JP7415375B2 - 車両の側部構造 - Google Patents

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Description

この発明は、ボディ側にセンタピラーが存在しないような車両の側部構造に関する。
従来、観音開き構造のドアを備えた観音ドア車両のように、ボディ側にセンタピラーが存在しない車体の車両では、リヤドア前端にドア側のセンタピラーを内蔵させている。このセンタピラーによりセンタピラー部への側突対応が行なわれている。
また、ドアの車室内側への侵入を抑えるため、ドアの下部には、車体側に立設された係合ピンを係合させるための係合ピン受け部材が配設されている。
車両側突時には、係合ピン受け部材側から車体側の係合ピンに対して大きい側突荷重が作用するが、係合ピンの一部に集中して大荷重が作用することは回避したい、という要請がある。
特許文献1には、観音開き構造のドアを備えた車両において、ドア下端部から下方に向けて突出する係合ピンを設ける一方、車体側のサイドシル上面には、ドア閉時に上記係合ピンと係合するピン受け部を備えた構造が開示されている。
しかしながら、該特許文献1に開示された従来構造においては、側突時に係合ピンの一部に対して大荷重が集中して作用するので、この点において改善の余地があった。
特開2003-11778号公報
そこで、この発明は、車両側突時に、係合ピンの一部に集中して大荷重が作用するのを防止することができる車両の側部構造の提供を目的とする。
この発明による車両の側部構造は、ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、フロントドアと、前部にドア側のセンタピラーが内蔵されたリヤドアと、上記センタピラー内側に位置するサイドシル部から上方に向けて立設される係合ピンと、上記リヤドアの下壁部に設けられて側突時に上記係合ピンを進入させるための係止孔部と、上記下壁部から上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材と、上記下壁部と上記係合ピン受け部材との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材と、を備え、上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させ、上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させ、上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられており、上記取付けプレートには、係合ピン受け部材による係合ピン受け部と対応する位置から下方に向けて延び、その先端が上記補強部材と上記下壁部との上下方向中間の位置まで延びる上記ラッチユニットの車幅方向の位置決め部が備えられたものである。
上記構成によれば、側突時には車体側の係合ピンに対して、リヤドアの下壁部と、補強部材と、係合ピン受け部材とが上下方向に間隔を隔てて当接される。このため、係合ピンの上下方向の幅広い範囲で側突荷重を受けることができ、当該係合ピンの一部に集中して大荷重が作用するのを防止することができる。
また上述したように、上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させたため、係合ピンの長さ方向全体で側突荷重を受けることができる。
また上述したように、上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させたため、側突時には補強部材および下壁部よりも先に係合ピン受け部材が係合ピンに当接し、係合ピンが係合ピン受け部材に対して係止孔部(係合ピン挿入孔部の孔縁参照)の深い位置で係合されるので、側突時の係合ピンの係止を安定化させることができる。
仮に、係合ピンに対して補強部材や下壁部が先に当ると、係合ピンは係合ピン受け部材の係止孔部に対して、深い位置まで進入することがなく、係合ピンの係止が不安定となる。
また上述したように、上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられており、上記取付けプレートには、係合ピン受け部材による係合ピン受け部と対応する位置から下方に向けて延び、その先端が上記補強部材と上記下壁部との上下方向中間の位置まで延びる上記ラッチユニットの車幅方向の位置決め部が備えられたものである。
上記構成によれば、係合ピン受け部材とラッチユニットとを共通して取付ける取付けプレートに対し、ラッチユニットの車幅方向の位置決め部を備えている。このため、特別な位置決め部材や開口部が不要となり、上記位置決め部の下壁部から下方への突出も抑制することができる。
この発明の一実施態様においては、上記位置決め部を上記係合ピン受け部材の係合ピン受け部に対して車幅方向外側に位置させたものである。
上記構成によれば、位置決め部は、係合ピン受け部材の係合ピン受け部よりも車幅方向の外側に位置するので、側突時における係合ピンの係止を安定して行なうことができる。
この発明の一実施態様においては、上記補強部材には、上記ラッチユニットを隔てて係合ピン受け部材と反対側の端部に上方に向けて延びてラッチユニットの車両前後方向に対する第2の位置決め部が形成されたものである。
上記構成によれば、補強部材から上方に向けて延びる第2の位置決め部にて、取付けプレート、ラッチユニットを位置決めすることで、取付けプレートを、その取付け位置に対して適切な位置に位置決めすることができる。
この発明の一実施態様においては、上記補強部材には、上記係合ピン受け部材を隔ててラッチユニットと反対側の部位に上方に膨出して上記取付けプレートの車両前後方向に対する位置決め用のビード部が形成されたものである。
