JP7420296B1 - 硫化物固体電解質粉末の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱処理および冷却処理を経ても粒子同士の凝集が抑制された硫化物固体電解質粉末を製造する方法およびその製造装置を提供する。【解決手段】原材料を混合して原料混合物を得ること、前記原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を合成すること、前記粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得ること、前記硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させること、及び前記冷却エリアで、前記硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理すること、を含み、前記加熱エリアと前記冷却エリアとが分離されている、硫化物固体電解質粉末の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、硫化物固体電解質粉末の製造方法および硫化物固体電解質粉末の製造装置に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器に広く用いられている。従来、リチウムイオン二次電池においては液体の電解質が使用されてきた。一方で、安全性の向上や高速充放電、ケースの小型化等が期待できる点から、近年、固体電解質をリチウムイオン二次電池の電解質として用いる全固体型リチウムイオン二次電池が注目されている。
全固体型リチウムイオン二次電池に用いられる固体電解質として、例えば硫化物固体電解質が挙げられる。
硫化物固体電解質の合成方法としては、主に、固相法と溶融法が挙げられる。
固相法では、まず、硫化物固体電解質の原材料を混合し、必要に応じてメカニカルミリング等で粉砕して、硫化物前駆体粉末を得る。そして、当該硫化物前駆体粉末を加熱し、焼成することにより、硫化物固体電解質粉末が得られる。
溶融法では、まず、硫化物固体電解質の原材料の混合物を加熱溶融して融液を調製する。そして、当該融液を冷却固化し、その後必要に応じて粉砕することにより、硫化物固体電解質粉末が得られる。
合成された硫化物固体電解質粉末をリチウムイオン二次電池に適用する場合には、数μm又はそれ以下の粒径の微粉末にして用いられる。そのため、硫化物固体電解質粉末はさらに微粉砕される。
硫化物固体電解質の一例として、特許文献1にはアルジロダイト型の硫化物固体電解質が開示されている。この硫化物固体電解質は、立方晶で空間群F-43mに属する結晶構造を有し、組成式:Li7-xPS6-XHa(HaはCl若しくはBr)(x=0.2~1.8)で表される化合物を含有し、かつL表色系の明度L値が60.0以上である。これは、リチウムイオン伝導性を高め、電子伝導性を低くすることにより、充放電効率やサイクル特性を高めることを目的とする。
国際公開第2015/012042号
固相法により硫化物固体電解質を合成する際に、硫化物前駆体粉末を加熱する目的としては、上述のとおり硫化物前駆体粉末を焼成して硫化物固体電解質粉末を得ることの他に、得られた硫化物固体電解質粉末の結晶構造を安定化させ、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させることにある。また、溶融法により硫化物固体電解質を合成する場合においても、得られた硫化物粉末を加熱するのが好ましい。硫化物粉末に対し加熱処理を施すことによって、硫化物固体電解質の結晶構造を安定化させ、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させることができる。
しかし、固相法であっても溶融法であっても、上記加熱処理後には冷却処理を行うことになるが、冷却処理を施すと、上記加熱処理によって脱離した硫黄などの不純物が再び粒子表面に付着し、それが粒子同士を繋ぐバインダーとして作用することで、粒子同士が凝集してしまうおそれがあった。このように粒子同士が凝集してしまうと、その後の粉砕工程において粉砕の負荷が過大となり、固体電解質の電池性能が不十分となる問題があった。
したがって本発明の目的は、硫化物固体電解質の結晶構造を安定化させ、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させるための加熱処理、およびその後の冷却処理において、粒子同士の凝集を抑制することで、その後の粉砕の負荷を減らすことのできる硫化物固体電解質粉末を製造する方法およびその製造装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、原料混合物から合成された硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を加熱処理するにあたり、加熱エリアと冷却エリアとを分離し、冷却エリアにおいて不活性ガスを流通しつつ上記粉末を冷却することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]に関する。
[1]原材料を混合して原料混合物を得ること、
前記原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を合成すること、
前記粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得ること、
前記硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させること、及び
前記冷却エリアで、前記硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理すること、を含み、
前記加熱エリアと前記冷却エリアとが分離されている、
硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[2]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は5℃/分以上である、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[3]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の50倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[4]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の200倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[5]前記加熱処理において、前記加熱エリアで、不活性ガスを流通しつつ前記粉末を加熱する、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[6]前記加熱処理、前記冷却エリアへの移動、及び前記冷却処理を連続的に行う、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[7]原材料を混合して得られる原料混合物から合成される硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を加熱する加熱部と、
前記加熱部で前記粉末が加熱処理されて得られる硫化物固体電解質粉末を冷却する冷却部と、
前記冷却部に不活性ガスを流通する不活性ガス流通部と、を備え、
前記加熱部と冷却部とが分離して設けられている、硫化物固体電解質粉末の製造装置。
[8]前記加熱部は、不活性ガスを流通する不活性ガス流通部が設けられている、前記[7]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造装置。
本発明の製造方法および製造装置によれば、粒子同士の凝集が抑制された硫化物固体電解質粉末が得られる。粒子同士の凝集が抑制されることにより、その後粉砕の負荷を減らすことができるため、粉砕工程を経ても電池性能に優れた硫化物固体電解質粉末が得られる。
図1は、本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造方法のフローチャートである。 図2は、固相法による硫化物固体電解質粉末の製造方法のフローチャートである。 図3は、溶融法による硫化物固体電解質粉末の製造方法のフローチャートである。 図4は、本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造方法の概略図の一例である。 図5は、本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造方法の概略図の一例である。 図6は、本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造装置の概略図の一例である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施できる。また、数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の装置等のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
〔硫化物固体電解質の製造方法〕
