以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いて本発明の一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、フライホイールハウジング4、クラッチハウジング5、トランスミッションケース6、昇降装置7、前輪8、後輪9、ボンネット10、マフラ30、キャビン11、ステアリングホイール12及び座席13等を具備する。
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前下部に配置される。機体フレーム2の後部には、エンジン3が固定される。エンジン3の後部には、フライホイールハウジング4が固定される。フライホイールハウジング4の後部には、クラッチハウジング5が固定される。クラッチハウジング5の後部には、トランスミッションケース6が固定される。トランスミッションケース6の後部には、昇降装置7が設けられる。昇降装置7には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。
また、機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪8に支持される。トランスミッションケース6は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪9に支持される。
また、エンジン3は、ボンネット10に覆われる。ボンネット10の左側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ30が配置される。ボンネット10の後方には、キャビン11が設けられる。キャビン11の内部には、ステアリングホイール12、座席13、各種の操作具及びペダル等が配置される。
エンジン3の動力は、トランスミッションケース6に収容された変速装置(不図示)で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪8に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪9に伝達可能とされる。こうして、エンジン3の動力によって前輪8及び後輪9を回転駆動させ、トラクタ1は走行することができる。また、エンジン3の動力によって、昇降装置7に装着された作業装置を駆動させることができる。
次に、図2から図8を用いて、エンジン3の周辺(主に左側面の周辺)の構成について説明する。
エンジン3の周辺には、ボンネット10、サイドカバー21、サイドカバーブラケット22、オルタネータ23、オルタネータカバー24及びマフラ30等が設けられる。
図2及び図3に示すボンネット10は、前述の如く、エンジン3を覆うものである。ボンネット10は、エンジン3を左方から覆う側面部10aを具備する。側面部10aは、側面視略矩形状に形成される。側面部10aには、切欠部10bが形成される。切欠部10bは、側面部10aの外縁部(後下端部)を切り欠くことで形成される。
サイドカバー21は、切欠部10bの前端部に設けられる。サイドカバー21は、空気が通過可能となるように、網状に形成される。
図4に示すサイドカバーブラケット22は、サイドカバー21を支持するものである。サイドカバーブラケット22は、サイドカバー21の右方に配置され、エンジン3に固定される。サイドカバーブラケット22には、サイドカバー21が固定される。
オルタネータ23は、サイドカバーブラケット22の上方に配置される。オルタネータ23には、エンジン3の動力が伝達可能に構成される。オルタネータ23は、当該エンジン3からの動力によって発電可能に構成される。
オルタネータカバー24は、オルタネータ23の後方に配置される。オルタネータカバー24は、略板状の部材を適宜折り曲げることによって構成される。オルタネータカバー24は、上端部がエンジン3に固定されると共に、下端部に後述する取付部材70の前側取付部72が取り付けられる。
マフラ30は、オルタネータカバー24の後方に配置される。マフラ30は、DPF31(Diesel Particulate Filter)及び排気管32を具備する。
DPF31は、略箱状に形成され、内部にフィルターが設けられる。DPF31は、オルタネータカバー24の後上方に配置され、エンジン3と接続される。DPF31内には、エンジン3から排気ガスが流入する。DPF31は、前記フィルターによって、流入した排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集することができる。DPF31は、排出部31aを具備する。
図4から図6に示す排出部31aは、前記フィルターを通った排気ガスを後述する排気管32へ排出するためのものである。排出部31aは、略筒状に形成される。排出部31aは、DPF31の下面における前端部から下方へ延びると共に当該延びた端部が左後下方へ延びるように形成される。
