以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いて本発明の第一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、トランスミッションケース5、前輪6、後輪7、フェンダ8、昇降装置9、キャビン10、座席11、ステアリングホイール12及びマフラ装置20等を具備する。
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3は、ボンネット4に覆われる。エンジン3の後部には、トランスミッションケース5が固定される。
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪6に支持される。トランスミッションケース5の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪7に支持される。左右一対の後輪7は、概ね上方からフェンダ8によって覆われる。
トランスミッションケース5の後部には、昇降装置9が設けられる。昇降装置9には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置9は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。当該昇降装置9には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
エンジン3の動力は、トランスミッションケース5に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪6に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪7に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪6及び後輪7が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置9に装着された作業装置を駆動させることができる。
エンジン3の後方にはキャビン10が設けられる。キャビン10の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。キャビン10の略中央には、運転者が着座するための座席11が配置される。キャビン10の前部には、前輪6の切れ角を調節するためのステアリングホイール12が配置される。キャビン10は、トランスミッションケース5に対して防振ゴム等を介して搭載されている。これによって、車体からの振動(エンジン3の振動や、走行時の振動等)がキャビン10に伝達され難くなっている。
エンジン3には、後述するマフラ装置20のDPF30が接続される。エンジン3から排出される排気ガスは、マフラ装置20へ導入される。キャビン10及びマフラ装置20の下方には、燃料タンク13が配置されている。
次に、図1から図12を用いてマフラ装置20の構成について説明する。
マフラ装置20は、エンジン3からの排気ガスを排出するためのものである。図2及び図3に示すように、マフラ装置20は、DPF30、マフラパイプ40及びマフラカバー70を具備する。
DPF(Diesel Particulate Filter)30は、排気ガス中のPMを捕集するためのものである。DPF30は、略筒状のケース(筐体)内にPMを捕集するフィルタ等を設けて構成される。DPF30は、エンジン3と接続され、当該エンジン3から排気ガスが導入される。
図2から図4に示すマフラパイプ40は、DPF30を通過した排気ガスを外部へと案内するためのものである。マフラパイプ40は、DPF30と接続される。マフラパイプ40は、DPF30から右下方へ延出してボンネット4の外部へと延設される。また、マフラパイプ40は、キャビン10のピラー10a及びステップ10bと正面視で重複するように形成される。こうしてマフラパイプ40は、キャビン10内の作業者の視界を遮り難くなるように設けられる。図4に示すように、マフラパイプ40は、第一パイプ50及び第二パイプ60を具備する。
第一パイプ50は、DPF30を通過した排気ガスを後述する第二パイプ60へと案内するものである。図5に示すように、第一パイプ50は、本体部51、締結部52、供給部53及び固定部54を具備する。
本体部51は、排気ガスを案内する部分である。本体部51は、略円筒状に形成される。本体部51は、第一直線部51a、第一屈曲部51b、第二直線部51c、第二屈曲部51d及び取付部51eを具備する。
第一直線部51aは、第一パイプ50のうち、最もDPF30に近い側(排気ガスの流通方向における上流側の端部)に形成された略直線状の部分である。第一直線部51aの一端部(左上端部)は、所定の配管を介してDPF30に接続される。
第一屈曲部51bは、所定の方向へ屈曲するように形成された部分である。第一屈曲部51bは、第一直線部51aと連続し、略右方を向くように形成される。
図5及び図8に示すように、第二直線部51cは、第一屈曲部51bから左右外側方(右方)へ略直線状に延出する部分である。
第二屈曲部51dは、所定の方向へ屈曲するように形成された部分である。第二屈曲部51dは、第二直線部51cと連続し、略上方を向くように配置される。
取付部51eは、後述する供給部53が取り付けられる部分である。取付部51eは、第一パイプ50のうち、最もDPF30から遠い側(排気ガスの流通方向における下流側の端部)に形成される。取付部51eは、第二屈曲部51dから略上方へ略直線状に延出するように形成される。取付部51eは、第二屈曲部51dを介して第二直線部51cと接続される。
