以下、図面を参照しながら、本開示に係る内視鏡装置について、本開示の一実施形態としての医療用の内視鏡装置を例に説明する。医療用の内視鏡装置における観察の対象部位は、例えば、呼吸器等、消化器等である。なお、本開示で説明する内視鏡装置は医療用の内視鏡装置に限られるものではなく、また、その実施例も、本発明の一部の実施例であるに過ぎず、全部の実施例ではないことは明らかである。したがって、本開示の実施例に基づき、当業者が特別な創作を行うことなしに得られる他の内視鏡装置の実施例は、全て本発明の保護範囲に属することも明らかである。
図1は、本開示の一実施形態に係る内視鏡装置の全体構成を示す外観図である。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡装置1は、被検体の内部に挿入される細長い管状の挿入部12と、挿入部12の基端側に配置された操作部11と、一側が操作部11に接続された連結可撓管(ユニバーサルコード)13と、を備えている。
挿入部12は、先端側から順に先端部12a、湾曲可動部12b及び可撓管部12cが連設されて構成されており、可撓管部12aが操作部11の連結部11aに接続された構成になっている。
また、連結可撓管13の他側には、内視鏡装置1をプロセッサ2に接続するコネクタ部13aが設けられている。プロセッサ2は、光源装置、システムコントローラ、画像処理装置等を有し、観察部位の電子画像を表示するモニタ3が付設された構成になっている。
プロセッサ2の光源装置からの照射光は、LCB(Light Carrying Bundle)の一端側に入射し、LCB内で全反射を繰り返すことによって、LCB内を他端側へ伝播する。LCBは、コネクタ部13aから連結可撓管13、及び操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延設されている。
挿入部12の先端部12aには、照明窓,観察窓(対物窓)、等が形成されている。先端部12aの内部には、この照明窓に臨ませて、LCBの出射端からの照射光が入射する配光レンズが設けられている。また、観察窓(対物窓)に臨ませて、観察部位(照明窓からの照射光の被照射部分)からの戻り光を受光する対物レンズが設けられている。
加えて、先端部12aの内部は、対物レンズを介して受光面上の各画素で結像した光学像(観察部位からの戻り光)を光量に応じた電荷として蓄積して、R,G,Bの画素信号を生成して出力する撮像素子,撮像素子を駆動制御して1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号を所定の時間間隔(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出して出力するドライバ信号処理回路、等が設けられている。
連結可撓管13の管内には、各種信号線,LCB等が挿通されている。各種信号線には、例えば、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン,ドライバ信号処理回路からの画像信号ライン,操作部11に設けられたスイッチからのスイッチ信号ライン、等が含まれる。そのうち、ドライバ信号処理回路や撮像素子の駆動信号ライン,ドライバ信号処理回路からの画像信号ラインは、操作部11を介して、挿入部12の先端部12aに延び、撮像素子やドライバ信号処理回路と接続されている。
プロセッサ2は、システムコントローラがメモリに格納された各種プログラムを実行することによって、内視鏡装置1とプロセッサ2とモニタ3とから構成される内視鏡システム全体を統合的に制御する。プロセッサ2は、コネクタ接続された内視鏡装置1からスイッチ信号ラインを介して受信したスイッチ操作信号を基に、プロセッサ2側の対応機器を駆動制御したり、画像信号ラインを介して受信した画像信号を基に、観察部位の電子画像をモニタに表示したり、画像記録媒体に記録することができる。
このような内視鏡装置1では、操作部11に設けた湾曲操作機構15によって、挿入部12の湾曲可動部12bを所望形態に湾曲させることができる。
図2は、湾曲操作機構が設けられた操作部の構成を模式的に示した断面図である。
湾曲操作機構15は、挿入部12の湾曲可動部12bを左右方向として規定される面内で湾曲させるための左右湾曲機構15LRと、湾曲可動部15を左右方向として規定される面と直交する上下方向の面内で湾曲させるための上下湾曲機構15UDとを有している。
操作部11の操作部筐体11'内には基板11bが固設され、この基板11b上には湾曲操作機構15の回動基軸21の基端側が固定されている。回動基軸21は、基端側が基板11bに固定された状態で、先端側が、操作部筐体11'に形成した貫通孔11cを介して、筐体外部(図中、上方)に突出するようになっている。
ここで、湾曲操作機構15の左右湾曲機構15LRの構成について説明する。
回動基軸21の外周面には、左右湾曲機構15LRを構成する筒状の操作軸体31が、外挿されている。操作軸体31は、その筒軸孔に回動基軸21が挿通されて、回動基軸21に対して回動可能に支持されている。
操作軸体31は、その軸線方向に沿った先端側部分に径方向外方に突出した円板状のフランジ部31aが一体的に設けられている。フランジ部31aは、その外周部分が左右湾曲機構15LRの操作部としての湾曲操作ノブ33のノブ本体33'と固定されている。