排気管32は、排出部31aからの排気ガスをトラクタ1の外部へと排出するためのものである。排気管32は、上下に延びる軸状部材の下端部を略上方へ曲げたような略J字状に形成される。図7に示すように、排気管32は、排出部31aと接続される配管Pを、第一カバー部材C1や第二カバー部材C2等で適宜覆うことによって構成される。図5から図7に示すように、排気管32は、第一突出部32a、屈曲部32b、第二突出部32c、孔部32d及び突起部32eを具備する。
第一突出部32aは、排気管32のうち、最も排出部31aに近い側(排気ガスの流通方向における上流側)に形成される部分である。第一突出部32aは、排出部31aから左後下方へ突出するように形成される。図2及び図8に示すように、第一突出部32aは、側面部10a(切欠部10b)の下方からボンネット10の左方へと突出するように形成される。
図4から図6に示す屈曲部32bは、第一突出部32aと後述する第二突出部32cとを接続する部分である。屈曲部32bは、第一突出部32aの左後下端部から上方へ向けて屈曲するように形成される。
第二突出部32cは、屈曲部32bから上方へ突出する部分である。第二突出部32cの上端部は、前方を向いて開口しており、当該開口部分から排気ガスが外部へと排出される(図1参照)。
孔部32dは、屈曲部32bの下部に形成される孔である。孔部32dは、排気管32の第二カバー部材C2(最も外側の部材、図7参照)が開口されることで形成される。
図7に示す突起部32eは、排気管32の第一カバー部材C1(配管Pと第二カバー部材C2との間の部材)に形成される。突起部32eは、第一カバー部材C1から径方向外側へ突出するように形成される。
このように構成される排気管32は、エンジン3の駆動時に排気脈動の影響で振動する。本実施形態に係るトラクタ1には、当該排気管32を支持する(振動を抑制する)ための構造として、支持構造40が適用されている。
以下では、図5から図16を用いて支持構造40について説明する。
支持構造40は、支持部材50、連結部材60、取付部材70及び制振部材80を具備する。
図5に示す支持部材50は、排気管32を下方から支持するためのものである。支持部材50は、フレーム51及び閉塞部材52を具備する。
図9から図11に示すフレーム51は、開口部を上方へ向けた略U字状に形成される部材である。フレーム51は、右前方(左後方)へ延びるように形成される。フレーム51は、底面部51a及び一対の側壁51bを具備する。
底面部51aは、フレーム51の下部である。底面部51aは、長手方向を右前方(左後方)に向けた平面視略矩形状に形成される。底面部51aには、後述するボルト61と締結されるブロック状の締結部51eが設けられる。締結部51eは、底面部51aの左前部及び右後部に設けられる。
一対の側壁51bは、フレーム51の側部である。一対の側壁51bは、底面部51aの短手方向一端部及び他端部からそれぞれ上方へと立ち上がるように形成される。一対の側壁51bは、互いに対向するように形成される。一対の側壁51bは、底面部51aの短手方向一端部及び他端部の全域に亘って形成される。一対の側壁51bの上側面は、排気管32の屈曲部32b(第一カバー部材C1)の形状に沿うような略円弧状に形成される。
このように構成されるフレーム51は、図12に示すように、屈曲部32bに固定される。具体的には、一対の側壁51bの上端部は、屈曲部32bに形成された孔部32dを介して第二カバー部材C2の内側に配置される。当該一対の側壁51bの上端部は、第二カバー部材C2内において、第一カバー部材C1と当接される。フレーム51は、一対の側壁51bと第一カバー部材C1との当接箇所の全域が溶接されることによって、屈曲部32bに固定される。こうして、フレーム51は、その上端部が排気管32(第二カバー部材C2)に入り込むようにして設けられる(図6参照)。
このようにフレーム51が屈曲部32bに固定された状態において、当該フレーム51と屈曲部32b(第一カバー部材C1)との間には、内部空間Sが形成される。内部空間Sは、右前端部(図12における紙面左端部)及び左後端部(図12における紙面右端部)において開口する。以下では、内部空間Sのうち、左後端部において開口する部分を「後側開口部S1」と称する。また、内部空間Sのうち、右前端部において開口する部分を「前側開口部S2」と称する。
図10に示す閉塞部材52は、内部空間Sを閉塞するためのものである。閉塞部材52は、後側閉塞部材53及び前側閉塞部材54を具備する。
後側閉塞部材53は、内部空間Sを後方から閉塞するための略板状の部材である。後側閉塞部材53は、長手方向を上下方向に向けた略矩形状に形成される。後側閉塞部材53は、板面を底面部51aの長手方向と同一方向(右前方(左後方))に向けて配置される。後側閉塞部材53の短手方向幅は、一対の側壁51bの内側面間の距離よりも大きく、かつ、一対の側壁51bの外側面間の距離よりも小さくなるように形成される。図11に示すように、後側閉塞部材53の厚みW53は、フレーム51の厚みW51の半分以下となるように形成される。図10に示すように、後側閉塞部材53は、円弧状部53a及び切欠部53bを具備する。