本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造方法(以下、本製造方法ともいう)は、原材料を混合して原料混合物を得ること、前記原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末(以下、本粉末ともいう)を合成すること、前記粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得ること、前記硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させること、及び前記冷却エリアで、前記硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理すること、を含み、前記加熱エリアと前記冷却エリアとが分離されていることを特徴とする。
図1に、本製造方法のフローチャートの一例を示す。本製造方法では、まず、原材料を混合して原料混合物を得て(ステップS1)、原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末(本粉末)を合成し(ステップS2)、本粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得て(ステップS3)、硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させ(ステップS4)、冷却エリアで、硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理し(ステップS5)、硫化物固体電解質粉末を得る(ステップS6)。
さらに、図2に、固相法による本製造方法のフローチャートの一例を示し、図3に、溶融法による本製造方法のフローチャートの一例を示す。
固相法では、図2に示すように、原材料を混合して原料混合物を得て(ステップS1a)、原料混合物から硫化物前駆体粉末を合成し(ステップS2a)、硫化物前駆体粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得て(ステップS3a)、硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させ(ステップS4a)、冷却エリアで、硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理し(ステップS5a)、硫化物固体電解質粉末を得る(ステップS6a)。上記ステップS3aの加熱処理により、硫化物前駆体粉末が焼成されて硫化物固体電解質粉末が得られ、さらに硫化物固体電解質粉末の結晶構造が安定化し、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させることができる。
一方、溶融法では、図3に示すように、原材料を混合して原料混合物を得て(ステップS1b)、原料混合物を溶融し、得られた融液を冷却固化して硫化物粉末を合成し(ステップS2b)、硫化物粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得て(ステップS3b)、硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させ(ステップS4b)、冷却エリアで、硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理し(ステップS5b)、硫化物固体電解質粉末を得る(ステップS6b)。上記ステップS3bの加熱処理により、硫化物固体電解質粉末の結晶構造が安定化し、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させることができる。
後述するように、上記ステップS1~ステップS6、ステップS1a~ステップS6a、およびステップS1b~ステップS6bは、それぞれ連続的に行われることが好ましく、この連続的製造方法を採用する際に本発明の効果がさらに高まる。
<ステップS1、S1a、S1b>
ステップS1、S1a、S1bでは、原材料を混合して原料混合物を得る。
(原材料)
本製造方法における原材料(以下、本原材料ともいう)としては種々の原料を使用できる。本原材料としては、市販の硫化物固体電解質原料を用いてもよく、また、所定の材料から製造したものを用いてもよい。本原材料に対しては、さらに公知の前処理を施してもよい。
本原材料としては、通常、アルカリ金属元素(R)及び硫黄元素(S)を含む。
アルカリ金属元素(R)としては、リチウム元素(Li)、ナトリウム元素(Na)、及びカリウム元素(K)等が挙げられ、なかでも、リチウム元素(Li)が好ましい。アルカリ金属元素(R)としては、アルカリ金属元素単体やアルカリ金属元素を含む化合物等のアルカリ金属元素を含む物質(成分)等を適宜組み合わせて使用できる。なかでも、リチウム元素としては、Li単体やLiを含む化合物等のLiを含む物質(成分)等を適宜組み合わせて使用できる。
リチウム元素(Li)を含む物質としては、例えば、硫化リチウム(LiS)、ヨウ化リチウム(LiI)、炭酸リチウム(LiCO)、硫酸リチウム(LiSO)、酸化リチウム(LiO)および水酸化リチウム(LiOH)等のリチウム化合物や、金属リチウム等が挙げられる。リチウム元素(Li)を含む物質としては、硫化物材料を得る観点からは、硫化リチウムを用いることが好ましい。
硫黄元素(S)としては、S単体やSを含む化合物等のSを含む物質(成分)等を適宜組み合わせて使用できる。
硫黄元素(S)を含む物質としては、例えば、三硫化二リン(P)、五硫化二リン(P)等の硫化リン、リンを含有するその他の硫黄化合物および単体硫黄、硫黄を含む化合物等が挙げられる。硫黄を含む化合物としては、HS、CS、硫化鉄(FeS、Fe、FeS、Fe1-xSなど)、硫化ビスマス(Bi)、硫化銅(CuS、CuS、Cu1-xSなど)が挙げられる。硫黄元素(S)を含む物質は、硫化物材料を得る観点から、硫化リンが好ましく、五硫化二リン(P)がより好ましい。これらの物質は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、硫化リンはSを含む物質と、後述するPを含む物質を兼ねる化合物として考えられる。
本原材料は、目的とする硫化物固体電解質のイオン伝導率向上等の観点から、さらにリン元素(P)を含むのが好ましい。リン元素(P)としては、P単体やPを含む化合物等のPを含む物質(成分)等を適宜組み合わせて使用できる。
リン元素(P)を含む物質としては、例えば、三硫化二リン(P)、五硫化二リン(P)等の硫化リン、リン酸ナトリウム(NaPO)等のリン化合物および単体リン等が挙げられる。リン元素(P)を含む物質としては、本発明の効果がより発揮されるという観点から、揮散性の高い硫化リンが好ましく、五硫化二リン(P)がより好ましい。これらの物質は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方で、硫化リチウムは高価であるため、硫化物固体電解質の製造コストを抑える観点からは、硫化リチウム以外のリチウム化合物や、金属リチウム等を用いてもよい。具体的にはこの場合、本原材料はLiを含む物質として、金属リチウム、ヨウ化リチウム(LiI)、炭酸リチウム(LiCO)、硫酸リチウム(LiSO)、酸化リチウム(LiO)および水酸化リチウム(LiOH)からなる群から選ばれる1以上を含むことが好ましい。これらの物質は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本原材料は、目的とする硫化物固体電解質の組成に応じて、または添加剤等として、上記の物質の他にさらなる物質(化合物等)を含んでもよい。
例えば、F、Cl、BrまたはIなどのハロゲン元素を含む硫化物固体電解質を製造する場合、本原材料はハロゲン元素(Ha)を含むことが好ましい。この場合、本原材料はハロゲン元素を含む化合物を含むことが好ましい。ハロゲン元素を含む化合物としてはフッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、ヨウ化リチウム(LiI)等のハロゲン化リチウム、ハロゲン化リン、ハロゲン化ホスホリル、ハロゲン化硫黄、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化ホウ素等が挙げられる。ハロゲン元素を含む化合物としては、原料の反応性の観点からは、ハロゲン化リチウムが好ましく、LiCl、LiBr、LiIがより好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、ハロゲン化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属は、Li等のアルカリ金属元素を含む化合物でもある。本原材料がハロゲン化アルカリ金属を含む場合、本原材料におけるLi等のアルカリ金属元素の一部または全部がハロゲン化リチウム等のハロゲン化アルカリ金属に由来するものであってもよい。
本原材料がハロゲン元素(Ha)およびリン元素(P)を含む場合、本原材料中のPに対するHaのモル当量は、目的とする硫化物固体電解質のイオン伝導率向上等の観点からは、0.2モル当量以上が好ましく、0.5モル当量以上がより好ましい。また、目的とする硫化物固体電解質の安定性の観点からは、Haのモル当量は4モル当量以下が好ましく、3モル当量以下がより好ましい。