操作軸体31の外周には、後述する上下湾曲機構15UDの操作軸体41が、左右湾曲機構15LRと同様に、回動基軸21に対して操作軸体31とは独立に回動可能に外挿されている。
操作軸体31の基端側はプーリー取付部31cになっていて、プーリー35と係合している。プーリー35は、操作軸体31と一体的に回動可能になっている。
湾曲操作ノブ33は、左右湾曲機構15LRの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ33のノブ本体33'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部33aがノブ本体33'の径方向外方に突出して形成されている。
ノブ本体33'には、孔軸をノブ本体33'の中心軸に一致させて、大径の有底孔部33bが形成されている。有底孔部33bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。有底孔部33bの底部に該当するノブ本体33'の部分には、有底孔部33bの孔軸すなわちノブ本体33'の中心軸と一致させて、ロック軸部材71を挿通させるための軸挿通孔33cが貫通形成されている。
湾曲操作ノブ33は、操作軸体31の先端側のフランジ部31aに固定されている。湾曲操作ノブ33を回動操作すれば、操作軸体31は、湾曲操作ノブ33に応動して一体的に回動し、操作軸体31のプーリー取付部31cと係合しているプーリー35も、湾曲操作ノブ33及び操作軸体31と一体的に回動する。
プーリー35には、一対の同径の巻回部35a,35bが設けられている。各巻回部35a,35bには、それぞれ操作ワイヤ37a,37bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー35の回動によって、操作ワイヤ37aと操作ワイヤ37bのうちのいずれか一方の操作ワイヤ37がプーリー35に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ37がプーリー35から繰り出される。また、プーリー35の回動方向の正/逆切り換えに応じて、巻回部35a,35b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
操作ワイヤ35a,35bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、左右湾曲機構15LRの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。左右湾曲機構15LRの被作動部は、操作ワイヤ35a,35bそれぞれの巻き取り及び繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを左右方向に湾曲する。例えば、図1に示すような、湾曲可動部12bが左右いずれの方向にも湾曲していない状態(ニュートラル状態)になっているプーリー35のニュートラル回動位置では、図中のL方向に湾曲操作ノブ33を回動させると、操作軸体31も一体的に回動し、湾曲可動部12bが図中、左方に湾曲する。一方、R方向に湾曲操作ノブ33を回動させると、湾曲可動部12bが図中、右方に湾曲する。
また、実施例においては、操作軸体31の先端側のフランジ部31aがノブ本体33'に固定されることにより、ノブ本体33'の有底孔部33bは、ブレーキ機構収納室39として画成される。そして、ブレーキ機構収納室39には、操作軸体31の先端部によって支持されて、左右湾曲機構15LRに付設されたブレーキ機構70の制動力発生機構73が収容されている。
ブレーキ機構70は、左右湾曲機構15LRによる現在の湾曲可動部12bの左右湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ33の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構70は、ロック軸部材71の回動によって制動力発生機構73に制動力発生または制動力解除を行なわせて、湾曲操作ノブ33の回動をロック(制動)又はロック解除(制動解除)できる構成になっている。
ロック軸部材71の一端側には、径方向外方に突出した円板状のフランジ部71bが設けられ、そのフランジ部71bには、ブレーキ機構70のブレーキ操作ノブ75が取り付けられて固定されている。ロック軸部材71の他端側は、制動力発生機構73との係合部71cになっている。
ブレーキ操作ノブ75を回動することにより、ロック軸部材71はブレーキ操作ノブ75と一体的に、回動基軸21及び湾曲操作ノブ33に対して回動でき、制動力発生機構73の制動力発生又は制動力解除を行えるようになっている。
次に、湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDの構成について説明する。上下湾曲機構15UDは、回動基軸21の軸線方向に沿って、左右湾曲機構15LRと左右湾曲機構15LRのプーリー35との間に位置するように配置されている。
上下湾曲機構15UDは、筒状の操作軸体41を有し、操作軸体41は、左右湾曲機構15LRを構成する操作軸体31に回動可能に外挿されている。
操作軸体41の先端側には、径方向外方に突出した円板状のフランジ部41aが設けられ、そのフランジ部41aには上下湾曲機構15UDの操作部としての湾曲操作ノブ43のノブ本体43'が固定されている。
