JP7413773B2 - 脚部の取り付け構造、および電子機器 - Google Patents

脚部の取り付け構造、および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、脚部の取り付け構造、および電子機器に関する。
音声データを再生するCD(Compact Disc)プレーヤなどの電子機器では、ディスクや冷却ファンなどを回転させるモータなどに起因する内部からの振動と、電子機器を設置する床面から受ける外部からの振動とがあり、このような内部振動及び外部振動は、電子機器における音声データの再生時に音質を劣化させる原因となっている。
従来の電子機器では、電子機器の筐体と床面との間に位置する脚部は、筐体に対してねじ止め等により固着されていた。このため、脚部は、特に床面から受ける外部振動を筐体に伝達する。筐体に伝達された振動は、内部の部品、例えば、CDプレーヤなどに備えられた光ピックアップの動作に影響を与える。すなわち、光ピックアップが微小な信号を読み取る際に、振動に起因するノイズが混入して、再生する音声データの音質を劣化させる。
そこで、電子機器の音質向上のために、筐体と床面との間に介在させるインシュレータと呼ばれる脚部を用いることが知られている。インシュレータには、様々なタイプのものがある。例えば、ゴム又は樹脂等の弾性材料を用いて振動を遮断するフローティング方式のインシュレータ(特許文献1)、金属等の硬質材料を用いて振動を吸収し、振動が筐体の内部へ伝わることを防止する硬質インシュレータ(特許文献2)等がある。あるいは、円錐状、三角錐状、又は半球状等に形成され、筐体との接触面積を減らすことにより筐体に伝わる振動を抑制するスパイク型のインシュレータ(特許文献3)が知られている。
実開昭64-5295号公報 実公平5-8697号公報 特開平7-302981号公報
しかしながら、上記特許文献1、2記載のインシュレータは、筐体に対してねじ止め等により固着されている。筐体に対して固着されている場合、特に床面から受ける外部振動を筐体に伝達しやすく、振動の影響を防ぐという点は不十分である。一方、上記特許文献3記載のインシュレータは、筐体に対して固着させずに用いられている。インシュレータを用いる電子機器を設置する場合、作業者であるユーザは、筐体を床面から浮かせた状態で保持し、筐体と床面との間にインシュレータを差し込まなければならない。このため、重量のある電子機器では、床面から浮かせた状態を保持することは困難であり、設置の作業に手間がかかる場合がある。
また、脚部を筐体に対して固着させずに一体化させる構造としては、筐体の底板に貫通孔を形成し、脚部と一体に設けた支柱を底板の貫通孔に遊嵌させた状態とする構造が考えられる。このような構造では、貫通孔に遊嵌させた支柱が離脱することを防ぐために、支柱の先端部に抜け止め部品を装着することが一般的である。しかし、この場合、支柱の先端部に装着するEリングやスナップピンなどの抜け止め部品が必要となり、筐体内部の部品配置の自由度が低下する。また、抜け止め部品を装着するための溝又は穴を支柱に加工する必要があり、製造工程が増加する。
本発明は、音質に影響を与える振動が筐体の内部に伝達されることを抑制しつつ、筐体に対して一体的に取り付けることが可能な脚部の取り付け構造および電子機器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の脚部の取り付け構造は、電子機器の筐体に取り付ける脚部の取付構造であって、複数の第1雌ねじ孔が形成された底板と、脚部とを備え、脚部は、脚部本体と、脚部本体と一体に設けられた支柱とを備え、支柱は、第1雄ねじ部と、軸部とを有し、第1雄ねじ部を第1雌ねじ孔に螺挿させることより底板の一方の面側から他方の面側へ通過した場合、軸部が第1雌ねじ孔に遊嵌した状態となり、第1雄ねじ部が底板の他方の面に係止される。底板は、筐体を構成する。脚部本体は、底板と電子機器の設置面との間に配される。第1雄ねじ部は、先端に位置し、第1雌ねじ孔に螺挿される。軸部は、脚部本体と第1雄ねじ部との間を繋ぐ軸部であり、外径が第1雌ねじ孔の内径よりも小さく、かつ軸長が底板の厚み以上の寸法に形成され、第1雌ねじ孔と遊嵌する。