締結部52は、後述する第一カバー80を第一パイプ50に固定するボルト(以下、「第一ボルトB1」と称する)を締結するための部分である。図5に示すように、締結部52は、開口部を本体部51に向けた略U字状に形成される。締結部52の先端部(開口している側の端部)は、本体部51の外周に沿うように形成される。当該先端部は、本体部51に固定される。締結部52の底部は、本体部51に対して前後に間隔をあけて配置される(図5に示す隙間C参照)。締結部52は、本体部51の前部及び後部(前側面及び後側面)にそれぞれ設けられる。また、締結部52は、本体部51の長手方向に間隔をあけて複数設けられる。
図5、図8及び図9に示す供給部53は、第一パイプ50から第二パイプ60へ排気ガスを供給するための筒状の部分である。供給部53は、本体部51の取付部51eに外嵌され、本体部51から上方へ突出するように設けられる。供給部53は、供給口53a及び絞り部53bを具備する。
供給口53aは、排気ガスを供給するための孔である。供給口53aは、供給部53の上端部に形成される。こうして供給口53aは、上方へ向かって開口するように配置される。供給口53aは、平面視略円状に形成される(図11参照)。
絞り部53bは、供給部53を上方に向かうにつれて縮径させた部分である。絞り部53bは、供給部53の上下中途部から上端部に亘って形成される。絞り部53bは、上方へ向けて徐々に内径が小さくなるように形成される。こうして絞り部53bは、供給口53aに向かって内周面(排気ガスの流路)を徐々に絞るように形成される。また、絞り部53bは、上方へ向けて外径も小さくなるように形成される。
固定部54は、本体部51をトランスミッションケース5に固定するための部分である。図3、図5及び図10に示すように、固定部54は、略板状の部材を適宜組み合わせて構成される。固定部54の前部は、本体部51の第二直線部51cに固定される。固定部54の後部は、トランスミッションケース5の側面に固定される。
第二パイプ60は、第一パイプ50から供給される排気ガスを外部へと案内するものである。図4及び図6に示すように、第二パイプ60は、本体部61、締結部62、導入部63、下側固定部64及び上側固定部65を具備する。
本体部61は、排気ガスを案内する部分である。本体部61は、軸線方向を略上下方向に向けた略円筒状に形成される。本体部61は、内管61aの中途部に外管61bが適宜外嵌された構造(二重管構造)となっている。内管61aの上端部には、ボス部61cが設けられる。本体部61は、第一パイプ50の供給部53の上方に配置される。
締結部62は、後述する第二カバー90の直線カバー91を第二パイプ60に固定するボルト(以下、「第二ボルトB2」と称する)を締結するための部分である。締結部62は、第一パイプ50の締結部52(図5参照)と略同様に構成される。締結部62は、本体部61の右部及び左部(右側面及び左側面)にそれぞれ設けられる。また、締結部62は、本体部61の軸線方向に間隔をあけて複数設けられる。
導入部63は、第一パイプ50の供給口53aからの排気ガス等が導入される部分である。導入部63は、略円筒状に形成される。図6、図8及び図9に示すように、導入部63は、本体部61の下端部に外嵌され、本体部61から下方(供給部53側)へ突出するように設けられる。導入部63は、導入口63aを具備する。
導入口63aは、排気ガス等が導入されるものである。導入口63aは、導入部63の下端部に形成され、下方へ向けて開口するように配置される。また、導入口63aは、供給口53aの上方に配置され、当該供給口53aと対向するように設けられる。図11に示すように、導入口63aの内径は、供給部53の供給口53a及び本体部61の内管61a(第二パイプ60における排気ガスの流路)の内径よりも大きくなるように形成される。導入口63aは、供給口53aと同心上に配置される。こうして導入口63aは、平面視において供給口53a全体と重複すると共に供給口53aよりも大きな形状に形成される。なお、導入口63aの内径は、外管61bの内径と略同程度の大きさであるが、図11では、説明の便宜上、導入口63aを外管61bよりも大きく(外管61bと重複しないように)記載している。
図6に示す下側固定部64及び上側固定部65は、第二パイプ60の本体部61をキャビン10に固定するための部分である。図12に示すように、下側固定部64は、パイプ側取付部64a、接続部64b及びキャビン側取付部64cを具備する。
パイプ側取付部64aは、第二パイプ60の本体部61に固定される部分である。パイプ側取付部64aは、略板状に形成される。パイプ側取付部64aは、第二パイプ60の本体部61の下部の後側面に固定される。パイプ側取付部64aは、水平方向(略左右方向)を向く面と、略上下方向を向く面と、を有する略L字状に形成される。パイプ側取付部64aには、板面を上下に貫通する平面視略円状の貫通孔64aaが形成される。貫通孔64aaは、下側固定部64に取り付けられるボルト(以下、「第三ボルトB3」と称する)の軸部よりもある程度大きな内径を有する。
接続部64bは、パイプ側取付部64a及びキャビン側取付部64cを接続する部分である。接続部64bは、略板状に形成される。また、接続部64bは、略上下方向を向く面と水平方向(略左右方向)を向く面とを有する略逆L字状に形成される。接続部64bには、板面を左右に貫通する貫通孔64baが形成される。貫通孔64baは、長手方向を上下方向に向けた略長孔状に形成される。
キャビン側取付部64cは、キャビン10に固定される部分である。キャビン側取付部64cは、板面を水平方向(略左右方向)に向けた略板状に形成される。
上述の如く構成される下側固定部64は、第三ボルトB3が締結されることで、本体部61をキャビン10に固定する。具体的には、接続部64bの貫通孔64baに挿通された第三ボルトB3がキャビン側取付部64cに締結されることで、接続部64bがキャビン側取付部64cに固定される。またパイプ側取付部64aの貫通孔64aaに挿通された第三ボルトB3が接続部64bの上面に締結されることで、パイプ側取付部64aが接続部64bに固定される。このようにして、本体部61は接続部64bを介してキャビン10に固定される。