上記構成によれば、係合ピン受け部材とラッチユニットとが取付けられた上記取付けプレートの前後方向後側を、上述のビード部にて位置決めすることができると共に、当該ビード部により補強部材の剛性向上をも図ることができる。
この発明による車両の側部構造は、ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、フロントドアと、前部にドア側のセンタピラーが内蔵されたリヤドアと、上記センタピラー内側に位置するサイドシル部から上方に向けて立設される係合ピンと、上記リヤドアの下壁部に設けられて側突時に上記係合ピンを進入させるための係止孔部と、上記下壁部から上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材と、上記リヤドア内部に接続され、上記下壁部と上記係合ピン受け部材との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材と、を備え、上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させ、上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させ、上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられたものである。
この発明によれば、車両側突時に、係合ピンの一部に集中して大荷重が作用するのを防止することができる効果がある。
本発明の車両の側部構造を示す側面図 図1の要部拡大側面図 図2のA-A線矢視断面図 図2の要部拡大側面図 図4のB-B線に沿う要部の矢印断面図 図5の要部拡大図 車両の側部構造を車幅方向外方かつ後上から見た状態で示す斜視図 リヤドア下壁部側の構成と、サイドシル部側ブラケットとの関連構造を示す斜視図 サイドシル部側のブラケットと、係合ピンおよびストライカと、の関連構造を示す斜視図
車両側突時に、係合ピンの一部に集中して大荷重が作用するのを防止するという目的を、ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、フロントドアと、前部にドア側のセンタピラーが内蔵されたリヤドアと、上記センタピラー内側に位置するサイドシル部から上方に向けて立設される係合ピンと、上記リヤドアの下壁部に設けられて側突時に上記係合ピンを進入させるための係止孔部と、上記下壁部から上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材と、上記下壁部と上記係合ピン受け部材との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材と、を備え、上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させ、上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させ、上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられており、上記取付けプレートには、係合ピン受け部材による係合ピン受け部と対応する位置から下方に向けて延び、その先端が上記補強部材と上記下壁部との上下方向中間の位置まで延びる上記ラッチユニットの車幅方向の位置決め部が備えられたという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の側部構造を示し、図1はドアアウタパネルを取外して当該車両の側部構造を車幅方向外側から見た状態で示す側面図、図2は図1の要部拡大側面図、図3は図2のA-A線矢視断面図である。
図1に示すように、ボディ側の側部には、前側のヒンジピラー部1と、後側のヒンジピラー部2と、サイドシル部3と、フロントピラー部4と、ルーフサイドレール部5とで環状構造体6が形成されると共に、ボディ側にはセンタピラーが存在しないセンタピラーレス車体に構成されている。
また、上述の各部、すなわち、ヒンジピラー部1,2、サイドシル部3、フロントピラー部4、ルーフサイドレール部5で囲繞されたドア開口部7(図2参照)が形成されている。
上述の前側のヒンジピラー部1は、ヒンジピラーアウタとヒンジピラーインナとを接合して、車両上下方向に延びるヒンジピラー閉断面をもった車体剛性部材である。
上述のサイドシル部3は、前後の各ヒンジピラー部1,2の下部を連結する車体剛性部材であり、該サイドシル部3は、サイドシルアウタ3Aとサイドシルインナ3Bとサイドシルレイン3Cとを接合して、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面3Dを備えている(図5参照)。
上述のフロントピラー部4は、前側のヒンジピラー部1の上端とルーフサイドレール部5の前端とを連結して、その前部から後部にかけて後方かつ上方に斜め方向に延びる車体剛性部材である。また、該フロントピラー部4は、フロントピラーアウタとフロントピラーインナとを接合して、斜め方向に延びるフロントピラー閉断面を備えている。
上述のルーフサイドレール部5は、フロントピラー部4の後端と、図示しないリヤピラー部前端とを車両前後方向に連結する車体剛性部材である。また、該ルーフサイドレール部5は、ルーフサイドレールアウタとルーフサイドレールインナとを接合して、車両前後方向に延びるルーフサイドレール閉断面を備えている。
図2で示したドア開口部7には、図1、図2に示すように、観音開き構造のフロントドア10と、リヤドア30とが設けられている。
フロントドア10は、ヒンジピラー部1に設けた上下一対のヒンジブラケット8,8を介して、ドア前端部を支点として当該フロントドア10後側が開閉するように構成されている。リヤドア30は、後側のヒンジピラー部2に設けたヒンジブラケット(図示せず)を介して、ドア後端部を支点として当該リヤドア30前側が開閉するように構成されている。
この観音開き構造のフロントドア10と、リヤドア30とは、図3に示すように、リヤドア30に対してフロントドア10が優先して開放されるように構成している。
