(駐車支援機構の概略構成)
本開示の実施例1の駐車支援装置50について、図1から図13を用いて説明する。なお、この明細書では、駐車支援処理における自動駐車処理を示すフローチャートを図13Aと図13Bとに分けて示しており、図13Aから図13Bに移行する際に両図に記載した丸で囲む符号AからCのうちの同じ記号の位置に進むものとしている。そして、以下では、図13Aと図13Bとに示すフローチャートを、単に図13に示すフローチャートと記載する。
駐車支援装置50は、図1に示す駐車支援機構10に設けられている。その駐車支援機構10は、図2に示す車両Vに搭載され、任意の目標駐車位置74へと車両Vを誘導する駐車支援動作を行う。駐車支援機構10は、図1に示すように、4つのカメラ11と、カメラECU12と、ナビゲーション装置13と、車輪速センサ14と、操舵角センサ15とを有する。その各カメラ11は、個別に述べる際には、車両Vにおける設けられる位置に応じて、前方カメラ11aと、後方カメラ11bと、左側方カメラ11cと、右側方カメラ11dと、とする。
前方カメラ11aは、図2に示すように、車両Vのフロントバンパまたはフロントグリルに前方に向けて装着され、車両Vの前端を含む前方の領域を撮像する。後方カメラ11bは、車両Vのリアバンパまたはリアガーニッシュに後方に向けて装着され、車両Vの後端を含む後方の領域を撮像する。左側方カメラ11cは、車両Vの左ドアミラーに左側方に向けて装着され、車両Vの左側方の領域を撮像する。右側方カメラ11dは、車両Vの右ドアミラーに右側方に向けて装着され、車両Vの右側方の領域を撮像する。4つのカメラ11は、それぞれ例えば180[度]程度の広い範囲の撮像を可能とする広い画角の広角レンズや魚眼レンズが装着されており、この4つを合わせることで車両Vの周囲の路面を含む全周の領域を漏れなく撮像可能とされている。
カメラECU12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュメモリ等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成される。カメラECU12は、各カメラ11の動作を制御するとともに、各カメラ11が撮像した画像情報を用いて、目標駐車位置74へと車両Vを誘導する駐車支援処理を行う駐車支援装置50を備える。
ナビゲーション装置13は、画像表示機能を有するモニタ16を備える。ナビゲーション装置13は、経路案内用の地図データ等が格納された記憶部を備える。ナビゲーション装置13は、この地図データ等およびGPS装置等により測位された車両Vの現在位置に基づいて、ナビゲーション装置13の使用者が設定した目標地点までの経路案内を行う。モニタ16は、経路や道路交通情報等の経路案内動作中の各種画像を表示するもので、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。
車輪速センサ14は、車両Vの車輪速を検知し、その検知した検知情報(車輪速)を車両制御ECU21や駐車支援装置50に適宜出力する。操舵角センサ15は、車両Vのステアリングの操舵角を検知し、その検知した検知情報(操舵角)を車両制御ECU21に適宜出力する。その操舵角は、車両Vが直進状態で走行するときを中立位置(0[度])とし、その中立位置からの回転角度で示す。これらの検知情報は、車両制御ECU21による車両Vの動作の制御に用いられる。
さらに、駐車支援機構10は、車両Vの動作を制御する車両制御機構20を有する。その車両制御機構20は、車両制御ECU21と、ステアリング制御ユニット22と、スロットル制御ユニット23と、ブレーキ制御ユニット24とを有する。
車両制御ECU21は、CPU、ROM、RAMおよびフラッシュメモリ等から構成されたマイコンを主体として構成される。車両制御ECU21は、カメラECU12、車輪速センサ14および操舵角センサ15から入力された各情報に基づいて、車両Vの駐車を支援する駐車支援モードを実行する。車両制御ECU21は、その駐車支援モードを行うことで、後述する駐車支援装置50が設定した誘導経路77に沿って車両Vを自動で移動させて目標駐車位置74に駐車させる。
ステアリング制御ユニット22は、車両制御ECU21で決定した車両制御情報に基づいて、パワーステアリングアクチュエータ25を駆動して、車両Vの操舵角を制御する。スロットル制御ユニット23は、車両制御ECU21で決定した車両制御情報に基づいて、スロットルアクチュエータ26を駆動して、車両Vのスロットルを制御する。ブレーキ制御ユニット24は、車両制御ECU21で決定した車両制御情報に基づいて、ブレーキアクチュエータ27を駆動して、車両Vのブレーキを制御する。
車両制御ECU21は、駐車支援モードにおいて、車両制御機構20の上記した各制御ユニット(22、23、24)を適宜制御することで、現在位置の車両Vを、後述する駐車支援装置50が設定した誘導経路77を辿って目標駐車位置74へと移動させる。このとき、車両制御ECU21は、車輪速センサ14および操舵角センサ15が検知した検知情報に基づいて、車両制御機構20の各制御ユニット(22、23、24)の制御を適宜補正することで、車両Vを適切に走行させる。
駐車支援機構10は、カメラECU12、車輪速センサ14および操舵角センサ15と、車両制御ECU21と、の間を、車内LAN(Local Area Network)であるセンサ情報CAN(登録商標)(Controller Area Network)28により接続している。また、駐車支援機構10は、ステアリング制御ユニット22、スロットル制御ユニット23およびブレーキ制御ユニット24と、車両制御ECU21と、の間を、車内LANである車両情報CAN29により接続している。
(駐車支援機構における駐車支援装置の機能構成)
駐車支援機構10は、図3に示す駐車支援装置50を備える。駐車支援装置50は、実施例1ではカメラECU12のCPUから主に構成されている。駐車支援装置50は、CPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイス、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路に代表される演算素子を有する。
