JP7427758B1 - 乗客コンベアに用いる治具とその治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下側の部分の駆動チェーンに弛み量測定装置を取り付けるときに用いられる治具を提供する。【解決手段】駆動大スプロケット36の外周に一部が当接される当接部材102と、当接部材102に設けられた弛み量測定装置70のレバー76を回転自在に支持するレバー台80を受ける受け部110と、当接部材102から下方に延設され、下側の部分の駆動チェーン38に載置される載置部材104とを有する。【選択図】 図3
Description
本発明の実施形態は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアに関するものである。
乗客コンベアの踏段は、踏段チェーンにより循環移動し、この踏段チェーンは踏段スプロケットにより駆動される。踏段スプロケットには、駆動大スプロケットが同軸に取り付けられている。一方、踏段の駆動機構であるモータの出力側には、駆動小スプロケットが取り付けられ、上記した駆動大スプロケットとの間に無端状の駆動チェーンが架け渡されている。これにより、モータが回転すると、駆動小スプロケット、駆動大スプロケット、踏段スプロケットが回転して、踏段が移動する。
上記した無端状の駆動チェーンは、経年変化により伸びてくるため、乗客コンベアの保守点検の際に駆動チェーンの弛み量を測定する必要がある。そのため、駆動大スプロケットの下外周部と駆動小スプロケットの下外周部の間に配された下側の部分の駆動チェーンの弛み量を測定する弛み量測定装置が設けられている。
しかし、この弛み量測定装置を下側の部分の駆動チェーンに取り付ける際に、設計された通りの位置に固定しないと、弛み量を正確に測定できず、その取り付け作業には熟練を要し、時間もかかるという問題点があった。
そこで本発明の実施形態は、下側の部分の駆動チェーンに、弛み量測定装置を設計通りに正確に取り付けることが可能となる治具とその治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態は、前後方向に配されたトラスと、前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、前記トラスの後部に設けられたモータと、前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する弛み量測定装置と、を有した乗客コンベアに用いる治具であって、前記弛み量測定装置は、前記トラスに固定されたレバー台と、前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、前記レバーの回転角を前記弛み量として測定するセンサ装置と、を有し、前記治具は、前記駆動大スプロケットの外周に一部が当接される当接部材と、前記レバー台を受けるために前記当接部材に設けられた受け部と、前記当接部材から下方に延びる連結部材と、前記連結部材の下端に設けられ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置される載置部材と、を有することを特徴とする乗客コンベアに用いる治具である。
以下、本発明の一実施形態である乗客コンベアについて、図1~図9を参照して説明する。本実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。
(1)エスカレータ10の構造
エスカレータ10の構造について図1を参照して説明する。図1に示すように、エスカレータ10のトラス12は、建屋の上階1と下階2との間に設置されている。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の片側(左側)の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階1が後側、下階2が前側であるものとし、左右方向を説明するときは、上階から下階を見下ろしたときの方向である。このトラス12の内部には、無端状に連結された複数の踏段14が設けられている。トラス12の上面の左右両側部には左右一対の欄干16,16が設けられ、左右一対の欄干16,16の周縁部には、手摺りベルト18,18がそれぞれ設けられている。