円弧状部53aは、下に凸の略半円状に形成される。円弧状部53aは、後側閉塞部材53の上側面の全域に形成される。円弧状部53aは、屈曲部32b(第一カバー部材C1)の形状に沿うように形成される。
切欠部53bは、後側閉塞部材53の上端(円弧状部53a)における中央部に形成される。切欠部53bは、円弧状部53aを下方へ切り欠いたような略矩形状に形成される。切欠部53bを円弧状部53aの中央部に形成することで、支持部材50に生じる衝撃や熱膨張等による部材への影響を緩和する効果を有する。
前側閉塞部材54は、内部空間Sを前方から閉塞するための略板状の部材である。前側閉塞部材54は、その上下方向幅(長手方向幅)が後側閉塞部材53の上下方向幅よりも小さい点を除いて、後側閉塞部材53と同様に構成される。具体的には、前側閉塞部材54の円弧状部54a及び切欠部54bは、後側閉塞部材53の円弧状部53a及び切欠部53bに相当する。
このように構成される閉塞部材52において、後側閉塞部材53は、フレーム51の左後端部に固定される。具体的には、図9及び図11に示すように、後側閉塞部材53は、右前側面がフレーム51の左後端面51cと当接される。後側閉塞部材53は、このような状態で、右前側面とフレーム51の左後端面51cとが局所的に(本実施形態では図9の点P1で示す箇所、合計4箇所)溶接される。こうして、後側閉塞部材53は、図12に示すように、内部空間Sの後側開口部S1を閉塞する。当該後側閉塞部材53には、複数(例えば4〜8つ)の溶接部が形成されることとなる。
このような後側閉塞部材53の上端部は、孔部32dを介して第二カバー部材C2の内側に配置される。当該後側閉塞部材53は、図13に示すように、円弧状部53aが第一カバー部材C1と当接すると共に、切欠部53bが突起部32eと係合される。なお、図13では、説明のため、第二カバー部材C2等を外した排気管32を示している。
また、前側閉塞部材54は、後側閉塞部材53と同じようにして、フレーム51の右前端部に固定される。具体的には、図11及び図12に示すように、前側閉塞部材54は、左後側面がフレーム51の右前端面51dと当接され、当該右前端面51dに局所的に(本実施形態では4箇所)溶接される。これによって、前側閉塞部材54は、内部空間Sの前側開口部S2を閉塞する。当該前側閉塞部材54には、複数(例えば4〜8つ)の溶接部が形成されることとなる。
このような前側閉塞部材54の上端部は、孔部32dを介して第二カバー部材C2の内側に配置される。当該前側閉塞部材54は、後側閉塞部材53と同様に、円弧状部54aが第一カバー部材C1と当接すると共に、切欠部54bが突起部32eと係合される。
このように、支持部材50は、フレーム51を屈曲部32bに固定するだけでは内部空間Sが開口してしまうところ、閉塞部材52によって当該内部空間Sの開口部分を塞いでいる。これによって、本実施形態に係る内部空間Sは、その開口部分の全域が閉塞された状態となっている。
図13に示す連結部材60は、支持部材50を後述する取付部材70に連結するためのものである。連結部材60は、板面を上下方向に向けた板材の右端部を下方へと折り曲げたような、正面視略L字状の部材を適宜補強することによって構成される。連結部材60には、支持部材50が載置され、ボルト61(図6参照)によって当該支持部材50が固定される。ボルト61は、連結部材60及び支持部材50の下方から、支持部材50の締結部51e(図11参照)と締結される。
取付部材70は、支持部材50及び後述する制振部材80をエンジン3に取り付けるためのものである。取付部材70は、複数の略板状の部材を適宜組み合わせて構成される。図13及び図14に示すように、取付部材70は、支持部71、前側取付部72及び後側取付部73を具備する。
支持部71は、前後に長い長尺状に形成される。支持部71は、長手方向を略前後方向に向けて配置される。より詳細には、支持部71は、後端部から前後中途部(前後中央部よりも前方)まで前後方向に沿って延びると共に、当該延びた端部が右前方へ延出するように形成される。支持部71は、前後に長い板材の左端部を下方へ折り曲げたような、正面視略L字状に形成される。
前側取付部72は、支持部71の前端部から上方へ突出する部分である。前側取付部72は、複数の板材を適宜組み合わせて構成される。
後側取付部73は、支持部71の後端部に形成される。後側取付部73は、支持部71の後端部に平面視略L字状の部材を固定することで構成される。
このように構成される取付部材70は、図4に示すように、支持部71の前端部がサイドカバーブラケット22に固定される。また、前側取付部72は、オルタネータカバー24に固定される。こうして、取付部材70は、サイドカバーブラケット22及びオルタネータカバー24を介してエンジン3の前部に固定される。また、取付部材70の後側取付部73は、フライホイールハウジング4に固定される。これによって、取付部材70は、エンジン3の後部に固定される。図4及び図13に示すように、当該取付部材70(支持部71)の前後中途部には、ボルトによって連結部材60が固定される。これにより、取付部材70は、連結部材60を介して支持部材50をエンジン3に取り付けることができる。
