JP7412657B1 - 高純度塩酸の製造方法 - Google Patents

高純度塩酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7412657B1
JP7412657B1 JP2023552493A JP2023552493A JP7412657B1 JP 7412657 B1 JP7412657 B1 JP 7412657B1 JP 2023552493 A JP2023552493 A JP 2023552493A JP 2023552493 A JP2023552493 A JP 2023552493A JP 7412657 B1 JP7412657 B1 JP 7412657B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrochloric acid
hydrogen chloride
purity
gas
chloride gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023552493A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023238627A1 (ja
JPWO2023238627A5 (ja
Inventor
直人 望月
隆馬 田中
聡洋 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Publication of JPWO2023238627A1 publication Critical patent/JPWO2023238627A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7412657B1 publication Critical patent/JP7412657B1/ja
Publication of JPWO2023238627A5 publication Critical patent/JPWO2023238627A5/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B7/00Halogens; Halogen acids
    • C01B7/01Chlorine; Hydrogen chloride
    • C01B7/07Purification ; Separation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

低沸点不純物、好適には水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる少なくとも一種を含有する、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸に塩化水素ガスを気液接触させる方法であって、該塩化水素ガスの気液接触が、前記塩化水素濃度が飽和値に達した後、さらに、該飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させる。

Description

本発明は、高純度塩酸の製造方法、具体的には、低沸点不純物の含有量が低減された高純度塩酸の製造方法に関する。
塩酸は広範囲の用途を持つ工業基礎原料であり、特に近年では、半導体製造プロセスにおいて、基板のエッチングや洗浄用途に有用に使用されている。また、これを気化させた塩化水素ガスも、同様に半導体製造プロセスにおいて、エッチングガスやクリーニングガスとして有用である。而して、斯様な半導体製造用塩酸に対しては、集積回路の高集積化に伴い不純物が含まれていると欠陥や電気的特性の低下を引き起すため、その含有量を極力低下させることが求められる。
高純度塩酸は、塩素と水素とを反応させて直接合成した合成塩化水素ガス、または、塩化ビニル等の塩素化炭化水素の製造工程などにおいて副生する副生塩化水素ガスを原料とし、これを水に吸収させた後に高純度化処理を施すことで専ら製造されている。その際の高純度化処理としては、前記原料塩化水素ガスを水に吸収させて得た粗塩酸を、蒸留または放散に供する方法が汎用的である(非特許文献1)。ところが、この方法では、金属不純物などの高沸点成分は効率よく除去できる一方で、前記粗塩酸には上記金属不純物の他にも、前記塩化水素ガスの製造方法に由来して、水素、メタン、エチレン、及びアセチレン等の低沸点な不純物も有意に含有されているところ、該低沸点不純物は逆に濃縮されてしまうという課題がある。
このため低沸点不純物の除去処理も施すことが求められ、その対策として例えば、前記粗塩酸に不活性ガスを通して曝気処理を施すことが行われている(例えば、特許文献1)。この曝気処理において不活性ガスとしては、空気、窒素、酸素、炭酸ガス、アルゴン等を使用することが示されている(特許文献1、第2頁、左下欄2行目~8行目)。
特開昭48-66095号公報 特開2016-150869号公報 特表2013-545704号公報
鈴木,"塩化水素の製造ならびに取り扱いについて",高圧ガス,Vol.2 No.4,pp.223-231(1965)
上記粗塩酸に、不活性ガスによる曝気処理を施す方法によれば、前記水素、メタン、エチレン、及びアセチレン等の低沸点不純物はかなりに低含有量まで放出除去でき有意義である。しかし、それでもまだその除去効率は十分に満足できるほどではなく、さらに一層の向上が望まれていた。
しかも、前記不活性ガスとして掲げられたガスは、確かに、塩酸に対して活性が低い成分ではあるが、それでもこのもの自体が塩化水素に対して異成分であることに変わりはない。そして、塩酸に前記曝気処理が施されれば、上記多くの低沸点不純物が放出除去される一方で、係る不活性ガスについても、その一定量が塩酸に新たに溶解することが不可避に生じる。