操作軸体41の外周には固定筒軸台座61が外挿され、操作軸体41は、筒状の固定筒軸台座61の軸孔に対して回動可能に嵌合している。
操作軸体41の基端側はプーリー取付部41cになっていて、プーリー45と係合している。プーリー45は、操作軸体41と一体的に回動可能になっている。
湾曲操作ノブ43は、上下湾曲機構15UDの湾曲操作部を構成する。湾曲操作ノブ43のノブ本体43'の外周面は、その周回りに沿って等間隔で、例えば5つの指掛部43aがノブ本体43'の径方向外方に突出して形成されている。
湾曲操作ノブ43のノブ本体43'には、孔軸をノブ本体43'の中心軸に一致させて、大径の貫通孔部43bが形成されている。貫通孔部43bは、その孔軸に垂直な孔断面形状が円形になっている。
貫通孔部43bの一端側開口部分(図中、上方側開口部分)には、操作軸体41のフランジ部41aが嵌合し、一端側開口は液密に施蓋されるようになっている。
貫通孔部43bの他端側開口部分(図中、下方側開口部分)は、環状の底板部63の嵌合部になっている。底板部63には、湾曲操作ノブ43の貫通孔部43bとの固定状態で、孔軸を貫通孔部43bの孔軸及びノブ本体43'の中心軸と一致させるようにして、後述するロック軸部材81を挿通させるための軸挿通孔65が貫通形成されている。
湾曲操作ノブ43は、ノブ本体43'に形成されている貫通孔部43bの一端側開口部分に操作軸体41のフランジ部41aを嵌合することによって、操作軸体41に対して固定され、湾曲操作ノブ43と操作軸体41とは、操作軸体31に対して一体的に回動可能できるようになっている。湾曲操作ノブ43と操作軸体41とが固定されることにより、湾曲操作ノブ43を回動操作すれば、操作軸体41は湾曲操作ノブ43に応動して一体的に回動し、操作軸体41のプーリー取付部41cと係合しているプーリー45も、湾曲操作ノブ43及び操作軸体41と一体的に回動する。その際、湾曲操作ノブ43に固定された底板部63は、ロック軸部材81の周りをxリングを介して回動し、湾曲操作ノブ43はロック軸部材81に対しても相対回動できるようになっている。
プーリー45には、一対の同径の巻回部45a,45bが設けられている。各巻回部45a,45bには、それぞれ操作ワイヤ47a,47bが巻回方向を異ならせて固定されている。プーリー45の回動によって、操作ワイヤ47aと操作ワイヤ47bのうちのいずれか一方の操作ワイヤ47がプーリー45に巻き取られ、いずれか他方の操作ワイヤ47がプーリー45から繰り出される。また、プーリー45の操作回動の正/逆切り換えに応じて、巻回部45a,45b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる。
操作ワイヤ47a,47bは、挿入部12の湾曲可動部12bに備えられた、上下湾曲機構15UDの被作動部の節輪にそれぞれ接続されている。上下湾曲機構15UDの被作動部は、操作ワイヤ47a,47bそれぞれの巻き取り/繰り出し動作に応動して、湾曲可動部12bを上/下方向に湾曲する。例えば、湾曲可動部12bが上下いずれの方向にも湾曲しておらず、下向きと上向きの中間状態(ニュートラル状態)になっているニュートラル回動位置では、図中のU方向に湾曲操作ノブ43を回動させると、操作軸体41も一体的に回動し、湾曲可動部12bがニュートラル状態に対して上方に湾曲する一方、湾曲操作ノブ43をD方向に回動させると、湾曲可動部12bがニュートラル状態に対して下方に湾曲する。
また、実施例においては、操作軸体41のフランジ部41a,底板部63がノブ本体43'に固定されることにより、ノブ本体43'の貫通孔部43bは、ブレーキ機構収納室49として画成されている。そして、ブレーキ機構収納室49には、固定筒軸台座61及びこの固定筒軸台座61に支持されたロック軸部材81によって支持されて、上下湾曲機構15UDに付設されたブレーキ機構80の制動力発生機構83が収容されている。
ブレーキ機構80は、上下湾曲機構15UDによる現在の湾曲可動部12bの上下湾曲姿勢状態を保持(ロック)しておきたい場合に、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が不作為に回動しないように湾曲操作ノブ43の回動に制動(ブレーキ)をかける機構である。ブレーキ機構80は、ロック軸部材81の回動によって制動力発生機構83に制動力発生または制動力解除を行なわせて、湾曲操作ノブ43の回動をロック又はロック解除できる構成になっている。
ロック軸部材81は、図示の例では、基端側の外周部分にフランジ部81bを備えた筒軸部材で構成されている。フランジ部81bには、その周回りの所定箇所に取付部81cが突出形成され、取付部81cには、ブレーキ操作レバー85が取り付け固定されている。ブレーキ操作レバー85は、回動基軸21を中心とした径方向に、レバーの操作端が湾曲操作ノブ43よりも外側に突出する形態になっている。
ロック軸部材81は、筒部81aが固定筒軸台座61の外周面に外挿されて、固定筒軸台座61に対して回動可能に設けられている。図示の例では、固定筒軸台座61は、段付貫通孔部を備えた筒状部材で構成されている。固定筒軸台座61は、回動基軸21と共に基板11bに固定される。
