JP7424962B2 - フェノール樹脂発泡体積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、主に建築用断熱材として使用されるフェノール樹脂発泡体積層板に関するものである。
一般的に建築物の床や壁等には室内と室外の熱移動を遮断する断熱材が使用されており、このような断熱材の一種としてフェノール樹脂発泡樹脂体から成る断熱パネルが知られている。またこの種の断熱パネルにおいては、パネル表面に発泡体を保護するための面材を備えたものが公知となっている。
また上記フェノール樹脂発泡体の表面に設ける面材に関しては、合成繊維不織布やガラス繊維不織布から成る面材が公知となっているが(例えば、特許文献1~2参照)、合成樹脂繊維不織布については難燃性や環境面に問題があり、またガラス繊維不織布は不燃性であるが面材の目付量や加工性に問題がある。
そこで、従来においては、パルプ等の有機繊維に無機繊維であるガラス繊維を混ぜたガラス繊維混抄紙を面材に使用する技術も公知となっているが、ガラス繊維混抄紙は面材上でフェノール樹脂発泡体の成形を行うと発泡体の成形収縮によって面材に大きなシワが生じて断熱パネルの外観が損なわれる問題があった。
加えて、上記ガラス繊維混抄紙から成る面材は、フェノール樹脂発泡体との剥離強度にも課題があり、発泡体の成形収縮によって面材の一部が剥がれる問題もあった。また従来においては、これらの問題に対してガラス繊維混抄紙の目付量を大きくすることで対策していたが(特許文献3参照)、充分な効果を得るに至らなかった。
特許第5225750号公報 特開2018-94896号公報 特許第5677893号公報
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約すると表面に大きなシワが生じて外観が損なわれ難く、面材と発泡体の剥がれも生じ難いフェノール樹脂発泡体積層板を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決する手段として、フェノール樹脂発泡体積層板を板状のフェノール樹脂発泡体の少なくとも片面に接着層を介さず面材を積層一体化して構成し、更に前記面材に、無機繊維と有機繊維を含有する紙を使用し、前記無機繊維としてロックウールを使用する構成を採用した(効果は後述する)。
また本発明では、機能性や目付量、加工性のバランスを考慮して上記面材の繊維材料として無機繊維であるロックウールを、添加剤を除く原料全体に対して20~45wt%、有機繊維である植物繊維を41~75wt%の割合で含有させるのが好ましい。
また本発明においては、機能性や目付量、加工性のバランスを考慮して上記面材にロックウールとパルプの混抄紙を使用するのが好ましい。
また本発明では、機能性や目付量、加工性のバランスを考慮して上記有機繊維として、木材パルプを添加剤を除く原料全体に対して40~65wt%、非木材パルプである麻パルプを1~10wt%の割合で含有させるのが好ましい。
また本発明では、面材の強度を高めるためにロックウールを含む上記面材のバインダーとして熱融着性を有する化学繊維を、添加剤を除く原料全体に対して3~14wt%の割合で含有させるのが好ましい。
また本発明では、面材の撥水性を高めるために上記面材にサイズ剤を添加剤を除く原料100質量部に対して0.1~2質量部添加するのが好ましい。
また本発明では、面材の強度およびフェノール樹脂発泡体との剥離強度を高めるために上記面材に使用されるロックウールの平均繊維径を3~7μmとし、平均繊維長を100~900μmとするのが好ましい。
また本発明では、面材の加工性を向上させるために上記面材の目付量を100g/m2~200g/m2とし、厚みを0.35~0.57mmとするのが好ましい。
本発明では、フェノール樹脂発泡体の表面に設ける面材に、無機繊維であるロックウールと有機繊維を含有する紙を使用することによって、積層板の成形収縮率を小さく抑えることができるため、面材にガラス繊維混抄紙を使用する場合よりも積層板の表面性(シワ・膨れ・剥がれ)を改善することができ、また面材と発泡体の剥離強度を向上させることもできる。
本発明の第一実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板を表す全体斜視図である。 本発明の剥離強度の試験方法を説明するための説明図である。 本発明の剥離強度の試験方法を説明するための説明図である。
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について図1に基づいて説明する。なお図中、符号Bで指示するものは、建築用断熱材として使用されるフェノール樹脂発泡体積層板であり、符号1で指示するものは、フェノール樹脂発泡体である。また符号2で指示するものは、面材である。
「フェノール樹脂発泡体積層板の構成」
[1]フェノール樹脂発泡体積層板の基本構成について
まずフェノール樹脂発泡体積層板の基本構成について図1に基づいて説明する。本実施形態では、フェノール樹脂発泡体積層板Bを、板状のフェノール樹脂発泡体1の片面に接着層を介さず面材2を積層一体化して構成している。また面材2には、無機繊維と有機繊維を含有する紙を使用し、無機繊維としてロックウールを使用している。
[2]フェノール樹脂発泡体について
[2-1]材料・形状
次にフェノール樹脂発泡体積層板Bの各構成要素について説明する。まず上記フェノール樹脂発泡体1に関しては、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒、界面活性剤、充填剤を混合して調製した材料を使用し、これを押出発泡成形して独立気泡構造の板状に形成している。また本実施形態では、フェノール樹脂発泡体1の厚さを15~200mm、密度を15~50kg/m3、平均気泡径50~200μm、独立気泡率を80%以上としているが、断熱性等を考慮して適宜変更できる。
[2-2]フェノール樹脂
上記フェノール樹脂に関しては、本実施形態では、独立気泡率、圧縮強度、熱伝導率及び成形性の観点から重量平均分子量400~3000のレゾール型フェノール樹脂を使用しているが、求められる機能や生産性を考慮して適宜変更できる。なおレゾール型フェノール樹脂とは、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