図1、図3に示すように、フロントドア10は、鋼板製のドアアウタパネル11と、該ドアアウタパネル11にヘミング加工等により連結された鋼板製のドアインナパネル12とを備えており、これら両者11,12によりドアパネルが形成されている。
上述のドアアウタパネル11は車室外側に配置されてフロントドア10の意匠面を形成している。一方、ドアインナパネル12はドアアウタパネル11よりも車室内側に配置されており、これら両者11,12間にはドア内部空間13が形成されている。
図1に示すように、上述のフロントドア10は、前辺部10Aと、下辺部10Bと、後辺部10Cと、ドアサッシュ部10Sと、ベルトライン部BLとを備えている。前辺部10Aにおいて上述のドアインナパネル12が上下一対のヒンジブラケット8,8を介して車体側のヒンジピラー部1に開閉可能を支持されている。
フロントドア10の前辺部10Aにおいて、上下一対のヒンジブラケット8,8のうちの上側のヒンジブラケット8と対応するドアインナパネル12には、上部ヒンジレインフォースメント14を設けている。
同様に、フロントドア10の前辺部10Aにおいて、上下一対のヒンジブラケット8,8のうちの下側のヒンジブラケット8と対応するドアインナパネル12には、下部ヒンジレインフォースメント15を設けている。
図1に示すように、フロントドア10の後辺部10C上側におけるドアインナパネル12からドアサッシュ部10Sの後片部にかけて上下方向に延びるレインフォースメント16を設けている。後辺部10Cの上下方向中間部におけるドアインナパネル12には、ラッチレインフォースメント17を設けている。後辺部10Cの下部から下辺部10Bの後部にかけてドアインナパネル12には、接続補強部材18を設けている。
また、図1に示すように、ベルトライン部BLに沿って前後方向に延びるベルトラインレインフォースメント19を設けている。
このベルトラインレインフォースメント19は前辺部10Aの上部ヒンジレインフォースメント14と、ドアサッシュ部10S後片部におけるレインフォースメント16の下部との間に張架されたものである。
このベルトラインレインフォースメント19の車幅方向内側で、かつ、ドアアウタパネル11に設けられるドアミラー(図示せず)と対応する位置にはドアミラーの取付けを兼ねるブラケット20を設けている。
さらに、図1に示すように、前側に位置する上部ヒンジレインフォースメント14と、後側に位置する接続補強部材18との間には、インパクトバー21を取付けている。このインパクトバー21はその前部が後部に対して上下方向の上側に位置するよう前高後低状に傾斜して配設されたものであり、該インパクトバー21は側突対応用のものである。
さらにまた、図1に示すように、上記インパクトバー21の後部とフロントドア10の下辺部10Bにおける接続補強部材18との間を連結する補強ガセット部材22を設け、該補強ガセット部材22に突っ張り棒の役目を果たさせるように構成している。
また、図1に示すように、ベルトラインレインフォースメント19前部とインパクトバー21前部との間と、ラッチレインフォースメント17直下部の後辺部10Cとを、前高後低状に斜め前後方向に延びるスティフナ23を設けている。
該スティフナ23は、スポンジ部材やウレタン部材を介してドアアウタパネル11に当接されており、このスティフナ23によりドアアウタパネル11の張り剛性を確保するよう構成している。
さらに同図に示すように、ブラケット20とレインフォースメント16との両者には、ガラスガイド24,25を取付けている。そして、これら前後一対のガラスガイド24,25に沿ってウインドガラスを昇降案内するように構成している。
図1に示すように、上述のドアインナパネル12はパネル主体部12aを有しており、このパネル主体部12aにはドアモジュール配設用、スピーカ配設用等の複数の開口部12b,12c,12dが開口形成されている。
つぎに、図1、図2、図3を参照してリヤドア30の構造について説明する。
図1に示すように、リヤドア30の前後方向の長さは、フロントドア10の前後方向の長さに対して短く形成されている。
図3に示すように、リヤドア30は、鋼板製のドアアウタパネル31と、該ドアアウタパネル31にヘミング加工またはスポット溶接により連結された鋼板製のドアインナパネル32と、を備えており、これら両者31,32によりドアパネルが形成されている。
上述のドアアウタパネル31は車室外側に配置されてリヤドア30の意匠面を形成し、一方、ドアインナパネル32はドアアウタパネル31よりも車室内側に配置されており、これら両者31,32間にはドア内部空間33が形成されている。
図1、図2に示すように、リヤドア30は、前辺部30Aと、下辺部30Bと、後辺部30Cと、窓枠部30Sとを備えている。後辺部30Cにおいて上述のドアインナパネル32が上下一対のヒンジブラケット(図示せず)を介して車体側のヒンジピラー部2に開閉可能に支持されている。
図2、図3に示すように、上述の後辺部30Cにおいてドアインナパネル32には、上下方向に延びるヒンジレインフォースメント34を設けている。
図2、図3に示すように、リヤドア30の前部には、その前端が前辺部30Aに沿うようにドア側のセンタピラー35(バーチカルレインフォースメントと同意)が内蔵されている。このセンタピラー35は、窓枠部30Sの前側上端部から下辺部30Bまで上下方向に延びるピラー部材である。
図3に断面図で示すように、該センタピラー35は、前側の接合フランジ部35aと、前壁部35bと、外壁部35cと、後壁部35dと、後側の接合フランジ部35eと、を一体形成して、水平断面でハット形状に形成されている。
図2に示すように、上記センタピラー35は、その上部側の前後方向長さが下部側の前後方向長さに対して小さく形成されているが、当該センタピラー35は、その上下両端部を除いて、上部側から下部側にかけて、断面ハット形状に形成されている。
