JP7425712B2 - ケーブルクランプ - Google Patents

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Description

本発明はケーブルクランプに関する。
近年、コントロールケーブルを車体における所定の位置に固定するための固定具であるケーブルクランプの強度を高めるために、当該ケーブルクランプにビードを設けることがあり、その一例が特許文献1に開示されている。
実開昭61-205856号公報
しかしながら、ケーブルクランプにおいて上記所定の位置に固定される部分である固定部と、ビードの先端部との位置関係によっては、ビードの先端部と固定部との間に応力集中が生じ、ケーブルクランプの耐久性が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、ケーブルクランプの耐久性を向上させることができるケーブルクランプの提供を目的とする。
本発明のケーブルクランプは、車両のコントロールケーブルを保持する保持部と、車体に固定される固定部と、一端部が前記保持部につながり、他端部が前記固定部につながるように延びる板状の支持部とを備え、前記支持部は、前記一端部側から前記他端部側に向かって延びるビード部を有し、前記ビード部は、前記他端部側において、前記支持部の側縁に向かって方向転換する。
本発明によれば、ケーブルクランプの耐久性を向上させることができる。
本発明の一実施形態のケーブルクランプの一例を示す斜視図である。 図1に示すケーブルクランプのA方向矢視図である。 図1に示すケーブルクランプに発生している応力の分布の一例を示す図である。 ケーブルクランプの変形例を示す図である。 従来のケーブルクランプの一例を示す斜視図である。 図5に示すケーブルクランプのA方向矢視図である。 図5に示すケーブルクランプに発生している応力の分布の一例を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のケーブルクランプを説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のケーブルクランプは、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態のケーブルクランプの一例を示す斜視図である。図2は、図1に示すケーブルクランプのA方向矢視図である。図3は、図1に示すケーブルクランプに発生している応力の分布の一例を示す図である。
図1~図3に示される、本実施形態に係るケーブルクランプ1は、コントロールケーブルC(図2および図3参照)を有する取付対象VBに取り付けられる。本実施形態では、コントロールケーブルCを有する取付対象VBは、車両の車体(以下、車体VBという)である。なお、車両の種類は、車体VB(図2および図3参照)に支持されるコントロールケーブルCを有するものであれば、特に限定はされない。
コントロールケーブルCの種類は特に限定されず、公知のコントロールケーブルとすることができる。コントロールケーブルCは、たとえば、インナーケーブルC1と、アウターケーシングC2とを備えている。コントロールケーブルCは、インナーケーブルC1に加わった、ユーザによる操作レバー等の操作部を介した操作力を操作対象に伝達することにより、操作対象を操作することができるように構成されている。操作対象は、たとえば、パーキングブレーキ装置であってもよいし、トランスミッション等、他の操作対象であってもよい。インナーケーブルC1は、インナーケーブルC1の一端部と操作対象との間で操作力を伝達する。アウターケーシングC2は、インナーケーブルC1が挿通される、可撓性を有するチューブ状の部材である。アウターケーシングC2は、インナーケーブルC1が摺動する内側空間を有している。インナーケーブルC1が操作されると、インナーケーブルC1はアウターケーシングC2の内側空間内を摺動する。
コントロールケーブルCは、ケーブルクランプ1を介して車両の車体VBの所定の位置に固定される。詳細には、ケーブルクランプ1は、ケーブルクランプ1の一方の端部が車体VBに固定され、ケーブルクランプ1の他方の端部がコントロールケーブルCのアウターケーシングC2を保持するように構成されている。車体VBにおいて、ケーブルクランプ1は、コントロールケーブルCの配索経路の1または複数の箇所でコントロールケーブルC(アウターケーシングC2)を固定する。