上記フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。また上記アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。上記フェノール樹脂は、1種単独で或いは2種以上を組み合せて使用できる。フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されないが、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1~1:3の範囲内とするのが好ましい。
[2-3]発泡剤
上記発泡剤に関しては、本実施形態ではハロゲン化不飽和炭化水素を使用しているが、これに限らず、炭化水素やハロゲン化飽和炭化水素、ハロゲン化不飽和炭化水素等のハロゲン化炭化水素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等の低沸点ガス、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等の化学発泡剤、多孔質固体材料等を使用できる。また上記発泡剤の含有量については、本実施形態ではフェノール樹脂100質量部に対し、1~25質量部の範囲内としている。
[2-4]酸触媒
上記酸触媒に関しては、本実施形態では有機酸を使用しているが、フェノール樹脂を硬化させるものであれば、ベンゼンスルホン酸やエチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸だけでなく、硫酸やリン酸等の無機酸も使用でき、これらの酸触媒を、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。また上記酸触媒の含有量については、本実施形態ではフェノール樹脂100質量部に対し、5~30質量部の範囲内としている。
[2-5]界面活性剤
上記界面活性剤に関しては、気泡径(セル径)の微細化に寄与する材料を使用でき、例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等を使用できる。またこれらの界面活性剤は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。また上記界面活性剤の含有量については、本実施形態ではフェノール樹脂100質量部に対して、1~10質量部の範囲内としている。
[2-6]充填剤
また上記充填剤に関しては、本実施形態では無機フィラーを使用しているが、熱伝導率や難燃性を考慮して他の材料を使用することもできる。また上記充填剤の含有量については、本実施形態ではフェノール樹脂100質量部当り、0.1~30質量部としているが、抽出pHが3以上となる量の範囲で適宜変更できる。なお抽出pHは、以下の方法で測定される。フェノール樹脂発泡体1を乳鉢で250μm(60メッシュ)以下に粉砕して試料とする。試料0.5gを200mLの共栓付き三角フラスコに量り取る。共栓付き三角フラスコに純水100mLを加え、密栓する。マグネチックスターラーを用いて、共栓付き三角フラスコ内を23℃±5℃で7日間撹拌して、試料液とする。得られた試料液のpHをpHメータで測定し、その値を抽出pHとする。
[2-7]その他添加剤
また上記フェノール樹脂発泡体1には、上記の材料以外にもその他添加剤を使用することができる。その他添加剤としては、例えば、尿素、可塑剤、難燃剤(リン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等を使用することができる。
[3]面材について
[3-1]材料・坪量
次に上記面材2に関しては、本実施形態では、強度及び剥離強度を両立できるロックウールとパルプの混抄紙を使用しているが、ロックウール以外の無機繊維やパルプ以外の有機繊維も併用できる(詳しくは後述する)。また本実施形態では、面材2の材料として無機繊維と有機繊維を接着するバインダー、並びに添加剤として面材2の吸水性を制御するサイズ剤及び面材2の強度を向上させる紙力増強剤を使用している。
また上記面材2の坪量に関しては、本実施形態では材料コストを抑えつつ面材2に充分な強度を持たせるために100g/m2~200g/m2(より好ましくは150g/m2~180g/m)の範囲内に収まるようにしている。また上記面材2の厚みに関しても、充分な強度を確保するために0.35~0.60mm(より好ましくは0.45~0.55mm)の範囲内に収まるようにしている。
[3-2]無機繊維
また上記無機繊維については、本実施形態ではロックウールを、添加剤を除く原料全体に対し20~45wt%(より好ましくは25~40wt%)の割合で使用しているが、ロックウール以外のガラス繊維等を併用することもできる。またロックウールについては、平均繊維径が3~7μm、平均繊維長100~900μmのものを使用するのが好ましい。
[3-3]有機繊維
また上記有機繊維については、本実施形態では、添加剤を除く原料全体に対して41~75wt%(より好ましくは48~66wt%)の範囲内で使用すると共に、有機繊維として木材パルプを40~65wt%(より好ましくは45~60wt%)、非木材パルプを1~10wt%(より好ましくは3~6wt%)の割合で使用している。また有機繊維に使用する木材パルプは、製法は特に限定されず化学パルプや機械パルプ、古紙パルプ等を使用できる。また非木材パルプとしては、本実施形態では強度麻パルプを使用しているが、それ以外のケナフやバガス等を使用することもできる。
[3-4]バインダー
また上記バインダーに関しては、本実施形態では非水溶性バインダーとして熱融着性を有する化学繊維を、添加剤を除く原料全体に対し3~14wt%(より好ましくは5~10wt%)の割合で使用している。また本実施形態では、水溶性バインダーを0.5~5wt%(より好ましくは1~4.5wt%)使用している。また本実施形態では、非水溶性バインダーにアクリル樹脂繊維を使用しているが、それ以外のポリエステル系樹脂繊維も使用できる。また本実施形態では、水溶性バインダーに澱粉系バインダーを使用しているが、それ以外のポリビニルアルコール等を使用することもできる。
