これらの成分の具体例として特開2007-45776号公報に記載のものと同様のものを用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)>
カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定条件、装置などは以下の通りである。
装置:東ソー社製 EcoSEC HLC-8320GPC
検出器:示差屈折率計(RI)検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel α-M、α-2500
カラム温度:40℃
流速:0.8mL/min
注入量:10μL(試料濃度0.4wt%の溶離液調製溶液)
検量線:ジーエルサイエンス社製 ポリエチレングリコール
GPCソフト:東ソー社製 EcoSEC-WS
溶離液:0.5M酢酸+0.2M硝酸Na/アセトニトリル=50/50(v/v)
<抗カビ能の測定>
1)ポテトデキストロース寒天(PDA)斜面培地にクロカビ(Cladosporium cladosporioides NBRC30314)を植菌し、30℃で1週間前培養した。
2)生育したクロカビから胞子懸濁液を調製し、血球盤で胞子数をカウントして適宜希釈することにより約5.0×10 spores/mlの濃度に調整した。この時、調整後の胞子懸濁液を適宜希釈してPDA培地に100μL塗布し、30℃で3日間培養することにより、実際の生菌数を求め、これを初期の生菌数αとした。
3)1.5mlチューブにカチオン性基含有共重合体の20%水溶液500μLと調整後の胞子懸濁液500μLを入れ、ツインミキサーで撹拌した。攪拌180分後の試料をPDA培地に100μl塗抹し、30℃で3日間培養した。撹拌180分後の試料中の生菌数をβとした。
4)下記式(1)により抗カビ能を算出した。
抗カビ能=2-log[(β/α)×100](1)
<菌糸体成長阻害の測定>
1)ポテトデキストロース寒天(PDA)培地(富士フイルム和光純薬製)粉末1.95gに45gの純水を加えたのちに、121℃で20分間、オートクレーブにて滅菌した。上記滅菌後のPDA培地を取り出した後に約60℃に降温してから、10%ポリマー水溶液5gを加えて混合し、プレートに入れて固めて検定培地を調製した。
2)別のPDA培地にコウジカビ(Aspergillus brasiliensis NBRC9455)を植菌し、25℃で約1週間培養した。
3)コウジカビが生育した培地を直径4mmのコルクボーラーでくり抜いて菌叢ディスクを作成し、菌糸の生長面を下にして検定培地に載せた。
4)25℃で3日間培養し、菌叢ディスクを含めたコロニーサイズ(mm)を測定した。
上記コロニーサイズを下記表3において、菌糸体成長阻害(mm)として示した。
<合成例1>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、1,3-ブタンジオール(以下、BGと略す)70.0gを仕込み、撹拌下、75℃に昇温した。次いで、撹拌下、75℃一定状態の重合反応系中に、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(以下、DAMと略す)81.0g、酢酸31.0g、メタクリル酸エチル(以下、EMAと略す。溶解性パラメータ:9.7)9.0g、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩(以下、VA-044と略す)の15%水溶液35.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とEMAは180分間、VA-044の15%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を75℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水45.8gを加え、共重合体1を得た。
得られた共重合体1の固形分は33.4%、pHは6.4、重量平均分子量は11,000であった。
<合成例2>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM81.0g、酢酸31.0g、EMA9.0g、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(以下、V-50と略す)の5%水溶液27.3gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAMと酢酸は180分間、EMAは170分間、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水42.7gを加え、共重合体2を得た。
得られた共重合体2の固形分は33.2%、pHは6.3、重量平均分子量は27,000であった。
<合成例3>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、75℃に昇温した。次いで、撹拌下、75℃一定状態の重合反応系中に、DAM72.0g、酢酸33.0g、EMA18.0g、VA-044の5%水溶液36.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とEMAは180分間、VA-044の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を75℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水32.8gを加え、共重合体3を得た。
得られた共重合体3の固形分は31.4%、pHは6.2、重量平均分子量は29,000であった。
<合成例4>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水50.0gとPG22.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM63.0g、酢酸24.1g、BA22.5g、メタクリル酸(以下、MAAと略す)4.5g、純水21.1g、V-50の5%水溶液31.4gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸、BAは180分間、MAA、純水、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに90分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体4を得た。