図3に示すように、センタピラー35の前後の各接合フランジ部35a,35eは前後方向に延びており、これらの各接合フランジ部35a,35eはドアインナパネル32に接合固定されている。
前壁部35bは、接合フランジ部35aの後端から車幅方向外方に延びている。同様に、後壁部35dは、接合フランジ部35eの前端から車幅方向外方に延びている。外壁部35cは、前壁部35bと後壁部35dとの車幅方向外端相互間を前後方向に延びて連結している。
図2に示すように、センタピラー35の外壁部35cにおける下部側には、開口部36が形成されており、この開口部36の形成による剛性低下を補強すべく、後壁部35dから開口部36の後側口縁部にわたる補強部材37が設けられている。
図2に示すように、センタピラー35の下部側の前後方向長さに対して、その前後方向長さが相対的に小さい上部側を補強すべく、センタピラー35の上部側には当該センタピラー35上部を補強する補強部材40が設けられている。
図2に示すように、上述の補強部材40は前辺部40aと、この前辺部40aに対して後方に離間する後辺部40bと、前辺部40aと後辺部40bとの上端相互間を連結して上方に延びる上部連結部40cと、前辺部40aと後辺部40bとの下端相互間を連結して前後方向に延びる下部連結部40dと、を備えている。
また、上述の補強部材40は後辺部40bの下端から下方に延出された下方延出部40eを備えている。上述の各要素40a~40eを一体形成することで、補強部材40が構成されている。
前辺部40aは断面L字状に形成され、センタピラー35の前壁部35bと外壁部35cとに接合されている。後辺部40bも断面L字状に形成され、センタピラー35の後壁部35dと外壁部35cとに接合されている。上部連結部40cは少なくともセンタピラー35の外壁部35cに接合されている。下部連結部40dはセンタピラー35の外壁部35cに接合されている。下方延出部40eは断面L字状に形成され、センタピラー35の後壁部35dと外壁部35cとに接合されている。
そして、この補強部材40によりセンタピラー35の前後方向の幅が小さい上部を補強して、その折れ防止を図っている。また前辺部40a下端を下部連結部40dの位置で終焉させることで、センタピラー35と補強部材40との両者による剛性の調整を行なうように構成している。すなわち、側突に対する耐力の調整を行なうように構成したものである。
また、図2、図3に示すように、センタピラー35の後壁部35dから当該センタピラー35の外壁部35cに対してドアアウタパネル31側に突出する荷重伝達部材としてのガセット部材41を備えている。
図3に示すように、このガセット部材41は、ドアアウタパネル31に沿った側突荷重の受け面部41aと、センタピラー35の後壁部35dに対する取付け部41bと、これら両部41a,41bを連結する連結部41cと、を一体形成したものである。
このガセット部材41は、センタピラー35の下方寄りに配設されると共に、該ガセット部材41は、その先端側(この実施例では、後端側)が自由端に設定されている。また、ガセット部材41の受け面部41aには、ドアアウタパネル31に当接する弾性部材としてのウレタン部材42が設けられている。
上述の側突荷重の受け面部41aをもったガセット部材41を、センタピラー35の後壁部35dに取付けることで、側突時には当該ガセット部材41にてセンタピラー35の後壁部35dに荷重を伝達する。これにより、センタピラー35の後壁部35dに対して前壁部35bに側突荷重が付勢気味になることに起因して、センタピラー35の前壁部35bが後壁部35dに対して車幅方向内方側へ大きく変位する挙動を抑制するよう構成したものである。
詳しくは、側突時にガセット部材41の取付け部41bを介して、センタピラー35の後壁部35dを車幅方向内側に押し、該後壁部35dを同方向に引張り込み、これにより前壁部35bの車幅方向内側への変位を相殺する。むしろ、センタピラー35の後壁部35dが前壁部35bに対して車幅方向内方側へ変位する挙動を確保するよう構成している。
また、図2、図3に示すように、上記ガセット部材41には、当該ガセット部材41の延び方向に沿って複数の補強ビード41d,41e,41fが形成されている。これら複数の補強ビード41d,41e,41fのうち補強ビード41d,41eは車幅方向内側に突出し、受け面部41aと、連結部41cとにわたって形成されている。補強ビード41fは車両後方側に突出し、取付け部41bの延び方向全長にわたって形成されている。
上述の補強ビード41d~41fによりガセット部材41の延び方向の高剛性化を図り、また、側突時に、ガセット部材41を介してセンタピラー35の後壁部35dに荷重を伝達する場合、その荷重伝達効率の向上を図るよう構成したものである。
上述のガセット部材41と補強部材40との関係において、補強部材40の後端部である下方延出部40eは、図2に示すように、ガセット部材41の配設位置まで下方に延出されている。これにより、側突時に、補強部材40が室内方向に押されるに従って、ガセット部材41によるリヤドア30下方部に対する突っ張り力を大きくすべく構成している。
図2に示すように、ドアインナパネル32の前部上側にはラッチレインフォースメント43が設けられている。図2にその大半を点線で示すように、該ラッチレインフォースメント43はセンタピラー35と対応して、当該センタピラー35の上端からガセット部材41の直上部まで上下方向に延びている。
図1、図2、図3に示すように、上述のドアインナパネル32はパネル主体部32aを有しており、このパネル主体部32aには複数の開口部32b,32c,32dが開口形成されると共に、窓枠部30Sにはサイドウインドガラス取付け用の開口部44が形成されている。
上述のセンタピラー35は上端に対して下端側が車幅方向の外側に位置するように形成されている。つまり、センタピラー35は上端の車幅方向幅に対して下端側の車幅方向幅が大きくなるように形成されている。
