JP7424516B2 - 銀ナノワイヤーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀ナノワイヤーの製造方法に関する。
タッチパネル等の透明電極に使用されるITO(酸化インジウムスズ)膜の代替となる高透明性・高導電性薄膜の原料として、銀ナノワイヤーが近年注目されている。斯かる銀ナノワイヤーは、一般に、ポリビニルピロリドンとエチレングリコール等のポリオールの存在下に銀化合物を加熱する、いわゆるポリオール還元法によって製造されている(特許文献1、非特許文献1)。
タッチパネル等に使用される透明導電膜には高い透明性が要求される。銀ナノワイヤーを原料とする透明導電膜において高い透明性を実現するためには、できるだけ細く、かつ長い銀ナノワイヤーを用いることが望ましい。
銀ナノワイヤーの製造に用いられる、いわゆるポリオール還元法は一般に加熱下で行われる。150℃前後の高い温度で反応すると、反応は比較的早く完結する(特許文献2)。しかしながら、反応温度が高いがゆえに、反応温度から室温まで冷却する間に、反応系中に残存する銀源が余熱でさらに反応し、銀ナノワイヤー径が増大する可能性が考えられる。特に大型の反応釜で製造した場合、冷却速度はさらに遅くなり、冷却時の余熱の影響は大きいと予想される。
一方、100℃以下で反応させた場合は反応温度からの冷却中に銀ナノワイヤー径が増大する懸念は小さいが、銀ナノワイヤーの合成(成長)に非常に時間がかかり生産効率が低いことが問題である(特許文献3)。
米国特許第7,585,349号明細書 特開2020-66760号公報 特開2020-33603号公報
Ducamp-Sanguesa, et al., J. Solid State Chem.,1992, 100, 272
したがって、本発明の目的は、生産性が高く、かつ反応終了後の反応液の冷却中に径の増大を抑制することが可能な銀ナノワイヤーの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らが検討した結果、銀ナノワイヤー反応終了時の温度から80℃までの反応液の冷却速度を調整すると、冷却中の銀ナノワイヤー径の増加を抑制できる効果があることを見出した。すなわち、本発明は、以下の実施態様を含む。
[1]銀ナノワイヤーを120~170℃の温度でポリオール還元法により合成する工程と、銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで平均-0.50℃/分以上の冷却速度で冷却する工程と、を含むことを特徴とする銀ナノワイヤーの製造方法。
[2]前記冷却速度が-10.00℃/分未満である、[1]に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[3]銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで冷却する冷却時間が140分以内である、[1]又は[2]に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[4]反応終了直後の銀ナノワイヤーの平均径に対する80℃まで冷却後の銀ナノワイヤーの平均径の増分が、1nm以下である、[1]~[3]のいずれか一に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[5]冷却時に反応容器を気体で冷却(空冷)、または40℃以下の液体冷媒と接触させることで冷却する、[1]~[4]のいずれか一に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[6]冷却時に40℃以下の空気を反応容器に向かって送風することで冷却する、[1]~[5]のいずれか一に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[7]反応終了後、40℃以下、かつ沸点が銀ナノワイヤー合成時の反応温度以上の溶剤を30分以上かけて反応液中に投入することで冷却する、[1]~[6]のいずれか一に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[8]冷却時に投入する前記溶剤がポリオールである、[7]に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
[9]銀ナノワイヤー合成終了後、合成時に使用した液体熱媒に金属板を一部が空気に触れるように投入し、40℃以下の空気を金属板の空気に触れている部分に向かって送風することで冷却する、[1]~[4]のいずれか一に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
