JP7424252B2 - 分散装置 - Google Patents
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Description
この分散装置においては、混合物をローターとステータとの間に供給した際に、正常な運転形態として、混合物が遠心力によりローターの半径方向外方へ移動し、最終的にローター、ステータ間の間隙から外部へ放出される。しかし、供給する混合物の量が所定の値を超えた場合、混合物の供給圧力によって該混合物がローターの回転軸側へ逆流する。逆流した混合物は、回転軸を支承する軸受に侵入して回転軸及びローターの回転に支障を与える。
また、エアーの供給によって混合物に多数の気泡が含まれてしまい、混合物の流動性が低下して排出され難くなったり、後工程で混合物の脱泡処理が必要となる問題があった。
すなわち、本発明は、スラリー状又は液体状の混合物を供給して、これを分散させる剪断式の分散装置であって、軸受と、該軸受に上下方向の軸線を中心として回転自在に支持された回転軸と、固定されたステータと、該ステータの下面に対向するように配置され、前記回転軸に固定されて該回転軸により回転駆動されるローターと、前記回転軸外側の空間を経て、前記ローターの上面と前記ステータの下面との間の、前記混合物が供給される間隙にエアーを供給するエアパージシール機構と、を備え、前記ステータには、前記ローターの上面に開口端が位置するように混合物供給口が設けられ、前記間隙内における前記開口端と前記回転軸との間には、前記ローターと前記ステータとのいずれか一方に基部が固定され、他方に先端部が弾性的に当接するシール部材が設けられていることを特徴とする。
この一態様によれば、装置の運転時に、シール部材のリップがローター又はステータに摺接し、シール部材が的確にシール機能を果たして混合物の回転軸方向への逆流を防止する。
この一態様によれば、シール部材のリップが拡径しつつローターの上面へ延び、その先端部がローターの上面に当接するので、リップの弾性変形がスムーズになされて高いシール機能を得ることができる。
上記構成の装置においては、分散の程度を混合物の種類や分散の目的によって調整するため、ローターとステータとの間隙厚さを調整し、適切な剪断力に変える必要が発生する。その際、間隙厚さが変化しても、シール部材のリップがその弾性によって間隙厚さの変化に追従し、シール機能を持続することができる。
この一態様によれば、ローター、ステータ間の間隙に連通する空間で混合物供給圧力P1とエアー圧力P2とが検出される。
図1は、本発明の一実施形態である分散装置の要部を示す図である。
図に示す分散装置1は、回転駆動されるローター2と、該ローター2の上面に対向して配置されるステータ3とを備えており、ローター2とステータ3との間の間隙4にスラリー状又は液体状の混合物5を供給し、該混合物5を遠心力によりローター2の外周方向へ通過させることによって分散させる剪断式の分散装置である。
軸受14は、下端に外方へ張り出すフランジ部14aを有し、フランジ部14aがボルト15により軸受保持部10に固定されている。軸受14には、ローター2を回転駆動するための回転軸16が、上下方向の軸線を中心として回転自在に支承されている。回転軸16は、図示しないモータ及び減速機構によって回転駆動される。
この場合、軸受保持部材10の下端面と係合凹所22の底面との間にはエアー導入空間26が形成されている。また、ステータ保持部材11には、供給通路24に連通するように混合物供給管27が固定されている。混合物供給管27には、図示しない混合部供給源から混合物5が供給される。
混合物供給口32の開口端32aは、間隙4及びローター2の上面2aに臨んで位置している。環状溝33は、開口端32aと回転軸挿通孔31との間に位置している。また、混合物供給口32の内面には第1の凹所34が形成され、回転軸挿通孔31の内面には第2の凹所35が形成されている。
上記のようにステータ保持部材11に保持されたステータ3は、回転軸16の周りの定位置に固定された状態となっている。また、ステータ3の混合物供給口32は、ステータ保持部材11の供給通路24と連通するように位置している。