図2に示すように、該センタピラー35における外壁部35cの下部寄りに上述の開口部36が設けられており、この開口部36を、車両側突時に折れを誘起する折れ誘起部に設定している。
図2に示すように、折れ誘起部を構成する開口部36のセンタピラー35の外壁部35cの前部と前壁部35bの車幅方向外部との間のコーナ部には、車幅方向内方に凹む段下げ部35fが形成されている。つまり、当該段下げ部35fはセンタピラー35の下部寄りの位置において前側のコーナ部に形成されたもので、この段下げ部35fと対応してドアアウタパネル31にも同様に段下げ部31fが形成されている(図3参照)。
図2に示すように、センタピラー35の段下げ部35fと、リヤドア30のドアインナパネル32下側前部との間には、後方および下方が開放する半ボックス形状のエネルギ吸収部材45が配置されている。
図4は図2の要部拡大側面図、図5は図4のB-B線に沿う要部の矢印断面図、図6は図5の要部拡大図、図7は車両の側部構造を車幅方向外方かつ後上から見た状態で示す斜視図である。また、図8はリヤドア下壁部側の構成と、サイドシル部側ブラケットとの関連構造を示す斜視図、図9はサイドシル部側のブラケットと、係合ピンおよびストライカと、の関連構造を示す斜視図である。
図5に示すように、上述のサイドシル部3は、リヤドア30閉時において、当該リヤドア30の車幅方向の内側かつ下方に位置する車体剛性部材である。
図5、図9に示すように、上記サイドシル部3におけるサイドシルアウタ3Aの略水平部3aには、複数の締結部材9を用いて、ストライカベースとなるブラケット46を固定している。
図9に示すように、上述のブラケット46はそのベース部46aに対して、車両前後方向に間隔を隔てて2つの隆起部46b,46cを一体形成している。これら各隆起部46b,46cの上面は水平に形成されており、前側の隆起部46bの上面には、ストライカ47が立設固定され、後側の隆起部46cの上面には、係合ピン48が立設固定されている。つまり、この係合ピン48はサイドシル部3から上方に向けて立設されたものである。
また、図9に示すように、上述の係合ピン48はその軸部48aの上端に、当該軸部48aの外径よりもその外径が大きい径拡大部としての頭部48bを備えている。
さらに、図5、図9に示すように、上記ブラケット46の車幅方向内側に一体形成された折曲げ部46dには、ラバー部材49が差込み固定されている。このラバー部材49はサイドシル部3と係合ピン48との間の隙間を埋める挟み込み防止部49aと、オーバラン防止部49bと、を備えている。
上述の挟み込み防止部49aは、後席乗員がリヤドア30を開放して車両に対して昇降する際、衣服の裾が係合ピン48とサイドシル部3との間に挟み込まれることを防止するものである。
図5、図7に示すように、ドアインナパネル32は、パネル主体部32aの下部に、下壁部32e、内側縦壁32f、上側水平部32g、中間縦壁32h、下側水平部32i、外側縦壁32jをこの順に一体形成している。上記外側縦壁32jの下端部はドアアウタパネル31の対応部に対して、ヘミング加工にて一体結合される。
上述のドアインナパネル32の下壁部32eは、パネル主体部32aの下端から車幅方向外方に向けて略水平に延びており、この下壁部32eには、側突時に上述の係合ピン48の軸部48aを進入させるための係止孔部32kが形成されている。この係止孔部32kの車幅方向内側には、ドアインナパネル32のパネル主体部32aの下部にわたるドアインナパネル32mが連続形成されている。
図5、図7に示すように、車幅方向において、ドアインナパネル32のパネル主体部32aと中間縦壁32hとの間にわたる補強部材50を設けている。この補強部材50の前後方向長さは、ストライカ47と係合ピン48との間の前後方向長さに対して、さらに長く形成されている。
また、該補強部材50は、主面部50aと、主面部50aの車幅方向内端から上方に延びる上側縦壁50bと、主面部50aの車幅方向外端から下方に延びる下側縦壁50cと、を備えている。
図8に示すように、補強部材50の主面部50aおよび上側縦壁50bには、ストライカ47と対応する位置にストライカ挿入孔部50dが形成されている。また、図5、図6に示すように、補強部材50の主面部50aおよび上側縦壁50bには、係合ピン48と対応する位置に係合ピン挿入孔部50eが形成されている。
図7に示すように、補強部材50の上側縦壁50bはドアインナパネル32のパネル主体部32aの下部に、スポット溶接手段等にて接合固定されている。下側縦壁50cはドアインナパネル32の中間縦壁32hに、スポット溶接手段等にて接合固定されている。さらに、図5、図7に示すように、補強部材50の主面部50aは、ドアインナパネル32の下壁部32eの上方部に位置している。
図7、図8に示すように、上述の補強部材50の上部には、取付けプレート51が設けられている。この取付けプレート51の前後方向長さは、ストライカ47と係合ピン48との間の前後方向長さよりも長く形成されている。
図8に示すように、この取付けプレート51は主体部51aと、ストライカ挿入孔部50d、係合ピン挿入孔部50eと対応する箇所を除いて上記主体部51aの全周囲に一体形成された立上げ部51bと、を備えている。つまり、該取付けプレート51はトレー形状に形成されたものである。
図8に示すように、該取付けプレート51の主体部51aの前後両部は、ボルト、ナット等の複数の締結部材52を用いて、補強部材50の主面部50aと、ドアインナパネル32の下壁部32eとに共締め固定されている。
図7、図8に示すように、ストライカ47と上下方向に対応する位置において、上述の取付けプレート51の主体部51aにはラッチユニット60を取付けている。また、図6~図8に示すように、係合ピン48と対応する位置において、上述の取付けプレート51の主体部51aには係合ピン受け部材70を取付けている。
上述のラッチユニット60は、図7、図8に示すように、係合ピン受け部材70の前後方向の前方に隣接して配設されている。