脚部本体は、軸部と連結した第1支持部材と、第1支持部材の基端側に位置する第2支持部材とを備え、第1支持部材の基端部から突出し、周囲に対して一段凸となるスパイク部を有し、第2支持部材の先端面において、周囲に対して一段凹となるスパイク受け部を有しており、第2支持部材は、スパイク受け部がスパイク部と当接して第1支持部材、支柱及び筐体からの荷重を支持することが好ましい。
第1支持部材は、複数の第2雌ねじ孔を有し、脚部本体は、第2雌ねじ孔に螺合する複数のねじ部材を備え、第2支持部材は、スパイク受け部の周囲から外側へ突出するフランジ部を有し、第1支持部材と第2支持部材とは、第2雌ねじ孔に螺合するねじ部材がフランジ部を係止することにより互いに分離することを防止することが好ましい。
脚部本体は、底板と対面する先端面から突出する突出ピンを有し、突出ピンが底板に形成された貫通孔と遊嵌することにより、脚部が軸部を中心に回転することを規制することが好ましい。
突出ピンは、複数のねじ部材の少なくとも1つであり、第1支持部材と螺合して脚部本体の先端から突出したねじ部材の先端部分が突出ピンとして貫通孔と遊嵌することが好ましい。
脚部本体は、底板と対面する先端面から突出する筐体支持部を有しており、筐体支持部は、底板と当接して筐体の荷重を支持することが好ましい。
スパイク部は、円錐状、三角錐状、及び半球状のいずれか1つであり、スパイク受け部は、スパイク部の形状に合わせて第2支持部材の先端面から切り欠かれた切り欠き部であることが好ましい。
本発明の電子機器は、上記脚部の取り付け構造で取り付けられた脚部を備える。
本発明によれば、音質に影響を与える振動が筐体の内部に伝達されることを抑制しつつ、筐体に対して一体的に取り付けることが可能な脚部の取り付け構造、および電子機器を提供することができる。
電子機器の外観を示す斜視図である。 筐体の天板、前板、両側板、背板等を取り払った状態の電子機器の内部を示す斜視図である。 電子機器の脚部周辺の構造を示す斜視図である。 図3のIV-IV線に沿う断面図である。 脚部の分解斜視図である。 支柱と第1支持部材の斜視図である。 第1支持部材と支柱とを結合する工程を説明する説明図である。 電子機器の脚部周辺について一部を切り欠いた斜視図である。 図4のIX-IX線に沿う要部断面図である。 第1雄ねじ部を第1雌ねじ部に挿通させる工程を示す説明図である。 スパイク部の位置に、スパイク受け部の凹みを合わせる工程を示す説明図である。 第2雌ねじ孔に短いほうのねじ部材を螺合させる工程を示す説明図である。 第2支持部材を回転させることにより貫通孔を第2雌ねじ孔の位置に合わせる工程を示す説明図である。 第2支持部材を回転させることにより貫通孔を別の第2雌ねじ孔の位置に合わせる工程を示す説明図である。 第1支持部材及び第2支持部材を回転させることにより貫通孔の位置に第2雌ねじ孔の位置を合わせた後、第2雌ねじ孔に長いほうのねじ部材を螺合させる工程を示す説明図である。 荷重支持部を有する変形例を示す断面図である。 脚部本体と支柱とを一体に設けた変形例を示す断面図である。
図1において、電子機器10は、ハイエンドのオーディオ機器の一種で、デジタル音声データの再生機器、例えばCDプレーヤである。電子機器10は、各種部品が収納された箱状の筐体11と、4個の脚部21とを備える。筐体11の前面には、電源ボタン12、インジケータ13、及びメディア挿入口14が配され、背面には電源コードコネクタをはじめとする各種接続コネクタ(図示せず)が配されている。