固定筒軸台座61の軸孔部分には、回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通され、さらに操作軸体31に固定されたプーリー35及び操作軸体41に固定されたプーリー45が収容されている。プーリー35,45が収容された固定筒軸台座61の基端側部分には、プーリー35,45から操作ワイヤ37,47を導出するための導出切欠部61aが設けられている。
回動基軸21,操作軸体31,操作軸体41が挿通された固定筒軸台座61の先端側部分は、操作部筐体11'の貫通孔11cを液密に閉塞する蓋体11dの貫通孔、ロック軸部材81の筒軸孔、及びブレーキ機構収納室49の制動力発生機構83を挿通され、操作部筐体11'外部(図中、上方)に突出する。
固定筒軸台座61の先端の軸孔開口端によって、湾曲操作機構15における回動基軸21の軸線方向に沿って、上下湾曲機構15UDの湾曲操作ノブ43が左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33と操作部筐体11'との間に重なって配置されるように支持される。
また、固定筒軸台座61の先端側部分の外周面に適宜形成された支持段部61bによって、ブレーキ機構80の制動力発生機構83は、湾曲操作ノブ43のブレーキ機構収納室49に収容支持され、ロック軸部材81は、回動基軸21の軸線方向に沿ってブレーキ操作レバー85が湾曲操作ノブ43と操作部筐体11'との間に配置されるように支持される。
ブレーキ操作レバー85が回動操作されると、ロック軸部材81は、固定筒軸台座61すなわち回動基軸21に対して、ブレーキ操作レバー85と一体的に回動するようになっている。
次に、湾曲操作機構15に備えられたプーリーとワイヤとの接続構成について詳述する。なお、説明にあたっては、プーリー35とワイヤ37との接続構成, プーリー45とワイヤ47の接続構成とでは、左右湾曲機構15LRのプーリー35が左右湾曲機構15LRの湾曲操作ノブ33の操作によって操作軸体31と一体的に回動可能になっているのに対し、上下湾曲機構15UDのプーリー45が湾曲操作ノブ43の操作によって操作軸体41と一体的に回動可能になっている点、接続されるワイヤが異なる点、以外は、その構成及び作用は同一なので、以下の説明では、上下湾曲機構15UDのプーリー45とワイヤ47(47a,47b)との接続構成及び作用についてだけ図面に基づいて詳細に説明し、左右湾曲機構15LRのプーリー35とワイヤ37(37a,37b)との接続構成及び作用についてはその詳細な説明は省略する。
図3は、図2に示した上下湾曲機構のプーリーとワイヤとの接続構成部分を取り出して、図2に示した湾曲操作機構の上方から軸線方向に沿って眺めた図である。
プーリー45は、図2に示したように、操作軸体41のプーリー取付部41cに係合され、操作軸体41と一体的に回動可能になっている。図3に示した例では、プーリー45の一対の同径の巻回部45a,45bのうち、一方の巻回部45aには、操作ワイヤ47aが時計回り方向に巻回され、他方の巻回部45bには、操作ワイヤ47bが反時計回り方向に巻回された構成になっている。
プーリー45の時計回り方向の回動によって、操作ワイヤ47aが巻回部45aに巻き取られ、操作ワイヤ47bが巻回部45bから繰り出される一方、プーリー45の反時計回り方向の回動によって、操作ワイヤ47aが巻回部45aから繰り出され、操作ワイヤ47bが巻回部45bに巻き取られるようになっている。このように、湾曲操作ノブ43の操作によるプーリー45の操作回動の正/逆切り換えに応じて、巻回部45a,45b間で巻き取り側と繰り出し側とが入れ替わる構成になっている。
図示の例では、プーリー45の巻回部45a,45bは、互いの巻回部45a,45bの軸心をずらせて、互いの巻回部45a,45bの軸心をプーリー45の回動軸(操作軸体41のプーリー取付部41cが嵌合する後述の軸体嵌合孔の孔軸)に対して偏心させて設けられている。
図4は、図3に示した上下湾曲機構のプーリーの構成図である。図5は、図4に示した上下湾曲機構のプーリーの断面図である。
図4において、図4(A)は、図3に示したプーリーの平面図、図4(B)は、図4(A)に示したプーリーの右側面図、図4(C)は、図4(A)に示したプーリーの背面図をそれぞれ示す。なお、図4(A),図4(C)は、図4(B)中において、4A-4A矢視方向,4C-4C矢視方向に、プーリーをそれぞれ眺めた図である。図5において、図5(A),図5(B),図5(C)は、図3に示したプーリーを、図4(B)中において、5A-5A矢視方向,5B-5B矢視方向,5C-5C矢視方向に、プーリーをそれぞれ眺めた断面図である。
プーリー45は、嵌合部410、第1の円盤部420、第1の巻回面部430、第2の円盤部440、第2の巻回面部450、第3の円盤部460が、それぞれの軸線方向を同軸もしくは平行になるようにして順次連設されて一体的に構成されている。
嵌合部410は、図4(A),(B)に示すように、環状の円盤部で形成され、軸線方向の一方の盤面部がプーリー45の軸線方向の一端側端面を形成し、他方の盤面部が第1の円盤部420との境界を形成する。嵌合部410は、環状の円盤部の外周面部が図2に示した固定筒軸台座61内に回動可能に設けられ、内周面部が操作軸体41のプーリー取付部41cが挿通される挿通孔411になっている。