近年、半導体集積回路では微細化と高集積化は益々に進行し、これに応じて、その製造で用いる半導体製造用薬剤に対しても一層の高純度化が要求されている。こうした背景にあって、高純度塩酸では、たとえ前記不活性ガスに掲示されるようなガス成分であっても、前記目的物質とは異成分である以上、これが有意に含有されることは決して望まれるものではない。即ち、その製造では、前記窒素や酸素等の、不活性ガスに該当するガスも、高純度化の阻害要因になる除去すべき不純物として扱われている(例えば、特許文献2〔0003〕及び〔0081〕表1、特許文献3〔0007〕及び〔0036〕表1表2)。ところが、前記粗塩酸の曝気処理で溶解する不活性ガスガス成分は、後に蒸留等の他の精製手段を施しても、これを完全に除去することは決して簡単ではない。
以上から、高純度塩酸の製造方法において、低沸点不純物を高度に除去し、特に、窒素や酸素等の、不活性ガスに該当するガス成分の含有量も低く抑えることができる方法を開発することが大きな課題であった。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸に対して、塩化水素ガスを特定量で気液接触させることにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、低沸点不純物を含有する、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸に塩化水素ガスを気液接触させる方法であって、該塩化水素ガスの気液接触が、前記塩化水素濃度が飽和値に達した後、さらに、該飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させる、ことを特徴とする高純度塩酸の製造方法である。
本発明の方法によれば、粗塩酸から低沸点不純物を高度に除去し、さらに、窒素や酸素等の、不活性ガスに該当する異ガス成分の含有量も低く抑えて、高純度塩酸を効率的に製造できる。
図1は、本発明の高純度塩酸の製造方法の代表的態様を示すフロー図である。 図2は、図1に示した高純度塩酸の製造方法を組み入れて、高純度塩化水素ガスを製造する方法を示すフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の方法に供される粗塩酸は、塩化水素濃度が飽和値未満の、低沸点不純物を含有する塩酸である。ここで、塩酸の飽和濃度は常圧下においても液温によって異なり、例えば、液温10℃において43.3質量%、液温20℃において41.8質量%、30℃において38.8質量%、40℃において37.3質量%、50℃において35.9質量%、60℃において34.8質量%であることが知られている。
粗塩酸の塩化水素濃度は、その液温での塩化水素の飽和値よりも2.0質量%下回る値以下、より好適には3.0質量%下回る値以下であるのが、低沸点不純物の除去効果を高める観点から好ましい。他方で、粗塩酸の塩化水素濃度は、あまり低すぎでも入手が容易でなくなる他、塩化水素ガスの気液接触装置も大型化が必要になるため、前記粗塩酸の液温での塩化水素の飽和値よりも15.0質量%下回る値以上、より好適には8.0質量%下回る値以上であるのが好ましい。すなわち、塩化水素の飽和濃度が40.0質量%の場合、粗塩酸の塩化水素濃度は、25.0質量%以上38.0質量%以下、より好適には32.0質量%以上37.0質量%以下であるのが好ましい。
本発明において、粗塩酸に含有される低沸点不純物は、蒸留によって、塩化水素と分離がし難くなる沸点が-65℃以下、好適には沸点が-80℃以下の化合物をいう。具体的には、粗塩酸には、前記合成塩酸であれば水素等の未反応原料が含有され、前記副生塩化水素ガスから得たものであれば、メタン、エチレン、アセチレン等が含有され、さらに、大気成分に起因して、窒素、酸素、アルゴン等が含有される。本発明において、粗塩酸は、上記低沸点不純物の中でも、水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれ少なくとも一種を、各0.1質量ppmを超えて、より好適には0.2質量ppmを超えて、特に好適には0.25質量ppmを超えて含有するものであるのが、その精製の効果が顕著に発揮されて好ましい。
粗塩酸が、後述する塩素と水素とを反応させて直接合成した合成塩酸の場合には、低沸点不純物は、主要には、水素が1質量ppmを超えて、より好適には2質量ppmを超えて、窒素が10質量ppmを超えて、より好適には20質量ppmを超えて、酸素が2質量ppmを超えて、より好適には4質量ppmを超えて含まれるのが一般的である。他方で、粗塩酸が、後述する塩化ビニルの製造工程で副生する塩化水素ガスを水に吸収して得られる副生塩酸の場合には、低沸点不純物は、主要には、エチレンが0.5質量ppmを超えて、より好適には1質量ppmを超えて、アセチレンが4質量ppmを超えて、より好適には8質量ppmを超えて、窒素が2質量ppmを超えて、より好適には4質量ppmを超えて、酸素が1質量ppmを超えて、より好適には2質量ppmを超えて含まれるのが一般的である。
なお、粗塩酸に含有される低沸点不純物は、あまり含有量が多すぎても十分な除去が達成されない虞が生じるため、上記した水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物は、各100質量ppm以下、より好適には50質量ppm以下であるのが好ましい。また、これら水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物の総量は200質量ppm以下、より好適には100質量ppm以下であるのが好ましい。
本発明においてこれら粗塩酸は、前記要件を満足するものであれば特に限定されるものではなく、市販または内製したものを用いることができる。内製の場合、塩素と水素とを反応させて直接合成した合成塩化水素ガス、または、塩化ビニル、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素の製造工程、フルオロカーボン製造工程、ウレタン製造工程、ポリカーボネート製造工程などにおいて副生する副生塩化水素ガス等を、水に吸収させて得たものが挙げられる。このうち塩素と水素とを反応させた合成塩化水素ガスを水に溶解させて得たものが、純度が高く好ましい。