本発明によれば、銀ナノワイヤー合成後の余熱による径の増大を抑制し、所望の細い銀ナノワイヤーを製造することができる。
実施例1~7、比較例1~3における銀ナノワイヤー合成後の反応液温度冷却プロファイルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を説明する。
本実施形態にかかる銀ナノワイヤーの製造方法は、銀ナノワイヤーを120~170℃の温度でポリオール還元法により合成する工程と、銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで平均-0.50℃/分以上の冷却速度で冷却する工程と、を含むことを特徴とする。本明細書において、「反応終了時」とは、銀ナノワイヤーをポリオール還元法で所定の温度条件で合成し、合成時の熱源の所定温度での加熱(後述の実施例では、オイルバスを所定温度とするための加温)を停止した時点を意味する。また、冷却速度が「平均-0.50℃/分以上」とは、冷却速度(温度が低下する速さ[ ℃/分])の絶対値が平均0.50以上であることを意味する。
上記の通り銀ナノワイヤー合成後の反応液(合成に使用した反応溶媒及び生成した銀ナノワイヤー等を含む液体)の冷却速度を速めることにより、冷却中の余熱で反応液中に残存する銀源が銀ナノワイヤーの径を増大させることを抑制することができる。後述の実施例、比較例の結果より、本発明者は反応液温度が80℃まで下がると、銀ナノワイヤーの径が殆ど増大しないことを見出した。よって、反応液温度を80℃とするまでの冷却速度を速めることで銀ナノワイヤーの径増大を抑制することができる。この冷却速度は平均-0.50℃/分以上であり、-0.60℃/分以上であることが好ましく、-0.70℃/分以上であることがより好ましい。冷却速度が平均-0.50℃/分より小さいと反応終了後も冷却中の余熱により銀ナノワイヤーの径は大きく増大する。反応液温度が80℃までの冷却速度が一定でない場合でも平均冷却速度が上記範囲内であれば径の増大を抑制する効果が認められる。反応終了直後の銀ナノワイヤーの平均径に対する反応液温度を80℃まで冷却後の銀ナノワイヤーの平均径の増分が1nm以下であれば径の増大抑制効果は十分発揮されたと判断できる。なお、径の増大抑制効果は冷却速度が大きいほど高いが、冷却速度が大き過ぎると、例えば反応容器がガラス製である場合急激な温度変化による罅の発生(破損)が起こることがあり、また、反応液の増粘により銀ナノワイヤーが破損する可能性がある。そのため、冷却速度は-10.00℃/分未満とすることが好ましく、-8.00℃/分未満とすることがより好ましい。
反応後の反応液冷却方法は上記冷却速度以上となる冷却方法であれば特に制限されない。例えば冷却時に反応容器を気体で冷却する所謂空冷や液体冷媒と接触させることで冷却する方法、空冷する反応容器に向かって空気を送風する方法等が挙げられる。液体冷媒の温度や送風する空気の温度は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましい。40℃超であると冷却速度を上げる効果は小さくなる。
上記冷却速度以上となる冷却方法としては、反応終了後40℃以下の溶剤を反応液中に投入する方法も挙げられる。溶剤は、投入時の温度で突沸しないように、沸点が銀ナノワイヤー合成時の反応温度以上とする。具体的には、170℃以上であることが好ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがさらに好ましい。また、溶剤は液中に30分以上かけて投入するのが好ましく、40分以上がより好ましく、50分以上がさらに好ましい。投入する溶剤量にもよるが、投入時間が30分未満であると冷却効果は不十分であり、投入停止後の冷却速度は小さく、銀ナノワイヤー径の増大を抑制することが困難となる。後工程として必要な反応液の精製工程の効率を考慮すると、投入する溶剤量は多くても反応液量の1/5程度に抑えることが好ましい。使用する銀ナノワイヤーの合成容器の材質にもよるが、一度にまとめて大量の溶剤を投入することは急激な温度変化に伴い合成容器に負荷がかかり、例えばガラス容器を使用した場合には罅が入る等の不具合が発生する可能性があるため好ましくない。また、一度に投入する溶剤量が少ないと、冷却効果は不十分となる。