目的とする硫化物固体電解質粉末が非晶質である場合、非晶質相の生成のしやすさを改善する観点からは、本原材料がSiS、B、GeS、Al等の硫化物を含むことも好ましい。非晶質相を形成し易くすることで、急冷により非晶質を得る場合に、冷却速度を低下させても、非晶質の硫化物固体電解質粉末を得ることができ、設備負荷を軽減できる。
また、目的とする硫化物固体電解質粉末の耐湿性付与等の観点からは、SiO、B、GeO、Al、P等の酸化物を含むことも好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記硫化物や酸化物の添加量は、原料全量に対し0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、上記硫化物や酸化物の添加量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
一方、目的とする硫化物固体電解質粉末が結晶層を含む場合、本原材料は、酸化物、酸窒化物、窒化物、炭化物、他のカルコゲン化合物、ハロゲン化物等の結晶核となる化合物を含んでいてもよい。
(混合)
本製造方法では、上記の本原材料を、目的とする硫化物固体電解質の組成に応じて混合して原料混合物(以下、本原料混合物ともいう)を得る。ステップS1における混合は、後述するステップS2に供するにあたって、複数の原材料をひとつの容器に入れたり、その容器に入れた原材料を乳鉢や攪拌翼などで混合する程度の混合具合を意味する。
混合比率は特に限定されないが、混合に用いる物質に応じた所定の化学量論比で混合して得るのが好ましい。例えば、本原材料中のアルカリ金属元素(R)に対する硫黄元素(S)のモル比S/Rは、目的とする硫化物固体電解質のイオン伝導率向上等の観点から、0.65/0.35以下が好ましく、0.5/0.5以下がより好ましい。混合の方法は特に制限されず、例えば、乳鉢での混合、遊星ボールミルのようなメディアを用いた混合、ピンミルや粉体撹拌機、気流混合の様なメディアレス混合等が挙げられる。
本原材料を混合して、目的とする原料混合物に含まれるアルカリ金属元素及び硫黄元素の好ましい組み合わせの一例として、LiSとPの組み合わせが挙げられる。LiSとPを組み合わせる場合は、LiとPのモル比Li/Pは40/60以上が好ましく、50/50以上がより好ましい。また、LiとPのモル比Li/Pは88/12以下が好ましい。また、LiとPのモル比Li/Pは40/60~88/12が好ましく、50/50~88/12がより好ましい。PがLiSに対して比較的少なくなるように混合比を調整することで、LiSの融点に対しPの沸点が小さいことによる、加熱処理時の硫黄成分とリン成分の揮散を抑制しやすくなる。
(粉砕)
本原料混合物は、本原材料を混合して得た後に、さらに粉砕してもよい。粉砕方法は特に制限されず、例えばメカニカルミリングにより行ってもよい。メカニカルミリングは、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、遊星ミル、ボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができる。例えば、遊星ボールミルを用いる場合、容器に本原材料および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。一般的に、回転数が大きいほど、本前駆体の生成速度は速くなり、処理時間が長いほど、本原材料から本前駆体への転化率は高くなる。遊星ボールミルを行う際の台盤回転数としては、例えば200rpm以上500rpm以下であることが好ましい。また、遊星ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間以上100時間以下であり、中でも1時間以上50時間以下であることが好ましい。
また、ボールミルに用いられる容器および粉砕用ボールの材質やサイズは特に制限されず、従来公知のものを使用できる。材質としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ガラス、窒化ケイ素等が挙げられる。粉砕用ボールの径は、例えば0.3mm以上20mm以下である。
メカニカルミリングは、乾式メカニカルミリングであってもよく、湿式メカニカルミリングであってもよい。湿式メカニカルミリングに用いられる液体は、本原材料との反応で硫化水素を発生しない性質を有するものであることが好ましい。メカニカルミリングの後に、得られた本前駆体を乾燥することが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、例えば外熱式乾燥炉や熱風循環式乾燥炉を用いた方法が挙げられる。
<ステップS2、S2a、S2b>
ステップS2では、本原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を合成する。
特に、固相法では、本原料混合物から硫化物前駆体粉末を合成し(ステップS2a)、溶融法では、本原料混合物から硫化物粉末を合成する(ステップS2b)。
(硫化物粉末)
溶融法では、本原料混合物から硫化物粉末を合成する(ステップS2b)。すなわち、以下で説明する硫化物粉末は、本原料混合物を溶融後に冷却固化して得られる粉末である。また、硫化物粉末は、溶融法における溶融、冷却後に得られる硫化物固体電解質粉末であり、後述する加熱処理を行う前の状態のものを意味する。
溶融法では、まず、本原料混合物を、本原材料が溶融する温度に加熱して融液を得て、得られた融液の冷却固化を行い、硫化物粉末を得る。また、上記融液の冷却固化した後に粉砕工程を経ることで、硫化物粉末を得ることがより好ましい。
・原料混合物の溶融
本原料混合物の溶融は、硫黄元素を含むガス雰囲気下で行うのが好ましい。硫黄元素を含むガス雰囲気下で本原料混合物を加熱溶融することで、融液に硫黄が導入される。これにより、加熱中の硫黄の揮発を抑制できるため、得られる硫化物固体電解質粉末の組成を適切に制御できる。硫黄元素を含むガスは、例えば、硫黄ガス、硫化水素ガス、二硫化炭素ガス等、硫黄元素を含む化合物または硫黄単体を含むガスである。
加熱溶融の温度は、特に限定されないが、短時間で融液を均質化する観点から、600℃以上が好ましく、630℃以上がより好ましく、650℃以上がさらに好ましい。また、加熱溶融の温度は融液中の成分の加熱による劣化や分解抑制等の観点から1000℃以下が好ましく、950℃以下がより好ましく、900℃未満がさらに好ましく、800℃未満が特に好ましい。また、600℃以上900℃未満が好ましい。
融液を得るための加熱溶融の時間は、特に制限されないが、例えば、0.5時間以上であってもよく、1時間以上であってもよく、2時間以上であってもよい。また、加熱溶融の時間は融液中の成分の加熱による劣化や分解が許容できる範囲では加熱溶融の時間は長くてもよい。現実的な範囲としては、100時間以下が好ましく、50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましい。
加熱溶融時の圧力は特に限定されないが、例えば常圧又は微加圧が好ましく、常圧がより好ましい。
加熱溶融時、水蒸気や酸素等との副反応を防ぐ観点から、炉内の露点は-20℃以下が好ましく、下限は特に制限されないが、通常-80℃以上である。また酸素濃度は1000体積ppm以下が好ましい。
・融液の冷却
続いて、得られた融液の冷却固化を行い、硫化物粉末を得る。
冷却は公知の方法で行えばよく、その方法は特に限定されない。冷却のより具体的な方法として、例えば、融液をカーボン製等の板状体の上に流し出して冷却する方法;双ロール法に代表される狭い隙間に流し込んで薄く成形する方法;融液を噴霧して気中で冷却する方法;等が挙げられる。
融液を板状体の上に流し出して冷却する場合、冷却効率を向上する観点から、流し出した後の融液及び得られる固体の厚みは比較的薄いことが好ましい。具体的には、厚みは10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。厚みの下限は特に限定されないが、0.01mm以上であってもよく、0.02mm以上であってもよい。
狭い隙間に流し込んで薄く成形する場合は、冷却効率が優れており、薄片状のもの、繊維状のもの、粉末状のもの等を得ることができる。得られた固体は、取り扱いやすい大きさに砕く等して、任意の形状で得られる。中でも、ブロック状の固体で得た方が回収がし易く好ましい。ブロック状とは、板状、薄片状、または繊維状である場合も含む。
融液の冷却固化と粉末化を同時に行うこともできる。すなわち、得られた融液を炉体から排出時に液滴とすることで冷却固化を行い、硫化物粉末を得る。
冷却速度は加熱溶融により得られた組成を維持する観点から、0.01℃/秒以上が好ましく、0.05℃/秒以上がより好ましく、0.1℃/秒以上がさらに好ましい。また、冷却速度の上限値は特に定めないが、一般的に急冷速度が速いと言われる双ロール法の冷却速度は10℃/秒以下である。
ここで、得られる固体を非晶質としたい場合には、加熱溶融により得られた融液を急冷して固体を得ることが好ましい。具体的には、急冷する場合の冷却速度は10℃/秒以上が好ましく、100℃/秒以上がより好ましく、500℃/秒以上がさらに好ましく、700℃/秒以上がよりさらに好ましい。また、冷却速度の上限値は特に限定されないが、一般的に急冷速度が速いと言われる双ロール法の冷却速度は10℃/秒以下である。