また、駐車支援装置50は、カメラECU12のROM、RAM、フラッシュメモリ等から主に構成される記憶部51を有する。この記憶部51は、ハードディスクドライブ等の大容量記憶媒体で構成してもよい。記憶部51は、駐車支援装置50の各機能構成部(符号52から56参照)における演算処理過程で必要となる数値データ、演算処理途中の処理結果に対するプログラムの変数等が適宜書き込まれ、それらが駐車支援装置50の各機能構成部により適宜読み取られる。また、記憶部51は、制御用プログラムを格納しており、この制御用プログラムが駐車支援装置50の起動時に駐車支援装置50により実行されることで、駐車支援装置50が図3に示す各機能構成部を備えたものとなる。なお、駐車支援装置50(その各機能構成部)は、電子回路により専用に構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
駐車支援装置50は、車両Vの駐車を支援する駐車支援モードの制御を行うものであり、その駐車支援モードのための駐車支援処理(制御)を行う。この駐車支援処理を行うために、駐車支援装置50には、上記の4つのカメラ11、車両制御ECU21およびナビゲーション装置13のモニタ16が接続されている。それに加えて、駐車支援装置50には、操作部31と、パーキングスイッチ32と、障害物センサ33と、が接続されている。駐車支援装置50は、その接続された各構成と信号のやり取りが可能とされている。
操作部31は、使用者からの指示入力を受け付けるもので、駐車支援モードを開始する旨の操作やその駐車支援モードにおける各種の操作等の車両Vの駐車の支援に関する操作を可能とする。また、操作部31は、ナビゲーション装置13によるナビゲーション機能のための目的地の入力等を可能とする。実施例1の操作部31は、モニタ16にタッチパネルの機能が搭載されており、そのモニタ16に上記の操作のためのアイコン等が表示されることで構成される。なお、操作部31は、モニタ16の表示画面の周辺に設けたボタンやスイッチで構成してもよく、モニタ16とは別に設けたコントロールレバーやスイッチ等の入力装置としてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
パーキングスイッチ32は、駐車支援モードにおいて、自動駐車処理を実行させる操作をするものである。実施例1のパーキングスイッチ32は、押し下げによるオンオフ操作が可能とされており、オン状態(押し下げられた状態)が維持されると自動駐車処理を実行させ、オフ状態(押し下げられていない状態)とされると自動駐車処理を停止させる。
障害物センサ33は、車両Vの周辺に存在する障害物を検知するもので、実施例1では超音波を利用した超音波センサ(所謂ソナー)とされている。障害物センサ33は、障害物を検知すると、その検知情報(障害物の方向や障害物までの距離等)を駐車支援装置50に出力する。実施例1の障害物センサ33は、図2に示すように、車両Vのフロントバンパまたはフロントグリルに前方に向けて2つ、車両Vのリアバンパまたはリアガーニッシュに後方に向けて2つ、車両Vのドアミラーやサイドガーニッシュやドアに側方に向けて2つずつ、併せて8個設けられている。障害物センサ33は、車両Vにおける設置位置が予め登録されており、その設置位置と検知情報とに基づいて障害物の座標位置の算出を可能としている。
また、駐車支援装置50は、駐車支援モードの各種処理を行うための機能構成部として、俯瞰画像作成部52と、画像解析部53と、表示制御部54と、目標駐車位置設定部55と、障害物算出部56と、誘導経路設定部57と、駐車支援実行制御部58と、を有する。
俯瞰画像作成部52は、カメラ11からの情報に基づいてモニタ16に表示させる画像を作成する画像作成部であり、実施例1では画像の一例として俯瞰画像70(図4等参照)を作成する。この俯瞰画像70は、車両Vの上方から鉛直方向に平行な視線で見下ろしたと仮定して得られる画像であり、駐車支援装置50において目標駐車位置74への誘導に用いる画像(路面画像)の一例である。俯瞰画像作成部52は、4つのカメラ11がそれぞれ車両Vの周囲の路面を撮像した画像(以下、スルー画像ともいう)を取得し、このスルー画像を俯瞰画像70に変換する。実施例1の俯瞰画像作成部52は、視点変換とともに、4つのカメラ11からのスルー画像に対応した4つの俯瞰画像を、対応する座標値の輝度を線形補間等により繋ぎ目の違和感を無くしつつ1枚の画像として繋ぎ合わせることで、車両Vを中心とした単一の俯瞰画像70に合成する。俯瞰画像作成部52は、車両Vの移動に伴って4つのカメラ11からのスルー画像が変化すると、その変化を動画または連続する静止画として取得し、その変化するスルー画像に基づいて俯瞰画像70を作成する。そして、俯瞰画像作成部52は、作成した俯瞰画像70(そのデータ)を記憶部51に記憶させる。なお、俯瞰画像作成部52は、俯瞰画像70を作成すれば、上記の各処理を同時に行ってもよく、他の内容の処理を行ってもよく、実施例1に限定されない。
その一例としての図4に示す俯瞰画像70は、車両Vが駐車場にいる場面を示しており、正面視して車両Vの上方に、アスファルト等の路面に描かれた複数の側線71(マーカ)と、その各側線71で区画されて並列された4つの駐車区画72(駐車スペース)と、を示している。また、図4の俯瞰画像70に連続するものであって、時間的に後者(未来側)に相当する俯瞰画像70を図5に示す。以下では、個別に述べる際には、図4のものを俯瞰画像701とし、図5のものを俯瞰画像702とする。その俯瞰画像702は、正面視して車両Vの上方に並列された4つの駐車区画72が示されており、左端の駐車区画72が俯瞰画像701の右端の駐車区画72と同じものとされている。
以下では、個別に述べる際には、俯瞰画像701において左側から順に駐車区画721、駐車区画722、駐車区画723、駐車区画724とし、俯瞰画像702において左側から順に駐車区画724、駐車区画725、駐車区画726、駐車区画727とする。図4および図5の例では、俯瞰画像701の駐車区画723に車両Vp1が駐車し、俯瞰画像702の駐車区画725に車両Vp2が駐車し、俯瞰画像702の駐車区画727に車両Vp3が駐車している。この例では、俯瞰画像作成部52は、俯瞰画像701から俯瞰画像702に至る範囲の動画または連続する静止画を記憶部51に記憶させる。