上記溶剤は、例えば2-オクタノール(沸点:179℃)、2-エチルヘキサノール(沸点:187℃)、2-ブトキシエタノール(沸点:171℃)、ベンジルアルコール(沸点:200℃)、アセトフェノン(沸点:202℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:193℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:231℃)等の高沸点溶媒や、例えばエチレングリコール(沸点:197℃)、1,2-プロピレングリコール(沸点:188℃)、1,3-プロパンジオール(沸点:214℃)、ジエチレングリコール(沸点:245℃)、トリエチレングリコール(沸点:288℃)、ジプロピレングリコール(沸点:232℃)、1,2-ブタンジオール(沸点:194℃)、1,3-ブタンジオール(沸点:207℃)、1,4-ブタンジオール(沸点:228℃)、2-メチル-1,3-プロパンジオール(沸点:214℃)、グリセリン(沸点:290℃)等のポリオール類が挙げられる。上記溶剤は、これらからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。反応溶媒かつ還元剤として使用されるポリオール類との相溶性の観点からポリオール類が好ましく、高粘度にならないという観点で2価アルコールがより好ましく、その中でもエチレングリコール、プロピレングリコールが経済性の点でさらに好ましい。
さらに上記冷却速度以上となる冷却方法として、銀ナノワイヤー合成(反応)終了後合成時に使用した液体熱媒(後述の実施例ではオイルバス)に熱伝導率が高い、例えば100W/m・K以上である金属板(アルミニウム、銅、ジュラルミン等)を一部が空気に触れるように投入し、40℃以下の空気を金属板の空気に触れている部分に向かって送風する方法も挙げることができる。熱伝導率が高い金属を使用することで液体熱媒の冷却速度が向上する。金属板に用いる金属は特に制限はないが、加工性、経済性の観点でアルミニウムが特に好ましい。
これらの冷却方法は組み合わせて実施してもよい。特に量産機用の反応容器では内容量の増加に伴い、一つの方法だけでは冷却効果には限界があると考えられる。必要に応じて上記冷却方法を2つまたは3つ組み合わせることが好ましい。一例として、反応終了直後に反応容器と合成時に使用した液体熱媒との接触を避けた後、室温(40℃)以下の空気を反応容器に向かって送風及び/又は室温(40℃)以下のポリオールを反応液温が所定温度(例えば80℃)以下となるまで滴下する方法などが挙げられる。
銀ナノワイヤー製造(合成)時の反応液温度は120℃~170℃であるが、130~165℃が好ましく、140~160℃がより好ましい。120℃未満では銀ナノワイヤーの成長工程完結までに長時間を要し、生産性が乏しく、170℃超では製造時に使用できる熱媒が制限され汎用性が低くなる。
本発明の銀ナノワイヤーの製造方法には、公知のポリオール(Poly-ol)還元法を用いる。ポリ-N-ビニルピロリドン存在下で硝酸銀を還元することによって銀ナノワイヤーを合成することができる(Chem.Mater.,2002,14,4736参照)。好ましくは、本出願人が先にWO2017/057326にて開示している製造方法、すなわち、イオン性誘導体を含む第一溶液(溶媒としてポリオールを含む)を上記温度に保ち、上記第一溶液に、金属塩(硝酸銀)を含む第二溶液(溶媒としてポリオールを含む)を、上記第一溶液中のイオン性誘導体のハロゲン原子の総モル数と1分間に供給される金属塩の金属原子のモル数とのモル比(1分間に供給される金属塩の金属原子のモル数/イオン性誘導体のハロゲン原子の総モル数)が10より小さくなるように、好ましくは1以下、より好ましくは0.22以下となるように、かつ、上記第一溶液中のイオン性誘導体のハロゲン原子の総モル数と金属塩の金属原子のモル数とのモル比(金属塩の金属原子のモル数/イオン性誘導体のハロゲン原子の総モル数)が10より小さくなるように供給し、構造規定剤として、N-ビニルピロリドンに由来するモノマー単位を含む(共)重合体を上記第一溶液または上記第二溶液の少なくとも一方に入れておく方法を適用することができる。反応圧力は常圧(大気圧)である。
上記ポリオール還元法で使用される反応溶媒は、還元剤として使用されるポリオール類、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。高粘度にならないという観点で2価アルコールがより好ましく、その中でもエチレングリコール、プロピレングリコールが経済性の点でさらに好ましい。合成反応後の反応液には、目的とする銀ナノワイヤーとともに合成に使用したイオン性誘導体、構造規定剤、反応溶媒以外に、副生した銀ナノ粒子が含まれる。