第1の円盤部420は、図4(A),(B)に示すように、嵌合部410の外周面部及び第1の巻回面部430よりも大径な外周面部を備えた円盤部として形成され、軸線方向の一方の盤面部がプーリー45の軸線方向の一端側端面及び嵌合部410との境界を形成し、他方の盤面部が第1の巻回面部430との境界を形成する。第1の円盤部420には、嵌合部410の挿通孔411と同径の、孔軸に垂直な断面形状が円形の挿通孔421が、円盤部の軸心と同軸に盤厚方向に沿って貫通形成されている。挿通孔421は、嵌合部410の筒軸孔411を挿通された操作軸体41のプーリー取付部41c部分が挿通可能になっている。
第1の巻回面部430は、図4(B),図5(A)に示すように、嵌合部410よりも大径で第1の円盤部420よりも小径な円弧状の巻回周面部432を外周面に備えた盤部として形成され、軸線方向の一方の盤面部が第1の円盤部420との境界を形成し、他方の盤面部が第2の円盤部440との境界を形成する。第1の巻回面部430には、巻回周面部432の円弧中心とは軸心を偏芯させて、第1の円盤部420の挿通孔421と同径の、孔軸に垂直な断面形状が円形の挿通孔431が、盤厚方向に沿って貫通形成されている。挿通孔431は、第1の円盤部420の挿通孔421を挿通された操作軸体41のプーリー取付部41c部分が挿通可能になっている。
第2の円盤部440は、図4(B),図5(B)に示すように、第1の円盤部420と同径の円盤部として形成され、軸線方向の一方の盤面部が第1の巻回面部430との境界を形成し、他方の盤面部が第2の巻回面部450との境界を形成する。第2の円盤部440には、この円盤部と同軸に、盤厚方向に垂直な断面形状が矩形形状の係合孔441が、盤厚方向に沿って貫通形成されている。係合孔441の矩形形状の孔断面の大きさは、第1の巻回面部430の挿通孔431の円形の孔断面の大きさよりも小さく、挿通孔431の内周面に内接するような大きさになっている。係合孔441は、第1の巻回面部430の挿通孔431を挿通された操作軸体41のプーリー取付部41c部分が挿通可能になっているとともに、この挿通状態で、プーリー取付部41cの先端部と基端部との間の軸線方向に沿った所定位置に形成された、軸線方向に垂直な断面が矩形状になっているプーリー取付部41cの係合部(符号省略)が係合する構成になっている。これにより、プーリー取付部41cの係合部と係合孔441とが係合している状態では、操作軸体41が正/逆いずれかに回動すれば、第2の円盤部440にはその回動が伝達される構成になっている。
第2の巻回面部450は、図4(B),図5(C)に示すように、第1の巻回面部430の巻回周面部432と同径の円弧状の巻回周面部452を外周面に備えた盤部として形成され、軸線方向の一方の盤面部が第2の円盤部440との境界を形成し、他方の盤面部が第3の円盤部460との境界を形成する。第2の巻回面部450には、巻回周面部452の円弧中心とは軸心を偏芯させて、第1の巻回面部430の挿通孔431と同径の、孔軸に垂直な断面形状が円形の挿通孔451が、盤厚方向に沿って貫通形成されている。挿通孔451は、第2の円盤部440の係合孔441を挿通された操作軸体41のプーリー取付部41c部分が挿通可能になっている。
第3の円盤部460は、図4(B),(C)及び図5(C)に示すように、第1の円盤部420と同径の円盤部として形成され、軸線方向の一方の盤面部が第2の巻回面部450との境界を形成し、他方の盤面部がプーリー45の軸線方向の他端側端面を形成する。第3の円盤部460には、第2の巻回面部450の挿通孔451と同径の、孔軸に垂直な断面形状が円形の挿通孔461が、円盤部の軸心と同軸に盤厚方向に沿って貫通形成されている。挿通孔461は、第2の巻回面部450の挿通孔451を挿通された操作軸体41のプーリー取付部41c部分が嵌挿可能になっている。
プーリー45は、図4(B)に示すように、嵌合部410、第1の円盤部420、第1の巻回面部430、第2の円盤部440、第2の巻回面部450、第3の円盤部460を、それぞれの挿通孔411,421,431,451,461や係合孔441の軸心同士が同軸になるようにして順次重ねて配置して一体化し、かつ、その一体化に当たっては、図5(A),(C)に示すように、第1の巻回面部430の円弧状の巻回周面部432と第2の巻回面部451の円弧状の巻回周面部452とがプーリー45の軸線回り(同軸に設けられている第1の円盤部420、第2の円盤部440、第3の円盤部460それぞれの軸線回り)に互いに180°回動してずれた状態になっており、巻回周面部432の円弧中心位置と巻回周面部452の円弧中心位置とがプーリー45の回動軸を中心にした点対称位置に互いに配置された関係になっている。
したがって、図示のプーリー45の場合では、巻回部45aは、第1の円盤部420、第1の巻回面部430、及び第2の円盤部440で構成され、巻回部45bは、第2の円盤部440、第2の巻回面部450、及び第3の円盤部460で構成されている。その結果、プーリー45では、巻回部45a,45bそれぞれの円弧状の巻回周面部432,452の円弧中心位置が互いにずれ、プーリー45の軸心に対して偏心しているので、湾曲操作ノブ43の回動操作に応じて、巻回部45a,45bそれぞれの巻回軸(すなわち巻回周面部432,452のそれぞれの円弧中心点)が操作軸体41の軸心を中心に公転しながら、巻回部45a,45b自体も回動する。そのため、湾曲操作ノブ43に比してプーリー45の巻回部45a,45bが小径であっても、湾曲操作ノブ43の指掛部43aの回動操作量を操作ワイヤ45a,45bそれぞれの巻き取り及び繰り出し回動量に精度よく伝達できる構成になっている。