エスカレータ10の構造について図1を参照して説明する。図1に示すように、エスカレータ10のトラス12は、建屋の上階1と下階2との間に設置されている。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の片側(左側)の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階1が後側、下階2が前側であるものとし、左右方向を説明するときは、上階から下階を見下ろしたときの方向である。このトラス12の内部には、無端状に連結された複数の踏段14が設けられている。トラス12の上面の左右両側部には左右一対の欄干16,16が設けられ、左右一対の欄干16,16の周縁部には、手摺りベルト18,18がそれぞれ設けられている。
図1と図2に示すように、トラス12の上階側には機械室20が設けられ、この機械室20内部には、エスカレータ10の駆動源であるモータ22、減速装置24、モータ22の回転を停止させるディスク式の電磁ブレーキ23、減速装置24の出力側に設けられた駆動小スプロケット26、エスカレータ10の制御装置25が設けられている。
複数の踏段14を移動させるために無端状の左右一対の踏段チェーン28が設けられ、この左右一対の無端状の踏段チェーン28を駆動させるために、機械室20内部には左右一対の踏段スプロケット30が設けられている。一方、下階側の機械室32内部にも左右一対の踏段スプロケット34が設けられ、この左右一対の踏段スプロケット30と左右一対の踏段スプロケット34との間に前記した左右一対の無端状の踏段チェーン28がそれぞれ架け渡されている。
トラス12は、複数の直線状の枠体から構成され、図2に示すように、上側の機械室20は、トラス12の上部にある水平で、かつ、前後方向に配された左右一対の枠体である上枠体44と、これら上枠体44の下方であって、水平で、かつ、前後方向に配された左右一対の枠体である下枠体45に囲まれている。また、上枠体44と下枠体45の間には、鉛直方向に対して斜めに配された枠体である斜め枠体47が取り付けられている。
これらの図に示すように、上階側の機械室20の内部において駆動小スプロケット26より大径の駆動大スプロケット36が、踏段スプロケット30と同軸に設けられている。駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26との間には、無端状の駆動チェーン38が架け渡されている。ここで、駆動大スプロケット36の上外周部と駆動小スプロケット26の上外周部との間に配された駆動チェーン38を、「上側の部分の駆動チェーン38a」と呼び、駆動大スプロケット36の下外周部と駆動小スプロケット26の下外周部との間に配された駆動チェーン38を、「下側の部分の駆動チェーン38b」と呼ぶ。まとめて呼ぶときは、「駆動チェーン38」という。駆動チェーン38は、2連式のチェーンが用いられている。2連式のチェーンを用いているのは、チェーンの強度を上げ、また、一方のチェーンが切れたときのためである。この上側の部分の駆動チェーン38aには、駆動チェーン38が切断したときにエスカレータ10を非常停止させる非常停止装置40が設けられている。この非常停止装置40については後から詳しく説明する。また、下側の部分の駆動チェーン38bには弛み量を測定するための弛み量測定装置70が設けられている。この弛み量測定装置70についても後から詳しく説明する。
(2)非常停止装置40
次に、駆動チェーン38が切れたときにエスカレータ10を非常停止させる非常停止装置40について、図2を参照して説明する。
次に、駆動チェーン38が切れたときにエスカレータ10を非常停止させる非常停止装置40について、図2を参照して説明する。
上階側の機械室20を構成するトラス12の上部の前後方向にある左右一対の上枠体44の間には、ラチェット梁46が機械室20の上面の左右方向に設けられている。このラチェット梁46に沿って水平な連結軸48が回転自在に左右方向に設けられている。
図2に示すように、連結軸48の右側には、押さえレバー52が吊り下げられ、この押さえレバー52の下端部には押さえ部材(シュー)54が設けられている。押さえ部材54は、上側の部分の駆動チェーン38aの上に載置される。押さえ部材54は、連結板56とすり板60を有している。この連結板56は、上側の部分の駆動チェーン38aの前後方向に沿って長い長方形の板材であって、ピン58を介して押さえレバー52の下端部に回転自在に吊り下げられている。すり板60は直方体であり、連結板56の下面に設けられている。このすり板60の材質は、例えばゴム、又は合成樹脂である。