本実施形態では、図1~図3に示されるように、ケーブルクランプ1は、保持部2と、固定部3と、支持部4とを備えている。保持部2は、車両のコントロールケーブルCを保持する。本実施形態では、保持部2は、コントロールケーブルCの外周面を包囲するようにコントロールケーブルCを保持している。保持部2は、コントロールケーブルCの外径と略同じ内径または当該外径よりも大きい内径を有する略円筒状の挿通孔21を有している。保持部2は、挿通孔21にコントロールケーブルCが挿通された状態で、コントロールケーブルCを保持する。保持部2は、挿通孔21の内周面がコントロールケーブルCの外周面に密着してコントロールケーブルCが挿通孔21に対してスライド移動できない、あるいはスライド移動しにくいように構成されていてもよいし、または挿通孔21の内周面がコントロールケーブルCの外周面に密着しておらずコントロールケーブルCが挿通孔21に対して挿通孔21の軸方向にスライド移動可能なように構成されていてもよい。
本実施形態では、保持部2は、支持部4の一端から延出してロール状に巻回された板状部分により構成されている。なお、保持部2はこのような構成に限定されるものではなく、たとえば、支持部4の一端に連結された円筒状部分であり、かつ当該円筒状部分が周方向に連続する構成であってもよい。
保持部2は、コントロールケーブルCを密着して保持する構成である場合、コントロールケーブルCが保持部2に対して必要以上に移動してコントロールケーブルCに過度な弛みが生じ、コントロールケーブルCの弛んだ部分が車体VB等に接触してコントロールケーブルCが破損したり劣化したりするのを抑制することができる。
一方、保持部2は、コントロールケーブルCを密着せずに保持する構成である場合、コントロールケーブルCが保持部2に対してスライド移動可能であるため、ケーブルクランプ1がコントロールケーブルCから受ける力を低減することができ、ケーブルクランプ1に発生する応力を低減することができる。
固定部3は、ケーブルクランプ1において車体VBの所定の位置に固定される部分である。固定部3は、車体VBの所定の位置に固定されるのであれば、その構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、ボルトおよびナット等の、着脱可能な締結部材(図示せず)により、車体VBに固定可能な構成となっている。詳細には、本実施形態では、固定部3は、板状に構成されており、締結部材が挿入される挿通孔31を有している。図3に示される例では、挿通孔31は、ボルトの脚部を挿入可能な孔である。
すなわち、本実施形態では、固定部3は、締結部材によって車体VBに固定される。したがって、本実施形態では、固定部3においてボルトおよびナット等の締結部材と接触する領域が、締結部材によって直接固定される固定領域FAとなる。また、固定部3が溶接によって車体VBに固定される場合には、固定部3において車体VBと溶接された領域が、溶接によって直接固定される固定領域FAとなる。固定領域FAは、締結部材または溶接等によって車体VBに直接固定されているため、ケーブルクランプ1における固定領域FA以外の領域と比べて剛性を高くすることができる。なお、本実施形態では、固定部3における一部の領域が固定領域FAとなっているが、これに限定されるものではない。たとえば、固定部3における全領域を締結部材または溶接等によって車体VBに直接固定することにより、固定部3の全領域を固定領域FAとしてもよい。
固定部3を、着脱可能な締結部材により車体VBに固定する場合には、締結部材を着脱することにより、コントロールケーブルCのメンテナンス作業等を行う際に、ケーブルクランプ1を車体VBから容易に着脱して、コントロールケーブルCの交換作業を容易に行うことができる。
なお、固定部3はこのような構成に限定されるものではなく、たとえば、リベットなど他の種類の締結部材により車体VBに固定される構成であってもよい。リベットにより固定される場合には、固定部3は、リベットを挿入可能な挿通孔を有する構成とすることができる。また、固定部3は溶接またはかしめ等によって取付対象VBに固定される部分であってもよい。
支持部4は、車体VBおよびコントロールケーブルC間の距離を適切な距離に保持するとともに、車体VBに対するコントロールケーブルCの姿勢を適切な状態に保持する部分である。本実施形態では、支持部4は、一端部が保持部2につながり、他端部が固定部3につながるように延びる板状の部分である。
本実施形態では、図1~図3に示されるように、支持部4は、固定部3および保持部2と同一材料により一体に構成されている。支持部4、固定部3および保持部2の材質は、一定程度の剛性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、たとえば、所定の剛性を有する金属であることが好ましい。また、支持部4、固定部3および保持部2は、異なる材料により構成されていてもよい。