[3-5]サイズ剤
また上記サイズ剤に関しては、本実施形態では添加剤を除く原料100質量部に対し0.1~2質量部(より好ましくは0.3~1質量部)の割合で添加している。また本実施形態では、サイズ剤としてロジンサイズ剤を使用しているが、それ以外の強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、合成サイズ剤、ロジン系中性サイズ剤、アルキルケテンダイマーサイズ剤、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、カチオンポリマーサイズ剤等を使用することができる。
[3-6]紙力増強剤
また上記紙力増強剤に関しては、本実施形態では添加剤を除く原料100質量部に対し1~10質量部(より好ましくは3~6質量部)の割合で添加している。また本実施形態では、紙力増強剤としてアクリル系重合体(ポリアクリルアミド)を使用しているが、それ以外のアニオン系紙力増強剤やカチオン系紙力増強剤、共重合紙力増強剤等を使用することもできる。
[3-8]面材剥離強度
また上記フェノール樹脂発泡体1に対するMD方向の面材剥離強度に関しては、本実施形態では面材の剥がれを防止するために600g(より好ましくは700g)以上としている。
<面材剥離強度の測定方法>
上記MD方向の面材剥離強度の試験方法について図2及び図3に基づいて説明する。図2に示すようにフェノール樹脂発泡体積層板Bを、面材2のMD方向に50mm、TD方向に120mmの矩形に切り出し、幅50mm、長さ120mm、厚さ45mmの試験片S1を作製する。試験片S1の長さ方向の一端から40mmの位置で、面材を有さない面から厚さ方向に深さ40mmの切り込みを入れる。この際、面材2がフェノール樹脂発泡体1から剥がれないようにする。
そして、図3に示すように、上記試験片S1におけるフェノール樹脂発泡体の長さが長い部位をクランプK1で面材を下にして斜め45°(135°)に保持する。この際、長さが短い部位は、垂直(鉛直)になるように別のクランプK2で保持する。更に下側のクランプK2の下方に金属ワイヤでばねばかりCを吊り下げる。
その後、ばねばかりCを一定速度で引き下げ、面材がフェノール樹脂発泡体から剥離開始した時点のばねばかりCの値を測定する。同様の操作を5回行い、平均値を面材剥離強度として算出する。
「フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法」
[1]面材の抄紙工程
[1-1]抄紙方法
次に本実施形態のフェノール樹脂発泡積層板の製造方法について説明する。まず無機繊維と有機繊維を含む紙料を抄紙して面材を抄紙する。抄紙方法としては、抄紙機を用いた公知の方法を採用することができ、具体的には、水で薄めた紙料を網上に流し込む吐出工程(ストックインレット)、紙料の水分を網上で脱水して湿紙を形成する脱水工程(ワイヤーパート)、湿紙をロール等でプレスして脱水・圧縮する圧搾工程(プレスパート)、プレスされた湿紙を乾燥させる乾燥工程(ドライヤーパート)を含む方法を採用できる。
[1-2]抄紙機
また上記抄紙機については、公知のものを使用することができ、具体的には、ワイヤーパートにコンベア状の長網を使用する長網抄紙機や、シリンダ状の丸網を使用する丸網抄紙機を使用することができる。またドライヤーパートには、ヤンキードライヤーや多筒式ドライヤーを使用できる。
[2]発泡成形工程
[2-1]発泡成形方法
次に上記面材を積層一体化した状態でフェノール樹脂発泡体を発泡成形する。発泡成形方法としては、発泡成形装置を用いた公知の方法を採用することができ、具体的には、面材をMD方向に連続的に供給しながら、発泡体原料を吐出装置の複数のノズルから面材上に吐出する。その後、面材と発泡体原料を発泡成形装置の加熱部に導入し、30~95℃で加熱する。これにより、面材上で発泡体原料が発泡、硬化して板状のフェノール樹脂発泡体を面材と一体化した状態で成形する。その後、面材が一体化したフェノール樹脂発泡体積層板を切断装置で任意の長さに切断する。
上記の方法により、フェノール樹脂発泡体と面材を、接着層を介さず直接積層した状態で一体化できる。なお面材は、フェノール樹脂発泡体が面材表面で熱硬化する際の固着力によって貼り合わされた状態となる。また上記の方法を採用することで、フェノール樹脂発泡体の表面には、面材のMD方向に延びる溝(ウェルドライン)が形成される。このウェルドラインは、複数のノズルから吐出された発泡体同士のつなぎ目である。
また上記のウェルドラインによって、従来においては面材の表面に大きな溝が形成されて外観が損なわれていたが、本実施形態では、無機繊維であるロックウールを含む面材を使用することにより、面材表面に形成される溝が小さくなるため、フェノール樹脂発泡体積層板の表面の外観を改善できる。
[2-2]発泡成形装置
また上記発泡成形装置については、公知のものを使用することができ、具体的には、原料の吐出部と、吐出装置の下流側に配置された加熱部と、加熱部の下流側に配置された切断部を備えた装置を使用できる。また吐出部は、フェノール樹脂等の原料を混合する混合部と、混合された原料を吐出するための面材のMD方向と直交する方向に沿って配置された複数のノズルとを備えたものを使用できる。
また上記発泡成形装置の加熱部には、フェノール樹脂発泡体の断面形状に対応した空間が形成されるように配置されたコンベア(下部コンベア、上部コンベア、左側コンベア、右側コンベア)を備える。これにより下部コンベア及び上部コンベアにより上下方向の発泡が規制され、また左側コンベア及び右側コンベアによって左右方向の発泡が規制されて所定断面形状のフェノール樹脂発泡体を成形できる。
[効果の実証試験]
次に本発明の効果の実証試験について説明する。本試験では、上記第一実施形態の製法で作製されたフェノール樹脂発泡体積層板のサンプルを、面材の材料を変えて複数作製し、これら各サンプル(下記の実施例1~6及び比較例1)のフェノール樹脂発泡体に対する面材剥離強度及び1か月後の成形収縮率を測定し、各サンプルの表面性を評価した。