本発明の方法では、前記低沸点不純物を含有する、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸に対して、塩化水素ガスを気液接触させる。本発明の最大の特徴は、この気液接触を、前記塩化水素濃度が飽和値に達した後、さらに、該飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させて行う点にある。これにより粗塩酸に含有されていた、前記低沸点不純物を高度に除去することが可能になる。
即ち、粗塩酸に塩化水素ガスを気液接触させることにより、該塩化水素ガスは粗塩酸に溶解し、その濃度は飽和値に達するまで上昇する。これにより、得られた飽和塩酸中において低沸点不純物は気相に除去され易い状態になる。この現象は、高濃度の電解質を含む水溶液下において、低分子や有機物の溶解度が低下する塩析効果によるものとして説明できる。その上で本発明では、この状態からさらに塩化水素ガスによる気液接触を、前記飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させるため、低沸点不純物は高効率に気相に放出させることが可能になる。
具体的には、粗塩酸は、前記水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物の少なくとも一種を、各0.2質量ppmを超えて含んでなるものであれば、その上記量を超えて含む低沸点不純物を各0.2質量ppm以下、より好適には各0.1質量ppm以下の含有量に低減させることも可能である。特に、上記窒素や酸素は、粗塩酸に気液接触させる不活性ガスとして、これらを採択した場合には、このものを十分に除去することが困難になり、場合によっては増加させてしまう虞もあるが、本発明によれば、斯様に気液接触させるガス成分として、前記精製の目的物質そのものである塩化水素ガスを用いるため、これら窒素や酸素までをも高度に低減させることが可能になる。無論、粗塩酸に気液接触させるガス成分が、上記窒素や酸素以外の、粗塩酸には通常含有されてこない、他の不活性ガス成分(アルゴン等)を用いた場合と対比すれば、これら他の異ガス成分が新たに混入し、その純度低下を引き起こすことも良好に防止できる。
本発明において、塩化水素ガスの気液接触は、前記該飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させるのが、低沸点不純物の除去高率を高めるために必要である。塩化水素ガスの接触量が、前記飽和塩酸の質量の0.1%の過剰量に満たない場合、塩化水素ガスの全量近くが粗塩酸に吸収される虞があり、この場合、低沸点不純物の気相への放出が促されず、その除去効果が十分に発揮されなくなる。低沸点不純物をより高度に除去するためには、塩化水素ガスの接触量は、前記飽和塩酸の質量の0.2%以上の過剰量であるのが特に好ましい。
塩化水素ガスの接触量の上限は、特に制限はないが、あまり多量に接触させると、気相に排出される塩化水素ガスの量が多くなりコスト的に好ましくない。このため、前記飽和塩酸の質量に対して5.0%以下、より好適には1.0%以下の過剰量に留めるのが望ましい。
前記気液接触に使用する塩化水素ガスは、市販の塩化水素ガスや、前記本発明の方法に供する粗塩酸で説明したのと同様の由来により内製したものなどが制限なく使用される。もちろんのこと、得られる塩酸をより高純度なものとするためには、塩化水素ガスは、できるだけ高純度のものを使用するのが好ましい。具体的には塩化水素ガスは、水分を除いた純度が99.9質量%以上、特には99.99質量%以上のものを用いるのが好ましい。また、塩化水素ガスは、水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物のいずれもを15モルppm以下、より好適には5モルppm以下のものを用いるのが特に好ましい。
さらに詳しくは後述するが、こうした高純度な塩化水素ガスとして、本発明の方法により製造した高純度塩酸を、蒸留または放散させて得たものを循環使用するのが、効率性の観点から特に好適な態様である。
塩化水素ガスを、粗塩酸に気液接触させる方法は、公知の気液接触方法を適宜に採用すれば良い。例えば、濡れ壁塔、充填塔、スプレー塔、気泡塔、泡鐘塔などのガス吸収塔等により実施するのが好ましく、このうち充填塔により実施するのが特に好ましい。充填塔に充填する充填物としては、例えばラシヒリング、ポールリング、テラレット(登録商標)など、既存のものを用いることができる。これらガス吸収塔では、粗塩酸を上方から下方に流通させ、塩化水素ガスを下方から上方に流通させ、両者を向流接触させるのが、効率性の面から好ましい。
気液接触は、得られる高純度塩酸の温度が5~60℃の範囲となるように、粗塩酸及び塩化水素ガスの各温度、または装置の加熱・冷却を調節することが望ましい。粗塩酸の液温が低いほうがより、低沸点不純物の除去効率が高い傾向にあるが、あまり低すぎると氷結を生じる恐れがあるため好ましくない。このため粗塩酸の液温は、20~45℃、より好適には25~40℃であることが望ましい。
上記説明した本発明の高純度塩酸の製造は、例えば、本発明の高純度塩酸製造装置を用いて実施できる。かかる本発明の高純度塩酸製造装置としては、例えば、上部に接続された塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸を供給する粗塩酸供給管と、下部に接続された高純度の塩化水素ガスを供給する塩化水素ガス供給管と、底部に接続された高純度塩酸取出管と、頂部に接続された塩化水素ガス排出管とを具備するガス吸収塔を備えている装置が挙げられる。本発明の高純度塩酸製造装置は、粗塩酸を上方から下方に流通させ、塩化水素ガスを下方から上方に流通させ、両者を向流接触させて効率的に気液接触を行うことができる。ガス吸収塔としては、例えば、濡れ壁塔、充填塔、スプレー塔、気泡塔、泡鐘塔等が挙げられる。なお、高純度塩酸取出管は、塩化水素ガス供給管の下方に配置されていればよく、塩化水素ガス排出管は、粗塩酸供給管の上方に配置されていればよい。