画像解析部53は、俯瞰画像作成部52が作成した俯瞰画像70における駐車推奨区画73を探索する駐車区画探索処理を行う。その駐車推奨区画73は、駐車区画72のうち車両Vが駐車可能なものをいう。画像解析部53は、俯瞰画像70に対して、一定方向(例えば、俯瞰画像70における横方向となるx方向(図4、図5の俯瞰画像70においては、各駐車区画72が並列する方向))に走査を行うことで、x方向に交差する方向に延びたエッジを検出するエッジ検出処理を行う。そのエッジは、俯瞰画像70の空間的に狭い領域で明暗(画素値(画像信号値))が急激に所定値を超えて増減変化する部分である。ここで、画像信号値が相対的に小さい値から大きい値に増加するエッジ(立上がりエッジ)をプラスエッジとし、逆に相対的に大きい値から小さい値に減少するエッジ(立下りエッジ)をマイナスエッジとする。なお、このエッジ検出処理は、濃淡値を用いるものとしてもよい。
画像解析部53は、このプラスエッジやマイナスエッジが直線上に並んで検出されると、そのプラスエッジの線分とマイナスエッジの線分とが走査方向で所定の間隔で対(ペア)となりつつ一定長さ以上であるものを、駐車区画72を仕切る側線71と判定して検出する。画像解析部53は、検出した複数の側線71のうちの走査方向に並ぶ2つの側線71の間隔が所定の閾値の範囲にあるか否かを判定し、その範囲にあると判定すると、その2つの側線71を両側方の側線とする駐車推奨区画73であると特定する。
このとき、画像解析部53は、駐車区画723、駐車区画725、駐車区画727に対しては、2つの側線71の間に駐車している車両Vp1、車両Vp2、車両Vp3と路面との境界を検出しているので、駐車推奨区画73であるとは特定しない。なお、画像解析部53は、駐車区画探索処理において、俯瞰画像70から車両に相当する図柄を検出することや、障害物センサ33からの検知情報を用いることで、車両が存在することを検知するものとしてもよい。このようにして、画像解析部53は、俯瞰画像70における全ての駐車推奨区画73を探索する。画像解析部53は、探索した全ての駐車推奨区画73を、俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして、記憶部51に記憶させる。
実施例1の画像解析部53は、俯瞰画像70における障害物も併せて検出する。この障害物は、人や車両等である。画像解析部53は、車両Vの移動または車両Vの周辺の路面に対する障害物の移動速度の差異や、路面に対する障害物の高さの差異等に基づいて、俯瞰画像70における障害物も併せて検出する。また、画像解析部53は、障害物として想定するものの図柄を予め設定し、その図柄を検出することで障害物を検出してもよい。画像解析部53は、検出した全ての障害物を、俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして、記憶部51に記憶させる。
表示制御部54は、表示部(実施例1ではモニタ16)における表示を制御する。表示制御部54は、俯瞰画像70や、そこに重畳させる各種記号(後述する推奨区画記号75や誘導経路記号78等)を、モニタ16に表示させるための表示制御信号をナビゲーション装置13に出力する。このため、モニタ16は、俯瞰画像70を単独で、もしくは各種記号を重畳させた俯瞰画像70を表示させることができ、所望の駐車区画72に車両Vが誘導されていく様子を使用者に視認させることができる。また、表示制御部54は、操作部31において、現時点でモニタ16に表示させている俯瞰画像70よりも時間的に前者(過去側)に相当する俯瞰画像70を表示させる旨の操作が為されると、その操作に応じた過去の俯瞰画像70を記憶部51から読み出して、その表示制御信号をモニタ16(ナビゲーション装置13)に出力する。表示制御部54は、過去の俯瞰画像70を表示させる際、駐車支援装置50が搭載された車両Vを示すアイコン等の記号を表示してもよく、表示しなくてもよい。そして、表示しない場合には、車両Vが存在する位置を、その時間的に前後する俯瞰画像70(そのデータ)を用いて補完することで、車両Vにより各カメラ11の死角となっている箇所の路面として表示できる。
実施例1では、俯瞰画像作成部52が、車両Vの移動に伴って俯瞰画像70を作成しているので、車両Vの移動方向とは反対方向を表示させるようにモニタ16の触れた箇所を滑らせる(所謂スワイプ)ことを、過去の俯瞰画像70を表示させる操作とする。そして、表示制御部54は、モニタ16へのスワイプに合わせて過去に遡るようにスライドさせる(所謂スクロール)ようにモニタ16に俯瞰画像70を表示させる。上記の例を用いると、図5に示す俯瞰画像702がモニタ16に表示された状態において、俯瞰画像702よりも左側を見るようにモニタ16上で右側へとスワイプされると、俯瞰画像702が右側へとスクロールされて左側から俯瞰画像701が現れることとなる。
目標駐車位置設定部55は、画像解析部53が探索した複数の駐車推奨区画73の中から目標駐車位置74を設定する駐車目標設定処理を行う。目標駐車位置設定部55は、駐車推奨区画73を示す推奨区画記号75を生成し、その推奨区画記号75をモニタ16に表示させるための表示制御信号をナビゲーション装置13に出力することで、俯瞰画像70に推奨区画記号75を重畳させる(図8参照)。この推奨区画記号75は、俯瞰画像70における駐車推奨区画73の位置を示すものであり、実施例1では破線で示す矩形状の枠としている。そして、目標駐車位置設定部55は、操作部31としてのモニタ16の表示画面において、複数の推奨区画記号75のうちのいずれか1つが選択されると、その選択された推奨区画記号75の位置すなわちそれが示す駐車推奨区画73を目標駐車位置74として設定する。
目標駐車位置設定部55は、目標駐車位置74を示す目標位置記号76を生成し、その目標位置記号76をモニタ16に表示させるための表示制御信号を、表示制御部54を介してナビゲーション装置13に出力することで、俯瞰画像70に目標位置記号76を重畳させる。この目標位置記号76は、俯瞰画像70における目標駐車位置74の位置を示すものであり、実施例1では推奨区画記号75よりも太い破線で示す矩形状の枠としている(図10、図11参照)。目標駐車位置設定部55は、モニタ16に表示されていれば、現在の俯瞰画像70であるか過去の俯瞰画像70であるかに関わらず、上記の駐車目標設定処理を同様に行う。目標駐車位置設定部55は、設定した目標駐車位置74を、俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして、記憶部51に記憶させる。