筐体11は、天板15、前板16、両側板17、背板(図示せず)、底板18(図2参照)等から構成され、略直方体状の外観を有する。
図2は、筐体11を構成する天板15、前板16、両側板17、背板等を取り外し、底板18を露呈させた状態の図である。なお、図2では、筐体11の内部に収納された部品等は省略している。底板18は、略矩形状の薄板であり、硬質材料、例えば金属から形成されている。底板18の四隅には、電子機器10を設置面に設置するための脚部21が取り付けられている。
図3に示すように、脚部21は、脚部本体22と、支柱23とを備える。脚部本体22及び支柱23は、硬質材料、例えば金属から形成されている。脚部本体22は、略円盤状又は略円柱状に形成され、底板18と、電子機器10の設置面S(図4参照)との間に配される。支柱23は、脚部本体22と一体に設けられている。
底板18は、4個の第1雌ねじ孔24(図5参照)が形成されている。第1雌ねじ孔24は、底板18の四隅付近に位置する。脚部21は、支柱23が底板18の第1雌ねじ孔24に取り付けられ、筐体11と一体となる。第1雌ねじ孔24の付近には、貫通孔25がそれぞれ形成されている。第1雌ねじ孔24と貫通孔25との間は、所定の間隔を置いて配されている。
図4に示すように、支柱23は、先端側から基端側へ順に、第1雄ねじ部31と、軸部32と、第2雄ねじ部33と、円盤部34と、スパイク部35とが一体に形成されている。なお、以下では、第1雄ねじ部31を第1雌ねじ孔24に螺挿する方向D1における先端、先端部及び先端側を単に「先端」、「先端部」及び「先端側」といい、方向D1における基端、基端部及び基端側を単に「基端」、「基端部」及び「基端側」という。方向D1は、筐体11の上下方向と平行に配されている。
脚部本体22は、第1支持部材41と、第1支持部材41の基端側に位置する第2支持部材42と、3つのねじ部材43A~43C(図5参照)とを備える。ねじ部材43A~43Cは、第1支持部材41と第2支持部材42とが互いに分離することを防止するために用いる。
第1雄ねじ部31は、支柱23の先端に位置し、第1雌ねじ孔24に螺挿される。すなわち、第1雄ねじ部31は、第1雌ねじ孔24とピッチが同じであり、第1雌ねじ孔24とねじ径が略同じである。この場合、ねじ径が略同じとは、第1雄ねじ部31と第1雌ねじ孔24とが結合しない程度の寸法差で、第1雄ねじ部31のねじ径が第1雌ねじ孔24より小さく形成されていることをいう。
軸部32は、第1雌ねじ孔24と連設され、後述するように支柱23と脚部本体22とが結合することにより脚部本体22と第1雄ねじ部31との間を繋ぐ軸部である。軸部32は、外径RAが第1雌ねじ孔24の内径RIよりも小さく、かつ軸長LAが底板18の厚みT以上の寸法に形成されている。底板18の厚みTは、第1雌ねじ孔24の軸方向における長さLO1と等しい。よって、軸部32が第1雌ねじ孔24の内部に挿入された場合、軸部32は、第1雌ねじ孔24と遊嵌する。なお、軸長LAは、軸部32の先端から基端までの長さを示す。
図5に示すように、方向D1に沿って、第1雄ねじ部31を第1雌ねじ孔24に螺挿させることより底板18の底面18A側(一方の面側)から上面18B面側(他方の面側)へ第1雄ねじ部31が通過した場合、軸部32が第1雌ねじ孔24の内部に挿入される。すなわち、軸部32が第1雌ねじ孔24に遊嵌した状態となる(図3及び図4に示す状態)。
上述したように、第1雄ねじ部31と第1雌ねじ孔24のねじ径は略同じであるから、第1雄ねじ部31の外径RO1は、第1雌ねじ孔24の内径RIより大きい。よって、図3及び図4に示す状態では、第1雄ねじ部31が底板18の上面18Bに係止されるため、方向D1における軸部32の位置が規制され、軸部32が第1雌ねじ孔24から基端側へ離脱することが防止される。