合成で得られる銀ナノワイヤーは、径がナノメーターオーダーのサイズを有する金属銀であり、線状(中空のチューブ状である銀ナノチューブを含む)の形状を有する導電性材料である。また、銀ナノワイヤーの金属銀は導電性能の点では金属酸化物を含まないほうが好ましいが、空気酸化が避けられない場合には一部(表面の少なくとも一部)に銀酸化物を含んでもよい。上記銀ナノワイヤーの短軸方向の長さ(径)は好ましくは平均5nm以上90nm以下、より好ましくは平均10nm以上85nm以下、かつ長軸方向の長さは好ましくは平均1μm以上100μm以下、より好ましくは平均5μm以上95μm以下である。本明細書において「銀ナノワイヤー」とは、長軸方向の長さをa、短軸方向の長さ(径)をbとするとき、a/bで表されるアスペクト比が5を超えるものを意味し、10以上であることが好ましい。また、本明細書において「銀ナノ粒子」とは、アスペクト比が5以下である、合成により副生する、上記「銀ナノワイヤー」を除いた粒子状のものを意味する。
上記イオン性誘導体は、金属のワイヤーの生長に寄与する成分であり、溶媒に溶解してハロゲンイオンを解離できる化合物であれば適用でき、4級アンモニウム塩のハロゲン化物、金属ハロゲン化物が好適である。ハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンの少なくとも一つであることが好ましく、塩素イオンを解離できる化合物を含むことがより好ましい。
4級アンモニウム塩のハロゲン化物としては、分子内の総炭素原子数が4~20の4級アルキルアンモニウム塩(4級アンモニウム塩の窒素原子に4つのアルキル基が結合しており、各アルキル基は同一でも異なっていても良い)のハロゲン化物が好ましく、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩化物や、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム臭化物等が挙げられる。これらのいずれかを単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、4級アンモニウムヒドロキシドと塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素を反応させてアンモニウム塩にしたものを使用することができる。これら(塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素)は室温で気体状態であるので、ポリオール溶媒中でそれらの水溶液を用いて中和しても良く、中和後に加熱することにより水や余分なハロゲン化水素を留去することもできる。
これらの中でも、分子内の総炭素原子数が4~16の4級アルキルアンモニウム塩のハロゲン化物が溶解性や使用効率の点でより好ましく、窒素原子に付くアルキル鎖で最も長いもので炭素原子数が12以下のもの、更に好ましくは8以下である4級アルキルアンモニウム塩のハロゲン化物が特に分子量がそれほど大きくならず、使用効率の点でさらに好ましい。得られるワイヤー形状の観点から、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
金属ハロゲン化合物としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、長周期律表の第3族から第12族の金属ハロゲン化物が挙げられる。
アルカリ金属ハロゲン化物としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムなどのアルカリ金属臭化物、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属ヨウ化物などが挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化カルシウムが挙げられる。長周期律表の第3族から第12族の金属ハロゲン化物としては、塩化第二鉄、塩化第二銅、臭化第二鉄、臭化第二銅が挙げられる。これらのいずれかを単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも塩素イオンを解離する化合物を含むことが特にワイヤーの生成に好ましい。また、細い径のワイヤーを得るためには塩素イオンを解離する化合物と、臭素イオンを解離する化合物及びヨウ素イオンを解離する化合物の少なくとも一方と、を併用することが好ましい。塩素イオンを解離する化合物の塩素原子の総モル数を(A)、臭素イオンを解離する化合物の臭素原子及びヨウ素イオンを解離する化合物のヨウ素原子の総モル数を(B)とした場合、(A)/(B)のモル比が大きくなるとワイヤー径が太くなり、小さくなるとワイヤー径は細くなるものの小さくなり過ぎると球状粉の副生率が高くなる傾向がある。したがって、(A)/(B)のモル比は、2~8が好ましく、3~6がより好ましい。
