JP7411988B2 - Ham/tsp発症リスク判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法に関する。
HTLV-1関連脊髄症(HAM;HTLV-1 associated myelopathy)又は熱帯性痙性麻痺(TSP;Tropical spastic paraparesis)(HAM/TSP)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)の感染に伴い脊髄に慢性的な炎症が起こる指定難病の一つである。このHTLV-1感染者は日本国内に少なくとも100万人以上存在すると推測されるが、HAM/TSPの生涯発症率は0.25%程度である。HTLV-1感染に起因する疾患は、HAM/TSP以外にも成人T細胞白血病(ATL、生涯発症率5%)等様々存在するが、何故一部の人のみHAM/TSPを発症するかの機序の詳細は未解明である。
近年、HAM患者を対象としたヒト化抗CCR4モノクローナル抗体(モガムリズマブ)の第1/2a相試験により、モガムリズマブ投与によるHTLV-1感染細胞の減少及び運動障害の改善効果が認められた(非特許文献1:Sato et al.,New Engl J Med,2018参照)。特に、発症早期(10年以内)にモガムリズマブを投与することで、それ以後に投与する群に比べて運動障害の改善効果が高く、早期の治療開始が重要であることが分かった。しかし、HAM/TSPは診断による疾患の特定そのものが難しく、疾患を深く理解した専門医による診察を必要とするため、発症から診断にいたるまでに平均で7.6年もの長い期間を要することが日本全国を対象にした疫学調査により判明している(非特許文献2:Coler-Reilly et al.,Orphanet J Rare Dis.,2016参照)。また、40代での発症が多いというように、ウイルスが感染してから長い潜伏期間を要することも経過観測を困難にしている原因である。これらがHAM/TSPの治療開始を遅らせる要因となり、治療薬の効果が低減してしまうという問題が生じている。そのため、より早期にHAM/TSPの発症を正確かつ迅速に診断することが強く望まれている。
一方、免疫制御機構の異常が関与するHAM/TSPでは、免疫応答に関わる重要な遺伝子であるHLAが発症の感受性遺伝子として知られている。そして、感受性HLAアレルの存在は報告されていたが(非特許文献3:Usuku et al., Ann Neurol. 1988参照)、検体数の少ない疫学調査による結果しか得られていない。また、旧来型の血清学的HLAタイピング技術を用いているため、アレル同定精度が低い上、遺伝子の塩基配列が得られないため、疾患発症リスクに関連する変異の同定が不可能であった。変異の同定には、DNAタイピング法とよばれる遺伝子配列を決定してHLAをタイピングする方法が必要とされる。しかしながら、現在商用タイピングサービスで主流な手法としてSequence Specific Oligonucleotide Probe(PCR-SSOP)法が用いられているが、この手法は遺伝子配列の一部しかわからない上非常に高コストとなるという不都合がある。
Sato et al.,New Engl J Med,2018 Coler-Reilly et al.,Orphanet J Rare Dis.,2016 Usuku et al.,Ann Neurol.,1988
このようなHLA解析の難しさがある中、本発明は、HTLV-1感染者におけるHAM/TSP発症リスクの迅速かつ正確な推定手法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、大規模な検体における無症候性HTLV-1感染者及びHAM/TSP発症者の主要HLA遺伝子配列を解析し、遺伝子上の感受性変異を同定できれば、正確なHAM/TSP発症リスクを推定でき、迅速な診断への応用が期待できると考え、研究を進めた。その結果、無症候性HTLV-1感染者及びHAM/TSP発症者の主要HLA遺伝子の配列を決定し、発症・無症候性との間で比較解析することで、HAM/TSP発症において感受性及び抵抗性(防御性)のアミノ酸残基を同定することに成功した。同定したこれらのアミノ酸残基と発症との関連性は、従来から発症リスクの一つとされてきた末梢血単核細胞中のHTLV-1感染率(プロウイルス量)には依存せず、上記アミノ酸残基は、新たな発症リスクの要因として有益なバイオマーカーとなり得ることが明らかとなった。特に、感受性アミノ酸残基のホモ接合体保有者における発症オッズ比は、ヘテロ接合体と比べて極めて高いため、多段階の発症リスク予測も可能となった。