この際、長孔状の貫通孔64baにより、キャビン側取付部64cに対する接続部64bの上下位置を調整することができる。また、貫通孔64aaにより、接続部64bに対するパイプ側取付部64aの水平位置を調整することができる。このようにして、接続部64bを介することで、キャビン10に対する本体部61の上下位置及び水平位置を調整することができる。
図6に示す上側固定部65は、キャビン10に固定される略板状の部材と、第二パイプ60の本体部61に固定される略板状の部材と、を具備する。上側固定部65は、略板状の部材を互いに固定することで本体部61をキャビン10に固定することができる。
このように本体部61は、上側固定部65及び下側固定部64によってキャビン10に固定されて支持されている。なお、本体部61(第二パイプ60)はキャビン10にのみ固定され、車体のその他の部分、例えば、トランスミッションケース5(第一パイプ50が固定される部材)には固定されていない。
上述の如く構成される第二パイプ60は、図9に示すように、第一パイプ50と分離した状態(縁切りした状態)で配置される。より詳細には、第二パイプ60は、第一パイプ50と連結されず、かつ、互いに接触しないように配置される。当該第二パイプ60は、第一パイプ50に対して上方(排気ガスの流通方向下流側)に僅かに隙間(例えば、数mm程度の間隔)をあけて配置される。以下では、第一パイプ50と第二パイプ60との間の隙間を「分離部分A」と称する。第二パイプ60は、分離部分Aにより、図10に示すように、正面視で(第二パイプ60の軸線方向に対して直交する方向から見て)第一パイプ50と重複しないように設けられる。
図2及び図4に示すように、マフラカバー70は、マフラパイプ40を外側から覆うものである。マフラカバー70は、第一カバー80、第二カバー90及び第三カバー100を具備する。
図2及び図5に示すように、第一カバー80は、マフラパイプ40のうち、排気ガスの流通方向上流側を覆うものである。具体的には、第一カバー80は、第一パイプ50の第一直線部51aから第二直線部51cまでを覆うものである。第一カバー80は、第一直線カバー81及び第二直線カバー82を具備する。
第一直線カバー81は、第一パイプ50の第一直線部51aから第一屈曲部51bの中途部までを覆うものである。図5及び図7に示すように、第一直線カバー81は、開口部を第一直線部51a側に向けた略U字状の部材を互いに固定することで構成される。第一直線カバー81は、第一直線部51aに沿うような略直線状に形成される。第一直線カバー81は、第一ボルトB1により第一パイプ50の締結部52に固定される。なお、図5では、後側の締結部52に締結される第一ボルトB1の記載を省略している。
第二直線カバー82は、第一パイプ50の第一屈曲部51bの中途部から第二直線部51cまでを覆うものである。第二直線カバー82は、開口部を下方に向けた略U字状の断面形状に形成される。第二直線カバー82は、第二直線部51cに沿うような略直線状に形成される。第二直線カバー82は、第一ボルトB1により第一パイプ50の締結部52に固定される。
図2及び図6に示す第二カバー90は、マフラパイプ40のうち、排気ガスの流通方向下流側を覆うものである。具体的には、第二カバー90は、第二パイプ60を覆うものである。第二カバー90は、第一カバー80に対してマフラパイプ40の長手方向に間隔をあけて配置される。第二カバー90は、直線カバー91及び先端カバー92を具備する。
直線カバー91は、第二パイプ60の上下中途部(上端部及び下端部を除く部分)を覆う部分である。直線カバー91は、開口部を第二パイプ60側に向けた略半円状の部材をボルト(以下、「第四ボルトB4」と称する)で互いに固定することで構成される。直線カバー91は、第二パイプ60に沿うような略直線状に形成される。直線カバー91は、第二ボルトB2により第二パイプ60の締結部62に固定される。この際、第二ボルトB2の軸部は、図11に示すように、第二パイプ60に対して接触しないように(隙間をあけて)配置されている。
図6に示す先端カバー92は、第二パイプ60の上端部を覆う部分である。先端カバー92は、第二パイプ60の先端部よりも一回り大きい形状に形成される。先端カバー92は、ボルト(不図示)により内管61aのボス部61cに固定される。
図7及び図8に示すように、第三カバー100は、マフラパイプ40のうち、排気ガスの流通方向における中途部を覆うものである。具体的には、第三カバー100は、第一パイプ50の第二屈曲部51d及び取付部51e(供給部53)と、分離部分A(図9参照)と、第二パイプ60の下端部と、を覆うものである。第三カバー100は、第一カバー80から第二カバー90までに亘るように設けられる。第三カバー100は、前側カバー100a及び後側カバー100bをボルト(以下、「第五ボルトB5」と称する)で互いに固定することで構成される。後側カバー100bは、上端部の位置が前側カバー100aよりも高くなるように形成される。第三カバー100は、第一直線部101、第二直線部102、重複部103、第一貫通孔104、第二貫通孔105及び導入部106を具備する。
第一直線部101は、略上下方向(第二パイプ60の軸線方向)に延びる略直線状の部分である。第一直線部101は、第三カバー100の右部に形成され、第二パイプ60の下端部や分離部分A等を覆うように配置される。第一直線部101の下端部は、開口するように形成される。
第二直線部102は、略左右方向(第一パイプ50の第二直線部51cの延出方向)に沿うような略直線状の部分である。第二直線部102は、第一パイプ50の第二屈曲部51d等を覆うように配置される。第二直線部102は、第一カバー80の第二直線カバー82よりも一回り大きい略逆U字状に形成される。第二直線部102の下端部は、開口するように形成される。