障害物算出部56は、車両Vの周辺の障害物を算出する。実施例1の障害物算出部56は、障害物センサ33による検知情報と、画像解析部53からの俯瞰画像70における障害物の検出情報と、を用いて、車両Vの周辺に存在する障害物の情報を算出する。その情報は、各障害物において、車両Vに対する位置関係(車両Vに対する方向および距離)を含むものとする。障害物算出部56は、算出した各障害物を、俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして、記憶部51に記憶させる。このため、障害物算出部56は、障害物センサ33、画像解析部53および各カメラ11と協働して、障害物検知機構として機能する。
誘導経路設定部57は、車両Vの現在位置から目標駐車位置74(目標位置記号76)まで、車両Vを誘導する誘導経路77(図10、図11参照)を算出(設定)する経路算出処理を行う。誘導経路設定部57は、経路算出処理において、俯瞰画像70において、現在の車両Vの座標位置と、目標駐車位置74の情報と、障害物の情報と、を取得する。誘導経路設定部57は、障害物との接触を避けつつ車両Vを現在位置から目標駐車位置74へと到達させることのできる誘導経路77を算出する。誘導経路設定部57は、誘導経路77を示す誘導経路記号78を生成し、その誘導経路記号78をモニタ16に表示させるための表示制御信号を、表示制御部54を介してナビゲーション装置13に出力することで、俯瞰画像70に誘導経路記号78を重畳させる。この誘導経路記号78は、俯瞰画像70における誘導経路77を示すものであり、実施例1では車両Vを現在位置から目標駐車位置74へと向かう矢印としている(図10、図11参照)。
誘導経路設定部57は、誘導経路77(その情報)を駐車支援実行制御部58に出力する。また、誘導経路設定部57は、自動駐車処理において、誘導経路77や目標駐車位置74上の障害物や、誘導経路77に沿って移動させている車両Vへの接触が予想される障害物の情報を取得すると、その障害物との接触を回避しつつ目標駐車位置74へと導くように誘導経路77を補正する。さらに、誘導経路設定部57は、自動駐車処理において、そのような障害物との接触を回避しつつ目標駐車位置74へと導くことが困難であると判断すると、その旨を示す信号を駐車支援実行制御部58に出力する。
駐車支援実行制御部58は、自動駐車処理を実行させるか否かを判断し、その判断に応じた情報を車両制御機構20の車両制御ECU21に出力する。駐車支援実行制御部58は、駐車支援モードにおいて、パーキングスイッチ32に自動駐車処理を実行させる操作が為されると、自動駐車処理を実行させるものと判断して、誘導経路77を辿るように車両Vを駆動させる信号を車両制御機構20に出力する。また、駐車支援実行制御部58は、パーキングスイッチ32に自動駐車処理を停止させる操作が為されると、自動駐車処理を停止させる(実行させない)ものと判断して、車両Vの駆動を停止させる信号を車両制御機構20に出力する。加えて、駐車支援実行制御部58は、誘導経路設定部57から障害物との接触を回避しつつ目標駐車位置74へと導くことが困難であるとの信号が入力されると、自動駐車処理を停止させる(実行させない)ものと判断して、車両Vの駆動を停止させる信号を車両制御機構20に出力する。
(駐車支援モード)
次に、駐車支援機構10において、駐車支援装置50の制御下で、車両Vを自動で移動させて目標駐車位置74に駐車させる駐車支援モードのための駐車支援処理の一例について、図6を用いて説明する。図6は、実施例1における駐車支援装置50で実行される駐車支援処理を示すフローチャートである。この駐車支援処理は、記憶部51に記憶されたプログラムに基づいて駐車支援装置50が実行する。以下では、図6のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。図6のフローチャートは、駐車支援機構10の電源が投入されて操作部31に駐車支援モードを開始する旨の操作が為されることにより開始される。駐車支援装置50は、駐車支援処理を開始すると俯瞰画像作成部52が俯瞰画像70の作成を開始し、少なくとも駐車支援処理が終了するまで俯瞰画像70の作成を継続すなわち俯瞰画像70を更新し続ける。
ステップS1は、駐車区画探索処理を行い、ステップS2へ進む。ステップS1は、車両Vが駐車可能な駐車推奨区画73を探索する駐車区画探索処理(図7のフローチャート参照)を行う。この駐車区画探索処理については、後に詳細に説明する。
ステップS2は、駐車目標設定処理を行い、ステップS3へ進む。ステップS2は、ステップS1で探索した駐車推奨区画73の中から目標駐車位置74を設定する駐車目標設定処理(図9のフローチャート参照)を行う。この駐車目標設定処理については、後に詳細に説明する。
ステップS3は、設定した目標駐車位置74で問題ないか否かを判断し、Yesの場合はステップS5へ進み、Noの場合はステップS4へ進む。ステップS3は、ステップS2で設定した目標駐車位置74に車両Vを駐車させて良いのか否かを判断する。実施例1のステップS3は、モニタ16に表示された俯瞰画像70において、駐車区画72内での目標位置記号76の姿勢や位置や向き等を使用者が調整する場合には問題ありと判断し、使用者がそれらの修正を行わない場合には問題ないと判断する。この判断は、操作部31としてのモニタ16に調整の有無を問うアイコンを表示させ、そのアイコンへの操作に基づいて行う。
ステップS4は、駐車目標調整処理を行い、ステップS5へ進む。ステップS4は、ステップS2で設定した目標駐車位置74を調整する駐車目標調整処理(図12のフローチャート参照)を行う。この駐車目標調整処理については、後に詳細に説明する。
ステップS5は、経路算出処理を行い、ステップS6へ進む。ステップS5は、誘導経路設定部57が、ステップS3で設定し適宜ステップS4で調整された目標駐車位置74へと、車両Vを自動で駐車させるための誘導経路77を算出する上述の経路算出処理を行う。
ステップS6は、自動駐車処理を行い、この駐車支援処理を終了する。ステップS6は、ステップS5で算出した誘導経路77に沿って目標駐車位置74へと車両Vを自動で駐車させる自動駐車処理(図13のフローチャート参照)を行う。このとき、駐車支援実行制御部58は、車両制御ECU21に自動駐車処理を実行させるために、自動駐車処理に必要な情報を車両制御ECU21に出力する。その必要な情報は、誘導経路77や、車両Vの現在位置と目標駐車位置74との位置関係や、目標駐車位置74の大きさ、形状等がある。この自動駐車処理については、後に詳細に説明する。
(駐車区画探索処理)
次に、駐車支援処理の駐車区画探索処理について、図7を用いて説明する。図7は、実施例1における駐車支援装置50で実行される駐車区画探索処理を示すフローチャートである。