さらに、本発明においては、京都大学で開発された主要HLA遺伝子配列決定用のPCRプライマー(特開2018-130036号公報)とタイピングアルゴリズム(特開2018-108042号公報)を用いることで、HLAの配列を迅速にシークエンスし高精度にタイピングすることで本発明の同定精度を向上している。即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]HLA-DRB1の特定のアミノ酸残基を指標とすることを特徴とする、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[2]HLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基を指標とすることを特徴とする、[1]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[3]HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を指標とすることを特徴とする、[2]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[4]HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定する、[3]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[5]HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定する、[3]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[6]さらにHTLV-1感染者のプロウイルス量を同時に指標とすることを特徴とする、[1]から[5]のいずれかに記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[7](A)HTLV-1感染者のHLA-DRB1の特定の位置のアミノ酸残基を特定する工程を含む、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[8](A)HTLV-1感染者のHLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基を特定する工程を含む、[7]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[9](A)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を特定する工程を含む、[8]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[10]さらに、(B)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定し、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定する工程を含む、[9]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
[11]さらに、(C)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンもしくはロイシンであるかの情報に加えてプロウイルス量の値をもとに、HAM/TSPの発症リスクの高低を判定する工程を含む、[10]に記載のHAM/TSP発症リスク判定方法。
本発明によると、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスクの判定が可能となった。それにより、HAM/TSPの高発症リスク群を特定できるため、発症の迅速かつ正確な予測、専門医の紹介や定期診断といったヘルスケアに活用することができ、早期治療開始が可能となる。また、本発明は、別の発症リスクマーカーであるプロウイルス量の測定結果と組み合わせることでさらに高精度な発症リスク測定法へと拡張することも可能である。
図1は、日本人集団におけるHAM/TSPのゲノムワイド関連解析の結果を示す図である。第6染色体に存在するHLA領域がHAM/TSPと有意に関連している。 図2は、HLA対立遺伝子の遺伝子型タイピングとHAM/TSP発症との関連解析の結果を示す図である。HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基位置がHAM/TSPと有意に関連している。 図3は、HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基がロイシンもしくはプロリンである場合とプロウイルス量からHAM/TSPの発症率を推定した図である。
以下、本発明のHAM/TSP発症リスク判定方法について詳細に説明する。なお、本明細書における分子生物学的実験は、特に明記しない限り、当業者に公知の一般的実験書に記載の方法又はそれに準じた方法により行うことができる。また、本明細書中で使用される用語は、特に言及しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味で解釈される。
<HAM/TSP発症リスク判定方法>