重複部103は、第一カバー80の第二直線カバー82と重複する部分である。重複部103は、第二直線部102の左端部(第一カバー80に近い側の端部)に形成される。重複部103は、第二直線カバー82の右端部を外側から覆うように配置され、所定方向視(正面視及び平面視)で第二直線カバー82と重複するように形成される。重複部103は、第二直線カバー82と接触しないように、第二直線カバー82の外側に所定の間隔をあけて配置される。
第一貫通孔104は、前側カバー100a及び後側カバー100bを固定する第五ボルトB5を取り付けるための孔である。第一貫通孔104は、第三カバー100(前側カバー100a及び後側カバー100b)を略左右方向へ貫通するように形成される。第一貫通孔104は、第一直線部101の左端部及び右端部(左側面及び右側面)、並びに第二直線部102の上端部(上面)にそれぞれ形成される。
第二貫通孔105は、第三カバー100を第二カバー90へ固定するボルト(以下、「第六ボルトB6」と称する)を取り付けるための孔である。第二貫通孔105は、前側カバー100a及び後側カバー100bのうち、後側カバー100bにのみ(前側カバー100aよりも高い部分に)形成される。第二貫通孔105は、後側カバー100bの右端部及び左端部にそれぞれ形成される。
導入部106は、外気(外部の空気)を第三カバー100の内部へ導入する部分である。導入部106は、第一直線部101及び第二直線部102の下端部(開口部分)に形成される。
上述の如く構成される第三カバー100は、第二カバー90に固定される。具体的には、第二カバー90に対して前側カバー100a及び後側カバー100bが前後方向外側から嵌め合わされる。当該前側カバー100a及び後側カバー100bは、第五ボルトB5により互いに固定される。また、後側カバー100bは、第六ボルトB6により、第二カバー90に固定される。こうして第三カバー100は、第一カバー80及び第二カバー90のうち、第二カバー90にのみ固定される。
上述の如く構成されたトラクタ1において、エンジン3からの振動は、エンジン3に接続された第一パイプ50に伝達される。これに対し、キャビン10側(下流側)の第二パイプ60は、図8及び図9に示すように第一パイプ50に対して分離されているため、エンジン3の振動が第一パイプ50を介して第二パイプ60へと伝達されることがない。これによって、第二パイプ60の振動を低減することができ、第二パイプ60の破損を防止することができる。また、第二パイプ60の振動を低減することで、当該第二パイプ60が固定されるキャビン10の振動も低減することができる。これによって、キャビン10内の騒音の発生を防止することができる。また、本実施形態のようにマフラパイプ40を分離して振動を低減させることで、防振ゴム等の振動を低減させるための部材の設置個数を減らすことができ、コストの低減を図ることができる。
また、マフラパイプ40には、例えば、トラクタ1の走行時等にエンジン3からの排気ガスがDPF30(図2参照)を介して導入される。当該排気ガスは、第一パイプ50を流通し、図9に実線で示すように、供給口53aから第二パイプ60の導入口63aへと導入され、第二パイプ60内へ流入する。そして排気ガスは、第二パイプ60を上方へ流通して第二パイプ60の上端部から外部へと排出される。こうしてマフラパイプ40は、エンジン3からの排気ガスを外部へと案内することができる。
この際、第二パイプ60は第一パイプ50に対して分離されているため、第二パイプ60は、導入口63aから排気ガスだけではなく外気も導入することができる(図9に破線で示す矢印参照)。このように外気を導入することで、排気ガスの温度を低下させることができる。特に、第二パイプ60は、第一パイプ50に対して排気ガスの流通方向下流側(上方)に間隔をあけて配置されている。これにより、空気の導入が第一パイプ50で阻害され難くなるため、第二パイプ60に空気を効率的に導入できる。これによって、排気ガスの温度を効果的に低下させることができる。
また、第一パイプ50は、絞り部53bを形成し、排気ガスが供給口53aから内向きに流出するように案内している。これによって、供給口53aと同心上に配置された導入口63aへ排気ガスが流入し易くなり、排気ガスが外部へ漏れ出す(導入口63aへ流入することなく第二パイプ60の外部へ流出する)のを抑制することができる。また、絞り部53bにより供給部53の外径を絞ることで、外気を導入口63aへ導入し易くすることができる。
また、本実施形態の第一パイプ50は、第二パイプ60に挿入されていない(径方向に重複しない)ため、第二パイプ60の内径及び外径を比較的小さくすることができる。このように第二パイプ60の径が大きくなるのを抑制することができるため、コストの低減やマフラ装置20の小型化を図ることができる。
また、本実施形態のマフラ装置20では、供給口53aの上方に第二パイプ60を配置することで、第一パイプ50内への異物の混入を第二パイプ60で阻止することができる。また、導入口63aの内径を供給口53aの内径よりも大きくし、平面視において供給口53aを外側から覆うように導入口63aを形成している(図11参照)。このように、供給口53aを導入口63aによって上方から覆うように配置することで、供給口53aから第一パイプ50内へ異物が入るのを効果的に抑制することができる。
また、上述のように排気ガスを案内するマフラパイプ40は、所定の部分のメンテナンスや点検(確認)等が行われる場合がある。例えば本実施形態のように、第二パイプ60が第一パイプ50に対して分離している場合、トラクタ1の製造時やメンテナンス時等に、分離部分Aを確認し、必要に応じて供給口53a及び導入口63aの位置を合わせる(芯出しする)必要がある。供給口53a等を覆うマフラカバー70は、このような分離部分Aの確認等を行い易くなるように構成されている。以下、具体的に説明する。