連結軸48の左側には、ラチェットレバー50が吊り下げられ、連結軸48を中心に回転し、その先端がラチェットホイール42の歯部43と噛み合う。ラチェットレバー50が取り付けられているラチェット梁46の左側の部分には、不図示のリミットスイッチ(非常停止スイッチ)が取り付けられている。ラチェットレバー50がラチェットホイール42の歯部43に噛み合っていない状態では、リミットスイッチを押圧せず、駆動チェーン38が切れてラチェットレバー50が回転してラチェットホイール42の歯部43に噛み合った状態では、リミットスイッチを押す。そして、リミットスイッチが押されると、制御装置25がモータ22を電磁ブレーキ23で非常停止させる。
(3)弛み量測定装置70
次に、弛み量測定装置70について図2~図9を参照して説明する。駆動チェーン38の弛み量を測定するための弛み量測定装置70は、機械室20の右側に配された斜め枠体47に固定されている。
次に、弛み量測定装置70について図2~図9を参照して説明する。駆動チェーン38の弛み量を測定するための弛み量測定装置70は、機械室20の右側に配された斜め枠体47に固定されている。
図2、図3に示すように、弛み量測定装置70は、レバー台80を有している。このレバー台80は、長方形の金属板を折曲したものであり、水平部82と固定部84とレバー取り付け部86とより構成されている。水平部82は水平に配され、平面形状は長方形であり、固定部84は水平部82の右辺から上方に折曲され、レバー取り付け部86は水平部82の左辺より下方に折曲されている。そして、固定部84が、斜め枠体47に2本のボルト88によって固定されている。
図3に示すように、弛み量測定装置70は、レバー作用部72を有している。このレバー作用部72は、長方形の樹脂板の上部の前後の角部が切り欠かれたものであり、鉛直面に沿って配され、レバー作用部72の下辺が、下側の部分の駆動チェーン38bの上側に、かつ、駆動チェーン38bに沿って載置されている。レバー作用部72の上部の前後方向の中心には、回転自在なピン74を介してレバー76が設けられている。
レバー76は、側面から見て縦に長細い長方形であって、その下端に上記したピン74を介してレバー作用部72と連結している。長細い長方形のレバー76の縦方向のほぼ中央部は、回転軸78を介して、前記したレバー取り付け部86に鉛直面内で回転自在に取り付けられている。これにより、レバー76とレバー作用部72が、レバー台80に回転自在に保持された状態となる。
図3、図9に示すように、弛み量測定装置70は、レバー76の回転角度を検知するセンサ装置90を有し、このセンサ装置90を取り付けるためのセンサ取り付け板92を有している。センサ取り付け板92は、長方形の金属板を折曲したものであり、センサ取り付け板92の右側の部分は上方に折曲され、ボルト94によって斜め枠体47に固定され、左側の部分にセンサ装置90が固定されている。なお、センサ取り付け板92は、斜め枠体47上で、レバー台80の固定部84より上方に固定されている。
センサ装置90は、図9に示すように、縦に長い直方体であり、その下部に凹部93を有し、回転するレバー76の上部が、その凹部93の内部を移動できる。センサ装置90にはフォトセンサ91が内蔵され、凹部93内部に光を照射している。レバー76の上部がそのフォトセンサ91からの光を遮断すると、センサ装置90はレバー76が基準角度以上回転したことを検知する。
(4)弛み量を検知する方法
次に、弛み量測定装置70を用いて、駆動チェーン38の弛み量を検知する方法について説明する。
次に、弛み量測定装置70を用いて、駆動チェーン38の弛み量を検知する方法について説明する。
図7に示すように、駆動チェーン38が弛んでいない初期状態において、レバー76の初期角度をβとする。この状態ではレバー76の上部が、センサ装置90の凹部93にあるフォトセンサ91の光線を遮断していない。
次に、図8に示すように、駆動チェーン38が弛み、下側の部分の駆動チェーン38bが垂れ下がると、それと共にレバー作用部72が下がり、レバー作用部72に連結されているレバー76が回転軸78を中心に、図7における反時計回りの方向に回転する。レバー76の上部がセンサ装置90の凹部93の中を回転しながら移動し、その回転角度が基準角度β’になり、図9に示すようにフォトセンサ91の光線を遮ると、センサ装置90は、駆動チェーン38の弛み量が基準値より大きくなったことを検知する。そして、センサ装置90は、基準値より弛み量が大きくなったことを制御装置25に通知する。制御装置25では、駆動チェーン38の弛み量が基準値を超えたことが検知されたことを記憶すると共に、外部にある監視センターに通知する。
(5)弛み量測定装置70の取り付け方法とそのための治具100
上記の弛み量測定装置70は、駆動チェーン38の弛み量を、レバー76の回転角度に変換して測定できるように設計し、通常は工場で、その設計に合わせてトラス12に取り付ける。