<表面性の試験方法>
本試験では、フェノール樹脂発泡体積層板の各サンプルについて面材側を表側に向けてその表面を目視で観察し、シワ、膨れ・剥がれ、反りがないものを“○”、多少あるが目立たないものを“△”、はっきりと目立つものを“×”としてそれぞれ評価を行った。
<成形収縮率の測定方法>
本試験では、フェノール樹脂発泡体積層板の各サンプルについて1か月後の成形収縮率を“成形収縮率(%)=(1か月後の幅寸法-成形直後の幅寸法)/成形直後の幅寸法×100”の計算式により算出した。
「実施例1」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを20wt%、有機繊維として木材パルプを62wt%(古紙パルプ48wt%、晒クラフトパルプ14wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を9wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を4wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を5wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して8質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して1質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量154.8g/m2、厚み0.47mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、703gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.19%であった。
「実施例2」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを25wt%、有機繊維として木材パルプを58wt%(古紙パルプ46wt%、晒クラフトパルプ12wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を7wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を6wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を4wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して6質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して0.8質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量159.2g/m2、厚み0.48mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、713gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.15%であった。
「実施例3」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを40wt%、有機繊維として木材パルプを46wt%(古紙パルプ38wt%、晒クラフトパルプ8wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を2wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を10.8wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を1.2wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して3質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して0.3質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量175.1g/m2、厚み0.53mm混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、723gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.14%であった。
「実施例4」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを45wt%、有機繊維として木材パルプを40wt%(古紙パルプ33wt%、晒クラフトパルプ7wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を1wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を13.2wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を0.8wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して2質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して0.2質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量179.8g/m2、厚み0.54mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、724gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.13%であった。