本発明のHAM/TSP発症リスク判定方法は、HTLV-1感染者のHLA-DRB1の特定の位置のアミノ酸残基を指標とすることを特徴とする。このような特定の位置のアミノ酸残基としては、HLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基であることが好ましく、HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基であることがより好ましい。具体的には、HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定し、HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定することができる。本発明のHAM/TSP発症リスク判定方法は、さらにHTLV-1感染者のプロウイルス量を指標とすることにより、HAM/TSP発症リスク判定方法の確度を向上させることができる。
[HTLV-1感染者]
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は、ヒトのリンパ球に潜在感染し、授乳や性交渉等を介して伝搬する。HTLV-1の感染者は日本全国に約100万人いるといわれており、その大多数はHTLV-1感染に伴う病気を発症することなく、生涯を過ごすが、一部の人では、成人T細胞白血病(ATL)や、HTLV-1関連脊髄症(HAM;HTLV-1 associated myelopathy)又は熱帯性痙性麻痺(TSP;Tropical spastic paraparesis)(HAM/TSP)を発症する。本発明においてHTLV-1感染者とは、血液検査等でHTLV-1陽性と判定された被験者をいう。HTLV-1に感染すると、生体中に、抗HTLV-1抗体が生成されるため、抗HTLV-1抗体の有無を確認することによりHTLV-1感染の有無を判定することができる。抗HTLV-1抗体を測定する方法としては、免疫学的手法を用いた測定方法が挙げられ、例えばゼラチン粒子凝集法(PA法)、蛍光抗体法(FA法)、間接蛍光抗体法(IF法)、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)、ウエスタンブロット法(WB法)等が用いられる。HTLV-1キャリア指導の手引き(厚生労働省研究班「本邦におけるHTLV-1感染及び関連疾患の実態調査と総合対策」、2011年)によると、一般医療機関ではスクリーニング検査としてPA法やCLEIA法が用いられ、スクリーニング検査で陽性と判断された場合、WB法による確認検査が実施される。さらに、WB法による確認検査で判定保留となった場合、ポリメラーゼ連鎖反応法(以下、PCR法と記す)を用いて末梢血細胞ゲノム中のHTLV-1プロウイルスを検出する検査が実施される。
[HAM/TSP発症リスク]
上述のとおり、血液検査でHTLV-1陽性と判定された人、すなわちHTLV-1に感染している人がHAM/TSPを発症するが、HTLV-1に感染している全ての人が発症するわけではない。1987-1988年に実施された全国調査をもとに計算された、HTLV-1感染者が生涯にHAM/TSPを発症する可能性は0.25%、すなわち400人に1人と極めて低い確率である。男女比はおよそ1:2-3と女性に多く、複数の遺伝的要因や感染しているHTLV-1のウイルスのタイプにより、発症頻度に差がある可能性が報告されている。また、多くは中年以降にHAM/TSPを発症するが、10代又はそれ以前に発症する患者も存在する。HAM/TSP患者は、体内のHTLV-1ウイルス量(プロウイルス量)が増加しており、プロウイルス量が多い人はHAM/TSPになりやすいとも考えられている。このように血液検査でHTLV-1陽性と判定された人であっても、それぞれHAM/TSPを発症するリスクは異なると考えられる。
本発明においてHAM/TSP発症リスクとは、HTLV-1感染者が、HTLV-1関連脊髄症(HAM;HTLV-1 associated myelopathy)又は熱帯性痙性麻痺(TSP;Tropical spastic paraparesis)を発症するリスクのことをいう。HAM/TSP発症リスクが高いとは、統計的に推定した発症確率が有意に通常の0.25%を上回り、HTLV-1感染者が生涯にHAM/TSPを発症する可能性が高くなることをいう。また、HAM/TSP発症リスクが低いとは、統計的に推定した発症確率が有意に通常の0.25%を下回り、HTLV-1感染者が生涯にHAMを発症する可能性が低くなることをいう。
[HLA-DRB1]
免疫制御機構の異常が関与するHAM/TSPでは、免疫応答に関わる重要な遺伝子であるHLAが発症の感受性遺伝子と知られていた。そこで、本発明者らは、無症候性HTLV-1感染者及びHAM/TSP発症者のゲノムを解析し、HLA上の感受性変異を同定できれば正確な発症リスクを推定できるため、迅速な診断への応用が期待できると考えた。そこで、無症候性HTLV-1感染者及びHAM/TSP発症者それぞれの主要HLA遺伝子の配列を決定し、比較解析することで、HAM/TSP発症において感受性及び抵抗性(防御性)のアミノ酸残基を同定した。ここで見つかってきたのが、HLA‐DRB-1における特定の位置のアミノ酸残基であり、具体的には、G‐BETA領域の7番目のアミノ酸残基(この番号は免疫遺伝学情報の国際的リファレンスをまとめているIMGTによって付されたものに対応する。この位置を「DRB1‐GB‐7」と簡略化する)である。HAM/TSP発症者においては、この位置のアミノ酸残基にロイシンを持つ比率が高いことから、DRB1‐GB‐7の位置にロイシンを持つHTLV-1感染者は、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定する。一方、HTLV-1感染者においては、HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基にプロリンを持つ比率が高いことから、DRB1‐GB‐7の位置にプロリンを持つHTLV-1感染者は、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定する。