一方で、冷却時に徐冷して、固体の少なくとも一部を結晶化し、特定の結晶構造を有する硫化物粉末や、結晶相と非晶質相とから構成される硫化物粉末として得ることもできる。徐冷する場合の冷却速度は0.01℃/秒以上が好ましく、0.05℃/秒以上がより好ましい。また、冷却速度は500℃/秒以下が好ましく、450℃/秒以下がより好ましい。冷却速度は10℃/秒未満であってもよく、5℃/秒以下であってもよい。なお、結晶化の条件に応じて適宜冷却速度を調節してもよい。
・粉砕
上記融液の冷却固化後に粉砕することで、硫化物粉末を得ることがより好ましい。粉砕の方法は特に制限されず、例えば上述したメカニカルミリングにより行ってもよい。
続くステップS3bに供するために、ステップS2bで得られる硫化物粉末の平均粒子径は1~300μmが好ましいが、3~150μmがより好ましく、5~100μmがさらに好ましい。ここで、後述する加熱処理中に舞ってしまうことを抑制する観点から、粉砕後の平均粒子径は1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また、続く加熱処理による効果をより奏しやすく、また、その後の微粉砕へ供しやすくなる観点から、粉砕後の平均粒子径は300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
以上の工程により、後述する加熱処理を行う前の硫化物粉末が得られる。かかる硫化物粉末は、加熱処理を行う前であるため、結晶構造が安定化しておらず、硫黄等の不純物が粒子表面に付着した状態のものであってよい。
なお、ここで得られる硫化物粉末は、後述する最終的に得られる硫化物固体電解質粉末と同種の硫化物固体電解質であってよい。
(硫化物前駆体粉末)
固相法では、本原料混合物から硫化物前駆体粉末を合成する(ステップS2a)。すなわち、以下で説明する硫化物前駆体粉末は、固相法により本原料混合物から合成される硫化物固体電解質粉末であり、後述する加熱処理を行う前の状態のものを意味する。また、硫化物前駆体粉末は、溶融法で得られる硫化物粉末のような、固体電解質として機能する結晶を含む化合物の粉末とは異なり、複数の原材料が非常に均質に混合された混合物の粉末、反応して出発原料から化学結合状態が変化している粉末、又は、非晶質の化合物の粉末を意味する。
硫化物前駆体粉末は、本原料混合物を、例えばメカニカルミリングすることで合成できる。具体的には、本原料混合物をメカニカルミリング等することで化学反応が起こり、元素の結合状態が変化するほどエネルギーが加えられ、硫化物前駆体粉末が合成される。メカニカルミリングは、本原料混合物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、遊星ボールミル等のボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等が挙げられる。
遊星ボールミルを用いる場合、台盤回転数は、例えば100~500rpmが好ましく、処理時間は、例えば1~100時間が好ましく、1~50時間がより好ましい。
遊星ボールミルに用いられる容器および粉砕用ボールの材質やサイズは特に制限されず、従来公知のものを使用できる。材質としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、ガラス、窒化ケイ素等が挙げられる。粉砕用ボールの径は、例えば0.3~20mmである。
メカニカルミリングは、乾式でも湿式でもよい。湿式でメカニカルミリングを行う場合には、各原材料と反応して硫化水素等を発生しない分散媒を用いることが好ましい。
湿式でメカニカルミリングを行った場合には、続くステップS3の前に硫化物前駆体粉末を乾燥することが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、例えば外熱式乾燥炉や熱風循環式乾燥炉を用いた方法が挙げられる。
続くステップS3aに供するために、ステップS2aで得られる硫化物前駆体粉末の平均粒子径は1~300μmが好ましいが、3~150μmがより好ましく、5~100μmがさらに好ましい。ここで、後述する加熱処理中に舞ってしまうことを抑制する観点から、粉砕後の平均粒子径は1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また、続く加熱処理による効果をより奏しやすく、また、その後の微粉砕へ供しやすくなる観点から、粉砕後の平均粒子径は300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
<ステップS3、S3a、S3b>
ステップS3、S3a、S3bでは、本粉末を加熱エリアで加熱処理する。
<本粉末の加熱処理>
本粉末のうち、固相法における上記硫化物前駆体粉末の加熱処理は、通常、前駆体としての原料混合物粉末を焼成して硫化物固体電解質粉末を得る目的と、得られた硫化物固体電解質粉末の結晶構造を安定化させ、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させる目的のために行う。
また、溶融法により得られる上記硫化物粉末の加熱処理は、通常、硫化物固体電解質粉末の結晶構造を安定化させ、粒子表面に付着した硫黄等の不純物を脱離させる目的のために行う。
一般的に、化合物が合成され、熱力学的に安定な構造に落ち着くと、それ以上の反応は進行しない。特に、合成反応が粉体同士の反応である場合には、異質な界面が形成されると、反応の進行が止まるか、進行が極めて遅くなる。
これに対し、特に溶融法においては、原料混合物から硫化物粉末を得て、必要に応じて粉砕を行った後、再度加熱処理といった熱エネルギーを与えることで、粒子がより均質になり、品質も安定した硫化物固体電解質粉末が得られるようになる。
本工程では、例えば図4に示すように、容器13に入れた本粉末(図示せず)を硫化物固体電解質の製造装置10の加熱エリア11内で加熱する。これにより、硫化物固体電解質粉末が得られる。
加熱エリア11における加熱温度は、硫化物固体電解質の組成によって異なるものの、本粉末の結晶構造を均質化する観点から、例えば、200~600℃が好ましい。また、350℃以上がより好ましく、380℃以上がさらに好ましく、400℃以上が特に好ましい。また、本粉末中の成分の加熱による劣化や分解抑制等の観点から、550℃以下がより好ましく、500℃以下がさらに好ましい。
加熱エリア11における加熱時間は、硫化物固体電解質の組成によって異なるものの、本粉末の結晶構造を均質化する観点から、例えば、1分~10時間が好ましい。また、3分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましく、10分以上が特に好ましい。また、製造コストの観点から、5時間以下がより好ましく、3時間以下がさらに好ましい。
加熱エリア11における加熱昇温速度は、例えば、1℃/分以上が好ましく、5℃/分以上がより好ましく、10℃/分以上がさらに好ましい。また、加熱速度の上限値は特に定めない。メッシュベルト炉、ローラーハースキルン炉、またはロータリーキルン炉の様に連続的に加熱処理を行う場合、加熱エリアはいずれの箇所も同じ温度であっても良い。
また、加熱エリア11内は温度のばらつきの小さい均熱域であるのが好ましい。加熱エリア11内は温度のばらつきは、-50℃~+50℃が好ましく、-30℃~+30℃がより好ましく、-15℃~+15℃がさらに好ましい。
加熱エリア11において加熱する加熱手段14は、従来公知の方法を適宜利用できる。例えば、図4に示すように、硫化物固体電解質の製造装置10における加熱エリア11付近に所定の加熱手段14を設置できる。加熱手段14としては、例えば、カンタルヒーター、SiCヒーター、及びカーボンヒーター等の発熱材に電流を流して対象物を加熱するヒーター、ハロゲンヒーター等の輻射加熱を行うヒーター、高周波誘導加熱装置等を適宜利用できる。
加熱エリア11の加熱処理時の圧力は特に限定されないが、例えば常圧又は微加圧あるいは微減圧が好ましく、常圧~微加圧の状態がより好ましい。ここで、微加圧とは、例えば炉外との差圧が0.01kPa~10kPaをいい、微減圧とは例えば炉外との差圧が-10kPa~-0.01kPaをいう。
加熱処理時、水蒸気や酸素等との副反応を防ぐ観点から、加熱エリア11における雰囲気の露点は-20℃以下が好ましく、下限は特に制限されないが、通常-80℃以上である。また酸素濃度は1000体積ppm以下が好ましい。
加熱エリア11では、不活性ガス16を流通しつつ本粉末を加熱するのが好ましい。
不活性ガスとしては、例えば、Nガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
例えば、あらかじめ加熱エリア11の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換し、本粉末を加熱エリア11に投入する際には、投入口19付近に設けられた不活性ガス流通部21aから不活性ガス16を流通し、硫黄ガス等を含む不活性ガス17を排気すること等により、加熱エリア11内の不活性ガス雰囲気を保持でき、加熱エリア11内で発生する硫黄ガス等を加熱エリア11から取り除くことができる。加熱エリア11の雰囲気は可能な限り冷却エリア12へ流れ込まないようにするのが好ましい。