図8に示すように、上述の取付けプレート51において補強部材50のストライカ挿入孔部50dと対応する位置には、取付けプレート51側にもストライカ挿入孔部51dを形成している。
また、上述の取付けプレート51において補強部材50の係合ピン挿入孔部50eと対応する位置には、取付けプレート51側にも係合ピン挿入孔部を形成している。
ここで、上述のラッチユニット60はその内部に、ストライカ47と噛み合うラッチ部材(図示せず)が内蔵されたユニットである。
また、上述の係合ピン受け部材70は、図6~図8に示すように、車両正面視でL字状に形成されている。つまり、該係合ピン受け部材70は、略水平な取付け部70aと、この取付け部70aの車幅方向内端から上方に立上がる縦壁部70bと、上述の取付け部70aおよび縦壁部70bの両者に跨がって形成された係合ピン挿入孔部70cと、を備えている。
そして、図7、図8に示すように、上述のラッチユニット60と係合ピン受け部材70との両者が共通の取付けプレート51を介してドアインナパネル32の下壁部32eに取付けられている。
図5、図6に示すように、上述の係合ピン受け部材70は、ドアインナパネル32の下壁部32eから上方に間隔を隔てて配設されている。上述の補強部材50の主面部50aは、下壁部32eと係合ピン受け部材70の取付け部70aとの間に、これら両者32e,70aに対して上下方向に間隔を隔てて配設されている。
これにより、側突時にはサイドシル部3側の係合ピン48の軸部48aに対して、リヤドア30におけるドアインナパネル32の下壁部32eと、補強部材50の主面部50aと、係合ピン受け部材70の取付け部70aとが上下方向に間隔を隔てて当接される。よって、係合ピン48の軸部48aの上下方向の幅広い範囲で側突荷重を受け、当該係合ピン48の一部に集中して大荷重が作用するのを防止するよう構成したものである。
また、図6に示すように、係合ピン48の軸部48aの上下方向に対して、係合ピン受け部材70の取付け部70aを当該軸部48aの上端部に位置させている。また、ドアインナパネル32の下壁部32eを当該軸部48aの下端部に位置させている。さらに、補強部材50の主面部50aを当該軸部48aの中間部に位置させている。これにより、側突時に、係合ピン48の軸部48aの長さ方向(上下方向)全体で側突荷重を受けるよう構成したものである。
さらに、図6に示すように、係合ピン受け部材70の係合ピン挿入孔部70cにおける車幅方向外端70dを、上述の補強部材50の係合ピン挿入孔部50eの車幅方向外端および上記下壁部32eの係止孔部32kに比較して係合ピン48の軸部48aに対して最も隣接させている。
これにより、側突時には、補強部材50および下壁部32eよりも先に係合ピン受け部材70の取付け部70aが係合ピン48の軸部48aに当接する。よって、係合ピン48の軸部48aが係合ピン受け部材70に対して係止孔部(係合ピン挿入孔部70cの孔縁参照)の深い位置で係合され、側突時の係合ピン48の係止を安定化させるよう構成したものである。
仮に、係合ピン48の軸部48aに対して補強部材50や下壁部32eが先に当ると、係合ピン48の軸部48aは、係合ピン受け部材70の係止孔部(係合ピン挿入孔部70cの孔縁)に対して、深い位置まで進入することがなく、係合ピン48の係止が不安定となる。
図6に示すように、上述の取付けプレート51には、係合ピン受け部材70の係合ピン受け部(係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70d参照)と対応する位置から下方に向けて延びる位置決め部51Aが一体に折曲げ形成されている。
この位置決め部51Aの先端(つまり下端)は、補強部材50の主面部50aと下壁部32eとの上下方向中間の位置まで下方に延びている。該位置決め部51Aはラッチユニット60の車幅方向の位置決めを行なうものである。
図7で示す取付けプレート51、ラッチユニット60、係合ピン受け部材70は一体にユニット化されて、アセンブリASを構成している。このアセンブリASは、図3、図4の開口部32dからセンタピラー内部空間を経由して、下壁部32e上の補強部材50に組付けられる。この際、上述の取付けプレート51にはラッチユニット60(詳しくは、アセンブリAS)の車幅方向の位置決め部51Aを備えている。これにより、特別な位置決め部材や位置決め用の開口部が不要となる。また、当該位置決め部51Aの下壁部32eから下方への突出も抑制するよう構成している。
図6に示すように、上述の位置決め部51Aは、係合ピン受け部材70の係合ピン受け部(係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70d参照)に対して車幅方向外側に位置させている。これにより側突時には、係合ピン48の軸部48aが係合ピン受け部材70の係合ピン挿入孔部70cの内奥部に係合され、側突時における係合ピン48の係止を安定して行なうよう構成している。換言すれば、側突時に係合ピン48が係合ピン受け部材70の係合ピン挿入孔部70cの内奥部に移動するのを、上記位置決め部51Aで阻害することがない。
ここで、上述のドアインナパネル32の開口部32dから上記アセンブリASをセンタピラー内部空間を介して補強部材50に組付ける際、センタピラー内部空間は比較的狭いので、当該アセンブリASは、その向きを調整しながら補強部材50上に配置される。
この場合、センタピラー35の開口部36は、当該アセンブリASとの干渉を回避する役目を奏する。
また、上述の開口部36は側突時におけるセンタピラー35の折れ誘起作用と、側突時においてラッチユニット60が潰れるのを防止する作用と、を兼ねている。
さらに、図7、図8に示すように、上述の補強部材50には、ラッチユニット60を隔てて係合ピン受け部材70と反対側の端部、つまり前端部に、上方に向けて延びてラッチユニット60の車両前後方向に対する第2の位置決め部50Bが一体に折曲げ形成されている。