[プロウイルス量]
プロウイルス(HTLV-1プロウイルスDNA)とは、RNAウイルスであるHTLV-1が逆転写酵素によりDNAに変換されて、宿主T細胞のヒトゲノムに組み込まれたDNAであり、HTLV-1感染の診断には、この配列をT細胞のゲノムから検出することで行われる。このプロウイルス配列には、gag、pol、env、pX領域が存在し、pX領域にはtax遺伝子、HBZ遺伝子が存在する。プロウイルス(HTLV-1プロウイルスDNA)を検出し、その量(細胞中の感染率)を計測する方法として、上記pX領域におけるtax遺伝子を標的としたリアルタイムPCR法等が挙げられる。本発明のHAM/TSP発症リスク判定方法においては、DRB1‐GB‐7のアミノ酸を指標とする方法に加えて、HTLV-1プロウイルス量を指標とする方法を組み入れることで、判定の確度を向上させることができる。
[判定方法]
本発明のHTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法としては、HTLV-1感染者のHLA-DRB1の特定の位置のアミノ酸残基を指標にする工程を含んでいれば、その他は特に限定されない。上記特定の位置のアミノ酸残基としては、HLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基であることが好ましく、HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基であることがより好ましい。HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基の特定には、当業者に公知の方法を用いることができる。例えば、被験者のDNA試料を用いて、HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸を含む領域をコードするDNAをPCRにより増幅し、シークエンスすることによりHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸を同定することができる。その結果、被験者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定し、被験者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定する。
以下に具体的な、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法を各工程に分けて説明する。
本発明のHTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定方法は、(A)HTLV-1感染者のHLA-DRB1の特定の位置のアミノ酸残基を特定する工程、好ましくはHLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基を特定する工程、より好ましくはHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を特定する工程を含む。また、(A)工程が、HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を特定する工程である場合、(B)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定し、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定する工程を含むことが好ましい。さらに、(C)HTLV-1プロウイルス量の測定工程を加えることで発症率をより細かく判定することが可能となる。
[工程(A)]
本工程は、被験者のDNA試料を用いて、HTLV-1感染者のHLA-DRB1の特定の位置のアミノ酸残基、好ましくはHLA-DRB1のGB領域のアミノ酸残基、より好ましくは、はHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を特定する工程である。HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸残基の特定には、当業者に公知の方法を用いることができる。
被験者のDNA試料としては、HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7等の特定のアミノ酸残基を特定できる試料であれば特に限定されないが、例えばHTLV-1感染者の血液、尿、唾液、乳汁、鼻汁、脳脊髄液、骨髄液、リンパ組織(脾臓、胸腺、リンパ節等)等が挙げられる。これらのうち、免疫細胞多く含むこと、採取が容易であること等の理由から、血液が好ましい。上記血液としては、例えば全血、血球、血清、血漿等が挙げられ、中でも血球が好ましい。上記血球としては、例えば末梢血単核球(PBMC)が好ましい試料として挙げられる。
HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸残基を特定する工程は、例えば以下のような工程を含むことができる
(1)HTLV-1感染者である被検者から検体(DNA試料)を採取し、上記採取された検体からDNAを含有する試料を調製する工程、
(2)工程(1)で調製した試料に対して、HLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸を含む領域をコードする遺伝子を標的として、この領域を増幅させるためのPCRプライマー対を用いてPCRを行う工程、
(3)工程(2)で得られた増幅断片をシークエンスする工程。
工程(1)は、被検者から採取された検体からDNAを含有する試料を調製する工程であり、例えばQIAamp DNA Blood miniキット(キアゲン社製)等を用いて調製することができる。被検者より採取された検体としては、上述の検体が挙げられる。なお、工程(1)において、被検者から採取された検体から調製されるDNAを含有する試料としては、被検者から採取された検体そのものであっても、被検者から採取された検体から抽出されたDNAであってもよい。被験者のDNA試料を用いて、HLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸を含む領域をコードするDNAをPCRにより増幅し、シークエンスすることによりHLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸を同定することができる。
工程(2)においては、工程(1)で調製した試料に対して、HLA-DRB1-GB-7等の特定の位置のアミノ酸を含む領域をコードする遺伝子を特異的に増幅可能なPCRプライマー対を用いたPCRを行う(特開2018-130036号公報参照)。
工程(3)においては、工程(2)で得られた増幅断片をシークエンスし、シークエンス結果をデータ解析することでHLA-DRB1-GB-7等の特定の位置の塩基配列からアミノ酸を同定する。上記シークエンスは、当業者に公知の方法にて行うことができる。
[工程(B)]
本工程は、上記工程(A)において特定されたHTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いと判定し、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いと判定する工程である。
上記工程(A)において特定されたHTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリン、ロイシン以外のアミノ酸である場合には、HAM/TSPを発症するリスクは中程度であり、生涯においてHAM/TSPを発症する可能性は0.25%程度であると判断される。
上記工程(A)及び(B)に加えて工程(C)として、HTLV-1感染者のHTLV-1プロウイルス量の測定結果をリスクの判定に含むこともできる。工程(C)を含むことで、HAM/TSP発症リスク判定の確度を向上させることができる。
[工程(C)]
本工程は、上記工程(B)に加えてHTLV-1プロウイルス量の測定結果を加えることで発症率をより細かく判定する工程である。プロウイルス量の測定には、例えばMiyazato P, et al:Journal of Virology 80(21):10683~10691, 2006に記載の方法を用いることができるが、本発明に用いるプロウイルス量のデータはこの方法で得られたものに限定されない。
(1)HTLV-1感染者である被検者から検体(DNA試料)を採取し、上記採取された検体からDNAを含有する試料を調製する工程、
(2)工程(1)で調製した試料に対して、tax遺伝子を標的として結合するプライマー対を用いてPCRを行う工程、
(3)工程(2)で得られる増幅断片の量を測定する工程。
上記工程(1)については、工程(A)における工程(1)の説明を適用できる。
工程(2)は、工程(1)で調製したDNAを含む試料に対して、tax遺伝子を標的として結合するプライマー対を用いてPCRを行う工程である。PCRは、PCR増幅装置を用い、当業者に工程の常法に従って行うことができる。これにより、試料中にHTLV-1プロウイルスDNAが含まれている場合には、pX領域におけるtax遺伝子に対応する増幅断片が得られる。より具体的には、被検者のゲノムDNAに組み込まれた、プロウイルス化したHTLV-1のpX領域におけるtax遺伝子に対応する増幅断片が得られる。
本発明におけるプライマー対としては、HTLV-1プロウイルスDNAにおけるpX領域内のtax遺伝子を増幅可能なPCRプライマー対であれば特に制限はないが、15塩基以上50塩基以下、好ましくは15塩基以上35塩基以下、より好ましくは15塩基以上30塩基以下のオリゴヌクレオチドからなるプライマーが好ましい。
PCRの反応条件は、HTLV-1プロウイルスDNAにおけるpX領域内のtax遺伝子を増幅可能な条件であれば特に限定されず、DNA試料、設計したプライマー対等に合わせて、適宜選択することができる。