「実施例5」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを15wt%、有機繊維として木材パルプを66wt%(古紙パルプ50wt%、晒クラフトパルプ16wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を11wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を2.5wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を5.5wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して10質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して1.2質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量149.3g/m2、厚み0.45mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、695gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.23%であった。
「実施例6」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてロックウールを50wt%、有機繊維として木材パルプを35wt%(古紙パルプ30wt%、晒クラフトパルプ5wt%)、非木材パルプ(麻パルプ)を0.5wt%、バインダーとして熱融着性化学繊維を14.1wt%、水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を0.4wt%使用した。また本実施例では、添加剤として紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して1質量部、サイズ剤を主原料100質量部に対して0.1質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量185.7g/m2、厚み0.56mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、724gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“〇”、膨れ・剥がれ“〇”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.12%であった。
「比較例1」
本実施例では、面材の主原料(添加剤を除く原料)に、無機繊維としてガラス繊維を40wt%、有機繊維として木材パルプ(晒クラフトパルプ)を50wt%(晒クラフトパルプ)、バインダーとして水溶性バインダー(ポリビニルアルコール)を10wt%使用した。また本実施例では、添加剤として珪酸アルミニウムを主原料100質量部に対して7質量部、紙力増強剤(アクリル系重合体)を主原料100質量部に対して2質量部使用した。
また本実施例では、上記原料を使用して抄紙を行い、坪量97.0g/m2、厚み0.27mmの混抄紙を面材として作製した。そして、この面材を使用して得られたフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度を測定したところ、380gであった。またサンプルの表面性を評価したところ、シワ“×”、膨れ・剥がれ“×”、反り“〇”であった。またフェノール樹脂発泡体積層板の1か月後の成形収縮率は0.23%であった。
<試験結果のまとめ>
上記の試験により、無機繊維にロックウールを使用した実施例1~6のサンプルの方が、ガラス繊維を使用した比較例1のサンプルよりもフェノール樹脂発泡体積層板の表面性および面材剥離強度の点で優れていることが確認できた。また成形収縮率に関しても、実施例1~4及び実施例6の方が比較例1よりも小さいことが確認できた。以下に試験結果をまとめた表を示す。
Figure 0007424962000001
Figure 0007424962000002
1 フェノール樹脂発泡体
2 面材
B フェノール樹脂発泡体積層板

Claims (7)

  1. 板状のフェノール樹脂発泡体の少なくとも片面に面材が接着層を介さず積層一体化されて構成され、更に前記面材が、無機繊維と有機繊維を含有する紙から成り、
    更に前記面材のバインダーに、少なくとも熱融着性を有する非水溶性バインダーが含まれると共に、
    前記面材の添加剤を除く原料全体に対して、無機繊維であるロックウールが20~50wt%、有機繊維である木材パルプが35~65wt%、同じく有機繊維である麻パルプが0.5~11wt%の割合で含まれていることを特徴とするフェノール樹脂発泡体積層板。
  2. 前記面材にロックウールとパルプの混抄紙が使用されていることを特徴とする請求項1記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  3. 前記面材のバインダーとして熱融着性を有する非水溶性バインダーと水溶性バインダーが併用されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  4. 前記面材のバインダーとして熱融着性を有する非水溶性バインダーが、添加剤を除く原料全体に対して3~14.1wt%の割合で含まれていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  5. 前記面材にサイズ剤が添加剤を除く原料100質量部に対して0.1~2質量部添加されていることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  6. 前記面材に使用されるロックウールの平均繊維径が3~7μmであり、平均繊維長が100~900μmであることを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  7. 前記面材の目付量が100g/m2~200g/m2であり、厚みが0.35~0.57mmであることを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
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