制振部材80は、排気管32の水平方向の振動を抑制するためのものである。図14及び図15に示すように、制振部材80は、第一アーム81、第二アーム82、上側取付部83及び下側取付部84を具備する。
第一アーム81は、棒状部材が適宜曲げられたような形状に形成される。第一アーム81は、上側鉛直部81a、長手部81b及び下側鉛直部81cを具備する。
上側鉛直部81aは、第一アーム81の上部である。上側鉛直部81aは、上下に延びるように形成される。
長手部81bは、第一アーム81の上下中途部であると共に、平面視において長手方向を右前方(左後方)に向けた棒状に形成される部分である。長手部81bは、上側鉛直部81aの下端部から折れ曲がり、右前下方へ延びるように形成される。長手部81bの長手方向は、平面視において、排気管32の第一突出部32aの突出方向(左後方(右前方))と略平行となるように形成される(図8参照)。
下側鉛直部81cは、第一アーム81の下部である。下側鉛直部81cは、長手部81bの右前下端部から折れ曲がり、下方へ延びるように形成される。
第二アーム82は、棒状部材が適宜曲げられたような形状される。第二アーム82は、第一アーム81の後方に配置される。第二アーム82は、上側鉛直部82a、長手部82b及び下側鉛直部82cを具備する。
上側鉛直部82aは、第二アーム82の上部である。上側鉛直部82aは、上下に延びるように形成される。上側鉛直部82aは、第一アーム81の上側鉛直部81aと接するように設けられる。
長手部82bは、第二アーム82の上下中途部であると共に、平面視において長手方向を右後方(左前方)に向けた棒状に形成される部分である。長手部82bは、上側鉛直部82aの下端部から折れ曲がり、右後下方へ延びるように形成される。長手部82bは、平面視において、第一アーム81の長手部81bとの間で成す角度が90度未満となるように形成される。具体的には、第一アーム81の長手部81bの長手方向に沿った直線L81と、第二アーム82の長手部82bの長手方向に沿った直線L82と、が成す角度D1が90度未満(本実施形態では約60度)となるように形成される(図15(b)参照)。
下側鉛直部82cは、第二アーム82の下部である。下側鉛直部82cは、長手部82bの右後下端部から折れ曲がり、下方へ延びるように形成される。下側鉛直部82cは、第一アーム81の下側鉛直部81cの後方に位置する。
上側取付部83は、第一アーム81及び第二アーム82を排気管32に取り付けるためのものである。上側取付部83は、板面を上下方向に向けた板状部材の右前部を上方へ折り曲げたような略L字状に形成される。上側取付部83の下面には、第一アーム81及び第二アーム82(上側鉛直部81a・82a)の上端部が固定される。上側取付部83は、固定部83aを具備する。
固定部83aは、上側取付部83の右前部(上方へ折り曲げられた部分)である。固定部83aは、板面を右前方(左後方)を向けた略板状に形成される。また、図8に示すように、固定部83aの板面は、平面視において、排気管32の第一突出部32aの突出方向(左後方(右前方))に対して前方に傾斜する方向を向くように形成される。また、固定部83aの板面は、平面視において、第一アーム81の長手部81bの長手方向(左後方(右前方))に対しても、前方に傾斜する方向を向くように形成される。また、固定部83aの板面は、平面視において、第二アーム82の長手部82bの長手方向(左前方(右後方))に対して概ね直交する方向(本実施形態では約85度傾斜する方向)を向くように形成される。
図14及び図15に示す下側取付部84は、第一アーム81及び第二アーム82を取付部材70に取り付けるためのものである。下側取付部84は、略板状に形成される。下側取付部84は、長手方向を前後方向に向けた平面視略矩形状に形成される。下側取付部84の上面には、第一アーム81及び第二アーム82(下側鉛直部81c・82c)の下端部が固定される。
このように、制振部材80は、2本のアーム(第一アーム81及び第二アーム82)の上端部及び下端部を、板材(上側取付部83及び下側取付部84)によって一体的に形成したような形状となっている。当該制振部材80は、図13に示すように、上側取付部83の固定部83aが、所定の部材を介して排気管32の第二突出部32cに固定される。こうして、上側取付部83は、第一アーム81及び第二アーム82を第二突出部32cに取り付けることができる。上側取付部83は、排気管32に固定された状態において、ボンネット10の左方、かつ、ボンネット10(切欠部10b)よりも高い位置に配置される(図15(a)参照)。
また、制振部材80の下側取付部84は、取付部材70の支持部71の前後中途部に載置され、当該支持部71に固定される。こうして、下側取付部84は、第一アーム81及び第二アーム82を取付部材70に取り付けることができる。これによって、制振部材80は、取付部材70等を介してエンジン3に支持される。
このようにして設けられた制振部材80は、図8に示すように、排気管32の後方に配置される。また、第一アーム81の長手部81bは、第一突出部32aの後方において、平面視でボンネット10を跨ぐように設けられる。また、第二アーム82の長手部82bは、第一アーム81の長手部81bの後方において、平面視でボンネット10を跨ぐように設けられる。