合成に使用される構造規定剤は、合成時に金属粒子の成長方向を一次元に規定する機能を有する化合物であり、構造規定剤を用いることによって、粒子形成工程において形成される金属ナノワイヤーの比率を高めることができる。多くの場合、構造規定剤は、対象となる粒子の特定の結晶面に優先的あるいは選択的に吸着して、吸着面の成長を抑制することによって成長方位を制御する。この成長方位の制御は、ポリオール類中に構造規定剤を添加しておき、生成する銀ナノワイヤーの表面に吸着させることにより行うことができる。この構造規定剤としては、重量平均分子量が1000より大きい構造規定剤が好ましく、2000以上の構造規定剤がより好ましく、10000以上の構造規定剤がさらに好ましい。一方、構造規定剤の重量平均分子量が大きすぎると、銀ナノワイヤーが凝集する可能性が高くなる。従って、上記構造規定剤の重量平均分子量は150万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましい。上記構造規定剤の種類としては、例えばポリ-N-ビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルの1:1共重合体等が挙げられる。
構造規定剤は、上記の通り銀ナノワイヤー合成時の銀ナノワイヤーのワイヤー状の成長を制御するとともに、生成した銀ナノワイヤー同士の凝集を防止する作用も有する。
前述の通り銀ナノワイヤーの合成反応後は、目的とする銀ナノワイヤーとともに合成に使用したイオン性誘導体、構造規定剤、溶媒以外に、副生した銀ナノ粒子が含まれるので、合成反応後目的に応じた公知の銀ナノワイヤーの精製工程を行い、銀ナノワイヤーを含む導電性インクの調製等を行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
合成例1 銀ナノワイヤーの製造
1Lポリ容器にプロピレングリコール667g(AGC株式会社製)を秤量し、金属塩として硝酸銀22.5g(0.13mol)(東洋化学工業株式会社製)を加えて室温遮光下で2時間撹拌することで硝酸銀溶液(第二溶液)を調製した。
メカニカルスターラー、定量ポンプ、還流管、温度計、窒素ガス導入管を備えた5L四つ口セパラブルフラスコに、窒素ガス雰囲気下、プロピレングリコール3000g、イオン性誘導体としての塩化カリウム0.36g(4.8mmol)(富士フイルム和光純薬株式会社製)および臭化ナトリウム0.12g(1.2mmol)(マナック株式会社製)、構造規定剤としてポリビニルピロリドンK-90(PVP)72.1g(BASF社製、Sokalan(登録商標)K90)を仕込み、200rpmの回転数でオイルバスを熱媒として、150℃にて1時間撹拌することで完全に溶解させ、第一溶液を得た。先に調製した硝酸銀溶液(第二溶液)を定量ポンプに接続し、上記第一溶液へ温度150℃にて2.5時間かけて滴下することで銀ナノワイヤーを合成した。滴下終了後さらに30分加熱撹拌を継続し反応を終了した。反応終了時に熱源の加熱(オイルバスの加温)を停止した。
反応終了直後およびフラスコをオイルバスに浸漬させたまま冷却中の反応液の温度(反応液温度)が120℃、100℃、80℃、室温(25℃)時点でサンプリングを行い、各温度で得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)をSEM(日本電子株式会社製 JSM-7000F)を用いて計測しその相加平均値を求めた。結果を表1に示す。なお、冷却中、フラスコは加熱を停止したオイルバスに浸漬させたままであった。また、反応液の冷却速度は、後述する比較例1と同等である。
Figure 0007424516000001
表1の結果より、反応液を80℃まで冷却すれば銀ナノワイヤーの径はそれ以上殆ど増大しないことが分かった。以降、80℃時点の銀ナノワイヤー径は室温まで冷却した最終溶液の径と同等であると判断する。反応液温度が高い期間(時間)が長いほど銀ナノワイヤー径の増加は大きくなると考えられるので、合成終了時の反応液温度(140℃~170℃)から120℃まで、特に130℃までの冷却に要する時間を極力短くすることが好ましい。
実施例1
合成例1の反応終了後、フラスコをオイルバスから取り出して冷却(空冷)した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液(反応液)をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。平均冷却速度は反応終了時点の温度T(℃)と80℃との差(T-80)℃を、反応終了直後から80℃までに要した時間t(分)で割る((T-80)/t)ことにより算出した。他の実施例、比較例も同様である。それらの結果を表2に示した。