上記の弛み量測定装置70は、駆動チェーン38の弛み量を、レバー76の回転角度に変換して測定できるように設計し、通常は工場で、その設計に合わせてトラス12に取り付ける。
具体的には、レバー76を回転自在に固定しているレバー台80を、トラス12の斜め枠体47に取り付けるときに、その取り付け位置が、設計した位置になるようにする必要があり、本実施形態ではその目的のために治具100を用いる。その治具100と、それを用いて弛み量測定装置70を取り付ける方法について説明する。
まず、治具100や取り付け方法を説明する前に、駆動チェーン38と駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26の構造についてさらに詳しく説明する。
(5-1)駆動チェーン38
駆動チェーン38は、上記したように2連式のチェーンであって、図3~図6に示すように、左右方向に2列に並んだ2本のチェーンより構成され、以下では左側のチェーンを左駆動チェーン38L、右側のチェーンを右駆動チェーン38Rと呼ぶ。
駆動チェーン38は、上記したように2連式のチェーンであって、図3~図6に示すように、左右方向に2列に並んだ2本のチェーンより構成され、以下では左側のチェーンを左駆動チェーン38L、右側のチェーンを右駆動チェーン38Rと呼ぶ。
(5-2)駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26
駆動大スプロケット36は、2連式のチェーンに合わせてそれぞれ左右2枚のスプロケットから構成されている。すなわち、駆動大スプロケット36は、図6に示すように左側の左駆動大スプロケット36Lと、右側の右駆動大スプロケット36Rとより構成されている。左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rとの間には、円筒形の円筒部37が設けられている。この円筒部37の半径Rは、左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rの歯溝部の半径と同じである。左駆動大スプロケット36Lには左駆動チェーン38Lが架け渡され、右駆動大スプロケット36Rには右駆動チェーン38Rが架け渡され、左駆動大スプロケット36Lと円筒部37と右駆動大スプロケット36Rとが一体となって同軸で回転し、2本のチェーンより構成された駆動チェーン38がそれにより移動する。
駆動大スプロケット36は、2連式のチェーンに合わせてそれぞれ左右2枚のスプロケットから構成されている。すなわち、駆動大スプロケット36は、図6に示すように左側の左駆動大スプロケット36Lと、右側の右駆動大スプロケット36Rとより構成されている。左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rとの間には、円筒形の円筒部37が設けられている。この円筒部37の半径Rは、左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rの歯溝部の半径と同じである。左駆動大スプロケット36Lには左駆動チェーン38Lが架け渡され、右駆動大スプロケット36Rには右駆動チェーン38Rが架け渡され、左駆動大スプロケット36Lと円筒部37と右駆動大スプロケット36Rとが一体となって同軸で回転し、2本のチェーンより構成された駆動チェーン38がそれにより移動する。
駆動小スプロケット26も、図示はしないが上記2連式の駆動チェーン38に合わせて左右2枚のスプロケットと円筒部から構成されている。
(5-3)治具100
治具100は、金属板より形成された当接部材102と、金属板より形成された載置部材104と、金属板より形成された連結部材106とより構成されている。
治具100は、金属板より形成された当接部材102と、金属板より形成された載置部材104と、金属板より形成された連結部材106とより構成されている。
当接部材102は、左側から見た形状として、長方形の金属板の前端部の下部から長方形の突片108が突出し、当接部材102の下辺における中央部から後部に向かって斜めに切り欠かれている。そして、当接部材102の上辺後部においては、長方形に切り欠かれた受け部110が形成されている。受け部110は、レバー台80のレバー取り付け部86の下部を載置できる形状とサイズとなっている。