以上の如く構成された支持構造40においては、排気管32が排気脈動の影響で振動すると、当該振動を支持部材50及び制振部材80で受けることができる。これにより、排気管32の振動を抑制し、排気管32に応力が作用するのを抑制することができる。
特に、制振部材80によれば、排気管32の水平方向の振動を効果的に抑制することができる。具体的には、図16に示すように、制振部材80は、平面視で所定方向に延びる長手部81b・82bを具備している。当該長手部81b・82bにより、水平方向の振動を受けて、排気管32の水平方向の振動を抑制することができる。なお、図16においては、説明の便宜上、排気管32の断面を模式的に示している。
ここで、長手部81b・82bは、自身の長手方向(平面視における長手方向)と同一方向の振動を効果的に抑制できる反面、自身の長手方向と直交する方向の振動を抑制し難く(受け難く)なる。そこで、本実施形態に係る長手部81b・82bは、平面視で互いに傾斜する(互いの長手方向が同一方向を向かない)ように形成されている。このような構成により、排気管32が水平方向のいずれの方向に振動したとしても、長手部81b・82bで当該振動を抑制することができる。これによって、制振部材80は、排気管32の水平方向の振動を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る排気管32は、左後下方へ延びる第一突出部32aと、上方へ延びる第二突出部32cと、を具備している(図4参照)。このような構成においては、第一突出部32aの突出方向A1(平面視における突出方向)の振動と、当該突出方向A1に対して直交する直交方向A2の振動と、により排気管32に応力が作用し易くなる。
本実施形態に係る第一アーム81の長手部81bは、平面視において、突出方向A1に対して略平行となるように形成されている。このような構成によって、突出方向A1の振動を効果的に抑制することができる。また、長手部81bに対して傾斜する第二アーム82の長手部82bにより、直交方向A2の振動も抑制することができる。特に、本実施形態に係る長手部82bは、長手部81bと直交するのではなく、平面視で90度未満となるように形成されている。これによって、長手部82bは、突出方向A1及び直交方向A2の振動を両方とも抑制することができる。こうして、制振部材80は、突出方向A1及び直交方向A2の振動を抑制し、排気管32に応力が作用するのを効果的に抑制することができる。
また、第二アーム82の長手部82bを、第一アーム81の長手部81bに対して平面視で90度未満となるように形成することで、長手部82bの右後端部が、長手部81bの右前端部に対して後方へ離間し難くすることができる。これによって、制振部材80の前後方向幅が大きくなるのを抑制し、制振部材80の形状をコンパクトにすることができる。
また、本実施形態においては、突出方向A1に対して略平行な第一アーム81の長手部81bを排気管32の第一突出部32aの後方に設けている。このような構成により、長手部81bを第一突出部32aに近接させて配置することができるため、第一突出部32aの後方のスペースを有効に活用することができる。
また、本実施形態においては、第二アーム82を第一アーム81の後方に設けている。このような構成により、排気管32の第一突出部32aの右側(左右内側)のスペースに制振部材80を配置して、当該スペースを有効に活用することができる。
制振部材80は、2本のアーム(第一アーム81及び第二アーム82)をそれぞれ排気管32及び取付部材70に取り付けている。このような構成により、2本のアームをそれぞれ取付部材70で支持することができ、安定した状態で排気管32の振動を受けることができる。
また、上側取付部83及び下側取付部84によれば、2本のアーム(第一アーム81及び第二アーム82)を、排気管32及びエンジン3にまとめて取り付けることができる。これによって、制振部材80の取付の手間を省いて組付性を向上させることができる。
また、前述の如く、第一アーム81及び第二アーム82を排気管32に取り付ける上側取付部83は、ボンネット10(切欠部10b)よりも高い位置に配置されている。このような構成により、制振部材80は、比較的高い位置において、当該排気管32の振動を受けることができる(図6参照)。これによって、排気管32の振動を効果的に抑制することができる。
ここで、排気管32は、エンジン3の駆動時に排気ガスの影響で高温となる。このため、排気管32の周辺に藁等の異物があると、当該排気管32により異物が加熱されてしまう。特に、図12に示すフレーム51は、開口部を上方へ向けた略U字状に形成されているため、内部空間Sに異物が入り込むと、当該異物が内部空間Sに留まって加熱され易くなってしまう。そこで、本実施形態に係る支持構造40では、フレーム51に閉塞部材52を取り付けて、内部空間Sを閉塞している。これによれば、内部空間Sに異物が入るのを抑制することができるため、排気管32により異物が加熱されるのを防止することができる。