実施例2
合成例1の反応終了後、フラスコをオイルバスから取り出し、さらに小型扇風機(株式会社山善製、15cmミニ卓上扇DS-A151)でフラスコに向かって送風して冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
実施例3
合成例1の反応終了後、フラスコは加熱を停止したオイルバスに浸漬させたまま25℃のプロピレングリコール500gを9.0g/分の速度で滴下して冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
実施例4
合成例1の反応終了後、フラスコ内の溶液を別の2L SUS製容器に移し変えて室温中冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
実施例5
第一溶液の調製および硝酸銀溶液(第二溶液)を第一溶液へ滴下する時の温度を170℃に変更した以外は実施例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
実施例6
第一溶液の調製および硝酸銀溶液(第二溶液)を第一溶液へ滴下する時の温度を170℃に変更した以外は実施例2の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
実施例7
合成例1の反応終了後、フラスコは加熱を停止したオイルバスに浸漬させたままオイルバス内にアルミニウム製ヒートシンク(縦300mm×横40mm×厚さ8mmの金属板)を、オイルバスに浸漬されているフラスコと扇風機の設置位置との間のオイルバス内に、2枚のヒートシンクの表面が扇風機と対向するように、それぞれ縦の長さ150mmだけオイルバス内に浸漬(150mmがオイル表面より露出して空気に触れ)させるようにクランプで並べて固定し、オイルバス外150mmの部分(空気に触れている部分)に向かって小型扇風機(株式会社山善製、15cmミニ卓上扇DS-A151)で送風して冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
比較例1
合成例1の反応終了後、合成例1と同様にフラスコをオイルバスに浸漬させたまま冷却して銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
比較例2
合成例1の反応終了後、フラスコはオイルバスに浸漬させたまま銀ナノワイヤー溶液中に直接窒素ガスを0.3L/分の速度でバブリングさせ冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
比較例3
合成例1の反応終了後、フラスコはオイルバスに浸漬させたまま500gのプロピレングリコールを全量約10秒で投入して冷却した以外は合成例1の方法と同様に銀ナノワイヤーを製造した。合成例1同様、反応終了直後および80℃まで冷却した溶液をサンプリングし、得られた任意の100本の銀ナノワイヤーの寸法(径)を測定しその相加平均値を求めた。また反応終了直後から80℃までの反応液の平均冷却速度を求めた。それらの結果を表2に示した。
Figure 0007424516000002
平均冷却速度が-0.50℃/分以上の実施例1~7では反応終了直後と80℃まで冷却後の銀ナノワイヤー径の差が1nm以下でほとんど径が増大していないことが確認できた。一方、平均冷却速度が-0.50℃/分未満の比較例1~3では反応終了直後と80℃まで冷却後の銀ナノワイヤー径の差が1nmより大きく、特に冷却速度が遅い比較例1では2nm以上径が増大し、冷却速度と径の増分の相関が確認された。実施例1~7、比較例1~3における銀ナノワイヤー合成後の反応液温度冷却プロファイルを図1に示した。これらの結果から勾配が大きく(冷却速度が速く)、80℃までの冷却を140分以内にすることが好ましく、130℃までの冷却を30分以内にすることがより好ましいことが示唆される。
実施例8(透明導電フィルム評価)
本発明で得られた銀ナノワイヤーの透明導電膜における光学特性への寄与を確認するため、実施例4と比較例1の銀ナノワイヤーを用いて透明導電フィルムの作製、評価を実施した。実施例4および比較例1の銀ナノワイヤー反応液に対し、それぞれ以下の精製操作を行った。
<銀ナノワイヤー反応液の精製>