本発明の高純度塩酸の製造方法について、その代表的態様を示すフロー図を図1として示す。図1において、充填塔1では、上部に接続される粗塩酸供給管2から、低沸点不純物を含有する、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸が供給される。他方で、充填塔1の下部に接続される塩化水素ガス供給管3から塩化水素ガスが供給される。この結果、充填塔1では、前記粗塩酸が上方から下方に流通され、塩化水素ガスは下方から上方に流通され、両者は向流接触される。この向流接触の過程で、粗塩酸の塩化水素濃度は上昇し飽和値に達した後、さらに、該飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量になるまで接触処理される。これにより、粗塩酸に含有されていた低沸点不純物は気相に高度に放出除去され、充填塔1の頂部に接続される塩化水素ガス排出管4から系外に、塩化水素ガスとともに排出される。斯くして充填塔1の底部には、低沸点不純物が除去された、飽和濃度の高純度塩酸が貯留され、高純度塩酸取出管5から取得することができる。
以上の方法により製造された高純度塩酸は、低沸点不純物が高度に除去された飽和塩酸になる。斯様な高純度塩酸は、所望により他の精製手段を施し、また希釈する等して、前述の半導体製造用途に好適に使用できる。
半導体用途において、エッチングガスやクリーニングガス等のガス剤として使用する場合には、高純度塩酸は気化させて高純度な塩化水素ガスとする必要がある。また、粗塩酸が、低沸点不純物だけでなく、金属不純物も含有される場合には、塩化水素ガスとの気液接触ではこれら金属不純物は残留するため、その除去も必要になる。従って、これらの場合には、本発明により得られた高純度塩酸は、続けて蒸留または放散に供して塩化水素ガスとして回収することが好ましい。
このような高純度な塩化水素ガスの製造(回収)は、例えば、本発明の高純度塩化水素ガス製造システムを用いて実施できる。かかる本発明の高純度塩化水素ガス製造システムとしては、例えば、上記説明した本発明の高純度塩酸製造装置と、高純度塩化水素ガス製造装置とを備えるシステムが挙げられる。具体的に、本発明の高純度塩化水素ガス製造システムは、高純度塩化水素ガス製造装置が、高純度の塩酸を供給する高純度塩酸供給管、頂部に接続された高純度塩化水素ガス取出管、および底部に接続された塔底液排出管を具備するガス化塔を備えており、高純度塩酸製造装置の高純度塩酸取出管及び高純度塩化水素ガス製造装置の高純度塩酸供給管が接続されると共に、高純度塩化水素ガス製造装置の高純度塩化水素ガス取出管及び高純度塩酸製造装置の塩化水素ガス供給管が接続されてなるシステムである。
すなわち、本発明の高純度塩化水素ガス製造システムは、高純度塩酸製造装置で製造された高純度塩酸を高純度塩化水素ガス製造装置に供給し、高純度塩化水素ガス製造装置で製造された高純度塩化水素ガスの一部を高純度塩酸製造装置に供給する循環システムを構築した製造システムである。高純度塩化水素ガス製造装置のガス化塔としては、蒸留塔、放散塔が挙げられる。また、高純度塩酸製造装置の塩化水素ガス供給管に接続される高純度塩化水素ガス製造装置の高純度塩化水素ガス取出管は、主取出管とは独立した別の取出管であってもよいし、主取出管から分岐した分岐管であってもよい。
高純度塩化水素ガスの製造方法について、その代表的態様のフロー図を、図2として示す。
図2に示される高純度塩化水素ガスの製造方法において、充填塔101を用いての粗塩酸からの低沸点不純物の除去工程は、前記図1で説明した、充填塔1による高純度塩酸の製造と同様に実施すればよい。続けて図2の態様では、高純度塩酸取出管105から取り出された高純度塩酸は、高純度塩酸取出管105に接続された高純度塩酸供給管110より蒸留塔106に供給され、塔内で蒸留される。この蒸留により、底部に接続された塔底液排出管107には、高純度塩酸に含有されていた前記金属不純物が塔底液に濃縮されて系外へ排出される。他方で、頂部に接続された高純度塩化水素ガス取出管108からは、上記金属不純物が除去された高純度塩化水素ガスが取り出される。この高純度塩化水素ガスは、必要に応じて他の精製手段を施した後、圧縮液化して、ボンベ又はタンク等で貯蔵および輸送し、半導体製造プロセス等のユースポイントで気化させて使用すれば良い。或いは、前記高純度塩化水素ガスは、再度、水に吸収させて高純度塩酸として、前記半導体製造プロセス等のユースポイントに輸送して使用すれば良い。
なお、上記図2に示した高純度塩化水素ガスの製造方法では、高純度塩酸からの塩化水素ガスの気化は、蒸留塔106により実施しているが、これを放散塔に変えて実施しても良い。ここで、蒸留とは、例えば、処理液の供給位置より上部の濃縮部と供給位置より下部の回収部を塔内に有する装置を用いるものを指し、放散とは、例えば、塔頂より原料を供給し、塔内に濃縮部を有しない装置を用いるものを指す。
図2の方法において蒸留または放散は、回分式で行うことも可能であるが、連続式で行うことが好ましい。蒸留または放散を行う装置としては、充填塔や棚段塔などの公知の蒸留塔または放散塔を使用することができる。また、充填塔に充填する充填物としては、例えばラシヒリング、ポールリング、テラレット(登録商標)など、既存のものを用いることができる。なお、塩化水素ガスの純度、脱水率および収率を高めるため、蒸留、放散のいずれにおいても、塔頂に凝縮器を備え、一部を塔に循環させることは効果的である。蒸留または放散における温度は、塔底温度60~108℃、塔頂温度60℃以下の条件であることが好ましい。
こうした蒸留または放散により除去される金属不純物を例示すれば、ホウ素、ナトリウム、アルミニウム、リン、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ヒ素、モリブデン、カドミウム、アンチモン、タングステン、鉛、ビスマスの18種が主要であるが、他にリチウム、ベリリウム、マグネシウム、ケイ素、カリウム、バナジウム、マンガン、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、銀、スズ、バリウム、タンタル、金、水銀、タリウムを含めた20種も対象となる。