載置部材104は、長方形の金属板よりなる上板112と、長方形の金属板よりなる下板114とより構成されている。上板112は、右駆動チェーン38Rに載置でき、下板114は右駆動チェーン38Rの下部に取り付けることができる。上板112の前部と後部には長孔116,116が前後方向に形成され、下板114の前部と後部にはボルト孔(図示せず)がそれぞれ形成され、これらのボルト孔に取り付けられたボルト118,118の上端が長孔116,116を貫通する。貫通したボルト118,118の上端に蝶ナット120,120を上から螺合することにより、上板112と下板114によって右駆動チェーン38Rを上下から挟んだ状態で載置部材104を取り付けることができる。この取り付けのときに、上板112と下板114の位置が前後方向に少しずれていても、上板112の開口部分は、前後方向に長い長孔116,116であるため、ボルト118,118が貫通できる。
連結部材106は、載置部材104の上板112の前後方向の中央部から垂直方向に突設している。連結部材106は当接部材102から下方に延びる構成を有している。この連結部材106は、縦長のほぼ長方形の金属板より形成され、下端が上板112に溶接され、上端と当接部材102の前後方向の中央部とが、ボルト122によって固定されている。ボルト122を外すことにより、上板112と一体となった連結部材106と、当接部材102とを相互に分離できる。
(5-4)取り付け方法
次に、治具100を用いて弛み量測定装置70を取り付ける方法について説明する。
次に、治具100を用いて弛み量測定装置70を取り付ける方法について説明する。
まず、駆動大スプロケット36と駆動小スプロケット26との間に新しい無端状の駆動チェーン38を弛みが全くないように架け渡す。このときの駆動チェーン38の状態を「初期状態」という。
次に、当接部材102と、それと分離された連結部材106と載置部材104の上板112を、駆動大スプロケット36と駆動チェーン38との間の空間に配し、その状態で当接部材102に連結部材106をボルト122で取り付け、当接部材102と連結部材106,載置部材104の上板112とを一体にする。この駆動大スプロケット36と駆動チェーン38との間の空間は通常は狭いために作業が困難であるが、このように連結部材106をボルト122で取り付けるようにしたことにより作業を容易にできる。
次に、当接部材102の上部前端部と、突片108の上部前端部を、左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rとの間にある円筒部37の外周面にそれぞれ接触させ、また、載置部材104の上板112を右駆動チェーン38Rの上に載置する。
その状態で載置部材104の下板114を、右駆動チェーン38Rの下側に、上板112と対向するように配し、2本のボルト118,118を、下板114,114から、上板112の長孔116,116にそれぞれ通す。続いて、蝶ナット120,120を用いてボルト118,118を締結し、下板114と上板112で右駆動チェーン38Rを上下から挟んだ状態で、載置部材104を右駆動チェーン38Rに固定する。これによって、当接部材102の位置が、駆動チェーン38と駆動大スプロケット36によって固定される。
次に、当接部材102の上辺にある受け部110にレバー台80のレバー取り付け部86を載置して位置決めする。この位置決めは、長方形に切り欠かれた受け部110の角部に長方形のレバー取り付け部86の角部を合わせることにより行う。これによって、レバー台80の位置が、駆動チェーン38と駆動大スプロケット36によって固定される。この状態で固定部84をボルト88,88によって斜め枠体47に固定する。
次に、レバー作用部72がピン74によって連結されたレバー76を、回転軸78を介してレバー台80のレバー取り付け部86に取り付ける。
次に、レバー76の下端にあるレバー作用部72を、初期状態の駆動チェーン38bの上に、かつ、駆動チェーン38bに沿って載置する。これによって、レバー台80に取り付けられたレバー作用部72とレバー76の位置が固定する。
次に、レバー76の上部がセンサ装置90の凹部93を通過できるように、センサ装置90が取り付けられているセンサ取り付け板92をボルト94によって斜め枠体47に固定する。
以上により、弛み量測定装置70を、初期状態の駆動チェーン38に対して適正な位置に固定することができる。
(5-5)治具100の寸法と形状を決定する方法
治具100の寸法と形状を決定する方法について、図7を用いて説明する。
治具100の寸法と形状を決定する方法について、図7を用いて説明する。
まず、左駆動大スプロケット36Lと右駆動大スプロケット36Rの回転軸をOとし、この回転軸Oと、レバー76の回転軸78の間の鉛直距離をa、水平距離をbとする。
円筒部37の半径をRとする。
駆動チェーン38が弛む前の初期状態における下側の部分の駆動チェーン38bの水平方向に対する初期角度をαとする。