さらに、プーリー45には、ワイヤ47(47a,47b)のプーリー側の端部が固定されたワイヤ固定具600(600a,600b)が取り付けられる固定具取付部500(500a,500b)が設けられている。
固定具取付部500a,500bは、図3に示すように、プーリー45の軸線を中心にした半径Rの円周上の、プーリー45の第1の巻回面部430の巻回面と第2の巻回面部450の巻回面との重なり位置を通るプーリー45の直径(同軸に設けられている第1の円盤部420、第2の円盤部440、第3の円盤部460の直径)D-D'を中心線にした線対称位置に設けられている。半径Rの大きさは、嵌合部410の外周面の半径よりも大きく、第1の巻回面部430及び第2の巻回面部450の半径よりも小さくなっている。
図示の例では、固定具取付部500aは、図4,図5に示すように、軸孔510aと、取付孔520aと、巻回面凹部530aと、嵌合部凹部540aと、を有する構成になっている。
軸孔510aは、図5(A)~(C)に示すように、プーリー45の軸線方向に沿って、第2の円盤部440、第2の巻回面部450、及び第3の円盤部460を一直線状に貫通し、軸線方向に垂直な孔断面が円形になっている。
取付孔520aは、第1の円盤部420を軸線方向に沿って貫通し、軸線方向に垂直な孔断面が、軸孔510aと同径の一対の半円部を有した角丸四角形状になっており、一対の半円部のうちの一方の半円部の円弧中心位置が軸孔510aの軸線上に位置し、一方の半円部は軸孔510aと同軸になっている。
巻回面凹部530aは、図5(A)に示すように、第1の巻回面部430の巻回周面部432に凹設されて、巻回周面部432の周方向に沿って延設されている。巻回面凹部530aは、巻回面凹部530aの延設方向に沿った中央に位置する凹部部分が軸孔510aの円形開口に臨む部分になっている。そして、この中央位置及び中央位置よりも周方向に沿って一側(図5(A)においては、時計回り方向側)に位置する凹部部分が、取付孔520aの角丸四角形状の開口に臨む着脱側凹部532aになっている。また、中央位置部分よりも周方向に沿って他側(図5(A)においては、反時計回り方向側)に位置する凹部部分が、ワイヤ固定具600aに固定されたワイヤ47aの導出側凹部531aになっている。
嵌合部凹部540aは、図4(A)に示すように、嵌合部410の外周面に凹設され、プーリー45の軸線方向に沿って嵌合部410側からプーリー45を眺めた場合に、軸孔510aの円形開口及び取付孔520aの角丸四角形状の開口が臨むようにし、嵌合部410によってその一部が覆われないようにする。
一方、固定具取付部500bは、図4,図5に示すように、軸孔510bと、取付孔520bと、巻回面凹部530bと、を有する構成になっている。
軸孔510bは、図4(A)及び図5(A),(B)に示すように、プーリー45の軸線方向に沿って、第1の円盤部420、第1の巻回面部430、第2の円盤部440を一直線状に貫通し、軸線方向に垂直な孔断面が円形になっている。
取付孔520bは、図4(C),図5(C)に示すように、第3の円盤部420を軸線方向に沿って貫通し、軸線方向に垂直な孔断面が、軸孔510bと同径の一対の半円部を有した角丸四角形状になっており、一対の半円部のうちの一方の半円部の円弧中心位置が軸孔510bの軸線上に位置し、一方の半円部は軸孔510bと同軸になっている。
巻回面凹部530bは、図5(C)に示すように、第2の巻回面部450の巻回周面部452に凹設されて、巻回周面部452の周方向に沿って延設されている。巻回面凹部530bは、巻回面凹部530bの延設方向に沿った中央に位置する凹部部分が軸孔510bの円形開口に臨む部分になっている。そして、この中央位置部分よりも周方向に沿って一側(図5(C)においては、時計回り方向側)に位置する凹部部分が、ワイヤ固定具600bに固定されたワイヤ47bの導出側凹部531bになっている。また、中央位置及び中央位置よりも周方向に沿って他側(図5(C)においては、反時計回り方向側)に位置する凹部部分が取付孔520bの角丸四角形状の開口に臨む着脱凹部532bになっている。
このように、固定具取付部500aと固定具取付部500bとの間では、図4(B)に示すように、取付孔520a,520bの配置場所が第1の円盤部420と第3の円盤部460とで異なり、プーリー45の軸線方向に沿って眺めた固定具取付部500aにおける軸孔510a,取付孔520aの配置順及び配置向きは、プーリー45の軸線方向に沿って眺めた固定具取付部500bにおける軸孔510b,取付孔520bの配置順及び配置向きと反対になっている。
同様に、固定具取付部500aと固定具取付部500bとの間では、図5(B),(C)に示すように、プーリー45の周方向に沿って眺めた巻回面凹部530aにおける導出側凹部531a,着脱凹部532bの配置順及び配置向きは、プーリー45の周方向に沿って眺めた巻回面凹部530bにおける導出側凹部531b,着脱凹部532bの配置順及び配置向きと反対になっている。
したがって、固定具取付部500aと固定具取付部500aとは、プーリー45の正・背面で互いに反対向きの関係になっている。
次に、ワイヤ47a,47bのプーリー側の端部が固定されるワイヤ固定具の構成ついて、図6に基づいて説明しておく。