図6に示すように、支柱23は、第2雄ねじ部33が、後述する第3雌ねじ孔45と螺合することにより第1支持部材41と結合する。円盤部34及びスパイク部35は、第2雄ねじ部33と第3雌ねじ孔45とが螺合することより第1支持部材41の基端側から露呈する。また、円盤部34の外径RDは、第2雄ねじ部33の外径RO2よりも大きく形成されている。
図7(A)~図7(C)に示すように、第1支持部材41は、第2雌ねじ孔44、第3雌ねじ孔45、及び切り欠き部46が形成されている。切り欠き部46は、第1支持部材41の基端側の面である底面41Aから、第1支持部材41の外形と同軸の略円盤状に切り欠かれた切り欠き部である。切り欠き部46は、大径部46Aと、小径部46Bとを有する。基端側に位置する大径部46Aは、先端側に位置する小径部46Bよりも内径が大きい。
第1支持部材41は、外形が略円盤状に形成され、中心に第3雌ねじ孔45が位置する。第3雌ねじ孔45は、上述したように第2雄ねじ部33と螺合する。すなわち、第2雄ねじ部33は、第3雌ねじ孔45とピッチが同じであり、第3雌ねじ孔45とねじ径が略同じである。この場合、ねじ径が略同じとは、第2雄ねじ部33と第3雌ねじ孔45とが結合可能な程度の寸法差で、第2雄ねじ部33のねじ径が第3雌ねじ孔45と略等しく形成されていることをいう。また、第2雄ねじ部33の軸方向における長さLO2は、第3雌ねじ孔45の軸方向における長さLO3以下の寸法である。
一方、第3雌ねじ孔45は、第1雄ねじ部31に対しては、螺挿可能な寸法となっており、すなわち、第1雄ねじ部31と第1雌ねじ孔24との寸法関係と同じである。第1雄ねじ部31、軸部32、第2雄ねじ部33、円盤部34、及びスパイク部35は、同軸上に形成されている。第3雌ねじ孔45は、第1支持部材41の先端側の面である上面41Bから、切り欠き部46と連通する位置まで、第1支持部材41を貫通している。これにより、第3雌ねじ孔45に第2雄ねじ部33を螺合させた場合、切り欠き部46の内部から円盤部34及びスパイク部35が露呈する。
第1支持部材41と支柱23とを結合する工程では、先ず、図7(A)に示すように、第1支持部材41の基端側から第1雄ねじ部31を第3雌ねじ孔45に対して螺挿させると、第1雄ねじ部31が第3雌ねじ孔45を通過する。さらに、軸部32の外径RAは、第1雄ねじ部31の外径RO1より小さいので、図7(B)に示すように、軸部32が第3雌ねじ孔45を通過して、第2雄ねじ部33を第3雌ねじ孔45に螺合可能となる。図7(C)に示すように、円盤部34が、切り欠き部46の上端46Cに当接する位置まで、第2雄ねじ部33を第3雌ねじ孔45に螺合させる。これにより、支柱23と第1支持部材41とが一体化する。
また、第2雄ねじ部33の軸方向における長さLO2は、第3雌ねじ孔45の軸方向における長さLO3以下の寸法であるため、第2雄ねじ部33は、第3雌ねじ孔45の内部に完全に隠れる。すなわち、第2雄ねじ部33は、第1支持部材41の上面41Bから突出せず、軸部32の基端が第1支持部材41の上面41Bとが同じ面上、もしくは上面41Bよりも基端側に位置する。
また、第1支持部材41の外周面41Cには、滑り止め加工としてのローレット加工がされている。これにより、第1支持部材41を回転させる際、作業者の指などが引っ掛かり易くなっている。
スパイク部35は、上述したように、第1支持部材41と支柱23とが結合することにより、第1支持部材41の基端部に位置し、周囲に対して一段凸となる。本実施形態では、円盤部34から突出する円錐状に形成されている。スパイク部35は、第2支持部材42に形成された後述のスパイク受け部49と当接する。