初期状態の駆動チェーン38にレバー作用部72を載置したときのレバー76の水平方向に対する初期角度をβとする。
設計段階では、レバー作用部72のサイズと形状、レバー76のサイズと形状、ピン74の位置、回転軸78の位置、上記a、b、R、α、βは決まっているので、当接部材102の上部前端部と、突片108の上部前端部が、円筒部37の外周部にそれぞれ接触し、受け部110にレバー台80のレバー取り付け部86が乗るようなサイズと形状であって、弛み量測定装置70を上記した方法で取り付けることができる範囲で、当接部材102、載置部材104、連結部材106は自由に設計することができる。
(6)効果
本発明の実施形態によれば、治具100を用いることにより、弛み量測定装置70を、機械室20内部の所定の位置に正確に取り付けることができる。
本発明の実施形態によれば、治具100を用いることにより、弛み量測定装置70を、機械室20内部の所定の位置に正確に取り付けることができる。
また、当接部材102と、載置部材104に固定された連結部材106はボルト122によって分解できるため、作業員は機械室20内部の狭い所で簡単に脱着することができる。
また、治具100は、駆動大スプロケット36などの形状とサイズと位置に基づいて設計することができる。
上記実施形態では、センサ装置90内部にフォトセンサ91を設けて、レバー76の上端部の回転角度を検知したが、これに代えて他の近接センサなどを用いてもよい。
上記実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明したが、これに代えて動く歩道で実施してもよい。
上記実施形態では、弛み量測定装置70を用いて、駆動チェーン38の弛み量を検知する場合に、初期状態では、レバー76の上部が、センサ装置90の凹部93にあるフォトセンサ91の光線を遮断しておらず、レバー76の上部が回転してフォトセンサ91の光線を遮ると駆動チェーン38の弛み量が基準値より大きくなったと判断していた。しかし、これに代えて、初期状態では、レバー76の上部が、センサ装置90の凹部93にあるフォトセンサ91の光線を遮断した状態であり、レバー76の上部が回転してフォトセンサ91の光線を遮断しなくなると駆動チェーン38の弛み量が基準値より大きくなったと判断してもよい。
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10・・・エスカレータ、12・・・トラス、20・・・上階の機械室、25・・・制御装置、26・・・駆動小スプロケット、36・・・駆動大スプロケット、38・・・駆動チェーン、70・・・弛み量測定装置、72・・・レバー作用部、76・・・レバー、80・・・レバー台、90・・・センサ装置、100・・・治具、102・・・当接部材、104・・・載置部材、106・・・連結部材、108・・・突片、110・・・受け部
Claims (6)
- 前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する弛み量測定装置と、
を有した乗客コンベアに用いる治具であって、
前記弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記レバーの回転角を前記弛み量として測定するセンサ装置と、
を有し、
前記治具は、
前記駆動大スプロケットの外周に一部が当接される当接部材と、
前記レバー台を受けるために前記当接部材に設けられた受け部と、
前記当接部材から下方に延びる連結部材と、
前記連結部材の下端に設けられ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置される載置部材と、
を有することを特徴とする乗客コンベアに用いる治具。 - 前記当接部材と前記連結部材とが相互に分離可能である、
請求項1に記載の乗客コンベアに用いる治具。 - 前記当接部材は、長方形の金属板の前端部の下部から長方形の突片が突出し、前記当接部材の上部前端部と前記突片の上部前端部が、前記駆動大スプロケットの外周に当接される、
請求項1に記載の乗客コンベアに用いる治具。 - 前記駆動チェーンは、左駆動チェーンと右駆動チェーンからなる2連式のチェーンであり、
前記駆動大スプロケットは、左駆動大スプロケットと、右駆動大スプロケットと、その間に設けられた円筒形の円筒部とからなり、
左駆動大スプロケットには左駆動チェーンが架け渡され、右駆動大スプロケットには右駆動チェーンが架け渡され、前記当接部材の上部前端部と前記突片の上部前端部は、それぞれ前記円筒部の外周面に当接される、