塩化水素ガスによる気液接触で得られた高純度塩酸は、これら38種の各元素からなる金属不純物の総含有量が50質量ppb以上、汚染が激しい場合には100質量ppb以上であることもあるが、蒸留または放散に供することにより、その含有量を1.0質量ppb以下、より好適には0.7質量ppb以下に低減させることも可能である。
併せて、前記塩酸中に臭化水素(通常5~200質量ppm)が含まれている場合には、該臭化水素の沸点(-66℃)は塩化水素の沸点より高いので、これも塔底液に濃縮して除去することができる。これにより上記臭化水素の含有量を0.1モルppm未満に清浄化した高純度塩化水素ガスを得ることも可能である。同様に、塩化ビニルの製造工程で副生する副生塩化水素ガスを原料とした場合には、蟻酸や酢酸などの低分子カルボン酸が塩酸中に3質量ppm以上、より一般的には6~20質量ppm含有されているが、前記条件で蒸留または放散することで、これらの有機不純物を良好に除去することが可能になる。
なお、斯様な蒸留または放散によって、塔頂から高純度塩化水素ガスが得られるが、処理に供した塩酸中に低沸点不純物が残留していると、これもまた塔頂側から排出される。結果として塩化水素ガス中に含まれる低沸点不純物は、処理に供した塩酸中の値よりも若干には高くなる。これは例えば、前記塩酸中の低沸点不純物のそれぞれの含有量が、水素は0.01質量ppm以下、メタンは0.1質量ppm以下、窒素、酸素、エチレンおよびアセチレンは0.2質量ppm以下に低減されたものであれば、通常、このそれぞれの含有量が1.0モルppm以下の範囲で高まる程度にすぎない。
このように図2に示した高純度塩化水素ガスの製造方法によれば、極めて高純度な塩化水素ガスが得られる。従って、その一部を、前記粗塩酸に気液接触させる塩化水素ガスに循環使用すれば、外部から塩化水素ガスを用意するための追加設備を設けることなく、効率的に前記粗塩酸への気液接触を実施することができる。図2のフロー図で示せば、高純度塩化水素ガス取出管108を流通する高純度塩化水素ガスは、分岐されて高純度塩化水素ガス循環管(高純度塩化水素ガス供給管)109により、充填塔101に戻され、粗塩酸に気液接触させる塩化水素ガスとして良好に使用される。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例において実施されている物性の測定は、以下の方法により求めた。
1)塩酸に含有される低沸点不純物量の測定
石英ガラス製の蒸留装置に塩酸を流通しながら蒸留することにより、得られる気相ガス中の不純物量を2)の方法で測定した後、これを塩酸中の全不純物量として換算した。
2)塩化水素ガスに含有される低沸点不純物量の測定
ヘリウムをキャリアガスとして規定量の塩化水素ガスを吸着カラムに流通することで塩化水素ガスを吸着除去し、残存ガスをガスクロマトグラフィで分析することによって定量した。
3)塩酸に含有される金属不純物量の測定
誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して定量した。測定は、ホウ素、ナトリウム、アルミニウム、リン、カルシウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ヒ素、モリブデン、カドミウム、アンチモン、タングステン、鉛、ビスマス、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、ケイ素、カリウム、バナジウム、マンガン、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、銀、スズ、バリウム、タンタル、金、水銀、タリウムの合計38種の金属元素に対して実施した。
4)塩化水素ガスに含有される金属不純物量の測定
超純水に任意の量の塩化水素ガスを吸収させて得られる塩酸を、3)の方法で分析したのち、塩酸中の不純物の全量が塩化水素ガスに起因するものとして換算した。
実施例1
図1に示した製造フローからなる装置を用いて、高純度塩酸の製造を実施した。
原料の粗塩酸として、塩化ビニルの製造工程で副生する塩化水素ガスを水に吸収して得られたものを使用した。塩酸中の塩化水素濃度は32.0質量%で、主要な低沸点不純物として、アセチレンが9質量ppm、エチレンが1質量ppm、窒素が5質量ppm、酸素が2質量ppm含まれているものであった。また、主要な金属不純物として、ホウ素が0.4質量ppb、ナトリウムが1.4質量ppb、マグネシウムが0.2質量ppb、アルミニウムが0.2質量ppb、カルシウムが0.8質量ppb、鉄が0.7質量ppb、ニッケルが0.6質量ppb、銅が0.2質量ppb、亜鉛が0.6質量ppbが含有されており、前記38種の金属元素の総含有量は5.1質量ppbであった。さらに、上記粗塩酸は、その他の主要な不純物として臭化水素が20質量ppm含有されていた。
図1に基づき、この粗塩酸を30℃の液温(塩酸の飽和濃度は38.8質量%)下で、10.0kg/hの流量で、粗塩酸供給管2から、樹脂製の不規則充填物(ラシヒリング)が充填された充填塔1の上部に供給し、充填塔1内を流下させた。他方、純度99.999%以上の高純度塩化水素ガスを、30℃の温度下で、662g/h(407NL/h)の流量で、塩化水素ガス供給管3から充填塔1の下部に供給し、前記粗塩酸に気液接触(向流接触)させた。ここで、上記高純度塩化水素ガスは、水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物のいずれもが1モルppm以下の含有量であり、金属不純物の含有量も主要38元素のいずれもが0.1質量ppb以下の含有量の清浄なものであった。
上記気液接触の結果、塔底に接続される高純度塩酸取出管5から、塩化水素濃度36.1質量%の飽和塩酸(49℃)が10.6kg/hの流量で得られた。この気液接触は、飽和塩酸を得るのに必要な塩化水素の量に加え、さらに得られる飽和塩酸の質量の0.2%過剰な塩化水素が接触された条件での実施であった。なお、塔頂に接続される塩化水素ガス排出管4からの排ガス量は15NL/hであった。