図6は、ワイヤのプーリー側の端部が固定されるワイヤ固定具の構成図である。なお、図示の例では、ワイヤ固定具は、ワイヤ47aとワイヤ47bとの間で同一の構成になっている。図6(A)は、ワイヤ固定具の側面図に該当し、図6(B)は、ワイヤ固定具の底面図に該当し、図6(C)は、図6(B)における5C-5C矢視方向にワイヤ固定具を眺めた断面図に該当する。
ワイヤ固定具600は、円柱状の回動部610と、回動部610の周面から回動部610の径方向に突出する導出部620とを有する。
回動部610は、プーリー45の固定具取付部500(500a,500b)の軸孔510(510a,510b)と略同径の円柱状部で形成されている。回動部610の軸線方向の一端側の端面には、固定口611が開口されている。回動部610は、プーリー45の各固定具取付部500(500a,500b)の軸孔510(510a,510b)に対して回動自在に嵌合可能になっている。
導出部620は、回動部610の軸線方向に沿って眺めた突出形状が、回動部610を510(510a,510b)に嵌合させながら固定具取付部500bの取付孔520(520a,520b)を挿通可能な大きさ形状になっている。また、導出部620は、回動部610の径方向に沿って眺めた突出形状が、第1の円盤部420、第1の巻回面部430、及び第2の円盤部440で構成される巻回部45a、および第2の円盤部440、第2の巻回面部450、及び第3の円盤部460で構成される巻回部45bに収容可能な大きさ形状になっている。
さらに、導出部620は、固定口611が開口する回動部610の一端側が奥部になるようにして固定具取付部500aの取付孔520aから回動部610を軸孔510aに嵌合した場合は巻回面凹部530aに対向させることができ、固定具取付部500bの取付孔520bから回動部610を軸孔510bに嵌合した場合は巻回面凹部530bに対向させることができる、回動部610の軸線方向に沿った位置に配置されている。
その上で、導出部620の突出側端面には、導出口621が開口されている。そして、導出部620の導出口621は、ワイヤ固定具600の筐体内部に形成された通路630を介して、回動部610の固定口611と連通されている。
通路630は、回動部610の固定口611から回動部610の軸線方向に沿って延びる通路部631と、導出部620の導出口621から回動部610の径方向に沿って延びる通路部633とが、回動部610の軸線方向に対して導出部620側に傾倒した通路部632を介して連通された構成になっている。これにより、通路630の途中の屈曲部は鈍角の屈曲部になり、ワイヤ47(47a,47b)を挿通させ易くなっている。加えて、固定口611は導出口621に比して開口が大きくなっており、ワイヤ47の周面と通路630の内周面との間に接着剤を充填し易くなっている。
次に、ワイヤ固定具600を用いたワイヤ47のプーリー45に対する接続作業について説明する。なお、説明に当たっては、ワイヤ47aとワイヤ47bとでは、接続先がプーリー45の巻回部45aと巻回部45bで異なるだけで接続作業自体は同様なので、ここでは、プーリー45の巻回部45aに対するワイヤ47aの接続作業について説明し、プーリー45の巻回部45bに対するワイヤ47bの接続作業についての説明は省略する。
ワイヤ47aは、プーリー45の対応する固定具取付部500aの取付孔520aを挿通され、まず、巻回部45aの外部と巻回部45aの内部との間に取付孔520aを介して配置される。
ワイヤ固定具600aに対するワイヤ47aの固定は、例えば、ワイヤ47を導出部620の導出口621から回動部610の固定口611に向けて挿通した状態で、固定口611から接着剤をワイヤ47の周面と通路部631の内周面との間に充填することによって容易に行える。
なお、ワイヤ固定具600aに対するワイヤ47aの固定は、ワイヤ47aをプーリー45の固定具取付部500aの取付孔520aに挿通する前に行われてもよいし、ワイヤ47aをプーリー45の対応する固定具取付部500aの取付孔520aを挿通した後に行うようにしてもよい。
そして、固定具取付部500aの取付孔520aを挿通され、ワイヤ固定具600aが取り付けられたワイヤ47aのプーリー45に対する取り付けは、固定口611が開口する一端側が奥部になるようにして、ワイヤ固定具600aの回動部610を、プーリー45の固定具取付部500aの取付孔520aから軸孔510aに嵌合して行われる。これに伴って、ワイヤ47aが導出されたワイヤ固定具600aの導出部620は、プーリー45の巻回部45bに設けられた固定具取付部500aの巻回面凹部530aに対して配置される。
これにより、ワイヤ固定具600aは、プーリー45の固定具取付部500aに対して回動可能に嵌合される。また、ワイヤ固定具600aの回動により、ワイヤ固定具600aにおける回動部610からの導出部620の突出方向がプーリー45の固定具取付部500aにおける取付孔520aの延設方向とずれることによって、ワイヤ固定具600aの導出部620は、プーリー45の巻回部45aを構成するとともに固定具取付部500aの取付孔520aが形成された第1の円盤部420の盤面とも係合するようになり、プーリー45の軸線方向に沿ったワイヤ固定具600aの移動が規制される。すなわち、ワイヤ固定具600aの、プーリー45の固定具取付部500aからの脱落防止もはかれる。
次に、本実施例の内視鏡装置の湾曲操作機構におけるプーリーとワイヤとの接続構成部分の作用に、図3及び図7に基づいて説明する。