第2雌ねじ孔44は、第3雌ねじ孔45を中心とする正三角形の頂点の位置に形成されている(図6参照)。第1支持部材41と支柱23とが結合した状態では、第2雌ねじ孔44は、支柱23の周囲に配されている。第2雌ねじ孔44は、第1支持部材41の上面41Bから、切り欠き部46の大径部46Aを連通する位置まで貫通している。第2雌ねじ孔44は、ねじ部材43A~43Cと螺合する。上面41Bは、底板18と対面する脚部本体22の先端面である。
第2支持部材42は、脚部本体22の最も基端側に位置するベース板部47と、ベース板部47の先端側に位置する荷重支持部48とを有する。ベース板部47は、第1支持部材41と略同じ外径を有する略円盤状であり、荷重支持部48は、ベース板部47の中心に位置し、ベース板部47よりも外径が小さい略円柱状である。第2支持部材42の先端面、すなわち荷重支持部48の先端面48Aには、周囲に対して一段凹となるスパイク受け部49を有する。ベース板部47には、ねじ部材43A~43Cを通過させるために貫通孔47Aが形成されている。貫通孔47Aは、第1支持部材41の第2雌ねじ孔44の位置に合わせて配されている。
スパイク受け部49は、第1支持部材41のスパイク部35よりも広い頂角を有する円錐状に切り欠かれた切り欠き部であり、スパイク部35の頂点付近と当接して第1支持部材41、支柱23及び筐体11からの荷重を支持する。荷重支持部48には、スパイク受け部49の周囲から外側へ突出するフランジ部48Bを有する。フランジ部48Bは、外径及び軸長が、切り欠き部46の小径部46Bの内径及び軸長よりも小さく形成されている。なお、スパイク部35の形状は上記に限らず、三角錐状、及び半球状などでもよく、スパイク受け部49は、スパイク部35の形状に合わせた切り欠き部であればよい。
図8に示すように、スパイク受け部49とスパイク部35とが当接した状態では、フランジ部48Bが小径部46Bの内部に進入しており、第2雌ねじ孔44とフランジ部48Bとが近接した位置にある。よって、図9に示すように、第2雌ねじ孔44とねじ部材43A~43Cとが螺合した場合、ねじ部材43A~43Cのねじ頭51がフランジ部48Bを係止することができる。
第2雌ねじ孔44とねじ部材43A~43Cとが螺合することによって、フランジ部48Bは、小径部46Bの内部で移動可能であるが、小径部46Bの内周面、上端46C(図7(C)参照)及びねじ頭51によって軸方向及び径方向の位置が規制されている。よって、第1支持部材41と第2支持部材42の相対的な位置が規制されるため、第1支持部材41と第2支持部材とが互いに分離することを防止する。
ねじ部材43A~43Cのうち、少なくとも1つのねじ部材43Cは、他のねじ部材43A、43Bよりも長く形成されている。これにより、第2雌ねじ孔44に螺合する際、第1支持部材41の上面41Bから、ねじ部材43Cの先端部分52のみが突出する。先端部分52の外径は貫通孔25の内径よりも小さい。そして、上面41Bから突出したねじ部材43Cの先端部分が突出ピンとして、底板18の貫通孔25と遊嵌する(図3及び図8に示す状態)。これにより、脚部21が軸部32を中心に回転することを規制する。よって、脚部21は、第1雄ねじ部31が第1雌ねじ孔24に螺挿された際と逆方向に回転することがない。
次に、上記構成の脚部21を筐体11の底板18に取り付ける工程について図10~図15を用いて説明する。図10(A)に示すように、作業者は、例えば底板18、第1支持部材41、及び支柱23を上下逆にした状態でセットする。このとき、第1支持部材41、及び支柱23は既に結合した状態となっている。そして、図10(B)に示すように、第1雄ねじ部31が方向D1に進む回転方向に回転させて第1雄ねじ部31を第1雌ねじ孔24に螺挿させる。