また、混合物供給管27には、図示しない混合物供給源から混合物5が供給されるようになっている。混合物供給管27に供給された混合物5は、供給通路24を通って混合物供給口32に到り、混合物供給口32からローター2とステータ3との間の間隙4内に供給される。
図2に示すようにシール部材41は、環状溝33内に固定される断面略矩形の基部42と、該基部42から拡径しつつ斜め下方に延出するリップ43とを備えている。リップ43は、適度に弾性変形できるように薄厚であり、基部42から先端部に行くに従い厚みが小となるように形成され、先端部がローター2の上面2aに弾性的に当接する。
シール部材41が間隙4内に設けられている位置は、環状溝33の位置からして、混合物供給口32の開口端32aと回転軸16との間である。かくしてシール部材41は、間隙4内をローター2の半径方向外方と半径方向内方とに仕切る。
第1の圧力センサー45は、シール部材41を基準として、ローター2の半径方向外方側に供給される間隙4内の混合物5の供給圧力P1を検出するものである。第2の圧力センサー46は、シール部材41を基準として、ローター2の半径方向内方側に供給される間隙4内のエアーの圧力を検出するものである。これら第1、第2の圧力センサー45,46の出力は制御装置48に送られるようになっている。
制御装置48は、混合物5の供給量の制御、その他装置各部の制御を行うほか、第1、第2の圧力センサー45,46の出力に基づいて、間隙4内に供給されるエアーの圧力を制御する。
このローター2は、係合凹所52内に回転軸16の下端部を嵌入し、その上面2aをステータ3の下面に対向させて回転軸16に固定されている。固定は、係合穴53と回転軸16の下面に形成された係合穴55との間に係合ピン56を挿入し、ローター2の下面側から貫通孔51内にボルト57を挿入し、このボルト57を回転軸16の下面に形成された雌ねじ穴58にねじ込んで締め付けることによりなされている。
上記の構成において、ローター2、ステータ3間の間隙の寸法は、図示しない調整機構により調整できるようなっており、分散後の混合物に含まれる粒子の径に応じて調整できるようになっている。
ガイド部材66の上面には環状凸部67が形成されており、この環状凸部67はローター2の下面に形成された溝54内に位置している。この構成により、間隙4から流動落下する混合物5は、容器6の中央部側に流動することなく、スムーズに排出管64に導かれる。
なお、図1において符号68は、分散処理された混合物5を側壁部61の外部から冷却する冷却機構である。
分散装置1の起動に際しては、予めローター2とステータ3との間の間隙4の寸法、ローター2の回転数、エアパージシール機構40により供給するエアー圧力の大きさ、混合物4の時間当たりの供給量等を設定しておく。
そして、制御装置48を操作して分散装置1を起動すると、図示しないモータが回転して回転軸16が回転し、ローター2が回転駆動される。ローター2が回転すると、ステータ3に設けたシール部材41のリップ43がローター2の上面2aに当接しつつ同上面を相対的に摺動する。したがって、シール部材41は、ローター2が回転した状態において、間隙4を、このシール部材41を基準としてローター2の半径方向外方と半径方向内方、すなわち回転軸16方向とに仕切ることになる。
また、制御装置48は、図示しない混合物供給源から混合物5を混合物供給管27に供給する。混合物5は、供給通路24を通って混合物供給口32に供給され、この混合物供給口32からローター2とステータ3との間の間隙4に供給される。
したがって、混合物5が回転軸16側に逆流し、空間39を経て軸受14に侵入することがなく、常に軸受14の機能を確保してローター2の正常回転を維持することができる。
したがって、エアーが混合物5に触れて混合物5が乾燥することがない。また、エアーが混合物5に混入するのを防止することができる。
また、間隙4がシール部材41によって物理的に遮断されているので、混合物5の乾燥、混合物5へのエアーの混入を考慮することなくエアーの圧力を従来より高めることができ、したがってシール効果が高い状態で混合物5の供給量を増やすことが可能となり、装置の生産性を高めることができる。