加熱エリア11への不活性ガスの流通量は、特に制限されないが、発生した硫黄ガスを送り出す観点からは、処理粉体体積1Lあたり、0.5L/分以上が好ましく、1L/分以上がより好ましく、3L/分以上がさらに好ましい。また、加熱エリア11への不活性ガスの流通量は、ガスの脱熱に伴う無駄なエネルギーロスを低減するためにも、処理粉体体積1Lあたり、1000L/分以下が好ましく、500L/分以下がより好ましい。
本粉末を入れる容器13としては、耐熱性の容器であれば特に制限されないが、コンタミネーション防止の観点からは、アルミナ、ジルコニア、及びムライト等のセラミックス製容器が好ましい。また、カーボンや耐食性金属等の電子伝導性のある材質の容器は、電子伝導性が許容できる用途において用いることができる。
容器13の容量は、本製造方法で処理する量に応じて適宜変更できる。
容器13の形状としては、高さが低く、底広の形状とするのが好ましい。これにより、粉体が自重で押し固められ凝集することを抑制できる。
具体的には、容器13は、底面の長辺をa、高さをbとした際に、2a>bの関係を満たすことが好ましく、1.5a>bの関係を満たすことがより好ましい。
なお、容器13の底面形状が矩形状以外の形状である場合として、例えば、真円及び楕円を含む円形や、多角形等が挙げられる。上記底面形状が円形の場合には、底面の長辺とは、当該円形が内接円となる正方形又は長方形の長辺を意味する。また、上記底面形状が三角形の場合には、最も長い辺の長さを、底面の長辺とする。上記底面形状が五角形以上の多角形である場合には、最も長い対角線の長さを、底面の長辺とする。
<ステップS4、S4a、S4b>
ステップS4、S4a、S4bでは、本粉末を加熱処理して得られた硫化物固体電解質粉末を冷却エリア12へ移動させる。本工程では、例えば図4に示すように、加熱エリア11内で加熱された本粉末を冷却エリア12へ移動させる。
本粉末を冷却エリア12へ移動させる移動手段18は特に制限されず、例えば、耐熱性のベルトコンベア等の搬送体を用いてもよいし、メッシュベルト搬送、ローラー搬送、ロータリーキルン炉のような周囲レトルト回転により粉体が排出口へと移動する搬送方法、プッシャー炉のような容器を炉内に押し込み、炉外へと押し出していく搬送方法等を用いてもよい。また、図4では、加熱エリアと冷却エリアは左右方向に隣接しているが、例えば、加熱エリアと冷却エリアが上下方向に隣接している場合は、上下方向に昇降させることもできる。
<ステップS5、S5a、S5b>
ステップS5、S5a、S5bでは、冷却エリア12で、本粉末を加熱処理して得られた硫化物固体電解質粉末を、不活性ガス16を流通しつつ冷却処理する。本工程では、例えば図4に示すように、冷却エリア12内で不活性ガス16を流通させながら、硫化物固体電解質粉末を冷却する。
冷却エリア12における冷却時間は、生産性の観点からは短い方が良いが、冷却時間を短くし過ぎるとヒートショックにより容器が破損する可能性があるため、1~240分が好ましい。また、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましく、15分以上が特に好ましい。また、生産性の観点から、180分以下がより好ましく、150分以下がさらに好ましく、120分以下が特に好ましい。
冷却エリア12において、硫化物固体電解質粉末の平均冷却速度は、例えば、5℃/分以上が好ましく、10℃/分以上がより好ましく、20℃/分以上がさらに好ましい。また、平均冷却速度の上限値は特に定めないが、例えば、1000℃/分以下である。例えば、冷却エリア12の冷却速度と硫化物固体電解質粉末の冷却速度が追随しながら冷却される場合、硫化物固体電解質粉末の平均冷却速度は、冷却エリアの平均冷却速度とみなすことができる。
また、硫化物固体電解質粉末の冷却処理は、複数のエリアにまたがって行われてもよい。この場合、各冷却エリアでは段階的に温度が下がるようにして、硫化物固体電解質粉末の冷却を行ってもよい。また、この場合、硫化物固体電解質粉末の平均冷却速度とは、最初の冷却エリアに入ってから最後の冷却エリアを出るまでの時間をT(分)、最初の冷却エリアに入ってから最後の冷却エリアを出るまでの冷却温度(降下温度)をC(℃)とすると、C/T(℃/分)で定義できる。
本製造方法においては、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は5℃/分以上であることが好ましい。冷却エリア12の温度が350℃を超える場合、硫化物固体電解質粉末から硫黄が脱離しても、すぐに蒸発して粒子近傍に硫黄ガスが留まりにくいため、平均冷却速度に特に制限はない。しかし、冷却エリア12の温度が350℃以下になると、硫化物固体電解質粉末から脱離した硫黄ガスが粒子近傍に留まりやすく、再び粒子表面に硫黄が付着し、それが粒子同士を繋ぐバインダーとして作用することで、粒子同士が凝集しやすくなる。そのため、冷却エリア12の温度が350℃以下となる時間がなるべく短い方が、粒子同士の凝集を抑制できる。
硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は10℃/分以上であることがより好ましく、20℃/分以上であることがさらに好ましく、25℃/分以上であることが特に好ましい。なお、加熱エリアから出た時点の硫化物固体電解質粉末の温度が350℃以下の場合は、350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度とは、上記加熱エリアから出た時点の硫化物固体電解質粉末の温度が100℃まで降下するまでの平均冷却速度で定義できる。
冷却エリア12において冷却する冷却手段15は、従来公知の方法を適宜利用できる。例えば、図4に示すように、製造装置10における冷却エリア付近に所定の冷却手段15を設置できる。冷却手段15としては、ヒーターを用いて徐冷してもよいし、温度が低いガスをパージして冷却してもよいし、冷却器を用いて急冷してもよい。ヒーターとしては、例えば、カンタルヒーター、SiCヒーター、及びカーボンヒーター等の発熱材に電流を流して対象物を加熱するヒーター、ハロゲンヒーター等の輻射加熱を行うヒーター、高周波誘導加熱装置等を適宜利用できる。冷却器としては、例えば、水冷式プレート、水冷管等を適宜利用できる。
冷却エリア12の加熱処理時の圧力は特に限定されないが、例えば常圧又は微加圧あるいは微減圧が好ましく、常圧~微加圧の条件がより好ましい。微加圧および微減圧とは上述のとおりである。
冷却時、水蒸気や酸素等との副反応を防ぐ観点から、冷却エリア12における雰囲気の露点は-20℃以下が好ましく、下限は特に制限されないが、通常-80℃以上である。また酸素濃度は1000体積ppm以下が好ましい。
冷却エリア12では、不活性ガス16を流通しつつ、硫化物固体電解質粉末を冷却する。
不活性ガス16としては、例えば、Nガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
例えば、あらかじめ冷却エリア12の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換し、硫化物固体電解質粉末を冷却エリア12に移動させる際には、取出口20付近に設けられた不活性ガス流通部21bから不活性ガス16を流通し、硫黄ガス等を含む不活性ガス17を、加熱エリアを通して排気すること等により、冷却エリア12内の不活性ガス雰囲気を保持でき、冷却エリア12内で発生する硫黄ガス等を冷却エリア12から取り除くことができる。図4では、一例としての装置図としているが、不活性ガス流通部21bの位置は、図4に示す位置に限定されず、冷却エリア12のどこに配置してもよい。また、不活性ガスの排気部も冷却エリア12内に設置してもよい。
冷却エリア12への不活性ガス16の流通量は、特に制限されないが、微量に発生する硫黄ガスを送り出す観点、および加熱エリア11からのガス流入を抑える観点からは、処理粉体体積1Lあたり、0.5L/分以上が好ましく、1L/分以上がより好ましく、3L/分以上がさらに好ましい。また、上記流通量の上限は、設備の狙い温度が実現できていれば特に制限はないが、例えば、処理粉体体積1Lあたり、1000L/分以下がより好ましく、500L/分以下がさらに好ましい。
本製造方法においては、硫化物固体電解質粉末の温度が200℃に降下するまで、硫化物固体電解質粉末の体積の50倍以上の不活性ガス16を冷却エリア12へ流通するのが好ましい。硫化物固体電解質粉末の温度が200℃以下では、硫化物固体電解質粉末から硫黄が脱離する速度は小さいものの、硫化物固体電解質粉末の温度が200℃を超えている間は、硫化物固体電解質粉末から硫黄が脱離する速度は大きいため、冷却エリア12内に硫黄ガスが充満してしまい、粒子表面に硫黄が再び付着しやすい状態となる。そのため、硫化物固体電解質粉末の温度が200℃に降下するまでは、なるべく多くの不活性ガス16を冷却エリア12へ流通させ、硫黄ガスを冷却エリア12から取り除くのが好ましい。
硫化物固体電解質粉末の温度が200℃に降下するまで冷却エリア12へ流通させる不活性ガス16の体積は、硫化物固体電解質粉末の体積の100倍以上がより好ましく、200倍以上がさらに好ましく、250倍以上が特に好ましい。
<加熱エリアと冷却エリアとの分離>