図11(A)に示すように、第1雄ねじ部31を第1雌ねじ孔24に螺挿させることより底面18A側から上面18B面側へ第1雄ねじ部31が通過した場合、軸部32が第1雌ねじ孔24に遊嵌した状態となる。次に作業者は、第2支持部材42を用意する。図11(B)に示すように、凸となっているスパイク部35の位置に、スパイク受け部49の凹みを合わせて第1支持部材41の上に第2支持部材42を載置する。
次に、スパイク受け部49を中心に第2支持部材42を回転させ、図12(A)に示すように、第2雌ねじ孔44の位置に貫通孔47Aの位置を合わせる。ねじ部材43A~43Cのうち、最初は、短いほうのねじ部材43Aを使用する。そして、貫通孔47Aを通して第2支持部材42の内部にねじ部材43Aを挿入する。ねじ回しなどの治具を用いてねじ部材43Aを第2雌ねじ孔44に螺合させる。図12(B)に示すように、ねじ頭51がフランジ部48Bを係止した状態となる。
ねじ部材43Aを第2雌ねじ孔44に螺合させた後、図13(A)に示すように、スパイク受け部49を中心に第2支持部材42を回転させ、図13(B)に示すように、既にねじ部材43Aを螺合させた第2雌ねじ孔44とは別の第2雌ねじ孔44の位置に貫通孔47Aの位置を合わせる。この2番目に使用するのも短いほうのねじ部材43Bである。第2雌ねじ孔44に螺合させた後、第1支持部材41及び第2支持部材42をともに回転可能とするためである。なお、図13(A)~図14(B)は、第2支持部材42を基端側から視た状態である。
図14(A)に示すように、ねじ部材43Aと同様に、ねじ部材43Bを貫通孔47Aに挿入し、第2雌ねじ孔44に螺合させる。ねじ部材43Aと同様に、ねじ頭51がフランジ部48Bを係止した状態となる。
そして、スパイク受け部49を中心に第2支持部材42を回転させるとともに、軸部32を中心に第1支持部材41を回転させて位置合わせを行う。すなわち、図14(B)に示すように、未だねじ部材43Aを螺合させていない残りの第2雌ねじ孔44の位置に貫通孔47Aの位置を合わせるとともに、図15(A)に示すように、底板18の貫通孔25の位置に第2雌ねじ孔44及び貫通孔47Aの位置を合わせる。そして、最後に使用する長いほうのねじ部材43Cを、貫通孔47Aを通して第2支持部材42の内部に挿入する。ねじ回しなどの治具を用いてねじ部材43Cを第2雌ねじ孔44に螺合させる。ねじ部材43A、43Bと同様に、ねじ頭51がフランジ部48Bを係止した状態となる。これにより、上述したように、第1支持部材41と第2支持部材とが互いに分離することを防止する。
第1支持部材41の上面41Bから、ねじ部材43Cの先端部分52のみが突出する。この先端部分52が突出ピンとして貫通孔25と遊嵌する。これにより、脚部21は、第1雄ねじ部31が第1雌ねじ孔24に螺挿された際と逆方向に回転することがない。よって、脚部21が底板18から離脱することを防ぐことができる。上下方向を逆にすると、脚部21は、図3及び図4に示すように、底板18に取り付けられた状態となる。
次に、上記構成による作用を説明する。上述した取り付け構造により筐体11に脚部21を取り付けた場合、筐体11に対して軸部32を遊嵌させた状態を保持しつつ、脚部21が筐体11から外れることが無い。よって、電子機器10を設置する場合、作業者は、脚部21が筐体11と一体的に取り付けられた状態のまま設置することができるため、設置の作業を簡単に行うことができる。そして、筐体11と脚部21との間において遊嵌させた状態で、電子機器10を設置することができるため、脚部本体22がインシュレータとしての機能を有する。よって、振動が筐体11の内部に伝達されることを抑制することができる。筐体と脚部とが固着されている場合、脚部は、特に床面から受ける外部振動を筐体に伝達しやすいが、本実施形態では、軸部32を遊嵌させた状態で設置しているのでこのようなことがない。