分離部分Aの確認等を行う場合、分離部分Aを覆う第三カバー100を着脱する必要がある。当該第三カバー100は、図7及び図8に示すように、第一カバー80及び第二カバー90に対して外側から嵌め合わされている。また、第三カバー100は、前側カバー100a及び後側カバー100bを固定するための第五ボルトB5と、後側カバー100bを第二カバー90に固定するための第六ボルトB6と、により第二カバー90に固定されている。
したがって、分離部分Aの確認等を行う作業者は、第五ボルトB5及び第六ボルトB6を着脱すれば、第一カバー80及び第二カバー90をマフラパイプ40に固定した状態で(第一ボルトB1から第四ボルトB4を着脱しなくても)第三カバー100を着脱することができる。これにより、トラクタ1の製造時等に、第一カバー80及び第二カバー90をマフラパイプ40に固定した状態で、分離部分Aの確認を行ってから第三カバー100を組み付けることができる。また、メンテナンス時等に、マフラカバー70のうち、第三カバー100のみを着脱して分離部分Aの確認等を行うことができる。このように本実施形態のマフラ装置20では、製造作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、第三カバー100を固定するための第五ボルトB5及び第六ボルトB6は、キャビン10が配置されていない側(第三カバー100の左右方向外側面や上面)から第三カバー100に取り付けられる。これにより、第五ボルトB5及び第六ボルトB6の着脱時にキャビン10が邪魔になるのを抑制できるため、第三カバー100の着脱を容易に行うことができる。また、第三カバー100は、第五ボルトB5を着脱することで、前側カバー100a及び後側カバー100bのうち、前側カバー100aのみを着脱することができる。これにより、後側カバー100bを着脱することなく分離部分Aの確認等を行うことができる。
なお、供給口53a及び導入口63aの芯出しを行う場合、作業者は、図12に示す下側固定部64に取り付けられる第三ボルトB3を緩めて第二パイプ60の上下位置及び水平位置を調整し、当該第三ボルトB3を締め直す。このように、マフラ装置20では、第二パイプ60の上下位置及び水平位置の調整を、1箇所(下側固定部64)で行うことができる。これにより、供給口53a及び導入口63aの芯出しを効率的に行うことができる。
また、マフラカバー70は、上述した第二パイプ60の振動を低減できると共に、排気ガスの温度を低下できるように構成されている。具体的には、図8に示すように、第三カバー100は、第一カバー80及び第二カバー90のうち、第二カバー90にのみ固定されている。これにより、トラクタ1の走行時等に、第一パイプ50に固定された第一カバー80から第三カバー100へ振動が伝達されるのを抑制することができる。これによって、第三カバー100及び第二カバー90を介して第二パイプ60へ振動が伝達されるのを抑制し、第二パイプ60の振動を低減することができる。また、第三カバー100は、第一カバー80に対して間隔をあけて配置されているため、第一カバー80から振動が伝達されるのを効果的に抑制することができる。
また、第三カバー100の下端部(分離部分Aよりも流通方向上流側(下方))に導入部106が形成されているため、導入部106から第三カバー100内へ外気を導入し易くすることができる。これにより、第三カバー100内の温度を低下させることができる。また、温度を低下させた第三カバー100内の空気を第二パイプ60へ導入し(図9参照)、排気ガスの温度を低下させることができる。
また、導入部106は、第三カバー100の下端部の全域に形成される。これにより、第三カバー100内に外気を導入し易くすることができる。
ここで、排気ガスの影響でマフラカバー70内の温度が上昇すると、第三カバー100及び第二カバー90内を上向きに流通する空気の流れ(上昇気流)が発生する。これに伴って、第三カバー100は、外気を下方(導入部106)から第三カバー100内へ導入し、第二パイプ60へ導くことができる。このように、第三カバー100は、温度上昇に伴う空気の流れを利用して内部へ空気を効率的に導入し、排気ガスの温度をより効果的に低下させることができる。
また、第三カバー100内へ導入された空気は、第二パイプ60内だけではなく、第二パイプ60と第二カバー90の間の空間へも流入する。当該空気は、上方へ移動する。この際、空気は、図11に示すような締結部62や第二ボルトB2を通過し、第二カバー90の上端部から外部へ流出する。
上述の如く、第二ボルトB2の軸部は、第二パイプ60に対して隙間をあけて配置される。このように、第二ボルトB2を第二パイプ60の本体部61と接触しないように取り付けることで、排気ガスにより高温となった本体部61から第二ボルトB2へと熱が伝達されるのを抑制し、第二ボルトB2の温度上昇を抑制することができる。また、第二カバー90内を移動する空気は締結部62の隙間を流通することができるため、空気の流通が阻害され難く、効果的に第二カバー90内の温度上昇を抑制することができる。
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)のマフラ装置20は、エンジン3から排出される排気ガスを案内する第一パイプ50(第一マフラパイプ)と、前記第一パイプ50と分離した状態で配置され、前記第一パイプ50から供給される前記排気ガスを外部へと案内する第二パイプ60(第二マフラパイプ)と、を具備するものである。
このように構成することにより、エンジン3からの振動が第一パイプ50から第二パイプ60へと伝達するのを抑制することができる。これによって、第二パイプ60の先端側や第二パイプ60と接続された部材(キャビン10)の振動を低減することができる。