図7は、ワイヤの巻き取り/繰り出しに応じたプーリーとワイヤとの接続構成部分についての状態説明図である。図7では、図3に示したプーリー45の巻回部45bにおける、プーリー45の回動状態に応じたプーリー45の巻回部45bとワイヤ47bとの接続構成部分の状態を図示している。
図示の場合、操作部11の湾曲操作ノブ43を操作して湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDを作動し、挿入部11の先端側の湾曲可動部12bを最大湾曲状態(制限湾曲状態)にするためには、湾曲可動部12bがニュートラル状態になっているニュートラル回動位置から湾曲可動部の最大湾曲状態に相当する制限回動位置までの回動制限角度θ(例えば、θ:180°~230°)分だけ、正(n)/逆(r)いずれか一方の回動方向にθn又はθrだけ回動させる必要がある。
図7では、図7(A)は、プーリー45がニュートラル回動位置にある場合のプーリー45に対するワイヤ47bの巻回状態を示し、図7(B)は、プーリー45がニュートラル回動位置からワイヤ47bの繰り出し向き(図では、時計回り)に回動し、プーリー45の回動制限角度(例えば180°~230°)分よりも少ないプーリー45の回動角度(例えば、160°)分だけ回動した状態の、プーリー45に対するワイヤ47bの巻回状態を示したものであり、図7(C)は、プーリー45をワイヤ47bの繰り出し向きにさらに回動し、プーリー45がニュートラル回動位置から回動制限角度θn分(例えば、210°)分だけ繰り出し向きに回動した状態の、プーリー45に対するワイヤ47bの巻回状態を示したものである。
したがって、図示の内視鏡装置1の湾曲操作機構15における上下湾曲機構15UDによれば、プーリー45がニュートラル回動位置からワイヤ47bの繰り出し向き(図では、時計回り)に漸次回動するに従って、ワイヤ固定具600bは、プーリー45の巻回部45bに設けられた固定具取付部500bの軸孔510bに回動可能に嵌合されている回動部610を中心して、ワイヤ47bの繰り出し向きに導出部620の導出口621の向きを合わせるように、プーリー45に対して回動する。
これにより、プーリー45における第1の巻回面部430の巻回周面部432からのワイヤ47bの導出向きをプーリー45の第1の巻回面部430に対するワイヤ47bの巻回状態に合わせて変化させ、巻回周面部432からのワイヤ47bの導出向きをプーリー45からのワイヤ47bの繰り出し向きに合わせるようにワイヤ固定具600bも回動するので、巻回周面部432からのワイヤ47bの導出向きをワイヤ47bの繰り出し向き側とは反対向きに変化させるワイヤ47bの捩れも生じない。その結果、ワイヤ47bの損傷を防いで内視鏡装置1の耐久性の向上をはかることができる。
また、ワイヤ47bを第1の巻回面部430に重ね巻してプーリー45の巻回部45bに巻き取ったり、第1の巻回面部430に重ね巻してあるワイヤ47bを繰り出したりする必要も無くなるので、プーリー45の巻回部45bにワイヤ47bを巻き取ったり或いは巻回部45bからワイヤ47bを繰り出したりする際にワイヤ同士が激しく擦れて摩耗してしまうのを防ぐことができ、内視鏡装置1の耐久性の向上をはかることができる。
図7では、湾曲操作機構15の上下湾曲機構15UDのプーリー45の巻回部45bを例に、巻回周面部432からのワイヤ47bの導出向きをワイヤ47bの繰り出し向き側とは反対向きに変化させるワイヤ47bの捩れが生じないことについて説明した。しかしながら、このようなワイヤの捩れを生じさせない作用は、上下湾曲機構15UDのプーリー45の巻回部45a、左右湾曲機構15LRのプーリー35の巻回部35a,35bであっても、プーリー35,45に対してワイヤ固定具600が回動可能に取り付けられていることによって達成できる。
また、そのためのワイヤ37(37a,37b),47b(47a,47b)が固定されるワイヤ固定具600の具体的な構成や、ワイヤ固定具600をプーリー35,45に対して回動可能に取り付けられるための具体的な構成は、図8に示す作用を達成できるものであれば、図7以前で説明した実施例に限定されない。
図8は、本開示に係る内視鏡装置における湾曲操作機構のプーリーとワイヤと接続構成部分についての模式図である。図8(A)は、プーリー45がニュートラル回動位置にある場合を示し、図8(B)は、プーリーがニュートラル回動位置からワイヤ47bの繰り出し向き(図では、時計回り)の回動制限角度θnまで回動した回動位置にある場合を示し、図8(C)図は、プーリー45がニュートラル回動位置からワイヤ47bの巻き取り向き(図では、反時計回り)の回動制限角度θrまで回動した回動位置にある場合を示す。
図8に示すように、プーリー800がニュートラル回動位置からワイヤ900の繰り出し向き(図では、時計回り又は反時計回り)に漸次回動するに従って、ワイヤ固定具600は、ワイヤ900の繰り出し向きや巻き取り向きにワイヤ900のプーリー800からの導出向きを合わせるように追従して、プーリー900に対して回動する。これにより、プーリー800がニュートラル回動位置から回動制限角度θn,θr分だけ回動した場合であっても、プーリー800からのワイヤ900の導出向きをワイヤ47bの繰り出し向き側や巻き取り向き側とは反対向きに変化させる原因となるワイヤ900の捩れを防止することができる。