ステップS11は、変数nを1(n=1)として、ステップS12へ進む。この変数nは、画像解析部53において探索した駐車推奨区画73が何箇目のものであるのかをカウントするために用いるものであり、ステップS11では当該変数nを1とする。
ステップS12は、画像解析部53が駐車区画72を検出して、ステップS13へ進む。ステップS12は、画像解析部53が、俯瞰画像70において、複数の側線71を検出し、そのうちの走査方向に並ぶ2つの側線71に挟まれた箇所を抽出して駐車区画72を検出し、それを繰り返すことで全ての駐車区画72を検出する。
ステップS13は、駐車区画72が駐車推奨区画73であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS14へ進み、Noの場合はステップS15へ進む。ステップS13は、画像解析部53が、ステップS12で検出した複数の駐車区画72から1つを抽出し、その駐車区画72が車両Vの駐車が可能な幅寸法である、すなわち走査方向で2つの側線71の間隔が所定の閾値の範囲内であると判断すると、当該駐車区画72が駐車推奨区画73であると判断する。このとき、画像解析部53は、先にステップS13を行った際に駐車推奨区画73か否かを判断していない駐車区画72を判断対象とする。すなわち、画像解析部53は、後述のステップS17から戻り繰り返されることで、ステップS13を行った回数と同じ個数の駐車区画72を判断対象とする。
ステップS14は、駐車推奨区画73を記憶させて、ステップS16へ進む。ステップS14は、ステップS13で車両Vが駐車可能であると判断した駐車区画72を第n駐車推奨区画73nとし、その第n駐車推奨区画73nを俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして記憶部51に記憶させる。
ステップS15は、n-1を新たな変数nとして、ステップS16へ進む。ステップS15は、ステップS13で判断対象とした駐車区画72が車両Vを駐車可能ではなく、n箇目の駐車推奨区画73とすることができなかったので、n箇目の駐車推奨区画73を探索すべく変数n(その現状の値)から1を減算して新たな変数n(n=n-1)とする。
ステップS16は、他の駐車区画72が存在する否かを判断し、Yesの場合はステップS17へ進み、Noの場合はこの駐車区画探索処理を終了する。ステップS16は、画像解析部53が、俯瞰画像70において、ステップS13で判断対象とした駐車区画72以外にもステップS12で検出した駐車区画72が存在するか否かを判断する。
ステップS17は、n+1を新たな変数nとして、ステップS13へ戻る。ステップS17は、ステップS14で最後に記憶したのがn箇目の駐車推奨区画73となるので、その次となるn+1箇目の駐車推奨区画73を探索すべく、変数n(その現状の値)に1を加算して新たな変数n(n=n+1)とする。
この図7に示す駐車区画探索処理は、画像解析部53が俯瞰画像70における全ての駐車推奨区画73を探索し、その各駐車推奨区画73を俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして記憶部51に記憶させる。このため、駐車区画探索処理は、図4の俯瞰画像701から図5の俯瞰画像702を例にすると、図8に示すように、駐車区画721を第1駐車推奨区画731とし、駐車区画722を第2駐車推奨区画732とし、駐車区画724を第3駐車推奨区画733とし、駐車区画726を第4駐車推奨区画734として記憶部51に記憶させる。なお、図8は、各駐車区画72における各駐車推奨区画73の設定の把握を容易とするために、7つの駐車区画72を並べて示すとともに、俯瞰画像701および俯瞰画像702に相当する箇所をそれぞれ一点鎖線で囲んで示している。そして、図8は、図4と図5とを重ねた状態であることを示すために、図4の俯瞰画像701において車両Vが存在した箇所と、図5の俯瞰画像702において車両Vが存在した箇所と、の双方に車両Vを示している。
(駐車目標設定処理)
次に、駐車支援処理の駐車目標設定処理について、図9を用いて説明する。図9は、実施例1における駐車支援装置50で実行される駐車目標設定処理を示すフローチャートである。
ステップS21は、推奨区画記号75を表示させて、ステップS22へ進む。ステップS21は、目標駐車位置設定部55が、複数の駐車推奨区画73を示す推奨区画記号75をモニタ16に表示させるための表示制御信号をナビゲーション装置13に出力する。これにより、モニタ16は、俯瞰画像70内に存在する全ての駐車推奨区画73の位置に推奨区画記号75を表示させる(図8参照)。
ステップS22は、推奨区画記号75が選択されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS26へ進み、Noの場合はステップS23へ進む。ステップS22は、目標駐車位置設定部55が、ステップS21で表示させた俯瞰画像70のいずれかの推奨区画記号75が選択されたか否かを判断する。
ステップS23は、過去の俯瞰画像70を表示させるか否かを判断し、Yesの場合はステップS24へ進み、Noの場合はステップS28へ進む。ステップS23は、表示制御部54が、操作部31としてのモニタ16が過去に遡るようにスワイプされると、過去の俯瞰画像70を表示させると判断する。
ステップS24は、過去の俯瞰画像70を表示させて、ステップS25へ進む。ステップS24は、表示制御部54が、ステップS23でのモニタ16へのスワイプに合わせて、モニタ16に過去の俯瞰画像70を表示させる。
ステップS25は、推奨区画記号75が選択されたか否かを判断し、Yesの場合はステップS26へ進み、Noの場合はステップS28へ進む。ステップS25は、目標駐車位置設定部55が、過去の俯瞰画像70のいずれかの推奨区画記号75が選択されたか否かを判断する。
ステップS26は、目標駐車位置74を設定して、ステップS27へ進む。ステップS26は、目標駐車位置設定部55が、ステップS22またはステップS25で選択された推奨区画記号75の位置すなわちそれが示す駐車推奨区画73を、目標駐車位置74として設置する。