工程(3)は、工程(2)の増幅工程で得られるPCR増幅断片の量を測定する工程である。PCR増幅断片の量を測定する方法としては、例えば電気泳動によりPCR増幅断片の量を測定する方法、プローブを用いてPCR増幅断片の量を測定する方法等が挙げられる。
以下の実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(被験者)
本研究では、九州地域を中心に収集したHAM/TSP患者(発症者)753人、及び対照群として無症候性HTLV-1感染者(キャリア)899人を用いた。HAM/TSPの診断は、世界保健機関(WHO)の診断基準に基づいて行われた。また、本試験は、ヘルシンキ宣言に従って、各施設の倫理委員会により審査され、承認されたものである。さらに、全被験者には、本試験の目的及び手順を十分に説明し、各被験者から文書による同意を得ている。
(ゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study:GWAS))
合計で753例のHAM/TSP患者のDNA試料、及び対照として899例の無症候性HTLV-1感染者のDNA試料について網羅的SNP解析を実施した。このうち436例のHAM/TSP患者、及び523例のキャリアのDNA試料については、Illumina Human610-Quad BeadChipアレイ(Illumina, Inc., San Diego, CA, USA)を用いて遺伝子型タイピングを行った。残りの317例のHAM/TSP患者、及び376例のキャリアについては、Illumina HumanCoreExome BeadChipアレイを用いた。なお、上記網羅的SNP解析は、それぞれの製造業者のプロトコルに従って実施した。得られた、SNPマーカーのうち両アレイで共通する合計141,192個を選択した。
141,192個のSNPマーカーに対してクオリティチェックを行った。その結果、コール率が0.95未満のHAM/TSP患者4例及びキャリア6例、SNPデータの分布が日本人集団から外れたHAM/TSP患者3例及びキャリア1例、さらに血縁関係を示すHAM/TSP患者15例及びキャリア46例を除外した。この工程で残った、731例のHAM/TSP患者及びキャリア846例をゲノムワイド関連解析に用いた。また、コール率が0.99未満の4,255個のSNP、0.01未満のマイナーアレル頻度(MAF)を有する10,515個のSNP、及びハーディ・ワインベルグ平衡(p<1.0×10-6)から逸脱した28個のSNPを除外し、結果的に、計126,394個のSNPについて解析が行われた。ゲノムワイド関連解析には、地域間等の集団構造による影響を除外するため、主成分分析による第10主成分までの値を変数項とした用いた補正を行った。
(HLA対立遺伝子の決定)
ゲノムワイド関連解析に用いた検体のうち長鎖のPCRに品質要件を満たした、HAM/TSP患者659例及びキャリア821例に対して、HLA遺伝子群の中でもとりわけ多形性が高く、様々な免疫関連疾患との関連が知られている6つの主要なHLA遺伝子、HLA-A、-B、-C、-DRB1、-DQB1、-DPB1の遺伝子全長を、PCR法により増幅し、増幅産物を断片化した後、次世代シークエンサーMiSeqにより配列を決定した。これには、特許文献1の特許技術を用いて行われた。次に、読まれた断片配列のデータを用いて、各検体の6遺伝子のHLAアレルをHLA-HD(特開2018-108042号公報)により6桁まで決定した。タイピングを実施した検体のうち、6遺伝子全てのアレルが決定した、HAM/TSP患者651例及び無症候性対照804例について解析を行った。
(HAM/TSPと、HLAアレル及びアミノ酸配列との関連解析)
HAM/TSP患者と無症候性HTLV-1感染者の間における、感受性又は抵抗性のHLAアレルを見出すために、Fisherの直接確率検定法による検定を行った。アミノ酸残基の違いにおける比較解析するために、6桁でタイピングされたHLAアレルの頻度を4桁の解像度で統合した。4桁の解像度では計247の異なったアレルが同定されたため、ボンフェローニ補正を施した有意水準はp=2.02×10-4に設定された。次に、6つの遺伝子の抗原提示ドメイン(クラスIのHLA遺伝子については第2エクソン:G-ALPHA1及び第3エクソン:G-ALPHA2ドメイン、クラスIIのHLA遺伝子については第2エクソン:G-BETAドメイン)におけるアミノ酸残基の位置毎に、HAM/TSP発症との関連性を評価するために、IMGT/HLAデータベースのデータを用いて各HLAアレルのアミノ酸配列をアライメントし、逐次的ロジスティック回帰分析を実施した。解析検体においてアミノ酸残基の種類が複数ある座位は206箇所存在したため、ボンフェローニ補正を施した有意水準はp=2.43×10-4に設定した。検出された有意に関連するアミノ酸残基位置における各アミノ酸残基のオッズ比を多重ロジスティック回帰により推定した。
(プロウイルス量の測定と解析)