また、筐体11に対する脚部21の取り付けの際、支柱の先端部に装着する抜け止め部品が不要であり、筐体11内部の部品配置の自由度が向上する。もしも、支柱の先端部にEリングやスナップピンなどの抜け止め部品を装着した場合、支柱の周囲に、電気部品を配置できない場合がある。電気部品と抜け止め部品とが接触して通電してしまうことを防ぐためである。上記構成の取り付け構造及び電子機器では、抜け止め部品を用いていないため、このような問題を回避することができる。また、抜け止め部品を装着するための溝又は穴を支柱に加工する必要が無いため、製造工程の増加を防ぐことができる。
また、本実施形態では、ねじ部材43Cの先端部分が突出ピンとして、底板18の貫通孔25と遊嵌することにより脚部21の回転を規制するため、脚部21が底板18から離脱することを防ぐことができる。これにより、脚部21と筐体11とがさらに一体的となり、筐体11から脚部21が外れることがない。
また、脚部本体22を第1支持部材41及び第2支持部材42から構成し、第1支持部材41側のスパイク部35を第2支持部材42側のスパイク受け部49で受ける構造としているため、第1支持部材41と第2支持部材との接触面積を減らすことができる。これにより筐体11内部に伝わる振動をさらに抑制することができる。
上記実施形態では、脚部本体22の上面41B全体が筐体11の底板18と接する構成としているが、図16に示す変形例では、第1支持部材41は、上面41Bから突出する筐体支持部41Dを有している。筐体支持部41Dは、上面41Bよりも外径が小さい円柱状の突出部であり、一体に形成されている。筐体支持部41Dは、底板18と当接して筐体11の荷重を支持する。底板18と脚部本体22との接触面積が減少するため、筐体11内部に伝わる振動をさらに抑制することができる。なお、筐体支持部41Dの形状としては、これに限らず円錐状、半球状、三角錐状、又は円筒状など、単なる平面よりも接触面積が減少する形状であればどのような形状でもよい。
上記実施形態の別の変形例としては、図17に示すように、脚部本体22を1つの部品から構成し、さらに、脚部本体22と支柱23とを一体に設けてもよい。支柱23には、上記実施形態と同様に、第1雄ねじ部31及び軸部32を有する。よって、上記第1実施形態と同様に、筐体11に対して軸部32を遊嵌させた状態を保持しながら、筐体11から外れることが無い。一方、脚部本体22及び支柱23の部品点数を減少させ、製造工程を少なくすることができる。
上記実施形態では、上述した取り付け構造を用いて脚部を取り付ける電子機器として、デジタル音声データの再生機器を例示しているが、これに限らず、ファンやディスクを回転させるためにモータを備えたオーディオ機器、パーソナルコンピュータ等、音を発するための振動板を備えたスピーカ、音を増幅するためのアンプ、マスタークロックを生成するための発振器、電磁誘導を利用して電圧を変換する電源トランスを備えたものなど、種々の電子機器に本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、支柱及び脚部本体を金属から形成しているが、これに限らず、例えば樹脂から形成してもよい。
本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10 電子機器
11 筐体
12 電源ボタン
13 インジケータ
14 メディア挿入口
15 天板
16 前板
17 側板
18 底板
18A 底面
18B 上面
21 脚部
22 脚部本体
23 支柱
24 第1雌ねじ孔
25 貫通孔
31 第1雄ねじ部
32 軸部
33 第2雄ねじ部
34 円盤部
35 スパイク部
41 第1支持部材
41A 底面
41B 上面
41C 外周面
41D 筐体支持部
42 第2支持部材
43A、43B、43C ねじ部材
44 第2雌ねじ孔
45 第3雌ねじ部