本製造方法においては、加熱エリア11と冷却エリア12とが分離されているのが重要である。ここで、加熱エリア11と冷却エリア12とが分離されているとは、加熱エリア11で本粉末を加熱した際に発生する硫黄ガスが冷却エリア12に流入しないように、加熱エリア11と冷却エリア12が分けられていることを意味する。例えば、図4に示すように、加熱エリア11と冷却エリア12とが仕切り22で分離されていたり、加熱エリア11と冷却エリア12とがそれぞれ独立した部屋であったり等、加熱エリア11で発生した硫黄ガスが冷却エリア12に流入しないように、加熱エリア11と冷却エリア12とが物理的に分離されていてもよい。また、例えば、気流をコントロールしてエアカーテンを設けることにより、加熱エリア11で発生した硫黄ガスが冷却エリア12に流入しないように、分離されていてもよい。仕切りは可能な限り隙間を小さくして、隣のエリアから雰囲気が流れ込まないようにすることが好ましい。また、仕切りやエアカーテン等、種々の手段を組み合わせてもよい。
また、本製造方法においては、本粉末の加熱処理、得られた硫化物固体電解質粉末の冷却エリアへの移動、および硫化物固体電解質粉末の冷却処理を連続的に行うのが好ましい。例えば、図5に示すように、本粉末のサンプル(第1サンプル)を加熱処理し、得られた硫化物固体電解質粉末を冷却エリア12へ移動させた後、新たな本粉末のサンプル(第2サンプル)を加熱エリア11に投入することにより、第1サンプルの冷却処理と2サンプルの加熱処理とを同時に行うことができる。この場合、加熱エリア11の熱が冷却エリア12へ移動しないように、加熱エリア11と冷却エリア12とが断熱材等の仕切り22で区分けされるのが好ましい。
さらに冷却処理された第1サンプルを回収するとともに、加熱処理された第2サンプルを冷却エリア12へ移動させた後、さらに新たな本粉末のサンプル(第3サンプル)を加熱エリア11に投入できる。このように、複数の本粉末のサンプルについて、加熱処理、冷却エリア12への移動、および冷却処理を連続的に行うことにより、多くの硫化物固体電解質粉末を短時間で製造可能となる。
一方、本粉末の加熱処理、得られた硫化物固体電解質粉末の冷却エリア12への移動、および硫化物固体電解質粉末の冷却処理を間欠的に行ってもよい。すなわち、本粉末のサンプル(第1サンプル)について、加熱処理、冷却エリア12への移動、および冷却処理の一連の工程を行い、第1サンプルを回収した後に、新たな本粉末のサンプル(第2サンプル)を加熱エリア11に投入して、同様に加熱処理、冷却エリア12への移動、および冷却処理の一連の工程を行いってもよい。
さらに、例えばホッパーと冷却エリアを接続し、本粉末の回収と冷却を兼ねることで、連続的な生産あるいは、間欠的な生産の生産性を高めることも可能である。
<ステップS6、S6a、S6b>
以上の工程を経て、安定した結晶構造を有し、粒子表面に付着した硫黄等の不純物が脱離した硫化物固体電解質粉末が得られる。
(硫化物固体電解質粉末の粉砕)
上記工程で得られた硫化物固体電解質粉末に対して、さらに粉砕を行い、さらなる微粒化を行ってもよい。なお、さらなる粉砕を行う場合であっても、本製造方法で得られる硫化物固体電解質粉末は粒子同士の凝集が抑制されているため、粉砕工程の負荷が軽減される。
粉砕の方法としては、例えば湿式粉砕法が挙げられる。湿式粉砕法の場合、使用する溶媒の種類は特に制限されないが、硫化物固体電解質粉末は水分と反応して劣化しやすい性質を有することから、非水系有機溶媒を用いるのが好ましい。非水系有機溶媒の種類は特に限定されないが、炭化水素系溶媒、ヒドロキシ基を含有した有機溶媒、エーテル基を含有した有機溶媒、カルボニル基を含有した有機溶媒、エステル基を含有した有機溶媒、アミノ基を含有した有機溶媒、ホルミル基を含有した有機溶媒、カルボキシ基を含有した有機溶媒、アミド基を含有した有機溶媒、ベンゼン環を含有した有機溶媒、メルカプト基を含有した有機溶媒、チオエーテル基を含有した有機溶媒、チオエステル基を含有した有機溶媒、ジスルフィド基を含有した有機溶媒、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。炭化水素系溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエンが挙げられ、飽和水分濃度が低い観点から、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンが好ましい。また、水分濃度を調整する観点から、これら炭化水素系溶媒を、トルエンやジブチルエーテル等と混ぜた混合溶媒とすることも好ましい。硫化物固体電解質粉末の粉砕時に、硫化物固体電解質粉末が水と反応してリチウムイオン伝導率が低下することを防ぐ観点から、上記非水系有機溶媒の水分濃度は低い方が好ましい。上記非水系有機溶媒の水分濃度は、例えば、170質量ppm以下であってよく、150質量ppm以下であってよく、120質量ppm以下であってよく、100質量ppm以下であってよい。
湿式粉砕法は、例えば遊星ボールミル等のボールミル、ビーズミル等の粉砕機を用いて行えばよい。湿式粉砕においては上記溶媒の他、添加剤(分散剤)としてエーテル化合物、エステル化合物又はニトリル化合物を添加してもよい。
湿式粉砕を経て得られた硫化物固体電解質粉末中に溶媒や添加剤が残存している場合は、乾燥工程を行うとよい。乾燥条件としては、例えば温度100℃以上200℃以下としてもよい。乾燥時間については特に限定されるものではなく、例えば10分以上24時間以下としてもよい。また、乾燥工程は減圧下で実施しても良く、例えば絶対圧で50kPa以下であってよい。乾燥工程はホットプレート、乾燥炉、電気炉等を用いて実施できる。
(硫化物固体電解質粉末)
本製造方法で最終的に得られる硫化物固体電解質粉末としては、リチウム元素を含む硫化物固体電解質粉末が挙げられる。例えばLi10GeP12等のLGPS型結晶構造を有する硫化物固体電解質、LiPSCl、Li5.4PS4.4Cl1.6およびLi5.4PS4.4Cl0.8Br0.8等のアルジロダイト型結晶構造を有する硫化物固体電解質、Li-P-S-Ha系(Haはハロゲン元素から選ばれる少なくとも一つの元素を表す)の結晶化ガラス、Li11等のLPS結晶化ガラス、ならびにチオリシコン型の結晶構造を有する硫化物固体電解質等が挙げられる。
硫化物固体電解質粉末は、その目的に応じて、特定の結晶構造を有する硫化物固体電解質であってもよく、結晶相と非晶質相とを含む硫化物固体電解質であってもよい。結晶相は、リチウムイオン伝導率の観点からはアルジロダイト型結晶相であることがより好ましい。
リチウムイオン伝導率に優れる硫化物固体電解質粉末としては、Li-P-S-Haの元素を有する硫化物固体電解質が好ましく、結晶相を有することがより好ましい。また、かかるハロゲン元素は、ハロゲン元素が塩化リチウム、臭化リチウムおよびヨウ化リチウムからなる群から選ばれる1以上に由来することが好ましい。
硫化物固体電解質粉末のリチウムイオン伝導率は、リチウムイオン二次電池に用いた際に電池特性を良好にする観点からは、1.0×10-4S/cm以上が好ましく、5.0×10-4S/cm以上がより好ましく、1.0×10-3S/cm以上がさらに好ましく、5.0×10-3S/cm以上が特に好ましい。上記リチウムイオン伝導率は、交流インピーダンス測定装置(例えば、Bio-Logic Sciences Instruments社製、ポテンショスタット/ガルバノスタット VSP)を用い、測定条件を、測定周波数:100Hz~1MHz、測定電圧:100mV、測定温度:25℃として測定される。
硫化物固体電解質粉末は、X線回折(XRD)測定による結晶構造の解析や、ICP発光分析測定、原子吸光測定およびイオンクロマトグラフィ測定等種々の方法を用いた元素組成の分析により同定できる。例えば、PとSはICP発光分析測定により、Liは原子吸光測定により、Haはイオンクロマトグラフィ測定により測定できる。
また、ラマンスペクトル測定を行うことにより、硫化物固体電解質の組成の均質性を評価できる。具体的には、得られた硫化物固体電解質から得られるサンプルについて、任意の2点以上でラマンスペクトル測定を行う。なお、評価の精度を高める観点から、測定点の数は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。硫化物固体電解質の組成の均質性を評価する際の好ましいラマンスペクトル測定の条件として、例えばスポット径3μm、測定点の数を10とすることが挙げられる。スポット径を3μmとすることで、ラマンスペクトル測定における分析領域が、硫化物固体電解質の組成の均質性をミクロレベルで評価するのに適した大きさとなる。
各測定結果での、PS 3-等、硫化物固体電解質の構造に由来するピーク波数(ピーク位置)のばらつきが小さいほど、硫化物固体電解質の組成は均質であると考えられる。または、硫化物固体電解質の構造に由来するピークの半値全幅のばらつきが小さいほど、硫化物固体電解質の組成は均質であると考えられる。
硫化物固体電解質粉末の組成にもよるが、硫化物固体電解質の構造に由来するピークとして、P-S結合に由来するピークを確認することが好ましい。P-S結合に由来するピークの位置は組成系によって異なるが、典型的には、350cm-1~500cm-1の間に含まれる。以降、本明細書においてピーク位置のばらつきやピークの半値全幅のばらつきとは、P-S結合に由来するピークのうち、最も強度が強いピークについて確認されるものをいう。
ピーク位置のばらつきは次のように評価できる。すなわち、ラマンスペクトル測定により得られた測定点ごとのピーク位置の標準偏差を求め、(ピーク位置平均値)±(標準偏差)と記載した場合、標準偏差の値は、2cm-1以内が好ましく、より好ましくは1cm-1以内であり、さらに好ましくは0.5cm-1以内である。なお、ここでピーク位置とは、ピークトップの位置のことをいう。例えば、本製造方法により得られる硫化物固体電解質について、スポット径3μm、測定点の数を10としてラマンスペクトル測定をした際に、前記測定点ごとの、350cm-1~500cm-1におけるP-S結合由来のピークのピーク位置の標準偏差は、2cm-1以内が好ましく、より好ましくは1cm-1以内であり、さらに好ましくは0.5cm-1以内である。