HAM/TSP患者443例及びキャリア592例を対象に、リアルタイムPCR法によりプロウイルス量を測定した。そのうち、6遺伝子のHLAアレルのタイピングが完了したHAM/TSP患者353例と、キャリア536例の測定結果を統計解析に用いた。解析データをHLA-DRB1のG-BETAドメインにおける第7アミノ酸残基の遺伝子型に従って、各アミノ酸のプロウイルス量を含めたHAM/TSP発症との関連性を二項ロジスティック回帰モデルで計算した。
以下に上記解析の結果を示す。
(HAM/TSP患者、無症候性HTLV-1キャリアのゲノムワイド関連解析)
126,394個のSNPマーカーについて、731人のHAM/TSP患者及び846人の無症候性HTLV-1感染者のDNA試料を用いてGWA研究を実施した。第6染色体上のHLA遺伝子座に有意な関連ピークが観察された(図1)。
(HLAアレルの遺伝子型タイピングとHAM/TSP発症との関連解析)
次に、HLA-HDを用いて決定された6つのHLA遺伝子のアレルの頻度からHAM/TSP発症との関連解析を行った。その結果、HLA‐C*07:02(p=2.61×10-5)、HLA‐B*07:02(p=4.97×10-4)、HLA‐DRB1*01:01(p=1.15×10-9)、HLA‐DQB1*05:01(p=2.30×10-9)が、HAM/TSP発症と有意に関連する感受性アレルとして得られた(表1)。一方、HLA‐B*40:06(p=3.03×10-5)、HLA‐DRB1*15:01(p=1.06×10-5)及びHLA‐DQB1*06:02(p=1.78×10-6)がHAM/TSP発症と有意に関連する抵抗性アレルとして得られた(表1)。ハプロタイプ解析により、感受性アレルであるHLA-C*07:02、HLA-B*07:02、DRB1*01:01及びHLA-DQB1*05:01は、連鎖不平衡の状態にあるハプロタイプであることが示された。同様に、抵抗性アレルであるHLA-DQB1*06:02とHLA-DRB1*15:01は連鎖不平衡の状態にあるハプロタイプであった。
Figure 0007411988000001
次に、抗原提示ドメインのアミノ酸残基について逐次的ロジスティック回帰解析を行った。その結果、HLA‐DRB1におけるG‐BETAドメインのアミノ酸残基の7番目(以下、DRB1‐GB‐7)が最も強い相関を示した(p=9.52×10-10)(図2a)。DRB1-GB-7を帰無仮説の変数に加えて、ロジスティック回帰を再度行った結果、有意な差のあるアミノ酸残基位置(p>2.43×10-4、図2b)は得られなかった。DRB1‐GB‐7はペプチド結合溝のβシートドメインに位置する(図2c)。
さらに、多重ロジスティック回帰分析により、DRB1‐GB‐7にあるアミノ酸残基とHAM/TSP発症との関連を調べた。結果を表2に示す。DRB1‐GB‐7におけるロイシン(DRB1-GB-7-Leu)はHAM/TSP発症と正に相関し(p=6.47×10-7、OR=2.11、95%CI:1.57-2.83)、一方プロリン(DRB1-GB-7-Pro)は負に相関する(p=6.55×10-5、OR=0.65、95%CI:0.53-0.8)ことを見出した。注目すべきことに、感受性アレルであったHLA-DRB1*01:01はDRB1-GB-7の位置でロイシンへと翻訳され、抵抗性アレルであったHLA-DRB1*15:01はDRB1-GB-7の位置でプロリンに翻訳される。HLA-DRB1*15:02及びHLA-DRB1*16:02もDRB1-GB-7-Proを有しているが、本研究ではアレル単体としてはHAM/TSP発症との有意な関連は示されなかった。
Figure 0007411988000002
(DRB1-GB-7とプロウイルス量がHAMのリスクに及ぼす複合効果)
以前の研究では、HTLV-1プロウイルス量は、キャリアよりもHAM/TSP患者で有意に高いことが報告されていた。HTLV-1プロウイルス量をHAM/TSP患者443例とキャリア592例の間で比較したところ、HAM/TSP患者ではキャリアよりも有意に高かった(p=4.7×10-42)。そのうち、6遺伝子のHLAアレルのタイピングも行った353例のHAM/TSP患者と、キャリア536例を用いて、プロウイルス量を考慮した上でDRB1-GB-7のアミノ酸残基の各遺伝子型がHAM/TSP発症と関連しているかどうかを調べた。その結果、DRB1-GB-7-Leu及びDRB1-GB-7-Proはいずれもプロウイルス量の影響とは別にHAM/TSPの発症と有意に関連していることが示された(表3)。特に、DRB1-GB-7-Leuについてホモ接合体は、ヘテロ接合体と比較して、顕著に高いオッズ比(OR=9.57、95%CI=2.49-63.59)を示した。
Figure 0007411988000003
(DRB1-GB-7とプロウイルス量の混合モデルによるHAM/TSP発症リスクの推定)
図3では、DRB1-GB-7のアミノ酸の違いによるHAM/TSP発症率と発症相対リスクをプロウイルス量の変化とともに二項ロジスティック回帰モデルで推定した。相対リスクの基準値は、日本のHTLV-1感染者におけるHAM/TSPの発症率とされる0.25%とした。その結果、DRB1-GB-7-Leuのホモ接合体の場合、HTLV-1感染者のプロウイルス量の中央値1.44%では、推定発症率が1.65%(95%信頼区間=0.35%―7.68%)で相対リスクが6.3倍からHAM/TSP発症者の中央値6.26%では、推定発症率が3.55%(95%信頼区間=0.76%―16.5%)で相対リスクが14.2倍と2倍以上の差があることが判明した。