得られた共重合体4の固形分は34.9%、pHは6.0、重量平均分子量は27,000であった。
<合成例5>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、75℃に昇温した。次いで、撹拌下、75℃一定状態の重合反応系中に、DAM81.0g、酢酸31.0g、メタクリル酸ラウリル(以下、LMAと略す。溶解性パラメータ:9.0)9.0g、VA-044の15%水溶液36.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とLMAは180分間、VA-044の15%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに30分間反応溶液を75℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水45.2gを加え、共重合体5を得た。
得られた共重合体5の固形分は32.6%、pHは6.3、重量平均分子量は11,000であった。
<合成例6>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水50.0gとBG30.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM72.0g、酢酸27.5g、アクリル酸ブチル(以下、BAと略す。溶解性パラメータ:9.8)18.0g、V-50の5%水溶液29.9gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とBAは180分間、V-50の5%水溶液は240分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水50.0gを加え、共重合体6を得た。
得られた共重合体6の固形分は30.2%、pHは6.5、重量平均分子量は27,000であった。
<合成例7>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水24.0gとプロピレングリコール(以下、PGと略す)72.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM54.0g、酢酸20.6g、BA36.0g、V-50の3%水溶液33.3gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とBAは180分間、V-50の3%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに90分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体7を得た。
得られた共重合体7の固形分は34.2%、pHは6.7、重量平均分子量は25,000であった。
<合成例8>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、純水18.0gとPG72.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、メタクリル酸2-(ジエチルアミノ)エチル(以下、DEAMと略す)72.0g、酢酸23.3g、BA18.0g、V-50の5%水溶液31.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DEAM、酢酸とBAは180分間、V-50の5%水溶液は210分間滴下した。全滴下終了後、さらに90分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体8を得た。
得られた共重合体8の固形分は35.8%、pHは6.8、重量平均分子量は13,000であった。
<合成例9>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、80℃に昇温した。次いで、撹拌下、80℃一定状態の重合反応系中に、DEAM45.0g、酢酸14.6g、BA45.0g、VA-044の5%水溶液35.6gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DEAMと酢酸は180分間、BAは140分間、VA-044の5%水溶液は240分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を80℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体9を得た。
得られた共重合体9の固形分は35.2%、pHは5.6、重量平均分子量は13,000であった。
<合成例10>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、80℃に昇温した。次いで、撹拌下、80℃一定状態の重合反応系中に、DEAM72.0g、酢酸23.3g、アクリル酸イソブチル(以下iso-BAと略す)18.0g、VA-044の7.5%水溶液31.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DEAMと酢酸は180分間、iso-BAは150分間、VA-044の7.5%水溶液は240分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を80℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体10を得た。
得られた共重合体10の固形分は35.9%、pHは6.0、重量平均分子量は15,000であった。
<合成例11>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、80℃に昇温した。次いで、撹拌下、80℃一定状態の重合反応系中に、DEAM72.0g、酢酸23.3g、アクリル酸t-ブチル(以下t-BAと略す)18.0g、VA-044の7.5%水溶液31.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DEAMと酢酸は180分間、t-BAは170分間、VA-044の7.5%水溶液は240分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を80℃に保持して熟成し、重合を完結させ、共重合体11を得た。