ステップS27は、目標位置記号76を表示させて、この駐車目標設定処理を終了する。ステップS27は、目標駐車位置設定部55が、目標駐車位置74を示す目標位置記号76をモニタ16に表示させるための表示制御信号を、表示制御部54を介してナビゲーション装置13に出力する。これにより、モニタ16では、俯瞰画像70において、設定した目標駐車位置74すなわちステップS22またはステップS25において選択された推奨区画記号75の位置に、目標位置記号76が重畳されて表示される(図10、図11参照)。そして、目標駐車位置設定部55は、設定した目標駐車位置74を、俯瞰画像70における座標位置を含むデータとして、記憶部51に記憶させる。このとき、目標駐車位置設定部55は、俯瞰画像70における選択されなかった全ての推奨区画記号75の表示を停止することで、目標駐車位置74(目標位置記号76)の把握を容易とすることができる。
ステップS28は、目標駐車位置74の設定を終了する否かを判断し、Yesの場合は駐車支援モードを終了し、Noの場合はステップS22へ戻る。ステップS28は、表示制御部54が、目標駐車位置74の設定すなわち車両Vを自動で駐車させる駐車支援モードを終了するか否かを選択させるアイコンをモニタ16に表示させて、そこへの操作により目標駐車位置74の設定を終了する否かを判断する。
この図9に示す駐車目標設定処理は、目標駐車位置設定部55が、モニタ16において俯瞰画像70内に存在する全ての駐車推奨区画73の位置に推奨区画記号75を表示させる。このため、駐車目標設定処理は、図8の例では、駐車区画721と駐車区画722と駐車区画724と駐車区画726とに推奨区画記号75を表示させる。そして、駐車目標設定処理は、その中でいずれかの推奨区画記号75が選択されると、その位置を目標駐車位置74として設定し、俯瞰画像70における目標駐車位置74の位置に目標位置記号76を表示させる。このため、駐車目標設定処理は、例えば、図5の俯瞰画像702において駐車区画724が目標駐車位置74として設定されると、図10に示すように駐車区画724に目標位置記号76を表示させる。また、駐車目標設定処理は、例えば、図5の俯瞰画像702が表示されている際に、過去となる図4の俯瞰画像701において駐車区画721が目標駐車位置74として設定されると、図11に示すように駐車区画721に目標位置記号76を表示させる。なお、図11は、車両Vの現在位置と、目標駐車位置74(目標位置記号76)としての駐車区画721と、の双方を位置関係の把握を容易とするために、7つの駐車区画72を並べて示すとともに、俯瞰画像701および俯瞰画像702に相当する箇所をそれぞれ一点鎖線で囲んで示している。そして、図11は、現在位置のみに車両Vを示している。
(駐車目標調整処理)
次に、駐車支援処理の駐車目標調整処理について、図12を用いて説明する。図12は、実施例1における駐車支援装置50で実行される駐車目標調整処理を示すフローチャートである。
ステップS31は、目標駐車位置74を調整して、ステップS32へ進む。ステップS31は、目標駐車位置設定部55が、操作部31としてのモニタ16に表示された俯瞰画像70において、ステップS2で設定した目標駐車位置74を示す目標位置記号76の駐車区画72内での姿勢や位置や向き等を調整する操作が為されると、その操作に応じて目標位置記号76の表示の態様を調整する。
ステップS32は、目標駐車位置74の調整が終了したか否かを判断し、Yesの場合はこの駐車目標調整処理を終了し、Noの場合はステップS31へ戻る。ステップS32は、表示制御部54が、目標駐車位置74の調整を終了するか否かを選択させるアイコンをモニタ16に表示させて、そこへの操作により目標駐車位置74の調整を終了する否かを判断する。
この図12に示す駐車目標調整処理は、目標駐車位置74を使用者の要望に沿う態様とすることができる。すなわち、駐車目標調整処理は、目標駐車位置74とした駐車区画72において、車両Vの駐車位置や向き等の細かな設定を可能とする。
(自動駐車処理)
次に、駐車支援処理の自動駐車処理について、図13を用いて説明する。図13は、実施例1における駐車支援装置50で実行される自動駐車処理を示すフローチャートである。
ステップS41は、誘導経路77を取得して、ステップS42へ進む。ステップS41は、車両制御ECU21、駐車支援実行制御部58および表示制御部54が、ステップS5で設定した誘導経路77および誘導経路記号78(それらの情報)を誘導経路設定部57から取得する。
ステップS42は、誘導経路記号78を表示させて、ステップS43へ進む。ステップS42は、表示制御部54が、取得した誘導経路77を示す誘導経路記号78をモニタ16に表示させるための表示制御信号をナビゲーション装置13に出力する。これにより、モニタ16は、俯瞰画像70において、誘導経路77すなわち現在の車両Vから目標駐車位置74へと自動で駐車させるための経路を示す誘導経路記号78を重畳させて表示する。
ステップS43は、自動駐車処理を実行させるか否かを判断し、Yesの場合はステップS44へ進み、Noの場合はステップS43を繰り返す。ステップS43は、駐車支援実行制御部58が、パーキングスイッチ32がオン状態とされると自動駐車処理を実行させるものと判断し、オン状態が維持されている間に自動駐車処理を継続する。
ステップS44は、車両Vの自動での移動を開始して、ステップS45へ進む。ステップS44は、駐車支援実行制御部58が、誘導経路77を辿るように車両Vを駆動させる信号を車両制御機構20に出力する。そして、車両制御機構20では、車両制御ECU21が、取得した誘導経路77に沿って車両Vを移動させるように、各制御ユニット(22、23、24)の制御を開始する。
ステップS45は、俯瞰画像70の更新を開始し、ステップS46へ進む。ステップS45は、ステップS44での車両Vの自動での移動の開始に合わせて、俯瞰画像作成部52が更新している俯瞰画像70を表示制御部54がモニタ16に表示させる。
ステップS46は、車両Vの移動を継続するか否かを判断し、Yesの場合はステップS47へ進み、Noの場合はステップS51へ進む。ステップS46は、障害物算出部56が車両Vの周辺の障害物を算出し、誘導経路設定部57がその障害物が誘導経路77に沿う車両Vの移動を停止する必要があるか否かを判断する。ここで、誘導経路設定部57は、誘導経路77を補正すれば、障害物との接触を回避しつつ目標駐車位置74へと導くことが可能である場合には移動を継続すると判断し、困難である場合には停止する必要があると判断する。
ステップS47は、誘導経路77を補正して、ステップS48へ進む。ステップS47は、誘導経路設定部57が、障害物との接触を回避しつつ目標駐車位置74へと導くように誘導経路77を補正する。そして、ステップS47は、車両制御ECU21が、その補正した誘導経路77に沿って車両Vを移動させるように、車両制御機構20の各制御ユニット(22、23、24)の制御を行う。