同図に示すように、第2の位置決め部50Bは補強部材50の前端部から上方に向けて延びると共に、この第2の位置決め部50Bは、取付けプレート51の車両前方側の立上げ部51bの前方部に位置して車幅方向に延びている。そして、この第2の位置決め部50Bにて、取付けプレート51およびラッチユニット60を位置決めすることで、取付けプレート51を、その取付け位置に対して適切な位置に位置決めするよう構成している。
さらにまた、図7、図8に示すように、上述の補強部材50には、係合ピン受け部材70を隔ててラッチユニット60と反対側の部位に、位置決め用のビード部50Dが一体形成されている。このビード部50Dは補強部材50の主面部50aの後部から上方に膨出すると共に、補強部材50の下側縦壁50cの後部から車幅方向外方へ膨出している。該ビード部50Dは、取付けプレート51の車両前後方向に対する位置決めを行なうものである。
これにより、係合ピン受け部材70とラッチユニット60とが取付けられた取付けプレート51の前後方向後側を、上記ビード部50Dにて位置決めすると共に、当該ビード部50Dにて補強部材50の剛性向上をも図るよう構成している。
この補強部材50は、センタピラー35とドアインナパネル32との両者による側突耐力を補強するものである。
図4、図7において、71は通電用のハーネス、72はラッチユニット60のロック解除用のケーブルである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
このように、上記実施例の車両の側部構造は、ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、フロントドア10と、前部にドア側のセンタピラー35が内蔵されたリヤドア30と、上記センタピラー35内側に位置するサイドシル部3から上方に向けて立設される係合ピン48と、上記リヤドア30の下壁部32eに設けられて側突時に上記係合ピン48を進入させるための係止孔部32kと、上記下壁部32eから上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材70と、上記下壁部32eと上記係合ピン受け部材70との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材50と、を備えたものである(図1、図5、図6参照)。
この構成によれば、側突時には車体側の係合ピン48に対して、リヤドア30の下壁部32eと、補強部材50と、係合ピン受け部材70とが上下方向に間隔を隔てて当接される。このため係合ピン48の上下方向の幅広い範囲で側突荷重を受けることができ、当該係合ピン48の一部に集中して大荷重が作用するのを防止することができる。
また、この発明による一実施形態においては、上記係合ピン48の上下方向に対して、上記係合ピン受け部材70を係合ピン48の上端部に位置させ、上記下壁部32eを係合ピン48の下端部に位置させ、上記補強部材50を係合ピン48の中間部に位置させたものである(図5、図6参照)。
この構成によれば、係合ピン48の長さ方向全体で側突荷重を受けることができる。
さらに、この発明の一実施形態においては、上記係合ピン48は上端に径拡大部(頭部48b参照)を備え、上記係合ピン受け部材70を上記補強部材50および上記下壁部32eに比較して係合ピン48に対して最も隣接させたものである(図6参照)。
この構成によれば、側突時には補強部材50および下壁部32eよりも先に係合ピン受け部材70が係合ピン48に当接し、係合ピン48が係合ピン受け部材70に対して係止孔部(係合ピン挿入孔部70cの孔縁)の深い位置で係合されるので、側突時の係合ピン48の係止を安定化させることができる。
仮に、係合ピン48に対して補強部材50や下壁部32eが先に当ると、係合ピン48は係合ピン受け部材70の係止孔部(係合ピン挿入孔部70cの孔縁)に対して、深い位置まで進入することがなく、係合ピン48の係止が不安定となる。
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記係合ピン受け部材70の前後方向に隣接してラッチユニット60が配設され、上記係合ピン受け部材70と上記ラッチユニット60との両者70,60が共通の取付けプレート51を介してドアインナパネル32に取付けられており、上記取付けプレート51には、係合ピン受け部材70による係合ピン受け部(係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70d)と対応する位置から下方に向けて延び、その先端が上記補強部材50と上記下壁部32eとの上下方向中間の位置まで延びる上記ラッチユニット60の車幅方向の位置決め部51Aが備えられたものである(図6~図8参照)。
この構成によれば、係合ピン受け部材70とラッチユニット60とを共通して取付ける取付けプレート51に対し、ラッチユニット60の車幅方向の位置決め部51Aを備えている。このため、特別な位置決め部材や開口部が不要となり、上記位置決め部51Aの下壁部32eから下方への突出も抑制することができる。
加えて、この発明の一実施形態においては、上記位置決め部51Aを上記係合ピン受け部材70の係合ピン受け部(係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70d)に対して車幅方向外側に位置させたものである(図6参照)。
この構成によれば、位置決め部51Aは、係合ピン受け部材70の係合ピン受け部(係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70d)よりも車幅方向の外側に位置するので、側突時における係合ピン48の係止を安定して行なうことができる。
また、この発明の一実施形態においては、上記補強部材50には、上記ラッチユニット60を隔てて係合ピン受け部材70と反対側の端部に上方に向けて延びてラッチユニット60の車両前後方向に対する第2の位置決め部50Bが形成されたものである(図7、図8参照)。
