JP7419924B2 - 車両用サスペンション装置 - Google Patents
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Description
しかし、弾性ブッシュを堅めに設定することで、アッパアーム及びロアアームによる前後方向の相互同方向の変位が抑制され、この結果、サスペンションの前後コンプライアンスが抑制される。
特許文献1に記載の車両用サスペンション装置は、車輪を支持するナックルと、車体に上下に回動可能に連結されると共にナックルの上部を枢支するアッパアームと、アッパアームの下側に配置され、車体に上下に回動可能に連結されると共にナックルの下部を枢支するロアアームと、アッパアームとロアアームとの間に跨って設けられた連結ロッドとを備えている。そして、連結ロッドを、車両前後方向に傾斜した状態で配置されると共に、アッパアームとロアアームとの各々に回動可能に連結している。
なお、前側アーム部と後側アーム部とで二股状に形成されたアームはA型、V型あるいはL型のアームである。
この発明により、他方側のストッパを前記一方のロッドに装着することで前記ブッシュの他方側を規制することができる。このように他方側のストッパを前記一方の前記ロッドに装着することで前記ブッシュの軸方向両側を規制でき、段差乗り越え時の衝撃をブッシュで確実に吸収することができる。
前記ワッシャは、前記ブッシュの前記軸方向の端部と前記ストッパとの間に配置されるが、ブッシュの一方の端部とストッパとの間、あるいはブッシュの両端部とストッパとの間に配置されてもよい。また、ブッシュの両端部とストッパとの間にワッシャを配置する場合、ブッシュの一方の端部とストッパとの間と、ブッシュの他方の端部とストッパとの間に配置するワッシャの枚数は同数であってもよいし、異なる枚数であってもよい。
詳述すると、前記ブッシュの前記軸方向の端部と、前記ストッパとの間にワッシャを配置することで、軸方向の両側をストッパで規制されるブッシュの規制状態を変化させることができる。このように、ブッシュの規制状態を変化させることで、ブッシュの衝撃吸収性、つまり軸方向特性を変化させることができる。つまり、ブッシュの端部とストッパとの間に配置するワッシャの有無や配置数を調整することで、ブッシュの軸方向特性を調整することができる。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1~図7を参照して、この実施形態に係る車両用サスペンション装置1について説明する。この車両用サスペンション装置1は、自動車などの車両のサスペンションに適用可能なダブルウィッシュボーン型のサスペンション装置である。以下では、この車両用サスペンション装置1をフロントサスペンションに適用した場合を例に挙げて詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、車両用サスペンション装置1は、車体前部3の左右両側(即ち車幅方向外側)の側面3aに取り付けられている。なお、図1では、車体前部3の左側のみ図示されている。車体前部3は、左右一対のフロントサイドフレーム31と、左右一対のサイドメンバ32と、フロントサイドフレーム31とサイドメンバ32とを互いに連結する連結メンバ33とを備えている。
図1~図3に示すように、車両用サスペンション装置1は、前輪を回転可能に支持するナックル11と、ナックル11の上部を支持するアッパアーム12と、ナックル11の下部を支持するロアアーム13と、地面からの衝撃を吸収するダンパー14と、左右の車両用サスペンション装置1の上下回動のバラツキを抑制するスタビライザ15と、ブレーキ時のアッパアーム12及びロアアーム13の前後方向の相互逆方向変位を抑制する連結ロッド16とを備えている。
図3及び図4に示すように、アッパアーム12は、例えば平面視略A字形に形成されている。アッパアーム12は、ナックル11の上部に連結されるナックル連結部121と、車体前部3の側面3aの上部に連結される前後一対の車体連結部(前側車体連結部122a及び後側車体連結部122b)と、ナックル連結部121と前側車体連結部122aとを連結する前側アーム部123と、ナックル連結部121と後側車体連結部122bとを連結する後側アーム部124と、前側アーム部123と後側アーム部124との間に跨って設けられた連結アーム部125と、連結ロッド16の前端部が連結される連結ロッド連結部126とを備えている。