解析ではHAM/TSP発症に関連する複数のHLAアレル:HLA‐B*07:02、HLA‐C*07:02、HLA‐DQB1*05:01及びHLA‐DRB1*01:01を、感受性アレルとして同定した一方で、HLA‐B*40:06、HLA‐DQB1*06:02及びHLA‐DRB1*15:01を、抵抗性アレルとして同定した。HLAタンパク質のG-DOMAIN中のアミノ酸残基の分析により、DRB1-GB-7のアミノ酸残基がHAM/TSP発症と最も有意に相関しており、DRB1-GB-7-Leuが感受性アミノ酸残基であった。HLA‐DRB1*01:01はDRB1‐GB‐7でロイシンを翻訳することから、HLA-C*07:02、HLA-B*07:02、及びHLA-DQB1*05:01は、HLA‐DRB1*01:01と連鎖不平衡の状態にあることからHAM/TSP発症の感受性アレルとなっている可能性が高い。一方、HLA-DRB1*15:01は抵抗性アミノ酸残基DRB1-GB-7-Proを有するため、HLA-DQB1*06:02は、HLA-DRB1*15:01との連鎖不平衡の状態にある関係からHAM/TSP発症の抵抗性アレルとなっている可能性が高い。HLA-B*40:06が抵抗性アレルであることの説明はできていない。
日本におけるHAM/TSPの全国疫学調査によると、診断から発症までの期間は7.6年であり、その主な原因は、希少難病であることや診断の困難さからHAM/TSPの診断には専門医を要することである。一方、最近の臨床試験では、モガムリズマブ(抗CCR4)がHAM/TSP患者のOMDSを改善し、特に早期(罹患期間10年未満、OMDS<5)に登録した患者で最も改善が顕著であったことが報告されている。HAM/TSP高リスク発症者群の同定は早期診断に繋がるため、治療成績の改善と患者のQOLに極めて重要である。HTLV-1プロウイルス量はHAM/TSPの古典的リスクマーカーとして用いられている。プロウイルス量は感染者間で異なるものの、初回感染後数年以内に安定し、それぞれの感染者において比較的一定のままである。本研究では、関連解析により、DRB1-GB-7上の感受性及び防御性アミノ酸残基がHAM/TSPの発症に影響を及ぼし、プロウイルス量による予測とは異なることが示された。これらのアミノ酸残基は、高いプロウイルス量が存在しなくても、HAM/TSP発症リスクを予測するのに有効なバイオマーカーであろう。DRB1-GB-7を有する他の対立遺伝子の中で、HLA-DRB1*01:01の対立遺伝子頻度は、カリブ海地域、アフリカ、又は南米などの他のHTLV-1流行地域全体を通じて同等に高く、したがって、このバイオマーカーは、世界中で役立つ可能性がある。
本発明によると、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症の迅速かつ正確な予測、すなわちHAM/TSP発症リスクの判定が可能となった。それにより、HAM/TSPの高発症リスク群を推定することができるため、専門医の紹介や定期診断といったヘルスケアに活用することができ、また早期治療開始も可能となる。また、本発明は、別の発症リスクマーカーであるプロウイルス量の測定結果と組み合わせることでさらに高精度な発症リスク測定法へと拡張することも可能である。

Claims (4)

  1. HLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を指標とすることを特徴とHTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いことが示され、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いことが示される、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定するための方法。
  2. さらにHTLV-1感染者のプロウイルス量を指標とすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. (A)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基を特定する工程、及び
    (B)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、ロイシンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが高いことが示され、プロリンである場合に、HAM/TSPを発症するリスクが低いことが示される工程を含む、HTLV-1感染者のHAM/TSP発症リスク判定するための方法。
  4. さらに、(C)HTLV-1感染者のHLA-DRB1-GB-7のアミノ酸残基が、プロリンもしくはロイシンであるかの情報に加えてプロウイルス量の値をもとに、HAM/TSPの発症リスクの高低が示される工程を含む、請求項に記載の方法。
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