上記高純度塩酸取出管5から得られた塩酸について、低沸点不純物の含有量を測定したところ、アセチレンが0.04質量ppmであり、エチレン、窒素、酸素はいずれも0.05質量ppm未満であり、極めて高純度なものであった。
実施例2
図2に示した製造フローからなる装置を用いて、高純度塩化水素ガスの製造を実施した。
図2において、充填塔101を用いての粗塩酸からの低沸点不純物の除去工程は、実施例1における、前記高純度塩酸の製造と同様に実施した。なお、塩化水素ガス供給管3から充填塔1に供給する高純度塩化水素ガスは、当該低沸点不純物の除去工程で充填塔1から高純度塩酸取出管105に排出された高純度塩酸を、後述する蒸留塔106で蒸留して、高純度塩化水素ガス取出管108に流出した塩化水素ガスの一部を高純度塩化水素ガス循環管109に抜き出し(407NL/h分)て充填塔101に戻すことにより実施した。
高純度塩酸取出管105から取り出された高純度塩酸は、10.6kg/hの流量で蒸留塔106に導入し、塔底温度110℃、塔頂温度30℃の条件で蒸留を行った。その結果、塔頂に接続される高純度塩化水素ガス取出管108からは、塩化水素濃度が99.77質量%、水分が0.23質量%の塩化水素ガスが1270NL/hの流量で得られた。
この塩化水素ガス中の低沸点不純物を分析したところ、アセチレンが0.2モルppmであり、エチレン、窒素、酸素は0.05モルppm未満の高純度なものであった。また、金属不純物は主要38元素のいずれもが0.1質量ppb以下であった。さらに、臭化水素の含有量は0.1モルppm未満であった。
なお、塔底の塔底液排出管107からは、塩化水素濃度20.7質量%の希釈塩酸11が8.6kg/hの流量で排出された。
実施例3
原料の粗塩酸として、水素と塩素とを合成することで得られる塩化水素ガスを水に吸収して得られたものを使用した。塩酸中の塩化水素濃度は32.0質量%で、主要な低沸点不純物として、水素が2質量ppm、窒素が30質量ppm、酸素が5質量ppm含まれているものであった。また、主要な金属不純物として、ナトリウムが103.3質量ppb、マグネシウムが11.1質量ppb、アルミニウムが1.2質量ppb、カリウムが33.1質量ppb、カルシウムが35.5質量ppb、マンガンが0.2質量ppb、鉄が15.3質量ppb、ニッケルが0.2質量ppb、亜鉛が1.7質量ppb、ストロンチウムが0.2質量ppb、バリウムが1.7質量ppb、鉛が0.3質量ppb含有されており、前記38種の金属元素の総含有量は203.8質量ppbであった。さらに、上記粗塩酸は、その他の主要な不純物として臭化水素が150質量ppm含有されていた。
図1に基づき実施例1と同様に、この粗塩酸を10.0kg/hの流量で、他方、純度99.999%以上の高純度塩化水素ガスを662g/h(407NL/h)の流量で、充填塔1にそれぞれ供給して気液接触させた(低沸点不純物除去工程)。その結果、塔底に接続される高純度塩酸取出管5から、塩化水素濃度36.1質量%の飽和塩酸が10.6kg/hの流量で得られた。この気液接触は、飽和塩酸を得るのに必要な塩化水素の量に加え、さらに得られる飽和塩酸の質量の0.2%過剰な塩化水素が接触された条件での実施であった。なお、塔頂に接続される塩化水素ガス排出管4からの排ガス量は15NL/hであった。
上記高純度塩酸取出管5から得られた塩酸について、沸点不純物の含有量を測定したところ、水素は0.01質量ppm未満、窒素、酸素はいずれも0.05質量ppm未満に低減されていた。
実施例4
図2に示した製造フローからなる装置を用いて、実施例2と同様にして、実施例3で得られた高純度塩酸から高純度塩化水素ガスを製造した。
高純度塩酸取出管105から取り出された高純度塩酸は、10.6kg/hの流量で蒸留塔106に導入し、塔底温度110℃、塔頂温度30℃の条件で蒸留を行った。その結果、塔頂の高純度塩化水素ガス取出管108から塩化水素濃度が99.77質量%、水分が0.23質量%の塩化水素ガスが1270NL/hの流量で得られた。
この塩化水素ガス中の低沸点不純物を分析したところ、水素、窒素、酸素のいずれも0.05モルppm未満の高純度なものであった。また、金属不純物は主要38元素のいずれもが0.1質量ppb以下であった。さらに、臭化水素の含有量は0.1モルppm未満であった。
なお、塔底の塔底液排出管107からは、塩化水素濃度20.7質量%の希釈塩酸11が8.6kg/hの流量で排出された。
比較例1
実施例2において、同じ由来の粗塩酸を使用し、充填塔101を用いての実施例1に従った低沸点不純物除去工程を施さずに、該粗塩酸を直接に蒸留塔106に導入して蒸留精製した。
得られた塩化水素中の低沸点不純物を分析したところ、金属不純物は主要38元素のいずれもが0.1質量ppb以下に低下できていたものの、低沸点不純物は、アセチレンが63モルppm、エチレンが7モルppm、窒素が35モルppm、酸素が14モルppmに濃縮される結果であった。
比較例2
実施例1において、充填塔1での気液接触による、粗塩酸からの低沸点不純物除去工程を実施するに際し、充填塔1の下部に供給する気体として、高純度塩化水素ガスに変えて高純度窒素(純度99.999%以上)を用い、これを15NL/hの流量で充填塔1の下部に供給する以外は、同様に実施した。ここで、上記高純度窒素の、充填塔1の下部への供給量は、実施例1において、充填塔1の下部に供給させる高純度塩化水素ガス量〔662g/h(407NL/h)〕のうち、高純度塩酸に吸収されて飽和塩酸になるのに要する量を減じた過剰量分に相当量であり、換言すれば、充填塔1からの塩化水素ガスの排出ガス量〔15NL/h〕と同量分であった。
上記気液接触の結果、塔底に接続される高純度塩酸取出管5から、塩化水素濃度32.0質量%の塩酸(30℃)が10.0kg/hの流量で得られた。塔頂から排出された排ガスの量は16NL/hであった。