ピークの半値全幅のばらつきは次のように評価できる。すなわち、ラマンスペクトル測定により得られた測定点ごとのピークの半値全幅の標準偏差は、それぞれのピークの半値全幅をもとめ、その値の標準偏差を求める方法で算出される。これを(ピーク半値全幅平均値)±(標準偏差)と記載した場合、標準偏差の値は、2cm-1以内が好ましく、より好ましくは1.5cm-1以内である。なお、ピークの半値全幅とは、ラマンスペクトルを描いた際に、前記P-S結合由来のピークのピーク強度半分の値と、そのP-S結合由来のピークとが交わる幅のことをここでは指す。例えば、本製造方法により得られる硫化物固体電解質について、スポット径3μm、測定点の数を10としてラマンスペクトル測定をした際に、前記測定点ごとの、350cm-1~500cm-1におけるP-S結合由来のピークの半値全幅の標準偏差は、2cm-1以内が好ましく、より好ましくは1.5cm-1以内である。
〔硫化物固体電解質の製造装置〕
本発明の実施形態の硫化物固体電解質粉末の製造装置(以下、本製造装置ともいう)は、硫化物固体電解質原料を混合して得られる硫化物固体電解質前駆体粉末、および硫化物固体電解質原料の混合物を溶融後に冷却固化して得られる粉末の少なくとも一方の粉末を加熱する加熱部と、前記加熱部で前記粉末が加熱処理されて得られる硫化物固体電解質粉末を冷却する冷却部と、前記冷却部に不活性ガスを流通する不活性ガス流通部と、を備え、前記加熱部と冷却部とが分離して設けられている、ことを特徴とする。
以下、図6を例に、本製造装置40を説明する。
<加熱部>
本製造装置40における加熱部41は、本製造方法における加熱エリアに対応し、上述した本粉末の加熱処理を行う機能を有する。本粉末の加熱処理については、本製造方法にて記載した内容をそのまま採用できる。
加熱部41には、加熱手段44として、例えば、カンタルヒーター、SiCヒーター、及びカーボンヒーター等の発熱材に電流を流して対象物を加熱するヒーター、ハロゲンヒーター等の輻射加熱を行うヒーター、高周波誘導加熱装置等を備えてもよい。
また、加熱部41には、後述する不活性ガス46を流通する不活性ガス流通部51aが設けられていてもよい。不活性ガス流通部51aにより、不活性ガス46を流通しつつ加熱処理を行うことができる。加熱部41への不活性ガス56の流通は、本製造方法にて記載した内容をそのまま採用できる。
また、図6では加熱部41は一のエリアで構成されているが、本製造装置は当該態様に限定されず、加熱部41は複数のエリアに分かれていてもよい。
<冷却部>
本製造装置40における冷却部42は、本製造方法における冷却エリアに対応し、上記加熱部41で本粉末が加熱処理されて得られる硫化物固体電解質粉末の冷却処理を行う機能を有する。硫化物固体電解質粉末の冷却処理については、本製造方法にて記載した内容をそのまま採用できる。
冷却部42には、冷却手段45として冷却器を備えてもよく、また徐冷手段としてヒーターを備えてもよい。ヒーターとしては、例えば、カンタルヒーター、SiCヒーター、及びカーボンヒーター等の発熱材に電流を流して対象物を加熱するヒーター、ハロゲンヒーター等の輻射加熱を行うヒーター、高周波誘導加熱装置等を備えてもよい。冷却器としては、例えば、水冷式プレート、水冷管等を備えてもよい。
また、図6では冷却部42は一つのエリアで構成されているが、本製造装置は当該態様に限定されず、冷却部42は複数のエリアに分かれていてもよい。
<不活性ガス流通部>
本製造装置40において、冷却部42に不活性ガス46を流通する不活性ガス流通部51bを備える。不活性ガス流通部51bにより、不活性ガス46を流通しつつ冷却処理を行うことができる。冷却部42への不活性ガス46の流通は、本製造方法にて記載した内容をそのまま採用できる。図6では、一例としての装置図としているが、不活性ガス流通部51bの位置は、図6に示す位置に限定されず、冷却部42のどこに配置してもよい。また、不活性ガスの排気部も冷却部42内に設置してもよい。
<加熱部と冷却部との分離>
本製造装置40において、加熱部41と冷却部42とが分離されている。加熱部41と冷却部42との分離については、本製造方法にて記載した内容をそのまま採用できる。すなわち、加熱部41と冷却部42とが仕切り52で分離されていたり、加熱部41と冷却部42とがそれぞれ独立した部屋であったり等、加熱部41で発生した硫黄ガスが冷却部42に流入しないように、加熱部41と冷却部42とが物理的に分離されていてもよい。また、例えば、気流をコントロールしてエアカーテンを設けることにより、加熱部41で発生した硫黄ガスが冷却部42に流入しないように、分離されていてもよい。仕切りは可能な限り隙間を小さくして、隣のエリアから雰囲気が流れ込まないようにすることが好ましい。また、仕切りやエアカーテン等、種々の手段を組み合わせてもよい。
また、本製造装置40において、加熱部41の熱が冷却部42へ移動しないように、断熱材等の仕切り52を設け、加熱部41と冷却部42とが区分けされていてもよい。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、及び改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、及び配置箇所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
[1]原材料を混合して原料混合物を得ること、
前記原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を合成すること、
前記粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得ること、
前記硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させること、及び
前記冷却エリアで、前記硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理すること、を含み、
前記加熱エリアと前記冷却エリアとが分離されている、
硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[2]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は5℃/分以上である、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[3]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の50倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[4]前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の200倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、前記[1]または[2]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[5]前記加熱処理において、前記加熱エリアで、不活性ガスを流通しつつ前記粉末を加熱する、前記[1]~[4]のいずれかに記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[6]前記加熱処理、前記冷却エリアへの移動、及び前記冷却処理を連続的に行う、前記[1]~[5]のいずれかに記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
[7]原材料を混合して得られる原料混合物から合成される硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を加熱する加熱部と、
前記加熱部で前記粉末が加熱処理されて得られる硫化物固体電解質粉末を冷却する冷却部と、
前記冷却部に不活性ガスを流通する不活性ガス流通部と、を備え、
前記加熱部と冷却部とが分離して設けられている、硫化物固体電解質粉末の製造装置。
[8]前記加熱部は、不活性ガスを流通する不活性ガス流通部が設けられている、前記[7]に記載の硫化物固体電解質粉末の製造装置。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。例1~4が実施例であり、例5が比較例である。
<硫化物固体電解質の作製>
(例1)
図4に示す製造装置10の仕様に準じ、以下の手順で硫化物固体電解質粉末を製造した。
まず、原材料として、LiS(Sigma社製、純度99.98%)、P(Sigma社製、純度99%)、LiCl(Sigma社製、純度99.99%)、LiBr(Sigma社製、純度99.995%)の各粉末をそれぞれ、1.9:0.5:0.8:0.8(mol比)になるように調合し、原料混合物を得た。