支持部4の全体形状は、取付対象VBおよびコントロールケーブルC間の距離を適切な距離に保持するとともに、車体VBに対するコントロールケーブルCの姿勢を適切な状態に保持することができれば、特に限定されない。本実施形態では、支持部4は、固定部3および保持部2を結ぶ方向(以下、長さ方向LDと称する)に延びる略長方形状の板状部分が、長さ方向LDにおける所定の位置で所定の角度で屈曲したような形状に構成されている。本実施形態では、支持部4は、車体VBと接触する側の第1の面41(図1および図2参照)と、第1の面41とは反対側の第2の面42(図3参照)とを有している。本実施形態では、締結部材におけるボルトの頭部が第2の面42に当接し、ナットが第1の面41側に位置して車体VBを第2の面42側に押圧する。なお、逆に、締結部材におけるナットが第2の面42に当接し、ボルトが第1の面41側に位置して車体VBを第2の面42側に押圧する構成であってもよい。本実施形態では、支持部4は、長さ方向LDにおける保持部2寄りの位置において、第2の面42側に略直角をなすように屈曲している。なお、屈曲の角度は、略直角に限定されるものではなく、車体VBに対してコントロールケーブルCが適切な位置に配置されるような角度であればよい。
なお、本明細書における「屈曲」は、「折れ曲がっている」状態と、「湾曲している」状態との双方の意味を含む。図1~図3に示される例では、支持部4は、第2の面42側に湾曲している。なお、支持部4は、第2の面42側に折れ曲がっていてもよい。また、逆に、支持部4は、第1の面41側に屈曲していてもよい。また、支持部4は、長さ方向LDにおける中央部において屈曲していてもよいし、長さ方向LDにおける固定部3寄りの位置において屈曲していてもよい。
また、支持部4は、図1~図3に示されるように、ビード部43を有している。ビード部43は、支持部4の剛性(強度)を高める。ビード部43は、支持部4の一端部側(保持部2側)から他端部側(固定部3側)に向かって延びている。すなわち、ビード部43は、支持部4の一端部側から他端部側に向かって、支持部4の長さ方向LDに沿って延びている。本実施形態では、ビード部43は、支持部4の一部が、支持部4の一方の面(図1~図3に示される例では第1の面41)側から他方の面(図1~図3に示される例では第2の面42)側へ押し出されるように他方の面側へ膨出した形状となっている。すなわち、ビード部43は、支持部4の一部が一方の面側で窪み、当該一部が他方の面側で突出する形状となっている。ビード部43を形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、平坦な金属板に対して、プレス加工の一種である、いわゆるビード加工(ひも出し加工)を行うことにより形成することができる。
なお、ビード部43は、逆に、支持部4の一部が、第2の面42側から第1の面41側へ押し出されるような形状であってもよい。すなわち、ビード部43は、図1~図3に示される例とは反対側に膨出する構成であってもよい。
ビード部43は、他端部側(固定部3側)において、支持部4の側縁44に向かって方向転換する。詳細は後述するが、ビード部43が側縁44に向かって方向転換することにより、ビード部43と固定部3との間に生じる応力集中が緩和される。本実施形態では、ビード部43は、保持部2付近から固定部3付近まで支持部4の長さ方向LDに沿って延びている。しかしながら、本実施形態では、ビード部43は、支持部4の長さ方向LDにおける所定の位置P1(以下、位置P1とも称する)から支持部4の側縁44に向かって屈曲している。
なお、ここで言う「位置P1」は、支持部4の長さ方向LDにおける屈曲の開始位置、すなわちビード部43における方向転換の開始位置である。本実施形態では、ビード部43は、固定部3の近傍となる位置P1から方向転換が開始されて、位置P1よりも固定部3側の領域において所望の角度で側縁44に向かって方向転換する。なお、ビード部43が固定部3側においても方向転換しているのであれば、方向転換の開始位置である位置P1の存在領域は特に限定されない。本実施形態では、位置P1はビード部43における固定部3側の領域に存在するが、これに限定されるものではない。すなわち、ビード部43が固定部3の近傍に到達するのであれば、位置P1は、ビード部43における保持部2側の領域に存在してもよい。