高純度塩酸取出管5から得られた塩酸について、低沸点不純物の含有量を測定したところ、アセチレン、エチレンおよび酸素はそれぞれ5.6質量ppm、0.6質量ppm、0.9質量ppmでありある程度には低減できていたが、窒素に関してはその含有量は5質量ppmのまま変化がなかった。
比較例3
実施例1において、充填塔1での気液接触による、粗塩酸からの低沸点不純物除去工程を実施するに際し、充填塔1の下部に供給する気体として、高純度塩化水素ガスに変えて高純度空気を用い、これを15NL/hの流量で充填塔1の下部に供給する以外は、同様に実施した。ここで、上記高純度空気の、充填塔1の下部への供給量は、実施例1において、充填塔1の下部に供給させる高純度塩化水素ガス量〔662g/h(407NL/h)〕のうち、高純度塩酸に吸収されて飽和塩酸になるのに要する量を減じた過剰量分に相当量であり、換言すれば、充填塔1からの塩化水素ガスの排出ガス量〔15NL/h〕と同量分であった。
上記気液接触の結果、塔底に接続される高純度塩酸取出管5から、塩化水素濃度32.0質量%の塩酸(30℃)が10.0kg/hの流量で得られた。塔頂から排出された排ガスの量は16NL/hであった。
高純度塩酸取出管5から得られた塩酸について、低沸点不純物の含有量を測定したところ、アセチレン、およびエチレンはそれぞれ5.6質量ppm、0.6質量ppmでありある程度には低減できていたが、窒素及び酸素に関してはその含有量はそれぞれ5質量ppm及び2質量ppmのまま変化がなかった。
比較例4
実施例1において、充填塔1での気液接触による、粗塩酸からの低沸点不純物除去工程を実施するに際し、充填塔1の下部に供給する高純度塩化水素ガスの供給量を 638g/h(392NL/h)の流量に変える以外は同様に実施した。
上記気液接触の結果、塔底に接続される高純度塩酸取出管5から、塩化水素濃度36.1質量%の飽和塩酸(49℃)が10.6kg/hの流量で得られた。この気液接触は、飽和塩酸を得るのに必要量分の塩化水素が接触された条件での実施であった。なお、供給した塩化水素ガスの全量が塩酸に吸収され、塔頂に接続される塩化水素ガス排出管4からの排ガスの排出は認められなかった。
高純度塩酸取出管5から得られた塩酸について、低沸点不純物の含有量を測定したところ、アセチレンが9質量ppm、エチレンが1質量ppm、窒素が5ppm、酸素が2ppmであり、低減効果はほとんど見られなかった。
1、101: 充填塔(ガス吸収塔)
2、102: 粗塩酸供給管
3: 塩化水素ガス供給管
4、104: 塩化水素ガス排出管
5、105: 高純度塩酸取出管
106 蒸留塔(ガス化塔)
107 塔底液排出管
108 高純度塩化水素ガス取出管
109 高純度塩化水素ガス循環管(高純度塩化水素ガス供給管)
110 高純度塩酸供給管

Claims (10)

  1. 沸点が-65℃以下の低沸点不純物を含有する、塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸に塩化水素ガスを気液接触させる方法であって、該塩化水素ガスの気液接触が、前記塩化水素濃度が飽和値に達した後、さらに、該塩化水素濃度が飽和値に達した飽和塩酸の質量の0.1%以上の過剰量が接触処理されるまで継続させる、ことを特徴とする高純度塩酸の製造方法。
  2. 粗塩酸に対する塩化水素ガスの気液接触が、ガス吸収塔により実施される、請求項1記載の高純度塩酸の製造方法。
  3. 粗塩酸が、水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる低沸点不純物の少なくとも一種を、各0.2質量ppmを超えて含まれてなる、請求項1記載の高純度塩酸の製造方法。
  4. 粗塩酸の塩化水素濃度が、該粗塩酸の液温での塩化水素の飽和値よりも2.0質量%下回る値以下、15.0質量%下回る値以上の範囲である、請求項1または請求項3記載の高純度塩酸の製造方法。
  5. 粗塩酸が、塩素と水素とを反応させた合成塩化水素ガスを水に溶解させて得たものである、請求項1または請求項3記載の高純度塩酸の製造方法。
  6. 粗塩酸に気液接触させる塩化水素ガスが、水素、窒素、酸素、メタン、エチレン、及びアセチレンから選ばれる前記低沸点不純物のいずれもが15モルppm以下のものである、請求項1または請求項3記載の高純度塩酸の製造方法。
  7. 粗塩酸に気液接触させる塩化水素ガスが、塩酸を蒸留または放散して得られたものである、請求項1または請求項3記載の高純度塩酸の製造方法。
  8. 製造された高純度塩酸を気化した塩化水素ガスを、粗塩酸に気液接触させる塩化水素ガスとして循環使用する、請求項1または請求項3記載の高純度塩酸の製造方法。
  9. 求項1記載の方法により製造した高純度塩酸を蒸留または放散に供して塩化水素を気化させる、高純度塩化水素ガスの製造方法。
  10. 上部に接続された塩化水素濃度が飽和値未満の粗塩酸を供給する粗塩酸供給管と、下部に接続された高純度の塩化水素ガスを供給する塩化水素ガス供給管と、底部に接続された高純度塩酸取出管と、頂部に接続された塩化水素ガス排出管とを具備するガス吸収塔を備える高純度塩酸製造装置と、
    高純度の塩酸を供給する高純度塩酸供給管と、頂部に接続された高純度塩化水素ガス取出管と、底部に接続された塔底液排出管とを具備するガス化塔を備える高純度塩化水素ガス製造装置と、
    を備え、
    前記高純度塩酸製造装置の高純度塩酸取出管及び前記高純度塩化水素ガス製造装置の高純度塩酸供給管が接続され、
    前記高純度塩化水素ガス製造装置の高純度塩化水素ガス取出管及び前記高純度塩酸製造装置の塩化水素ガス供給管が接続されてなる
    ことを特徴とする高純度塩化水素ガス製造システム。
JP2023552493A 2022-06-10 2023-05-18 高純度塩酸の製造方法 Active JP7412657B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022094077 2022-06-10
JP2022094077 2022-06-10