また、図8に示すように、本実施形態に係る排気管32(第一突出部32a)は、ボンネット10から左側(左後方)へ突出している。このような構成においては、図12に示す内部空間Sの後側開口部S1側がトラクタ1の左右外側となり、内部空間Sの前側開口部S2側がトラクタ1の左右内側となる。
本実施形態に係る閉塞部材52は、後側閉塞部材53によって内部空間Sの後側開口部S1を閉塞している。これにより、後側開口部S1及び前側開口部S2のうち、左右外側を向いて異物が入り易い後側開口部S1を閉塞することができる。これによって、内部空間Sに藁等の異物が入るのを効果的に抑制することができる。
また、閉塞部材52は、後側開口部S1だけではなく、前側開口部S2も前側閉塞部材54によって閉塞している。これにより、内部空間Sの開口部を全て塞いで、内部空間Sに藁等の異物が入るのを効果的に抑制することができる。
また、図11に示すように、後側閉塞部材53及び前側閉塞部材54は、フレーム51の内側面(底面部51aの上面及び側壁51bの内側面)に接するのではなく、フレーム51の左後端面51c及び右前端面51dに接するように設けられている。このような構成によれば、後側閉塞部材53に右前方への外力が作用した場合に、当該外力をフレーム51で受けることができる。また、前側閉塞部材54に左後方への外力が作用した場合に、当該外力をフレーム51で受けることができる。
ここで、フレーム51に閉塞部材52(後側閉塞部材53及び前側閉塞部材54)を固定すると、支持部材50の強度が高くなる。これによって、排気管32の振動を抑制する効果が高くなる半面、振動時に排気管32の支持部材50と接する部分(屈曲部32b)の周辺に応力が集中し易くなる。当該応力集中に起因して、排気管32には、変形や破損が生じる可能性がある。そこで、本実施形態においては、閉塞部材52の固定方法や形状等を工夫することで、フレーム51に閉塞部材52を固定したとしても、支持部材50の強度が過剰に高くならないようにしている。
具体的には、閉塞部材52は、フレーム51の左後端面51c及び右前端面51dの全域に溶接されるのではなく、フレーム51と局所的に溶接されている(図9に示す点P1参照)。このような構成により、閉塞部材52を左後端面51c及び右前端面51dの全域に溶接した場合と比較して、閉塞部材52のフレーム51との接合強度を低くすることができる。これにより、閉塞部材52をフレーム51に固定したとしても、支持部材50の強度が過剰に高くならないようにすることができる。これによって、排気管32の振動時に支持部材50の周辺に応力が集中するのを抑制し、排気管32の変形や破損が生じるのを抑制することができる。
また、図11に示すように、閉塞部材52の厚みW53・W54は、フレーム51の厚みW51の半分以下となるように構成されている。これにより、本実施形態においては、閉塞部材52の強度を比較的低くしている。これによって、閉塞部材52をフレーム51に取り付けたとしても、支持部材50の強度が過剰に高くならないようにすることができる。
以上の如く、本実施形態に係る排気管32の制振部材80は、平面視において、長手方向を所定方向に向けた長手状の長手部81b(第一長手部)を有し、トラクタ1(作業車)の排気ガスを排出する排気管32の水平方向の振動を受ける第一アーム81と、平面視において、長手方向を前記所定方向に対して傾斜する方向に向けた長手状の長手部82b(第二長手部)を有し、前記排気管32の水平方向の振動を受ける第二アーム82と、を具備するものである。
このように構成することにより、平面視で互いに異なる2方向に延びた長手部81b・82bにより、排気管32の振動を受けることができる。これによって、排気管32の振動を効果的に抑制することができるため、排気管32の振動時に、当該排気管32に作用する応力を低減することができる。
また、前記第一アーム81及び前記第二アーム82は、棒状に形成されるものである。
このように構成することにより、第一アーム81及び第二アーム82の形状を簡素化することができる。
また、前記長手部82bは、平面視において、前記長手部81bとの間で成す角度が90度未満となるように形成されるものである。
このように構成することにより、第一アーム81の長手部81bの右前端部、及び第二アーム82の長手部82bの右後端部(離間する側の端部同士)の間隔が大きくなるのを抑制することができるため、制振部材80をコンパクトな形状にすることができる。
また、前記第一アーム81及び前記第二アーム82は、それぞれ前記排気管32と、取付部材70(前記トラクタ1のうち、前記排気管32とは異なる所定の部材)と、に取り付けられるものである。
このように構成することにより、第一アーム81及び第二アーム82によって、安定した状態で排気管32の振動を受けることができる。
また、前記第一アーム81及び前記第二アーム82を前記排気管32に取り付ける上側取付部83(第一取付部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、第一アーム81及び第二アーム82を上側取付部83によってまとめて排気管32に取り付けることができる。