また、前記第一パイプ50は、前記エンジン3又は前記エンジン3に対して一体的に固定された部材(本実施形態ではトランスミッションケース5)に固定される固定部54(第一固定部)を具備し、前記第二パイプ60は、トラクタ1のキャビン10に固定される下側固定部64及び上側固定部65(第二固定部)を具備するものである。
このように構成することにより、エンジン3からの振動がキャビン10へと伝達するのを抑制することができる。
また、前記第二パイプ60は、前記排気ガスの流通方向において、前記第一パイプ50との間に隙間(分離部分A)を形成された状態で配置されているものである。
このように構成することにより、マフラパイプ40内へと空気を導入し易くなり、排気ガスの温度を低下させることができる。
また、前記第一パイプ50は、上方に向かって開口し、前記第二パイプ60へと前記排気ガスを供給する供給口53aを具備し、前記第二パイプ60は、下方に向かって開口すると共に前記供給口53aと対向するように配置され、前記供給口53aから供給される前記排気ガスを導入する導入口63aを具備するものである。
このように構成することにより、供給口53aから第一パイプ50内へと異物が混入するのを抑制することができる。
また、前記導入口63aは、平面視において、前記供給口53a全体と重複し、かつ前記供給口53aよりも大きくなるように形成されているものである(図11参照)。
このように構成することにより、供給口53aから第一パイプ50内へと異物が混入するのをより効果的に抑制することができる。
また、前記第二パイプ60は、前記導入口63aが形成される導入部63と、前記排気ガスの流路が前記導入口63aよりも小さくなるように形成され、前記導入口63aから導入された前記排気ガスを外部へと案内する本体部61と、を具備するものである。
このように構成することにより、導入口63aの径を大きく確保しながら、その他の部分(本体部61)の径を小さく抑えることができる。これによって、供給口53aから第一パイプ50内へと異物が混入するのを抑制しながらも、第二パイプ60の径が大きくなるのを抑制することができる。
また、前記第一パイプ50は、前記供給口53aに向かって前記排気ガスの流路を徐々に絞るように形成された絞り部53bを具備するものである。
このように構成することにより、排気ガスが外部へと漏れ出すのを抑制することができる。
また、本実施形態に係るトラクタ1は、前記マフラ装置20を具備するものである。
このように構成することにより、第二パイプ60の先端側や第二パイプ60と接続された部材の振動を低減することができる。
また、以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)のマフラ装置20は、エンジン3から排出される排気ガスを外部へと案内するマフラパイプ40と、前記マフラパイプ40のうち第一の部分(第一パイプ50の第一直線部51aから第二直線部51cまで)を覆うように前記マフラパイプ40に固定される第一カバー80(第一マフラカバー)と、前記マフラパイプ40のうち第二の部分(第二パイプ60の上下中途部)を覆うように前記マフラパイプ40に固定される第二カバー90(第二マフラカバー)と、前記マフラパイプ40のうち前記第一の部分と前記第二の部分との間の第三の部分(第一パイプ50の第二屈曲部51dから第二パイプ60の下端部まで)を覆うように配置され、前記第一カバー80及び前記第二カバー90が前記マフラパイプ40に固定された状態において脱着可能となるように設けられる第三カバー100(第三マフラカバー)と、を具備するものである。
このように構成することにより、第一カバー80及び第二カバー90を固定したままで第三カバー100を脱着できるため、マフラパイプ40(特に、第三の部分)の確認やメンテナンス等を容易に行うことができる。
また、前記第三カバー100は、前記第一カバー80及び前記第二カバー90のうち、前記第二カバー90にのみ固定されるものである。
このように構成することにより、第一カバー80と第二カバー90との間で振動が伝達されるのを抑制することができる。
また、前記第三カバー100は、前記第一カバー80と接触しないように配置されるものである。
このように構成することにより、第一カバー80と第二カバー90との間で振動が伝達されるのをより効果的に抑制することができる。
また、前記第三カバー100は、前記第一カバー80と重複するように配置される重複部103を具備するものである。
このように構成することにより、マフラカバー70内に異物が混入するのを抑制することができる。
また、前記第三カバー100は、横方向に延びる横部分(概ね水平方向に延びる第二直線部102)と、縦方向に延びる縦部分(概ね上下方向に延びる第一直線部101)と、を具備し、前記重複部103は、前記横部分に形成されているものである。
このように、横部分に重複部103を形成することで、自重で落ちてくる異物がマフラカバー70内に混入するのを抑制することができる。
また、前記マフラパイプ40は、前記第三の部分において分離するように形成されているものである。
このように構成することにより、マフラパイプ40の分離部分Aを容易に確認することができる。これによって、分離されたマフラパイプ40同士の位置調整等を容易に行うことができる。
また、前記第三カバー100は、外部の空気を内部へと導入する導入部106を具備するものである。
このように構成することにより、排気ガスの温度を低下させることができる。
また、前記第三カバー100は、外部の空気を内部へと導入する導入部106を具備し、前記導入部106は、前記マフラパイプ40を流通する排気ガスの流通方向において、前記マフラパイプ40が分離した部分よりも上流側に形成されているものである。
このように構成することにより、排気ガスの温度を低下させることができる。
また、前記導入部106は、前記マフラパイプ40が分離した部分の下方に形成されているものである。