また、本明細書における「屈曲」は、上述のように、「折れ曲がっている」状態と、「湾曲している」状態との双方の意味を含む。すなわち、屈曲の曲率は特に限定はされない。図1~図3に示される例では、ビード部43は、一方の側縁44(図1~図3における下側の側縁44)側に湾曲している。なお、ビード部43は、一方の側縁44側に折れ曲がっていてもよい。また、逆に、ビード部43は、他方の側縁44(図1~図3における上側の側縁44)側に屈曲していてもよい。
ここで、ケーブルクランプに応力集中が生じる原因について図5~図7を参照しつつ説明する。図5は、従来のケーブルクランプの一例を示す斜視図である。図6は、図5に示すケーブルクランプのA方向矢視図である。図7は、図5に示すケーブルクランプに発生している応力の分布の一例を示す図である。
図5~図7に示されるケーブルクランプ100は、ビード部43が支持部4の側縁44に向かって方向転換していない点以外は、図1~図3に示すケーブルクランプ1と同様である。なお、図7は、インナーケーブルC1の操作によるインナーケーブルC1の移動およびコントロールケーブルCの振動等により、保持部2がコントロールケーブルCから、ケーブルクランプ100を曲げようとする外力Fを受けている場合を想定したときの応力解析の結果を模式的に示している。図7では、ハッチングの濃度により応力の大きさを示しており、ハッチングの濃度が高い部分(線の隙間が小さい)ほど、大きな応力が生じていることを示している。詳細には、領域ST1において最も大きな応力が生じており、領域ST2においては領域ST1より小さな応力が生じており、領域ST3においては領域ST2よりも小さな応力が生じている。
従来は、図5~図7に示されるケーブルクランプ100において、車体VBに固定される固定部3と、ビード43における固定部3側の先端部433との位置関係によっては、ビード43の先端部433と固定部3との間に応力集中が生じ、ケーブルクランプ100の耐久性が低下するおそれがあった。
詳細には、図7に示されるように、ケーブルクランプ100においては、剛性の高いビード部43と、締結部材によって車体VBに直接固定されて剛性の高くなっている固定領域FAとの間の領域(以下、中間領域MAと称する)は、ビード部43および固定領域FAと比べて相対的に剛性が低い。しかも、ビード部43の先端部433の幅は狭いため、先端部433と締結部材との間の中間領域MAの幅も狭い。このため、ケーブルクランプ100においては、中間領域MAは剛性の低さの影響を受けやすいため、図7に示されるように、中間領域MAは応力集中が生じやすくなっており、保持部2に外力Fが加わることによって大きな応力集中が生じる(特にハッチングの濃度の高い領域ST1参照)。そして、大きな応力集中が生じると、ケーブルクランプ100に破断が生じる可能性が高くなる。
これに対し、本実施形態によれば、図3に示されるように、ケーブルクランプ1においては、ビード部43における、固定部3に近い側の部分が支持部4の側縁44に向かって方向転換しているため、ビード部43において締結部材と向かい合う部分の長さ、すなわちビード部43において固定部3の固定領域FAと向かい合う部分の長さは、図7に示されるケーブルクランプ100と比べて長くなる。このため、ビード部43と締結部材との間の中間領域MAの幅も、ケーブルクランプ100と比べて長くなる。このため、ケーブルクランプ1においては、保持部2に外力Fが加わった際の応力が分散される。したがって、ケーブルクランプ1においては、中間領域MAには応力集中が生じにくくなり、外力Fが加わることによる応力集中が生じにくく、たとえ生じたとしても、ケーブルクランプ100と比べて応力集中が緩和される。すなわち、図3に示されるように、本実施形態のケーブルクランプ1においては、図7に示されるようなハッチングの濃度の高い領域ST1は非常に小さいか、または存在しない。よって、ケーブルクランプ1の耐久性を高めることができる。
また、本実施形態では、ビード部43における、固定部3に近い側の部分が支持部4の側縁44に向かって方向転換しているため、ケーブルクランプ1におけるビード部43の長さは、図7に示されるように方向転換していないビード部43と比べて長くしやすい。このため、ケーブルクランプ1の剛性は、ケーブルクランプ100と比べて高くしやすい。したがって、ケーブルクランプ1は、ケーブルクランプ100と比べて、外力Fが加わることによってケーブルクランプ1に生じるたわみを抑制することができる。すなわち、保持部2がコントロールケーブルCを保持した状態において、保持部2の変位量を低減することができる。これにより、保持部2に保持されたコントロールケーブルCのインナーケーブルC1が操作された際や、コントロールケーブルCが振動した際のコントロールケーブルCの経路の安定性を高めることができるとともに、コントロールケーブルCと車体VB等の周辺物との干渉を抑制することができ、コントロールケーブルCの劣化を抑制することができる。