この構成によれば、補強部材50から上方に向けて延びる第2の位置決め部50Bにて、取付けプレート51、ラッチユニット60を位置決めすることで、取付けプレート51を、その取付け位置に対して適切な位置に位置決めすることができる。
さらに、この発明の一実施形態においては、上記補強部材50には、上記係合ピン受け部材70を隔ててラッチユニット60と反対側の部位に上方に膨出して上記取付けプレート51の車両前後方向に対する位置決め用のビード部50Dが形成されたものである(図7、図8参照)。
この構成によれば、係合ピン受け部材70とラッチユニット60とが取付けられた上記取付けプレート51の前後方向後側を、上述のビード部50Dにて位置決めすることができると共に、当該ビード部50Dにより補強部材50の剛性向上をも図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の係合ピン48上端の径拡大部は、実施例の頭部48bに対応し、
以下同様に、
係合ピン受け部材70の係止孔部は、係合ピン挿入孔部70cの孔縁に対応し、
係合ピン受け部材70による係合ピン受け部は、係合ピン挿入孔部70cの車幅方向外端70dに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例においては、観音開き構造のドアを備えた車両の側部構造について例示したが、ボディ側にセンタピラーが存在しない車両であれば、リヤドアをスライドドアと成した車両であってもよい。
以上説明したように、本発明は、ボディ側にセンタピラーが存在しないような車両の側部構造について有用である。
3…サイドシル部
10…フロントドア
30…リヤドア
32…ドアインナパネル
32e…下壁部
32k…係止孔部
35…センタピラー
48…係合ピン
48b…頭部(径拡大部)
50…補強部材
50B…第2の位置決め部
50D…ビード部
51…取付けプレート
51A…位置決め部
60…ラッチユニット
70…係合ピン受け部材
70d…車幅方向外端(係合ピン受け部)

Claims (5)

  1. ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、
    フロントドアと、
    前部にドア側のセンタピラーが内蔵されたリヤドアと、
    上記センタピラー内側に位置するサイドシル部から上方に向けて立設される係合ピンと、
    上記リヤドアの下壁部に設けられて側突時に上記係合ピンを進入させるための係止孔部と、
    上記下壁部から上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材と、
    上記下壁部と上記係合ピン受け部材との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材と、を備え
    上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させ、
    上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、
    上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させ、
    上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、
    上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられており、
    上記取付けプレートには、係合ピン受け部材による係合ピン受け部と対応する位置から下方に向けて延び、その先端が上記補強部材と上記下壁部との上下方向中間の位置まで延びる上記ラッチユニットの車幅方向の位置決め部が備えられた
    車両の側部構造。
  2. 上記位置決め部を上記係合ピン受け部材の係合ピン受け部に対して車幅方向外側に位置させた
    請求項に記載の車両の側部構造。
  3. 上記補強部材には、上記ラッチユニットを隔てて係合ピン受け部材と反対側の端部に上方に向けて延びてラッチユニットの車両前後方向に対する第2の位置決め部が形成された
    請求項またはに記載の車両の側部構造。
  4. 上記補強部材には、上記係合ピン受け部材を隔ててラッチユニットと反対側の部位に上方に膨出して上記取付けプレートの車両前後方向に対する位置決め用のビード部が形成された
    請求項に記載の車両の側部構造。
  5. ボディ側にセンタピラーが存在しない車両の側部構造であって、
    フロントドアと、
    前部にドア側のセンタピラーが内蔵されたリヤドアと、
    上記センタピラー内側に位置するサイドシル部から上方に向けて立設される係合ピンと、
    上記リヤドアの下壁部に設けられて側突時に上記係合ピンを進入させるための係止孔部と、
    上記下壁部から上方に間隔を隔てて配設される係合ピン受け部材と、
    上記リヤドア内部に接続され、上記下壁部と上記係合ピン受け部材との間に、これら両者に対して上下方向に間隔を隔てて配設される補強部材と、を備え
    上記係合ピンの上下方向に対して、上記係合ピン受け部材を係合ピンの上端部に位置させ、上記下壁部を係合ピンの下端部に位置させ、上記補強部材を係合ピンの中間部に位置させ、
    上記係合ピンは上端に径拡大部を備え、
    上記係合ピン受け部材を上記補強部材および上記下壁部に比較して係合ピンに対して最も隣接させ、
    上記係合ピン受け部材の前後方向に隣接してラッチユニットが配設され、
    上記係合ピン受け部材と上記ラッチユニットとの両者が共通の取付けプレートを介してドアインナパネルに取付けられた
    車両の側部構造。
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