得られた共重合体11の固形分は35.5%、pHは6.1、重量平均分子量は13,000であった。
<比較合成例1>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG70.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM90.0g、酢酸34.4g、V-50の5%水溶液34.4gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、と酢酸は120分間、V-50の5%水溶液は180分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させ、比較共重合体1を得た。
得られた比較共重合体1の固形分は39.6%、pHは7.2、重量平均分子量は19,000であった。
<比較合成例2>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、BG90.0gを仕込み、撹拌下、90℃に昇温した。次いで、撹拌下、90℃一定状態の重合反応系中に、DAM31.5g、酢酸12.0g、EMA58.5g、V-50の7%水溶液35.7gを、それぞれ別々の滴下ノズルより滴下した。滴下時間に関して、全て同時に滴下を開始し、DAM、酢酸とEMAは120分間、V-50の7%水溶液は180分間滴下した。全滴下終了後、さらに60分間反応溶液を90℃に保持して熟成し、重合を完結させた。後に、純水36.6gを加え、比較共重合体2を得た。
得られた比較共重合体2の固形分は35.5%、pHは6.6、重量平均分子量は33,000であった。
<実施例1-1~1-11及び比較例1-1、1-2>
合成例1~11及び比較合成例1、2で得られた共重合体について、抗カビ性試験を行った。結果を表1に示した。
Figure 0007430516000008
<実施例2-1及び比較例2-1>
合成例3で得られた共重合体について、化粧水配合での抗カビ性試験を行った。
抗カビ能の測定においてカチオン性基含有共重合体の20%水溶液の代わりに、グリセリン10%/プロピレングリコール8%/カチオン性基含有共重合体10%水溶液を用いて抗カビ性試験を実施した。結果を表2に示した。
Figure 0007430516000009
<実施例3-1~3-6及び比較例3-1>
合成例2、3、5、6、9、10及び比較合成例1で得られた共重合体について、菌糸体成長阻害の測定を行った。結果を表3に示した。
Figure 0007430516000010

Claims (4)

  1. カチオン性基含有共重合体を含む抗カビ剤であって、
    該抗カビ剤は、下記の方法により測定される抗カビ能が2.0以上であり、
    該カチオン性基含有共重合体は、カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)と単量体(B)由来の構造単位(b)を有し、該カチオン性基含有単量体(A)由来の構造単位(a)の割合が、全構造単位100質量%に対して50~80質量%であり、該単量体(B)由来の構造単位(b)の割合が、全構造単位100質量%に対して20~50質量%であり、
    該単量体(A)は、下記式(4-1)及び/又は(4-2);
    Figure 0007430516000011
    (式(4-1)及び(4-2)中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Xは、直接結合、炭素数1~12のアルキレン基、又は、下記式(5)~(7);
    Figure 0007430516000012
    (式(5)中、mは、0~12の整数を表す。式(6)中、eは、0~4の整数を表す。式(7)中、kは、1~10の整数を表す。)のいずれかで表される構造を表す。R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1~12の炭化水素基を表す。HYは、を表す。)で表される構造であり、
    該単量体(B)は、下記式(8);
    Figure 0007430516000013
    (式中、R は、水素原子又はメチル基を表す。R は、炭素数2の炭化水素基を表す。)で表される化合物であり、
    該カチオン性基含有共重合体の重量平均分子量が4000~100万であり、抗カビ剤に含まれる該カチオン性基含有共重合体の割合が抗カビ剤100質量%に対して10~100質量%であることを特徴とする抗カビ剤。
    <抗カビ能の測定>
    1)ポテトデキストロース寒天(PDA)斜面培地にクロカビ(Cladosporium cladosporioides)を植菌し、30℃で1週間前培養する。
    2)生育したクロカビから胞子懸濁液を調製し、血球盤で胞子数をカウントして適宜希釈することにより約5.0×10 spores/mlの濃度に調整する。この時、調整後の胞子懸濁液を適宜希釈してPDA培地に100μL塗布し、30℃で3日間培養することにより、実際の生菌数を求め、これを初期の生菌数αとする。
    3)1.5mlチューブに当該カチオン性基含有共重合体の20%水溶液500μLと調整後の胞子懸濁液500μLを入れ、ツインミキサーで撹拌する。攪拌180分後の試料をPDA培地に100μl塗抹し、30℃で3日間培養することにより、生菌数を求め、これを撹拌180分後の試料中の生菌数βとする。
    4)下記式(1)により抗カビ能を算出する。
    抗カビ能=2-log[(β/α)×100](1)
  2. 前記式(4-2)におけるHYが、無機酸及び/又は有機酸である、請求項1に記載の抗カビ剤。
  3. 前記式(4-2)におけるHYが、有機酸である、請求項1に記載の抗カビ剤。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の抗カビ剤を含む化粧料であり、
    該化粧料は、抗カビ剤を化粧料100質量%に対して0.1~20質量%の割合で含むことを特徴とする化粧料。
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