本実施形態では、ビード部43は、長さ方向全体にわたり、幅が略一定となるように構成されている。また、ビード部43は、長さ方向全体にわたり、深さ(窪む深さ)が略一定となるように構成されている。なお、ビード部43と固定部3との間に生じる応力を分散させて、応力集中を緩和することができるのであれば、ビード部43は、長さ方向において幅および深さが略一定でなくてもよい。
本実施形態では、ビード部43は、ビード部43を幅方向に沿って切断したときの断面が、略円弧状となるように形成されている。なお、ビード部43と固定部3との間に生じる応力を分散させて、応力集中を緩和することができるのであれば、ビード部43の断面形状は略円弧状以外の形状であってもよい。
また、ビード部43が方向転換する角度(屈曲する角度)は、ビード部43と固定部3との間に生じる応力を分散させて、応力集中を緩和することができるような角度であれば、特に限定はされない。
また、本実施形態では、ビード部43は、図1~図3に示されるように、支持部4の側縁44に向かって方向転換する方向転換部431と、方向転換部431から側縁44に向かって延びる延出部432とを有する。
詳細には、方向転換部431は、ビード部43の方向転換を担う部分である。延出部432は、方向転換部431によって方向転換されたビード部43を、側縁44に向けて延ばしている部分である。すなわち、方向転換部431は、ビード部43において支持部4の長さ方向LDに延びる部分から側縁44に向かって向きを変える部分である。延出部432は、方向転換部431によって方向転換された後に側縁44に向かって延びる部分である。本実施形態では、方向転換部431は、たとえば略円弧状に湾曲して方向転換しており、延出部432は、たとえば略直線状に延びている。なお、延出部432は、湾曲していてもよい。また、方向転換部431および延出部432は、形状が異なっていてもよいし、同じであってもよい。
ビード部43が、方向転換部431および延出部432を有する構成により、たとえば、方向転換部431と延出部432とで形状を変えるなどして、ビード部43の形状に多様性を持たせやすくなり、支持部4の全体の形状や長さ、および保持部2に加わる外力Fの向き等に応じて、適切なビード形状とすることが容易となる。
なお、延出部432は、図1~図3に示されるように側縁44まで延びていてもよいし、図4に示されるように側縁44まで延びていなくてもよい。また、図1~図3に示される例では、延出部432は、図5~図7に示されるような略半円状の先端部433が側縁44において切り落とされたような形状、すなわち略半円状の先端部433が存在しない形状となっている。なお、延出部432は、図1~図3に示されるような状態で側縁44まで延びているものに限定されず、たとえば、図5~図7に示されるような略半円状の先端部433を有し、かつ略半円状の先端部433が側縁44に接するような形状であってもよい。また、図4に示される例では、図5~図7に示されるような略半円状の先端部433が側縁44まで延びていない形状となっている。
図1~図3に示されるように延出部432が側縁44まで延びている場合には、延出部432が側縁44まで延びていない場合と比べて、ビード部43において締結部材と向かい合う部分の長さ、すなわちビード部43において固定部3の固定領域FAと向かい合う部分の長さが長くなり、ビード部43と締結部材との間の中間領域MAの幅も長くなる。このため、延出部432が側縁44まで延びている場合には、延出部432が側縁44まで延びていない場合と比べて、保持部2に外力Fが加わった際の応力がより分散される。したがって、ケーブルクランプ1の耐久性をより向上させることができる。また、延出部432が側縁44まで延びている場合には、延出部432が側縁44まで延びていない場合と比べて、ビード部43を長くしやすいため、外力Fが加わることによってケーブルクランプ1に生じるたわみをより抑制することができる。これらの効果は、図1~図4に示されるような、略半円状の先端部が切り落とされたよう形状においてより顕著に奏することができる。
本実施形態では、支持部4の長さ方向LDにおけるビード部43の固定部3側の端部の位置(以下、第2の位置P2とも称する)は、できるだけ締結部材と近い方が好ましい。すなわち、第2の位置P2は、できるだけ固定部3(固定領域FA)と近い方が好ましい。第2の位置P2が固定部3(固定領域FA)と近い構成により、ビード部43と締結部材との間の中間領域MA、すなわちビード部43と固定領域FAとの間の中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さを短くすることができるため、中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さが長い場合と比べて、中間領域MAに生じる応力をより抑制することができる。