請求項3に記載の乗客コンベアに用いる治具。 - 前記載置部材は、
前記駆動チェーンの上に載置される長方形の上板と、
前記駆動チェーンの下で、かつ、前記上板の下方に配される長方形の下板と、
前記上板と前記下板で前記駆動チェーンを挟んで固定するボルトと、
を有し、前記連結部材の下端は前記上板に固定されている、
請求項1に記載の乗客コンベアに用いる治具。 - 前後方向に配されたトラスと、
前記トラスを前後方向に循環移動する複数の踏段と、
前記トラスの後部に設けられたモータと、
前記モータによって回転する駆動小スプロケットと、
複数の前記踏段を連結する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンを駆動する踏段スプロケットと、
前記踏段スプロケットと同軸に設けられた駆動大スプロケットと、
前記駆動大スプロケットと前記駆動小スプロケットとの間に架け渡され、前記駆動大スプロケットの上外周部と前記駆動小スプロケットの上外周部との間に配された上側の部分と、前記駆動大スプロケットの下外周部と前記駆動小スプロケットの下外周部との間に配された下側の部分とを含む無端状の駆動チェーンと、
前記下側の部分の前記駆動チェーンの弛み量を測定する弛み量測定装置と、
を有した乗客コンベアにおける治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法において、
前記弛み量測定装置は、
前記トラスに固定されたレバー台と、
前記レバー台にある回転軸を中心に鉛直面内を回転するレバーと、
前記レバーの下端に回転自在に取り付けられ、かつ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置されるレバー作用部と、
前記レバーの回転角を前記弛み量として測定するセンサ装置と、
を有し、
前記治具は、
前記駆動大スプロケットの外周に一部が当接される当接部材と、
前記レバー台を受けるために前記当接部材に設けられた受け部と、
前記当接部材から下方に延びる連結部材と、
前記連結部材の下端に設けられ、前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置される載置部材と、
を有し、
前記治具の前記載置部材を前記下側の部分の前記駆動チェーンに載置し、前記当接部材の前記一部を前記駆動大スプロケットの外周に当接した状態で、前記受け部に前記レバー台を載置し、この載置した状態で前記レバー台を前記トラスの枠体に固定する、
ことを特徴とする治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022198625A JP7427758B1 (ja) | 2022-12-13 | 2022-12-13 | 乗客コンベアに用いる治具とその治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法 |
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JP2022198625A JP7427758B1 (ja) | 2022-12-13 | 2022-12-13 | 乗客コンベアに用いる治具とその治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=89771033
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JP2022198625A Active JP7427758B1 (ja) | 2022-12-13 | 2022-12-13 | 乗客コンベアに用いる治具とその治具を用いた弛み量測定装置の取り付け方法 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013124145A (ja) | 2011-12-13 | 2013-06-24 | Toshiba Elevator Co Ltd | 乗客コンベア |
JP2020200142A (ja) | 2019-06-10 | 2020-12-17 | 東芝エレベータ株式会社 | 乗客コンベア |
JP2022176544A (ja) | 2021-05-17 | 2022-11-30 | 東芝エレベータ株式会社 | 乗客コンベア |
-
2022
- 2022-12-13 JP JP2022198625A patent/JP7427758B1/ja active Active
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