ステップS48は、車両Vが目標駐車位置74に到達したかを判断し、Yesの場合はステップS49へ進み、Noの場合はステップS45へ戻る。ステップS48は、車両制御ECU21が、車両Vが目標駐車位置74に到達したかを判断する。
ステップS49は、車両Vを停止し、ステップS50へ進む。ステップS49は、車両制御ECU21が、車両制御機構20の各制御ユニット(22、23、24)の制御を停止する。
ステップS50は、自動駐車処理を終了する旨の表示をし、この自動駐車処理すなわち駐車支援モードを終了する。ステップS50は、表示制御部54が、自動駐車処理を終了する旨の表示をモニタ16に表示させる。そして、ステップS50は、ステップS61から進行した場合には、表示制御部54が、使用者による手動での運転に切り替えた旨の表示も併せてモニタ16に表示させる。
ステップS51は、車両Vを停止し、ステップS52へ進む。ステップS51は、駐車支援実行制御部58が、車両Vの駆動を停止させる信号を車両制御機構20に出力し、その車両制御ECU21が各制御ユニット(22、23、24)の制御を停止する。
ステップS52は、障害物による阻害が緊急であるか否かを判断し、Noの場合はステップS53へ進み、Yesの場合はステップS59へ進む。ステップS52は、誘導経路設定部57が、ステップS46で判断対象とした障害物が緊急のものであるか否かを判断する。ここで、誘導経路設定部57は、例えば障害物が車両Vの後方から接近している他の車両である等のように、誘導を直ちに停止する必要がある場合には、緊急であると判断する。
ステップS53は、障害物による阻害が解消可能であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS54へ進み、Noの場合はステップS55へ進む。ステップS53は、誘導経路設定部57が、ステップS46で判断対象とした障害物による阻害が解消可能であるか否かを判断する。ここで、誘導経路設定部57は、例えば障害物が車両Vの後方を横切る人であって待機すれば障害物による阻害が解消する等のように、障害物による阻害が解消する可能性がある場合には、解消可能と判断する。また、誘導経路設定部57は、例えば障害物が目標駐車位置74に駐車している車である等のように、目標駐車位置74への駐車が困難である場合には、解消不可能と判断する。
ステップS54は、解消動作を実行して、ステップS48へ進む。ステップS54は、車両制御ECU21が、車両制御機構20の各制御ユニット(22、23、24)を制御して、障害物による阻害を解消させる解消動作を実行する。この解消動作は、上記の例では、障害物である人が車両Vの後方を横切り終えるまで待機することとなる。
ステップS55は、目標駐車位置74を削除して、ステップS56へ進む。ステップS55は、誘導経路設定部57が、障害物による阻害により、ステップS3で設定し適宜ステップS4で調整した目標駐車位置74へと車両Vを誘導することが困難であるので、その目標駐車位置74を削除する。
ステップS56は、他の駐車推奨区画73があるか否かを判断し、Yesの場合はステップS57へ進み、Noの場合はステップS58へ進む。ステップS56は、このステップS56に進行した時点で既に目標駐車位置74とされた駐車推奨区画73の他に、ステップS1での駐車区画探索処理において画像解析部53が探索した駐車推奨区画73があるか否かを判断する。
ステップS57は、他の駐車推奨区画73を選択するか否かを判断し、Yesの場合はステップS2(駐車目標設定処理)へ進み、Noの場合はステップS58へ進む。ステップS57は、表示制御部54が、他の駐車推奨区画73を選択するか否かを選択させる画面をモニタ16に表示させて、どちらが選択されたかを判断する。
ステップS58は、再度駐車推奨区画73を探索するか否かを判断し、Yesの場合はステップS1(駐車区画探索処理)へ進み、Noの場合はステップS61へ進む。ステップS58は、表示制御部54が、再び駐車推奨区画73を探索し直すか否かを選択させる画面をモニタ16に表示させて、どちらが選択されたかを判断する。
ステップS59は、障害物による阻害が緊急である旨を通知して、ステップS60へ進む。ステップS59は、表示制御部54が、障害物による阻害が緊急である旨を示す画面をモニタ16に表示させる。
ステップS60は、目標駐車位置74を削除して、ステップS61へ進む。ステップS60は、障害物による阻害が緊急であって、ステップS3で設定し適宜ステップS4で調整した目標駐車位置74へと車両Vを誘導することが困難であるので、その目標駐車位置74を削除する。
ステップS61は、手動での運転に切り替えて、ステップS50へ進む。ステップS61は、駐車支援実行制御部58が、車両Vの駆動を停止させる信号を車両制御機構20に出力し、その車両制御ECU21が各制御ユニット(22、23、24)を制御することによる自動での車両Vの移動を停止し、使用者による手動での運転に切り替える。
この図12に示す自動駐車処理は、基本的に、車両制御ECU21が、車両制御機構20の各制御ユニット(22、23、24)を制御することで、ステップS5(経路算出処理)で算出した誘導経路77に沿って車両Vを自動で移動させて目標駐車位置74に駐車させる。このため、自動駐車処理は、図10の俯瞰画像702を例にすると、推奨区画記号75に向かう誘導経路記号78(誘導経路77)に沿って車両Vを自動で移動させ、駐車区画724に車両Vを駐車させる。また、自動駐車処理は、図11の俯瞰画像70を例にすると、推奨区画記号75に向かう誘導経路記号78(誘導経路77)に沿って車両Vを自動で移動させ、駐車区画721に車両Vを駐車させる。
このとき、自動駐車処理は、自動で移動する車両Vの周辺の俯瞰画像70をモニタ16で確認させることができ、車両Vの周囲の安全の確認を容易なものにできる。加えて、自動駐車処理は、障害物算出部56が誘導経路77に沿って移動された車両Vに接触し得る障害物を算出すると、その障害物の種類や態様に応じて、誘導経路77を補正したり、車両Vを停止したり、目標駐車位置74への誘導を終了したりする。そして、自動駐車処理は、目標駐車位置74への誘導を終了した場合、使用者の要望に応じてステップS1またはステップS2へと戻って新たな目標駐車位置74の設定を行う。このため、自動駐車処理は、安全を確保しつつ車両Vを所望の駐車区画72へと自動で移動させることができる。
(駐車支援装置の効果)