PCT/JP2023/018564 WO2023238627A1 (ja) 2022-06-10 2023-05-18 高純度塩酸の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2023238627A1 JPWO2023238627A1 (ja) 2023-12-14
JP7412657B1 true JP7412657B1 (ja) 2024-01-12
JPWO2023238627A5 JPWO2023238627A5 (ja) 2024-05-21

Family

ID=89118154

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023552493A Active JP7412657B1 (ja) 2022-06-10 2023-05-18 高純度塩酸の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7412657B1 (ja)
WO (1) WO2023238627A1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004002142A (ja) 2001-12-10 2004-01-08 Basf Ag HBrをほとんど含まないHClガス及びHBrをほとんど含まないHCl水溶液の製造方法
JP2007091560A (ja) 2005-09-30 2007-04-12 Tokuyama Corp 塩化水素ガスの精製方法
JP2010132484A (ja) 2008-12-03 2010-06-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 塩酸の精製方法
WO2021117610A1 (ja) 2019-12-09 2021-06-17 株式会社トクヤマ 高純度塩化水素ガスの製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5929521B2 (ja) * 1980-02-20 1984-07-21 チッソ株式会社 精製塩酸の製造法
JPS5953204B2 (ja) * 1980-12-23 1984-12-24 東レ株式会社 塩化水素ガス中に含まれる二酸化イオウの除去法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004002142A (ja) 2001-12-10 2004-01-08 Basf Ag HBrをほとんど含まないHClガス及びHBrをほとんど含まないHCl水溶液の製造方法
JP2007091560A (ja) 2005-09-30 2007-04-12 Tokuyama Corp 塩化水素ガスの精製方法
JP2010132484A (ja) 2008-12-03 2010-06-17 Sumitomo Chemical Co Ltd 塩酸の精製方法
WO2021117610A1 (ja) 2019-12-09 2021-06-17 株式会社トクヤマ 高純度塩化水素ガスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023238627A1 (ja) 2023-12-14
JPWO2023238627A1 (ja) 2023-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101969517B1 (ko) 드라이 에칭 가스 및 드라이 에칭 방법
TWI744462B (zh) 異丙醇組成物及異丙醇的製造方法
JP2009073837A (ja) モノクロロエチレンカーボネートの製造方法と、後続のビニレンカーボネートへの転化方法
JP5374783B2 (ja) 塩酸の精製方法
TWI653212B (zh) Method for converting butenes and method for purifying 2-fluorobutane
TWI603917B (zh) Hydrogen chloride production methods
US7217849B2 (en) Method for the preparation of n-propyl bromide
CN115335966B (zh) 半导体处理液及其制造方法
US20220411265A1 (en) Production method for high-purity hydrogen chloride gas
JP7412657B1 (ja) 高純度塩酸の製造方法
JP2018093233A (ja) ドライエッチング方法
JP5430567B2 (ja) 1,2,3,4−テトラクロロヘキサフルオロブタンの製造方法
JP6655098B2 (ja) HCl含有ガス流からHClを回収するための方法
KR20070051400A (ko) 고순도 육불화텅스텐의 제조방법
JP2015044777A (ja) 2−フルオロブタンの精製方法
JP4765630B2 (ja) フッ化カルボニルの製造方法および製造装置
TW202413269A (zh) 高純度鹽酸之製造方法
JPWO2005044725A1 (ja) 高純度液体塩素の製造方法
JP2003128412A (ja) 四弗化ケイ素の精製方法
WO2017199120A1 (en) Processes for separating organic impurities from aqueous inorganic acids
JPH0437066B2 (ja)
JP2014181194A (ja) ペンタフルオロブタンの精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230830

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230830

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7412657

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150