46 切り欠き部
46A 大径部
46B 小径部
46C 上端
47 ベース板部
47A 貫通孔
48 荷重支持部
48A 先端面
48B フランジ部
49 スパイク受け部
51 ねじ頭
52 先端部分
D1 方向
LA 軸長
LO1、LO2、LO3 長さ
RA 外径
RD 外径
RI 内径
RO1 外径
RO2 外径
S 設置面
T 厚み

Claims (8)

  1. 電子機器の筐体に取り付ける脚部の取付構造であって、
    前記筐体を構成し、複数の第1雌ねじ孔が形成された底板と、
    前記脚部とを備え、
    前記脚部は、
    前記底板と前記電子機器の設置面との間に配される脚部本体と、
    前記脚部本体と一体に設けられた支柱とを備え、
    前記支柱は、
    先端に位置し、前記第1雌ねじ孔に螺挿される第1雄ねじ部と、
    前記脚部本体と前記第1雄ねじ部との間を繋ぐ軸部であり、外径が前記第1雌ねじ孔の内径よりも小さく、かつ軸長が前記底板の厚み以上の寸法に形成され、前記第1雌ねじ孔と遊嵌する軸部とを有し、
    前記第1雄ねじ部を前記第1雌ねじ孔に螺挿させることより前記底板の一方の面側から他方の面側へ通過した場合、前記軸部が前記第1雌ねじ孔に遊嵌した状態となり、前記第1雄ねじ部が前記底板の他方の面に係止される脚部の取り付け構造。
  2. 前記脚部本体は、前記軸部と連結した第1支持部材と、前記第1支持部材の基端側に位置する第2支持部材とを備え、
    前記第1支持部材の基端部から突出し、周囲に対して一段凸となるスパイク部を有し、
    前記第2支持部材の先端面において、周囲に対して一段凹となるスパイク受け部を有しており、
    前記第2支持部材は、前記スパイク受け部が前記スパイク部と当接して前記第1支持部材、前記支柱及び前記筐体からの荷重を支持する請求項1記載の脚部の取り付け構造。
  3. 前記第1支持部材は、複数の第2雌ねじ孔を有し、
    前記脚部本体は、前記第2雌ねじ孔に螺合する複数のねじ部材を備え、
    前記第2支持部材は、前記スパイク受け部の周囲から外側へ突出するフランジ部を有し、
    前記第1支持部材と前記第2支持部材とは、前記第2雌ねじ孔に螺合するねじ部材が前記フランジ部を係止することにより互いに分離することを防止する請求項2記載の脚部の取り付け構造。
  4. 前記脚部本体は、前記底板と対面する先端面から突出する突出ピンを有し、
    前記突出ピンが前記底板に形成された貫通孔と遊嵌することにより、前記脚部が前記軸部を中心に回転することを規制する請求項1ない3のいずれか1項に記載の脚部の取り付け構造。
  5. 前記突出ピンは、前記複数のねじ部材の少なくとも1つであり、前記第1支持部材と螺合して前記脚部本体の先端から突出した前記ねじ部材の先端部分が前記突出ピンとして前記貫通孔と遊嵌する請求項3を引用する請求項4記載の脚部の取り付け構造。
  6. 前記脚部本体は、前記底板と対面する先端面から突出する筐体支持部を有しており、
    前記筐体支持部は、前記底板と当接して前記筐体の荷重を支持する請求項1ないし5のいずれか1項記載の脚部の取り付け構造。
  7. 前記スパイク部は、円錐状、三角錐状、及び半球状のいずれか1つであり、
    前記スパイク受け部は、前記スパイク部の形状に合わせて前記第2支持部材の先端面から切り欠かれた切り欠き部である請求項2、又は請求項2を引用する請求項3ないし6のいずれか1項記載の脚部の取り付け構造。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の脚部の取り付け構造で筐体に取り付けられた脚部を備える電子機器。
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