このように構成することにより、排気ガスの温度をより効果的に低下させることができる。
また、本実施形態に係るトラクタ1は、前記マフラ装置20を具備するものである。
このように構成することにより、マフラパイプ40(第三の部分)の確認やメンテナンス等を容易に行うことができる。
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一パイプ50は、第一マフラパイプの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二パイプ60は、第二マフラパイプの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る固定部54は、第一固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る下側固定部64及び上側固定部65は、第二固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一カバー80は、第一マフラカバーの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二カバー90は、第二マフラカバーの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第三カバー100は、第三マフラカバーの実施の一形態である。
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る作業車はトラクタ1であるものとしたが、本発明に係る作業車の種類はこれに限定されるものでない。本発明に係る作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
また、第一パイプ50は、トランスミッションケース5に固定されたが、第一パイプ50が固定される部材は、特に限定されるものではない。例えば、第一パイプ50は、エンジン3に固定されていてもよい。また、第一パイプ50は、エンジン3及びトランスミッションケース5にそれぞれ固定されていてもよい。なお、キャビン10に伝達される振動を低減する観点から、第一パイプ50はキャビン10に対して直接的又は間接的に(何らかの部材を介して)固定されないように構成することが望ましい。
また、第二パイプ60は、第一パイプ50の上方に間隔をあけて配置されたが、第一パイプ50に対してどのような形で分離されるのかは特に限定されるものではない。例えば、第二パイプ60は、第一パイプ50に挿入されて、径方向に間隔をあけて配置されていてもよい。また、第一パイプ50(供給口53a)と第二パイプ60(導入口63a)は上下に向かい合うように配置された例を示したが、例えば左右に向かい合うように配置することも可能である。
また、導入口63aは、供給口53aよりも内径が大きくなるように形成されたが、供給口53aに対する大きさは特に限定されるものではない。例えば、導入口63aは、供給口53aと略同一の内径を有していてもよい。
また、第二パイプ60は、本体部61と別部材で構成された導入部63を必ずしも具備する必要はない。この場合、第二パイプ60(内管61a)の下端部が、排気ガスを導入する導入口となる。
また、供給部53は、内径を絞るための絞り部53bを具備するものとしたが、供給部53の形状は特に限定されるものではなく、例えば絞り部53bを有さず、軸線方向の一端部から他端部に亘って一定の内径を有するものであってもよい。
また、第三カバー100は、分離部分A等を覆うものとしたが、第三カバー100が覆う部分は特に限定されるものではなく、点検箇所やマフラパイプ40の構成に応じて適宜変更することができる。
また、第三カバー100は、第一カバー80及び第二カバー90がマフラパイプ40に固定された状態で着脱可能であれば、第三カバー100の構成は特に限定されるものではない。例えば、第三カバー100は、第五ボルトB5及び第六ボルトB6を左右方向外側等から取り付ける構成としたが、これに限定されるものではなく、前方等から取り付けてもよい。また、第三カバー100は、前側カバー100a及び後側カバー100bのうち、後側カバー100bのみ第二カバー90に固定されたが、これに限定されるものではなく、例えば、前側カバー100aのみが第二カバー90に固定されてもよい。また、第三カバー100は、第二カバー90に固定されたが、第三カバー100が固定される部材は特に限定されるものではない。例えば、第三カバー100は、第一カバー80に固定されていてもよい。また、第三カバー100は、第一カバー80及び第二カバー90とは異なる部材(例えば、マフラパイプ40等)に固定されていてもよい。
また、第三カバー100は、第一カバー80に対して間隔をあけて配置されたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一カバー80と接触していてもよい。また、第三カバー100は、必ずしも第一カバー80と重複する必要はない。
また、第三カバー100の第一直線部101は、略左右方向に延びるものとしたが、第一直線部101は、横方向(例えば、水平方向に対する傾斜角度が45°未満となる方向)を向いていれば、特に限定されるものではない。また、第二直線部102は、略上下方向に延びるものとしたが、第二直線部102は、縦方向(例えば、水平方向に対して45度以上傾斜する方向)を向いていれば、特に限定されるものではない。
また、第三カバー100の導入部106は、第三カバー100の下端部に形成されたが、導入部106の配置は特に限定されるものではなく、例えば、第三カバー100の右端部に形成されていてもよい。また、第三カバー100は、必ずしも導入部106を具備する必要はない。