得られた銀ナノワイヤー反応液のうち3.5kgを5LのPFA(パーフルオロアルコキシエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)コートSUS容器に入れ、メカニカルスターラーを用いて150rpmにて攪拌しながら酢酸ブチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)3.6kgを10分かけて添加した。10分攪拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを5.9kg除去した。
沈殿を含む残液にイオン交換水0.8kgを添加し、10分攪拌を継続して沈殿を分散させた後、アセトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.8kgを10分かけて添加した。10分攪拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを全液量の70%(2.5kg)除去した。イオン交換水0.8kg添加以降の操作を11回繰り返すことで副生したナノ粒子を除去した。
沈殿を含む残液にアセトン3.0kgを添加し、5分攪拌を継続した後、撹拌を止め5分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを全液量の70%(2.9kg)除去した。沈殿を含む残液を3Lポリ容器に移液し、イオン交換水を内液が2.1kgとなるまで加えて振盪撹拌することで完全に分散させた。
得られた銀ナノワイヤー水分散液2.1kgを卓上小型試験機(日本ガイシ株式会社製、セラミック膜フィルター セフィルト使用、膜面積0.06m、孔径2.0μm、寸法Φ30mm×250mm)に流し入れ、循環流速4L/min、分散液温度25℃、ろ過差圧0.02MPaにてクロスフロー濾過(第一ろ過)を実施した。ろ液の透過速度がおよそ10g/minとなるように透過バルブの開閉を調整し、ろ液が100g得られる(溶媒保持率95%)毎にイオン交換水100gを逆洗により系に加えた(逆洗圧力0.15MPa)。ろ液が合計5600g得られた段階で、逆洗により系に加える溶媒をイオン交換水からエタノールに変え、ろ過差圧0.03MPaにてクロスフロー濾過(第二ろ過)を継続した。ろ液がさらに2800g得られた段階でクロスフロー濾過を終了した。
クロスフロー濾過後の分散液を355メッシュのナイロンフィルターに通し凝集物を除去することで銀ナノワイヤー精製液(分散媒:水/エタノール=19/81(質量比))を1.6kg取得した。銀ナノワイヤー精製液に含まれる銀濃度は0.63質量%であった。銀濃度の測定方法は以下の通りである。
銀濃度はフォルハルト法を用いて決定する。試料をビーカーに約1g秤量し、硝酸(1+1)4mLおよび純水20mLを添加する。ビーカーを時計皿で覆い、ホットプレート上で150℃に加熱し固形分を溶解させる。溶解を確認後、加熱を止めて放冷し、時計皿内面とビーカー壁面を純水で洗い込み液量を約50mLとする。この溶液に硝酸(1+1)5mLと硫酸アンモニウム鉄(III)(3%硝酸酸性)3mLを加え、0.01mol/Lチオシアン酸アンモニウム水溶液で滴定する。このとき、溶液が無色から淡茶に着色した点を終点とする。
滴定結果に基づいて、下記式に従い銀濃度を求める。
銀濃度(質量%)={(V×c)×107.9/1000}/m
m:試料の重量(g)
V:終点までの滴定に消費したチオシアン酸アンモニウム水溶液の量(mL)
c:チオシアン酸アンモニウム水溶液の濃度(0.01mol/L)
硝酸(1+1)、硫酸アンモニウム鉄(III)、チオシアン酸アンモニウムは、いずれも富士フイルム和光純薬株式会社製の試薬を用いた。硫酸アンモニウム鉄(III)(3%硝酸酸性)は、硫酸アンモニウム鉄(III)5.17g、純水170gおよび硝酸2.00gを混合して調製したものを用いた。0.01mol/Lチオシアン酸アンモニウム水溶液は、チオシアン酸アンモニウム38.06mgに純水を加え、全量50mLに調製したものを用いた。
<銀ナノワイヤーインク化>
得られた銀ナノワイヤー精製液を用いて銀ナノワイヤーインクを作製した。バインダー樹脂源として、ポリ-N-ビニルアセトアミド(PNVA(登録商標))(昭和電工株式会社製GE191-103、ホモポリマー(重量平均分子量90万(カタログ値))の10質量%水溶液)を用いた。
蓋付きの容器に、上記で得られた銀ナノワイヤー精製液5.41g、上記PNVAの10質量%水溶液0.35g、水(HO)0.66g、メタノール(MeOH)3.00g、エタノール(EtOH)3.64g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)6.40g、プロピレングリコール(PG)0.60gを添加して、蓋をしたのち、自転公転攪拌機で混合した。混合組成は水(HO):メタノール(MeOH):エタノール(EtOH):プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME):プロピレングリコール(PG)[質量比]=10:15:40:32:3、全混合物の総量に対し、PNVA水溶液から供給されるPNVA成分の量:0.18質量%、銀ナノワイヤーによって供給される金属銀の量が0.17質量%(残部99.65質量%が上記組成の分散媒)となるように混合量を調整し各インクを得た。