各車体連結部122a,122bは、車体前部3の左右両側の側面3aの上部(例えばフロントサイドフレーム31の車幅方向外側の側面)において、互いに前後方向に間隔を空けると共に上下方向に回動可能に連結されている(図1及び図2参照)。より詳細には、各車体連結部122a,122bはそれぞれ、円筒状に形成されており、それらの筒軸線は、車両前後方向に延び且つ互いに同軸状に配置されている。各車体連結部122a,122bの各々の筒内には、円筒状の弾性ブッシュDBが同心状に嵌合されている(図1参照)。
図3及び図4に示すように、ロアアーム13は、例えば平面視略A字形に形成されている。ロアアーム13は、ナックル11の下部に連結されるナックル連結部131と、車体前部3の側面3aの下部に連結される前後一対の車体連結部(前側車体連結部132a及び後側車体連結部132b)と、ナックル連結部131と前側車体連結部132aとを連結する前側アーム部133と、ナックル連結部131と後側車体連結部132bとを連結する後側アーム部134と、前側アーム部133と後側アーム部134との間に跨って設けられた連結アーム部135及び傾斜連結部136と、ダンパー14の下端部が連結されるダンパー連結部137と、スタビライザ15の端部が連結されるスタビ連結部138と、連結ロッド16の下端部が連結される連結ロッド連結部139とを備えている。
各車体連結部132a,132bは、車体前部3の左右両側の側面3aの下部に、互いに前後方向に間隔を空けると共に上下方向に回動可能に連結されている(図1及び図2参照)。より詳細には、各車体連結部132a,132bはそれぞれ、円筒状に形成されており、それらの筒軸線は、車両前後方向に延び且つ互いに同軸状に配置されている。各車体連結部132a,132bの各々の筒内には、円筒状の弾性ブッシュDBが同心状に嵌合されている(図1参照)。
連結ロッド連結部139は、ロアアーム13の後辺部の後側(即ち後側アーム部134の後側)に設けられている。即ち、連結ロッド連結部139は、ロアアーム13において、スタビ連結部138の反対側に設けられている。また、連結ロッド連結部139は、後側アーム部134の長手方向内側の端部付近に設けられている。即ち、連結ロッド連結部139は、後側アーム部134と連結アーム部135との連結部の後側に設けられている。
図1~図3に示すように、ナックル11は、ナックル本体111と、前輪を回転可能に支持するハブ112と、図示省略の操舵機構からの操舵ロッド50が連結される操舵ロッド連結部113とを備えている。操舵ロッド50は、ナックル11を車両左右方向に回動させるためのロッドである。
図1に示すように、ダンパー14は、その長手方向に伸縮可能なダンパー本体141と、ダンパー本体141の上半部の外周に装着され、ダンパー本体141を伸長方向に付勢するスプリング142を備えている。
図1に示すように、スタビライザ15は、スタビライザ本体151と、スタビライザ本体151の両端を左右両側のロアアーム13のスタビ連結部138に連結する一対の棒状のリンク部152とを備えている。図1では、左右両側のリンク部152のうちの左側のリンク部のみ図示されている。
図4~図7に示すように、連結ロッド16は、アッパロッド17、弾性ブッシュ18、及びロアロッド19で構成し、直線状の棒状に形成されている。
螺合調整部171bは、本体部171の下端内部に形成され、軸調整部172aが挿入される凹状であり、内面に螺合するネジ溝が形成されている。
軸調整部172aは、上述の本体部171の螺合調整部171bに挿入される円柱状であり、螺合調整部171bの内面に形成されたネジ溝と螺合するネジ山が形成されている。
弾性ブッシュ18は、後述する外筒部192bよりひとまわり小径且つ所定の肉厚を有する円筒状であり、軸方向の両端部を残して外周面を径内側に凹ませた嵌合凹部18aを形成している。