また、前記上側取付部83は、ボンネット10の外側に位置すると共に、側面視において当該ボンネット10と重複するように設けられるものである。
このように構成することにより、排気管32の振動を効果的に抑制することができる。
また、前記第一アーム81及び前記第二アーム82を、前記取付部材70に取り付ける下側取付部84(第二取付部)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、第一アーム81及び第二アーム82を下側取付部84によってまとめて取付部材70に取り付けることができる。
また、前記排気管32は、ボンネット10から前記トラクタ1の左右外側へ突出する第一突出部32a(突出部)を具備し、前記長手部81bは、平面視において、長手方向が前記第一突出部32aの突出方向A1と略平行な方向を向くように形成されると共に前記第一突出部32aに対して前後に並ぶように形成されるものである。
このように構成することにより、第一突出部32a(排気管32)周辺のスペースを有効に活用することができる。
また、前記第一突出部32aは、ボンネット10から前記トラクタ1の左右外側、かつ、後方へ突出し、前記長手部81bは、前記第一突出部32aの後方に並ぶように形成され、前記長手部82bは、前記長手部81bの後方に並ぶように形成されるものである。
このように構成することにより、第一突出部32aの後方のスペースを有効に活用することができる。
また、前記長手部81b及び前記長手部82bは、長手方向が前後方向に対して左右に傾斜すると共に、平面視においてボンネット10の側面部10aを左右に跨ぐように形成されるものである。
このように構成することにより、長手部81b・82bの長手方向幅を確保しながらも、ボンネット10の側面部10aから左右外側への突出幅を小さくすることができる。
なお、本実施形態に係る長手部81bは、第一長手部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る長手部82bは、第二長手部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る上側取付部83は、第一取付部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る下側取付部84は、第二取付部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一突出部32aは、突出部の実施の一形態である。
また、以上の如く、本実施形態に係る排気管32の支持部材50は、トラクタ1(作業車)の排気ガスを排出する排気管32の下方に配置される底面部51aと、前記底面部51aから立ち上がるように形成されると共に前記排気管32を下方から支持する一対の側壁51bと、を有するフレーム51と、前記排気管32と前記フレーム51との間に形成される内部空間Sを閉塞する閉塞部材52と、を具備するものである。
このように構成することにより、フレーム51内に藁等の異物が入るのを抑制することができる。
また、前記内部空間Sは、前記トラクタ1における左右外側及び左右内側を向けて開口するように形成され、前記閉塞部材52は、前記トラクタ1における左右外側から前記内部空間Sを閉塞する後側閉塞部材53(第一閉塞部材)を具備するものである。
このように構成することにより、内部空間Sのうち、異物が入り易い左右外側を閉塞することができるため、フレーム51内に異物が入るのを効果的に抑制することができる。
また、前記閉塞部材52は、前記トラクタ1における左右内側から前記内部空間Sを閉塞する前側閉塞部材54(第二閉塞部材)をさらに具備するものである。
このように構成することにより、フレーム51内に異物が入るのを効果的に抑制することができる。
また、前記閉塞部材52は、前記フレーム51の左後端面51c及び右前端面51d(前記内部空間Sが開口する側の端面)に接するように設けられるものである。
このように構成することにより、閉塞部材52に対してフレーム51内へ向かう外力(後側閉塞部材53に対する右前方の外力、及び前側閉塞部材54に対する左後方の外力)が作用した場合に、当該外力をフレーム51で受けることができる。
また、前記閉塞部材52は、上端の円弧状部53a・54a中央に切欠部53b・54bを具備するものである。
このように構成することにより、支持部材50に生じる衝撃や熱膨張による部材への影響を緩和することができる。
また、前記閉塞部材52の厚みW53・W54は、前記フレーム51の厚みW51の半分以下であるものである。
このように構成することにより、閉塞部材52の強度を比較的低くして、支持部材50の強度が過剰に高くならないようにすることができる。これによって、排気管32の変形や破損が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態に係る排気管32の支持構造40は、支持部材50と、前記排気管32の水平方向の振動を抑制する制振部材80と、エンジン3に支持されると共に前記制振部材80が取り付けられる取付部材70と、前記支持部材50と前記取付部材70とを連結する連結部材60と、を具備するものである。