例えば、各種のグランドパッキンの構成を採用することができ、繊維糸を編み込んだブレードパッキンとすることもできる。
すなわち、この実施形態では、ローター2の上面2aに、貫通孔51の軸線を中心とする環状溝33Aが形成されており、この環状溝33Aにはシール部材41Aの基部42Aが固定されている。シール部材41Aは、上記の実施形態のシール部材41と同一構成であり、そのリップ43Aの先端部はステータ3の下面に当接している。この実施形態においては、装置を起動させてローター2が回転すると、シール部材41Aがステータ3の下面を摺動する。
この実施形態においても、シール部材41Aが間隙4内を仕切るので、上記の実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
図4に示すように、本変形例では、基部42の上部にスペーサー42aを備えている。本変形例におけるスペーサー42aは、環状のリング形状を有し、環状溝33、33Aの底部に固定される。このスペーサー42aは、ローター2とステータ3との間隙4の厚さを調整した際、リップ43の高さを調節するため用いられる。このスペーサー42aにより、ローター2とステータ3との間隙4の厚さに追随して、リップ43の当接によるシール効果を確実なものとすることができる。
2 ローター
2a ローターの上面
3 ステータ
4 間隙
5 混合物
14 軸受
16 回転軸
31 回転軸挿通孔
32 混合物供給口
32a 開口端
33 環状溝
39 空間
40 エアパージシール機構
41 シール部材
42 基部
43 リップ(先端部)
45 第1の圧力センサー
46 第2の圧力センサー
48 制御装置
Claims (5)
- スラリー状又は液体状の混合物を供給して、これを分散させる剪断式の分散装置であって、
軸受と、
該軸受に上下方向の軸線を中心として回転自在に支持された回転軸と、
固定されたステータと、
該ステータの下面に対向するように配置され、前記回転軸に固定されて該回転軸により回転駆動されるローターと、
前記回転軸外側の空間を経て、前記ローターの上面と前記ステータの下面との間の、前記混合物が供給される間隙にエアーを供給するエアパージシール機構と、
を備え、
前記ステータには、前記ローターの上面に開口端が位置するように混合物供給口が設けられ、
前記間隙内における前記開口端と前記回転軸との間には、前記ローターと前記ステータとのいずれか一方に基部が固定され、他方に先端部が弾性的に当接するシール部材が設けられている、分散装置。 - 前記シール部材を基準として、前記ローターの半径方向外方側に供給される前記間隙内の混合物の供給圧力P1を検出する第1の圧力センサーと、同前記ローターの半径方向内方側に供給される前記間隙内のエアー圧力P2を検出する第2の圧力センサーと、
前記第1の圧力センサー、前記第2の圧力センサーの出力に基づいて前記エアー圧力P2、又は前記混合物供給口に供給する混合物の量を制御する制御装置と、
を備えている請求項1記載の分散装置。 - 前記シール部材は、弾性材料から形成された部材であって、前記基部から延出してその先端が他方に弾性的に当接するリップと、を備えている請求項1又は2記載の分散装置。
- 前記ステータには、その下面に前記回転軸の軸線を中心とする環状溝が形成され、
前記シール部材は、前記環状溝に固定される環状の前記基部と、該基部から拡径しつつ前記ローターの上面へ延び、その先端部が該上面に当接する前記リップと、を備えている請求項3記載の分散装置。 - 前記混合物供給口の内面には、前記第1の圧力センサーが設けられ、
前記ステータには、その中心部に前記回転軸を挿通する回転軸挿通孔が形成され、
前記ローターは、前記回転軸挿通孔から下方へ突出する前記回転軸の下端部に固定され、
前記回転軸挿通孔の内面には、前記第2の圧力センサーが設けられている、請求項4記載の分散装置。
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