ワッシャ182は、内筒181の外径以下、つまり弾性ブッシュ18の内径より小径な外径を有するとともに、先端ストッパ174の軸部174bの外径より大径な内径を有する所定厚みのリング状である。なお、本実施形態では、1.0mmの厚みのワッシャ182を用いている。
螺合調整部191bは、本体部191の上端内部に形成され、軸調整部192aが挿入される凹状であり、内面に螺合するネジ溝が形成されている。
軸調整部192aは、上述の本体部191の螺合調整部191bに挿入される円柱状であり、螺合調整部191bの内面に形成されたネジ溝と螺合するネジ山が形成されている。
固定ナット193は、螺合調整部191bに螺合して、適宜の長さに調整された軸調整部192aのネジ山に螺合して、本体部191と外筒軸部192との相対位置を固定するダブルナットとして機能するナットである。
まず、上述のように構成された弾性ブッシュ18は、内周部に内筒181を圧入し、内筒181の軸方向端部にワッシャ182を配置している。弾性ブッシュ18と内筒181とは略同じ長さで形成しているため、ワッシャ182を配置することで、配置したワッシャ182の厚み分の空間が、弾性ブッシュ18の端部の側に形成される。
以下、この実施形態に係る車両用サスペンション装置1は、前側アーム部123,133と後側アーム部124,134とで二股状に形成されたアッパアーム12及びロアアーム13が備えられたダブルウィッシュボーン式であって、アッパアーム12の前側アーム部123と、ロアアーム13の後側アーム部134とを跨いで連結する連結ロッド16が設けられ、連結ロッド16は、アッパアーム12に対して回動可能に連結されるアッパロッド17と、ロアアーム13に対して回動可能に連結されるロアロッド19と、アッパロッド17とロアロッド19とを軸方向に伸縮可能に連結する弾性ブッシュ18とが備えられた車両用サスペンション装置1である。
この発明により、段差乗り越え時の衝撃を軸方向に伸縮して吸収する弾性ブッシュ18の上端を規制するフランジ部172cをアッパロッド17と一体構成されることで別体構成する場合に比べて部品点数や組み付け工数を低減することができる。
この発明により、規制円盤部174aをアッパロッド17に装着することで弾性ブッシュ18の下端を規制することができる。このように規制円盤部174aをアッパロッド17に装着することで弾性ブッシュ18の軸方向両側を規制でき、段差乗り越え時の衝撃を弾性ブッシュ18で確実に吸収することができる。
この発明により、乗り越え時の衝撃を吸収する弾性ブッシュ18の軸方向特性を調整することができる。
この発明により、アッパロッド17のフランジ部172c及び規制円盤部174aによって軸方向が規制された弾性ブッシュ18に対して伸縮自在にロアロッド19を連結することができる。したがって、アッパロッド17のフランジ部172c及び規制円盤部174aによって軸方向が規制されるとともに、伸縮自在にロアロッド19が連結された弾性ブッシュ18の伸縮によって、乗り越え時に生じるロッド同士の軸方向の相対移動を吸収することができる。よって、段差乗り越え時のショックを緩和することができる。
本効果確認試験では、弾性ブッシュ18の内側に圧入した内筒181の両側に1枚ずつワッシャ182を配置した場合(供試体A)に対して、ワッシャ182を配置しなかった場合(供試体B)と、2枚ずつワッシャ182を配置した場合(供試体C)とについて、連結ロッド16における弾性ブッシュ18の軸方向特性を確認した。
このような連結ロッド16において、フランジ部172cと規制円盤部174aとによって軸方向の両側に規制された弾性ブッシュ18は、内筒181と同じ長さに形成され、フランジ部172cや規制円盤部174aと内筒181との間にワッシャ182が配置されることで、ワッシャ182の厚み分のクリアランスが設けられる。
上記の実施形態では、連結ロッド16は、前高後低に傾斜した状態で、アッパアーム12とロアアーム13との間に跨設されたが、図9に示すように、前低後高に傾斜した状態で、アッパアーム12とロアアーム13との間に跨設されてもよい。この場合は、アッパアーム12側の連結ロッド連結部126は、アッパアーム12の後辺部(即ち後側アーム部124)の後側に設けられる。また、ロアアーム13側の連結ロッド連結部139は、ロアアーム13の前辺部(即ち前側アーム部133)の前側に設けられる。この場合、ブレーキ時に、連結ロッド16に圧縮荷重が作用することで、各アーム12,13の車両前後方向の相互逆方向変位が抑制される。