また、本実施形態では、ビード部43および固定領域FA間の距離Dは、できるだけ短い方が好ましい。すなわち、本実施形態では、距離Dは限りなくゼロに近いことが好ましい。距離Dを短くする構成により、ビード部43と締結部材と間の中間領域MA、すなわちビード部43と固定領域FAとの間の中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さを短くすることができるため、中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さが長い場合と比べて、中間領域MAに生じる応力をより抑制することができる。なお、距離Dは短いことが好ましいが、ゼロでないことが好ましい。距離Dがゼロでない構成により、ビード部43が締結部材と接触するのを防止することができ、ビード部43が締結部材と接触してビード部43が損傷するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、図1~図4に示されるように、ビード部43は、挿通孔31に向かって延びた後、挿通孔31に締結部材が挿入された状態で、締結部材に近接した位置で方向転換している。
すなわち、ビード部43は、挿通孔31に締結部材が挿入された状態で、締結部材から遠い位置で方向転換しているのではなく、締結部材に近い位置で方向転換している。
ビード部43が、挿通孔31に締結部材が挿入された状態で、締結部材に近い位置で方向転換している構成により、ビード部43および締結部材間の距離D、すなわち、ビード部43および固定領域FA間の距離Dを短くすることができる。これにより、ビード部43と締結部材と間の中間領域MA、すなわちビード部43と固定領域FAと間の中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さを短くすることができるため、中間領域MAの、長さ方向LDに沿った長さが長い場合と比べて、中間領域MAに生じる応力をより抑制することができる。
本実施形態では、支持部4にビード部43が設けられて、しかもビード部43が方向転換している構成により、高い剛性が確保されているため、従来のようにフランジ部を設ける必要性は高くない。しかしながら、さらに剛性を高めるために、フランジ部を設けてもよい。なお、たとえば図1~図4に示されるように、フランジ部を設けない場合には、フランジ部を設ける場合と比べてケーブルクランプ1の省スペース化を図ることができる。
1、100 ケーブルクランプ
2 保持部
21 保持部の挿通孔
3 固定部
31 固定部の挿通孔
4 支持部
41 第1の面
42 第2の面
43 ビード部
431 方向転換部
432 延出部
433 先端部
44 側縁
C コントロールケーブル
C1 インナーケーブル
C2 アウターケーシング
D 固定領域およびビード部間の距離
FA 固定領域
LD 長さ方向
MA 中間領域
P1 第1の位置
P2 第2の位置
ST1 応力の最も大きい領域
ST2 領域ST1よりも応力の小さい領域
ST3 領域ST2よりも応力の小さい領域
VB 取付対象(車体)

Claims (4)

  1. 車両のコントロールケーブルを保持する保持部と、
    車体に固定される固定部と、
    一端部が前記保持部につながり、他端部が前記固定部につながるように延びる板状の支持部とを備え、
    前記支持部は、前記一端部側から前記他端部側に向かって延びるビード部を有し、
    前記ビード部は、前記他端部側において、前記支持部の側縁に向かって方向転換する、ケーブルクランプ。
  2. 前記ビード部は、前記支持部の側縁に向かって方向転換する方向転換部と、前記方向転換部から前記側縁に向かって延びる延出部とを有する、請求項1に記載のケーブルクランプ。
  3. 前記延出部は前記側縁まで延びている、請求項2に記載のケーブルクランプ。
  4. 前記固定部は、締結部材が挿入される挿通孔を有し、
    前記ビード部は、前記挿通孔に向かって延びた後、前記挿通孔に前記締結部材が挿入された状態で、前記締結部材に近接した位置で方向転換している、請求項1~3のいずれか1項に記載のケーブルクランプ。
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