<透明導電フィルムの製造>
上記各銀ナノワイヤーインクを、株式会社井元製作所製塗工機70F0を用い、ウエット膜厚が約15μmとなるバーコーターを使用して、印刷速度500mm/secで、プラズマ処理した支持基材としての21cm×30cmのサイズのCOP(シクロオレフィンポリマー)支持基材(フィルム基板、ZF-14 日本ゼオン株式会社製)に塗布した。その後、熱風乾燥機(楠本化成株式会社製 ETAC HS350)により80℃で1分間、乾燥させ、透明導電層を有する透明導電フィルムを形成した。
<支持基材(フィルム基板)のプラズマ処理>
フィルム基板の表面処理としてのプラズマ処理は、プラズマ処理装置(積水化学工業株式会社製 AP-T03)を用いて窒素ガス雰囲気下、出力1kWで20秒間行った。
<シート抵抗・光学特性>
得られた透明導電フィルムのシート抵抗(表面抵抗率)を、三菱化学アナリテック社製 Loresta-GPにより測定した。また、透明導電フィルムの光学特性として、全光線透過率、ヘーズおよびb*を、日本電色工業社製、分光色彩・ヘーズメーターCOH7700により測定した。光学特性測定のリファレンスは空気を用いて測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007424516000003
比較例1で合成した銀ナノワイヤーを用いた透明導電フィルムに対して、実施例4で合成した銀ナノワイヤーを用いた透明導電フィルムは同程度の表面抵抗率であるにもかかわらずヘーズが低く、高い透明性が確認された。

Claims (7)

  1. 銀ナノワイヤーを120~170℃の温度でポリオール還元法により合成する工程と、銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで平均-0.50℃/分以上の冷却速度で冷却する工程と、を含み、
    前記冷却する工程において、冷却時に40℃以下の空気を反応容器に向かって送風することで冷却することを特徴とする銀ナノワイヤーの製造方法。
  2. 銀ナノワイヤーを120~170℃の温度でポリオール還元法により合成する工程と、銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで平均-0.50℃/分以上の冷却速度で冷却する工程と、を含み、
    前記冷却する工程において、反応終了後、40℃以下、かつ沸点が銀ナノワイヤー合成時の反応温度以上の溶剤を30分以上かけて反応液中に投入することで冷却することを特徴とする銀ナノワイヤーの製造方法。
  3. 冷却時に投入する前記溶剤がポリオールである、請求項に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
  4. 銀ナノワイヤーを120~170℃の温度でポリオール還元法により合成する工程と、銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで平均-0.50℃/分以上の冷却速度で冷却する工程と、を含み、
    前記冷却する工程において、銀ナノワイヤー合成終了後、合成時に使用した液体熱媒に金属板を一部が空気に触れるように投入し、40℃以下の空気を金属板の空気に触れている部分に向かって送風することで冷却することを特徴とする銀ナノワイヤーの製造方法。
  5. 前記冷却速度が-10.00℃/分未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
  6. 銀ナノワイヤー合成終了後、反応液温度を反応終了時の温度から80℃まで冷却する冷却時間が140分以内である、請求項1~5のいずれか一項に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
  7. 反応終了直後の銀ナノワイヤーの平均径に対する80℃まで冷却後の銀ナノワイヤーの平均径の増分が1nm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の銀ナノワイヤーの製造方法。
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