上記の実施形態では、アッパアーム12は平面視略A字形に形成されたが、図10に示すように、アッパアーム12は平面視略V字形に形成されてもよい。この場合のアッパアーム12は、上記の実施形態のアッパアーム12から連結アーム部125を省略したものに相当する。
上記の実施形態では、ロアアーム13は平面視略A字形に形成されたが、図11に示すように、ロアアーム13Lは平面視略L字形に形成されてもよい。この場合のロアアーム13Lは、ナックル11の下部に連結されるナックル連結部131と、車体前部3の側面3aの下部に連結される前後一対の車体連結部(前側車体連結部132a及び後側車体連結部132b)と、ナックル連結部131と前側車体連結部132aとを連結する横アーム部133Lと、横アーム部133Lと後側車体連結部132bとを連結する縦アーム部134Lと、二股に分かれるダンパー14の下端部に挟まれるように連結されるダンパー連結部137と、スタビライザ15の端部が連結されるスタビ連結部138と、連結ロッド16の下端部が連結される連結ロッド連結部139とを備えている。なお、ナックル連結部131、前側車体連結部132a及び後側車体連結部132bは、上記の実施形態と同様に構成されている。
連結ロッド連結部139は、縦アーム部134Lにおける長手方向の中央付近に設けられている。連結ロッド連結部139は、車両後方側に傾斜した台座部として形成されている。連結ロッド連結部139の上端面は、車両後方斜め下方に傾斜しており、上記の上端面に略垂直に連結ロッド16の下端部が連結されるボールジョイント(図示省略)が設けられている。
以下同様に、
後側アーム部は後側アーム部134に対応し、
アッパアームはアッパアーム12に対応し、
ロアアームはロアアーム13に対応し、
車両用サスペンション装置は車両用サスペンション装置1に対応し、
ロッド部材は連結ロッド16に対応し、
アッパロッドはアッパロッド17に対応し、
ロアロッドはロアロッド19に対応し、
ブッシュは弾性ブッシュ18に対応し、
ストッパはフランジ部172cに対応し、
他方側のストッパは規制円盤部174aに対応し、
ワッシャはワッシャ182に対応し、
外筒は外筒部192bに対応し、
他方のロッドはアッパロッド17に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
12…アッパアーム
13…ロアアーム
16…連結ロッド
17…アッパロッド
18…弾性ブッシュ
19…ロアロッド
123…前側アーム部
134…後側アーム部
172c…フランジ部
174a…規制円盤部
182…ワッシャ
192b…外筒部
Claims (3)
- 前側アーム部と後側アーム部とで二股状に形成されたアッパアーム及びロアアームが備えられたダブルウィッシュボーン式の車両用サスペンション装置であって、
前記アッパアーム及び前記ロアアームの一方のアームの前記前側アーム部と、他方のアームの前記後側アーム部とを跨いで連結するロッド部材が設けられ、
前記ロッド部材は、
前記アッパアームに対して回動可能に連結されるアッパロッドと、
前記ロアアームに対して回動可能に連結されるロアロッドと、
前記アッパロッドと前記ロアロッドとを軸方向に伸縮可能に連結するブッシュとが備えられ、
前記アッパロッド及び前記ロアロッドのうち一方のロッドに、前記ブッシュの前記軸方向の一方側を規制するストッパが一体形成され、
前記ブッシュに対して前記軸方向に規制された状態で外筒を嵌合し、
他方の前記ロッドが前記外筒に装着された
車両用サスペンション装置。 - 前記一方のロッドに対して、前記ブッシュの前記軸方向の他方側を規制する他方側のストッパが装着可能に構成された
請求項1に記載の車両用サスペンション装置。 - 前記ブッシュの前記軸方向の端部と、前記ストッパとの間にワッシャが配置された
請求項1又は請求項2に記載の車両用サスペンション装置。
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