以下では、本発明の第二実施形態に係る第一パイプ150について説明する。第一パイプ150は、受け部155等を設けることにより、第二パイプ60から垂れる液体(錆汁等)が、当該第二パイプ60の下方に配置された部材(第二実施形態では燃料タンク13)にかかるのを防止している点で、第一実施形態に係る第一パイプ50と相違している。以下、図13から図15を用いて第一パイプ150の構成について具体的に説明する。なお、以下では、第一実施形態と同様に構成される部分については、第一実施形態と同様の符号を付し、その説明を省略する。
図13から図15に示すように、第一パイプ150は、本体部151、締結部52、供給部53、固定部54及び受け部155を具備する。本体部151は、第一直線部51a、第一屈曲部51b、第二直線部51c、第二屈曲部51d及び取付部51eに加えて、連通孔151f及び排出孔151gを具備する。なお、第二直線部51cは、図13では左右方向に延びているが、実際には左下がりに僅かに傾斜するように形成されている。また、第二屈曲部51d及び第二パイプ60の下方には、燃料を貯溜するための燃料タンク13が配置されている。
図14に示す連通孔151fは、後述する受け部155と本体部151の内部空間とを連通するための孔である。連通孔151fは、取付部51eを径方向に貫通するように形成され、供給部53よりも低い位置に配置される。連通孔151fは、互いに周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では2つ)形成される。
図13(b)に示す排出孔151gは、本体部151内の液体を外部へ排出するための孔である。排出孔151gは、本体部151の第二直線部51cのうち、下方に他の部材が配置されていない(平面視で他の部材と重複しない)位置に形成される。第二実施形態に係る排出孔151gは、第二直線部51cの左端部に形成されている。排出孔151gは、第二直線部51cの底部(下部)を上下に貫通するように形成される。
図14及び図15に示す受け部155は、第二パイプ60から垂れる(落下する)液体を受けるための有底略筒状の部分である。受け部155は、開口部を上方へ向けて配置される。受け部155は、底部155aが本体部151の取付部51eに隙間なく外嵌され、供給部53の下方に配置される。受け部155は、連通孔151fを外周側から覆う(側面視で重複する)ように配置される。こうして受け部155は、連通孔151fによって本体部151の内部空間と連通される。受け部155の内径は、第二パイプ60の内管61aの内径よりも大きくなるように形成される。具体的には、受け部155の内径は、導入部63の導入口63aの内径と略同一の大きさとなるように形成される。受け部155は、内管61a(第二パイプ60)と同心上に配置される。こうして受け部155は、平面視において内管61aと重複すると共に内管61aよりも大きな形状に形成される。
上述の如く構成される第一パイプ150により、第二パイプ60から垂れる液体が燃料タンク13にかかるのを防止することができる。具体的には、第二パイプ60の内管61aでは、排気ガスが流通する際に水蒸気が結露する等して水が発生し、当該水が内管61aの内周面から垂れることがある。また、水の影響で第二パイプ60が腐食した場合、当該腐食により生成された錆汁が内管61aの内周面から垂れることがある。当該錆汁等は、図14に破線で示すように、供給部53の下方に配置された受け部155へ到達し、当該受け部155に貯溜される。このような構成により、錆汁等を受け部155で受け止めて、当該錆汁等が第二パイプ60の下方に配置された燃料タンク13(図13参照)へかかるのを防止することができる。これによって、燃料タンク13が汚れるのを防止することができる。
また、受け部155に貯溜された錆汁等は、連通孔151fを介して本体部151内へ案内され、当該本体部151の取付部51e内を下方へ流通する。そして錆汁等は、図13(a)に示す本体部151の第二屈曲部51dから第二直線部51cへ流通し、当該第二直線部51cを左方へ流通する。その後錆汁等は、第二直線部51cに形成された排出孔151gから本体部151の外部へと排出される。排出孔151gの下方には他の部材が配置されていないため、排出孔151gから錆汁等を排出することで、錆汁等が他の部材にかかるのを防止することができる。
以上の如く、第二実施形態に係る第一パイプ150(第一マフラパイプ)は、前記第二パイプ60から落下する液体を受ける受け部155をさらに具備するものである。
このような構成により、第二パイプ60の下方に配置された部材(燃料タンク13)に液体がかかるのを防止することができる。
また、第一パイプ150は、前記受け部155の液体を前記第一パイプ150の内部空間へと導入する連通孔151fと、下方に他の部材が配置されない位置に形成され、前記第一パイプ150内の液体を排出可能な排出孔151gと、をさらに具備するものである。
このような構成により、受け部155に溜まった液体(錆汁等)を、下方に他の部材が配置されていない位置(排出孔151g)から外部へと排出することができる。これにより、受け部155に溜まった液体を適切に(他の部材にかからないように)排出することができる。
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、受け部155は、有底略筒状に形成されるものとしたが、第二パイプ60から垂れる液体を受けることが可能であれば、受け部155の形状は特に限定されるものではない。なお、第一パイプ150及び第二パイプ60が多少傾斜していたとしても第二パイプ60から垂れる液体を受けることができるように、受け部155の大きさはある程度の大きさを確保することが望ましい。
また、連通孔151fは、複数形成されるものとしたが、連通孔151fの個数は特に限定されるものではなく、例えば、1つだけであってもよい。
また、排出孔151gは、第二直線部51cの左端部に1つ形成されるものとしたが、排出孔151gの位置や個数は特に限定されるものではない。