得られた原料混合物を耐熱性容器に入れて、硫黄元素を含むガスの雰囲気下、750℃で60分加熱し、合成化合物として、原料混合物が加熱溶融された溶融物を得た。上記硫黄元素を含むガスは、硫黄ガス(Sx(x=2~8))と、キャリアガスとしてNガスと、を用い、硫黄ガスの含有量は10体積%とした。次いで、室温まで5℃/秒で冷却しこれを、乳鉢を用いて粉砕し、平均粒子径が10~20μmとなるように調整した後、100μmメッシュパスし、本粉末(硫化物粉末)として、Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8(本粉末)を得た。
得られた本粉末50gを、容量0.2Lのアルミナ製の容器13に入れ、製造装置1の加熱エリア11に投入した。その後、加熱エリア11において、不活性ガス流通部21aより、不活性ガス16であるNガスを5L/分で流通させながら、加熱手段14である鉄クロムアルミニウム合金カンタルヒーターにより、本粉末を430℃で15分間加熱した。この際に流通させたNガスの総量(体積)は、75Lであった。
つづいて、上記で本粉末が加熱処理されて得られた硫化物固体電解質粉末を、移動手段18として、容器13を棒状のジグで押し、冷却エリア12に移動させた。
冷却エリア12では、あらかじめ350℃に保ちNガスを5L/分流通させた。容器13を冷却エリア12に移動させたのち、5分間温度保持したのち、Nガスを5L/分で流通させながら10℃/分のプログラムで温度を降下させ冷却させた。冷却の際、冷却エリア12の温度が350℃から100℃まで降下するまでは、サンプル近傍実測で平均冷却速度が10℃/分となることを確認した。すなわち、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は10℃/分であった。また、冷却時のNガスの総量(体積)は150Lとし、硫化物固体電解質粉末の体積の6000倍量とした。
以上により、例1の硫化物固体電解質粉末を得た。
(例2)
加熱工程および冷却工程における条件を表1に示すとおり変更したことを除いては、例1と同様にして硫化物固体電解質粉末を得た。具体的には、冷却エリア12では、あらかじめ室温(25℃)でNガスを5L/分流通させたところに、容器13を冷却エリア12に移動させ、冷却を行った。冷却の際、冷却エリア12の温度が350℃から100℃まで降下するまでは、サンプル近傍実測で平均冷却速度が30℃/分となることを確認した。すなわち、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は30℃/分であった。また、冷却時のNガスの総量(体積)は50Lとし、硫化物固体電解質粉末の体積の2000倍量とした。以上より、例2の硫化物固体電解質粉末を得た。
(例3)
加熱工程および冷却工程における条件を表1に示すとおり変更したことを除いては、例1と同様にして硫化物固体電解質粉末を得た。具体的には、冷却エリア12では、あらかじめ350℃に保ちNガスを0.5L/分流通させた。容器13を冷却エリア12に移動させたのち、5分間温度保持したのち、0.5L/分流通させながら5℃/分のプログラムで温度を降下させ冷却させた。冷却の際、冷却エリア12の温度が350℃から100℃まで降下するまでは、サンプル近傍実測で平均冷却速度が5℃/分となることを確認した。すなわち、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は5℃/分であった。また、冷却時のNガスの総量(体積)は28Lとし、硫化物固体電解質粉末の体積の1100倍量とした。以上より、例3の硫化物固体電解質粉末を得た。
(例4)
図4に示す製造装置1の仕様に準じ、以下の手順で硫化物固体電解質を製造した。
まず、原材料として、LiS(Sigma社製、純度99.98%)、P(Sigma社製、純度99%)、LiCl(Sigma社製、純度99.99%)LiBr(Sigma社製、純度99.995%)の各粉末をそれぞれ、1.9:0.5:0.8:0.8(mol比)になるように調合し、原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、遊星ボールミル(伊藤製作所社製、LP-M2)を用いてさらに混合することで、硫化物前駆体を得た。遊星ボールミルによる混合は、粒径10mmのボールを用いて、400rpmで20時間行った。得られた硫化物前駆体は、乳鉢を用いて粉砕し、平均粒子径が10~20μmとなるように調整した後、100μmメッシュパスし、本粉末(硫化物前駆体粉末)を得た。
その後、加熱工程および冷却工程における条件を表1に示すとおり変更したことを除いては、例1と同様にして、硫化物固体電解質粉末を得た。具体的には、冷却エリア12では、あらかじめ室温(25℃)でNガスを0.5L/分流通させたところに、容器13を冷却エリア12に移動させ、冷却を行った。冷却の際、冷却エリア12の温度が350℃から100℃まで降下するまでは、サンプル近傍実測で平均冷却速度が30℃/分となることを確認した。すなわち、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は30℃/分であった。また、冷却時のNガスの総量(体積)は5Lとし、硫化物固体電解質粉末の体積の200倍量とした。以上より、例4の硫化物固体電解質粉末を得た。
(例5)
加熱エリアと冷却エリアとが分離していない製造装置、すなわち加熱と冷却を同じ場所で行い、かつ、加熱工程および冷却工程における条件を表1に示すとおり変更したことを除いては、例1と同様にして、例5の硫化物固体電解質を得た。
<粉体通過試験>
例1~例5で得られた硫化物固体電解質粉末のうち45gを、自動振動篩機(Retsch社製、電磁式ふるい振とう機AS200 ベーシック)を用いて、100μmメッシュパスを行った。メッシュパスした時間は10分で、及びメッシュ上に残った粉体の割合(wt%)の結果を表1に示す。
Figure 0007420296000002
例1~例4の硫化物固体電解質粉末は、本発明の製造方法を用いて作製したため、粉体通過試験においてメッシュ上の残りが少なく、粒子同士の凝集が抑制されていることがわかった。
一方、例5の硫化物固体電解質粉末は、加熱エリアと冷却エリアを分離せずに製造したため、粉体通過試験においてメッシュ上の残りが多く、粒子同士の凝集が十分に抑制されていなかった。
10,40 硫化物固体電解質の製造装置
11 加熱エリア
12 冷却エリア
41 加熱部
42 冷却部
13,43 容器
14,44 加熱手段
15,45 冷却手段
16,46 不活性ガス
17,47 硫黄ガス等を含む不活性ガス
18,48 移動手段
19,49 投入口
20,50 取出口
21a,51a 不活性ガス流通部
21b,51b 不活性ガス流通部
22,52 仕切り

Claims (8)

  1. 原材料を混合して原料混合物を得ること、
    前記原料混合物から硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を合成すること、
    前記粉末を加熱エリアで加熱処理して、硫化物固体電解質粉末を得ること、
    前記硫化物固体電解質粉末を冷却エリアへ移動させること、及び
    前記冷却エリアで、前記硫化物固体電解質粉末を、不活性ガスを流通しつつ冷却処理すること、を含み、
    前記加熱エリアと前記冷却エリアとが分離されている、
    硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  2. 前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が350℃から100℃まで降下するまでの平均冷却速度は5℃/分以上である、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  3. 前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の50倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、請求項1または2に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  4. 前記冷却処理において、硫化物固体電解質粉末の温度が100℃に降下するまで、前記硫化物固体電解質粉末の体積の200倍以上の前記不活性ガスを前記冷却エリアへ流通する、請求項1または2に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  5. 前記加熱処理において、前記加熱エリアで、不活性ガスを流通しつつ前記粉末を加熱する、請求項1または2に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  6. 前記加熱処理、前記冷却エリアへの移動、及び前記冷却処理を連続的に行う、請求項1または2に記載の硫化物固体電解質粉末の製造方法。
  7. 原材料を混合して得られる原料混合物から合成される硫化物粉末及び硫化物前駆体粉末の少なくとも一方の粉末を加熱する加熱部と、
    前記加熱部で前記粉末が加熱処理されて得られる硫化物固体電解質粉末を冷却する冷却部と、
    前記冷却部に不活性ガスを流通する不活性ガス流通部と、を備え、
    前記加熱部と冷却部とが分離して設けられている、硫化物固体電解質粉末の製造装置。
  8. 前記加熱部は、不活性ガスを流通する不活性ガス流通部が設けられている、請求項7に記載の硫化物固体電解質粉末の製造装置。
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