このように構成することにより、連結部材60及び取付部材70を介して制振部材80及び支持部材50をエンジン3にまとめて取り付けることができる。これによって、取付の手間を省いて組付性を向上させることができる。
また、前記支持部材50は、前記底面部51aの下方からボルト61(締結部材)が締結されることで前記連結部材60と連結されるものである。
このように構成することにより、閉塞部材52で内部空間Sが閉塞されていたとしても、ボルト61を簡単に着脱することができる。これによって、支持部材50及び連結部材60の組付性及びメンテナンス性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側閉塞部材53は、第一閉塞部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側閉塞部材54は、第二閉塞部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るボルト61は、締結部材の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係る作業車はトラクタ1であるものとしたが、本発明に係る作業車の種類はこれに限定されるものでない。本発明に係る作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
また、排気管32の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、作業車の種類等に応じて適宜変更することができる。例えば、排気管32は、ボンネット10から右方へ突出するように形成されていてもよい。
また、第二アーム82の長手部82bは、平面視において第一アーム81の長手部81bに対して傾斜していればよく、長手部81bに対する傾斜角度は問わない。
また、第一アーム81及び第二アーム82は、棒状に形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、略板状等であってもよい。
また、制振部材80は、2本の棒状部材を組み合わせて2つの長手部81b・82bを形成したが、これに限定されるものではない。制振部材80は、例えば、1本の棒状部材を適宜折り曲げて、当該1本の棒状部材に長手部81b・82bを形成してもよい。
また、第一アーム81及び第二アーム82は、上側取付部83及び下側取付部84によって、排気管32及び取付部材70にまとめて取り付けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、別々に取り付けるものであってもよい。
また、第一アーム81及び第二アーム82は、排気管32と、当該排気管32とは異なる部材と、に取り付けられていればよい。本実施形態において第一アーム81及び第二アーム82は、排気管32とは異なる部材として、取付部材70に取り付けられたが、これに限定されるものではなく、例えば、エンジン3等に取り付けられていてもよい。
また、制振部材80は、排気管32の後方に配置されるものとしたが、排気管32との位置関係はこれに限定されるものではなく、任意の位置関係とすることができる。
また、閉塞部材52は、内部空間Sの開口部分(後側開口部S1及び前側開口部S2)の全域を閉塞するものとしたが、これに限定されるものではなく、開口部分の一部を(例えば、後側開口部S1又は前側開口部S2の一方のみを)閉塞するものであってもよい。また、閉塞部材52は、後側開口部S1及び前側開口部S2を部分的に(例えば、下半分や右半分等のみを)閉塞してもよい。
また、閉塞部材52は、フレーム51の左後端面51c及び右前端面51dに接していたが、フレーム51に対する接触部分は、これに限定されるものではない。閉塞部材52は、例えば、フレーム51の内側面(底面部51aの上面及び側壁51bの内側面)に接していてもよい。
また、閉塞部材52は、フレーム51の左後端面51c及び右前端面51dに局所的に溶接されるものとしたが、これに限定されるものではなく、左後端面51c及び右前端面51dの全域に溶接されるものであってもよい。また、閉塞部材52は、必ずしも溶接によってフレーム51に固定される必要はなく、他の手法によってフレーム51に固定されていてもよい。
また、閉塞部材52の厚みW53・W54とフレーム51の厚みW51との関係は、本実施形態に限定されるものではなく、任意の関係とすることができる。
また、支持部材50は、下方からボルト61が締結されることで連結部材60と連結されるものとしたが、これに限定されるものではなく、他の方向からボルト61で締結されていてもよい。また、支持部材50は、必ずしもボルト61で連結部材60と連結される必要はなく、他の締結部材(ナット等)によって連結部材60と連結されていてもよい。また、支持部材50は、必ずしも締結部材を用いて連結部材60と連結される必要はなく、他の手法(例えば、溶接等)によって連結部材60と連結されていてもよい。