本開示に係る駐車支援装置の一実施例の駐車支援装置50は、以下の各作用効果を得ることができる。
駐車支援装置50は、目標駐車位置設定部55が、表示部としてのモニタ16に表示させている画像としての俯瞰画像70と、記憶部51に記憶された俯瞰画像70と、の中で目標駐車位置74を設定する。また、駐車支援装置50は、誘導経路設定部57が、目標駐車位置74へと車両Vを誘導する誘導経路77を設定する。このため、駐車支援装置50は、例えば、駐車場内を走行しつつ駐車可能な位置を探している場面において、通り過ぎることで既にモニタ16らは消えてしまった駐車区画72であっても目標駐車位置74として車両Vを誘導することができ、使い勝手を向上できる。
また、駐車支援装置50は、モニタ16に表示されている俯瞰画像70よりも以前の俯瞰画像70を表示させる操作を操作部31が受け付けると、表示制御部54がその操作に応じて記憶部51に記憶された俯瞰画像70をモニタ16に表示させ、目標駐車位置設定部55が表示された俯瞰画像70内で目標駐車位置74を設定する。このため、駐車支援装置50は、先にモニタ16に表示されて使用者が駐車しようと思い浮かべた俯瞰画像70を用いて目標駐車位置74を設定するので、より使い勝手を向上できる。
さらに、駐車支援装置50は、モニタ16に表示させた俯瞰画像70における駐車推奨区画73を検出する画像解析部53を備える。表示制御部54は、検出された駐車推奨区画73を示す推奨区画記号75を俯瞰画像70に重畳させてモニタ16に表示させるとともに、それらを記憶部51に記憶させる。そして、駐車支援装置50は、目標駐車位置設定部55が、モニタ16に表示させた俯瞰画像70においていずれかの推奨区画記号75が選択されると、選択された推奨区画記号75の位置を目標駐車位置74として設定する。ここで、モニタ16に表示された俯瞰画像70は、その時点でカメラ11が取得しているものであってもよく、記憶部51から読み出された過去のものであってもよい。このため、駐車支援装置50は、いずれの場合であっても使用者がモニタ16上の俯瞰画像70で推奨区画記号75を選択するだけで目標駐車位置74を設定できるので、簡易な操作としつつ使用者が望む位置を目標駐車位置74とすることができる。
駐車支援装置50は、自動駐車処理を実行させるか否かを判断する駐車支援実行制御部58を備え、その駐車支援実行制御部58が、実行させると判断すると、設定した誘導経路77を辿るように車両Vを駆動させる信号を車両制御機構20へと出力することで目標駐車位置74へと誘導する。このため、駐車支援装置50は、その時点でカメラ11が取得している俯瞰画像70か記憶部51から読み出された過去の俯瞰画像70かに拘らず、使用者が選択した目標駐車位置74へと車両Vを自動で移動させることができる。
駐車支援装置50は、駐車支援実行制御部58が、目標駐車位置74へと車両Vを駆動させている場面において、障害物検知機構が目標駐車位置74または誘導経路77上に障害物を検知すると、車両Vの駆動を停止させる信号を車両制御機構20に出力する。このため、駐車支援装置50は、車両Vを目標駐車位置74へと誘導する際に障害物との接触を避けることができ、安全性を確保できる。
したがって、本開示に係る駐車支援装置としての実施例1の駐車支援装置50は、表示部(モニタ16)から消えた駐車区画72であっても車両Vを誘導することができる。
以上、本開示の駐車支援装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、誘導経路設定部57が路面画像(俯瞰画像70)において誘導経路77を設定し、設定した誘導経路77を辿るように車両制御機構20が車両Vを駆動させることで、車両Vを目標駐車位置74へと誘導している。しかしながら、現在位置から目標駐車位置74まで車両Vを誘導するものであれば、例えば、誘導経路77(誘導経路記号78)を路面画像に重畳させて表示部(モニタ16)に表示させることで目標駐車位置74へと誘導してもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。このとき、駐車支援装置50は、誘導経路77を辿らせるための車両Vの運転操作を表示部に表示させてもよい。この場合、駐車支援装置50は、障害物検知機構が目標駐車位置74または誘導経路77上に障害物を検知すると、誘導経路77の表示を停止するとともに表示部に障害物が存在する旨を表示させることで、目標駐車位置74への誘導を停止することができる。
また、実施例1では、画像解析部53が、俯瞰画像70に対してエッジ検出処理を施し、エッジ検出処理で得られたプラスエッジやマイナスエッジを用いて側線71を検出し、その側線71を用いて駐車推奨区画73を探索している。しかしながら、画像解析部53は、俯瞰画像70を用いて駐車推奨区画73を探索するものであれば、エッジ検出処理で得られた画像において検出対象の大きさや形状を示す理論比較領域を検出することで、駐車推奨区画73を検出してもよく、他の方法を用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、俯瞰画像70を表示させている操作部31としてのモニタ16がスワイプされることを、過去の俯瞰画像70を表示させる操作としている。しかしながら、その操作は、操作部31(モニタ16)に対して行うことで過去の俯瞰画像70を表示させるものであれば、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、モニタ16のスワイプに合わせて過去に遡るように俯瞰画像70をスライドさせることで、過去の俯瞰画像70をモニタ16に表示させている。しかしながら、操作部31への操作に応じて過去の俯瞰画像70をモニタ16に表示させるものであれば、その表示の態様は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、目標駐車位置への誘導に用いる画像として、俯瞰画像作成部52が作成した俯瞰画像70を用いている。しかしながら、画像は、撮像部(カメラ11)により撮像された車両Vの周囲を示すものであって、目標駐車位置への誘導を可能とするものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この場合、俯瞰画像作成部52に替えて、目標駐車位置への誘導を可能とする当該画像を作成する画像作成部を用いればよい。この画像作成部は、俯瞰画像70の替わりに当該画像を作成することを除けば、俯瞰画像作成部52と同様の機能を有するものとすればよい。